■2006/01/05 (木)、06(金)「ラ・シルフィード」「騎兵隊の休息」レニングラード国立バレエ団 |
■2006/01/05(木) 「ラ・シルフィード」 シルフィード:シェスタコワ ジェームズ:ルジマトフ 魔女マッジ:ブレグバーゼ グルン:リャブコフ エフィー:シシコワ ブルノンヴィル版の全幕は2000年に見ただけです。本場のデンマーク・ロイヤルと比べるのが悪いのかもしれませんが、なんとなく、場面場面の繋がりが悪いです。場面ごとが独立しすぎるっていうのかなあ。群舞、グラン・パ・ド・ドウ、と、順番に踊っているだけで、ストーリーが見えにくかったです。あれだけマイムを多用しているのに。 お話し的にも、なんか、ピリッとこない。グルン(一般的にガーン)が、あまりにもエフィーを口説きすぎだし、1幕終わりもエフィーが嘆いて終わりだし。デンマーク・ロイヤルの時のエフィーは、ガーンのプロポーズを受け入れるんだけど、あの時の悲しみと絶望と悔しさと怒りが混じった表情は今でも思い出せます。ダンサーの演技が悪いのではなく、演出的に、ちょっと不満。 さて、ダンサーです。幕が上がって、椅子に座って微睡んでいるルジは、 それは、それは、 素敵でした 赤い衣装がよく似合う。まあ、この人は、赤い衣装も、黒い衣装も、赤と黒を組み合わせた衣装も、白い衣装も、青い衣装も似合うんだけどさ。なにもしていないのに、殆ど動いていないのに、なんか、こう、会場を圧倒するオーラを放出していました。う~ん、濃厚すぎるよ。ああ、ルジだよ~~。周りで飛んでいるシェスタコワが目に入らないよ。日本公演初日なのにテンション高すぎるよ~~!!マイムもね~~、実にわかりやすかったです。オペラグラスで見るのが勿体ないくらい。だって、上手端から、下手端にいるシルフィードに投げキッスをしているんですよ。ちゃんと届いてるんですよ。オペラグラスだと、「投げる」動作しか見えないでしょ。それじゃMOTTAINAIYO!せっかく舞台全部を使って表現しているんだし~~~、とウハウハ。しかし、踊り部分はちょっと精彩に欠けるような・・・。それは「不調」といよりは、ブルノンヴィル・スタイルが全然合っていないからかも。彼には細かくせせこましいステップは似合わないような気がする。もっと大きい踊りの方が合うよねえ。まあ、私のただの好みですね。すいません。 シェスタコワのシルフィードは、正直、思っていたほどではなかったかな。可愛いんだけど、なんというか、コケティッシュというのかなあ、「無意識の媚び」が皆無なんだよなあ。妖精さん、というには、理知的すぎるのかも。「だって好きなんだも~~ん」ってな単純さが欲しいんだけど、その単純さは彼女の理性に邪魔されて発揮できていないというカンジです。踊り的には申し分ないと思うんだけど。「無邪気な恋による自身の破滅」って雰囲気からは、かなり遠いなあ。。。エフィーとキャラが被っているようなシルフィードでした。 エフィーのシシコワは実に可愛らしい。こんな良いお嬢さんを捨てるジェームズはアホと言い切ってもよろしいでしょう。トウ・シューズではない、どちらかというとキャラクター的な踊りが多かったのですが、なかなかキレのある、それでいて女の子らしい踊りでした。マッジのブレグバーゼは、ちょっとヤリ過ぎ?グルン(ガーン)は、最初からエフィーを狙いすぎ。躊躇もなにもない。ちょっとイヤ。森田さんの、「エフィーは好きだけど、友人の婚約者だし、彼女には幸せになって欲しいし、でも好きだし」のグルグル感が記憶に新しいので、一直線に言い寄っている姿にはかなり違和感を感じます。リャブコフ自体はハンサムだし、演出の意図を汲み取った演技をちゃんとしていたと思います。 群舞が、なんか~~、イマイチ・・・・・・。昨夏のガラの方が幻想的だったな。照明が明るすぎるのかなあ。コシェレワとかミリツェワとか、個人は良いんだけどね。ナタリア・エゴロワさんが配役表入り。嬉しい~~、と思っていたら、人数合わせのような役だったわ。 まあ、一発目なので、こんなもんかしら。明日に期待です。 「騎兵隊の休息」 マリア:ステパノワ ピエール:プハチョフ テレーズ:ポリョフコ 少尉:ポドショーノフ 騎兵大尉:ツァル 連隊長:シャルシャコフ マリアの友達:ミリツェワ、アヴェロチキナ こちらも2000年のガラで見た以来。ほのぼのとした作品で、結構好きです。ステパノワ&プハチョフの息のあった踊りは、「ラ・シルフィード」のちぐはぐ感を忘れさせてくれます。実生活でもパートナーの二人なので、ラブラブな雰囲気(でも馴れ合っているわけではない)は幸福感一杯で良いし、おっさん達の群舞も楽しいし、可愛い女の子もたくさん出てくるし、肩の力を抜いて見られる作品です。岡田的な配色の衣装も、田舎臭さ倍増で良いかもね。プハチョフの豪快なジャンプ、ステパノワの手足を伸ばしきったのびのびとした力強い踊りを堪能しました。 両作品とも指揮はホリコフ。ホリコフと言えば、ダメダメな金管とセットなんだよね。「ラ・シル」の序曲は泣けてくるほど濁った音でした。アニハーノフさんの音はいつ聴けるのかなあ・・・。 ■2006/01/06(金) 「ラ・シルフィード」 シルフィード:シェスタコワ ジェームズ:ルジマトフ 魔女マッジ:シャルシャコフ グルン:リャブコフ エフィー:リヒテル 全般的に今日の方がまとまりがあった。ルジの演技が、シルフィードだけではなく、エフィーや他の人々も噛み合っていた。日本での(全幕通しでは)初役というのは、やっぱり大変なんだなあ。「ルジマトフ」のオーラは抑えめだったけど、そのぶん「ジェームズ」が舞台にいた、ってカンジになっていました。うんうん、良かったよ。ただ、この人は、こういう単純な役はあんまり合わないなあ。アルブレヒトやソロルのような二股男ではあるけれど、それら二作品に比べて精神的な深みを必要としないので、持ち味が発揮しきれないと思う。ある境界線を突き抜けたスピリチュアルな役か、そこまでいかなくても、「演技」をもっと必要とする役の方が、私は好きだわ。ブルノンヴィル版「ラ・シルフィード」は「脚さばき」ありきな部分があるので、余計にそう思う。ええ、精神的な部分の話なんですよ!スカートだと太股が見えないじゃ~ん、っていう残念な気持ちからではないですよ!! で、その踊りは、まあ、細かい脚さばきはね、そりゃ、20代の頃のカルピン(ニーナ・ガラのカルピンが私のジェームズの基本なのよ)には敵わないのは仕方がないよね、ということで気に掛かる部分は全て目をつぶりましょう。やっぱ「不調」とは別次元な気がするんだわな。 シェスタコワは可憐だ。可愛い。踊り的には申し分ない。マイムもうまい。けど、私の好みとは違うな。ガラでパ・ド・ドゥだけ見れば素晴らしいと思うんだろうけど。もっと、こう、「あんたがすべての原因なのよ~~!」と思わせながらも、まあ、人間と妖精では倫理観が違うから仕方がないんだろうしぃ、みたいな部分がもっとあればなあ。あくまでも私の好みの問題ね。ユカリューシャのシルフが好きなもんでね。すいませんね。 エフィーのリヒテルは、これまた可愛くて。ジェームズが結婚しないのなら、私が嫁に貰いたいくらいだ。大切にするぞ。グルンにさえ惜しいぞ。昨日のシシコワも可愛かったけど、リヒテルの方がルジの演技に合っていたみたい。ジェームズとラブラブな雰囲気が良かったな。 マッジのシャルシャコフ。これぐらいじゃなきゃな。昨日のブレグバーゼは、やりすぎだわ。「『春麗』におけるハマコ」のようだったよね。バアさんじゃなくて、おっさんだったし。シャルシャコフは、受けた侮辱を正当に返す、ってカンジかなあ。ものすごい力を持っていれば、そもそもジェームズ宅には来ないだろうしね。占いもこっちの方が当たりそうな雰囲気。 グルンのリャブコフは、やりすぎなのか、演出なのか。「この目で見たんだ!」×2は、まだいいとしても、「宙を舞う妖精が」のマイムが、ちょっと笑えた。そういう場面ではないんだけど。 群舞も昨日よりイイかな。昨日は2階、今日は3階で見たのですが、今日の方が照明が綺麗だった。昨日は橙系が目立って明るめだったけど、今日はちゃんと青みがかって少々暗めだった。座る位置でこうも違うのかなあ。それなりに幻想的でした。4人のシルフはキャスト変更のため昨日と同じでした。 「騎兵隊の休息」 マリア:ロマチェンコワ ピエール:プローム テレーズ:オシポワ 少尉:マミン 騎兵大尉:クリギン(父) 連隊長:ブレグバーゼ マリアの友達:ミリツェワ、アヴェロチキナ 今日見た人は大当たりですよ!昨日も悪くはないんだけどね。「ハズレ無し8等賞がティッシュのクジ」に例えるなら、昨日は3等賞の食器セット、今日は特賞のハワイ旅行ってカンジです。三角関係の若者達も良いのだけれど、兵隊さん達がすごい、すごいよ!芸達者の人ばっかりなんだよ。昨日は「踊り」の違いでしかなかった兵隊3人が、今日はキャラクター違いになっていましたよ!ちょっとの間にも演技を入れ込むサービス精神には感服するばかりです。 A.クリギンは もう、登場した瞬間から 来た来た、 来たよ! クリギンが!! ってぐらい、相変わらずのディープ・インパクトなんですが、そのクリギンが全然浮かないってのがねえ、楽しいよねえ。ブレグバーゼは無声映画のコメディアンのノリでしたが、マミンは、もう、特に目立ったことはしていないのに可笑しいのよ。芸達者だわ。もちろんクリギン(父)も絶好調!!描き込みまくった化粧顔(ちょっと老けメイク)にカイゼル髭で投げキッスしまくりよ。へへへへへへ~~。3階にもモチロン届きましたわさあ。髪は亜麻色に近い金髪で、クルクルっとしたパーマ。「白鳥」のハンガリーなどよりも踊っている時間が長いかも。チャルダッシュ系の踊りなので、長い脚が映えますなあ。 (昨日、似ている?と思ったのは別人でした) と、本題に戻して。若い3人も良かったですよ。ロマチェンコワ&プロームはフレッシュなコンビ。若々しくていいっすね。ロマチェンコワは思っていたより華やか。真ん中に立たせれば結構光るわね。踊りも安定しており、危なげなくいろいろ決めてます。プローム君は昨年の奴隷商人から想像つかないくらいの坊ちゃん系。ジャンプも軽やかで着地では音がしません。脚さばきもいいよねえ。彼がジェームズを・・・・・・・なんて言っちゃイケナイですね、すいません。生え際以外、全て良し。 そしてオシポワだ!恋敵と争うときは女の子らしく。口説いた兵隊さんのマネをするときはおっさん臭く。そのメリハリが実に良いですね。赤いブーツがよく似合っていました。 2日とも楽しませてくれた作品でした。キャスト違いでいろいろ見てみたいなあ。> |
■2006/01/07 (土)、08(日)、14(土) 「白鳥の湖」レニングラード国立バレエ団 |
■2006/01/07 (土) 今年初めの「白鳥」は国際フォーラムでございます。大嫌いな会場なんですが、ステパノワの白鳥が観たくて行ってきました。セゾンカード貸切なんでチケ代が安かったし。ほぼ半額だったかな。私はB席3000円で1階45列センター。舞台からの距離はと申しますと、オーチャードホール3階3列でのオペラ・グラスの照準がそのまま使えました、と言えば想像していただけますでしょうか?思ったより見やすかったです。前方席より箱庭感を感じないかも。1階はほぼ満員でした(2階は不明)。お客さんはバレエを見慣れない方が多いようで、1幕前半は「なんで白鳥が出てこないんだろ~~」って雰囲気が会場に漂っていたような。喋るようなマナーの悪い人はいなかったけどね。 ステパノワの白鳥は美しかったです~~。彼女は「赤」とか「黒」のイメージが強い人だけど、昨年のミルタが綺麗だったので、案外「白」もイケるな、と期待したら、その通りでした。自身のイメージではないためか、かえって丁寧に作り込んでいるように思いました。腕の先まで繊細です。そりゃ、少々ガタイが良すぎるかもしれませんが、まあ、それはおいといて。音楽を充分に使った踊りで、わりと好きかも~~。彼女とプハチョフならハッピー・エンド版の方が似合いそうだなあ。黒鳥は得意分野だけあって生き生きしていましたが、白鳥とのバランスが崩れるほどではありません。32回転も決まっていました。 王子のプハチョフ。長身なので舞台映えがします。身体のラインが綺麗ですよね。もうちょっとメランコリックだといいんだけどなあ。意志の強い王様になれそうなのに、なにを悩んでいるんだろう、とか思っちゃったり。ロットバルトに負けるのが不思議。 ロットバルトはミャスニコフ。また新しい役だ。黒いモジャモジャの鬘付き。こちらも長身で踊り的にはOKなんだけど、ちょい地味かなあ。なんでいるの?みたいな?濃い人を見慣れすぎたのかしら??? パ・ド・トロワは若手トリオ。ロマチェンコワ、ミリツェワは安定しています。プローム君は品があり、ジャンプも綺麗なんだけど、最後はちょっとスタミナ切れかも。 白鳥の群舞は、普通に見れば良いんだろうけど、このバレエ団としてはイマイチかなあ。もっと揃うと思っていたんだけどなあ。大きい白鳥にはミリツェワも。働かせ過ぎなのでは?ヴィジェニナは相変わらず美人。エフセーエワはほっそりして最初はわからなかったよ!白い肌で見分けをつけたくらい。背中が綺麗。 各国の踊り。スペインの男性。白は王子様系の顔。長めの金髪を黒いヒモ(リボン)でうしろで括っていましたが、踊りは優雅すぎてキレが甘い。黒は「ハッ!」って掛け声が聞こえてきそうな濃い踊り。これくらいはやってきれなきゃね。女性陣は両方とも良い。ハンガリーのヴェンシコフ、化粧がちょっと良くなった。マズルカの男性陣は豪華だねえ。ハンサム揃いよ、ほっほっほ!マラーホフの脚のラインがイカスのだ! 4幕の二羽の白鳥にコチュビラちゃん。顔から肩にかけてが特に美しい。彼女のオディールも見てみたいなあ。ロバノワもいいっすよ。 ナタリア・エゴロワさんはいつもの場所。2幕は白鳥勢揃いの頂点とか、3幕は花嫁候補下手から3番目とか、4幕は白鳥が上手・下手一列ずつになったときの上手側最前列とか。 指揮はアニハーノフさん。髪の毛は大きすぎず小さすぎず。弦が綺麗。ポーランドのソロの金管もしっかりしている。ホリコフさんの時はヘロヘロなんだよね~。指揮者の力量なのか、演奏者がそもそも別人なのか。いつも謎。 う~ん、他にも書くことがあったような気がするけれど、眠いのでわかりません。思い出したら書きます。明日はルジだ! 【配役】 オデット&オディール:ステパノワ ジークフリード:プハチョフ ロットバルト:ミャスニコフ 王妃:マルチナ 家庭教師:ブレクバーゼ パ・ド・トロワ:ロマチェンコワ、ミリツェワ、プローム スペイン:モストヴァヤ、カミロワ、チェスノコフ、アルヒプツェオフ ハンガリー:オシポワ、ヴェンシコフ マズルカ: タマラ・エフセーエワ、ロパティナ、フィラトワ、フィルソワ マスロボエフ、A.マラーホフ、リャブコフ、アルジャエフ 大きい白鳥:E.エフセーエワ、バルエワ、ミリツェワ、ヴィジェニナ 小さい白鳥:ニキフォロワ、リィコワ、ソロヴィエワ、ニコラエワ 二羽の白鳥:コチュビラ、ロバノワ 指揮:アンドレイ・アニハーノフ ■2006/01/08(日) 本日の主演はシェスタコワ&ルジマトフ。白鳥で組むのは初めての二人ですが(たぶん)、両者とも当たり役なので、とても素晴らしい内容でした。役の掘り下げが深く、悲恋の道筋がハッキリわかりました。2階最前列で見たせいかもしれませんが、昨日より群舞は揃っているように見えました。 シェスタコワのオディールは、まさしく白鳥の化身。腕、脚は鳥のようですし、繊細な動きは、とっても儚げです。王子が誓いを破ったら、本当にショック、それだけで死んじゃいそう。それでいて「姫」の威厳もあったりして。オディールの理想像の一人ですな。昨日のステパノワは「光り輝く純白」でしたが、シェスタコワは「湖の情景に溶け込む白」と言ったところでしょうか。 オデットの時も、誘う目つきがたまりません。オディールの時とはうってかわって華やかで圧倒的。32回転前半はシングル・シングル・ダブルを連続で。パ・ド・ドゥのヴァリも、踊ったらすぐ引っ込むのではなく、ルジが出て来て踊るのを誘うような仕草で、王子を支配しているな、と思いました。オデット&オディールとも踊りの技術面では完璧ですが、それが押しつけがましくなく、演技を助けるツールでした。こういうのがイイのよねえ。 ルジの王子も、これまた絶品でございまして。佇むだけで王子様。メランコリックな風情が、もう・・・・・・・・。言葉では言い表せません。無理っすよ。どんな瞬間も素に戻ることなく、幕が上がってからはずっと「ジークフリード」なんですよね。ああ、もっと彼のジークフリードが見たいなあ。踊り的には・・・・・、まあ、こんなもん?アラベスクの背が反りすぎ!ってことがないので、まだウォーミングアップ中かしら?でも、ジャンプ中の脚のラインとかは綺麗ですよ。年齢的にはこれだけ踊れればOKではないでしょうか。ダメ? ロットバルトのミャスニコフは、昨日よりノリが良かったかも。白鳥ちゃん達をいじめる悪い人ですよねえ。悪魔ですからねえ。ジャンプも高いなあ。この人も結構な年齢のはずなのになあ。 パ・ド・トロワは、配役表では昨日と同じでしたが、実際には変更で、コシェレワ&ステパノワ&ルダチェンコ。違うメンツでちょっとラッキー。女性陣は他日の白鳥ですから、もう、貫禄充分。堂々とした踊りです。ステパノワがソロの最後でちょっとぐらつきましたが、それ以外は万事OK。コシェレワは華やかですねえ。背筋とか腕の伸ばし方とかが好きだな。ルダチェンコは・・・、遅れがちな重たい踊りは、もう芸風と思っちゃってもいいのかな?女性陣からすると明らかに格下って雰囲気。昨日のプローム君の爽やかな軽やかな踊りが印象深いだけに、彼の踊りがえらく重たく感じました。しかしながら、ビジュアルはバッチリですよね~。ルジと並んだときの「王子の友人」って雰囲気はとってもよろしいです。このビジュアルだけでもいいや~~。 コシェレワは大きい白鳥にも入っていました。一番目には行ってきますね。コチュビラちゃんの優しいラインも好きですが。 各国の踊りの印象は昨日とだいたい同じ。マラーホフは脚だけでなく、長い腕の動きも味わいがあるなあ。好きだなあ。ペトゥホフ(息子)は身体のラインがスッキリしたと思う。白い服でも膨張していないよ。 二羽の白鳥にはエルビラちゃん。可愛い。好き好き好き~~。胸とか、かなり体型が戻ったみたい。これからもたくさん踊ってね~~。 とにかく今日は、主演の組み合わせがとても良かった!その二人のムードが全てのレベルをアップしたみたい。幸せでした~~。 【配役】 オデット&オディール:シェスタコワ ジークフリード:ルジマトフ ロットバルト:ミャスニコフ 王妃:マルチナ 家庭教師:ブレクバーゼ パ・ド・トロワ:コシェレワ、ステパノワ、ルダチェンコ スペイン:モストヴァヤ、カミロワ、チェスノコフ、アルヒプツェオフ ハンガリー:フィルソワ、ペトゥホフ マズルカ: タマラ・エフセーエワ、ロパティナ、フィラトワ、グリゴルツァ マスロボエフ、A.マラーホフ、リャブコフ、アルジャエフ 大きい白鳥:コシェレワ、コチュビラ、カミロワ、フィルソワ 小さい白鳥:シシコワ、アヴェロチキナ、ニキチナ、A.エゴロワ 二羽の白鳥:ハビブリナ、ロバノワ 指揮:アンドレイ・アニハーノフ ■2006/01/14(土) 2002年に同演目で主演ペアを見ていたのですが、その時はイマイチと思ったようです@過去の自分。しかし、今年は違いました。コシェレワの白鳥、良いです。とても良いです。腕が綺麗。憂い顔も美しい。どのポーズも決まります。非常に目を惹かれます。こんなに白鳥が良いとはなあ。黒鳥は、今年見た二人より「女の色気」を感じました。32回転は少々バランスを崩していましたが、まあ、許容範囲ですわい。 シヴァコフがねーーー、これまた良かったんだよ!素でいる瞬間など一時もなく、コシェレワをサポートしている間も、ちゃんと「ジークフリード」でした。彼は、従来の王子像からすると、メランコリックさは足りないかもしれない。でも、彼の王子には必要ないかも。若く生命力に溢れている王子。しかし、彼は夢見る、「ここ(宮廷)ではない何処かで」「素晴らしい運命に出会うはずだ」。逃げ出したい、のとは違う。実に若者らしい夢(なんとなくWSSのトニーを思い出した)。その熱い情熱が、オディールと出会ったことにより、恋に一直線になる。彼の生命力が、高ければ高いほど、初めての恋に賭けるエネルギーも大きくなるのだ。それが結果的には彼を破滅に導くって言うのかなあ。「明るい若者」と「破滅の恋」が、こんなにうまいこと結びつくなんてなあ。それに、このパターンだと、「白鳥」=「ファム・ファタル」という図式もしっくり来る。うん、良い組み合わせだったよ。踊りも非常に丁寧。いつなんどきも気を抜くことはありません。マイムもうまいし、表情も豊かになったなあ。イイ子に育ったよ(涙)不安は大きめのつむじぐらい。彼にもマールイの呪いが容赦なく降りかかるのか? ロットバルトはツァル。ようやく濃い悪魔だよ!ミャスニコフはねーーー、スマートすぎるんだよねえ。。。ここの悪魔は濃くなきゃ。話の運びにちゃんと参加しなきゃね。「オディール並びに白鳥を捕らえている者」って雰囲気が良く出ていました。 パ・ド・トロワはヴィジェニナ、ステパノワ、オマール。ステパノワは8日より調子が良いみたい。最後も決まった。しかし、胸が大きいなあ。ヴィジェニナは美人なのだ。体つきも好きなのだ。大柄なので使い道が限定されそうなのが残念なのだ。もうちょい使って欲しいなあ。オマールについては、ここ(マールイ)の、いわゆる「路線」の決め方の不思議さを見る。ルダチェンコは踊りはアレだが、ビジュアル的な面からソリストOKだけど、オマールはどうなのか?彼がトロワで、クリギンがトロワでないのは何故なのだ。「一生懸命踊っています」ってカンジが出過ぎている。特にミスはなかったけど。 スペイン。黒髪で白い衣装のマラーホフ、金髪で黒い衣装のリャブコフ、金髪で白い衣装のオシポワ、亜麻色(?)で黒い衣装のポリョフコ、と、色のバランスが絶妙でした。男性陣は濃厚ですなあ・・・。ウットリ・・・・・・。マズルカは若手でまとめました、でしょうか。ヴェンシコフとチェスノコフの並びは良い。個人的に。 群舞は、まあ、こんなもん?普通に良い。素晴らしく良い!では無い。見る方のハードルが高すぎるのかな? 【配役】 オデット&オディール:コシェレワ ジークフリード:シヴァコフ ロットバルト:ツァル 王妃:マルチナ 家庭教師:ブレクバーゼ パ・ド・トロワ:ヴィジェニナ、ステパノワ、オマール スペイン:ポリョコフ、オシポワ、リャブコフ、マラーホフ ハンガリー:ガルネツ、ポドショーノフ マズルカ: モストヴァヤ、タマラ・エフセーエワ、カミロワ、フィラトワ、 マスロボエフ、ヴェンシコフ、チェスノコフ、オマール 大きい白鳥:エフセーエワ、ミリツェワ、ヴィジェニナ、バルエワ 小さい白鳥:ニキフォロワ、リィコワ、ソロヴィエワ、ニコラエワ 二羽の白鳥:コチュビラ、ロバノワ 指揮:アンドレイ・アニハーノフ |
■2006/01/28 (土)、29(日)「バヤデルカ」レニングラード国立バレエ団 |
■2006/01/28 (土) 気のせいかしら。 2幕「婚約式」で、ソロルのヴァリエーション(ジャンプ)が 無かったように思うんだけど。 私が寝てた?? と、疑問を最初に書いておいて。(正解は明日確認しましょう) ルジはやっぱり尻上がりに調子が良くなっているようです。今日は出だしから濃い!とっても濃い!!あまりにも濃厚で鼻血が出そうでした。端正で、なおかつ、戦士らしい雄々しい部分もあり。踊りも手の先まで細かく気を配っており、ジャンプも綺麗に、割と鋭角的に、そこそこの高さで決まっている(だから2幕のジャンプがないのが解せないの。調子は決して悪くないと思うんだけどなあ)。回転系はスピードがあり正確。そして、のけぞりポーズも健在なのだった。まさしくルジマトフです。 ソロルとしての面から見ると。一幕は恋人に早く会いたいと思って焦り、それが実現すると幸福感で輝く。二人一緒にいるときがなによりの幸せなんだよね。それが、ガムザッティと婚約に至るのは、権力による強制でも、色欲や出世欲でもなく、戦士として自分に「筋を通した」結果なのかなあ、と、思ったり。恋人を捨てる自分を卑怯だと正しく認識して、でも選択せざるを得ない状況なのでは。だから、婚約式でニキヤと顔を合わせることはできない。けど、言い訳もしないんだなあ、と。ニキヤが蛇に噛まれた時点では、事故だと思っていそう。でも、それはあくまでも「事故」であって、誰かが手を差し伸べれば、彼女を助けられたかもしれない。自分が手を差し伸べれば、助かったかもしれない。しかし、ガムザッティに阻止され、彼が背を向けたとき、ニキヤは救いを拒否して死ぬ。だからソロルはさらに自分を責めることになるのでは?阿片を吸う姿は、「現実から逃げる」のではなく、「このまま死の世界へ行けるのなら」という願望のように見えた。このまま目覚めなければいいのに・・・。そんな気持ちなのかしら(余談ながら、ここの舞台転換中。幕の向こうで上手にはけていくルジマトフがかすかに透けて見えたんだけど、走って行くのではなく、両手を広げ気味に、少し背を反って、ゆったり歩いていました。素に返ることなく、ずっとソロルなんですね)。だから、彼が向かったのは、「黄泉の国」ではなく、さらにその下にある「根の国」じゃなかったのかなあ。そこで自分の本当の気持ちを確認する。でも、彼は目を覚ましてしまい、結婚式が始まる。ニキヤの幻影に、真実(蛇はガムザッティが仕込んだこと)に気付く。そこで起こる「寺院崩壊」は、もしかしたら仏罰ではなく、「死の国(根の国)」にいるニキヤのもとに、神がソロルを連れて行くためなのでは?と、今日は思いました。神の、むしろ「愛」ですよね。大僧正が無事なのがいつも不思議だったのですが、これも、ソロルとニキヤが「永遠の愛」を手に入れたのに対し、大僧正の手からは愛はすり抜け「永遠に」手に入らない。そういう「永劫に苦しむ」という仏罰なのかしら。天に昇る白い布は、寄り添う二人の魂なので、もしかしたらハッピーエンドの物語なのかしら~~、と。間違っているような気がするけれど、今日の私はこの解釈でいいわ、と思いました。 今年初めて見るペレン。昨年はイマイチでしたが、今年は「花が開いた」ようです。クール・ビューティーは卒業ですね。心の底からの感情を、全身を使って表現していました。寺院での逢瀬の、喜びかたといったら、それはそれは嬉しそうで。ガムザッティに対する怒り、ソロルに裏切られた悲しみ、そして、諦め。そのメリハリがあったので、余計に「幻影の場面」では神々しかったです。ああ、よく成長してくれたわ。長い手足がもよく伸びていました。 シェスタコワ。髪が 縦ロールじゃない・・・ え~ん、普通にお団子だよ。縦ロールが楽しみだったのにい。。。慣れた役なので安定感がありますよね。婚約式の踊りは難しい技も難なくこなしていました。演技もいいのよ。ニキヤが悲しみを抑えて踊っているのを「ご苦労様、ほほほ。」と、すっごく余裕な笑顔で見ているんだよねえ。そしてニキヤが蛇に噛まれて、思わずソロルが立ち上がったのを止める表情が良いのだよ~~。「彼女の元へ行くおつもり?それができるとお思い?」絶対に自分に逆らえないのがわかった上での微笑み。くううう、たまらん。明日のニキヤはどうなるのでしょうか。とっても楽しみです。 大僧正のブレグバーゼは、かなり「余計な部分」を剃り落とした気がする。生臭坊主ではなく、純情一途な坊主でした。木村さんのヒラリオン系。僧籍の身で女を愛するのが悪いとしても、それ以上は特に悪い人ではないんだよねえ。ソロルに嫉妬メラメラで藩主に進言するとしても、ガムザッティがソロルと結婚したいと思ったのは別の話だから、大僧正によって恋人達が引き離されたワケではないんだし。それでも、正しい行いのように見えても、結果的に死人を出してしまったのは、彼の罪。ヒラリオンだって、絶対に彼の言い分の方が正しいんだけど、正しさ故にジゼルを死なせるんだもんねえ。それと一緒。大僧正が「純粋」だったため、より、物語の透明性が増したように思いました。 黄金の偶像はトルマチョフ。技術的にはイイんだけどねえ。あまりにも福々しくて・・・。もともとが笑い顔だし。なんか、悪ノリしたオヤジの宴会芸チック。ごめんね、ダンサーとしては好きなんだけどねえ。全然、神々しくないのよ。あ~~、ミハリョフがいればな~~~~。 婚約式の介添人?のピンクのチュチュ4人組には、コチュビラ、コシェレワ、ミリツェワ、と、あと一人。すっごい豪華!赤いチュチュ4人組の方は全然揃っていなくて、まさしく「箸休め」状態なんだけど、エゴロワさんが入っていました。レヴェランスをするポジションなんてあんまりないので、ちょっと嬉しい。太鼓隊は大迫力でした。 幻影の場面。コールドは揃っている方だと思うけど、ライティングがちょっと不満。明るすぎるなあ。2階席だからそう見えたのかな。ヴァリエーション3人は言うこと無し。コールドにヴィジェニナが入っていました。4列になったとき最前列真ん中にいます。美人だわ~~。 ラジャの館の奴隷(ニキヤの支え役)のシャドルーヒンは、サポートがうまいな。クリギンは槍持ちの通し役でした。ソロルの部下はヴェンシコフあたり? 開演がちょっと遅れて、三幕開始も遅れたので(原因不明)、18時半開始の映画には間に合いませんでした。 【配役】 ニキヤ:ペレン ソロル:ルジマトフ ガムザッティ:シェスタコワ 大僧正:ブレグバーゼ ドゥグマンタ(ラジャ):マラーホフ マグダヴィア:マミン 黄金の偶像:トルマチョフ 奴隷:シャドルーヒン インドの踊り:ポリョフコ、マスロボエフ 太鼓の踊り:クズネツォフ 壷の踊り:シシコワ ガムザッティの侍女:オシポワ 幻影の場ヴァリ:ステパノワ、コシェレワ、ミリツェワ ジャンペー:ヴィジェニナ、カミロワ 二人の男性:ノヴォショーロフ、オマール ■2006/01/29(日) 本日のニキヤ&ガムザッティの組み合わせは日本(の全幕)ではお初です。楽しみにして行ったら、期待以上の収穫でした。 シェスタコワは髪を黒くして登場。昨日のペレンに比べると「巫女」らしさがあります。ちょっと神々しい。ペレンの長い手足は大好きなのですが、こう比べてみると、小柄なシェスタコワの方が、ルジとのバランスは良いのかも。少し儚げなところが良いですね。婚約式での嘆きは、全身を振り絞って泣いているようでした。痛々しくて、見ている方が辛かった・・・。幻影の場面はあまりにも白い。精霊そのものです。布の踊りなど、彼女にしてみれば不安定なところもありましたが、その緊張感もニキヤらしいし、ルジがさりげなくカバーしているのが微笑ましいというか。息がピッタリのペアでした。 エフセーエワ。あの可愛い子がどんな役作りをするのかしら?と思いましたならば。「世間知らずの、甘やかされて育ったお嬢様」路線で来ましたよ。ガムザッティのイメージにはないパターンでしたが、これで大正解!ヘンにシェスタコワを踏襲するよりは、自分らしさを出した方がイイよね。エフセーエワのガムザッティは、ひたすらソロルを愛する「女の子」。ニキヤにプライドを傷つけられ、「死ねばいいのに!」と願うけど、幼い彼女には「死」の意味など、わかっていなかったのです。蛇に噛まれて死につつあるニキヤを見て、なにが起こっているかわからない。「こんなことになるなんて!」お父様にお願いした彼女自身が一番パニック。そして、愛するソロルがうろたえている。自分を見ることなく、ニキヤしか見ていない。それがなによりのショック。ニキヤが踊っているときは、自分の手を取ってくれていたのに!ソロルが自分との結婚を承知したこと=自分を愛していることを疑っていない彼女は、ニキヤが踊っていても動じないし、ソロルがニキヤを気にしているなんて思ってはいなかったのです(倒れるニキヤに駆け寄ろうとするソロルに、シェスタコワのガムザッティは睨みつつ笑顔で止めるけど、エフセーエワのガムザッティは動けないんだよね~)。だから結婚式で、ニキヤを殺したことを責められても、「あなたを愛していただけなの。私の気持ちをわかって!」ただそれだけの気持ちでソロルに縋り付いていて。 可哀想すぎる・・・ 泣けました~。こういう感想を持っちゃうのは間違いなのかもしれないけれど。それでも、仏罰は彼女の上にも。因果応報なんだよね~~。技術的にも良かったと思います。イタリアン・フェッテも決まっていました。 ルジは、やっぱり2幕のヴァリは無し。でも、それ以外は万全。風邪気味だったのでヴァリ省略だったらしいのですが、演技面でカバーしていたので、私としては大満足です。2パターンのニキヤ&ガムザッティに対し演技を変えていたんだもんね~。シェスタコワとのスピリチュアルな舞台には大感動です。う~ん、これで体調万全だったら・・・。若返りの秘薬でも飲んでいるのかしら。体調が悪い本人と彼の踊りを楽しみにしていた人には申し訳ないのですが、飛べない故に出す彼のオーラはわりと好きだったりします。 今日は3階で見たのですが、昨日より照明がキレイでした。「ラ・シル」の2階席の時も「明るすぎるな」と思ったので、2階後方席は鬼門なのかな。寺院崩壊の映像もクリアでした。昨日はこの辺も不備があったようですが。 黄金仏は今日のクズネツォフが良かった。手の動きとか、トルマチョフより神々しい。けど、もうちょっと衣装がどうにかならないかなあ。気を抜くと露出狂のオッサンに見えてしまうのよ。 ジャンペーで、コチュビラの腕の布が足先に絡まって、ちょっとドキドキしちゃいました。クリギンは今日はヒゲ付き。シンバルの人が、白鳥辺りでは金髪&髭のおじさんだったのに、今日は黒髪のちょっとふっくらした人に代わってました。時期的に交代なのか、演目でなのか。あと、すごくどーでもいいことなんですが、阿片にスネークマンショーが付くのはなんでなのかしら?睡眠導入剤みたいなもん? 【配役】 ニキヤ:シェスタコワ ソロル:ルジマトフ ガムザッティ:エフセーエワ 大僧正:ブレグバーゼ ドゥグマンタ(ラジャ):マラーホフ マグダヴィア:マミン 黄金の偶像:クズネツォフ 奴隷:フィリモーノフ インドの踊り:ガルネツ、ポドショーノフ 太鼓の踊り:トルマチョフ 壷の踊り:リィコワ ガムザッティの侍女:オシポワ 幻影の場ヴァリ:ステパノワ、コシェレワ、ミリツェワ ジャンペー:ポリョフコ、コチュビラ 二人の男性:ノヴォショーロフ、オマール |
■2006/02/01(火)「ドン・キホーテ」レニングラード国立バレエ団 |
主演ペアの感想。 ふたりとも、一生懸命に真面目に踊ってくれているのは とっても良くわかるんだけど、 やっぱ即席ペアのため、ちょっと噛み合っていないかなあ。 3幕のGPDは技の見せ合いなので盛り上がったけど 1幕はお互いのカラーの違いが有りすぎて、ちょっと違和感。 せめてあと1回組んで踊れれば かなり良くなる予感はあるんだけどね。 一回だけなのが勿体ない。 クチュルクの相手は、やっぱりミハリョフがいいなあ。 ファジェーエフ相手だと粗さが目立つような。 ミハリョフが粗いというわけではないんだけどね。 クチュルクは例のゴム・バッチンの靴で、 バランス系はいいんだけど、なんとなく動きが重い。 来日したてなのか、あるいは、 ボルドーでゆったりめの音楽で踊っているのか。 (パリ・オペはゆったりな音楽だよねえ) 昨年の「ドン・キ」のイメージが強いもんで、 それに比べると、精彩に欠けるように思いました。 今年だけ見れば良いデキなのかあ。わからん。 「夢の場面」も華やかさではエフセーエワに負けていた。 32回転は全部シングル。 扇の使い方も良いんだけどねえ。 なんか、物足りない。 ファジェーエフも、普通に見れば素晴らしいんだろうけど、 「キーロフの」という肩書きからすると 「もう少し頑張りましょう」だな。 1幕のヴァリのラスト、ポーズが止めきれずに動いちゃったり 小ミス多し。 それが、「『ドン・キ』はコレくらい元気がある方がいいのよ!」 と言えるような勢いはそれほどないので、 もうちょっと・・・、と思っちゃうの。 バジルにしては端正すぎるようにも思う。 王子様を見てみたいなあ。 サポートは、彼自身がダメなのか、 クチュルクと息が合っていないかは、わからんです。 ペアとして、悪くはない。良い方だと思う。 けど。 「素晴らしく良い」を期待したらハズレ、ってカンジです。 エスパーダのシヴァコフは 来てますよ! 気障っぷりが板に付いている。楽しい。とっても楽しい。 そりゃ、技術もいいんですけどね。 ちゃんと、彼オリジナルの「エスパーダ」が 舞台に存在しているのが嬉しいですなあ。 かっちょっええっっっっ!! 2・3幕の黒い衣装、 遠目だとインナーが黒レザーに見えたんだけど 似合いまくりでウハウハでした。 キホーテは(アレクセイ)マラーホフ。 本日一番の期待はずれでした。 ガマーシュなど、素晴らしい演技を披露してくれる方なのですが キホーテは、普通に老騎士でした。 優雅で、そこそこ正常な神経と常識を持ち 肉体も頑強そうです。 普通に竜を 倒せそうです ナントカと紙一重とか哲学的とか、そんな雰囲気とは無縁。 ガマーシュはポドショーノフ。彼のガマーシュはお初なんですが とっても細かい演技バリバリで楽しかった! どこにいても、なんかやっている。 それを受け止めるロレンツォのブレグバーゼも最高です!! 彼はこれが一番良い。好きっす。 サンチョのトルマチョフも、イイよねえ。 お姉さん達、なんでそんなに苛めるのよ~~。 可哀想だよ~~~。 大道の踊り子のヴィジェニナの髪は、今日は黒。 演目に合わせて染めているんでしょうか。 彼女は黒髪の方が似合うなあ。 大きい体をのびのびと使った踊りは いつ見ても惚れ惚れ。 森の女王はエフセーエワ。 綺麗になったなあ。 白い衣装を着て輝いていました。 次は白鳥を観たいなあ。 キューピッドのシシコワは相変わらず可愛い。 忙しなくなりがちな踊りを 充分に余裕を持って踊ってますよね。 夢の場面のコールドには ミリツェワ、コチュビラ、コシェレワ、ヴィジェニナなどが参加。 豪華すぎます。 酒場の場面。 踊りはないんだけど、ウェイター(?)のお兄さんの演技が ものすごく良かった。 誰なんでしょう? 金髪を振り乱して、芝居しまくってました。 クリギン(父)は、いつもの闘牛士(黄)です。 髪を後ろにひっつめて、モミアゲ描き足し。 クリギン親子にヴェンシコフにチェスノコフと 金髪濃い系勢揃いでしたね。 眼福。 会場で、えらくイイ男がいるな、と思ったら シャドルーヒンでした。 間近で見ると、髪の毛は普通だったわ(笑) ってことは、隣の美女はシェスタコワよね。 金髪に戻っていました。 開演はかなり遅れて(招待券?引き替えが 開演5分前でも長蛇の列だったし) 2幕カーテンコール時に地震があったせいか 終演は21時半頃でした。 ええと。あと。気のせいかもしれないんだけど。 「夢の場面」の幕が上がる前に、 女性の笑い声・喋り声が響いていたように思いました。 音源は幕の内側のような。 スモークの焚かれ方が悪かったのかしら? もひとつ。本日の敢闘賞。 オケの小太鼓さん。 パーカッションとしていくつもの楽器を 兼任しているみたいだけど 闘牛士が出てくる前の「街の皆さんの踊り」のところでは、 右手にカスタネットを打ち、 左手で撥を持って小太鼓を叩いていました。 両手カスタネットの時もノリノリで 見ていて楽しかったです。 3階席下手に座ると、わりと目に入る位置なんですよ。パーカス・エリア。 【配役】 キトリ:クチュルク バジル:ファジェーエフ ドン・キホーテ:マラーホフ サンチョ・パンサ:トルマチョフ ロレンツォ:ブレグバーゼ ガマーシュ:ポドショーノフ エスパーダ:シヴァコフ 大道の踊り子:ヴィジェニナ メルセデス:ポリョフコ 森の女王:エフセーエワ キューピッド:シシコワ ファンダンゴ:クズネツォワ、チェスノコフ ジプシー:モストヴァヤ、リャブコフ キトリの友達:ロバノワ、ガルネツ ヴァリエーション:コチュビラ、コシェレワ 3人の踊り:スホワ、カミロワ、フィルソワ 4人の踊り:コチュビラ、エゴロワ、マカロワ、カシチェーワ 指揮:アニハーノフ |
■2006/02/03(金)、05(日)「バレエの美神」 |
■2006/02/03(金) 全体的にピリッとしないプログラムでした。 どこで盛り上がれば良いのでしょうか。 第1部 「ドン・キホーテ 夢の場面」ペレン、シェスタコワ ドゥルネシアがペレンで、森の女王がシェスタコワ。 ペレンが楽しそうに踊っていた。 シェスタコワは柔らかい踊りでした。 二人揃ってアラベスク(?)のところ、 シェスタコワが長くキープしていたので 振り返ったペレンが、「あら、まだやってたの?」ってカンジで ちょっと笑ってしまいました。 二人の、異なるスタイルのプリマの共演は豪華で良いですね。 キホーテはマラーホフ、キューピッドはシシコワ、かな? コシェレワ、コチュビラ等もコールドにいました。 華やかな場面は、幕開けにぴったりですね。 「ロミオとジュリエット」レドフスカヤ、スミレフスキー 曲はプロコフィエフで、振付はワシリエフ。 バルコニーの場面だと思うけど、 テンポが少々早めで、せわしない踊りでした。 踊り手は非常に芸術性が高いのに、 それを生かし切れていないような。 ラブロフスキー版で見たかったなあ。 空気のように軽そうなレドフスカヤが印象的。 スミレフスキーもスタイルが良い。脚が長い。 「ダジラード」草刈民代、シヴァコフ ゆったりのピアノ曲で、男女がユニゾンのポーズを続けるっていう まあ、よくあるパターンの踊りです。 タミーは白のレオタード、シヴァコフは上半身裸で白いタイツ。 タミーはこういう衣装のこういう踊りの方が似合う。 けど、たいして面白味のない作品。 「海賊」でもやればいいのになあ。 「オーニス」ロモリ 「フランス・オーニス地方の伝統的音楽を使った」踊り。 のどか~~な音楽に、単調なステップ。 でも、前のペアの後だと、さすがにパリ・オペ・エトワール! と感心する。 なんでもない動きでも間が持てるんだな~~、 と思ったけど、やっぱ長いわ。 「レクイエム」ルジマトフ 前回は白い白い世界だったのですが、 今日は、照明のせいなのかな?暗い世界でした。 初演時は、「徳の高い聖者がさらに宗教的に「上」の世界に渡ろうとする」 と、思えたので、私なんぞは秘かに 「即身仏(製造過程)」と呼んでいたのですが、 今回は、普通に苦行僧でした。 ルジの体調によるものなのか、それともルジの場合 モノにする=悩める男の物語になる=苦悩する男=苦行僧 って図式になるのかね。よう、わからんが。 なんとなく、ゆったりなモダーーーンは第1部にまとめました、って印象。 第2部 「忘れないで・・・」ピエトラガラ、ドゥルオ お久しぶりのピエトラガラです プログラムを買っていないので詳しい内容は不明。 作品タイトルから推測するに、なんらかの事情で別れた二人が お互いを忘れ得ない、みたいな内容かしら。 これも、単調なステップで、長い。 後半寝ました。 でも、ピエトラガラ振付って、こんなの多いから 別に不満はない。 生脚が拝めただけでありがたや、なのです。 ピエトラガラの振付って、どこか羽山紀代美チック。 「幻想舞踏会」レドフスカヤ、スミレフスキー 特に大技はないけれど、美しく、かつ演劇的。 大人っぽい文学作品、とでも言うのかなあ。 レドフスカヤがとにかく綺麗。 「スパルタクス」チェルノブロキナ、ザバブーリン チェルノのバランスは、それはそれは素晴らしいけれど 「ダイナミック」とは無縁の二人だから。 ザバブーリンは、剣闘士には全然見えない。 新しい分野に挑戦するのは素晴らしいことだけど、 ワンパターンでも「白鳥」や「ジゼル」を見たいペアよね。 オケの金管がヤバヤバだったけど、 それでも生オケ演奏は嬉しかった。 第3部 「眠りの森の美女 ローズ・アダージオ」クチュルク 王子達はシヴァコフなどカツラ付き3人に、地毛のクリギン(父)。 長老は好き勝手なことができるのか。専科だな。 クチュルクは「ドン・キ」の時よりは調子が良さげかな? シューズはいつものゴム・バッチン。 バランスのキープ力は、さすがです。 けど、 クリギンを見ちゃうんだよな~~。ごめんよ~~。 「眠りの森の美女 グラン・パ・ド・ドゥ」ペレン、ファジェーエフ ああ、やっぱワガノワ・ペアは、イイですのう。 作り出すラインが美しい。 ペレンは、口紅が赤すぎるのを除けば、美しいお姫様だし、 ファジェーエフは絵に描いたような王子様だった。 ちょっと、若い時のマラーホフを思い出した。 「アヴェ・マイヤ」プリセツカヤ 御光臨。 グノーの「アヴェ・マリア」に乗せて 扇子をヒラヒラさせて動いているだけなんだけど、 なんともいえない存在感なんだな。 扇子が鳥の羽に見えてくる。 短い演目だな~~、と思ったら 拍手にお答えして、もう一回踊ってくれました。 ありがたや。拝む。 「シルヴィア」ムッサン、ロモリ ノイマイヤー版。 う~ん、わからん。 「ドン・キホーテ グラン・パ・ド・ドゥ」シェスタコワ、ルジマトフ ルジは「バヤデルカ」の時より調子が悪そう。 決めポーズは決まるけど、踊りにキレが無く、重め。 それでも、「この程度は踊れる」。 その「この程度」が、ものすごく高レベルなんだな~~。 体調が悪いなりに、例えば「お魚」前のリフトを省くとか 構成を替えてきても、それなりに見せちゃうんだよなあ。 プロの技だ。 と、ファンなので感心する。 ファンでない人のことなんか、考えないわよ~~。 シェスタコワは絶好調!! 「夢の場面」とは、ちゃんと演じ分けていて 気っぷのいい姐さんでした。 32回転の前半はダブル+シングル+シングル。 チュチュは白。 ヴァリエーションはミリツェワ、コシェレワ。 この二人、特にコシェレワは働かせすぎでは? ほんとうに、どこでテンションを上げていいのか わかりません。 似たような踊りが多くて、プログラム・ミスだよね。 これなら「32回転3連発」の方が楽しいのにねえ。 最終日は盛り上がるかしら? ■2006/02/05(日) プログラム・キャストは初日と同じでした。 感想も概ね同じなので、違う部分だけ書きます。 「オーニス」ロモリ もともとはトリオで踊るんだよね。 おっさんが3人でクルクル回ったら きっと楽しいだろうなあ~~~。 ロモリが踊ったから楽しく見られたんだと 本日確認。 「レクイエム」ルジマトフ 今日は黒タイツだったよ。 「『俗』から離れた存在」というのが こんなにいろんなパターンがあるとはなあ。 「至高」ではなく「孤高」? なんて言えばいいんだろう。 「入寂」? うまい言葉がみつからない。 同じ振付でも、見る度に表現していることが違うように思うし でも、根本は同じように見えるし。 確実なのは、この作品が、 彼の「肉体」に合っているということだ。 笠井さん、ありがとう! 「スパルタクス」チェルノブロキナ、ザバブーリン リフトでヒヤっとしましたが、持ち直しました。 さすが夫婦。 もう少し長く踊ってくれれば嬉しいのになあ。 オケでヤバかったのは、金管じゃなくて木管かも。 「眠りの森の美女 ローズ・アダージオ」クチュルク クリギン、ヒゲなし。 「眠りの森の美女 グラン・パ・ド・ドゥ」ペレン、ファジェーエフ この二人で全幕を見たいなあ。 今日も美しく可愛い。 「アヴェ・マイヤ」プリセツカヤ 本日も2回。 2回でワンセットなのか? 「グランド・ホテル」のグールシンスカヤは 8回目の引退興行と言っていたけど・・・ 「イサドラ」を踊っていた公演が引退興行みたいなもん、とか 言われていたんだよなあ、むかし。 でも、まだ舞台で踊っているんだわよ。 すごいわよ。 それを思うと89歳で舞台に立っちゃう上に、 セリ上がりまでしちゃう春日野よっちゃんってスゴイわよね! (しかも30分のショーで衣装替え有りの2回セリ上がりを一ヶ月だよ!) 「ドン・キホーテ グラン・パ・ド・ドゥ」シェスタコワ、ルジマトフ ルジは初日より調子が良さそうです。 構成自体は初日と同じで各種省略はありますが その代わり・・・ なんか、垂れ流していますよ、あの人。 うひーーーーっっと、思わず叫んじゃう、なにかを。 なんでしょーね。 言葉では言えないけど、 これを見るために金を払うんだよなあ。 決めポーズの時の「手のひら返し」とかさあ、 なんであんなに絵になるのかしら。まったく。 |
■2006/02/18(土)、19 (日)、21(火)眠れる森の美女(マラーホフ版)」東京バレエ団 |
■2006/02/18(土)![]() 古典改訂とはいえ、一応「初演」なのに、なんでこんなに緊張感がないのでしょうか。いや、ダンサー自体は皆さん素晴らしいパフォーマンスだったんですよ。なのに 眠い なぜだか、眠い。テンションが上がりきらない。やっぱ、演出のせいなのかな~~。 昨年秋にベルリンで初演されたマラーホフ版を東京バレエ団が日本で初めての上演。従来の古典と違うところは ・オーロラが眠りに付くキッカケは糸車ではなく薔薇のトゲ ・オーロラ誕生場面で妖精の群舞無し ・狩猟の場面無し ・パノラマの群舞無し ・幻影の場面はかろうじてあり ・結婚式に招かれるのは、フロリナ&青い鳥、、牡猫と子猫、 シンデレラとフォーチュン王子、赤ずきん(狼無し) って、あたり?短縮版と言われた東バ版より、さらに短く、オーロラ誕生から眠るまでが1幕60分、25分の休憩を挟み、王子が城に迷い込む(?)から結婚式までが70分。従来の古典版に比べると、結婚式までをかなり端折ったので、結婚式が異様にに長く感じられました。 全体を見て感じたのは、「いかにも群舞経験無しのプリンシパルが作った舞台」。あ~、彼にとっては群舞とかその辺はあんまり興味がないのね~~、と。いや、向こうの群舞の実力に合わせたのか?とかも思ったり。少ないセット、変わった色遣いの衣装・舞台美術、最小限の群舞、見せ場のあるソリスト、と、ある意味、海外公演仕様ですね。それにしても盛り上げ方がよろしくない。あくまでも、観客が「眠り」を見たことがあるのを前提に、見せたい場面だけ見せ、踊りたいところだけ踊った、みたいな、そんな印象です。やっぱ植田巨匠に弟子入りした方が良いな。 話題になった衣装・舞台美術は、3階正面から見ると、そんなに「ヘンテコリン」ではなかったです。細かい柄は生地に溶け込んで、そんなに目立たないしさ。ただ、幕開け。薔薇の花たくさんとか、紫とピンクが氾濫する衣装とか、いかにも マラーホフが好きそう・・・ ってな絵面だったので、心の中で (´,_ゝ`)プッ (これで緊張感が途切れたのかも・・・)。 なんちゅーーーか、マラーホフの頭の中を覗いた気分でした。友人とは別の席(ってか席種)だったんで、声は出せませんでしたが、並んで座っていたら絶対声に出して笑っていたよ!フリルやヒラヒラ多様で、もーねーーー、フフフ、ってカンジよ。求婚者4人の衣装が地味だったので、見ている瞬間はウ~~ン、と思いましたが、フリルが使えない貧乏な国の王子だからこそ金持ち国の姫の婿になりたいんだと脳内補完しましたわい。 美佳さんは、完璧と言ってもいいんじゃないかな。技術的には安定し、1幕では可愛く、2幕では美しく。1幕登場直前に舞台中央を覗き込む姿は実に少女らしかったです。小顔でマラーホフとも合っているし。でも、やっぱり、ピンクを着て欲しいよなあ。それはダンサーの責任じゃないんだけどね。 マラーホフは、(最近にしては)踊りのキレも良く、ガンガン跳んでブンブン回っていました。ここまで「ダンサー」だったのは久しぶりじゃないかなあ。最近はずっと「営業部長」だったから。演技はねえ、、、もう「地」が王子様だからさあ・・・・・・。 リラは上野さん。スーツっぽい上半身に大きいスカートの衣装がよく似合っています。化粧もナチュラルで良いのでは。ただ、演技面は・・・。暖かみとか包容力とかは皆無。もう演技することは止めたのかな?振付られたステップを真摯に踊っています、って風情。いかなる時も。 カラボスは芝岡さん特出。良かったよ~~。衣装もよく似合っていたし、やりすぎ寸前ぐらいの演技は、リラをも良く見せていました。これは男性の役ですね。最後までネチネチとオーロラを呪うのイイですね。 井脇さんシンデレラと木村さんフォーチュン王子は、二人とも好きなので、踊ってくれること自体はすごく嬉しいのですが、構成的にはいらないよねえ。衣装もそんな派手でもないし、音楽も地味め。素直に赤ずきん&狼でよかったんじゃないかな。でも、こういったタイプのソリストを踊らせる部分を作りたかったんだね、きっと、と、これまた脳内補完。 フロリナ&青い鳥、牡猫&子猫、は、いつもの衣装の方がいいよ~~、の気持ちが先に立つので集中できず。ダンサー自体は良いのですが。 他の妖精ちゃん達は、衣装は違えどメンバーは前版と似たようなもんなので割愛。4人の王子は高岸、木村、後藤、平野、と、なっていたけど、後藤さんじゃなかったような気がする(2/20訂正 長瀬さんでした)。 特筆すべきは、「妖精のお付きの騎士」。妖精のサポート役ですが、この衣装がカッコイイんだわ!求婚者達よりずっと素敵に見えるのだ。特に大嶋さんが似合っていました~。うっとり~~。もしかして王子よりこっちの方が踊っていたかな。 とりあえず初日はこんなところ。正直言うと、演出面では旧東バ版の方が良いです。「群舞」という、ある意味無駄な部分があってこそ、グランド・バレエなんですわ。背景の幕だけでも変えてくれれば、マラーホフ版より上演する価値はあると思います。それが正直な感想です。 ■2006/02/19(日) ![]() さすがに「眠り」を2回続けて、というのは厳しいらしく、主役二人とも、昨日に比べるとちょっと不安定かも。マラーホフの踊りはちょっと重め。美佳さんのローズ・アダージオ。ラストは4人の王子に支えられて一回転づつするよね。私の記憶違いかな。ここが、支え無しでバランスを保つ時間を長くして、その代わり3人と回るだけになっていたように思うのは気のせいかしら?まあ、こういう見せ方もあるということで。私の記憶違いならすいませんです。 他は踊り慣れてきたのか、だんだん良くなっている気がします。女性ソリストがイキイキと踊っていますよね。宝石とかオーロラの友人が、いつもよりずっと良く見えるのは、もしかして衣装のせいもあるのかしら。チュチュって、やっぱり重たくて踊りづらいのかなあ。妖精の上半身がスーツ仕様ってのは、結構体型がカバーされるのかも。西洋人と日本人のバレリーナって、首の長さとか、顎のあたりから肩にかけてのラインが違いすぎて、従来の肩を出すチュチュだとそれが目立っちゃうけど、こういったスーツ系だと、案外目立たないわね。基本が紫で見分けにくいけど、もともと役柄としてハッキリ区別する必要があるかと言えば、ま、しなくてもいいんだしな。 求婚者の王子&シンデレラの王子に予定されていた後藤さんは今日も降板。怪我でないことを祈る。求婚者の王子は長瀬さん、シンデレラの王子は木村さん、と、昨日と同じ。求婚者の衣装が地味、というネタについて。マラーホフが 自分以外の 王子はイラネ と、思っているからでは?とは、マラーホフファンの友人談。シンデレラの王子は仕方なく、ってカンジかしら。(なんちゃって) 今日は5階L2列から観ましたが、ライトが綺麗に入っていました。「バヤ」の時は、「手元の2つのスイッチで操作」ぐらいの単純な照明でしたが、こちらは数少ない舞台装置を華やかに見せていましたね。色合いも綺麗。でも、どの舞台備え付けの照明程度で表現できそうで。まさに「全ツ向き」だね。セットもわりと好きかも。「バヤ」の時は一点豪華主義だったためスカスカ感の方が先に立っちゃったけど、こっちは華やかな色合いで、少ないセットの割りにはどこもかしこも埋まっているので、観ていて楽しい。セットの輸送のノウハウも東バと共同開発なのかしら、とか、余計なことを考えてみたり。 それにしても。この版で、マラーホフ以外の王子というのはありえるのだろうか。自分が踊りたい部分を踊りたい振付で踊っているマラーホフ。彼以外の王子って想像しにくいなあ。東バだと・・・・・・・・、あ、現在は王子不在だわね。強いて言えば後藤さん?このまま、マラーホフ版を上演し続けるのなら、マチュー君などが踊っちゃったりするのかしら?観たいような、なんというか。(「パリ・オペのプライドにかけて絶対に踊らないよ!!!と友人談) フロリナは、小出さんの方が踊り慣れているかな。でも、高村さんも可愛いよ。青い鳥の中島君は飛べているけど、古川君の方が「鳥」っぽいかな。メイクは誰がやってもデーモン木暮閣下なのね。猫は、、、どこが良い悪いとか、わかりづらいなあ。水香ちゃんは、マラーホフと踊ると「姫キャラ」が入っちゃうね。もっと「王子を導く」カンジが出るといいなあ。 ■2006/02/21(火) 3回目です。 演出を見るため初日3階正面&衣装を見るため楽日1階正面 と、思っていたのに、中日(なかび)の役替わりを見たくなったので そこも行って、結局3回とも通っちゃいましたわ。 3回目ともなると慣れてきましたので、楽しいです。 鮮やかな色氾濫とか、短時間の縮小版とか、 本当に「子供向き絵本」ですよね。 でも、たまに見るのならいーかなーーーー、と。 まあ、見たいところ(場面)は見られるんだしね。 ただし、王子はマラーホフ限定ね。 違った場所で3回見ましたが、一番綺麗に見えたのは5階席でした。 緑の床が一番美しく映えていました。 衣装の色具合も良いカンジです。 1階席で模様が見えまくりより、5階席で「全体の色」として 捉えられる方が目に優しいかも。 マラーホフは、2日目より良く初日より悪い、ってとこでしょうか。 足音はしないし、2幕冒頭は端正。 ただ、パ・ド・ドウの片手リフト(お魚リフト)の1回目が とっても危なかった。 美佳ちゃんを落とすかと思っちゃいました。 だいたいこのリフトは、他の人だと、男性が女性の腰をガッと掴んで フンッと持って、というカンジですが、 マラーホフだと、「僕の片手(左手)の中で、そっちが適当に反って ポーズをつくってね」ってカンジですよね。 う~~~~~んんんんんん、よいっっっしょ・・・・・、っと。 みたいなカンジなので、いつ見ても不安定でしたが 今日の1回目は最高に不安定でした。 それ以外は、まあ、良かったのでは。 2幕冒頭の物憂げなソロは彼しかできないし、 彼も「コレ」を踊りたかったんだろうなあ。 改訂したのが「白鳥」でも「くるみ」でも、それこそ「海賊」でも 同じ振りで踊っただろうなあ。 衣装はどれも似合っていましたよね。 彼のためのデザインといってもね。 パ・ド・ドウの上着も、青+緑+灰色の微妙な色合いだけど 金髪に合っています。 美佳ちゃんも2日目よりは復調。 ローズアダージオの最後のバランス取りは やっぱり3人でした。 勿体ない気もするけれど、まあ、こういうのもアリよね。 お誕生日の時は、本当に可愛らしい。 少女そのもの。 衣装の花は、薔薇ではなくガーベラ系なのね。 薔薇はヴァロージャ専用なのか。(なんちゃって) 愛らしい衣装だけど、ちょっと「フルーチェ」を思い出した。 結婚式では「美しい女性」に大変身。 衣装は白かピンクがいいんだけど、 この色もいいかなあ、と思い始めました。 美佳ちゃんは、姫オーラがあるなあ。 どんな仕草でも輝いているんだよね。 腕も綺麗だけど、足の捌き方も優雅だわ。 芝岡さんの演技は見応えあり。 最終日までテンションが高かったです。 善vs悪の対比がクリアでしたよね。 水香ちゃんは、好みでないのでパス。 妖精さんはみんな好き。 特に、キャンディード大島さんの柔らかさ・おおらかさと カナリア高村さんの可愛らしさが印象に残りました。 お付きの衣装は近くで見てもカッコイイ。 やっぱり大嶋さんが一番よく似合っているような。 4人の王子は替わらぬメンバー。 高岸さんが2回目の薔薇を、捧げる前に落としてしまった。 珍しい。 シンデレラは、ダンサーは好きなんだけどねえ。 振付もだんだん好きになってはきたけど、 やっぱり、これが入って間延びしている気はする。 青い鳥は古川さん。跳びます、跳びます。 フロリナの頭部は・・・「志村ーーー、頭、あたまーーー」と 言いたくなっちゃうんだよなあ。すいません。 小出さんの音の取り方は好きだわ。 3回目なので、王様や式典長のズボンの皺が深くなっていました。 式典長の野辺さんは、端の方でもなにかしら演技している。 つい見てしまう。 衣装に合わせ、ちょっとオカマキャラが入っているのが似合っている。 王と王妃は若くて貫禄に欠けるけど、 お伽噺だから、これくらいでいいのかもな~~。 若くてラブラブな夫婦でした。 と、いったところでしょうか。 今日は一階前方席だったので、ソトニコフさんも堪能できました。 指揮台に向かってから眼鏡をかけたり 時々歌っちゃったり。 カワイイよね~~ 音は走るし荒いけどさ。 【配役】 オーロラ姫:吉岡美佳 デジレ王子:ウラジーミル・マラーホフ リラの精:上野水香 カラボス:芝岡紀斗 フロレスタン国王:重石太志 王妃:坂井直子 カタラビュット/式典長:野辺誠治 妖精キャンディード(純真の精):大島由賀子 妖精クーラント<小麦粉>(活力の精):乾友子 パンくずの精(寛大の精):高木綾 カナリアの精(雄弁の精):高村順子 妖精ビオラント(熱情の精):田中結子 妖精のお付きの騎士:大嶋正樹、古川和則、中島周、 長瀬直義、宮本祐宣、横内国弘 オーロラ姫の友人:西村真由美、奈良春夏、前川美智子、吉川留衣 加藤文、森志織、福田ゆかり、村上美香 4人の王子:高岸直樹、木村和夫、平野玲、長瀬直義 ルビー:長谷川智佳子(18,21日)/小出領子(19日) エメラルド:門西雅美 サファイア:佐伯知香 ダイヤモンド:西村真由美 シンデレラとフォーチュン王子:井脇幸江-木村和夫 フロリナ姫と青い鳥:小出領子-古川和則(18,21日)/高村順子-中島周(19日) 牡猫と子猫:前川美智子-平野玲(18,21日)/吉川留衣-大嶋正樹(19日) 赤ずきん:加藤文(18,21日)/河合眞里(19日) 指揮:アレクサンドル・ソトニコフ 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 |
■2006/02/26(日)「マラーホフの贈り物 Aプロ」 |
「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」ケント、マラーホフ 二人とも芸達者なので面白い。 息も合っている。 ただ、最初の演目としてはどうなのかなあ? 前回見た人はともかく、初めて見る人は 笑っていいのかどうか、わからないかもよ。 ケントの鞄を床に叩き付けるマラーホフが可愛かったよ。 ケントの眼鏡も似合っている。 「菩提樹の夢 アダージョ」セミオノワ、シュピレフスキー ポリーナちゃんは長袖の黒のレオタード、 シュピレフスキーはノースリーブの黒の総タイツ。 男女の出会い、別れ、とか、そんな主題なのかな? 振付自体に目新しさはないけれど、 ピアノ主体の曲に、ポリーナちゃんの動きがよく合っていました。 身体からピアノの音が流れ出してくるような、そんな動き。 実に音楽的な動きでした。 腕も脚も、明確な動き。 見る度に成長しているなあ。 シュピレフスキーは支え役? 「椿姫(カニパローリ版)」ラカッラ、ピエール ノイマイヤー版が予定されていましたが、 直前になってカニパローリ振付版に変更。 こっちは普通に「椿姫」なのかな? 別れの悲しさではなく、 久々の再会の喜びの踊り。 一見、幸せに見えるけど、 咳き込むマルグリットに悲恋の予兆を感じました。 ラカッラの手足が美しかったです。 ピエールも黒タキが似合っていました。 「ファラオの娘」アレクサンドロワ、フィーリン 衣装は綺麗なんだけどねえ。 ダンサーはいいんだけどねえ。 音楽も振付も古臭いぞ。 GWに見るのになぁ。ちょっと憂鬱に。 それでも、衣装でなんとか乗り切れるのかな? 「ドナウの娘」が激鬱になりました。 なんでラコットなんだよーーーー、と 踊り手に関係ないことを思ってしまいました。すいません。 「白鳥の湖 第2幕」ケント、マラーホフ、高岸直樹 他 アメリカにおいてバレエというのは、 ショー・ビズの一分野ではないかと思うときがあります。 対して、ロシア(旧ソ連)やフランスなどでは 「芸術」に分類される、と。 だから、二国を代表するダンサーの踊りの方向が違っていても それは当然のことなのかもしれません。 全幕だとその違いに腹立たしさを感じることがありますが、 今回のようにガラで抜粋なら、違いを楽しむことができて良いかもね。 スカートは白、ボディはベージュの、光り物を散りばめた衣装で、 いかにも「アメリカ!」なケントの踊りは マラーホフに比べると、なんというか、「詰めが甘い」。 神経の行き届き方が全然違う。 マイムも甘いよな~~~。 対してマラーホフは、アメリカンに相対すると、 重く感じてしまうのだけれど、 それはそれでいいのかもなあ。 しかし、マラーホフの王子の本領は 1幕にあると思うんだけどなあ。 ま、ゲストを出せないから仕方がないか。 高岸さんは張り切って踊ってました。 群舞のフォーメーションは久しぶりに見ると やっぱりヘンだよ。 「白鳥の湖 黒鳥のパ・ド・ドゥ」セミオノワ、シュピレフスキー 2幕のあと、休憩を挟んで黒鳥に行くのは なかなか良いプログラムかも。 古典で見ると、なおさらポリーナちゃんはイイですなあ。 ああ、なんでベルリンにいるんだろう。 勿体ない ボリショイで育ててくれよ、と、毎度のことを思ってしまう。 ただ、これくらいのレベルの子が欲しいんだろうなあ、マラーホフは。 仕方がないのかなあ。 バレ・フェス限定でいいから、 一度ウヴァーロフと踊ってくれないかしらねえ。 ヴァリエーションは短調。やっぱボリショイ系なのね。 32回転はダブル多し。 腕の使い方も、演技もよろしいですよ。 シュピレフスキーはねえ。 彼の身長を見ると、つい、 ザクリンスキーやゼレンスキーのレベルを 期待しちゃうのよね。 勝手な思いこみで申し訳ないんだけどね。 でも、キーロフに残ら(れ)なかったんだからな。 期待する方が悪いんだよな。すいませんね。 サポートを、もうちょっと頑張ろうね。 「ライト・レイン」ラカッラ、ピエール 「バクチ」の西洋版、と、前に観たときも思ったな。 ラカッラの身体を活かした踊りでした。 綺麗でした。 「ドン・キホーテ グラン・パ・ド・ドゥ」アレクサンドロワ、フィーリン アレクサンドロワの32回転はシングルだけど ものすごいエネルギーを放出していました。 なんか、発電機みたいでした。 シングルなんだけど、ものすごくパワフル。 他の部分も良かったです。 あと2年ぐらいして、「華」が出始めたら ステパネンコ、グラチョーワに続く、 ボリショイを代表するプリマとなるでしょう。 楽しみだわ。 フィーリンはソツなく踊っているんだけどね。 従来の彼にはないイメージのバジルが 意外と似合っていたんだけどね。 跳べているんだけどね。 私は、やっぱ、跳べなくても、40歳を超えていても ルジの方が好きだなあ。 「ヴォヤージュ」マラーホフ 初演の時はクソつまんないと思ったけど 年齢を重ねるごとに良くなってきた作品ですね。 彼の中に表現できることが多くなればなるほど 充実してくる作品のようです。 世界を旅しているマラーホフ。 そろそろ、ダンサー人生の終着点を模索し始めているのでしょうか。 「君の港は?」 「わからない。 でも誰かが、ずっと待っている気がする」 「どこなんだい?」 「いつか、辿り着くところ」 これを思い出した。 彼はずっと孤独なんだなあ。 フィナーレは、出演者の一発芸特集。 ニーナのガラのフィナーレではなく、 光藍社ガラでよく見るパターンね。 クライエフスキーのファンの方には 納得していただけたのかしら。 マラーホフ自体はイイんだけどね。 前髪おろして若く見えたんだけどね。 でも、 やっぱりさあ。 「『ガラのトリ』演目」が持ちネタにない人が ガラの中心になるのって難しいよねえ。 毎度、思うんだけどさ。 Bプロの「エチュード」は誰が入るのかな? |
■2006/03/01 (水)、02(木)「白鳥の湖」日本バレエ協会 |
■2006/03/01 島田衣子&齊藤拓 都民芸術フェスティバルの、東京文化会館でのバレエ公演を観るのは 今回を入れて6回です。 その中で、今回はもっとも「発表会」の雰囲気が強かったです。 主演のお二人、ロットバルト、王妃、家庭教師、と、 強いて言えばナポリのソリストまでは、 「金を払った客に対して踊る」という姿勢が感じられましたが あとのダンサーは、「発表会だから出て踊った」、 ぐらいの印象しか受けました。 振り付けられたから、振付を踊る、ただそれだけ。 もっとプロ意識を持てないかなあ。 前に観たときは、寄せ集めのメンバー故に、 群舞等は揃わないものの、 所属団体を代表してきている!って雰囲気があって、 ソリストの見せ場も、密かな対決になっていて それが面白かったし、全体のレベルも上げていたと思います。 今日は、所属団体のうるさいブラヴォーが無い代わりに、 出番に出て踊って終わる人が多かったので 盛り上がりに欠けました。 技術的には悪くない人も多いのですが、 いかんせん、他人の発表会なんで 感動なんかできませんよね。 誰のために踊るのか、もうちょっと考えて欲しいです。 スペインなんてねえ・・・・。 スペインじゃないじゃん。 ただ、動いているだけじゃん。 見せ場を見せ場として表現できないなんてねえ。 さらに言えば、いままでに無いほどレベルの低い人もいました。 大きい白鳥(のうちの一人)とか。 1幕の群舞にも、全然ワルツになっていない人もいましたよ。 主だったところは新国立に取られちゃったのかしら??? 5階席・2千円だから島田さんの白鳥で充分モトは取れたけど それ以上お金を払っていたら悔やんだだろうなあ。 と、長い前振りですが。 お目当ては島田さんでした。 白鳥はとってもとっても素晴らしかったです!! 純白でした。 たおやかで美しく、2幕では儚げで、 しかし4幕で真実の愛を得てからは強くなり。 腕にとても表現力がありました。 本当に羽のよう。 黒鳥は小悪魔系かしら。 コケティッシュで、可愛らしい。 男でなくても惹かれちゃうわよ。 32回転は前半はシングル・シングル・ダブル、後半はシングル。 でも、技術なんてどうでもいいのよぅ! オデットがいて、オディールがいて。 他が発表会的雰囲気だっただけに、 より、「役」として舞台に存在しているのが際だちました。 彼女がいたからこそ「物語」になったのです 王子の齊藤さん。 ちょっと熱血系かしら? マイムがとてもうまく、5階席にまで演技が伝わってきます。 ただ、どんなにシリアスな顔をしても、 「陽」の気が漏れてしまうので、 1幕のメランコリックな場面が少々似合わない。 (ちょっと樹里ちゃんを思い出したわ) 逆に、3幕で母が差し伸べる腕を拒否するとか、 4幕で、ロットバルトを圧倒し、 自分もオデットとの愛のために死ぬ、と誓うところは とっても迫力がありました。 できればハッピーエンド版で、ロットバルトを倒して欲しかったなあ。 バジルなどで観てみたいかも。 でも、踊りはわりとノーブル。 ジャンプの時も、つま先まで神経が行き届き、 とっても綺麗でまっすぐなラインを出していました。 腕なんかも、ダラ~と下げる瞬間はなく、 いつでも美しいラインでキープ。 なかなか良いですわ~~~。 ノー・チェックだったのですが、 イイものを見せていただきました。ラッキー! ロットバルトの梶原さんは、 2幕は戦隊物の悪役のよう。 悪魔、というより、カッコ良さの方が目立ちます。 う~んと、トニー・ハーケン系? ジャンプも高いので、観るぶんには楽しいのですが ロットバルトのイメージとは違うなあ・・・ と思っていたら、 3幕のヒゲオヤジは、なかなかイイ雰囲気でした。 尊大な笑顔で騙しに来たのよね。 ヒゲも悪役メイクも似合っていました。 4幕はドラマティック。 道化の長瀬さんは、もっともっと弾けてほしかったなあ。 技術的には素晴らしいです。 回転も長かったし。 3幕で女の子達を従えていたところは良かったのですが、、、 もう一押しだな。私の好み的には。 2幕の群舞に羽を広げる動作はなく、 顔の前で縦に上から下に顔を撫でるような動きだったので ちょっと違和感があったのですが そのために、4幕で一斉に羽を動かすところに 迫力が増したような気がします。 白鳥ちゃん達もオデットもヤル気を出したし 王子も「俺はヤルぜ!」系だったので、 ロットバルトに勝てると思ったんだけどなあ・・・。 舞台美術は概ね良かったのですが パ・ド・トロワの女性の衣装がとっても地味でした。 オデット&オディール:島田衣子 ジークフリート:齊藤拓 ロットバルト:梶原将仁 道化:長瀬伸也 王妃:尾本安代 ウォフガング:坂本憲志 式典長:江藤勝己 *キャストは日本バレエ協会のHPより転載 ■2006/03/02 岩田唯起子&法村圭緒 昨日があまりにも「発表会」チックだったので 本日は覚悟して行ったのですが、 ソリストが違ったせいか、わりと普通の公演でした。 昨日だけが発表会だったのかしら。 法村さんのジークフリードは素晴らしいの一言。 モスクワ・クラシック時代のマラーホフに次いで 私の中ではベスト2です。 踊りはノーブルです。 気品と風格が漂ってきます。 1幕で、後ろ向きに手を広げ立つところでは、 「舞台の真ん中に立つ人のオーラ」を感じました。 主演者として、舞台の立つ者すべてを統括するオーラ。 日本人のダンサーでそれを感じることは少ないのですが、 法村さんからものすごく伝わってきました。 ただ踊る、と、主演する、の違いを感じさせてくれます。 そして、明らかに「王子」なんだよなあ。 王子芸を極めている。 それでいて、若者らしい茶目っ気というか、 可愛らしさはあるし、 真実の愛を貫く実直さも感じられる。 ・・・う~ん、うまく書けないや。 「家庭教師とのやりとり」「道化とのやりとり」を含め とにかく、私にとってツボにはまる演技を展開してくれました。 何回書き直しても、全然うまく伝わらないので諦めます。 すいません・・・。 とにかく、良かった。 見に行って良かった。 岩田さんは、昨日の島田さんに比べると 上半身に柔らかみが無い。 腕もあまり白鳥っぽくない。 けど、それがすでに確立された芸風になっている? それも、また、良し。 白鳥より断然黒鳥の方が良い。 黒鳥の決めポーズはカッコイイ。 大柄な身体は、とってもとっても舞台映えがする。 それだけで大満足。 32回転は途中で止めたけど、うまく繋げていた。 今日の調子が悪いのか、いつもこうなのかは不明。 ロットバルトの佐藤さん。 悪役、というより、悪意、だよね。 悪意とか恐怖の具現化。 怖いけど、惹かれてしまう、そんな存在。 オデット達を白鳥に変える、 それは何故か?という問いに ・悪い人だから ・悪魔だから の、2パターンの答えがあると思う。 昨日の梶原さんは上の方。 今日の佐藤さんは下の方。 どっちが良い悪いではなく、 違うアプローチということで。 道化の恵谷さんも、とっても、とっても良かった。 これもガリムーリンに次いでベスト2だわ。 技術面もとっても素晴らしいんだけど、 それ以上に演技ですよ。 どんな瞬間も「道化」役なんですよ。 踊りで盛り上げる担当、ではなく、 いつでも、舞台にいる間は「道化」なの。 それも、アホボン系ではなく、 「宮廷道化」なんだよね。 自分の仕事と節度をちゃんとわきまえている。 踊りのアクセントでなく、 芝居の「役」をちゃんと担っていました。 なかなかいないのよ、そういう道化は。 そういう演出自体も少ないけどさ。 他のソリストの皆さんも、 概ね良かったんではないでしょうか。 踊れてなくて腹が立つ人はいなかったから。 スペインは、片方はカッコつけが入って ちょっとイイカンジになっていましたが もう片方は常に遅れていました。 これくらい踊れないと、ダンサーが悪いのではなく キャスティング側の責任のような気がします。 (日本バレエ協会のHPに スペイン役の男性の名前が一人しか載っていないのは何故?) とにかく、法村さんの王子が良かったです。 あーーーー、なんで、この気持ちが書けないのかなあ。。。 もどかしいわ。。。。。。 オデット&オディール:岩田唯起子 ジークフリート:法村圭緒 ロットバルト:佐藤崇有貴 道化:恵谷章 パ・ド・トロワ:金田洋子、奥田花純、江本拓 王妃:尾本安代 ウォフガング:坂本憲志 式典長:江藤勝己 大きな白鳥:津下香織、芳野友恵、佐藤友香、テーラー麻衣 小さな白鳥:宮竒万央里、川口尚実、壷山順世、田川裕梨 スペイン:小野田奈緒、金田あゆ子、桝竹真也 ナポリ:中村麻弥、下島功佐 チャルダッシュ:安藤明代、山田秀明 第4幕・白鳥<ソリスト>:芳野友恵、関口裕美 *キャストは日本バレエ協会のHPより転載 |
■2006/03/09(木)「マラーホフの贈り物 Bプロ」 |
大満足、とか、大感激、ではないけれど、 質の良い舞台を見せていただきました。 一部テープの音が悪かったのが残念。 「ラ・シルフィード」ケント、マラーホフ ケントのシルフィードはどうなるか少々不安でしたが 実際に見ると、実に可愛らしい。 単純明快に、「好き好き~~」な気持ちを 身体全体で表している女の子。 彼女の良さがうまく反映されていたと思います。 ちょっとした仕草ひとつひとつが魅力的でした。 難点を言えば、マラーホフより重力を感じてしまうことでしょうか(笑) 仕方がないことなんだけど。 マラーホフのスカートは黒(遠目には黒に見えたけど・・・。違う色??)。 軽やかに跳んでいました。重力を感じさせません。 複雑な足捌きも軽々と。 ジェームズも、この場面では単純明快な男なので ケントの演技と良く噛み合っていました。 虫?かな?シルフィードが捕らえたとき、 「離してあげなよ」のあたりが、 台詞が聞こえてきそうでした。 ケント&マラーホフって、パロディ以外はあまり好きじゃなかったけど これなら全幕で見たいかも。 テープの音がとっても悪かった。6イブキ。 「アゴン」ラカッラ、ピエール このペアのバランシンは予測がつかなかったけど 予想以上に素晴らしかったです! 音楽そのものの動き。 ラカッラは通常より「脚」を封印していましたが それ故に彼女が本来持っている表現力が前面に出たと思います。 「マノン(寝室)」セミオノワ、シュピレフスキー ポリーナちゃんのマノンは似合っている。 コケティッシュで、無意識に男を誘惑する女。 マクミランとは言い難い部分もあるけれど、 キャラクターが合っているから、いいよね。 彼女の表現力に比べると、シュピレフスキーはイマイチだな。 背は高いんだけどねえ。 役を掘り下げるのが苦手なのかしら??? 「ライモンダ」アレクサンドローワ、フィーリン アレクサンドローワのお姫様衣装がイイっす。 キラキラです。 手を叩くところは、あまり音が出ない系。 フィーリンの衣装は、なんだかヘン。 宝塚の男役じゃないんだから、ベージュの布は無いじゃろうて。 マントも欲しいけど、身長的に難しいのかな。 踊りはノーブル。 「エチュード」ケント、マラーホフ、高岸直樹 東京バレエ団 東バは、前に見たときより良かった。 やっぱ前回は、海外公演直後で、疲労&準備不足だったのかな。 場面間が独立することなく、繋がっていました。 求心力があったので、なんちゅうか、 こっちの体力を吸い取られたカンジでした。 見ていて疲れちゃった。 マラーホフのガラなのに、東バ中心で45分か、と思ったけど こういう体制じゃなきゃマラーホフの「エチュード」は見られないから ありがたいことなのかもな。 まさに作品の「芯」でした。 技術とか、そんなレベルのことではなく。 ケントは技術面で少々不安があったけど、 「愛と喝采の日々」を見る限りはABTのレパートリーなんだよね。 踊り慣れているみたい。 こちらも、彼女特有の「陽性のキラキラ感」がうまく生かされていました。 この人って、なんのかんの言っても 「真ん中で踊る」人なんだよなあ。 高岸さんも前回より調子が良いかな。 回って回って、跳んでました。 ケントやマラーホフとの並びも良いです。 ただねえ。 幕が降りた後、舞台(幕の内側)で拍手をするのはどうかと思う。 まだ、プログラムが残っているんだから。 いつもはほのぼのだけど、今回はちょっと・・・。 「アポロ」セミオノワ、シュピレフスキー ポリーナちゃんは光り輝いている。 美人で踊りもうまく、その上、芸術面まで伸びたら どんなことになっちゃうの? やっぱ、ボリショイに帰ろうよ! (「バランシン」とは違うところは目を瞑って) シュピレフスキーは可哀想だなあ。 ポリーナちゃんと踊るから、 彼の良くない面が出ちゃうんだよなあ。 (格が違うとかとかとか) アポロンとテレプシコーラには見えないな。 「ダイアナとアクティオン」ぐらいの関係に見えるな。 (女性が神で男性が人間ね) だからといって「ダイアナ・・・」は似合わないだろうけど。 「ロミオとジュリエット(クランコ版)」ラカッラ、ピエール ラカッラが可愛い!! 少女にしか見えない!! 夫婦で踊っているけれど、舞台の上の二人は、 恋に落ちたばかりの若い男女だ。 瑞々しい。 こういうタイプの踊りを見せて貰えるなんて思ってなかった。 そういう点を含めて感動した。 「白鳥の湖(黒鳥)」アレクサンドローワ、フィーリン アレクサンドローワに大期待だったんだけど、 それほどでもなかった。 いや、彼女自身は素晴らしいんだけど、 ボリショイ系の黒鳥は、どーーーーーーーしても、 ニーナとかステパネンコとかグラチョーワとかの幻影が見えちゃうから。 比べる方が悪いんだけどね。 32回転もステパネンコなら・・・と、ウッカリ思っちゃうのよ。 ゴメンね。 いまどきにしてはチュチュのスカートが短めかしら?と思ったけど 身体全体が大きいからそう感じるだけ? フィーリンは、こんなに短い時間なのに「王子様オーラ」大放出。 これがデキるかデキないかが、プリンシパルとソリストの差なんだな。 と、シュピレフスキーと比較して思う。 「アリア」マラーホフ 芸人が、つかのま「素」に戻り自分を見つめ直すけど、 やっぱり自分は芸で食って行こう、という話。(だと思う) イメージとしては「赤い靴」かな。 仮面をつけている(=本当の自分を隠して「芸」を見せている)間は良いけど、 「素」の部分の踊りはちょっと単調かも。 肉体的に限界年齢のある分野で食べている人には、 いつかは考えなければならないこと。 現在のマラーホフとリンクしているな。 それでも踊り続けることを選んだんだなあ、と。 フィナーレはAプロとほぼ同じ? 最終日なので紙テープ&紙吹雪と 「SAYONARA SEE YOU AGAIN」の垂れ幕が降りてきた。 次回・・・・・ あるのか・・・・・・? |
■2006/03/19(日)、22(水)「ジゼル」斎藤友佳理&フィーリン/東京バレエ団 |
■2006/03/19(横浜) うまくまとまらないので、思いつくままに。 私がユカリューシャに求めるのは、 ドロドロでウェットな情念。 それが観たくて行ったんだけど、 そういう点では、今日はちょっとあっさりめ。 前回のマラーホフとの「ジゼル」は、まさにそういった世界で、 なおかつ、アルブレヒト役のマラーホフとは、 お互いの存在感が拮抗していて、 話としては悲恋だけど、 ダンサー同士としては火花を散らしていて、 そこが面白かった。 けど、今日のアルブレヒトのフィーリンは 友佳理さんを、立てすぎている、というのかなあ、 ちょっと遠慮がちなような。 なので、悪くはないんだけど、 私が求めていたものとは違ったな。 これはこれでイイけどさ。 ああ、そうか。 前回はナルシストvsエキセントリック、だったから 面白かったのか。 今回はプレイボーイvs純愛、なので 全体のトーンが薄いのかもね。 そう思うのは、長旅の最後のイベントだからかも。 疲れていたから、受信がうまくいかなかったかな。 音楽がゆっくりめなこともあり、 ところどころで眠たくなってしまった。 22日にリベンジできると思うと、余計に。 友佳理さんは、フワフワのぬいぐるみみたい。 少女らしく可憐。 でも、前ほど、 「自分で抑えきれない感情が、自分の心臓を止める」 エキセントリックさが無かった(それが好きなんだけど)。 相手役との兼ね合いもあるんだろうけど。 2幕では空気に溶け込むような、重さを全く感じさせなかった。 狂乱の場面の花占い、 ずっと花をむしっていた。 アルブレヒトが彼女の身体を抱えて止めようとしたけれど それを拒否。 この時、彼女は現実世界は見えていなかったんだな。 切なかった。 フィーリンは、アメリカンな遊び人だった。 「ホワーーーイ?」とか、台詞が英語で聞こえてきそうだった。 こういうプレイボーイ系はボッカ以来かも。 彼のアルブレヒトがコレ系だとは想像していなかったんで ちょっとビックリ。 似合っていたけどね。 ジゼルとは全くの遊びで、でも彼女が死んだとき 初めてそれが真実の愛だったと気が付く。 後悔先に立たず。 このあたりで感情が爆発。 止めようとするウィルフリードを付き離すんだけど、 力が入りすぎて、 ウィルフリードがオケピに落っこちちゃうかと思ったわ。 でも、もうちょっと濃いとイイなあ・・・。 2幕で初めてウィリーになったジゼルを見たとき、 花を持ってくるため、一度ジゼルが捌けるところ、 マラーホフだと「いまのは夢か、幻か、いや、現実だったハズだ!」 みたいな逡巡があるのですが、 フィーリンだと、最初からジゼルが存在している、と 思っているようです。 もうちょっと、グルグルして欲しい。私の好み的には。 フィーリンは、友佳理さんと並ぶと大きく見える。 アレクサンドローワとの並びを観た後だと、余計に。 男らしいよ。 そして、さすがに「世界のボリショイ」のプリンシパルなのだ。 存在感が抜群なのだ。 ひとつひとつの動きに、なんていうのか、 「格」が感じられる。 シュピレフスキーには全くなかったアレだ。 彼の全幕は初めて観るのだと思うけれど しっかりした演技だった。 でも、むかし観たヴァシチェンコでも感じたけど 相手役(プリマ)が出てくると、 自分の存在感を弱め(薄め)ているような気がする。 ボリショイの伝統なのか?? 木村さんは張り切って踊っていた。 濃いめ仕様のヒラリオンなので 今回のように、主役二人が薄味仕様だと ちょっとハイテンションに見えてしまう。 それも楽しんだけど。 うっとうしいヒラリオン、ってのもアリだわな。 井脇さんのバチルドは、縦ロール!縦ロールの髪!! お姫様だーっ! 華やかです~~っ!美しいです~~~っっ! 今回は、ジゼルとの身分違いを強調する演技。 「私のドレスが綺麗なんですって!」と 父に言うとき、呆れているような表情。 アルブレヒトの火遊びも、怒りというよりも なんでそんなことをするのか理解できなーーい、ってカンジ? なんか、バチルドも気の毒だわよ。 婚約者の考え無しの行動に振り回されて、 一人の村娘を死なせてしまうんだもんね。 後味が悪そうだ。 バチルド・パパの公爵は後藤君。 板に付いてきたな。 最初は、「なにかあったらこの笛を吹け」の笛が なかなか腰から取り外せなくて、ドキドキしたもんよ。 ジゼルがバチルドに「私は踊りが好きで」と踊っているとき 全然、見ちゃいないのが、ナイス。 (注:見てないのは、後藤君ではなく公爵ね) だんだん演技が深くなってきてるのは喜ばしいんだけど 本来なら、そろそろアルブレヒトを引き継いでもいいころだろう。 ちょっと勿体ないな。 ウィルフリードは森田さん。 忠実な部下なんだよね。 我が儘な主人を持つと、使用人は大変だ。 パ・ド・ユイットは、 高村順子-中島周、門西雅美-大嶋正樹、 小出領子-古川和則、長谷川智佳子-平野玲 いつものメンバー。 男性4人も、そろそろ分解すべきだろうなあ。 この辺からそろそろヒラリオンを出さないとねえ。 木村さんのヒラリオンはいついつまでも見ていたいけれど いつかは終わりがやってくるんだから。 ミルタは大島さん。 首が長い。 背が高く手足も長い。 井脇さんのような「凄味」はまだ無いけれど ウィリーを統率する女王の雰囲気はよく出ていた。 怖いぞ。 大柄な身体は舞台映えがする。 そして、自分の身体をうまく使いこなしている。 千春ちゃんは、ちょっと持て余し気味だったから。 ジャンプも音があまりせず、空中を滑っているようだった。 群舞も、揃っていたかな。 交差するところもバッチリ決めていた。 カーテンコールで、 フィーリンが群舞の女性の手を無理矢理取って 前に出した。 いい人だな~~ 最後は手を振っていたわ。 ■2006/03/22(五反田) 19日に神奈川で見たときは、疲労のためか、席が前方過ぎたためか、見ていなかった部分が多かったようで、本日は新発見もアリ。 フィーリンのアルブレヒト。今日はそれほどアメリカンじゃなかったな。チャラいプレイボーイ系、という印象は同じ。ジゼルを愛していたかは、ちょっと不明だよね。少なくとも1幕の狂乱の場面は、「俺は悪くないじょーーー」状態で、ジゼルが死んだことはショックでも、自分がジゼルを死に至らせたとは思っていなさそうだ。みんなから責め立てられることの方が辛そう。ちょっと新鮮な解釈だ。2幕も、自分の責任、というものが殆ど感じられない。でも、ジゼルが消えたときに、初めて、「愛」というものに思い当たった。ジゼルが自分に向けていてくれた感情に、初めて気が付いた、というのかなあ。1幕では、自分の享楽の一部として存在していたジゼルが、まったく別の人間として存在しており、考え無しの自分を愛していてくれたいたことに、ようやくその時点で気が付いた、と。 フィーリンのアルブレヒトと、友佳理さんのジゼルは、見た目は「年の差カップル」だった。10代後半の、その年齢にしては幼いジゼル。スカートを広げて座ったときも、わざとではなく、横にアルブレヒトが座りたいと思っていることに、全く気が付いていない。自分の世界は母と友人だけだったところに、アルブレヒトが加わった。現実的な将来などを考えるほど大人ではなく、いまの、この瞬間の幸せだけを楽しんでいる。そんな女の子が、恋をして、恋ゆえに死に、ウィリーとなって甦り、アルブレヒトを守り、なんというのか、「大人になった」んだと思った。逆にアルブレヒトは20代半ばぐらいのイメージ。自分と二人っきりになるより友達と踊りたい、と言われても、それさえも可愛いと思っちゃうような男。でも、なにも知らなかったのは、実は男の方だったんだよなあ。大人で守る立場、だと思っていた彼の方こそ、守られる立場だったんだわ。それを、ジゼルが消えて、初めて理解できた、そんなふうに見えました。 いままでに観てきた「ジゼル」に比べると、「死」のイメージが薄い舞台でした。「死」よりも、濃密に「生」が感じられる。こういう作り方もあるんだと、目から鱗状態でした。どれが良い・悪いでは、ありませんよね。ルジのように、狂乱の場面からすでに「死」に引き込まれているアルブレヒトも好きだけど、生命力に満ちあふれているフィーリンも、なかなかイイよ。 友佳理さんのジゼルは、本当に少女。上でも書いたけれど、まだまだ「世界」が狭いのよね。アルブレヒトの「嘘(村に出入りしている言い訳)」も、なんの疑いもなく信じている。花占いの前の、アルブレヒトが愛を誓うところも、「不吉」は感じていない。むしろ、アルブレヒトの強い愛情に驚いているのでは?花占いも、「自分の死を読み取る」のではなく、本当にガッカリ~~~、みたいな、幼い感情。なんというか、世界から「未分化」の状態っていうのかなあ。母に属し、家に属し、アルブレヒトに属し。それが、アルブレヒトを守ったことにより、彼女の魂は消えていくけれど、「個」としての「ジゼル」は確立できたというか。うまく言えないけれど、少女から女性になる物語にも観えました。狂乱の場面で、傷つかない自分の世界に逃げ込もうとしていたのに、アルブレヒトを見て、現実を認識したところが印象的。心臓が止まる直前、ジゼルはアルブレヒトを見たのかしら? 木村さんのヒラリオンは、大人。でもロリコンじゃないよ(笑)。ジゼルに対しては「保護者」の面もありそうだ。ストーカーの一歩手前だけど、ジゼルのことが好きで好きでたまらないんだろうなあ。ジゼルとの仲も、母親公認、世間も公認。ジゼルは、彼が嫌いと言うよりは、彼との「将来」を、幼い故に、まだまだ思い描けないだけなのかも。そこへ、チャラチャラした都会派の男が来ちゃったんだよなあ。あ、あれだ、谷山浩子の「カントリー・ガール」だな。彼が真実を告げなければなあ・・・。このアルブレヒトなら、いずれ村を去ってバチルドと結婚しただろうに。ジゼルは失恋で心を痛めても、死ぬほどではなかっただろうに。従来なら、彼の「思いやり」がジゼルを死なせてしまうんだけど、今日は「短慮」だったかもね。 バチルドは浜野さん!ずーと、ずーーーっと、アルブレヒトを見つめているバチルド。先日の井脇さんは、身分違いの娘と遊んで!、みたいな怒り方だったけど、浜野さんは、ただただ、(アルブレヒトが)自分以外の女性に心を奪われたのがショック。単純な怒りではないんだよね。なぜ?なぜそんなことができたの?それを問いたい表情。 それはアルブレヒトが考えなしだからだよ~~ 信じていた人に裏切られたんだよねえ。可哀想だわ。公爵様の慰め方は、まあ、男ならこういうこともあるさ、的? ミルタは井脇さん。当たり役だけど・・・。今日は、いつもほど、私の好みではなかった。細かい動きを入れすぎているような。背中もあんなに反らせなくてもいいと思うし。あまり動かない方が威厳が出ると思うんだけどなあ。 ドゥ・ウィリは小出さんと長谷川さん。二人とも空気に溶け込みそう。群舞も「幽玄」を表していました。 ペザント。男性陣は19日の方が揃っていたと思う。平野さん(たぶん)がワンテンポ早く膝をついた。珍しい。女性陣はどなたも良し。明るい衣装が似合っている。ジゼルの友人は、乾さんの首筋の美しさが印象に残った。 森田さんのウィリフリードは、ジゼルが「良い子」だと思っていそうだ。たんに主人の行動をいさめるのではなく、主人の考え無しの行動が、純真な村娘を傷つけてしまうことに心を痛めている。「たかが村娘」と斬り捨てていないところが優しい。けれど、主人には伝わらないんだよな~~~。アホやから。(くどういようだけど、フィーリンではなく、フィーリンのアルブレヒトのことだよ!) 管は時々0.5イブキ。2幕の人魂、上手前方の人魂が最初は火がついていなかったように思います。 そして!本日のお客様は、皇后陛下!!2幕から入ってこられました。カーテンコールの時、客が舞台に出はなく、客席中央の皇后陛下に向かって拍手する、という、珍しい風景となりました。ユカリューシャ&フィーリン、ごめん。私も皇后陛下に拍手しちゃったよ。終演後、急いで出て「一風堂」に駆け込もうとダッシュしてロビーに出たんだけど、皇后陛下がお通りになるので退場規制がかかっちゃいました。ちょっと時間のロスになったけど、私の目の前をお通りになられました。ラッキーでした。 |
■2006/04/09(日)、10(月)「ディアギレフ・プロ」東京バレエ団 |
■2006/04/09 「牧神の午後」 牧神:首藤康之 ニンフ:井脇幸江 ニンフたち:高木 綾、奈良春夏、浜野香織、田中結子、前川美智子、吉川留衣 ニンフたちの「横向きのポーズ」は、マールイより決まっていたかも。 牧神とニンフについては・・・・・・・ プリセツカヤ&ジュドを見ていると、ツライな。 牧神からは、まったくと言っていいほど 「性衝動」が感じられない。 腰を布に・・・ってのも、清いな。 ニンフも、牧神に「行動」をおこさせるほどの 「魅力」が感じづらい。 全然、衝撃的でも、センセーショナルでもない。 「薔薇の精」 薔薇の精:木村和夫 少女:吉岡美佳 白いドレスの吉岡さんが可愛らしい。 木村さんの衣装は、サーモンピンク系かな。 ビデオで見たミーシャの衣装にイメージが近い。 ルジのツルツル赤とか、ヴァロージャのシースルーとか いろんな想像をしていたので、 まあ、ほどほど無難な衣装。 総タイツではなく、グラデーションのタイツの上に 同色の飾り付きの上着を合わせたカンジですね。 踊りは、出だしは「木村さん」。 探り探り踊っているうちに、役に入っていったみたい。 こちらも「性的」な雰囲気は皆無で、 お茶目な妖精さん系。 宝塚の男役みたいな・・・、とアッサンブレ会報で言っていたけど 「男役」って、タニオカ君がイメージなのか?ってふうな どちらかというと、爽やか系。 (いや、見慣れている「薔薇の精」がルジだからさ。 ルジってリカ・ナーガ系だから。 それ系じゃないな、ってぐらいのことなんだけど) でも、なんか、ちょっと、ハイテンション。 あ、だから、タニじゃないわ、 マチオか って、ごめんなさい。 踊りは・・・・・・、 回転系が時々ヤバし。 ジャンプは綺麗だったな。 腕の「クネクネ」も良かったです。 あと5回ぐらい、本番の舞台で踊ることができれば 相当良くなる予感。 でも、そんな機会はないよねえ。 「ペトルーシュカ」 ペトルーシュカ:首藤 康之 バレリーナ:小出領子 ムーア人:後藤晴雄 シャルラタン:高岸直樹 宮廷の御者:古川和則 乳母:大島由賀子 馬丁:長瀬直義、田中俊太朗 ジプシー:高木 綾、奈良春夏 お祭り好きの商人:横内国弘 町の踊り子:西村真由美、佐伯知香 *役名がわからないけれど中島周さんが飛びまくっていたYO! 謝肉祭で賑わうロシアの街角。 人形使い(シャルラタン)は、人形達に命を吹き込む。 ペトルーシュカとムーア人はバレリーナに恋をする。 争ったすえ、ムーア人はペトルーシュカを剣で刺す。 騒ぐ観客に、これは「人形だから」と人形使いは言うが、 ペトルーシュカの幽霊が現れると人形使いは逃げる。 前二つの演目は、他でいろんなパターンで観ているので なんでいまさら東バでやる?って疑問が湧きましたが、 この「ペトルーシュカ」の前振りだったのかと観て得心。 幕開けは実に華やか。 謝肉祭の賑わいを良く表しています。 次々と絶え間なく繰り出される踊りの見せ場に 目を奪われっぱなし。 人形達。 首藤君、「情けない顔のメイク」が似合いまくり。 報われない彼の気持ちが切なくて哀しかった。 最後の屋上(?)で崩れ落ちるところ。 落っこちてしまうんじゃないかと、ドキドキしちゃった。 後藤君、外からでは全然彼だとはわからない。 踊りのテンションでなんとなく判別できる? 小出さん、メチャ可愛い!!! 高岸さんは、どんなメイクでも一発で彼だとわかるなあ。。。 熊さんは、ぬいぐるみみたいだった。 アンコールでソトニコフさんと並んでくれないだろうか。 熊2匹で、とってもラブリーな空間になると思うんだけど。 ソトニコフさんの指揮が良かった。 ダンサーの良さを引き出していた。 ■2006/04/10 「牧神の午後」 牧神:首藤康之 ニンフ:井脇幸江 ニンフたち:高木 綾、奈良春夏、浜野香織、田中結子、前川美智子、吉川留衣 横向きのポーズは美しい。 「ギリシャの壷の絵」そのものだ。 それは素晴らしい。 3次元の空間を2次元に変換した、 その、美術的な部分は絶賛しても良いと思う。 でも、あくまでも「絵画」だ。 「匂い」はない。 牧神の、布を抱きしめる部分に情熱は感じるけれど いわゆる「劣情」は感じ取れない。 東バが意識して排除したのか?と思うほど。 それがバレエ団のカラーと言えばカラーだけど、 「牧神の午後」で一番のキモが無くてどうする、とも思うわな。 「薔薇の精」 薔薇の精:大嶋正樹 少女:高村順子 高村さんは、吉岡さんより ロリロリ度アップ 可愛いなあ~~~~。でへでへ。 吉岡さんは、女性から見ても可愛いと思う。 高村さんは、私の中の「オヤジ」の部分が反応するっていうのかねえ。 大嶋さんは、まあ。。。。。。。 ひたすら頑張って踊っていたよ。 少女との関連性は、殆ど無し。 「薔薇の精」とかじゃないのよね。 昨日の木村さんも「薔薇の精」としては、どうかねえ、 と思う部分があったけど、 大嶋さんは、最初から最後まで「大嶋さん」だった。 あの短い時間に「役を作る」って難しいんだなあ、と 改めて思いました。 衣装は総タイツ。全体的に木村さんより薄い色で 腿のあたりからすでに肌色っぽい。 高村さんは、夢心地から、「薔薇の精」に誘われて踊って、の笑顔が パッと花が開いたようでした。 少女には「薔薇の精」は見えているけれど、 「薔薇の精」に少女は見えていたのかな? 「ペトルーシュカ」 ペトルーシュカ:首藤 康之 バレリーナ:長谷川智佳子 ムーア人:平野玲 シャルラタン:高岸直樹 宮廷の御者:古川和則 乳母:大島由賀子 馬丁:長瀬直義、田中俊太朗 ジプシー:高木綾、奈良春夏 お祭り好きの商人:横内国弘 町の踊り子:門西雅美、加藤文 *役名不明な中島周さんは今日も飛びまくっていた 昨日に続き、楽しくも哀しい演目。 客席2階から見ると、舞台にたくさん人が乗っている。 どこを見ていいのかわからないわ。 下手建物2階から釣り竿+魚を垂らしている爺は何者なんだ。 なにが楽しいのだ?でも見ちゃう。 熊さん、私にも欲しいなあ。 ムーア人は、平野君らしいが、まあ、わからんな。 長谷川さんがチャーミングだった。 首藤君は、こういう役が似合うなあ。。。 |
■2006/4/13(木)、14(金)「ベジャール・プロ」東京バレエ団 |
■2006/04/13 「ペトルーシュカ」 ペトルーシュカ: 後藤晴雄 若い娘:吉岡美佳 友人:木村和夫 3つの影:高橋竜太、平野玲、中島周 4人の男:氷室友、辰巳一政、長瀬直義、小笠原亮 4人の若い娘:小出領子、高村順子、門西雅美、長谷川智佳子 ディアギレフ版を見た後だと ベジャールがいじった場所がわかりやすい。 ココをこうしたのか、と。 高岸さんは同じ役なんだなあ、と 今日になってわかりました。遅いですね。 後藤君は、かなりモノにしている。 木村さんは、イキイキと踊っている。 吉岡さんがとっても可愛い。 内容は、今日はちょっと入り込みにくかった。 明日は気合い入れてみます。 「ギリシャの踊り」 二人の若者:大嶋正樹、古川和則 パ・ド・ドゥ:小出領子、中島 周 ハサピコ:井脇幸江、木村和夫 テーマとヴァリエーション ソロ:首藤康之 パ・ド・セット:佐伯知香、高村順子、門西雅美、 長谷川智佳子、西村真由美、乾 友子、吉川留衣 こう言うとブン殴られかもしれないけれど、 前半は首藤君から「若さ」が感じられなかった。 首藤君といえば、内面から溢れ出す、 あるいは滲み出る「若さ」だったのに。 ちょっと寂しかった。 だれの上にも年月は通り過ぎているんだなあ。 高岸さんや木村さんはずっと見ているし、 もともとの持ち味が「若さ」じゃないんで(むしろ逆) 「若くない」状態は、まあまあ自然なんだけど、 首藤君にしても、昨年夏のホセや、 前回のような牧神など、「役」を表現している時は そんなことを感じなかったんだけど、 今日のように、「肉体」をさらけ出している状態を 久しぶりに見ると、ああ、若くないんだなあ、と実感します。 若くないが、イコール、年寄りではありません。 ただの否定形。 後半のアップテンポのソロからは 前の彼のようだったけど。 大嶋さんと古川さん。 もう少し、じゃれあうような、親密感があってもイイかも。 小出さんは可愛い。 可愛い以外の形容詞がないのか、ワタシ。 井脇さん、耳元のピアスが眩しいね。 木村さんとの並びはいいなあ。 身体的にも雰囲気も合っている。 この二人で「白鳥」を見たいんだけど。 井脇さんは、出てきただけで空気を一変させる。 作品全体としては、清涼感。 これが持ち味なんだろうなあ。 「ボレロ」 メロディ:上野 水香 リズム:大嶋正樹、古川和則、平野玲、中島周 なるほどな、と。 「振付の保存」というのなら 彼女ほどの適任者はいないかも。 言われたとおりの動きをして、自分のカラーは出さない。 「ベジャールの動き」を瞬間冷凍保存したようなもんだな。 熱狂とか、宗教儀式とからはほど遠い。 メロディが、リズムを、そして観客を 引き込むような、そんな雰囲気は皆無だ。 このさっぱり感が好きな人もいるだろうし、 ベジャールの、という点では、OKだと思う。 でも、やっぱり私は、違うボレロを見たいなあ。 自分なりのビジョンを持ったメロディを見たい。 ビジョンが皆無なので、メロディに存在感がない。 飯田さん抜け、木村さん抜け、の 若手4人のリズムだというのに、 完全に喰われているよ。 あ~、そうそう、平野さんって、 遠目だと木村さんに似ているんだよね。 背中のラインが違うけど、全体的な雰囲気は似ている。 タモに対して、小タモと言われたさららんみないなもんね、 とか、そんな雑念が湧くぐらい、 メロディに求心力が無かった。 私の好みではない。 ギエムの残像がチラついたわ。 私はギエム信者じゃないんだけどね。 求めるモノが違いすぎたのね。 ■2006/04/14 観るのに慣れたのか、 昨日のサイド席と違い、正面席だったからか、 今日はいろいろ楽しめました。 「ペトルーシュカ」 ペトルーシュカ: 古川和則 若い娘:井脇幸江 友人:大嶋正樹 3つの影:高橋竜太、平野玲、中島周 4人の男:氷室友、辰巳一政、長瀬直義、小笠原亮 4人の若い娘:小出領子、高村順子、門西雅美、長谷川智佳子 古川くんは、鏡の世界から戻ってきたときの表情が良かったな。 魂を抜かれた表情だった。 大きい役は初めて? でも、気負い無く、自然な動きでした。 影で踊っていたっけ? 笑顔でない古川くんがちょっと新鮮。へへ。 昨日の3人だと、3人仲良し ![]() 今日の3人だと、ちょっと三角関係風味?特に前半が。 大嶋くんも良かったけど、 木村さんのハイテンションになれているから・・・。ごめん。 井脇さんは吉岡さんより大人っぽかったけど、 男性二人とは雰囲気は合っていました。 高岸さんはいつでもアヤシイ。 ペトルーシュカや友人は、こうやって次の世代にも振られたけど この魔術師を引き継げる人はいるのかな。 高橋くんあたり? 「ギリシャの踊り」 二人の若者:高橋竜太、小笠原亮 パ・ド・ドゥ:高村順子、平野玲 ハサピコ:吉岡美佳、後藤晴雄 テーマとヴァリエーション ソロ:首藤康之 パ・ド・セット:小出領子、田中結子、門西雅美、 長谷川智佳子、西村真由美、乾 友子、吉川留衣 首藤君は、やっぱり目を惹く。 昨日はサイドから見たので、最初の「海」は 人が重なってよく見えなかったんだけど、 今日は正面席だったので、幕開けから首藤君が目に入ってきた。 とにかくオーラがある。 他の人とは「格」が違う。 昨日は踊り以外の面でいろいろ思うことの方が先立ったけど 今日は彼の「踊り」が、すごく伝わってきた。 髪型も普通だしね~~。 さすがにベジャールの型が入っているなあ。 ベジャールの「言語」を習得しているんだなあ。 他は若めのキャスト。 舞台に出ているプロに言うには申し訳ない表現だけど 「初々しい」。 高橋くん&小笠原くんは、高校生の友情のようだ。 二人ともはつらつとしていて、観ていて気持ちがいい。 高橋くんには、そろそろ大きめの役を与えても良いかも。 かなり個性がクッキリしてきたと思う。 高村さんと平野くんも、高校生のカップルのようだ。 愛らしい、ってか。 吉岡さんはダイアナだな。月の女神。 本来どういう設定かはわからないけれど、 ここの場面は、男性が海(波)で、女性が月の光のイメージがあるの。 吉岡さんは冴え渡る月の光のようだ。 女神を支える男性は後藤くん。 ここは良かったんだけど、他の所では ポーズの取り方が甘めの所があったような。 野趣溢れるギリシャ(ヨーロッパ文明の源)の海ではなく 日本の海で修学旅行性が戯れているようだけど、 これはこれで好きだなあ。 「ボレロ」 メロディ:上野 水香 リズム:大嶋正樹、古川和則、平野玲、中島周 水香ちゃんは、昨日よりも力強かった。 昨日より「女性的」な部分を切り捨てたようだった。 それがかえって、戦場で戦士を鼓舞する女性のようで、 とっても良かった。ってか、私好みだった。 もう少し躍り込めば、ジャンヌ・ダルクになるかもなあ。 檀きっきアムネリスで例えるなら 「エチオピアを滅ぼしにいきましょう~」のあたり。 でも、あと何回か本番で踊れば 「聞きなさい エジプトは二度と・・・」まで行けると思う。 もちろん、この系統で突き進まなくても、 違うアプローチをしてもいいけどね。 時々入る女性っぽい仕草はいらんと思う。 この辺をもっと削げ落としていければ なおイイんだけどなあ。 まあ、とにかく今日は引き込まれましたよ! |
■2006/04/22(土)、24(月),「白鳥の湖」パリ・オペラ座バレエ団 |
■2006/04/22 夢でした。ムッサンのパリ・オペ主演公演。いつ頃彼女を好きになったかは覚えていないのですが、ジュドとの「ジゼル」よりは前だったように思います。パリ・オペ来日公演でさえ見られないときがあるのに、今回は、主演です。嬉しいです。感動です。そりゃ、「エトワール」としての「華」があるかと問われれば、微妙かもしれませんが。エトワールに昇進したのは昨年ですが、「白鳥」自体は踊っていたのでしょうか?とっても踊り慣れていて、手足の隅々まで神経が行き届いた動きでした。 白鳥は腕が良いです。白くて美しいです。パリ・オペ系としては小柄な部類なのかな?それゆえに、運命に翻弄される儚さを感じました。黒鳥は、チュチュの飾りが銀のみという渋めでしたが、王子を誘い込む妖艶さがありました。32回転はシングルでしたが、前半は腕をあまり動かさず、脚の力だけで回っていました。パリ・オペなのに、32回転で手拍子が入りました。なんでだーー!!ムカツクわ。 王子のモローも新エトワール。2幕まではあんまりピリっとしませんでしたが(2幕のソロの最後に手をつくとか)、3幕からは見違えるよう。滞空時間の長いジャンプ、それ自体も良いのですが、なにより、輝きだしました。いきなり花が開いたよう。脚も長いし、スタイルもイイしで、経験を積めば、正統派エトワールになれるかも。そんな期待ができます。顔は、フランス人がハンサムと思う系統なのか。誰かに似ている気がする。益岡徹? 王子のファヴォラン。最近昇進したんだよね。どのクラスだか忘れたけど。プログラムを読んでいないので、ロットバルト=家庭教師の位置づけがよくわからない。踊りだすと、いかにも「パリ・オペ」って雰囲気のクセがあるが、舞台に佇んでいるとき、時々所在なさげ。本人的にか演出的にかは不明。顔が小さいので、悪魔というには迫力不足かな。と思うのは、どこぞのガラでドラノエを見てしまったからかも。 群舞は全体的に「ヌレエフ」。ロシア系だと一つの動きしか入れないところを、3つぐらい入れちゃうの。線対称だけではない凝ったフォーメーションではあるけれど、いつもどこかが動いていて、とっても忙しない。難しい動きをひたすら頑張って踊っているので、どことなく発表会チックになる。パリ・オペなのに。白鳥の群舞はあまり揃わず、足音も大きい。あんまり白い世界ではない。1幕、3幕の衣装が地味。同じ系統の色遣いに、似たようなデザイン。パリで見ればお洒落なのだろうか。私は好みではない。 オケは音が全体的にフォルト。ナポリかマズルカの管が6イブキ。なんでこんなに音が鈍り、なおかつひっくり返るのか、ビックリしたところがあった。 S席2万5千円。なんでこの値段かと思ったら、人件費なのだろうか?3幕のラッパ卒が6人もいたよ。1幕の衛兵?上手にずーーーと無意味に立っていた人もいたし。人がたくさん舞台に乗っていた。 オデット/オディール:デルフィーヌ・ムッサン ジークフリート王子:エルヴェ・モロー 家庭教師ヴォルフガング/ロットバルト:ステファン・ファヴォラン 女王:ミュリエル・アレ パ・ド・トロワ:ノルウェン・ダニエル、メラニー・ユレル、クリストフ・デュケーヌ 4羽の大きい白鳥: エミリー・コゼット、オーレリア・ベレ、ローラ・エッケ、ローレンス・ラフォン 4羽の小さい白鳥: ファニー・フィアット、マチルド・フルステー、ジェラルディーヌ・ウィアール、ミュリ チャルダッシュ:ファニー・フィアット、ステファン・エリザベ スペインの踊り: ナタリー・リケ、ナタリー・オーバン ローラン・ノヴィ、フロリアン・マニュネ ナポリの踊り:ミリアム・ウルド=ブラーム、エマニュエル・ティボー ■2006/04/24 ああ・・・・(泣) E席7000円のうち、5000円はジロに払ったのに・・・・・・(涙) 怪我で降板だよ ![]() 涙が止まらないぜ!!!! プロローグ(ドレスでちょこっと出てくる)で捻挫したんだって。 詳しい事情はわからないけれど、もしかして階段落ち、っていうか 向こう側に飛び降りるときに捻挫したのかしら? ジロの怪我の具合は心配だけど、 でも、 でも、辛いよーーーーっっっっ(涙) パリ・オペは約3年周期で来るけれど、それに「白鳥」で なおかつジロが主演なんて、今後あるのかなあ・・・。 私がバレエを見始めたのは91年からだけど、 パリ・オペの「白鳥」は初めてよ。 NBSは呼びそうにないから、いっそ光藍社さんでジロの「白鳥」を セッティングしてくれないだろうかねえ。 はーーーーーー。ショックだよーーーーー。 土曜日にマチ・ソワをしておけばよかったなあ。 コゼットの白鳥は、まあ、悪くないよ。 2幕は割と好きかも。 E席が5000円レベルの公演ならOKだと思う。 でも輝けるエトワールの代役でS席25000円の価値は? と言われたら、まあ、アレだよな。 どこぞのサイトで見たんだけど、 一応コゼットが全白鳥のアンダーなんだよね。 (控えてないのでうろ覚え) でもでも、せめてムッサンで見たかったなあ。。。 え、、、と、、、、、、、話を戻して。 そう、2幕ね。あ、通常で言う2幕ね。オデットね。 ムッサンよりはパリ・オペっぽいかも。 若手と思えば良く踊った、と、言っておこうか。 でも、黒鳥は今三つぐらい。 迫力不足。 32回転はシングルであまり動かないタイプ。 ガラの若手ポジションならOKだけど、 パリ・オペの全幕での黒鳥としては不満だな。 ああ、ジローーーーーーー。 マルティネスの王子は、当たり前かもしれないけれど 東バ版の白鳥の百万倍良かったよ。 ヌレエフの難しい振付も、ごくごく自然な動きになっています。 モローも悪くなかったけど、風格がまったく違います。 この輝きがエトワールというものなんだなあ。 すべてにおいて素晴らしい! 3幕の各国の踊りの時は不在。 きっと裏で打ち合わせをしていたんだろうなあ。 このヌレエフ版は、2幕・4幕は、王子の「妄想」ともとれる演出。 モローの時は、通常の「白鳥」と、王子の「妄想」、 どちらとも取れる、というか、どっちかわからなかったけど、 マルティネスは「妄想」だったな。 だから、あんまりメランコリックじゃないのね。 1幕でみんなが去って、ついていこうとしたところを 家庭教師に止められる。 「あなたは王子なんだから、軽率に外に出ては行けません」 そうやって、外の世界に出られない王子が見た「妄想」が ・運命の女性と出会って恋に落ちる。 ・彼女は悪魔に囚われていて、自分にしか救えないのだ! それが2幕なんではなかろうか。 3幕は、普通に婚約者選びなんだけど、 6人目の花嫁候補も好みじゃないぜ、と思ったところで またもや、突然美女が現れて~、と妄想するのが 黒鳥のパ・ド・ドゥ だったり4幕だったりするんじゃないだろうか。 4幕の最後、モロー(&ムッサン)では、 呪いが解けず、王子は死に、オディールはロットバルトに連れ去られる とんでもない悲劇版に見えたけど、今日のキャストだと、 4幕の後、ハッと気が付くと家庭教師にツンツンされて目が覚めそう。 そこは、まだ婚約者選びの真っ最中、ってなオチが見えてきそう。 キャストが変わると、話も変わって見えるもんだな。 それに拍車をかけたのがパケット君のロットバルト/家庭教師。 パケット君ってばぁ、金髪のお坊ちゃんだと思っていたのにぃ。 「ジゼル」のヒラリオンなんかは、 「オラが村の村長さんちの息子」みたいな、 いい人だけが取り柄の坊ちゃんだったのに、 今日の彼は、ダークサイドに落ちたアナキンみたいだったよ。 ひゃーーー。カッコイイ。 ただ、悪魔とは違うような。 間抜けな王子を操って、権力を握ろうとする陰謀家・野心家みたいだ。 俺がこの国を動かしたる!みたいなね。 王子に踊りを教えるところ、王子の方がうまいのはご愛敬ね。 一昨日のファヴォランは、そういった意味では「悪魔」だったな。 どんな理由かわからないけれど(あるいは理由なくだからこそか?) 王子や王子の国を滅ぼそうとしている、人間ではない存在を感じたな。 3幕のソロも、ファヴォランは禍々しかった。 パケット君は、生き生きと跳んでいた(笑) これはこれでいいんじゃないかな。 群舞は、ヌレエフ攻撃が来るとわかった上で見れば、 フォーメーションとかが面白いかも。 特に白鳥のフォーメーションね。 V字になる流れとか。 パ・ド・トロワは、なんといってもドロテちゃんが良かった。 動きが違う。目に飛び込んでくる。 ティボーも、ちょっと脚のラインが気になるけれど 期待の若手、というのは納得な踊り。 もう一人がいまいち、と思っていたら、 急な代役だったんだね。仕方がないね。 オケが前より悪かった。7イブキ。 終演後は、幕が降りた舞台の中から大拍手と大歓声。 カーテンコールにも花束が出ていたし、 コゼットちゃんは仲間から愛されているのね。 でも、それは、楽屋でやってくれ! ジロ目当ての客に、その拍手は聞かせんでくれ! 心が狭くてすまんな。 あ、あと、舞台が滑るのでしょうか。 小さい白鳥ちゃんとマズルカの男性が滑ってました。 ドキドキしちゃいまいた。 でも5階から見ると、舞台表面は傷だらけみたいですが。 オデット/オディール:エミリー・コゼット ジークフリート王子:ジョゼ・マルティネス 家庭教師ヴォルフガング/ロットバルト:カール・パケット ナタリー・オーバン: パ・ド・トロワ: ノルウェン・ダニエル、ドロテ・ジルベール、エマニュエル・ティボー 4羽の大きい白鳥: ヴァネッサ・ルガシイ、オーレリア・ベレ、 ローラ・エッケ、マリ・ソレーヌ・ブレ 4羽の小さい白鳥: ファニー・フィアット、マチルド・フルステー、 ジェラルディーヌ・ウィアール、アレクサンドラ・カルディナル チャルダッシュ:ノルウェン・ダニエル、ブリュノ・ブシェ スペインの踊り: ミュリエル・アレ、ローレンス・ラフォン クリストフ・デュケーヌ、ローラン・ノヴィ ナポリの踊り:メラニー・ユレル、マロリー・ゴディオン |
■2006/04/30(日)「パキータ」パリ・オペラ座バレエ団 |
プログラムを買っていない私の勝手なあらすじ想像。 第一幕 御貴族様一行登場。 リュシアンとセラフィナは婚約者同士。 一方、ジプシーの野営地(?) パキータは美人で人気者。 イニゴはパキータに惚れているが相手にされない。 貴族一行がジプシーの踊りを見に来る。 パキータに一目惚れするリュシアン。 イニゴは面白くない。 出世の邪魔か恋路のの邪魔なのか メンドーサがイニゴにリュシアン殺害を依頼。 渡りに船とばかり引き受けるイニゴ。 イニゴはリュシアンを家に招き入れ、 眠り薬入りのワインを飲ませる算段。 その企みを立ち聞きしたパキータは 皿を割って注意をイニゴの気をそらせた隙に リュシアンに企みを打ちあけ、 イニゴとリュシアンのワイングラスを入れ替える。 眠っちゃうのはイニゴの方でした。 第二幕 伯爵家での宴会。 メンドーサの企みを将軍(伯爵)に伝える パキータ&リュシアン。 メンドーサ追放(だったかな) パキータは肌身離さず持っていたロケットの絵の男と 伯爵家に飾られている絵が男が同じことに気が付く。 パキータは伯爵の縁者だったのだ。 身分違いではなくなったので 安心して結婚する二人だった。 こんなとこだと思うんだけど。 幕が上がる前にルフェーブル女史を見るのは この公演で2回目だよーーー。 え~ん、自慢にならないよ~~(涙) 最初の幕が上がるとき、どこかに引っ掛かったようで ちょっと音がした。 代役騒ぎがあるっているのに、 このうえ大道具までおかしくなったらどうしようかと ちょっとドキドキしたけれど、 大丈夫でした。ホッ。 つまんない話、と聞いていました。 でも、1幕はそれなりに。 単調な展開ではあるけれど、 ジプシーダンスはメリハリがあるし、 1幕後半のドタバタコメディーは、 なかなかスピーディーで楽しかった。 2幕の方が単調だったな。 特に、ガラでよく上演される部分は、 コールド的にはマールイの方が好きだし、 リュシアン役も、ほら、いろいろ見ているから。 1幕のドタバタ振りに対しては大人しめなこともあり 2幕はちょっと眠気が・・・。 オレリーは、全然期待していなかったし、 どちらからといえば苦手なダンサーだったんだけど、 実に良かった!!! 技術的にも素晴らしい。 脚捌きも回転系も、無理なく自然に、余裕を持って。 踊りの、どの部分も安定してました。 そのうえ、ジプシー娘の時は 実にチャーミング。 可愛かったよ~~。 皿を割る時の潔さがカッコイイ! 2幕の方がいつもの「お人形さん」系が入っちゃったのが ちょっと残念だけど、 それでも「エトワール」として輝いていました。 私はE席7000円だったので、 彼女の踊りだけで、充分モトが取れました。 ルグリの穴も埋めてくれましたよ。 ありがとう!! もしかすると、ルグリ以外と踊る方が合っているのかな? ベランガールは、まあ、こんなもんよね。 1幕での「世間知らずの坊ちゃん」振りは なかなかイイと思う。 若いからこそ出せる味だわね。 2幕は、(コレを踊った)他の人と比べちゃからねーーー。 ルグリなら・・・、と考えちゃう。 5階サイドから、オペラグラス無しで観ると ちょっと脚の太さとか、腹回りが気になるけれど オペラグラスで見ると悪くないんだよな。 どこがダメなんだろう。謎。 一回どこかで手をついちゃったけど それ以外は特にミスは無く。 悪くはないけれど、もう1回見たいかと聞かれたら ちょっとビミョーだな。 パケット君は、すごいよ!演技が濃いよ!! なんつーーーか、 クリギンを薄く・上品にしたカンジだ。 (クリギンが下品ってワケじゃないんだけどね) 眠り薬でフラフラのところが最高にイイ!! ああ、またキャラクター系で見たいなあ・・・。 パ・ド・トロワは、なんといっても ティボーが良い。 成長株だな。今後が楽しみ。 メラニーは、彼女の「格」なら、 これくらい踊れても、ってカンジ。 ダニエルはちょっと踊りが重いかなあ。 セラフィナのシアラヴォラは、 良いも悪いもないような出番。 ストーリー的に必要なのかな。 パキータとリュシアンを取り合うとかは無かったよね。 2幕の将校二人も良かった。 ブシェとデュケーヌ。 伸び伸びと跳んでいた。 ベザール君を探せ!をトライしてみたけれど 5階からでは難しかったです。 なんちゅーーーか、 こんな単純な内容ならマールイの方が合うのでは?と ウッカリ思ったりして。 カーテンコールは紙テープと「SAYONARA」の看板に加え 金の紙吹雪。ダンサーが見えないぜ!] ラコット氏も出てきたけど、「いらんことしい」だよな。 と、思ったけど、彼がいろんなもんを復元したい!って言っても 即上演にはならんだろうから、誰かが頼んだんだよな。 依頼者なりスポンサーなりが「いらんことしい」か。 となりに5人ぐらいのグループが座っていたんだけど 暗転中に喋りまくる上に、 オレリーの2幕の回転で手拍子を入れようとしたよ! 「パキータ」でだよ!! 腹が立ったなあ・・・。 パキータ:オレリー・デュポン リュシアン・デルヴィイー:ジェレミー・ベランガール イニゴ:カール・パケット 将軍、デルヴィイー伯爵:リシャール・ウィルク 伯爵夫人:ミュリエル・アレ ドン・ロペス・デ・メンドーサ:ローラン・ノヴィ ドンナ・セラフィナ:イザベル・シアラヴォラ エマニュエル・ティボー:イザベル・シアラヴォラ パ・ド・トロワ:メラニー・ユレル、ノルウェン・ダニエル、エマニュエル・ティボー |
■2006/05/04 (木) 「ラ・バヤデール」ボリショイ・バレエ団 |
●マチネ● グリゴローヴィッチ版です。お話や演技は、マイムではなく、踊りで進めます。だから、ひたすら踊る。ニキヤvsガムザッティも踊りで表現。サクサクと話が進むので、見やすいっちゃ見やすいけれど、もっと余韻が欲しいよな、と、思うときもあります。男も女も、どこを観ても大柄。このラインを観ると、ああ、ボリショイだなあ、と思います。 演出は従来の版とほぼ同じ。オチが、ソロル一人が寺院へ懺悔(仏教だが)に行き、そこで寺院崩壊。それが、ソロルの心象風景なのか、ソロルの肉体から魂が抜けニキヤと一緒になれるのか、罰が当たって孤独に死ぬのかは、それぞれのソロル役の解釈によるのかしら? と、偉そうに書いていますが。実はあんまり、しっかり観ていませんでした。だって、ステパネンコが出ないし~~。うっかり5時半に起きて寝不足だし。午前中は某所で買い物をしていたし。前の席の親子連れ、隣の席のおばさん達、後ろの席のおばさん達、みんな勝手に喋っていましたが、気が抜けていたので、もう、どうとでもなれ状態。好きにすればぁ、と、思ううちに睡魔がやってくる。自分では結構起きていたと思っていましたが、ソワレを観たら、ああ、昼間は半分ぐらい意識がなかったなあ、と。寝てた、と言うより、半覚醒の状態がずっと続いていた、っていうのかな。これなら5分熟睡した方が良かったかも。紗幕の向こうをずっと観ていた気分でした。 そんな体調で観ていたので、記憶もあんまり定かではありませんで。アラシュとシプリナ、という並びは良かったと思います。寺院の踊り子と藩主の娘。控えめだけど芯が強いニキヤと、高慢なガムザッティ。その対比がしっかり出ていました。特にシプリナの脚の強さが印象に残りました。アラシュも良かった、と、思う・・・。フィーリンは、どうでしょう。ジャンプにミスがあったり、あんまり体調が良くないのかな?あと、私が座った席からでは、婚約式の上手座席が見えなかったので、ニキヤに対してソロルがどんな表情をしていたかもわからないんで、ちょっと彼のソロル像が掴みにくかった。少なくともヴァロージャのような「俺は悪くない」オーラは出ていなかったと思うんだけど。大柄の女性に挟まれると、ちょっと小さく見えるなあ。実は、時々ルジの幻影が現れていました。フィーリンに代わってルジが踊っている姿が見えるの。幻影を観るほど眠かったのね。 ソロルに恋人がいる、と聞いたときのラジャが、「じゃ、殺す」と、あっさり言っていたのが印象深かった。彼にとってみれば、バヤデールの命なんてそんなもんなんだよね。ソロルが命令(娘と結婚しろ)に従うのも仕方がない。権力者の横暴、なんて、簡単な話じゃないんだよね。大僧正は生臭坊主だけど、ソロルやガムザッティからすると、「ニキヤのフィールド」の人なんだよなあ。本当はこっちとくっつくべきなんだけど、と、「ジゼル」的な構図も見えたりして。 太鼓隊は大迫力。この迫力はボリショイだからこそだよなあ。女性の靴が黒だともっと嬉しいんだけど。個人的に。黄金の仏像は、素晴らしいの一言。彫像が踊っているようだった。これが本来の姿なんだよなあ。トルマチョフのような小柄な庶民顔じゃイカンのだよ。金のパンツに金のドーラン塗りたくり。臑毛を剃ってから塗ろうぜ。 オケはイマイチだなあ。パリ・オペより安いのはオケのレベルを下げたから?とか思うけれど、聞き慣れたマールイと比較するのがイカンのか。指揮はクリニチェフ。彼の指揮で聞くと、ソトニコフさんは叙情的な方なんだな。 ニキヤ:マリーヤ・アラシュ ドゥグマンタ:アレクセイ・ロパレヴィチ ガムザッティ:エカテリーナ・シプリナ ソロル:セルゲイ・フィーリン 大僧正:アンドレイ・スィトニコフ トロラグワ:ヴィタリー・ミハイロフ 奴隷:キリール・ニキーチン マグダヴェーヤ:ヤン・ゴドフスキー アイヤ:エウゲニア・ヴォロチコワ ジャンペ: ジュ・ユン・ペ、アリョーシャ・ボイコ、スヴェトラーナ・グニェドワ、 スヴェトラーナ・パヴロワ、アナスタシア・クルコワ、アナスタシア・スタシケーヴィチ パ・ダクシオン: ユリア・グレベンシュチコワ、オリガ・ステブレツォワ、ネリ・コバヒゼ、 ヴィクトリア・オシポワ、パーヴェル・ドミトリチェンコ、エゴール・クロムシン 太鼓の踊り:アナスタシア・ヤツェンコ、ゲオルギー・ゲラスキン、セルゲイ・アントノフ 黄金の仏像の踊り:デニス・メドヴェージェフ マヌー(壷の踊り):ダリア・グレーヴィチ 影の王国 第1ヴァリエーション:エレーナ・アンドリエンコ 第2ヴァリエーション:ナターリヤ・オシポワ 第3ヴァリエーション:アンナ・ニクーリナ 指揮:パーヴェル・クリニチェフ 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 ●ソワレ● マチネをボロボロの状態で観ちゃったので、大反省し、大休憩(笑)の間にしっかり休息を取り、体力を回復してソワレに臨みましたよ。お目当てのグラチョーワも出ることだし。 グラチョーワはね 神 ああ、拝もう。憂いを帯びた一幕前半、ソロルと会ったときの心からの喜び、ニキヤとの対決、婚約式での哀しみ、そして救いの手の拒絶。それを経ての幻影。演じ分けが実に見事。なにより、音楽的。オーケストラの音を一度身体の中に取り込み、身体の中で響かせ、それを放出しているような、そんなカンジ。マチネ二人が「音に合わせて踊っている」のとは、全然違う。そして、なにより、「プリマ」の輝き。格が違う。大スターなのだ。彼女を観て思う浮かぶ言葉は「天与の才」。天才なんだよな。師匠のウラノワ、姉弟子のセメニャカ、それに繋がる「天才」の系統。数年前に観たときは、その輝きに翳りが見えて寂しかったけれど、今回は大丈夫だった。神々しかった。これを観たかったのよ!とっても、とっても言葉では言い表せないわ。 アレクサンドワのガムザッティも素晴らしかった。彼女は、「ボリショイ所属のダンサー」ではなく、「ボリショイのプリマ」系だよね。今はまだ過渡期だけれど、必ずなれる。そんな気がする。藩主の娘としての気品、格、というものが感じられる。登場場面での踊りも難なくこなす。それよりも良かったのは、ニキヤが死ぬあたりの演技。彼女はあらゆる面で、ニキヤに勝てると思っていた。それが当たり前だと思っていた。殺す必要などなかったのだ。なのに、父が「気を利かせて」ニキヤを殺してしまった。彼女はソロルが「大人の分別」でニキヤと別れ、自分と結婚する気になっているのを確信し、その通りに事態が運ばれていたのに、父がニキヤを殺してしまったことにより、ソロルの心にニキヤの面影が焼き付いてしまったのだ。せっかく消えていたのに、死んだことにより、ニキヤはソロルの魂を奪ってしまった。ニキヤが死んだからこそ、ガムザッティはソロルの心を奪い返せない。ソロルは一生彼女を愛することはない。それがわかってしまったガムザッティだと思う。アレクサンドロワのガムザッティは。これはこれで切ない。そして、なによりの天罰かも。こういうガムザッティってのもアリなんだな~。 ウヴァーロフの代役ネポロージニー。いや~、やっと「同格の代役」だよ。涙が出るくらいありがたい。踊りのレベル的にも同格だし、踊りの質も体型も同じ方向。代役はこうでなくってはな。これがチャンスと思っているのか、ウヴァーロフ目当てでチケットを買った人の心は私がいただいていきますぜ!的な踊りでした。長い手足を生かし切った、伸び伸びとした踊り。ジャンプも回転系も、キレがあり、かつ正確。暑苦しくもなく淡泊でもなく、ちょうどいいカンジです。ハンサムだしな。ウヴァーロフのファンも、彼が代役なら満足でしょう。ソロルの解釈もイイ。ニキヤとは元々身分違い、というか、住む世界が違うのに愛し合っていた。それが「自分の世界」の「長」に命じられたから、ニキヤと別れ、ガムザッティと婚約する。辛いことではあるけれど、それが「世の理」であって、反する方が人としてダメなんだよな。ニキヤが蛇に噛まれたときも、大僧正が助けるから、ニキヤの世界の人が助けるから、それがわかっていたから、彼女の手を拒んだ。それがお互いのためだと。それが人として正しい道なのだと。でも、彼女は死んでしまった。影の王国で許されたとしても、自分の過ちに耐えきれなくて、寺院へ行く。最後は息絶えたよね。ニキヤにも見放されたか。 影の王国の、あの群舞は、「永遠の時」「永遠の世界」を表していると思ったけれど、今日は「黄泉平坂」に見えたなあ。 太鼓隊は、グラチョーワの回だからか、さっきより気合いが入っていたように思う。黄金像は岩田さん。神々しかった。 パリ・オペの不満が全て消し飛ぶ舞台でした。ステパネンコ降板で、横浜に行くのがちょっと憂鬱でしたが、俄然楽しみになってきました。 ニキヤ:ナデジダ・グラチョーワ ドゥグマンタ:アレクセイ・ロパレヴィチ ガムザッティ:マリーヤ・アレクサンドロワ ソロル:ウラジーミル・ネポロージニー 大僧正:アンドレイ・スィトニコフ トロラグワ:ヴィタリー・ミハイロフ 奴隷:キリール・ニキーチン マグダヴェーヤ:ヤン・ゴドフスキー アイヤ:エウゲニア・ヴォロチコワ ジャンペ: ジュ・ユン・ペ、スヴェトラーナ・グニェドワ、スヴェトラーナ・パヴロワ、 アナスタシア・クルコワ、アナスタシア・スタシケーヴィチ、ユリア・ルンキナ パ・ダクシオン: ユリア・グレベンシュチコワ、オリガ・ステブレツォワ、ネリ・コバヒゼ、 ヴィクトリア・オシポワ、パーヴェル・ドミトリチェンコ、エゴール・クロムシン 太鼓の踊り:アナスタシア・ヤツェンコ、ヴィタリー・ビクティミロフ、 アンドレイ・ボロティン 黄金の仏像の踊り:岩田守弘 マヌー(壷の踊り):アンナ・レベツカヤ 影の王国 第1ヴァリエーション:エカテリーナ・クリサノワ 第2ヴァリエーション:ナターリヤ・オシポワ 第3ヴァリエーション:アンナ・ニクーリナ 指揮:パーヴェル・クリニチェフ 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 |
■2006/05/10 (水) 「ファラオの娘」ボリショイ・バレエ団 |
エジプトを訪れたウィルソン卿は、嵐のため避難したピラミッドの中で夢を見る。 夢の中で彼はエジプト人タオールとなり、従者のジョン・ブルもパッシフォンテとなる。美しい王女アスピシアと恋に落ち、彼女をライオンから助けたことにより、ファラオより宮殿に招かれ貴人として遇されるが、アスピシアとヌビア王の婚約が発表されたため、二人は駆け落ちする(従者付き)。漁村に身を寄せていたが、タオールとパッシフォンテが漁に出かけている間にアスピシアはヌビア王に見つかり、ナイル川に身を投げる。タオールとパッシフォンテは捕らわれる。アスピシアの愛に打たれたナイル川の神達は、アスピシアを蘇らせ地上に送り返す。宮殿ではタオールとパッシフォンテが処刑寸前だったが、アスピシア到着により処刑は中止。一度は怒ったファラオだったが、タオールとの仲を許す。 そこでウィルソン卿は目覚める。 豪華絢爛だけど、単調、と聞いていましたが、まさにそんなかんじ。ラコットさんなので、盛り上がりに欠けるのよ。全3幕なんだけど、中村B3本立てみたいなもん。1幕の、弓を持った女性達の群舞は良かった。衣装も可愛いし、それでいて勇ましい。これなら最後まで楽しめるかな~、と思うんだけど、いかんせんパ・ド・ドゥになると、似たような振付が続く上、単調なもんで、テンションが急降下。それが3幕まで続くので、最後の方は気が抜けていきました。2幕は思っていたほど豪華じゃなかった。そして、「すごつよ」チックな踊りがあった。あの壁画のポーズから踊りを作ると「すごつよ」になるんだな、と、思いました。 主役達の衣装替えが多かった。アスピシアは8回だっけ?タオールも、よくよく見るとマイナーチェンジしていたりして。衣装を追いかけるのも見所の一つになっていましたね。 とにかく団体戦の力業。体格の良い人たちが舞台を埋め尽くしているのは圧巻。だけど、それでなにをしているかというと、なにもしていないんだな。もっと踊ってくれればねえ。プティパの時代なら、さぞかし楽しかったんだと思う。エジプトなんて別世界だもんね。それをヨーロッパで「なんちゃってエジプト」を見せるんだもん。素晴らしい娯楽だったと思うわよ。でも、残らないのには、それなりにワケがあるんだなあ、と。なんで復元したんでしょ。 単調な理由のひとつは、音楽にも理由があるかも。とにかくフレーズが印象に残らない。面白みがない。オケの音自体は良かったと思う。それはバヤデルカほど、音に台詞を必要としなかったからだろうなあ。とにかく、明るく音を出せば、それでOKな音楽。 アスピシアのアレクサンドロワは日本では初主演。堂々としていて、真ん中に立つのは違和感なし。ただ、やっぱり、姫キャラじゃないなあ。王女ではあるけれど、王位継承者の王女、って風格。身投げするよりヌビアと戦をおこす方が似合いそうだ。陣頭指揮しそう。ちょっと顔が前の方に出ているのが気になるかな。ちょっと檀ちゃんっぽいかも。ラムゼも持ち役らしいけれど、そっちの方が似合うかも。姫に見えないわけじゃなんだけどね。 今回1回しか見ないツィスカリーゼは思っていたより全然普通だった。ちょっと物足りない。でも、あの衣装があそこまで似合えばいいのかなあ。アイメイクもバッチリだったし。エジプト人にしか見えなかったよ。アレクサンドロワと並ぶと、ヨーロッパの姫君とエジプト人の恋物語のようだった。まさに「王家の紋章」だね。ちょっと調子が悪いのか、アレクサンドロワが大きく重いのか、本人に技術がないのか、サポートでミスがあったな。踊りは、なんつーか、良いのか悪いのか。難しい踊りをしていることはわかるけれど、盛り上がって拍手喝采系ではないんだよね。相変わらず、体格や顔に似合わず、音を立てない踊りだわ。個人的にはエジプシャンな衣装より探検家ルックの時の方が好き。きっちり着込んだ上で出てくるオーラの方がナマ腹より濃いと思うのよ。 ラムゼのヤツェンコは可愛らしかった。足先をトントントンと打ち付けるところが特に。姫様に忠実な侍女でした。パッシフォンテはメドヴェージェフ。黄金像では無表情だったけど、こちらはコミカルな演技で笑わせてくれました。ジャンプも高かったです。 その他に印象に残ったのは、漁師の妻のシプリナ。お嬢様より奥様の方が好きかも。あと猿!猿!猿!猿の岩田さん!!!可愛かった~~。なでたいよ~~。私もオレンジをあげて、つっつきたいわ~。あとは、印象に残りにくいなあ。ソリストがばんばん出て、難易度の高い踊りを踊っているのはわかるんだけれども、一度では把握できないわ。ナイル川の神の衣装にはビビったけどね。 お馬のケイコちゃんは、ちょっとご機嫌斜めだったかしら?前足がちょっとバタついていましたよね。暴走するんじゃないかとドキドキしちゃった。 まあ、話の種に一度見るぐらいならいいけれど、もう一回はあんまり見たくないなあ。役の掘り下げようがないから、どのダンサーで見ても同じじゃないかという印象。ニーナなら見てみたいけれど。 最後、アスピシアがウィルソン卿に戻ったタオールに投げキスをする。ウィルソン卿には夢だったことでも、アスピシアの世界では本当にあった出来事だったのかも、と思わせるところは、ちょっと好きかも。 【配役】 アスピシア:マリーヤ・アレクサンドロワ ウィルソン卿(タオール):ニコライ・ツィスカリーゼ ジョン・ブル(パッシフォンテ):デニス・メドヴェージェフ ラムゼ:アナスタシア・ヤツェンコ 漁師:ユーリー・バラーノフ 漁師の妻:エカテリーナ・シプリナ パ・ダクシオン 第1ヴァリエーション(女性):ナターリヤ・オシポワ 第2ヴァリエーション(女性): アンナ・レベツカヤ、ダリア・グレーヴィチ、アナスタシア・クルコワ 第1ヴァリエーション(男性):ヤン・ゴドフスキー 第2ヴァリエーション(男性):アンドレイ・ボロティン 二人の騎士:ゲオルギー・ゲラスキン、エゴール・クロムシン 河 第1の川-グァダルキヴィル:エカテリーナ・クリサノワ 第2の川-コンゴ:アンナ・ニクーリナ 第3の川-ネヴァ:エレーナ・アンドリエンコ ファラオ:アンドレイ・スィトニコフ ヌビア王:アンドレイ・メラーニン 猿:岩田守弘 ナイル川の神:ゲオルギー・ゲラスキン ナイル川の神の召使い:エゴール・クロムシン、アルテム・ヴァフティン、 ヴィクトル・アリョーヒン、キリール・ニキーチン 女人像柱: ヴィクトリア・オシポワ、アンナ・ニクーリナ、アンナ・バルコワ、クセーニャ・ソローキナ 高僧:アレクセイ・ロパレヴィチ 黒人の奴隷:アレクサンドル・ペトゥホフ 指揮:パーヴェル・クリニチェフ 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 |
■2006/05/19(金)、28(日)「こうもり」新国立劇場バレエ |
■2006/05/19(金)フェリ&テューズリー&小嶋直也 倦怠期の夫婦。五人の子供を育てて、ちょっと生活に疲れている妻のベラ(フェリ)。夫のヨハン(テューズリー)に女として見て貰いたくても、彼にその気はない。家族が寝静まるとヨハンはこうもりの羽をつけ、盛り場へ飛んでいく。夫婦の友人ウルリック(小嶋直也)は、ベラにも変身を勧める。妻とは知らず、美しい女性に魅了されるウルリック。彼女を追いかけすぎて騒ぎになり、ヨハンは投獄される・・・。 わかりやすいコメディ・バレエ。でもプティだから小粋でお洒落。ALLフランス人だったら、もっとお洒落だったのかなあ。もともとがオペレッタなので、曲も美しい。美術も素敵。カフェのガラス越しの影とか、牢獄のシンプルさとか。シンプルだけど、決して地味ではないんだよね。20分の休憩入れて2時間ぐらい。短くてあっという間に終わるけれど、見せ場だらけで大満足。 フェリ。前半の「主婦」が、すごく新鮮だわ。可愛いわ~~。それが「変身」すると、コケティッシュな小悪魔なんだよね~~。やっぱ役者だわ~~。女優なのよう~~~。と「~」が多くなるけど、ファンだから仕方がないわよねえ~~~。技術的には相変わらずなんだけどねえ。カルフーニとかラカッラとかなら、もっと地面に突き刺さるような鋭い動きになるんだろうなあ、と思うところがいくつかあったけど、まあ、フェリだから。演技重視ということで。ああいう水着タイプの衣装は「カルメン」でも似合っていなかったけど、それがフェリだから。ああ、私って誉めているのかけなしているのか。ぜんぶひっくるめてフェリなのよ。 テューズリーのヨハンがとっても良かった!以前、「ロミジュリ」とか「マノン」で見たときは「生真面目」って印象だったので、今回はどうかなあ、と思ったけれど、似合いまくり。こうもりの羽をつけてのフライングでも、手足のバサバサ振りが実にLovely。適度なうさん臭さがいいと思うの。しかも!鼻ヒゲが似合う。そのうえ黒燕尾服が似合う。ビジュアル、バッチリだーーー!フェリとの身長差もいいじょ。 で、代役の小嶋さんだ!いや~~、いいねえ。コミカルな演技がツボに入りまくりでした。うほぉ!舞台にちょっとでも姿を見せると、視線がそっちに引きつけられちゃんだよなあ。でもでも、やっぱ手足のラインが実に美しくって。テンション高い演技なんだけど、踊りに影響することはなく、軸もブレないよ。急な登板だけど頑張って!の意味なのか、登場時から大きな拍手がおこっていました。 メイドの楠元郁子さん、ギャルソンのトレウバエフ、江本拓さん、奥田慎也さんも良かった。カンカンは、もうちょっと色気があってもいいかもなあ。私の好み的に。群舞は、もうちょいなのかな。雰囲気が。2幕冒頭が、もうちょっと・・・という気が。まあ、踊り込んでいけば良くなりそう。 オープニング。円周ライトが回る逆方向に、男性ダンサーが膝から下だけ動かして歩いていたんで、周り盆があるかと思っちゃいました。監獄で、白いワイシャツ腕まくりに黒ベストの人を見て、タニオカくんのフィッツジェラルドを思い出しました。 ■2006/05/28(日)湯川麻美子&山本隆之&八幡顕光 本日は4階最後列。ちょっと失敗。1幕のヨハンが飛び立つところが見切れちゃうのよ。それに、湯川さんの脚を堪能するなら前方席の方が良かったなあ。もっと近くで見れば良かったと大後悔。私は湯川さんの脚が好きなのよーーー。 湯川さんのベラ。1幕前半は、「生活に追われている主婦」ってカンジかな。こういう人は身近にいそうだ。ウルリックの冗談も3回目は聞き飽きたのかしら。寝間着の時はヤル気まんまん。でも振られちゃうのよね。この辺り、生活感があったので、後半との対比がクッキリでした。ウルリックにそそのかされて、だんだんその気になっていくところが楽しい。そして、ビスチェでございますよ。脚のラインが綺麗ですねーーー。一階で見たら、もっと美しく感じただろうなあ。動きもクリアでした。ビスチェも良いけど、最後の黒いドレスも美しかったです~。踊りとしては監獄のあたりが良かったな。解説に寄れば、「妻の魅力に夫が屈服する」なんだけど、それが、力任せで屈服させるのではなく、内面から滲み出てくる美しさ・優しさ・穏やかさを、夫が再確認するっていうのかなあ。外見の「女の魅力」だけではなく、もっと根本的な部分をわかりあったような、そんなふうに思いました。だから、最後のハッピーエンド感も増したような。 山本さんのヨハン。1幕前半で妻を拒絶するところは、ちょっと王子が入っているかな、と思いました。優雅で素敵だけれど、ヨハンとは違うような、と。でも、こうもりの羽をつけてからがねーーーー。 この男(ヨハンね) ムカツクーーー ってぐらい、浮かれヤロウでした(笑)あ~、遊びに行くのがそんなに楽しいのねえ。その変わり振りが、なんというか、微笑ましくも腹立たしい(注:あくまでもヨハンとしてね)。黒い衣装も似合っていたし、黒燕尾服もバッチリでしたよ。プティの脚技も綺麗でした。あ、口パクだけは、「もうちょっと頑張りましょう」でした。 八幡さんのウルリックには、ヤラれましたよ。チャップリンというよりは浅草六区なんですが、どこからどうみても、隙無く、喜劇役者でした。すごいなーーー。握手の腕を振りすぎるなど、どこを取っても様になっている。えーと、えーと、コアなたとえで言えば、エマー・エージェンシーみたいな。その雰囲気を壊さないまま、あの小刻みなステップで踊るんだからねえ。ビックリです。小嶋さんのウルリックは大人でしたが、八幡さんのウルリックはオヤジでした。素晴らしい芸でした。 他は、前回とだいたい同じような印象。トレウバエフは踊りまくり。美術が良いなあ。 |
■2006/06/11(日) 「ジゼル」K バレエ カンパニー |
「ジゼル」の古典版改訂って、基本的には、全体的な流れを変えず、アルブレヒト像のあたりの演出は変える、ってイメージがあったのですが、こちらは、ちょいと流れが変わっていました。ペザントが前半。ジゼルのソロはバチルドに踊りを所望されたから、彼女の前で。ストーリー的には変わっていないんですが。各人のイメージは ・アルブレヒト&ジゼルはよくわからん。 ・ベルトは、地主さんみたいな。娘達に葡萄の収穫を命じていました。 ・ヒラリオンは、すでに母公認。 ジゼルに対しては、純粋な愛情だけでなく 「オレの女」的な雰囲気がありました。←あんまり好きじゃないな ・バチルドは、なにもわからない、おっとりしたお嬢さん。 ジゼル狂乱も、ただただ「可哀想なジゼル」に同情しています。 自分の婚約者が、身分を偽って火遊びしていたことに対しては あんまり理解していないみたい。 ジゼルが死んだときは悲しそうでした。 ・公爵はジゼルに対し、肩をすくめるなど、 あんまり深刻には考えていなさそう。 「ジゼル」って登場人物が少ないので、ジゼル、アルブレヒト、ヒラリオン、ミルタの演技が噛み合わないと物語にならないんですが、その4人が、まったく違う方向を向いていたので、なんちゅーか、ちょっと発表会チック。熊川くんは跳んでいるんだけどねえ。数少ないジャンプは張り切って跳んでいたけどねえ。ミルタに近づいていくジャンプが一番難しいと思うんだけど地味なので、そこは客の反応無し。もったいねぇ~~~。 発表会チックになった、その最たる原因はデュランテでしょう。ロイヤル時代は好きなダンサーだったんだけどね。思えば、ここで「白鳥」を見たときも、かつての輝きは殆ど失せていたんだよなあ。でも、「かつて世界のトップクラスにいたダンサー」のオーラは、やっぱり常人には出せないので、そのオーラでもって「オデット」で表現すべき殆どのことをカバーしていたんだけど。。。今回はそれより劣化は進んでいるし、村娘ではそんなオーラは必要ないし。なんだか、いつまでたっても「ジゼル(という役)」が見えてきませんでした。身体能力的には、それほど劣っていないので、脚を上げたり、回ったりは、形にはなっています。でも、それだけなんだな。ABTのダンサーは、「物語を紡ぐ」のではなく、「音楽に合わせて踊る」だけど、本日のデュランテはそこまでもいってない。たんに身体を動かしているだけ。動いているんだけど、ただ、それだけ。 な、もんで、見ていて、とってもつまらなかったよ!!! そういう「ジゼル」が相手なんで。アルブレヒト像も全然掴めない。遊びじゃないんだ!本気なんだ!系だとは思うんだけど、いかんせん、「行間から滲み出す」ものが二人の間に全く無いもんで。これほどまで愛していた、とか、そんなのが感じられないんで。ジゼルがバチルドから貰ったネックレスを見て、ビックリ~のあたりを含め、演技が全く空回りしている。勿体ない。とっても勿体ない。彼が出る日の入場料を高く設定するために、「それなり」のダンサーを相手役にする必要があるんだろうけど。これなら、Kの自前のダンサーをジゼルにして、デュランテはミルタに回すぐらいの方が良かったと思うなあ。その方が「身分違い」も出てくるだろうし。デュランテは嫌がるだろうけど。 ミルタは、私の「ミルタ」のイメージからはほど遠い。威厳はなく、ただ若い。妖精を統括する人ではない。頭の飾りもゴテゴテしすぎ。 ヒラリオンは粗野系。キャシディはヒゲが似合うけれどね。デュランが無理して取り合うようなジゼルじゃないんで。アルブレヒトと同じく空回りっぽい。アルブレヒトとの対決場面は良いので、やはりジゼル役がダメなんだろうなあ・・・。 バチルドは、私はチケットを買ったときは全然知らなかったのですが、天野裕子さんでした。 こたつこと、達つかささんです。 聞いたときは、とってもビックリしましたよ!どんなお姫様になるのかな~~、と思っていましたが、バレエの厚化粧により、達つかさの女装でした。いや、ちゃんと女性でしたけど。おお、こたつだよ~、って顔立ちだったんです。さすがに大舞台に慣れているので、2階最後列の私のところにも、演技が伝わってきますよ。う~ん、ただ、彼女自身の表現ではなく、演出のせいだと思うけれど、あくまでもお嬢様であって、お姫様ではないなあ。あんまり貴族っぽくないし、アルブレヒトに対して、どんな気持ちなのかわからんのです。例えばですが、吉岡さんのように「火遊びはここまでよ」と線引きをするわけでもなく、井脇さんのように「あなたの短慮がどれだけの人を苦しめるかわかっているの?」と責めるわけでもなく、浜野さんのように、「なぜ?なぜなの?」と、じっとアルブレヒトを見るわけでもない。ただただ、錯乱するジゼルに同情するだけ。なんか、ジゼルしか見てないみたい。それゆえ、物語が深くならなかったような。 公爵も、なんか軽すぎ。ジゼルに対しての肩のすくめ方は、「ドン・キ」における、街の人達がガマーシュやキホーテを見る表現と同じなんだよなあ。もう少し、「身分」とか「階級」とかを、前面に押し出して欲しかったな。私の好み的に。 2幕の群舞は、人数が少なめなせいか、いまいち映えない。まだまだ、「白い群舞」には遠すぎる。パ・ド・シスは、、、、まあ、、、、若い人が張り切っていたよ。特に輪島さんが。 熊川氏は、セカンドキャスト止まりでいいから大バレエ団で文学作品を踊って欲しいと前は思っていたけれど、最近の彼の演出のセンスを見ると、こういうのを見られるのなら、外に出ても良かったな、と、思うようになりました。美術のセンスとかがいいんだよなあ。今回はピーター・ファーマーが美術担当。振付はほどほどだけどね。 否定的なことを多く書いたけれど、あくまでも私の好みということで。とりあえず、デュランテの「眠り」のビデオを見よう・・・。 ジゼル:ヴィヴィアナ・デュランテ アルブレヒト:熊川哲也 ヒラリオン:スチュアート・キャシディ ペザント(パ・ド・シス): 長田佳世、輪島拓也 前田真由子、小林絹恵、ピョートル・コプカ、アレクサンダー・コーウィー ジゼルの母親ベルト:サンドラ・コンリー クールランド公爵:ギャビン・フィッツパトリック バチルド:天野裕子 ウィルフリード:エロール・ピックフォード ミルタ:松岡梨絵 モイナ:長田佳世 ズルマ:柴田有紀 |
■2006/06/16(金) 「バレエ・フォー・ライフ」モーリス・ベジャール・バレエ団 |
以前、バレフェスか何かのガラ公演で抜粋を見たときは えらく感動し、衝撃を受けましたので 通し公演を楽しみにしていたのですが・・・・ なんでだか、 全然ダメでした、私には。 私の体調が悪かったのが 一番の原因だと思うのですが。 なんか、 ベジャールの全幕は 「外国語」って認識になっちゃうみたいで。 私とは違う言語体系で構成されている、 って印象が先に入ってきちゃうんですよ。 なんででしょう。 ベジャールの「言語」が 体に入ってきませんでした。 う~~ん・・・・・・・・・・・・。 会場は、いつもと若干違う雰囲気。 QUEENファンなのかな? イッツ・ア・ビューティフル・デイ:カンパニー フレディ:マーティン・ヴェデル タイム/レット・ミー・リヴ:カンパニー ブライトン・ロック:カルリーヌ・マリオン ヘヴン・フォー・エヴリワン:ステファン・ブリ 天使:ウィリアム・ペドロ ボーン・トゥ・ラヴ・ユー:カトリーヌ・ズアナバール モーツァルト「コシ・ファン・トゥッテ」 カインド・オブ・マジック モーツァルト「エジプト王タモス」への前奏曲 ゲット・ダウン・メイク・ラブ モーツァルト「協奏曲第21番」:ヴィト・ルチアーニ – エリザベット・ロス シーサイド・ランデヴー:カテリーナ・シャルキナ テイク・マイ・ブレス・アウェイ:ルース・ミロ モーツァルト「フリーメーソンのための葬送音楽」:バティスト・ガオン Radio Ga Ga:ウィリアム・ペドロ ウインターズ・テイル:ヴィクトル・ヒメネス ミリオネア・ワルツ:パスカル・アルベリコ ラヴ・オブ・マイ・ライフ―ブライトン・ロック ボヘミアン・ラプソディ:マーティン・ヴェデル ブレイク・フリー(フィルム):ジョルジュ・ドン ショー・マスト・ゴー・オン:カンパニー |
■2006/06/20(火),21(水) 「ラスプーチン」 ルジマトフ&ノーヴイ・インペルスキー・ルースキー・バレエ団 |
■2006/06/20(火) チラシの写真のイメージ通りの作品でした。 うはぁーーーっ 端正な王子とか、クラシカルなルジがお好みの人はダメかもしれませんが、 薄汚いヒゲ面で ウロウロするルジ が、お好みの人なら、もうたまりませんなあ。。。 最初から最後まで、うはーーーーー、な私でした。 女を侍らせているルジって、ありそうでなかったよなあ。 酒池肉林はあったけど、女に傅く方で、傅かれる方じゃなかったよね。 オマケに熊だよ!熊と踊ったんだよ!!! うひーーーーー。 テンション上がりっぱなしでした。 はーーーーー、幸せ。 話自体はごくごく単純です。 放埒でカリスマなラスプーチン。 息子の病気(血友病)を憂う皇后。 最初はラスプーチンを信頼しつつも、次第に疎んじる皇帝。 病気だけど明るく素直な皇太子。 そして、皇帝一家の守護天使。 超自然的な力を用い、皇太子の病状を安定させ、 皇帝一家の信頼を得るラスプーチン。 権力を掴み、宮廷の中心に入り込んでいくが、 あまりにも放埒すぎるため貴族に嫌われる。 守護天使は皇帝一家を守ろうとするが、 ラスプーチンの前には、なすすべもない。 息子のために、ラスプーチンに縋る皇后。 やりたい放題のラスプーチンにとって、皇后は唯一の聖域。 二人の間に肉体的な関係はないのだが、 あまりにも親密・濃密な関係に、 皇帝はラスプーチンを疎んじ始める。 皇太子の病状が悪化し、ラスプーチンは殺害される。 しかし、 ラスプーチンは、 皇帝一家の命を、 そしてロシア帝政そのものを、道連れにする。 ネタ的には、30分ぐらいの1幕ものでいいのかなあ、と思うけど ラスプーチンという人を描くには、 30分じゃ失礼じゃろう、ってカンジかなあ。 話自体は終わっても、短くまとめちゃイカンかね、みたいな。 そのため、水増し部分がありまする。 特に1幕の水増し部分の「酒場でのどんちゃん騒ぎ」が 似たようなパターンの「ロシア民族舞踊」を3回ぐらい入れるので、ちょっと飽きる。 後半のそこは「カンカン(風)」と「スパニッシュ」と「タンゴ」と 熊 なんで、飽きない。 なぜ、ここで、タンゴ?と思いつつも、楽しめました。 熊の着ぐるみには目が釘付け。 ルジを見たいのに、タンゴのお姉さんの脚も見たいのに 神経の一部が熊に引きつけられる。 うほーーー。 ルジのラスプーチンは、こりゃ、もう、ねえ。 なんちゅうかねえ。 カリスマ 彼のカリスマ性が、いかんなく発揮されていました。 男性の背を伝って乗り上がるリフトとか、 普段目にしない動きなので、すっごく新鮮。 身体は動いている。申し分なく動いている。 それは、「身体を動かしている」のではなく、 内側から放出されるエネルギーで、 身体が動かされている、ってカンジだなあ。 本当に、 完全なる憑依だね。 黒も似合うが、赤も似合う。 ああ、ありがたや。 9人のルジを拝もう。 ![]() なんていうか。 ある種の「出オチ」だよね。 内容とか、そんなことより、 ルジをラスプーチンにキャスティング。 そのことだけで、すでに価値がある作品。 齋藤くんの宛て書きのようなものだわね。 皇后アレクサンドラは、マールイのエフセーエワ。 同名の他人だと思ってたけど、ゲスト出演だったのね。 オペラグラスで覗くと、青いシャドウばっちりの若いお姉さんだけど 1階ほぼ最後列から見ると、気品のある皇后陛下でした。 白いイメージでした。 長い裾の服なのに、脚が上がる、すごく上がる。 ラスプーチンのついては、肉欲の一片も持っていない気高さを示しつつ、 でも、縋るしかない、離れられないって雰囲気が良く出ていました。 皇帝は、神に祈っていたのが印象的。 帝政が倒れた後、神を否定する国になるんだよね。あの国は。 それを言うなら、アレクセイも。 これだけ両親が手を尽くしたのに、 病気ではなく、 革命による銃殺で命を落とすんだよね。 それを思うと、彼(ダンサーは女性だけど)の明るさに涙が出てきます。 天使は、儚いなあ。 ラスプーチンに、かないっこないよね。 彼を消滅させるのに全ての力を注いだので、 彼を消滅させるのと同時に自分の力も失い、 皇帝一家を守護することができなくなったのか? 他のキャストは20人ぐらいなのかな? 「ロシアの民族舞踊」は、迫力があった。 この辺が本領なのか? でも、宮廷の風景の方が、カンパニーの雰囲気に合っていたような。 金髪ロン毛の人が目立っていたなあ。 酒場の兄ちゃんとか軍人とか、いくつかの役があるのに 髪型は殆ど同じだったので、 軍人の時は髪を括るとか、もちっと工夫があるといいかもね。 各人の演劇性は高かった。 振付は、ある意味単純なんだけど、 ネタで乗り切ったような。 でも、戦争の場面(だと思うのだけど)で 群舞の中に、いつのまにかラスプーチンがいたりして。 その辺の構成はうまいなあ、と。 群舞の処理は時々、ヅカの総踊り風味。 この言葉が悪ければ、「ショーっぽい」っていうのかな。 ルジが時々「踊る男 S」だったな。 (私は好きだけどね) ラスプーチンと言えば、私なんかは、 「怪僧」「妖僧」ってイメージなんですが、 ルジの言葉の中には「聖人」ってのがあって。 帝政ロシアを傾けた一因のラスプーチンって ソビエト連邦から見れば「聖人」なのか、と それが、ちょっとビックリ。 その彼を、「怪僧」という面も盛り込めるようになったんだと、 時代の流れも感じたり。 少人数のバレエ・カンパニーの創作作品って、 こんななんだなあ、と、そういう面でも興味深く。 舞台を広く感じさせないし、 前半はちょっとダレたけど、2幕は最後まで突っ走った。 某氏の「ロミジュリ」とか「TAKETORI」よりは ずっと面白い作品でした。 ■2006/06/21(水) 昨日に引き続き、2回目の「ラスプーチン」です。 初回の衝撃は薄れたので、今日はひたすらルジを堪能。 いいねえ、このビジュアル。 私のハートにジャスト・ミート。 ルジって、「ぎりぎりクラシック」って部分があって。 古典の王子やるには少々異端、 でも、クラシックから見た異端のモダン(コンテンポラリー)に行くと、 全然違って、やっぱ古典の王子系の人だよなあ、と思って。 そのポジションには彼しかいなくって、 それが「孤高」の魅力にも繋がるけれど、 それは「どっちつかっず」にも通じる、って面が 以前はありました。 最近はかなりな部分を超越して「ルジマトフ」という存在になっていましたが (そう、「あれは紫吹淳という名の生き物」に通じるような存在) この「ラスプーチン」でさらに超越しちゃった、っていうか、 振り切っちゃった、っていうか。 どこまで行くのか、今後が楽しみ。 しかし、日本人(のうち、平日に新宿に行ける人)は幸せだ! ルジの「ラスプーチン」の写真を見たときは、 まさか、東京で見られるとは思わなかったよ!!! これほど、彼にピッタリな作品はない。 彼に合わせて作られた作品で、これほど彼の個性を生かした作品はない。 ああ、ありがたや。 昨日と今日の違い。 今日の方が、ラスプーチンと皇后の距離が縮まっていた。 もしかして、作品的にはその方が正しいのかもしれないけれど 私は昨日の「距離感」の方が好きだったな。 「越えられない溝」が好きだった。 ルジは、最後の表情がちょっと違ったかな。 昨日の方が目の見開き度というのか、白目の範囲が広いというのか、 自分の「生」が、突然中断させられた驚愕、って雰囲気が強かった。 今日はもうちょっと、、、なんというのか、、、 ちょっとだけ達観してたかな? エフセーエワは、体のラインが綺麗だなあ。 気品がある。 良いダンサーに育ったものだ。 「明るいお嬢さん」の時も好きだったけど このところ、体のラインだけでなく、 演技や、内面や、芸術性も深まってきていると思う。 そろそろ「白鳥」なども見てみたいけど、 せっかくの「姫役者」をオーロラから外すわけにはいかないしなあ。 今日も熊は健在。 可愛いなあ。 おばちゃんがよくやる「あら、あら」みたいな 手の振りが可愛いのだ。 カーテンコールでも、その振りは忘れないのだ。 なんで、ここで、熊? なんて考えちゃいけないのだ。 今日は言わなかったけど、昨日は友人と一緒だったこともあり カーテンコールの時は熊ばっかり見て 「くまーーー、くまーーーーーー」と唸っていました。 お隣のお姉さんも「くま」と呟いていたので 熊はインパクト大ですよね。 民族舞踊部門。 私はド金髪の彼より、黒ずくめのウェイターの方が好きだな。 タンゴは素敵な振付。 バレエチックなタンゴ。タンゴチックなバレエ。 お姉さんの脚が美しすぎる。 ![]() |
■2006/06/23(金) 「愛、それはダンス」モーリス・ベジャール・バレエ団 |
ベジャール作品の名場面集。寄せ集めではなく、ちゃんと一つの「作品」として成り立っていました。いくつかの場面を繋ぐのは、「ロミオ」と「ジュリエット」。 この中で、特に見たかったのは「春の祭典」でした。あれが、西洋人の肉体・骨格で踊るとどうなるのか、とっても興味があったのです。見た結果は「大迫力!」。こういう体格の人のために振り付けられたのか、と、頭で想像していたことが目の前に現れて感動しました。東バが悪いワケじゃないんですよ。ただ、初期値はこれなんだなあ、と。 「ギリシャの踊り」も、そんなことを考えました。ギリシャ、屋外の風景、地中海の日差し、野趣。そんなことが感じられました。 いくつかの作品には、仏語の台詞有り。その辺は、私はダメで。台詞自体ではなく、「意味のある外国語」が舞台で飛び交っているのがイヤなんです。特にその言葉が踊りと密接な関係にありそうな場合が。「イサドラ」のプリセツカヤのラテン語は、すでに「音楽」なので構わないんですけど。 そういった、作品に漂う「外国語感覚」も、東バで「無性化」されると、本質は残しつつも見やすくなるんだなあ、と、ちょっと思ったり。東バの表現は、アレはアレでアリなんだなあ。 「ルミ」が良かった。民族舞踊のベジャール化。他の団体だと「バレエ」とか、別なものになりそうだ。ここでは、あくまでも「ベジャール」。本家だからこそ、だね。 うまく書けないけれど、すごく良かった。 春の祭典 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー ルイザ・ディアス=ゴンザレス – ティエリー・デバル 全員 ロミオとジュリエット 音楽:エクトール・ベルリオーズ カテリーナ・シャルキナ – ジュリアン・ファヴロー ダフニ・モイアッシ – バティスト・ガオン オード・ブレトルズ – フランソワ・モウデュー ヴィットリオ・ベルトリ、ステファン・ブリ、ドメニコ・ルヴレ、 那須野圭右、ウィリアム・ペドロ、ヘクトール・ナヴァロ、 ウェン・シーチー、オスカー・シャコン ヘリオガバルス 音楽:チャドの伝統音楽 カルリーヌ・マリオン – ヴィト・ルチアーニ セリーヌ・シャゾ – ニール・ジャンセン わが夢の都ウィーン 音楽:アントン・ヴェーベルン ‐リヒャルト・ホイベルガー ルース・ミロ – ヴィクトル・ヒメネス さすらう若者の歌 音楽:グスタフ・マーラー ウェン・シーチー – アレッサンドロ・スキアッタレッラ ギリシャの踊り 音楽:ミキス・テオドラキス カトリーヌ・ズアナバール – マーティン・ヴェデル ステファン・ブリ – ウェン・シーチー – バティスト・ガオン 那須野圭右 – ヴィットリオ・ベルトリ – パスカル・アルベリコ アレポ 音楽:シャルル・グノー ダリア・イワノワ ウィリアム・ペドロ 女性全員 ブレルとバルバラ 音楽:ジャック・ブレルとバルバラ 行かないで エリザベット・ロス いつ戻るか教えて ジル・ロマン ヴァルス 全員 愛しかない時 ルース・ミロ – ヴィクトル・ヒメネス エレガンスをもって ジル・ロマン ルミ 音楽:クドシ・エルグネル 男性全員 カスタ・ディーヴァ 音楽:ヴィンチェンツォ・ベリーニ 女性全員 ロミオとジュリエット 音楽:エクトール・ベルリオーズ カテリーナ・シャルキナ – ジュリアン・ファヴロー 二つの大戦の間 音楽:チェイク・イマム オスカー・シャコン – ステファン・ブリ バレエ・フォー・ライフ 音楽:クイーン「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」 エリザベット・ロス カテリーナ・シャルキナ – ジュリアン・ファヴロー ヴィットリオ・ベルトリ – バティスト・ガオン – ニール・ジャンセン バレエ・フォー・ライフ 音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト「ピアノ協奏曲第21番」 カルリーヌ・マリオン – ティエリー・デバル レティシア・レスカ – ステファン・ブリ そしてもっと先へ 音楽:ヨハン・シュトラウス パスカル・アルベリコ 海 音楽:U2 男性全員 春の祭典 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー 全員 バレエ・フォー・ライフ 音楽:クイーン「ショー・マスト・ゴー・オン」 全員 協力: 東京バレエ団 |
■2006/07/15(土) 「華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」レニングラード国立バレエ団 |
昨日から開幕しましたマールイ夏公演。 My初日は入間。遠く思うけど、距離的には横浜に行くぐらいなんだよねえ。 舞台は狭め。 コールドも狭い舞台に合わせたフォーメーション。 殆どの人が舞台を目一杯使っても全然足りない、ってカンジ。 普通に動いたら舞台の真ん中までしか行かないのに、 すでに舞台の3分の2まで来ちゃってるよ!みたいな。 微調整が大変そうだわ。 ルダチェンコはジャストサイズぽかったけどね。うほ! 本日は7列目でした。こんなに近くで見るのは久しぶり。 「白鳥の湖」より第1幕2場 コシェレワ&シャドルーヒン、フィリモーノフ 他 コールド12名、に大小の白鳥4名ずつ。 よく舞台に乗ったなあ。すごく踊りづらそう。 一人、太めの人がいたわ。 小さい方にはシシコワがいたかな。 大きい方にはエフセーエワ、ミリツェワ、ヴィジェニナ、と誰か。 いつもながらソリストはフル回転。 ボーナス出してあげて・・・ コシェレワは腕の動きとか、ますます洗練されてきている。と思う。 眉根を寄せて憂いの表情でも、口元が笑って見えてしまうのが、なんだな。 遠目で見れば大丈夫だと思うんだけど。 シャドルーヒンは、いつもながらの王子。 ちょっともっさりなんだけど、垢抜けたらつまんないだろうなあ。 サポートはいいよね。 ロットバルトはフィリモーノフ。濃いおっさん。いいねえ。 *休憩15分 「眠りの森の美女」より青い鳥 ミリツェワ&マスロボエフ 近くで見ると、青い鳥の衣装で微笑む男性はドラッグクイーンのようでした。 ごめん。 ミリツェワはくっきりとしたラインの踊り。 コールドのソロパートだと柔らかい雰囲気なのに ピンで踊るとくっきりハッキリな踊りになるんだよね。 私は両方好きだけど。 くるみを見た方がいいのかなあ。 演技を入れるとどうなるか見るべきだよなあ。 マスロボエフは、まあ、跳んでいたよ。 サポートでちょっとヒヤっとする時があったけど、乗り切った。 「春の声」 エフセーエワ&シャドルーヒン エフセーエワはピンクのドレス。生地はオーガンジー系。 シャドルーヒンは黒いズボンに黒いベスト、白いシャツ。 黒タキシードの上着と蝶ネクタイが無い版ね。 これに小道具で、時たまステッキやシルクハットをプラス。 特にストーリーがあるわけではなく、 シュトラウス2世のワルツに乗った、ちょっとコミカルで、 ちょっとアクロバティックな小作品。 いかにも、こういったコンサートでの息抜きかつアクセント用作品。 他愛もない、とも言えるけど、 気楽に見られていいですわ。 エフセーエワの笑顔が可愛い! シャドルーヒンもコミカルな演技満載。 王子系かと思ったけど、こういうのも似合うね。 「グラン・パ・クラシック」 シェスタコワ&シヴァコフ シェスタコワは濃い青の衣装。 この作品って白い衣装のイメージがあるけど、 そういえばグラチョーワも青かった記憶が・・・。 シヴァコフの上着も紺。 シェスタコワはさすがの貫禄。 もうちょっとあざとくてもイイかもなあ。 シヴァコフは、笑顔の時と、そうじゃない時の落差が激しい。 長めの髪で笑われると、とっても可愛い。 私としては短い髪の方がいいと思うけど、 でも、可愛い、と思っちまうぜ。 思わず笑みがこぼれてしまうんだろうけど もうちょっと表情をコントロールできればいいのかも。 と、思うけど、可愛いから、まあ、いいや。 あ、踊りももちろんイイよ。 舞台が狭くて申し訳ないわ。 「瀕死の白鳥」 コシェレワ 腕を含め、動きは白鳥らしいんだけどね。 瀕死? 死にかけとしても、撃たれて、、、とか そんなかんじかも。 儚さは無いな。 「海賊」 ヴィジェニナ&ルダチェンコ 大きい白鳥などで、美しい顔に美しい身体のラインが目に入ってくるヴィジェニナ。 パ・ド・ドゥで見るのは初めてなので、 とっても楽しみでした。 濃い水色の衣装や、7色の光り物を塗した髪飾りなど ビジュアルはとても美しい~~~。 ゾベイダとかも見てみたい~~。 踊りは、技術自体は悪くないけど、美しさ以上の「個性」が もうちょっとあるといいかもなあ。 ビジュアルに、「華」が追いついていないので 踊り出すとだんだんトーンダウン。 32回転はシングルで、軸とテンポがだんだんズレていくので アセっているのが伝わって来ちゃったのが残念。 このツアーで場数を踏んで、成長してくれるといいなあ。 ルダチェンコ。 あばら骨が浮いているよ! 骨の形がわかりすぎ!なんか着せて隠そうよ!! こんなに肉がついていなくて大丈夫なのか、 案の定、ヴィジェニナ登場の前に息が上がりかけているよ!!!! と、不安にさせておきながら、意外にも(ごめんね) 最後まで失速することなく踊りきりました。 最初から最後まで目がうつろっぽいし、 ヴィジェニナがルダチェンコの顔を見る、というところでも 目線を合わそうともしないけれど、 踊りはいつもよりしっかりしていました。 このサイズの舞台ならOKなのか??? 「ワルプルギスの夜」 エフセーエワ、シャドルーヒン、フィリモーノフ エフセーエワ3本目。大きい白鳥の静かな表情、 「春の声」のお嬢さんっぽいチャーミングな笑顔とも違う、 まさに「小悪魔」的なエフセーエワでした。 演じ分けがちゃんとできている。 成長したな~~。 ギリシャっぽい衣装は真っ赤。 雰囲気と相俟って実に華やか。 ヴィジェニナにはこの「華やかさ」が足りないんだな~、と思いました。 真ん中に立つ人の「華」だよね。 こちらもアクロバティック系で、会場を沸かせました。 男性陣は黒の総タイツに赤い飾りがちらほら。 シャドルーヒンはマスクを付けて、フィリモーノフは角付きの帽子。 一応「悪魔の祭典」で、オペラ「ファウスト」の一場面らしいけど、 単独で見ると、宝塚のショーみたい。 衣装の安っぽさを含め。 「パキータ」 シェスタコワ&シヴァコフ 他 ソロにはやっぱりミリツェワがいる。 働かせすぎじゃなかろうか、と、いつもながら思う。 あとのソロは、シシコワとカミロワ?と、もう一人。 舞台上手寄りに滑るポイントがあったようで、 ちょっとヒヤヒヤ。 「パキータ」は、やっぱパリ・オペよりいいと思うわ。 人数は少ないのに、マールイの方が華やか。 シェスタコワ、シヴァコフとも白い衣装。 シェスタコワは、もう、言うことないっす。 シヴァコフは、「グラン・パ・・・」よりシャープだったと思うな。 アンコールは「ドン・キ」のエスパーダ登場の音楽に乗せ。 マスロボエフが前に出るタイミングを間違えて ちょっと、えへへ、な顔。 仕切りはもちろんシェスタコワ。 毎回思うけど、みなさん真面目に踊っています。 地方だからって手は抜かないんだよねーーー。 ありがたいな~~~ 白鳥の群舞って、こんなに瞬きをしないもんなんだ、と 初めて気が付きました。 ペレン組は来週行きます。 いつも思うんだけど、マールイのプログラムの掲載順って なにが基準なんだろう。 普通は、階級ごと、階級内なら名字アルファベット順だと思うんだけど、 ここはバラバラなんだよねえ。 学年順の成績順???? まとめて載せるんじゃなくて、 ソロを踊る人とそうじゃない人は分けて載せて~~。 |
■20005/07/21(金) 「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」レニングラード国立バレエ団 |
公演タイトル通り、客席には子供がたくさん。 嫌な予感がちょっとしたけど、 思っていたよりお子様方は静かでした。 私の前後を除いては。 なんで私の前とか隣の隣とか後ろの子はうるさいの? 喋りづめなうえ、親も答えていてさあ。 ここ以外は静かなんだけどなあ。。。 しかも隣の女性が喋りたがり屋さんで、 いろいろ話しかけてくるのよ。 一人で来ているからって、 寂しいわけでも手持ちぶさたなわけでもないのよ! 公演目的に即してなのか、 2~3演目ごとに「司会のお姉さん」の 解説が入るんですが、これがダメダメでさーーー。 喋り自体も悪い。噛み噛み。 そのうえ、メモを見ながら話しているけど 内容はわかっていないだろう、って喋り。 しかも! 内容もビミョ~~。 初心者・子供向けにしては端折りすぎ。 それじゃ、わからんよ、ってな要約振り。 日本語も時々ヘン。 「レニングラード国立バレエは サンクトペテルブルクでも愛されている劇場で」 劇場ってのが、劇場付きの団体なのか 箱(ハード)なのか、文脈からではわからないのに 無理矢理まとめている。 ダンサーの紹介はしたり、しなかったり。 「美貌のプリマ、ペレンさん」 「ベテランダンサー、ミャスニコフさん」 それ以外は、名前を言うくらいだけど。 ロマチェンコワ、プローム コチュビラ、ミャスニコフ ペレン、シェミウノフ は、紹介有り。 ステパノワなどは、名前の紹介無し。 その基準とは??? 「司会のお姉さん」の案内で、会場の子供に ちょっと踊らせるコーナーもあり。 必要なのか? こんなの入れて公演時間を長くするより ちゃっちゃと進めてくれた方がいいよ。 バレエの世界に浸っても、 現実に無理矢理引き戻されるようで、テンション下がりまくり。 きゅりあんの舞台は、入間の倍くらいありそう。 広いわよ~~。 後ろから2列目だったけど、とっても見やすかった! 駅からも近くて便利。エレベータが混む以外は。 初日ということもあり、 ちょっと踊りが固めの人が多かったかな。 「ばらの精」ロマチェンコワ、プローム ロマチェンコワは、地味だな~~。 正確だし、エレガントではあるけど もっと少女にはロリロリして欲しいな。 プローム君は赤より朱色に近い総タイツに被り物。 腕が全然なっていないし、 ジャンプも綺麗じゃないけれど、 「チャーミングな妖精」ではあった。 若い白人の強みだねえ。 「アルレキナーダ」リィコワ、クズネツォフ マールイの アルレキナーダだよ! ペトゥホフ夫妻の得意演目でしたわ~~。 ほのぼので可愛い作品。 リィコワは可愛い!!! 最後の方はちょっと失速したけど、 最初のヴァリエーションまでは 踊りにキレがありました。 回転は腕の力を使わず、脚だけでクルクル回っていました。 ちょっとニーナに似てるかな? これからが楽しみ。 クズネツォフは、こんなに踊れる人だったんだーーー、と。 小技が利いたジャンプを連発。 会場も盛り上がりました。 「『白鳥の湖』より『黒鳥』」コチュビラ、ミャスニコフ コチュビラの衣装の飾りは金と赤。 なかなかに華やか。 アダージオは妖艶で、なかなか素敵。 脚に色気があり、腕の動きも滑らか。 しかし、第1ヴァリの最後の方でグラついてからは復調せず。 32回転など、回転系は、あんまり得意じゃないのかな? ミャスニコフは、まあ、いつも通り。 前頭部がわずかに後退。 「ファンタジー」ペレン、シェミウノフ シューマンの「トロイメライ」に乗せた小作品。 振付はボヤルチコフですから・・・(以下略) 「バヤデルカ」ステパノワ、プハチョフ 婚約式の踊り。 (「司会のお姉さん」は「結婚式」って言ってたけどな) 大柄なペアは華やか。 やっぱ、「主役ペア」って貫禄がある。 ステパノワのフェッテは、いつもながらスゴイ。 プハチョフは簡易ターバンで頭部の問題点をカバー。 *休憩 「せむしの仔馬」ロバノワ、アヴェロチキナ、ニコラエワ、シリャコワ パ・ド・カトルの簡易版みたいな作品。 プリンシパルが全体的に固めなのに対し、 可愛い4人のソリスト達は、のびのびと踊っていました。 見ていて気持ちがいい。 この辺が充実していると見応えがあるよね。 「眠りの森の美女」ロマチェンコワ、プローム ロマチェンコワに、もうちょっと華があればなあ・・・。 腕とか、指の先まで気を使った動きは とっても良いと思うんだけど、 ちょっとお姫様には遠い。 プローム君は髪が短めで、光り物を塗し。 白いタイツも似合い、踊りもスッキリで、王子様っぽい。 ジャンプも正確で、なかなかイイよ~~ 「ジゼル」コチュビラ、ミャスニコフ 黒鳥の最後がイマイチだったので、 期待度が低くなったけど、 いやいや、やっぱりコチュビラのジゼルは素晴らしい! 第一に体型がいい。 顔から首、首から肩、肩から腕や背中、 すべてのラインが「ジゼル」なのであるよ。 「眠り」のお伽話しの世界から、 一転して「幽玄」へと、会場の雰囲気を変えました。 コチュビラの世界に引き込まれました。 わずかな時間なのに・・・。 新春公演の「ジゼル」は、コチュビラを入れて欲しい。 ミャスニコフは、いつも通り。 踊りはいいんだけどね。 彼のアルブレヒトって、想像できないよね。 「ディアナとアクティオン」ペレン、シェミウノフ ペレンは赤いトーガ(ミニ)。 シェミウノフくんはワンショルダーに腰布。 その柄がゼブラ!黒白の縞!! ヒョウ柄は多いけど、シマウマは初めてかも。 ペレンは明るい笑顔で、安定感。 驚いたことに、シェミウノフくんから粗さが消えていた! 丁寧な踊りになっていたよ!!! コレーラくんと同じように、 若さがなくなったり小さくまとまったりではなく、 ダイナミックさは残したまま、 粗さが消えましたよ!! いやーーーーー、成長したなあ!!!!!!! もうちょっとキープして、もうちょっと全体的に気を使って!!! と、イライラしていたのが夢のよう。 長身でパーマな髪型で、これならルジの影武者が務まるかも。 って、それは無理か。 芸術的、には、まだまだだけど、 これだけ踊りが安定してきたら、 そっち方面へ踏み出すこともできるでしょう。 いやいや、あっぱれ!! 二人の息もピッタリで、アクロバティックな技も バッチリ決まりました。 会場からも大拍手! 「ドン・キホーテ」ステパノワ、プハチョフ パ・ド・ドゥに、ソリストのヴァリエーション付き。 たぶん、だけど、第1がアヴェロチキナで、第2がロバノワ??? ステパノワはバランス技もバシバシ。 32回転はシングルシングルダブルの連続で ダブルは扇を胸の前でヒラヒラさせる。 プハチョフは、正確なんだけど、 それ故に、「音楽を待つ」時が多くて 踊りの流れを止めてしまうことがある。 ガラのトリのドン・キなんだから、 もっと勢いに重点を置いてもいいと思う。 けど、これがプハチョフなんだな。 前頭部どころか、後頭部とか、頭頂部も どんどんヤバくなっている気がする。 KOSEさんだけでなく、 アートネイチャーさんやアデランスさんも協賛してくれないだろうか。 アンコールはシェスタコワ組と同じ、 ドン・キの闘牛士登場の音楽で。 こちらでも、女性を前列に出し、男性は後列でお辞儀 ってところで、 シェミウノフくんが女性陣と同じ前列でお辞儀しちゃいました。 でも、本人は気付いていない??? ドン・キ→「せむしの仔馬」の衣装に着替えたアヴェロチキナとロバノワ(たぶん)が ニコニコしていた。とっても嬉しそうだった。 座長はペレン?ドン・キを踊ったステパノワ? それともベテランのミャスニコフ? 中心になる人が不確かなせいか、 最後への盛り上がりが弱い公演でした。 終演後に駅ビルで夕食を食べた後 ホームに降りたら、 ダンサーの集団がいましたよ! みんな、美男&美女!! スタイルがメチャクチャいい!!! 顔もものすごく小さい!! クズネツォフがプログラム写真より、ずっと若かった。 プハチョフがビニール傘を持っていた。 |
■20005/07/31(月) 「白鳥の湖」上野水香&マルティネス/東京バレエ団 |
旅行帰りに見てきました。 ってか、先に入った予定はこちらの方。 バレフェス全幕で、背の高い人が王子なので、 木村さんがトロワに入るかな~、と 淡い期待を賭けてE席5階Lブロックを取ってみましたが 私の勘はハズレ。まあ、ヒラリオンをやるしな。 水香ちゃんの「白鳥(演目)」を見るのは初めてだけど、 思っていたより(ごめんね)悪くない。 気になってた手首のクセのある動きは大夫なくなり 白い衣装がとっても似合っていました。 スカートが大きいんだけど、羽があってフワフワなカンジで 重たく見えることはないし、 王子や悪魔が長身なので、彼女が思いっきり体を伸ばしても すっぽり男性の身体の中に入るので 見た目のバランスが良いですね。 白鳥(役の方ね)は、とっても綺麗でした。 黒鳥は、もう少し、ババーーーーンと 押し出しを強くしてもいい気がするなあ。 32回転はシングルシングルダブル系。 前に出てくるけど、横ずれはしない。 「上野水香さんが一生懸命踊っている」風情は やっぱり、まだまだあるんだけど、 マルティネスと一緒の時だと、あんまり感じられない。 パートナーって大事だね。 こんなに相手の「役」を際だたせることが出来るんだ、と マルティネスの力量に感動しました。 マルティネスの王子は、 あ~~、綺麗~~~~。 憂いがもっとある方が好みだけど、 これが彼の「型」なら、それでいいや! 踊りはノーブル。実にノーブル。 いいなあ。。。。。 パリ・オペ来日公演の時より落ち着いているし。 (私が見たのはコゼットの日だったから・・・) 高岸さんのロットバルトは、 相変わらずカッコイイ。 舞踏会の時、王妃と話している姿が尊大で好き。 大嶋さんの道化は可愛い。 トロワの小出さんも可愛い。 中島くんも可愛い。 スペインは、どこを見ればいいのやら。 長めの前髪を振り乱して踊る木村さんか。 井脇さんの反りかえりか。 大島さんの艶やかさか。 と、思っていたら、後藤くんがヒゲを生やしていてビックリ。 バチルド・パパは自前のヒゲで臨むのか? パリ・オペのヌレエフ版を見た後だと、 こういう「白鳥の湖」もあっていいんじゃないかと思うわ。 特に2幕の群舞。 衣装だけはなんとかして欲しいけど。 オケは時々ふらついてました。 管だけじゃなく、弦あたりも。 オデット/オディール:上野水香 ジークフリート王子:ジョゼ・マルティネス 王妃:加茂律子 悪魔ロットバルト:高岸直樹 道化:大嶋正樹 家庭教師:飯田宗孝 パ・ド・トロワ:小出領子、長谷川智佳子、中島周 ワルツ(ソリスト):大島由賀子、西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子 四羽の白鳥:高村順子、長谷川智佳子、森志織、佐伯知香 三羽の白鳥:大島由賀子、高木綾、奈良春夏 司会者:飯田宗孝 チャルダッシュ:長谷川智佳子、平野玲(第1ソリスト)、森志織、福田ゆかり(第2ソリスト) ナポリ(ソリスト):佐伯知香、大嶋正樹 マズルカ(ソリスト):奈良春夏、坂井直子、中島周、野辺誠治 花嫁候補たち:小出領子、高村順子、西村真由美、乾友子、高木綾、吉川留衣 スペイン:井脇幸江、大島由賀子、木村和夫、後藤晴雄 指揮:アレクサンドル・ソトニコフ 演奏:東京フィルハーモニー交響楽団 |
■2006/08/03(木)「第11回世界バレエフェスティバル Aプロ」 |
開演は「出演者の都合で」10分押し。 佐々木さんが客席から下手側階段を昇って舞台袖に行ったので なにかトラブル?と思ったけど、無事幕が上がって良かったわ。 終演は22時50分くらい。 (上野駅常磐線のホームに23時前に立てました) 初日でこれだと、楽日は・・・。 【第1部】 「ラ・ファヴォリータ」ルシンダ・ダン&マシュー・ローレンス オーストラリア建国二百年祭用に作られた作品。 古典作品っぽい作りで、各種技てんこ盛り。 ルシンダ(ダンだと諸星みたいなんで、ここは名前で)はエネルギッシュだけど品があり、 これぞ「オーストラリア・バレエ団」。 ロシア系を見慣れていると、ちょっと丸みがある身体なんだけど 重たく見えることなく、チャーミング、かつ、音楽的。 技も危なげなく決めていました。 ローレンスも野性味とノーブルが混じってイイカンジなんだけど ジャンプがちょっと小さくまとまりすぎたかな。 「7月3日 新しい日、新しい人生」ニコラ・ル・リッシュ えーーーと。パンフには説明が殆ど無いんだけど。 ボクはなんで生きてるんだろーーー、とウジウジ悩んだけど まあ、一歩踏み出してみるか、って話? ベランガールの振付はわからん。フランス人の考えることはわからん。 思ったよりキテレツな振りではなく、 それなりに動くし、それなりに跳ぶ。 それだけに凡庸。 「3X歳、妻子有り」のニコラ君が、 いまだに「人生に悩む青年」が似合っちゃうのがすごいなーー、 ってのが見所か。 ニコラ君のソロだからといって、プログラム後半に入れたら 盛り下がっただろうな。 この位置が正解。 「白雪姫」 タマラ・ロホ&イナキ・ウルレザーガ イナキ! この3年間になにがあったんだ、イナキ! 「踊り」になっているじゃないか!! 前回のバレフェスでは、「踊っているだけ」を通り越して 「何も考えず動いているだけ」の彼が パートナーを見て「踊って」いるよ。 そりゃ、脚とか、まだ雑な部分があるけれど、 「客に見せる踊り」を踊っている。 うーむ、人間成長するものだ。 まったく期待していなかっただけに とってもビックリ&感心したよ。 ロホを軽々サポートして、こりゃ彼女もパートナーに指名するわな。 音楽が「眠り」より、もっともっと可愛らしく、 ロホも、その音楽に合っていました。 衣装的には難しいんだろうけど 口紅がもっと赤ければ、まさにスノーホワイトだったわ。 回転部分はひたすら回る。トリプルを何回か入れてました。 4回転も入っていた?? 「椿姫より第3幕のパ・ド・ドゥ」ジョエル・ブーローニュ&アレクサンドル・リアブコ おおっ!本家はこうなのか! と、ひたすら溜息。 ブーローニュが実にドラマティック!! リアブコもいいんだけど、ブーローニュに対しては、ちょっと小柄かなあ。。。 セットは無し。 クッションぐらいルグリから借りてあげて! 最後に二人が倒れ込むところ、 ちょうど脱ぎ捨てた黒いドレスの上にリアブコの脚が乗ったようにみえて すべって転んだかと思って、ちょっとドキドキしたわ。 私の気のせいみたいね。 【第2部】 「ロミオとジュリエットより“バルコニー”」ポリーナ・セミオノワ&フリーデマン・フォーゲル クランコ版。 むーーーーー、なにかが違う。 若くていいと思うんだけど。 瑞々しさが足りない?迸る情熱が足りない? なんだろう、私が思っていたのとは違うのだわ。 フェリの印象が強すぎるのか? 二人とも踊りはいいんだけど。。。 敵同士が障害を乗り越えて、ってのが足りない? 普通に幸せそうな、周囲から祝福されそうなカップル。 「エスメラルダ」レティシア・オリヴェイラ&ズデネク・コンヴァリーナ 言葉は悪いけど、「箸休め」。 技を繰り出してくるけど、それだけ、みたいな。 「オネーギンより 第1幕のパ・ド・ドゥ」アリーナ・コジョカル&フィリップ・バランキエヴィッチ コジョカルが可愛いねえ。 バランキエヴィッチが、もともとの顔の作りのせいなのか あんまり楽しそうに感じられないのが、ちょっと・・・。 コジョカル・タチヤーナの思う夢のオネーギンはしかめっつらなのか? コジョカルが小さくて軽そうなんで バランキエヴィッチが思う存分振り回している。 コジョカルがこれだけ踊れるのなら、ガラでルグリと・・・ と思ったけど、あの場面にしてはコジョカルが子供過ぎるのかなあ。 「ジュエルズより“ダイヤモンド”」アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス マルティネスとの並びは、やっぱアニエスだね。 絵になるよ。 衣装も、存在感も、キラキラ光っていました。 が。 鬼門なんだよ、この作品のこの部分。 来日公演では殆ど寝たの。 今回も半分ぐらい・・・・・・・・・・。 ごめん・・・。 「白鳥の湖より“黒鳥のパ・ド・ドゥ”」 イリーナ・ドヴォロヴェンコ&ホセ・カレーニョ いいぞーーー! ドヴォロヴェンコは華やかさが増したよ! 以前に見た黒鳥は、教本通りで優等生な踊り、だったけど 今日は、艶やかで、王子を誘惑する「黒鳥」だった。 客へのアピールもうまくなったよ! カレーニョは、前回のバレフェスあたりから 顔から熱くて濃い踊りを期待しちゃいけない この人の本質は「王子系ノーブル」なんだわさ、と 思い切れるようになったので、 彼の端正な踊りを楽しめるようになりました。 ようやく「お祭り」っぽくなってきました。 【第3部】 「扉は必ず・・・」 オレリー・デュポン&マニュエル・ルグリ 複雑に絡み合う男女。微妙なタイミングですれ違う。 シリアスかと思ったら、途中からコメディ。 二人の息もピッタリ。 キリアンは、「うまい」なあ。 どこがどうとは、うまく言えないんだけど。 なんてことない動きに見えるんだけど複雑で、 その動きを積み重ねると、ちゃんと「作品」になる。 不思議だ。 「眠れる森の美女」 マイヤ・マッカテリ&デヴィッド・マッカテリ 可愛いんだけど。 特にマイヤはお人形のようで可愛いんだけど。 オレリーとルグリの後じゃ分が悪いね。 「コンティニュウム」ルシンダ・ダン&マシュー・ローレンス よくあるエセ・バランシン。 面白味も新鮮(斬新)さも全くないけど、 ルシンダの存在感で最後まで寝なかった。 いいなあ、彼女。 ローレンスは印象薄し。 「ライモンダ」 ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・メルクーリエフ 姐さん! ようやく姐さんを見れたよ!(あえて『ら』抜き) ああ、姐さん。 やっぱ、脚だね。 この脚の強さこそ、ボリショイなのだ!! あまりにも見慣れた「ライモンダ」だけど、 それでも、ありがたいよ、拝んじゃうよ。 メルクリエフはマント付き。 最近のウヴァーロフやフィーリンは無かったのに! 嬉しいわ!! でも、脚に絡まないかと、ちょっとヒヤヒヤ。 姐さんに対しては、もうちょっと背があるといいのか? まだワガノワ・テイストな踊り。 ボリショイはもっと「ガッッッッ」とか「グワッッ」とか ガ行の擬音の踊りじゃなきゃな。 ま、アルテム君よりはいいと思うけどね。 「春の声」 アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー アシュトン振付。コジョカルが軽々と舞い、 コボーの踊りも冴え、キレがある。 けど、 マールイで見た、エフセーエワ&シャドルーヒン(ガルキナ振付)の方が好きだな。 【第4部】 「カルメン」 アレッサンドラ・フェリ&ロバート・テューズリー 幕が上がった瞬間に、会場から溜息が漏れる。 フェリだよ! フェリのカルメンだよ! 立っているだけで「絵」になる。 カツラは、なんて言うんだっけ?バサバサのショート。ウルフカットだっけ?? (すいません) かつてのキレ、シャープさは無いけれど、 それでも、世界に二つと無い「フェリのカルメン」。 これを見るのは今日が最後なんだと思うと、涙が・・・。 テューズリーはホセではなく、あくまでもフェリのサポート役。 「TWO」 シルヴィ・ギエム 素晴らしいと思うんだけど。 照明が凝っていると思うんだけど。 作品として成立しているのか? ギエムの筋肉があるから成立するのか、 この作品によって、ギエムの筋肉が美しく見えるのか。 私には前者としか思えない。 SMAPの曲に合わせて適当に動くだけでも ギエムであれば、この作品と同じぐらい感動できるのでは? と、つい思う。 「ベジャールさんとの出会い」ジル・ロマン、那須野圭右、長瀬直義 ベジャールが踊り、ジルも踊った4作品の抜粋&ミックスしたものらしい。 モトネタを知らないと、どう見ていいのかわからない。 那須野さんも長瀬さんも、主に小道具係。 一応、那須野さんが魔法使いで、長瀬さんが学者? いつもほど難解じゃないけれど、、、、、 モトネタを知っていれば膝を打つのか? 「マノンより“沼地のパ・ド・ドゥ”」 ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジーミル・マラーホフ 顔や衣装を汚しても、マラーホフは王子なのだ。 死にかけに見えても、ヴィショニョーワは生々しく生命力に溢れいているのだ。 (死にかけてるのはマラーホフの方だよ) ギエムはギエムにしか見えない、と、よく言われるけれど、 この二人の「自分の極め方」もすごいわなあ。 投げて回転のところ、コープやニコラ君やルグリだと 「マノンをぶん投げる」になるけど、 この二人だと、マノンが自ら跳んで回る、 ってカンジだわ。 まあ、いいんじゃないか、この二人はこれで。 「ドン・キホーテ」ヴィエングセイ・ヴァルデス&ロメル・フロメタ 以前の南米系ペアのように、まさに超絶技巧。 それを涼しい顔で決めてしまう。 だからといって、見せ物に走るわけではなく 充分に音楽を捉えた踊りでした。 ただ、アダージオの部分が凄すぎたので ヴァリエーションが普通に思えてしまったのが残念。 ここまでやったなら、32回転には、7回転ぐらい入るかな? と期待する方が悪いと思うんだけどね。 3回転が入っているんだから、冷静に考えると凄いんだけどね。 フィナーレはいつもの通り、女性のアルファベット順で登場。 ホセの相手役がヘレーラとかケントとかレイエスだと またもやルグリが新旧の女に挟まれるところでしたよ。 ドヴォロヴェンコ(D)が来たから、 ルグリの横がフェリ(F)になり、ギエム(G)は反対側に立つことになりました。 良かったね。 なんかいつものメンバーで、いつもの演目でーーー、 と思っていたわりには、最後まで楽しかったです。 寝たのは「ダイヤモンド」だけだったわ。 ただねーーー。 オケがねーーーーーー。 前奏曲でも、ヤバイ?と思ったけど、 途中何ヶ所かヤバイと思ったところがあったけど、 「ドン・キ」のキトリの第一ヴァリで ハープがヨタった時は、腹が立ったよ。 一個一個、正確に音が出せずに 適当に流しちゃったカンジ。 しかも、フィナーレに入るときの最初の音が あまりに揃わなくて・・・。 テープじゃないだけいいのか? ケヴァルさん、カムバック・・・・・・・・・・・・・。 <追記> フラゴナールの「閂」 http://art.pro.tok2.com/F/Fragonard/frag01.jpg 7月3日は、ニコラ君(とオスタ)の子供の誕生日らしい。 あの作品は、まんま「生まれる」ってネタなのか??? |
■20006/08/04(金) 「くるみ割り人形」吉田都&ボネッリ/スターダンサーズ・バレエ団 |
ピーター・ライト版は、クララを大人が踊り、それも1幕・2幕も踊りまくりなのに、なぜだか主演は15分しか踊らない金平糖の精役な、不思議な版。そのクララを踊ったのは林ゆりえさん。可愛らしいし、演技もうまいうえに、踊りもとっても素敵。手足がすーーーーっと伸びて、実に気持ちが良い。すごく踊り慣れているみたいなんだけど、チラシを読み返したら「新星」って書いてあって、とってもビックリ。ものすごく安定していたので、ハマリ役だと思っていましたよ。こういう人もいるから、いろんなバレエ団を見なきゃいけないなーーー、と思う次第です。 ドロッセルマイヤーの東さんは、怪しげで胡散臭いながらも、大魔法使いの雰囲気もあり、好き好き~~~。近所の優しいおじさんタイプも好きだけど、こちらの方がイメージですわな。クララの母役の人は、赤いドレスが似合っていて、ドレスの裾捌きも良かったです。この版ではフランツ?になるの??かな??いたずらっ子はクララの小さな弟でした。小生意気なガキを子役の子が好演。クララの彼氏は紳士予備軍ってカンジでした。 ねずみの頭を被り物。対する兵隊さんは、弟がもらったおもちゃの兵隊さんが入っていた箱をそのまま大きくしたセットから出てきました。突然出てきた感が無いのが面白い演出。みなさん軍服が似合っています。 この辺でくるみ割り人形と王子がチェンジ。ボネッリの登場です。頭が小さいな~~。頼れる王子様です。 雪の場面。綺麗。衣装も綺麗。フォーメーションも綺麗。紙吹雪がたくさん振ってきて、「テレプシコーラ」を読んでいる人は、ちょっとドキッとしちゃうかも。 2幕。スペインは赤ろ黒の衣装でカッコイイ。男性はヒゲ有り。アラビアの踊りは妖艶さより神秘性の方が勝っていました。いいなあ。葦笛は女の子だけ。可愛い。中国は男性二人。ジャンプ力とか、均質ではなくバラつきがあったのが残念。ロシアはな~~。「イッツ」の振付に勝る者は殆ど無いんだよなあ。改訂前のマールイ版くらい。真ん中の人がちょっと失敗有り?「花のワルツ」は、ソリストの女性が、あんまり・・・。技術的にも、ちょっと軸がブレるし、童話っぽさや華やかさにも欠け、日本人の女性が頑張って踊ってるなーーってのが見えちゃう。男性陣は背が高くて、亜麻色のロンゲ風のカツラなど、衣装は撮っても似合っているけど、ちょっとバラバラ感。 と、ここまでも、とっても楽しかったです!しかし、吉田都さんが出てくると、世界が一変。すごいオーラ。輝いているんだけど、強烈な自己主張ではない。まさに、空の太陽。自然に存在し、私たちを照らすのよ。力が入ることなく、でも確かな強さと、柔らかさが、無理なく同時に存在している。脚を上げるのも、ジャンプをするのも、回転するのも、すべてが、息をするのと同じぐらいの、なにげない動きに見えるの。そして、美しく、かつ、可愛い。とっても可愛い。言葉ではとっても言い表せない。チュチュが似合うな~~。本当に金平糖だわ。 ピーター・ライト版だから渋・派手なくすんだ色のピーター・ファーマーの美術なんだろうなあ、と思っていたら、舞台・美術はジョン・マクファーレンで、これがとっても華やかで、ちょっと嬉しかった。ほら、印象にあるのが、安っぽい背景幕一枚のところだから・・・。1幕は赤を基調とした豪華な室内。ベルベットっぽい布の質感がとってもステキ!弟のいたずらで首と胴体が離れちゃったのが、ドロッセルマイヤーの呪文でくっついたり、仕掛けがたくさん。4階席からだと、本当に魔術だったよーーー。糸とかなのかなあ。2幕は、新国の奥行きを使い切ったセットで感心。入間の4倍くらいある奥行きを使い切ってます。これだけハコにあった美術もそうそうないよ。溜息。 |
■20006/08/10(木)「第11回世界バレエフェスティバル Bプロ」 |
【第1部】 「ディアナとアクティオン」 ヴィエングセイ・ヴァルデス&ロメル・フロメタ Aプロのドン・キで会場を沸かせたペア。 今回も技を繰り出し、初っ端から会場を沸かせます。 ヴァルデスのコーダの回転は、上手から舞台対角線上を回転しながら進み 舞台真ん中で、本格的な回転。 って、説明でわかるかな? フロメタも、空中で身体を曲げる、ダイナミックなジャンプを連発。 それでいて、品があるんだな、このペアは。 「見せ物」でありながら、同時に「芸術」の香りもちゃんとある。 良いペアです。 「リーズの結婚」 エレーナ・テンチコワ&フィリップ・バランキエヴィッチ 会場で配っているキャスト表は「パ(PA)ランキエヴィッチ」だ。 背景の幕が一瞬「松」に見えた。 バラ模様のベストが眩しいバランキエヴィッチは ノーブルにコミカルなステップを踏みつつ、 確かな技術に裏打ちされた高いジャンプを繰り出します。 以前はヴァリエーションだけだった「リーズ」のパ・ド・ドゥを フルで見られて嬉しいっす。 テンチコワは可愛いけどね。 この流れでは、ちょっと地味。 「幻想-『白鳥の湖』のように」ジョエル・ブーローニュ&アレクサンドル・リアブコ 二人で踊るのでちょっとわかりづらい? 花組版で言うなら、「♪彼の目は見ていない~ わーたーーしを~」の部分。 現実世界ではゾフィーと婚約しながら、 他人には見えない「幻」に心を捕らわれているルードヴィヒ2世。 ゾフィーへの愛も、ちゃんとあるのに、 でも、「幻」に惹かれてしまう、抗えない。 ブーローニュのゾフィーは健気で切ない。 リアブコの、「幻」への心の持って行かれ具合も良い。 (でも、やっぱ、ちょっと小柄?) 本家はこうなんだな~。ハンブルク・バレエ団は高くて見られないので 本家を見られる機会は貴重です。 衣装は、あれがオリジナルなのか。パリ・オペが豪華なのか。 *プログラムを読むと、私の解釈はかなり違っていたけど、まあ、いいいか。 「海賊」 イリーナ・ドヴォロヴェンコ&ホセ・カレーニョ う~ん。 素晴らしいんだけど。 この二人に対しては、ハードルが高いよね、みなさん? 普通の人ならば拍手喝采だけど、 この二人なら、これくらいできて当たり前、みたいなところがあって。 絶賛モードになりにくい。 勝手でゴメンね。 二人とも品があるわよ。 -休憩 10分- 【第2部】 「ロミオとジュリエットより“バルコニー” 」マイヤ・マッカテリ&デヴィッド・マッカテリ 兄妹だとネタばらしがなければなあ・・・。 なんで兄妹で恋人同士の演目にするんだろう。 それこそ、チャイ・パドだってあるだろうに。 個別には、それぞれの役に向いていると思う。 特に妹は、ジュリエットのイメージがある。 それだけに、兄妹だとわかって見ると、 テンション下がりまくり。 いっそ、「兄妹でもいいじゃないか」的になると良いか? 「おにいさまと呼ぶんだ!」 ♪ねじれ~たおれーた俺~ (ヤメロって・・・) 「カルメン」 ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・メルクーリエフ うひゃーーー。 幕開けのステパネンコは プリセツカヤが光臨したのかと思ったよ。 友佳理さんやチェルノブロキナで見たけど ステパネンコの方が似合う。 やはり「ボリショイ・スタイル」が似合うんだな。 短い踊りだけど、物語になっている。 艶やかで、でもコケティッシュで、ファム・ファタル。 男の人生を破滅させる女。 「ライモンダ」では頼りなかったメルクリエフは 役に合っていることもあり、 ステパネンコと堂々と渡り合っていました。 アルテム君よりずっといいなあ。 代役が彼で良かったよ。 「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」 アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー きゃ~、すてきーーーーー! コジョカル、可愛い。 可愛いだけでなく、止めるところは、ちゃんと止めるなど 踊りも素晴らしい。 音楽的。 手足の伸びも良い。 でもでも、やっぱり可愛い。 コボー君もいいよ。 若いって、いいなあ。 「白鳥の湖より“黒鳥のパ・ド・ドゥ」ポリーナ・セミオノワ&フリーデマン・フォーゲル むー。 ポリーナちゃんは、本当はイイ子が無理して悪ぶっているぽくって・・・。 妖艶、とは、ちょっと違う。 ボリショイ版のヴァリも、ちょっと迫力不足かも。 32回転はダブル多し。 白鳥の方が似合いそうだなあ。 フォーゲルは、思っていたより良い。 王子様じゃないけど。 若いお兄さんだね。 -休憩 15分- 【第3部】 「眠れる森の美女」 ルシンダ・ダン&マシュー・ローレンス この流れでは地味だなあ。 衣装の光り物も少ないせいもあり、 ちょっと「華」にかける。 ルシンダは、残念なことに、 「アメリカン」な「スポーティー」な部分の方が強く出ちゃったわ。 全幕だと華やかになるのかな? ローレンスが、思っていたよりは王子向きかも。 「椿姫より第2幕のパ・ド・ドゥ」オレリー・デュポン&マニュエル・ルグリ ああ、ステキ。 オレリーが、白いドレスが似合う。 密会中の場面だっけ? 幸せそう。 おじさんと若い娘だけど。 若い男と年上の娼婦ではないけど。 でも、いいじゃあないか! 「ジュエルズより“ダイヤモンド”」ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジーミル・マラーホフ 初めて寝なかったぞ! もしかして寝てしまうのは、アニエスが地味だからか? ヴィシは、やっぱり天才だ。 「天与の才」を垂れ流している。 ただ、ベージュの衣装って、どうよ? アニエスが純白のダイヤモンドなら ヴィシはピンクダイヤモンドだね。 マラーホフは踊りらしい踊りはないけど、 ちょっとした佇まいが、彼らしい雰囲気。 なまじっか踊りまくるよりイイかも。 白が似合う人だよ、まったく! 「孤独」ジル・ロマン&那須野圭右 最近のベジャール作品は、「仏語」、あるいは「仏語で表現した哲学」で あんまり好きじゃなかったけど、 この作品は、「音楽」に合わせて「踊る」という ダンスの基本を見せる作品でした。 シャンソンもブレルも、正確な歌詞はわからないけれど 曲の雰囲気である程度イメージが湧く。 そのイメージにあった踊りが繰り広げられる。 うん。好きだな。 ジルがたくさん「踊っている」のも好きだ。 「椿姫より第3幕のパ・ド・ドゥ」シルヴィ・ギエム&ニコラ・ル・リッシュ ギエムだ。 演技面では、ちゃんとマルグリットになっている。 でも、「身体」から発せられる「力」が 演技を軽く凌駕する。 泣いて縋る弱い女性を演じても、彼女の脚などの「強さ」が すべてを台無しにする。 彼女の演技が悪いんじゃない。 ただ、彼女が発するオーラが、あまりにも強すぎるのだ。 演目を選ぶ人だなあ。 最後も、彼女の「力」で、モロモロを「勝ち取った」ように見えてしまう。 ニコラ君は、悩める青年。 ヒゲなしだよ。彼はこの方がイイよ。 天を仰ぎ、両手を広げ「よしっ!」のところ (ヘンな説明ですいません) ルグリ以外にこのポーズが合う人がいるのか、と思ったけど ニコラ君も違う雰囲気で似合っている。 ソファがあったなあ。 ハンブルク組にも貸してあげなよ! -休憩 10分- 【第4部】 「ドリーブ組曲」 アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス Aプロのトップと同じで、古典作品に擬した新作。 あちらは「作品」として独立している。 つまり、誰が踊ってもOK。 対してこちらは、ジョゼとアニエス仕様。 他の誰かが、特にパリ・オペのダンサー以外が踊っても似合わないだろう。 そういった、「限定感」は、ある。 でも、二人に合うから、いーわなーーーー。 二人が一番魅力的に見えるポーズ・技をいれまくり。 必然的に、見ていて楽しい。 大柄の二人が、身体を伸び伸びと動かしている。 ジョゼのジャンプは、説明しがたいけれど、 えらく難しいジャンプだと思う。 まあ、プジョルに振り付けたアレじゃなくてよかったよ。 「三人姉妹」 タマラ・ロホ&イナキ・ウルレザーガ イナキ。 演技もうまくなったな。 ロホの抱きしめ方が、実にいいよ。切なくて情熱的。 ジャンプ等も、「技」ではなく、 ちゃんと感情表現の延長になっている。 ダンサーとしては身体がモッサリだけど 軍服には合う体型だ。 ロホも素晴らしい! 回転より、演技系の方がずっと似合っている。 「悲恋」という言葉が合う二人の「演技」だった。 ちょっと泣けた。 「マノンより“沼地のパ・ド・ドゥ”」 アレッサンドラ・フェリ&ロバート・テューズリー ああ、フェリは 神 まさに、命の火が消えかけ、そして消える。 その過程が見えました。 すべてを失う。 地の果てで失う。 マノンそのものです。 テューズリーも、「地の果て」を女と共にさすらう雰囲気がバッチリ。 Aプロとは全然違う。 言葉では、とうてい表せない。 「ドン・キホーテ」 レティシア・オリヴェイラ&ズデネク・コンヴァリーナ それなりに。 悪くないんだけどね。 この二人にとって、「世界」は南米大陸なんだろうな。 (ってか、ABTを除く北米大陸?) そこでは充分に「世界一」なんだろうな。 でも、本当の「世界」には、 ロシアもイギリスもパリもドイツも含まれるの。 そのギャップを感じる。 二人にしてみれば、「へへん、どうだい!」だろうけど バレファスのトリとしては物足りない。 「見せ物」としても、極め切れていないな。 今日の私の周りの客席はひどかった。 感想垂れ流しの夫婦(「きれいねーーー」とかすぐ口にする) 携帯を鳴らす女性、 19時と21時の時計の時報も聞こえ、 なにより斜め前の子供が、動く動く。 動く子供を見ることなく、ひたすら舞台に集中する親。 「前のめりにならないでください」と注意に来たホタル嬢。 そんなの、休憩の半ばで言っても意味無いじゃん。 客席には半分くらいしか人がいないよ、 肝心の前のめりになる人もいないよ。 そんな注意はベルが鳴って、オケのチューニングが始まって 9割以上の人が席に戻ったところで言わなきゃ。 「ちゃんと注意したわ」なんてのは自己満足だよ。 |
■2006/08/13(日)「第11回世界バレエフェスティバル ガラ」 |
【第1部】 「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」 レティシア・オリヴェイラ&ズデネク・コンヴァリーナ やっぱ、バランシンは北米(が本拠地)のダンサーが踊る方がいいなあ。 コジョカルの方がうまいし、キラキラ感があるけど、 オリヴィエラぐらい「自分らしさ」を出さない方が かえってバランシンっぽい気がする。 板に付いている、っていうのかな。 コンヴァリーナは全体的にはイマイチなんだけど、 一歩先に引っ張られていくようなジャンプは好きだな。 このペアは、この演目がいちばん良かった。 「水に流して」アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス 作品タイトル。仏語的に暗喩かなんかあるかと思ったんだけど そんなことはなく、日本語の意味通りの内容。 つまりは、痴話喧嘩の後、仲直り。 痴話喧嘩もシャンソンに乗せて踊ればお洒落。さすがフランス。 三つ編みのアニエスが可愛い。 ホセはあまり踊らない。 おまけの仕込みがあるのか? 「ライモンダ」 ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・メルクーリエフ 特に説明はなかったけど、演目変更は ステパネンコの脚の具合のためだと思われます。 脚を高く上げる動きが辛いんだよね、確か。 それでも、「風格」で乗り切れるステパネンコの芸は まさに至高でございましょう。 メルクリエフは段々慣れてきたね。 Aプロは公開稽古か?(それじゃ花組) 踊り込んでいけば、結構いいトコまで行けるんじゃないか。 「レ・ブルジョワ」 フィリップ・バランキエヴィッチ 踊りはいいけど。 お洒落だけど。 ああいう風体の人を知っているので萎えまくり。 あんな美男じゃないけどさ。 「海賊」マイヤ・マッカテリ&デヴィッド・マッカテリ 学生がコンクールに出場しているようだ。 -休憩 10分- 【第2部】 「眠れる森の美女」 ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジーミル・マラーホフ 衣装はマラーホフ版ではなく、 二人とも白くて光り物が多い方。 ホッとしたわ。 ヴィシニョーワのキラキラ感は 「お姫様」とは違うんだけどね。 でも、光っている。 マラーホフは「白い」「王子」。 もう、これだけでもいいや。 マラーホフの持ち役に、(ガラでの)バジルがあれば ヴィシニョーワはガラの大トリを飾れるんだよねえ。 ちょっと勿体ないな。 「作品100―モーリスのために」 アレクサンドル・リアブコ&イヴァン・ウルバン 黒いパンツ(ってかズボン)の男性二人の踊り。 ノイマイヤーがベジャールに捧げた作品。 ベジャールとノイマイヤー(友人とか、先輩後輩)のようでもあり、 芸術の神とベジャールが戯れているようでもあり、 ベジャール作品の踊りを取り込んでいる部分もあり、 なかなか面白い作品。 ベジャールをサイモン&ガーファンクルで表すってのが とっても良いと思いますわ。 (寝ないし) 「くるみ割り人形」 イリーナ・ドヴォロヴェンコ&ホセ・カレーニョ ザ・王道 この二人で、ガラで、この演目。 聞いたときは勿体なさに爆発しそうでしたが 見てみると、実に、いい。 ピンクのチュチュのドヴォロヴェンコに白い衣装のカレーニョ。 地味な踊りなのに、この幸福感はなんなのか。 この演目で、これだけ人を感動させられる。 それこそが「バレフェス」出場者なんだよな、と 深く深く感銘しました。 「エスメラルダ」タマラ・ロホ&イナキ・ウルレザーガ アダージオは少々変わっている版でしたが 「タンバリン」は、ちゃんとありました。 Bプロで演技を見せた後は、またもや技術を見せてくれるロホ。 回転もフォースが入った?トリプルは連発。 ガラの「タンバリン」は、これくらい盛り上げてくれなきゃね。 派手な音楽のため、イナキの着地音も気にならず。 そういった意味でも、二人に合った演目。 -休憩 20分- 【第3部】 「白鳥の湖第2幕より」シルヴィ・ギエム&ニコラ・ル・リッシュ/東京バレエ団 ギエムの白鳥です。 ありがたいです。 拝みましょう。 予想外に良かった。 白い世界。 彼女の「肉体」より、「白鳥らしさ」が勝った。 「なにを踊ってもギエム」であっても、 40歳を越えた今だからこそ、 踊れる「白鳥」があるんじゃないか、 その「白鳥」を見てみたい、と、切実に思った。 たぶん、見ることはないだろうけど。 ニコラ君の王子は、来日公演で見られなかったので とってもありがたかった。 東バファンの私でも、今回の群舞はいらないと思いました。 二人だけでいいじゃないか。 「些細なこと」ポリーナ・セミオノワ&フリーデマン・フォーゲル 黒シャツに黒の短パンのポリーナちゃんはカッコイイ! 脚の筋肉に見惚れる。 フォーゲル君も、これ系の方がイイね。 内容的には似非フォーサイス? そんなに面白味はない。 音楽が「花様年華」でさ! トニー・レオンとマギー・チャンの顔がチラついて 作品に集中できなかったよ! 「スターズ・アンド・ストライプス」アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー 軍服系は似合わないな。 コジョカルは可愛いけど。 「新世界」レティシア・オリヴェイラ&ズデネク・コンヴァリーナ 肌色のレオタードのゆったりした踊り。 休憩時間が短いからね、ここで寝て、ゆっくり休んでくださいね、 っていう、主催者の配慮でしょう。 ありがたく熟睡。 「白鳥の湖より“黒鳥のパ・ド・ドゥ」ヴィエングセイ・ヴァルデス&ロメル・フロメタ ヴァルデスの赤い髪飾りとフロメタの赤い上着に 会場、ドン引き この二人は「技」だけでなく、「芸術性」も持っているんじゃないかと思う。 だからこそ、最後は「見せ物」ではなく、 「『定型』だからこそ輝く」二人を見てみたかった。 師匠によるとアロンソ版らしいんですが、 はっきり言って「やりすぎ」。 会場の拍手も弱し。 -休憩 10分- 4部の前に記念品贈呈式。 トーク、佐々木氏。 話すなら、筋を紙に書いておけ、と言いたいくらい 話の通りがよくない。 ルグリとジルはバレフェス7回出演記念、 フェリは今回をもって「バレフェス」出場終了、 により、功績を讃えて記念品贈呈。 なんでだか、ソトニコフさんへも贈呈。 他社への牽制か? 故ケヴァルさんへは、ご家族に送付済み。 ベジャールさんには、BBL来日時に団に言付け。 客の前で、やらなきゃダメ? ガラの上乗せ金額はコレ用ということでの会計報告? ただでさえ長い公演なんだから、 入れて欲しくなかったよ。 【第4部】 「椿姫より第2幕のパ・ド・ドゥ」 オレリー・デュポン&マニュエル・ルグリ 記念品贈呈式の時に佐々木氏によるネタばらし。 オレリーの膝が腫れたので、予定されていた「ソナチネ」から こちらへ変更になったそうだ。 バランシンだと寝てたかもしれないので ワタシ的にはありがたい。 密会中の二人。 人目に怯えつつ、燃え上がり、 恋の幸福感を味合う。 Bプロで見たときよりドラマチックだった。 「アダージェット」 ジル・ロマン マーラーが嫌いなので、かなり意識的に寝ることが多い作品なのですが おそらく見る機会はこれが最後だと思い、 頑張って起きて見ましたよ。 なんだか、「主題」を初めて感じたような気がした。 なんだか、泣けてきた。 「ロミオとジュリエットより“バルコニー”」 アレッサンドラ・フェリ&ロバート・テューズリー 名人芸。 フェリの『ジュリエット』に並ぶ者はいない。 この、彼女の表情を見ると、 他にジュリエットが存在するのか?と思っちゃう。 これが、最後・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 新国立で全幕をやらんもんかと、秘かに期待。 「ドン・キホーテ」 ルシンダ・ダン&マュー・ローレンス 派手な技、これみよがしな技はないんだけど、 「見せ物」続くと、こういう「普通」に、とっても安心感。 普通が一番! 安定感があり、きっちり踊るルシンダの好感度はバッチリ。 会場の雰囲気も暖かい。 大盛り上がりじゃなくてもいいよ、 これがバレエなんだよね、 これが見たかったんだよ、 そんな雰囲気。 ローレンスのマネージュの円周は相変わらず小さい。 腕が長くないので、キメポーズが決まらない。 自分に合ったポーズを考えようよ。 おまけ その1 抽選会 青・白の横縞の起毛生地のツナギに赤いジャージのマラーホフが登場。 ダンサーのサイン入りのシューズの抽選会。 発表する佐々木氏のマイクの調子が悪いため、 席番が聴き取りづらい。 ダンサーの名前を紹介するとき 「さん付け」とそうじゃない人に別れるのは佐々木氏の評価なのか? イナキについても、「前回はよくわからなかったけど 今回は素晴らしかった」のようなことを言っていた。 高いチケット代を払う客も賭だけど 呼ぶ方も賭なんだね。 マラーホフが引っ込んだ後は、ヴィシニョーワが登場。 鈍い金色の、一枚布を頭からスッポリ被るようなドレス。 3人の中国宮廷女官が前面に大きく描かれている。 お団子の頭にはピンクや水色の大きめの造花のような髪飾り。 ヨーロピアンのシノワズリ。(絶対間違っているじょ!) こちらは、協賛企業の香水が賞品。 2回とも、一度番号順に並べた半券を 箱に入れて生ぬるくかき混ぜたんじゃないかと思うくらい 近い席番で当たりまくり。 おまけ その2 の準備の時間稼ぎのため 佐々木氏のとりとめのないトークが始まる。 32回転の手拍子は 「大阪のおばさん」は「応援なんだから」と言ってたけど 会場の手拍子とオケのテンポが違う(ずれて聞こえる)ので ダンサーはとっても踊りづらいので、 バレフェスでは排除したいとか、そんなことをウダウダと。 おまけ その2 「ファニー・ガラ」 (1)マラーホフのジュリエットに、ロホのロミオ その笑顔を本番でも見たかったよ、マラーホフ。 余興で楽しませるより、本番に全力投球をしてくれ! (それよりも、オチ担当がトップなのが問題か) ロホの演技はメチャうま!! バサバサの髪に顔を汚し、腹には詰め物。 浮浪児かサンチョか。 煙草を吸いながらやさぐれているところがとっても可愛い! 小柄なのでマラーホフがぶんぶん振り回していました。 (2)フォーゲル君の黒鳥 グリゴロ版の短調のヴァリ。 メイクはポリーナちゃん仕込みか。 出っ歯はなぜ付けたのか? (3)フロメタのエスメラルダ(タンバリン) 長い金髪カールのカツラに、緑のスパンコールのチュチュ。 どこでその衣装を調達したのか? 腰フリフリでノリノリよ。 バランスも素晴らしく、オリヴェイラより、ずっとよかった。 (4)ヴァルデスのバジル ヒゲを描き込んでいるよ! 漢だねえ。 踊るのは最初のバリエーション。 長いバランスで感心させつつ、 マネージュで跳びきれない部分を走り込んで端折り、笑いを取ったり。 楽しいぞう! (5)スパニッシュ(「三角帽子」)のマルティネス 最初は女装だけど。 途中で、携帯電話がかかってくるという小ネタがあったけど。 途中からはマジでスパニッシュ。 白いシャツに黒いズボンでフラメンコシューズ(?) カッコイイ。 これを本番で見たかったなあ。 (6)カレーニョのカルメン 4分の一ぐらい開いた幕の間から見えるのはメルクリエフ。 Bプロの衣装、赤地に黒玉の衣装なんだけど、 モミアゲを書き、リーゼントにサングラス、 チェーンの飾りをジャラジャラと。 一昔前のツッパリみたいなビジュアル。 蘭とむの方が似合いそうだ 幕の隙間、上手から美脚の誘惑が。 下手からも美(?)脚の誘惑が。 上手から現れたのは、 アロンソ版のカルメンの衣装に身を包んだポリーナちゃん。 ステキ!イカス!!美しい!!! それを押しのけて下手から出てきたのは、 同じ衣装のカレーニョ。 なんだか、当たり前すぎるビジュアルに思われ、 インパクトを感じない自分が怖い。 コケティッシュに投げキッス。 受けるメルクリエフは上着をはだける。 チェーンは乳首に、セロテープで止めていました。 うひゃーーーー。 でも、普通に終わったな。 はっきり言って 今回は滑った と言うよりも、前回が素晴らしすぎたのね。 カーテンコールは私服の人も。 ステパネンコは黒いドレス。 ドヴォロヴェンコは橙のドレス。 フェリは真っ赤なドレス。 ギエムは灰色?深緑? Bプロ最終日に続き、30番&末尾が3番の席の人は 自動的に手ぬぐいが当たり。 それから手ぬぐい投げ。 マラーホフとルグリはオケピットの壁?にまで出てきて投げるのに対し、 ギエムはお疲れなのか、やる気無し。 ソトニコフさんは投げきれず、フェリに一部渡すと フェリは「こう投げるのよ」と言わんばかりに 下からすくい投げ。 オケは本日も「威風一閃」連発。 ![]() 威吹鬼さんがたくさんいるみたい ![]() と、でも思わなければやってられない。 ABプロと価格が違うのが よくわかんねー内容のガラでした。 時計のアラームを鳴らしている人がいたなあ。 本人は慣れているから聞こえないんだよね。 なら、なぜ鳴らすのか。 15時は(たぶん)3階センターの上手と下手に一人ずつと1階センター上手。 17時は、気が付いたのか注意されたのか、 1階からは聞こえず、3階のお二人のみ。 気が付かないって、幸せね 8月11日に「3番」の席に座っていた友人が貰った手ぬぐい ![]() ![]() |
■2006/08/15(火)、17(木)「ジゼル」東京バレエ団 |
■2006/08/15 コジョカル&ルグリ ルグリの動きは、すべてにおいて美しい。 いつ、いかなる時も、 その美しさが損なわれることがない。 パリ・オペ「ラ・バヤデール」のソロルは「遊び人」系だった。 でも、今回のアルブレヒトは「純愛」系を加味。 自分のしでかしていることに、正しく気が付いてはいるのに 止められないのは、あまりにもジゼルが愛おしいからだろうか。 ジゼルが友人達と踊りたい、と言っても、 暖かく笑顔で見守る。 そういう、子供っぽいところも好きなのかもしれない。 もしかしたら、彼には、身分的なことから 気安く遊べる友人が少ないのかも。 だから、彼女にはそういった友人を大切にして欲しいのかも。 あらゆる面で「大人」なアルブレヒト。 狂乱の場面で、バチルドに、「それ以上は言わないで」という仕草をした。 彼女があそこでバラさなければ、大人な彼は、 「うまく処理」できたのかも。 1幕のコジョカルは、儚げな村娘。 白いスカートの下に水色の布を挟んでいるので 清楚なイメージ。 アルブレヒトしか目に入らない、ある意味、子供。 そんな彼女がアルブレヒトを追う。 アルブレヒトは、それに応える。 バカップル、で、あったとしても微笑ましい。 あんな素敵な彼なら、彼女だって夢中になる。 あんな可愛い彼女なら、彼だって目を離さない。 ラブラブだーーーーー! 木村さんのヒラリオンは、どこかオトメチック。 あの娘が好きなんだーーー。 逡巡する姿はいじらしい。 そんな彼が、アルブレヒトの正体をバラすのは ひとえに、ジゼルのためなのだ。 ジゼルを、騙す男から遠ざけるためなのだ。 緊迫した一幕。 しかし。 二幕に入ると、なんだか、いろいろ変わった。 コジョカルは、思っていたほど「精霊」ではなかった。 割と普通に、「少女」だった。 もちろん、自身が死んだことに気が付いていない、 という解釈もアリかもしれない。 が、私には、ちょっと生々しかった。 生命力が感じられてしまった。 最近の私のジゼルの理想がコチュビラなので、特に。 (フライングで登場しちゃったせいもあるのか?) ルグリも、アルブレヒトではあるんだけど、 「ルグリ」の面が、強く出てしまったかも。 高速で精密なブリゼも、アルブレヒトではなく 「ルグリ」の名人芸だった。 私自身はルグリが大好きなので、 これはこれでありがたいけれど、 最後まで「アルブレヒト」を見たかった気がしなくもなく。 やはり、ルグリの相手はモニクかフェリだよな。 浜野さんのバチルドは、普通のバチルドになっていた。 背を向けちゃったよ。 誰もがアルブレヒトから目をそらすとき、 彼女だけアルブレヒトを見ているのが良かったのに。 ただ、ただ、見ているのが良かったのに。 それでも、彼女のバチルドは良い。 姫役者なんだよな。 高慢でも、なんでもないの。 その地位に生まれついたものが、 自然に動いている、そんな姫。 こんな役回り、誰かが似合う、と思ったら ふーちゃんだな。 アデルマ系。姫だけど別格、みたいな。 浜野さんが若い分、後藤さんの侯爵に貫禄がある。 まーーー、男にはよくあることだからな、 とか、慰めていそう。 ドゥ・ウィリ。 小出さんは指の先までは美しい。 長谷川さんが、予想以上に「精霊」の雰囲気。 白塗り(って言うのか?)が合う。 和装の幽霊の方が合うかもしれない。 井脇さんは、言うこと無い。 「幽玄」。「女王」。 パ・ド・ユイットの男性陣。 いつまで「4人組」なのかな・・・。 上手奥の人魂に火がつていなかった。 そのため「人魂全員集合」の時に出てこなかった。 ジゼル:アリーナ・コジョカル アルブレヒト:マニュエル・ルグリ ヒラリオン:木村和夫 バチルド姫:浜野香織 公爵:後藤晴雄 ウィルフリード:森田雅順 ジゼルの母:橘静子 ペザントの踊り(パ・ド・ユイット): 小出領子‐古川和則、高村順子‐中島周、 長谷川智佳子‐平野玲、佐伯知香‐大嶋正樹 ジゼルの友人(パ・ド・シス): 大島由賀子、西村真由美、乾友子、 高木綾、奈良春夏、田中結子 ミルタ:井脇幸江 ドゥ・ウィリ:小出領子、長谷川智佳子 指揮:アレクサンドル・ソトニコフ 演奏:東京フィルハーモニー交響楽団 ■2006/08/17 ヴィシニョーワ&マラーホフ なんだか。 これを見る前に、イベントが多すぎて。 特に、芝さんの歌声にやられちゃって、 カサ・ロサーダの群衆の一人になった興奮が残って、 そんな状態で見ていたから、 いまいち入り込めない部分があった。 ルグリとコジョカルは、 「そりゃ、彼(彼女)なら、愛さずにはいられないだろう」 と、登場人物の気持ちが分かった。 親身になれた。 今日の二人は、「もう、勝手にやってな!」と思っちゃう。 自己陶酔のアルブレヒト、 病弱な体に炎の魂が宿ってしまったジゼル。 二人とも、自分からは、ちょっと遠い存在。 だけど・・・ 今日の方が、ずっと「物語」として成り立っていた。 登場人物、一人一人が、「役」として掘り下げられていた。 舞台にいるのは、ヴィシニョーワではなくジゼルであり、 マラーホフではなくアルブレヒトだった。 掘り下げるとは違うかな。 相互作用? それぞれが役として存在するから それぞれの役が、お互いに(主演二人だけでなく)、生きてくる。 マラーホフは、フェスの不調は、 これに全てを注ぐためだったのか、と思うほど 踊り全てが良かった。 ここまで踊りの面で好調だったのは久し振り。 ヴィシニョーワは、「精霊」ではないかもしれないけれど 「人間ではない存在」だったから、ワタシ的にはOK。 なんか。。。 「完璧な舞台」を見た。 ような、気がする。 バチルドは、今日の井脇さんの方が アルブレヒトを見つめていた。 こんなバカな男でも、彼女は彼が好きなんだろうなあ。 大島さんのミルタは、女王というより、リーダー。 コレはコレで、好き。 ドゥ・ウィリ。 乾さんの踊りは輪郭がはっきりしていて好きだな。 西村さんは今日は不調なのかな? 一幕も二幕も、踊りがぼやけていた印象。 なんか、うまくまとまらない。 書き足しが有れば、後日に。 あ、ヴィシニョーワが投げた花、 (ヒラリオンが殺される場面のちょっと前あたりね) 真上方向に上がったので、彼女の頭の上に墜落したよ。 ジゼル:ディアナ・ヴィシニョーワ アルブレヒト:ウラジーミル・マラーホフ ヒラリオン:木村和夫 バチルド姫:井脇幸江 公爵:後藤晴雄 ウィルフリード:森田雅順 ジゼルの母:橘静子 ペザントの踊り(パ・ド・ユイット): 小出領子‐古川和則、高村順子‐中島周、 長谷川智佳子‐平野玲、佐伯知香‐大嶋正樹 ジゼルの友人(パ・ド・シス): 浜野香織、西村真由美、乾友子、 高木綾、奈良春夏、田中結子 ミルタ:大島由賀子 ドゥ・ウィリ:西村真由美、乾友子 指揮:アレクサンドル・ソトニコフ 演奏:東京フィルハーモニー交響楽団 |
■2006/11/16(木)、17(金) 「ドナウの娘」東京バレエ団 |
■2006/11/16(水)斎藤友佳理&木村和夫 *プログラムを買っていないので、 粗筋は舞台を見た印象のみで書いています。 第一幕 「ドナウの娘」ってことは、舞台はドイツの田舎町でしょうか。 (「フルール」ってことはフランス?) ものすごく聞き覚えのある音楽と共に幕が上がると なんだか、「ジゼル」の一幕みたいな風景が広がっています。 川辺で寝ている女性がフルールでしょうか。 若い女性が戸外でお昼寝とは不用心ですね。 でも大丈夫。 川の上流からどんぶらこと、手をヒラヒラさせながら 女性が流れてきました。 いかにも手動の板を引いた上でポーズを取っているなあ、 と感じさせる川の流れです。 どうも、この方、ドナウの女王のようです。 (女王っても、♪青きドナウの~ じゃないYO!) ドナウといえば、川。 なのに髪飾りは赤い珊瑚に見えます。 淡水珊瑚でしょうか。(なんじゃそりゃ) どうやら女王様はフルールと深い絆があるようで 寝ている彼女に祝福を与えます。 フルールがお昼寝を終えると、恋人のルドルフの登場です。 ああ、みんな木村さんのヒゲをチェックしているんだろうなあ、 と思いつつ、私もオペラグラスで凝視です。 今日も濃いです。 頬は痩け気味。襟足が短くなってるような気がします。残念。 フルールとルドルフはラブラブ。 なんちゅうか、アルブレヒトが現れず、 なおかつジゼルが健康だったら ヒラリオンとはこんな雰囲気だったんだろうなあ、と思わせる絵でした。 まあ、仲の良いところを見せていただいて。 お母さんに恋仲を反対されても深刻じゃなくって。 いつのまにか村人達も加わって踊っていて。 そんな時、お城から伝令官ご一行様が。 黒っぽい服にヒゲとなれば悪役だと相場は決まっているのに、 なぜだか爽やかな平野伝令官ですよ。 お付きの男性が幕を広げ、男爵様の命令を告げます。 曰く 「男爵は嫁を捜している。我をと思う若い娘は城に来い」 結婚相手に求めるのは家柄ではなく美貌なのでしょうか。 平民でも可、というのは、進歩的な平等思想なのか、ただの変人か。 フルールは恋人がいても、お城には行きたいようです。 「行ーきーたーいーーーーー ぜえっっったい 行きたいーーー」 ちょっと我が儘です。 ルドルフは面白くありません。 だって、自分と結婚する、と言った女性が 見合いの場に行くんですもんね。 しかも、男爵はルドルフが仕えているご主人様なのです。 ご主人様のちょっと変わったところを知っている彼は 男爵がフルールを選ぶんじゃないか、とっても心配。 だって、君は 可愛いし! それなら、醜く、脚が悪く、おつむの弱い人の振りをするわ。 そうしたら絶対選ばれないから! って、現代にこんな設定でいいんでしょうか、ってなことを言い出します。 まあ、舞台は現代じゃないからOKみたいです。 場所は変わり、男爵邸。 豪華です なんか、悪魔とそのご一行が乗り込んできた某国の宮殿より豪華ですよ。 羨ましいですね。 若い男爵様は、衣装に比べると顔立ちはさっぱり。 踊れ歌え騒げ!と、貴族・村人に関わらず大騒ぎです。 男爵の見ている前では醜く装おうフルール。 男爵が伝令官と二人でどっかにいっちゃうと 仕事中のルドルフといちゃいちゃします。 脳天気だなあ。 しかし、男爵の目は鋭く、フルールが美人なのがバレちゃって フルールを花嫁に指定します。 えええええっっっっーーーーーー! 私には恋人がーーーーっっっっっ! 断るフルール。 さらに、ルドルフが、彼女は私の恋人と告げますが 逆に反逆の罪で捕らわれそうになります。 絶望したフルールはドナウ川に身を投げます。 それを見て錯乱したルドルフは城外へ逃げます。 第二幕 城外で倒れているルドルフ。 そこへ現れたのは白い衣装に着替えたフルール。 どうやら彼女はドナウ川の精霊になっちゃったようです。 束の間、一緒にいましたが、男爵一行が現れたので フルールは川へ消えます。 ルドルフの錯乱再び。 なんかーーー、男爵様はーーー、思い直したように見えるのよ。 そもそも、自分の花嫁になりたい娘は城に来いって命令を出して それに応じて来るってことは、花嫁になりたいってことだろう。 (舞台の様子から、城へ行くのは強制ではなさそうだわよ) それなのに、いやだーーー、だの、恋人がいるのーー、とか 男爵にしてみれば、なんでそんなヤツが来るかいなーーー、と思うわさ。 その時は怒ったけど(怒って当然だわな) 死人が出ちゃったんで、反省したと思うのよ。 ルドルフも許しちゃおうかなーー、て風情なのよ。 でもルドルフは錯乱中。 伝令官の腰に下げた剣を奪い取り、男爵に襲いかかっちゃうのだよ。 しかし、失敗。 ついには彼も川へ身を投げます。 横にゴロンと身体を倒すように・・・・・・・。 もっと段差のあるところで飛び込ませてあげて・・・。 舞台は変わり、ドナウ川の底。 ルドルフが舞台天井からゴロゴロ落ちてきます。 どういう仕掛けなんだろう。 そこでルドルフはフルールと再会。 フルールはもともと水の精なので ドナウの女王の庇護を受けていたのです。 再会を喜ぶ二人。 さらにベールを被った水の精の中からフルールを見つけられたら 二人を地上に帰してあげよう、と女王様は言いました。 ルドルフがフルールを見分ける方法。。。それは。。。。 座席が端の方なので見えませんでした。 残念。 (この辺でだいぶ飽きてきたので、強いて見ようとは思わなかったし) まあ、めでたく見分けて、水面に二人が登っていくところで幕。 地上に戻って・・・が、あると思い込んでいたので 突然の幕切れに、ちょっとビックリ。 思っていたより駄作ではなかった。 音楽がアダンということもあり、 かなりかなり「ジゼル」を思い出した。 それでも、「ジゼル」が残り、 こちらが消えたのは、わかる気がする。 全般的に印象が薄いのよ。 大駄作の方が印象に残るのよねえ。 凡作に比べれば駄作の方がマシ、とは、 別な方面でも言ってるわなあ。 踊り自体は複雑な部分もあるけれど これ見よがしな技がないので、見所は少ない。 一幕で話を動かし、二幕は白い世界を楽しむ。 娯楽の少ない時代なら、この白い世界だけで充分なんだろうけど 現代だと物足りないなあ。 話が平坦なので、キャラクターに頼るしかない。 ユカリューシャは、さすがに「現代のタリオーニ」なのだ。 ラコット版「ラ・シル」を踊り慣れていることもあるのでしょうが 初演とは思えないくらい、踊りが自然でした。 もう、10年ぐらい、この作品を踊っているような自然さ。 脚の捌きも軽やかで、演技も可愛い。 快活な村娘も、水の精も、よく似合っている。 ロマンチック・チュチュが似合うんだよなあ。 木村さんは、それほどリキみがなく まあ、良いかな。 踊る部分は「白鳥」の王子より多いし。 足の先まで綺麗だし。 うちひしがれてヨロヨロしているところは良かったよ。美味しかった! もっとねえ、髪がねえ、長いといいんだけどねえ、 それだと伝令官に被っちゃうんだろうなあ。 ちぇっ! 男爵様は中島君。 踊りはいいけど、「役」を演じるのは、まだまだかなあ。 パ・ド・サンクのお姉様達に混じりすぎ。 キャラ的にはもっと濃い方が芝居に流れ的にはいいんじゃないかなあ。 初演ファーストキャストってことは、 ラコットさんの男爵のイメージは中島君のような さっぱりさんなんだろうけどさ。 でも、話の一角を担うには、まだ弱いな。 タカハナに割り込むタニみたいなもんで。 ルドルフ・男爵のラインって、オサアサかタニトムぐらいじゃないと インパクトが無さ過ぎるわ。 井脇さんの女王様は、「ジゼル」と違って陽性。 なんとなく肝っ玉母さんだわ。 ソリストでは、小出さんの可愛らしさと 長谷川さんの軽やかさが印象に残りました。 男性群舞で目立っていたのは高橋さんかなあ。 まあ、なんちゅうか。 巨大プロジェクトだったんだろうけど。 これに金をかけるなら、「白鳥」や「くるみ」の美術を なんとかして欲しかったなあ。 とりあえず、男爵邸のセットは 「白鳥」の3幕に使いましょう。 教訓 歴史から消えるには理由がある 予想はしていたんだけどね。 このテの復刻って、本当は作られた国の国立劇場あたりで やるべきもんじゃないのかな? 興行的にペイするかどうかの部分に関係なく、 研究として作られるべきじゃないかなあ。 国立劇場の歌舞伎にも、そんなのがあったような。 カーテンコールで。 前列は、上手から、 サルモンさん(たぶん)、ラコット氏、ユカリューシャ、木村さん、ソトニコフさん だったのですが、NBSからの花束は3つ。 それが、ユカリューシャ、ラコット氏、ソトニコフさんへ。 ラコット氏は自分が貰った花束を木村さんに渡し、木村さんはサルモンさんへ。 リレーのバトンのようでした。 花束を渡す人に、もっとしっかり伝達しておけ、と思いました。 ソトニコフさんは、いつもの通り 何本か花を抜き出しオーケストラへ。 金管が時々ふらついたけど、バレフェスほどでは無かったよ。 振付・改訂:ピエール・ラコット(フィリッポ・タリオーニの作品に基づく) リハーサル指揮:アンヌ・サルモン 音楽:アドルフ・アダン <主な配役> フルール・デ・シャン(ドナウの娘):斎藤友佳理 ルドルフ:木村和夫 ドナウの女王:井脇幸江 男爵:中島周 母親:橘静子 伝令官:平野玲 パ・ド・サンク(女性):小出領子、高村順子、長谷川智佳子、西村真由美 パ・ド・サンク(男性):中島周 フルール・デ・シャンの友人:乾友子、高木綾、奈良春夏、吉川留衣 指揮:アレクサンドル・ソトニコフ 演奏:東京シティ・フィル・ハーモニック管弦楽団 協力:東京バレエ学校 ■2006/11/17(金)吉岡美佳&後藤晴雄 昨日の席は1階上手寄り、本日の席は3階正面。群舞のフォーメーションも、ライトの入り方も、今日の方が綺麗に見えます。昨日は群舞に遮られて正面奥の踊りが見えなかったから。今後、この作品を見に行くことがあれば3階(以上)狙いにいたしましょう。昨日はユカリューシャ&木村さん目当てだったし、アッサンブレのポイントを使いまくって安く行ったので、満足はしていますが。 昨日は、フルールは城へ行きたがっているように見えたのですが、今日は、母に命じられて仕方なく、でした。昨日の私はきっと寝惚けていたのでしょう。申し訳ありません(それともダンサーによって演技や演出が違う?)。誤りついでに、2幕でルドルフが剣を奪った相手は男爵ではなく、伝令官でした。 さて。昨日の斎籐&木村ペアは、幸せなジゼル&ヒラリオンでした。今日の吉岡&後藤ペアは、わりと普通に恋人同士。昨日ほどはラブラブ~ではないけれど、そのぶん現実的な将来を誓い合っているように思えました。だからこそ、一幕終わりの悲劇の度合いも深まるのかなあ。やっぱユカリューシャはエキセントリックなのかも。そこが好きなんだけどさ。ただ、ラコット振付の踊りは、昨日のペアの方が似合っている。技術とかではなく、あくまでも雰囲気ね。後藤さんがちまちま踊っているのを見ると、もっと豪快な踊りが見たいなあ、と思っちゃうんだなあ。もっと、ぐわっっっと!な、と。目立ったミスはなかったと思いますが、それでも、コレじゃないだろう、と、つい、ね。入り込んだ演技は良かったよ!吉岡さんはあっさり。というか堅実?たわいない古臭い作品には理知的すぎるかも。 田中さんのドナウの女王は、悪くないんだけど、ちょっと「女王」寄りの踊りかな。一幕で二人に指輪を与えたり、人間のルドルフを水の中でも生かしているってことは、二人をくっつける気持ちアリアリでしょう。だから、精霊を司る女王の面と同時に「世話焼きなおばちゃん」の面もあってもいいのでは?と思うのは、昨日の井脇さんの印象があるからかなあ。ミルタより、ドン・キのドリアードの方に近いんじゃないかしら。踊りはいいよ。滑らかでした。 先にも書いたけど、群舞は正面の遠目で見る方が動きがよく見えてイイです!2幕も、ただ白いだけではなく、水の世界でした。ユラユラとゆらめく水の中、みたいな。なかなかいいわ。 ま、でも、単調なのには変わりないんですがね。もともとタリオーニに対しての宛て書きだもんねえ。主演者たちが作品を引っ張らないと、つまらなくなっちゃう。今回の2ペアは見て面白かったと思うけど、他のペアだったら考え物だな。例えば、パリ・オペの来日公演演目だったら怒りまくるだろうなあ。3階正面が5千円なら妥当かな。1階正面で1万円では見たくない。 それにしてもですよ。男爵が可哀想ですよ。お触れには、「若い娘を招待する」って書いてありました。命令じゃないでしょ。男爵の好意でしょう。来た娘達は自分と結婚したいと思っているのは当然ですよね。それなのに、「あんたとはイヤーー」ってさ。公衆の面前で赤っ恥をかかされてさ。許してとフルールの懇願を拒絶するのは意地悪じゃないですよね。ごくごく普通の対応かと。それでもフルールが死んだときはショックを受けて後悔しているし、城外で倒れているルドルフに手を貸し、反逆の罪も許そうとしているのに、ルドルフってば斬りつけてくるんだもんねえ。あの後、伝令官が嫁を世話してくれるといいね。そう思うと、キャラ的には中島君に合っているのかもなあ。もうちょっと、芝居を引っ張れる存在感があれば、結構ハマるかも。明日の大嶋君はどうなるんだろう。 あとねーー。舞台セットがね。概ねいいんだけど、ドナウ川の岸辺はもうちょっと高く作れなかったかなあ。3階ですでに、ドナウの女王が乗っている水色の板が見えるよ。ルドルフの身投げも情けなさ過ぎです。次回がたぶんあると思うので、その辺は改善していただければ。 今日は新国立劇場の「白鳥の湖(ザハロワ&マトヴィエンコ)」とバッティングしたせいか、3階から上は、特にサイドの客入りは悪かった。バレエスクール経由で安い券が出回っても、これくらいなのかあ・・・。時期が悪いよね。 |
■2006/11/29(水)「ディアナ・ヴィシニョーワのすべて」マリンスキー・バレエ |
今日は5階正面席。舞台全体が良く見えます。思っていたよりは遠くない。ヴィシニョーワとロパートキナ、どっちのガラにしようか迷ったんだけど、キーロフの「バヤデルカ」が見たかったので、こちらにしました。 「シンデレラ」 ラトマンスキー振付。幕が上がったとき セットは無しかよ! と、一瞬愕然としましたが、衣装の色合いが良く スカスカ感はありませんでした。 場面は「お城の舞踏会」。 男性は黒燕尾服、女性は赤や橙のロングドレス。 ほんのりアバンギャルド?? 振付も少々クラシックの範疇からハズれているかな。 こういうガラで一部分を見るのは目新しくて良いけど 「マリインスキーの」「シンデレラ」を期待して 全幕を見たら辛いかもね。 やっぱり童話のキラキラ感が欲しい気もする。 義母も義姉も女性で、踊りの見せ場有り。 王子はコールプなんだけど・・・。 白いタキシードに、撫でつけた髪、微妙なヒゲ(アゴにもあり)って 王子というよりマフィア 彼だからマフィアになるのか。 他の男性なら王子になるのか。 わからん。 ヴィシニョーワは白っぽい膝丈のドレス。 お城に迷い込んだように来たシンデレラが 期待より不安で周りを見渡す表情が良かった。 白く、初々しくもある。 でも、やっぱり押さえきれない官能もある。 コールプと組むと、 入ったばかりの娼婦&娼館の女将のヒモに見えなくもなく。 身体的な能力は合っている。 マラーホフと組んでいるときは、 あれでも押さえているのかもね。 ジャパン・アーツのブログによると、 最後の方に出たのは「四季の精」だそうで。 冬の精はマールイのプハチョフの兄??? 白塗りに鬘で人相はわからなかったよ! シンデレラ:ディアナ・ヴィシニョーワ 王子:イーゴリ・コールプ 継母:エカテリーナ・コンダウーロワ フディシカ (シンデレラの義姉):タチヤーナ・バジートワ クブィシカ (シンデレラの義姉):ヴィクトリア・テリョーシキナ ダンス教師:エカテリーナ・オスモールキナ、イスロム・バイムラードフ 四季の精: 春 フェードル・ムラーショフ 夏 アントン・ピーモノフ 秋 マキシム・ジュージン 冬 ドミートリー・プィハチョーフ 「バヤデルカ」 2幕をまるまるです。 セット有りです。ありがたいです。 人数も、そこそこいたのかな。 舞台が手狭に感じるほど。 オウムが懐かしいわ。 ゾウさんもいたよ! ガムザッディはテリョーシキナ。 身体的能力はあるけれど もうちょっと華があるといいなあ。 ニキヤに「あんたがヘビを仕込んだのね!」と責められるところで 「なんのことだかわからないもーーーん」と そっぽを向く演技は良かったよ。 サラファーノフが戦士にはまったく見えない! 戦士の家に生まれたから、戦いに赴くことなく将軍になった、みたいな。 虎も「金で買っただろーーーーっ!」と思っちゃう。 (腹を踏むんで、そこがちょっと綻びている、あきらかにぬいぐるみの虎だった 抱きしめてみたいよ、あの虎を。フカフカだろうなあ) ニキヤが登場したときは、 「僕ちゃん、もうダメーーーー (T△T)」と 下を向いてしまう ヘタレなソロル それがまた、似合うんだよ、サラファーノフが! これはこれで話が通っている。 ニキヤが死ぬときも、 あああああーーー、見てられないーーーー、と まずそれで背を向ける。 お前の生き死になんか関係ないんだよ系とは違うんだな。 このソロルもいいねえ。 ヴィシニョーワの嘆きの踊りは素晴らしい。 巫女でありながら、肉感的ってのは この2幕でこそ発揮される魅力だね。 大僧正が、ニキヤに薬を与えようとするとき 「みな、背を向けるように」と指示したり なかなか細かい芝居が随所に入っていました。 金の仏像のシクリャローフが良かった。 まだ若いので「神々しさ」まではもうちょっとなんだけど 踊りのラインが綺麗だった。 ニキヤ (寺院の舞姫):ディアナ・ヴィシニョーワ ソロル (戦士):レオニード・サラファーノフ ガムザッティ (藩主の娘):ヴィクトリア・テリョーシキナ ドゥグマンタ (藩主):ピョートル・スタシューナス 大僧正:ウラジーミル・ポノマリョーフ トロラグワ (戦士):アンドレイ・ヤーコヴレフ 舞姫たち (バヤデルカ): イリーナ・ゴールプ、オレシア・ノーヴィコワ、ヤナ・セーリナ、スヴェトラーナ・イワノーワ、 グラン・パ・クラシック クセーニャ・オストレイコーフスカヤ、ダリア・スホルーコワ ヴィクトリア・クテーポワ、エカテリーナ・コンダウーロワ セルゲイ・サリーコフ、アレクサンドル・クリーモフ 金の仏像:ウラジーミル・シクリャローフ インドの踊り:ガリーナ・ラフマーノワ、イスロム・バイムラードフ、グリゴリー・ポポフ 子供たち:鈴木優,鈴木舞 (牧阿佐美バレヱ団) 「ルビー」 すんげえ。 全然バランシンじゃない。 「無機」なんて要素はまるでない。 腕の一振りにさえ「優雅」という意味が込められちゃう。 ペリ・オペは代替えとして「エスプリ」で表すけど キーロフだから。 「音楽で踊っちゃう」ので 「音楽そのもの」にはならない。 衣装も、あまり垢抜けていないし。 背景画もあったし。 「削ぎ落としたシンプルさ」なんて、 これっぽっちも存在しないよ。 それでこそキーロフで、 それも良し!かな。 ここでもヴィシニョーワの身体能力が目立つ。 「バヤデルカ」では、テショーリキナより大きく踊っちゃったサラファーノフも ヴィシニョーワの踊りには合っていた。 ヴィシニョーワ仕様なのか? もう一人の女性ソロはグーメロワ? 全然迫力が無かった。 ディアナ・ヴィシニョーワ アドリアン・ファジーエフ、ソフィア・グーメロワ、アレクセイ・ニェドヴィ-ガ アントン・ピーモノフ、マクシム・フレプト-フ、フェドール・ムラショーフ ヴィシニョーワは、やっぱりキーロフの人だな。 客演の時とは全然違う。 「自分のカンパニー」の安心感がある。 踊り手よりも、もしかして観る側に。 オーケストラも良かった。 ヤバい時もあったけど、音が厚いんだよね~~。 |
■2006/12/04 (月) 「オールスター・ガラ」キーロフ・バレエ団 |
「レベランス」 ダリア・パヴレンコ、ソフィヤ・グーメロワ、ヤナ・セーリナ アレクサンドル・セルゲーエフ、ミハイル・ロブーヒン、マキシム・チャシチェゴーロフ 「イン・ザ・ミドル・・・」のクラッシク寄り簡易版6人構成みたいなもんかなあ。 作品自体に面白みはないけれど、ダンサーの肉体は堪能できる。 「ばらの精」 ダリア・スホルーコワ、イーゴリ・コールプ コールプはちょっと生々しいけれど、 それほど「色悪」の部分は出なかった。 跳躍はいいけれど、腕の使い方に繊細さが足りないかなあ。 このキャラだと無くても構わないのかな。 スホルーコワは、お人形さんみたいだった! 役と実年齢がリンクしている。まさに「少女」。 こういう時期はそれほど無いからね。貴重よね。 彼女の可愛らしさに目を奪われっぱなし。 ダンサーとしてどうとか、 そんなことはどーでもいいくらい可愛い。 「タリスマン」エカテリーナ・オスモールキナ、ミハイル・ロブーヒン オスモールキナは音楽に乗っていて、 なかなか良かったです。 途中、床に手をつくミスがあったけど 気にしない、気にしない。 (足を痛めちゃったかな?大丈夫かな?) ロブーヒンは「ガラにおける力技で押し切る若手」のポジションでしょうか。 少々粗いし、芸風もどっちかといえばボリショイな気もしますが まあ、いいや。 ダイナミックだったし。 この前見た「タリスマン」が、 03年バレフェスのイナキだったので 相対的に誰でも良く見えるのよ。 ああ、そうだ。オスモールキナのソロで ルグリの幻影がちょびっと見えたわ。後遺症。 「ロミオとジュリエット」 イリーナ・ゴールプ、ウラジーミル・シクリャローフ 若いダンサー=若い年齢の役、では、ないんだなあ、と つくづく感じました。 振付の通りに身体を動かしているだけで 役も演技もあったもんじゃない。 学生の発表会みたいだなあ。 シクリャローフの、「どっこいしょ」的なリフトには 思わず笑いが・・・。 「まるでルダチェンコ」と思ったりして。 でも、可愛い顔をしているよ。 マチュー君と並べてみたいもんだ。 「グラン・パ・クラシック」ヴィクトリア・テリョーシキナ、レオニード・サラファーノフ 前のペアが「学生」だっただけに、 「プロ」の演技に大感動! 後光が差す ってのは、このことだねえ。 二人とも光り輝いている。 難しい技を、なんでもないように見せ、 それでいて客を魅了する。 すごいなーーー。 テリョーシキナは、回転もすごいけど、 その後に「キッチリ止まる」の技も素晴らしかった。 バランス技も高度。 サラファーノフも、細かいステップの連続を こともなげに踊っていました。 やっと「オールスター」にふさわしいペアが出ましたね。 「眠れる森の美女」第1幕のアダージョ ディアナ・ヴィシニョーワ スカートが長めのピンクのチュチュのヴィシニョーワに、 鬘装備の王子4人。 衣装は良くても、舞台セットが無いので 華やかには見えない。 う~ん、悪いワケじゃないんだけどね。 「若くて美しいダンサー」から 「若さ」が無くなるとき、 どういう方面にシフトするんだろうか、 なんてことを考えてしまった。 ヴィシニョーワ自体は若いんだけど 学生時代から売れている人なんで そろそろ「若さ」が摩耗したかなあ。 テリョーシキナの後だと余計にそれを感じた。 だいたい、姫キャラじゃないんだし。 「パヴロワとチェケッティ」 ウリヤーナ・ロパートキナ、イーゴリ・コールプ ノイマイヤーの振付。 「男性が女性にレッスンをつける」ただそれだけのネタなのに、 踊り手のせいか、芸術性が漂い ちゃんと「パヴロワとチェケッティ」になっている。 涙を流す!系ではないんだけど、 二人の間の空気が穏やかで いいものを見たな~~、と感動をしみじみ噛みしめる系の作品でした。 さすがノイマイヤー。美しい世界でした。 音楽が、どこかで聞いたことがあるなあ、と思ったら 「眠り」の「パノラマ」だった。 マールイの「パノラマ」が聞きたくなった。 「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」 オレシア・ノーヴィコワ、アンドリアン・ファジェーエフ せっかく盛り上がったのになあ。 これを前に持っていって、 第2部の〆は、ヴィシニョーワの「ドン・キ」とかに できなかったのかなあ。 ノーヴィコワは早めのテンポ、ファジェーエフはゆったりなテンポ、と 二人の踊りのリズムが違いすぎて 「流れるように」から遠ざかっていました。 ピンで見ると悪くないんだろうけど 「パ・ド・ドゥ」なんだし。 「エチュード」 アリーナ・ソーモワ、レオニード・サラファーノフ、ウラジーミル・シクリャローフ いや~、本当に体力勝負な作品だよなあ。 最後の方、男性陣は一部ヘロヘロになっていたけど 「完走の充実感」は得られました。 東バは「歩いてゴール」みたいなカンジだったから。 ここでもサラファーノフは大活躍。 シクリャローフも「ロミジュリ」より、ずっといい。 まだ役を演じられないだけなのか、相手役が悪かったのか。 とにかく溌溂と踊っていましたわ。 ソーモワは、「トリの真ん中」には微妙だけど 体力はバッチリみたいだから仕方がないかな。 明るい踊りは好印象。 ロマンチックチュチュの時の腕の使い方も良かった。 「オールスター」と言うけれど 一部を除き、若手はまだまだスター候補であって スターではないかなあ。 まあ、それなりに満足だけど。 今日はオケのバランスが非常に悪かった。 あの管は、なんでしょう。 音が割れているのに、ガンガン鳴り響いて。 4階席なのに耳が痛くなりました。 ピアノと弦は良いんだけどねえ。 ああ、早くアニハーノフさんに会いたい! 指揮:アレクサンドル・ポリャニチコ 管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団 |
■2006/12/05 (火) 「海賊」キーロフ・バレエ団 |
ロパートキナが、こういう荒唐無稽冒険活劇のヒロインってのが、あんまり想像ができなかったんですが、案外似合っていました。白も似合うけれど、カラフルな世界も合いますね。大柄な身体を思いっきり伸ばして踊っていました。衣装替えもたくさんあったし、満足です。2幕より、3幕の方が迫力がありました。 ゼレンスキーはアリ役で登場。いやー、「幕が上がると私服のゼレンスキー」の不安は捨てきれなかったので、出てくれただけで安心。なんとなーく「八分の力」と思う部分もあったのですが(ニーナのガラの時を基準にしちゃイカンのか)、最後はマストに登るし、不安定な帆を支えるしで、どんどんテンションは上がっていったのかな。そこまで張り切らなくてもいいんだよーーーー、と思うくらいでした。 イワンチェンコは、海賊の頭領というには、ちょっと端正かな。ビデオで見たネフもこんなカンジだったから、キーロフはこれがデフォルトなのかな。イワンチェンコとゼレンスキーの並びは、2代目の若頭領&先代からの忠臣っぽい。奴隷なんかではなく、頭領にバンバン口出ししていそうだ。ゼレンスキーの「王子」の部分がそれほどでなかったのが良かったな。 ノーヴィコワはハキハキした踊り。チャイパドなんかより、ずっと良い。1幕では悲劇のヒロインなのに、3幕ではパシャにかしずかれ贅沢三昧。ちゃっかり屋さんなギュリナーラでしたが、適応力がある女性だと思えば不自然ではないね。 ロブーヒンは、ビジュアルは野性的だし、芝居もうまい。ちょっと間抜けな奴隷商人。踊るとその部分が薄まるかな。 そして注目はプハチョフ兄ですよ!コンラッドの手下・ビルバント。頭蓋骨の形と奥目は家系なのかな。脚のラインが綺麗でした。演技も上手かったわ。弟君ほど背は高くない・・・と思うのは、ゼレンスキー比だから?2幕パ・ド・トロワでも、舞台奥にいる彼が気になって仕方がありませんでした。雑念だらけだわ。兄がキーロフでコリフェ、弟がマールイでソリスト、ってのは、なんとなくわかる気がしました。うまく言えないけれど。 パシャは昔ながらの誇張演技。これも今となっては貴重かも。奴隷市場の男達の芝居も楽しかった!ギュリナーラのベールが出て早々に取れてしまったんだけど、それすらも「ベールを引っ剥がすぞ、でへでへ」みたいな演技でうまくフォローしてました。オダリスクのスホルーコワはやっぱり可愛い。見とれました。 エピローグの船は大揺れ!また沈むんじゃないかと思うぐらい揺れてましたねー。大丈夫かしら? 衣装はマイナー・チェンジなのかな。基本デザインは一緒なのに、色合いちょっとケバくなったような気が。遠目には華やかでした。 オケは、音の方は、こんなもんかなーーー、と。もう諦めたわ。それよりも、ダンサーに音を合わせて欲しい!5階からだと指揮者が見えなくて、指揮者がどれだけダンサーに注意を払っていたかはわからないんですが、せめて決めの音ぐらい合わせてあげようよっ!! 書き漏れがあると思うけど、とり急ぎ。 コンラッド:エフゲニー・イワンチェンコ メドーラ:ウリヤーナ・ロパートキナ ギュリナーラ:オレシア・ノーヴィコワ ランケデム:ミハイル・ロブーヒン ビルバント:ドミートリー・プィハチョーフ アリ:イーゴリ・ゼレーンスキー セイード・パシャ:ウラジーミル・ポノマリョーフ フォルバン: エレーナ・バジェーノワ、ポリーナ・ラッサーディナ、リーラ・フスラーモワ イスロム・バイムラードフ、アンドレイ・ヤーコヴレフ、 オダリスク:イリーナ・ゴールプ、ダリア・スホルーコワ、エカテリーナ・オスモールキナ アルジェリアの踊り :エレーナ・バジェーノワ パレスチナの踊り:ガリーナ・ラフマーノワ |
■2006/12/06 (水) 「ベジャール版くるみ割り人形」東京バレエ団 |
ベジャール版くるみは初見です。私は「外枠を残して中を改変」は、元のイメージが強すぎるためあんまり好きじゃないんですが、これは面白かったです!内容も「愛する母を亡くした少年の夢」が基盤なので、ベジャールの哲学に共鳴しなくても楽しめるし。早めのクリスマス・プレゼントを貰った気分です。 舞台装置はシンプルながらも、照明のせいか、キラキラ感がありました。古典版の美術がアレだけに、こちらの方が、ずっとずっと豪華に見えます。 時々はいるベジャールの語りは日本語でした。ちょっとわかりづらい部分もあったのですが、普段ベジャール作品に入る言葉は、わかる人が聞けば、こんなカンジに受け取れるのかな、と、「ベジャール作品における台詞」が、ちょっとだけわかった気がしました。気がするだけ。 高橋さんの少年は、繊細で、感受性豊かな、愛らしい少年だった。 母と対峙する時も「マザコン」なんて観点は皆無だった。 子供はお母さんが好きだよねえ。 フェリックスに呼びかけるときの 「フェーリー」の言い回しが可愛かったよ! 吉岡さんの母。白いレオタードの時は母性を感じさせながらも 少女のような姿で出てきたときは ハッとするほどチャーミングだった。 いくつもの姿は、ベジャールが思う「母」というものなのかな。 最後、鏡に映った息子に手を振るところが切なかったな。 ネコのフェリックスは古川さん。 ああ、駅の向こうにネコ屋敷があるのに・・・、 と、ちょっと未練。 イメージ的には「犬」なんだけどね。 でも、ちゃんとニャンコだったよ。 M...(マリウス・プティパ、メフィスト、M...)は中島くん。 父であり教師であり悪魔であり、ベジャール本人でもあるのかな? 彼はベジャール作品が似合う。 振付もモノにしていたし。 男爵様より、ずっと生き生きしていて、存在感があった。 終始、舞台に気配を残していたな。 ヒゲも似合っていたよ。 高岸さんの光の天使は、目が釘付け。 似合いすぎ。 妖精さん達、これが「金のポアントか」と 井脇さんの足下を注目。 西村さんも赤い衣装が良くお似合い。 そして、マジック・キューピーの飯田さんですよ! 言い方が悪くて申し訳ないけど 「健康ランドに営業に来た手品師」みたいだった。 ここのBGMは「オリーブの首飾り」でしょ! と、ウケつつも、手品に注目しちゃったよ。 おかげで井脇さんの踊りを見損ねた気がする。 2幕の「各国の踊り」も楽しかった。 「ロシアは無くなり、ソ連となった。でもバレエは生き続けている」 そのソ連も無くなったんだよねえ。 赤い旗がぞんざいに扱われていたのが印象的。 西村さんのアラブは艶めかしく神秘的だった。 中島くんが怪しすぎ。 パリの井脇さん。 仏語の練習をしてるというのを読んだので なにを言うんだろう、と思ったら 「サ・セ・パリ」だったわ。 某所でよく聞く言葉でした。 平野さんのボーダーといい、どこか懐かしいパリの雰囲気。 オシャレな場面でした。 グラン・パ・ド・ドゥは、小出さんと木村さん。 小出さんはちょっと調子が悪いのかな? グラついたり、決めきれなかったり。 木村さんはハイテンション! 髪を振り乱し、パワー全開でした。 配役表には載っていないんだけど 黒燕尾服の女性がカッコ良かったよ! 男性陣の黒燕尾服は着こなしがイマイチ。 ごめん、某所と比べて。。。 こんなことを言っちゃいけないとは思うけど、 やっぱり言っちゃう。 ドナウの娘より ずっと面白い 楽しかったわ~~ ビム:高橋竜太 母:吉岡美佳 猫のフェリックス:古川和則 M...(マリウス・プティパ、メフィスト、M...):中島周 妹のクロード、プチ・ファウスト:高村順子 光の天使:高岸直樹、野辺誠治 妖精:井脇幸江、西村真由美 マジック・キューピー:飯田宗孝 スペイン 闘牛士:氷室友、小笠原亮、松下裕次 中国 バトン:佐伯知香 アラブ:中島周、西村真由美 ソ連:長谷川智佳子、大嶋正樹 フェリックスと仲間たち:古川和則 パリ:井脇幸江、平野玲 グラン・パ・ド・ドゥ:小出領子、木村和夫 |
■2006/12/09 (土) 「白鳥の湖」キーロフ・バレエ団 |
キーロフだけど、ハッピーエンド版だった。 ヴィシニョーワは、白鳥が良かった。 白く美しかった。 やり過ぎることもなく 落ち着いた踊りだった。 黒鳥の衣装は青の飾りあり。 バレフェスの誰かが赤の飾りでビックリだったけど 青は、良いカンジ。 回転系などにちょっとミスがあったが 迫力はあった。 コールプは意外にも、普通に「王子」だった。 もっとイロモノ寄りになるかと予想していたんだけど 正統派だった。 さすがキーロフだ。 感動した。 家庭教師のことなんかきかない、 友人達と踊ること、そんな目の前のことしか考えない王子が オデットを知り、成長していったんだな。 マイムも演技も良かったよ。 アラベスクのバランスで、ちょっとルジを思い出した。 キーロフのルジを見たいにょー。 それは、ともかく。 ヴィシニョーワの良さは、 マラーホフより彼の方がずっと活かせるよ。 相手の良さをちゃんと引き立てられる人だ。 ロットバルトのチャシチェゴーロフは 端正で跳びまくっていたけど もうちょっと、「悪魔」の存在感が欲しいかも。 顔の書き込みは凄かったけど。 道化のイワーノフ。 芸達者。前回公演と同じ人だった。 この体型の人は道化になるんだよな、 そう思うと、よく、ミーシャは王子系にシフトしたな、 と、前回と同じことを思った。 パ・ド・トロワはスホルーコワ、ノーヴィコワ、シクリャローフ。 ノーヴィコワの踊りはキビキビして気持ちがいい。 顔立ちもハッキリしていて美人だ。 スホルーコワは、こことか2羽の白鳥とか たぶん花嫁候補も。 可愛い子だよな~。 シクリャローフなんだけど、技術面のつたなさは 若さとか将来の可能性とかで目を瞑れる。 これだけダメなのに、いずれはスターになると確信できる、 この気持ちってなんだろう、と思ったら タニくんへの気持ちに似てるのかもよ。 群舞は、人数的には少なめ。 2幕の基本は18羽。 でも、みなさん体格がイイから この人数でちょうどいいのかも。 さすがに、揃っていた。 キーロフの底力を見た気がした。 大きい白鳥と小さい白鳥の体格の揃え方が目に楽しい。 ソーモワはさすがに目を惹く。 3幕は女性の道化あり。 各国の踊りの位置づけがよくわからない。 スペインは悪魔側だよね。 その他の国は3幕当初からいたから 悪魔側じゃない、と。 スペインは、本来踊りを見せるべきタイミングだったのに ロットバルトに邪魔されていたとか? マズルカの赤い布が綺麗だった。 舞台に映えていた。 下手側のよく来る金髪の人が格好良かった。 衣装は改訂されたのかな? シックで豪華だった。 オケはかなり良くなった。 ダンサーのキメに、音が合ってきていた。 (と、いっても半分ぐらいはハズれたか?) 担当者が掲示板等を巡って 「3軍」と言われたのを知って 発奮したのだろうか、と思うくらい。 たんに、波があるだけなのか? 白鳥が得意演目なのか? それでも「2軍」になったくらいだけどさ。 オデットと王子の出会いの管のソロで、 音が欠けてビックリ。 カーテンコールで、 フラッシュを焚いて写真を撮っている人がいて どこのバカだよ!と思ったら オケの人だった。 ピット内からデジカメで撮っていたよ。 そんなことをする前になーーーーっっ! (やっぱ上野のヨドバシ? マールイはビックカメラ有楽町店みたいよね) 客席にクナコワが来ていた(と思う)。 現役時代より、ちょっとふっくら。 女性としてはちょうど良い太さ。 美しかった。 オデット/オディール:ディアナ・ヴィシニョーワ ジークフリート王子 :イーゴリ・コールプ 王妃 (王子の母):エレーナ・バジェーノワ 王子の家庭教師:ピョートル・スタシューナス 道化:アンドレイ・イワーノフ 悪魔ロットバルト: マキシム・チャシチェゴーロフ 王子の友人たち:ダリア・スホルーコワ、オレシア・ノーヴィコワ、ウラジーミル・シクリャローフ 小さな白鳥: ヤナ・セーリナ、エレーナ・ワシュコーヴィチ、 イリーナ・ゴールプ、オレシア・ノーヴィコワ 大きな白鳥: エカテリーナ・オスモールキナ、クセーニャ・オストレイコーフスカヤ、 アリーナ・ソーモワ、エカテリーナ・コンダウーロワ 2羽の白鳥 :ダリア・スホルーコワ、クセーニャ・オストレイコーフスカヤ スペインの踊り: ガリーナ・ラフマーノワ、リーラ・フスラーモワ、 イスロム・バイムラードフ、アレクサンドル・セルゲーエフ ナポリの踊り:ヤナ・セーリナ、マクシム・フレプトーフ ハンガリーの踊り:クセーニャ・ドゥブロヴィナ、カレン・イワンニシャン マズルカ: スヴェトラーナ・フレプトーワ、イリーナ・プロコフィエヴァ、 オリガ・バリンスカヤ、ガリーナ・ラフマーノワ、アレクサンドル・クリーモフ、 アンドレイ・ヤーコヴレフ、フョードル・ロプホーフ、ニコライ・ナウーモフ 指揮:アレクサンドル・ポリャニチコ 管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団 装置:シモン・ヴィルサラーゼ |
今年を振り返って・・・を、簡単に |
ジロとルグリに振られたパリ・オペ。 ステパネンコ&グラチョーワの並びが見られなくなったボリショイ。 今回は来たぞ!のロパートキナ&ゼレのキーロフ。 バレフェスに、マールイに、ルジに、ドナウ初演。 破産寸前。 印象深いのはルジの「ラスプーチン」かなあ。 出オチでもいいじゃん。 ルグリの全幕もありがたかった。 マラーホフの「眠り」は、どういう扱い?イロモノ? 木村さんの主役が多い年だった。 ドナウは・・・・・・。 「ここを、こうしてくれたら、再演を見る」って声が多いって事は 成功なのか失敗なのか。 |