感想文・2010年

■「白鳥の湖」レニングラード国立バレエ
■2010/01/03(日)シェスタコワ&プハチョフ
今年のバレエはマールイ「白鳥」から。

シェスタコワの白鳥は
年々表現が深くなっている。
悲哀とか、儚さとか、すごくいい。
オディールも妖艶だった。
調子がいいかな?
音によく乗った踊り。
プハチョフの王子は優雅でノーブル。
このふたり、雰囲気が合うよね。
身長のバランスもイイ。
しかし、ヅラ。
見慣れていないからかもしれないし、
前のよりは王子様っぽいんだけど
(むかしのルジがこんな髪型じゃなかったっけ?)
増やす(カバー)べきは
脇じゃなくて前(おでこ)だろう

って気持ちが心の隅にいつもあって
いまいち集中しきれなかった。
でも、王子としては、いいんだよ!

ロットバルトはヴェンシコフ。
昨夏のジークフリードより
のびのびと、そしていきいきと踊っている。
こちらの先入観もあるんだけど
2場では、なんというのか、脳天気というのか。
3場では、王妃へのちょっかいなど動きすぎのような気も。
全体的に、楽しんで踊っているのがわかる。
わかるけど。
楽しんで踊って、
カーテンコールで拍手独り占めにするより
さきに学ぶことがあるだろう、と
いまの段階で
一人で踊らせる気持ちよさを味あわせる前に
他に学ばせることがあるだろう、と
誰かに向かって小言ババアになる私。
せっかくの王子向けの容姿なんだから
そっちの鍛錬をすればいいのに。
ロットバルト系はたくさんいるんだから。
と見ているときは思ったけど
さっき去年の配役を見たらハンガリーだった。
いちおう本公演では
段階を踏んだステップアップってことなのかなあ。
それにしてもシェミウノフといい
ノーブル系のビジュアルの人を
そうじゃない方に持っていくのは
惜しい気がするんだよなあ。
って語る自分ってどうよ、とも思ったり。

家庭教師はアレクセイ・マラーホフ。
優雅です。
回すお嬢さんの手など借りなくても
クルクル美しく回りまする~~。

トロワの女性は、
(私には)お久しぶりねのロマチェンコワと
産休明けのステパノワ。
ステパノワは、背中とか痩せた?
前より美しくなったような。
でも力強さは変わらず。

クリギン息子は、
脇で立っているときは
それほど思わないんだけど
踊っているときは父を思い出した。
表情が似ているのかなあ。

ハンガリーにポドショーノフ。
白い衣装が似合っている。
ツァルがマズルカ隊に!
うっとり~。
足、長~い。
ナポリのアパシキンの踊りが
のびのびして気持ちよかった。

群舞は去年よりまとまっているかな。
他のバレエ団を見た後だからかな。
知っている顔が少なくなってきたけど
世代交代もあるだろうしなあ。


【配役】
オデット/オディール:オクサーナ・シェスタコワ
ジークフリート:アルチョム・プハチョフ
ロットバルト:ミハイル・ヴェンシコフ
王妃:ズヴェズダナ・マルチナ
家庭教師:アレクセイ・マラーホフ
パ・ド・トロワ:
 アナスタシア・ロマチェンコワ、オリガ・ステパノワ、アントン・プローム

小さい白鳥:
 アンナ・クリギナ、ユリア・チーカ、
 ナタリア・クズメンコ、マリーナ・ニコラエワ

大きい白鳥:
 ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、
 ユリア・カミロワ、エカテリーナ・クラシューク

2羽の白鳥:ユリア・カミロワ、ヴィクトリア・ザリポワ

スペイン:
 アンナ・ノヴォショーロワ、オリガ・セミョーノワ
 (白)デニス・モロゾフ、(黒)ニキータ・クリギン
ハンガリー(チャルダッシュ):
 ニーナ・オスマノワ、マクシム・ポドショーノフ
ポーランド(マズルカ):
 マリーナ・フィラートワ、エレーナ・フィールソワ
 ユリア・カミロワ、オリガ・ラヴリネンコ
 ウラジミール・ツァル、イリヤ・アルヒプツォフ、
 アルチョム・マルコフ、ロマン・ペトゥホフ
イタリア(ナポリ):
 タチアナ・ゴルディエンコ、アントン・アパシキン


指揮:アナトーリー・リバルコ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団


■2010/01/11(月・祝)ペレン&コリパエフ
今季のペレンはとても素晴らしい!
手足がすっきり伸び、
うまくコントロールできている。
以前は、手足を伸ばす最後の瞬間に
気が抜けるようなところがあったけど、
今季は細部まで気を使った踊り。
いいよ!いいよ!!
表情もすごく豊かになった。
「悲しさ」とかが、感じられるようになってきた。

32回転は、前半はシングルシングルダブル。

コリッパーは、覚悟していたより、ずっといい。
ちょっと及び腰なところはあるし
演技というより、言われたとおり動いているだけの
部分もあったけど、
いちおう彼なりの王子を作っていた。
まあ、子供なんだな。
王妃も「嫁でも娶れば、もう少しシャキッとするだろう」
って思ったんだろうなあ。
王子の友人の方がずっと威厳があるんだけど、
それも王妃が手本となるように配置したんではないかと。
お子ちゃまだけど、お子ちゃま振りは一貫していたので
それはそれでいいかなー。
私のハードル低すぎ?
体型もまだまだ子供だしさー。
でも、顔は「ソ連」なんだよね。
不思議ー。
リフトは、わりとしっかりしてました。

シェミウノフ君は、ロットバルトを極めたなー。
肉体をちゃんと持っている悪魔、とでもいうのかな。
悪意が凝縮されて肉体を得たのではなく、
明確に悪意を持っている悪魔。
体温が高そう。
人の不幸・絶望がなによりも美味、ってカンジがする。
昨日とはまったく別人。
よく作り上げたなー。
彼のビジュアルから、ロットバルトはもったいないんじゃないかと
思った時期もあったけど、
ここまで到達してくれるとはなー。
嬉しいなー。
湖畔での衣装は黒。
いろんな黒が使われていたけど、全部黒。
ヴェンシコフは、ちょいとウルトラマンカラーだったような。
いろんな衣装があるのね。

パ・ド・トロワ。
コリッパーより格上に見えるけど
(実際そうだけど)
王妃様が、あえてお手本となるべく人を
「友人」に配したと脳内決定。
シェスタコワはいきいきと踊っていました。
この役にはいるのは珍しいよね。
軽やかな踊りでした。
コシェレワは、うーんと、手堅く。かな。
プハチョフは、3日に見たヅラ装着。
ダイナミックでいいなあー、と思っていたら
ソロの時、舞台の使い方をミスったかのように
途中で動きが止まってしまった。
最後もちょびっとミス気味で
それは本人にもわかっていたようで
さっさと引っ込んでしまった。
最後に3人で踊るときには復調していました。

白鳥ちゃんたちは揃っていたと思います。

スペイン(白)男性はヴェンシコフ。
こちらも、いきいきと踊っていました。
隣のカシャネンコの方が正確に見えるけど
ヴェンシコフの方が華やか。
ノヴォショーロワは粋で、
オスマノワは可愛いお嬢さんだった。
ハンガリーのフィールソワ&ペトゥホフは
とってもスピード感があった。
ちょっとビビッた。
ポーランドのツァルは、3日より濃かった。

指揮のリバルコは
ダンサーのキメに、
音を合わせられるようになったみたい。


【配役】
オデット/オディール:イリーナ・ペレン
ジークフリート:ニコライ・コリパエフ
ロットバルト:マラト・シェミウノフ
王妃:ズヴェズダナ・マルチナ
家庭教師:アレクセイ・マラーホフ
パ・ド・トロワ:
 オクサーナ・シェスタコワ、イリーナ・コシェレワ、アルチョム・プハチョフ

小さい白鳥:
アンナ・クリギナ、ユリア・チーカ、
ナタリア・クズメンコ、マリーナ・ニコラエワ
大きい白鳥:
ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、
ユリア・カミロワ、エカテリーナ・クラシューク
2羽の白鳥:ダリア・エリマコワ、エカテリーナ・クラシューク

スペイン:
 (黒)アンナ・ノヴォショーロワ、(白)ニーナ・オスマノワ
 (黒)アンドレイ・カシャネンコ、(白)ミハイル・ヴェンシコフ
ハンガリー(チャルダッシュ):エレーナ・フィールソワ、ロマン・ペトゥホフ
ポーランド(マズルカ):
マリーナ・フィラートワ、ナタリア・グリゴルーツァ、
ユリア・カミロワ、オリガ・ラヴリネンコ
ウラジーミル・ツァル、イリヤ・アルヒプツォフ、
アルチョム・マルコフ、フィリップ・パルハチョフ
イタリア(ナポリ):タチアナ・ゴルディエンコ、アントン・アパシキン

指揮: アナトーリー・リバルコ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団


厚生年金会館でマールイを見るのはすごく久しぶり。
国際フォーラムに行く前は、こっちだったよね。
1階、入口を入ったところの段上がりの壁に
手書きの配役表が貼ってあったなあ・・・。
男性は黒のマジックで、女性は赤のマジックで。
この頃の「ジゼル」は、
幕開けに村人の男女各1が座ってました。
その男性の方がとても好きでした。
たぶん、「白鳥」ではスペインに入っていたと思います。
クリギン(父)に似ていたんだけど、
クリギン(父)より、もうちょっと背が高くて、ド金髪だったような。
それとも、あれもクリギン(父)だったのかな?
いまとなっては確認できないことですが。。。


■2010/11/14(木)コシェレワ&ザカン
コシェレワは美しかった。
今季見た中では、一番からだが動いていたかも。
会場が小さめなので
踊り過ぎちゃうことが何回かあったけど
それだけ勢いもあるということで。
オデットはたおやかだった。
オディールは艶やかだった。
32回転が、上手側から始まったので
「???」だったけど、
下手に移動していったので
ちょうど良かった。

ザカンは、ガラの時は3階だったので
顔立ちがいまいちわかりませんでした。
各所の感想には「ルジ似」とありましたが、
今日、見たカンジでは、、、
ガリムーリンとジュドの間ぐらいのような。
ロシア人から見てエキゾチックな顔立ち、を通り越して
かなりアジア寄りに見えました。
ガラの踊りは「粗い」ってカンジでしたが
ジークフリードはとても踊り慣れているようで
腕、足とも、細部まで神経が行き届いた踊りでした。
マイムも的確でわかりやすかったです。
コシェレワとの息は・・・もうちょいかな。
サポートは時々乱れていた。
けど、腰は引けてなかったから、
まあ、意気込みは良し、かな。
それぞれが責任を果たしているので
「プロの舞台」を堪能できるレベルではあるんだけど
もうちょい、もうちょいでいいから
演技が歩み寄れば。
それでも、想像以上にはしっくりきていた。
ただ、、、
ザカンは、、、
小さい
プローム君より小さかった。
だからなのか、2場(白鳥)のパ・ド・ドゥでリフトが無かった!
3場(黒鳥)で無いのは、たまに見るけど
2場で無いとは!
ただ、リフト前には、「大丈夫か?持ち上げられるのか?」
って不安があったから
リフト無しは、それはそれで正解?
ザカンに力がないというよりは
たんに体格が合わないだけのような。。。
(でも、デュポンはピエトラガラを持ち上げていたよな)
バレエ団にはいろんな事情があるんでしょうけど、
彼の体格なら、シェスタコワの方が合うんじゃないかな。
コシェレワはプハチョフで。
ペレンはコリッパーを鍛えてちゃぶだい。
なんだかねー。
惜しいんだよねー。
これだけジークフリードを作れているのに。
コシェレワもいいのに。
こんだけ体格が合わないのが。

ロットバルトはカシャネンコです。
続けてみると、いろいろ思い出す。
シェミウノフ君のフクロウは
腕に羽(翼)を着けていた。
東バのロットバルトみたいな。
カシャネンコは、マールイいつもの?薄いマント。
モモンガ系。
明るいライトの下で見たら、
そこはかとなく、銀・赤が入っているけど
暗いライトの中ではほどよくダーク。
カシャネンコは、とにかく、跳ぶ飛ぶ!
しなやかなジャンプです。
見惚れます。
地味、ではあるんだけど、
それだけに、
空気に溶け込む悪意、みたいで
味わいがある。

トロワ。
あー、やっぱり、ここは本当は
若手の見せ場なんだねー。
本来のトロワ、って気がしました。
プローム君が素晴らしい!
高く、柔らかく、着地の音がしないジャンプ。
いい踊りです。
女性二人のうち、どちらかが軸が斜めになりがちだった。
でも、可愛いからOK!
*シヴァコフがまだ日本にいるようなので
 ここで出るかなー、と、1厘の望みをかけたけど・・・
 でも若手が場数を踏むのも必要だよね

カミロワは今日も大車輪。
今日は化粧が濃いめだった?
2幕の白鳥、大・小、ちゃんと大きさが違っていた。
揃えられるようになったんだ。
ダンサーの目線とほぼ同じ高さの客席だから
わかりました。
いままでもそうだったのかな?

スペイン男性は、オマールとニキータ。
ウハウハです~
どっちが黒?両方とも黒?
ドキドキしてたら、オマールが黒でした。
ニキータは父親譲りの長い手足が
綺麗に、のびやかに動いています。
いい踊りです。
オマールは動きすぎ。
大きく踊ろうとしすぎて
ちょっとテンポが遅れ気味だったかな。
それも個性だ!
女性陣は両方ともカッコイイ!

ハンガリーは今日もスピード感有り。
ポーランドでは、ツァルを堪能。

群舞も良かったと思います。
座る位置が良かったのかな。
会場のせいもあると思うけど
「白鳥」は今日で3回めだけど
今日が一番見応えがあった。
(シェスタコワ&プハチョフは、ダンサーはいいけど
 会場がねえ・・・)


ラッパ卒にモロゾフ。(たぶん)



【配役】
オデット/オディール:イリーナ・コシェレワ
ジークフリート:アイドス・ザカン
ロットバルト:アンドレイ・カシャネンコ
王妃:ズヴェズダナ・マルチナ
家庭教師:アレクセイ・マラーホフ
パ・ド・トロワ:
 アンナ・クリギナ、ユリア・チーカ、アントン・プローム

小さい白鳥:
サビーナ・ヤパーロワ、アンナ・クリギナ、
ユリア・チーカ、ナタリア・クズメンコ
大きい白鳥:
ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、
ユリア・カミロワ、エカテリーナ・クラシューク
2羽の白鳥:ヴィクトリア・ザリポワ、ユリア・カミロワ

スペイン:
 (黒)アンナ・ノヴォショーロワ、(白)オリガ・セミョーノワ
 (黒)アレクサンドル・オマール、(白)ニキータ・クリギン
ハンガリー(チャルダッシュ):エレーナ・フィールソワ、ロマン・ペトゥホフ
ポーランド(マズルカ):
マリーナ・フィラートワ、ナタリア・グリゴルーツァ、
ユリア・カミロワ、オリガ・ラヴリネンコ
ウラジーミル・ツァル、イリヤ・アルヒプツォフ、
アルチョム・マルコフ、フィリップ・パルハチョフ
イタリア(ナポリ):ナタリア・クズメンコ、ニコライ・アルジャエフ

指揮: アナトーリー・リバルコ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団


配役表って、どんな順番なんだろう。
たとえばスペイン。
1/3ソワレは
 ・(白)デニス・モロゾフ、(黒)ニキータ・クリギン
1/11は
 ・(黒)アンドレイ・カシャネンコ、(白)ミハイル・ヴェンシコフ
今日は
 ・(黒)アレクサンドル・オマール、(白)ニキータ・クリギン
黒→白で統一されていないから
格とか入団順なのかなあ。
小さい白鳥とかも、登場時の上手→下手順とかだと
わかりやすいんだけどなあ。
でも、格とかだったら(ヅカでいう番手順)
ダンサーはひとつでも上がるように
頑張っているのかもしれないしねえ。


■「バヤデルカ」レニングラード国立バレエ
■2010/01/06(水)ペレン&ルジマトフ&シェスタコワ
ルジは、、、
悪い言い方をすれば
「自分のことしか考えていない踊り」。
全幕の通し役を踊りきる、
それを第一番に考えていたんじゃないかな。
いつもより「死」とか「幽玄」とか「霊的」とか
そんな要素が薄かった。
相手がシェスタコワではないことも
一因ではあると思うけど。
でも、今回は、そういう方針で正解だろうし。
たぶん、日本で見ることができる
最後の全幕公演になるんだからね。
1963年生まれだから、46歳になるのかしら?
そう思うと、よく踊れている。
身体のライン、踊りのラインは美しい。
ただ全盛期を知っていると、ちょっと寂しい。
けど、全幕は嬉しい。
気持ちがグルグル。
彼にしては珍しくサポート・ミスがあった。
尻上がりに調子が良くなる人だから
明後日に期待。
演技面では、ルジらしいソロル。
ガムザの美貌には動じない、
けれども彼女と婚約し、
ニキヤを正視できない。
でも、ニキヤへの愛を忘れたわけではない。
弱くなく、むしろ、気持ちにブレがないからこそ、悩むのかな。

ペレンは格段に進歩。
気合いの入った踊りだった。
もともと身体のラインが美しいところに
技術面が大幅アップ。
表現力もついてきた。
それぞれの場面の演じ分けも良くなったと思う。

シェスタコワは、藩主の館では縦ロール復活。
やったー!
強い女性だからこそ、
恋に悩む姿がいじらしい。
(たぶん)ルジのサポート・ミス、
(たぶん)コリッパーのサポート・ミスも
気にせずしっかり踊っていました。
素晴らしい。
明後日の「女の戦い 再び」が楽しみです。

んでー。
今回の大目玉。
大僧正のドルグーシン。
スターの引退興行に大御所が助演、
ってことなのかしら。
んんんとねー。
クリギンやオマールなどが
外見はムサいのに
片恋の切なさを表現すると
なんだか乙女になっちゃう
(でも濃い)
のは、
もしかしてあなたのご指導なんでしょうか?
と思うくらい、
恋に関しては初々しい大僧正様でした。
出てきた瞬間は高僧だったのに。
位の高い聖人みたいだったのに。
ニキヤが出てきた時のドキドキは
なんだか、バルコニーのジュリエットみたいでした。
初恋ですか?
♪初めての恋を
  教えた君 忘れないよ
  今まですべてを 知りつくした
  俺なのにさ

うっかり心の中で歌う私。
(歌詞は「教えた」だけど、歌のニュアンスは「教えてくれた」です)
長く生きていろんな経験をしてきたのに
初めての感情に、どう対処したらいいのか
大僧正様でした。
なんでしょー。
楊貴妃にメロメロになった太宗みたいな?
歌の最後は
「この思い 許して欲しい 
 初めて知る この恋」
なんですが、
ニキヤは許してくれなかったのね。
なんちゃってなーっ!

「ルジマトフのすべて」で、
網アミひらひらの衣装で、なんともいえない笑顔で
「アダージェット」を踊った彼の
私と友人間のあだ名は「大魔王」でした。
懐かしい思い出だわ。
大魔王が大僧正に。不思議だわ。

藩主様は相変わらず素敵。
後妻の募集はないのかしら。

マグダウィアはクズネツォフ。
こんなに踊る役だったのか。

隊長はユルバリソフ。
こういうビジュアルの人が
ほんと、豊富なところなのね。
出せども出せども、涸れることがない。
だから好きなのよ、マールイ。
ルジより背が高いのもグーーーッ

プローム君の黄金像は、踊りはいいと思う。
巻き毛が見えないとこんな顔なんだ。
衣装がなあ。。。
腰回りにもうちょっと布があればいいのに。

そしてー
そしてーー!
太鼓隊!
オマールだよ!
いやはっはー!
濃いよ、濃い。
踊りが一段落して、
セミョーノワと向き合って、
ほいっ!
と正面を向いたときの満面の笑顔!
来たよ、来た!
ああ、もう、爽快!
楽しすぎる~~~。
来るぞ!と思ってオペラグラスでロックオンしてたから
楽しさ倍増でした。
明後日も楽しむぞーーー!!!
こういう衣装だと足の長さが際立つね。
スタイルがいいよね。

婚約式のグラン・パ。
普通は4と4&2のうち
4の方、ここでは赤のセパレーツ隊は
踊りがバラバラになることが多いけど
今回はわりと揃っていました。
そのかわり4&2、
女性のピンク隊はばらつき気味。
そのなかでも芯がしっかりした踊りをしている子がいた。
いちばん肩幅のある子。
シャンペーのセンターにいた子かな?
男性はモロゾフとマスロボエフ。
1/7訂正
 コリッパーではなくマスロボエフでした。
 コリッパー、ごめん)
モロゾフがロン毛でビックリ。
地毛か付け毛かはわからないけど、ロン毛。
見たこと無い髪型だったので心臓バクバク。
気になるのでつい見ちゃう。
舞台の真ん中では、ルジが頑張って
シェスタコワをリフトしているってのにさー。
誰のファンだよ、私はさー。
でも気になるの。
マスロボエフは、
舞台に立つんだから
もうちょっと顔を
描き込もうよ

ヴェンシコフの半分でいいからさ
薄目の顔なんだから。
身長はあるんだよねー。
グランパの最後の方でシェスタコワが
リフトから降りてくるときグラついていた。
誰が悪いかわからないけど。
(1/7追記
 もしかして、マスロボエフは急な代役なのかな
 だからメイクやタイミングの確認とかが
 間に合わなかったとか?
 でも、あそこは主演以下のキャスト変更を
 バンバンやるけど、いままではそういうことはなかったしなあ)

幻影の群舞は、1階後方から見る限りは揃っていた。
気迫を感じた。
バリエーションはみんな良かった。
ヤパーロワは、踊り(役)によって
ほんと、雰囲気が変わるよね。


まあ、なんですか。
とっても楽しかったよ!
やっぱり、「スネーク カモーーーンッ!」がないとねえ・・・。


長く続くカーテンコールで。
ルジとドルグーシンが肩を組んで引っ込んだとき
ちょっと泣けた。



配役
ニキヤ(バヤデルカ) :イリーナ・ペレン
ソロル(戦士) :ファルフ・ルジマトフ
ガムザッティ(藩主の娘) :オクサーナ・シェスタコワ
大僧正:ニキータ・ドルグーシン
ドゥグマンタ(インドの藩主):アレクセイ・マラーホフ

マグダウィア(苦行僧):アレクセイ・クズネツォフ
アイヤ(召使):ナタリア・グリゴルーツァ
隊長:リシャート・ユルバリソフ
奴隷:ウラジーミル・ツァル

ジャンペー:マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ
黄金の偶像:アントン・プローム
マヌー(壷の踊り):ナタリア・クズメンコ
インドの踊り:オリガ・セミョーノワ、アレクサンドル・オマール
太鼓の踊り:デニス・トルマチョフ
グラン・パ:
 ダリア・エリマコワ、ユリア・カミロワ、エカテリーナ・クラシューク、アナスタシア・ルキヤノワ
 アンナ・クリギナ、ユリア・チーカ、エカテリーナ・ホメンコ、マリーナ・ニコラエワ
 アンドレイ・マスロボエフ、デニス・モロゾフ

幻影の場 ヴァリエーション:
 アナスタシア・ロマチェンコワ、サビーナ・ヤパーロワ、アンナ・クリギナ


指揮:ミハイル・パブージン
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団


■2010/01/08(金)ペレン&ルジマトフ&シェスタコワ
一昨日はドルグーシン登板で
テンションアップしすぎで見てました。
今日はちょっと冷静な状態で見てました。

ルジは一昨日よりはいいと思う。
一昨日よりはドラマを作っている。
かつてのシェスタコワとの舞台を覚えていると
物足りなさは感じるけれど、
いまの彼にはこれが精一杯だろうから、
まあ、いいか。
ペレンがニキヤなのは、
マールイで最初に(ソロルを)踊ったときのニキヤだったからなのか、
シェスタコワだと、ドラマを作り込まなければいけないからなのかな、
とか、いろいろ思ったり。
ペレンは、こういう言い方は適切じゃないと思うけど、
「ほっといても自分で踊れる子」だからね。
特に今回はそう思った。
ルジに(良い意味で)引きずられることなく
自分のニキヤを踊っていた。
シェスタコワとだと、
もっともっと細かい部分を摺り合わせなきゃならないだろうから
今の彼には負担かも。
(シェスタコワも共倒れになりそう)
ペレンとの方が踊りやすそうだったな。
シェスタコワとは、一昨日と同じところで
タイミングが合わなかった。
どっちがどうなのか。

ルジのね。
踊りとかね。
ポーズとかね。
綺麗です。美しいです。
でも、やっぱり、むかしほどじゃないし、
袖に入る一瞬が、
ソロルからルジに戻ることが多かった。

ペレンは、ほんと、今季は素晴らしい!
長い手足が伸びきって気持ちいい。
綺麗になったなあ。
むかしは、整った顔だな、だけだったけど
今季は内面から輝いているようだ。
美しいです。

対して、シェスタコワは少々不調気味なのかな。
いつもほどの完璧感がない。
もっと深い踊りができる人のはずなのに。
3日の「白鳥」ではそうは思わなかったので
ルジとの、たとえばリハーサル不足とか
そんなことがあるのかしら。

ルジ抜きの、「女の戦い」は見応えアリ。
両方美人だし!!!
私の物よ!
いいえ、私の!
激しい争いだけど、
それぞれの言い分もよくわかる。
ここで見せるガムザの気弱さがあるから
物語も生きるんだよね。

蛇の件。
以前のシェスタコワのガムザは、
「そうよ、私がやったのよ。
 なにか文句でも?」
って勝ち誇ったような笑顔の時が
あったと思うんだけど、
今回は、
 ・婚約式では肯定も否定もせず(その時の表情も恐かった)
 ・ソロルも、その時は「事故」ぐらいに思っている
 ・結婚式ですべて判明
って流れだったかな?
こっちの方がドラマとして正しいんだろうけど
私はあの笑顔も大好きだったんだけどなあああああああ。
ソロルは、ガムザの美貌にヨロメキではなく
藩主の申し出に断れない系。
「いえ、私には・・・」をさえぎられたときから
ニキヤとの恋は諦めなければいけない、
と思ったんだろうなあ。
致し方ない、というか。
前にもどこかで書いたと思うけど、
旗本が、将軍から娘を嫁がせる、って言われたら
断れないもんねー。
そんな感じだよねー。
シェスタコワがニキヤの時は
「恋を諦める」の延長線上に
すでに「死」が見えていたようなソロルだった@藩主の館
今回はそれほどでもない。
けど、たぶん本当は今回の方が正しいんだろうなあ。

ドルグーシンは一昨日よりパワーアップ。かな?
熱い演技でした。
最後の場面は、彼の演技があったからこそ
ソロルとニキヤの魂が昇天したところが
見えたような気がする。

藩主様はダンディ&ハンサム。

隊長は一昨日と同じユルバリソフ。
いいねー。いいねー。
リャブコフがいない寂しさを埋めてくれるビジュアルです。
奴隷はヴェンシコフ。
ええと、ここで、ごめんと言います。
3日のロットバルトを見ていろいろ書いたけど、
私が間違っていたよ、ごめんね。
ペレンへのサポートがすごく良かった。
昨夏のへっぴり腰から格段に進歩してます。
ペレンも踊りやすそうだった。
これからも頑張ってー!
アイメイクが、やっぱりすごい。
胸毛はない。
(ここの奴隷は胸毛にビビるのがデフォだから・・・)

黄金像のラプシャーノフは
切れ味がちょっと悪い。
太鼓隊は楽しい!とっても楽しい!
オマールのテンポがちょっとあやしかったけど
ハイテンションでいいじゃないか。

幻影の場面の群舞は
今日も気合いが入っていました。
今季がいいのか、
ルジの最後だからなのか、
ドルグーシンが同じ舞台にいるからなのか、
理由はわからないけれど
3階から見ても迫力がありました。
踊りが揃う、とかそういう問題じゃないんですよね。
「物語」を構成する、その意味がわかって
表現することが、今回はできています。

幻影のバリエーション。
ステパノワがとても華やかだった。
同じ衣装でも、光り輝いていた。
コシェレワはお疲れ気味かなあ。。。


カーテンコールはとても長かった。
見ているときはいろいろ思ったけど、
それでも、全幕を踊ってくれてありがとう!
とルジへのお礼を心の中で述べた。


配役
ニキヤ(バヤデルカ) :イリーナ・ペレン
ソロル(戦士) :ファルフ・ルジマトフ
ガムザッティ(藩主の娘): オクサーナ・シェスタコワ
大僧正:ニキータ・ドルグーシン
ドゥグマンタ(インドの藩主):アレクセイ・マラーホフ

マグダウィア(苦行僧):アレクセイ・クズネツォフ
アイヤ(召使):ナタリア・グリゴルーツァ
隊長:リシャート・ユルバリソフ
奴隷:ミハイル・ヴェンシコフ

ジャンペー:ダリア・エリマコワ、ヴィクトリア・ザリポワ
黄金の偶像:アンドレイ・ラプシャーノフ
マヌー(壷の踊り):ナタリア・クズメンコ
インドの踊り:オリガ・セミョーノワ、アレクサンドル・オマール
太鼓の踊り:デニス・トルマチョフ
グラン・パ:
 ダリア・エリマコワ、ユリア・カミロワ、エカテリーナ・クラシューク、アナスタシア・ルキヤノワ
 アンナ・クリギナ、ユリア・チーカ、エカテリーナ・ホメンコ、マリーナ・ニコラエワ
 アンドレイ・マスロボエフ、デニス・モロゾフ

幻影の場 ヴァリエーション:
 ダリア・エリマコワ、イリーナ・コシェレワ、オリガ・ステパノワ

指揮:ミハイル・パブージン
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団

 
■2010/01/10(日)「スペシャル・ガラ」レニングラード国立バレエ
第1部
「騎兵隊の休息」
マリア:アナスタシア・ロマチェンコワ
ピエール:アントン・プローム
テレーズ:オリガ・セミョーノワ
少尉:マクシム・ポドショーノフ
騎兵大尉:ウラジーミル・ツァル
連隊長:ニコライ・アルジャエフ
マリアの友達:クリギナ、ヤパーロワ
レニングラード国立バレエ

これはなんど見ても楽しいね~。
これも「女の戦い」があるね。
それさえも、ほのぼのしていて、いいのだ。
ロマチェンコワ&プロームは可愛いカップル。
二人で踊ると幸せオーラが立ち上る。
プロームの踊りのキレは良かったと思う。
二人の女に挟まれて、困ったような、嬉しいような、
そんな部分を良く表現していた。
ロマチェンコワも安定した踊り。
セミョーノワのテレーズも良かった!
兵隊さん達がなびくのがわかります。美人。
士官達も個性がくっきり。
ポドショーノフは純情くん。
ツァルは足長!
アルジャエフは思い切った演技。
兵隊さんも村人達も、みんな良かった。


第2部
「海賊」第2幕よりパ・ド・トロワ
イリーナ・ペレン、アルチョム・プハチョフ、アイドス・ザカン

えーと、、、
オペラグラスがないのでいまいち自信がないのですが・・・
プハチョフって
ジョニデ風?
黒いヅラ有りでしたか?
いかにも海賊の頭領!って雰囲気でした。
着地ミスがあったものの、
ダイナミックな踊りでしたねー。
ペレンも、内側から自信が漲っている踊り。
衣装はチュチュではなく・・・・・・、なんというのかな
ロマンティックチュチュのスカートが膨らんでいないヤツ?
それも黄色っぽい衣装で、
「海賊」ではあまり見ない色合い・型だけど、
ペレンの踊りに良く合っていました。
腕が長いから、腕につけた布も
いいかんじでヒラヒラしてました。
ルジ一押しの新人、ザカンは、、、
ちょっと上体が固いかなあ。
少々雑な踊りな気がする。
白のパンツにベスト。青いパンツじゃないのね。

「トンボ」 アンナ・クリギナ
クリギナのソロが来るとは!
ちょっとビックリだけど、良かったよ。
ガレが作ったトンボのブローチが
動き出したようだった。

「チッポリーノ」よりパ・ド・トロワ
サビーナ・ヤパーロワ、アレクセイ・クズネツォフ、ニコライ・コリパエフ

これも楽しい踊り。
ほのぼの系。
全幕を見たいなあ。
ヤパーロワが可愛い。
クズネツォフが踊りまくり。
コリッパーもソツのない踊り。
いいバランスでした。

「スパルタクス」よりサビーナとクラッススのパ・ド・ドゥ
アナスタシア・ロマチェンコワ、アンドレイ・カシャネンコ

ガラでよく見るのは奴隷の方。
今回は支配者側なので衣装がキラキラ。
アクロバティックな動きが多かったけど
二人とも息のあった踊りで
危ないところはまったくありませんでした。
ロマチェンコワは、こういう雰囲気も出せるんだ。
大人の女性でした。
カシャネンコは、とても存在感がある。
演技派だね。

「春の水」
イリーナ・ペレン、マラト・シェミウノフ

ガラにおける息抜き作品。
こういう作品が入ること自体は別にいいんだけど
シェミウノフ君は、これだけ?
もったいないよー!

「アルビノーニのアダージョ」
ファルフ・ルジマトフ、レニングラード国立バレエ

追い剥ぎ隊って、4人じゃなかったっけ?
6人いたよ。多いよ。
3階からだとわからないけど
この中にはきっと、あの人やアノ人がいるんだろうなー。

この作品は何回も見てきたけど
今日が一番ギラギラしていたかも。
前は、地の底でもがき苦しんでいるとか、
はたまた、達観・諦観・悟りであったりもしたけど、
今日は、見ている方の思いこみのせいだと思うけど
「死ぬ前に一花咲かせたい」と願う男に見えた。
老齢に差しかかり、でも自分では「まだできるハズ」と
信じ込もうとしている、
そんなかんじ。
でも、そういうふうに、覚悟を決めたつもりだったのに
ジタバタしちゃうのも人間なんだ。
それだけに、「魂を振り絞る」というほどではなかったけど、
それも、いいじゃないか。


第3部
「パキータ」より
オクサーナ・シェスタコワ、ファルフ・ルジマトフ、アイドス・ザカン
ヴァリエーション:
 ヤパーロワ、コシェレワ、ステパノワ、ロマチェンコワ、ペレン、ボルチェンコ
レニングラード国立バレエ

ここのにすごく慣れた後に、
パリオペの全幕を見て、あまりにも華やかさに欠けて、つまらなくて、
ビックリしたものだったなあ。
ここは、ほんと、いいよ!

シェスタコワは、今日は調子がいいのかな。
いきいきと踊っていました。
ルジはね・・・
ルジ節炸裂!でした。
そーなんだ。
彼のコレを見たいんだ、って踊りでした。
堪能。
軍服調の白い衣装もとてもお似合い。
ザカンは、うーん、やっぱり粗いかなあ・・・。
跳んで終わりじゃないだろう!!
ハッ! Σ(゚口゚;)//
この言葉は、マールイの(若手)男性陣に
よく言っている言葉だわ。
そういう意味ではマールイらしい、ってこと?

女性のバリエーション。
登場順は、
ヤパーロワ、コシェレワ、ステパノワ、ロマチェンコワ、ペレン、ボルチェンコ
で、いいのかな。
ヤパーロワは3階まで笑顔が届きました。
コシェレワは端正な踊り。
ステパノワは華やかで、後半は彼女らしいエネルギッシュな部分も出ました。
ロマチェンコワは本日3回目。お疲れ様。可愛い踊り。
ペレンは安定した踊り。美しい。
ボルチェンコは昨年よりずっといい。手先足先まで気を使った丁寧な踊りでした。


カーテンコールではドルグーシン登場。
出演者一人一人を前に出しました。


生オケ付きの「ガラ」は嬉しいし、
騎兵隊やチッポリーノは嬉しいけど、
それでも、もうちょい工夫が欲しいような。
ザカンを2回出すよりは・・・・・・・・(以下略)


指揮:ミハイル・パブージン
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団

■2010/01/17(日)「眠りの森の美女」シェスタコワ&ヤフニューク/レニングラード国立バレエ
本日は、上野で東バ「ラ・シルフィード」が上演され、
新国立劇場では「白鳥の湖」が上演されています。
バレエ・ファンは、わりと棲み分けしているので
あまり「パイの取り合い」にはならないのでしょうが
困る人も少々おります。
なんで重なるんでしょーね。
ま、私は、私の中の優先順位に基づき
今日はオーチャードホールです。
マールイ冬公演、My楽日です。
あっという間だったなー。

シェスタコワは、本調子ではないのかな。
身体から音楽が響いてこない。
ただ、踊りは素晴らしい。
やっぱ、プロなんだなー。
脚が美しく上がる。
ローズ・アダージオも揺るぎない。
ここまで見せてくれれば、
OKと思わなければならないんだろうけど。
例年を思うと、、、、、、
まあ、こういう時もあるよね。
3幕では、だいぶキラキラ感が復活してました。

ヤフニュークは、そんな彼女を
誠心誠意支えていたと思います。
パートナーとしてはGOOD!
踊りのラインは綺麗だし、
ノーブルな雰囲気は貴重。
もうちょっと笑顔があればなあ。
最終幕は結婚式だから、
もうちょっとほんわか雰囲気が欲しいなあ。
我が儘でゴメン。

リラはペレン。
美しい!輝いている!
今季はなにを踊っても素晴らしい。
シェスタコワと同じ舞台に立つなんて、
眼福だね~~。
カラボスなんか眼中にないような
とっても強そうなリラでした。
「彼女は死ぬのではなく、眠りにつくのです」
のマイムは、オーロラが倒れてからだった。
いつもこうだっけ?
演出のマイナーチェンジって
追いかけきれないのよね。
見たとき「?」と思っても
ここに書く前に忘れちゃうことがあるし。

カラボスはオマールでございますよ!
嬉しいなあ!
カラボスだと「やりすぎ感」がなく
ものすごく自然に因業ババアです。
楽しいなあ。
1幕では意外と踊るのよね。
堪能、堪能。
王子&リラの連合軍に
あっというまにやられちゃうのも、いいのです。

シェミウノフ君は貫禄タップリ。
王妃のマルチナとのラブラブ演技もグー!
式典長のツァルは、ハゲヅラも似合うような。
式典長の部下はマラーホフ?
(配役表の従者って、王子の従者でいいのかな)
小芝居をたくさんしているけど
決して悪目立ちをしない。
式典長のやりとりが楽しいです。

妖精ちゃんは、
元気の精がアストレイコからヤパーロワに変更。
アストレイコは宝石には出ていたから
体調とかではないのかな。
全体的に良い出来映え。
クラシュークは、上体に比べ
脚の動きがボヤけている印象。
なのは、基準がステパノワだからなのかなあ。

4人の王子は、
 (赤):ミハイル・シヴァコフ
 (緑):アンドレイ・カシャネンコ
 (桃):デニス・モロゾフ
 (紫):ミハイル・ヴェンシコフ
こんなにハッキリした色分けじゃないけど、
まあ、便宜的に。
オーロラを一番サポートするのはシヴァコフ。
(むかし英国ロイヤルの「眠り」を見たとき
 他日公演の王子役のアダム・クーパーが
 ここに入ってたなあ・・・)
今季始めてみたよ!
デコ全開のカツラで、ちょっとビビッた。
こんなハンサム揃いなのに、
オーロラは満足しないのかなあ。勿体ない。
王子達は、編み物をしていた女性達を許してくれ、って頼む。
それは、彼らが心優しき男性だから、だと思って
いままでなんとも思わなかったけど、
今日の(たぶん)モロゾフのガッツポーズを見たとき、
ふと、これって内政干渉?とか思っちゃった。

コシェレワのダイヤモンドは美しい。
うーん、
ひとりで踊るのに慣れているのかなあ。

青い鳥コンビ。
ヤパーロワは、妖精の時より華やか。
演じ分けがうまいのかなあ。
コリッパーは、今日は合格点だと思います!
どんどん上手くなってきてるなあ、と思うけど
ただたんに、私が「ハズレ」の日を
見ていないだけみたいなんだよねー。
善し悪しがまだら状態らしいけど、
私が見る日は「アタリ」が多いです。

猫達の踊りは、会場から笑い声が。
いい雰囲気でした。
最後に白猫が長靴猫を叩いたとき、
生音が3階席まで聞こえましたよ!

狼ですが、最後が変わった?
前は赤ずきんを抱いて袖に引っ込んだような。
幼女誘拐のようにも見えたので
今回の方がいいと思うけど。
ニキータはいきいきと踊っていた。

青髭はヴェンシコフ???????
招待客の橙のカツラの男性は・・・・


まー、なんちゅうか。
百花繚乱ってカンジでした。
「眠り」は華やかでいいね。


【配役】
オーロラ姫:オクサーナ・シェスタコワ
デジレ王子:アンドレイ・ヤフニューク
リラの精:イリーナ・ペレン
カラボス:アレクサンドル・オマール

王:マラト・シェミウノフ
王妃:ズヴェズダナ・マルチナ
式典長:ウラジーミル・ツァル
従者:アントン・アパシキン
妖精たち/
 優しさの精:ダリア・エリマコワ
 元気の精:サビーナ・ヤパーロワ
 鷹揚の精:ユリア・チーカ
 呑気の精:アンナ・クリギナ
 勇気の精:エカテリーナ・クラシューク
4人の王子:
 (赤):ミハイル・シヴァコフ
 (緑):アンドレイ・カシャネンコ
 (桃):デニス・モロゾフ
 (紫):ミハイル・ヴェンシコフ
宝石の精/
 ダイヤモンド:イリーナ・コシェレワ
 金、銀、サファイア:
  ダリア・エリマコワ、オリガ・アストレイコ、エカテリーナ・クラシューク
フロリナ王女:サビーナ・ヤパーロワ
青い鳥:ニコライ・コリパエフ
白い猫:アンナ・クリギナ
長靴をはいた猫:マクシム・ポドショーノフ
赤頭巾ちゃん:ナタリア・クズメンコ
狼:ニキータ・クリギン
人食い鬼:ロマン・ペトゥホフ
人食い鬼の奥さん:イリヤ・アルヒプツォフ
ファランドール:ナタリア・クズメンコ、アレクセイ・クズネツォフ
子供たち:高木淑子バレエ


指揮:ミハイル・パブージン
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団


3度目ぐらいのカーテンコールの時に
後ろの席の人が
「この白い人が『オーロラ』?」って言ってました。
そうでなければ、誰なんだい?
この段階でわかるなんて、不思議としかいいようがない。

■「ラ・シルフィード」東京バレエ団
■2010/01/18(月)高木&柄本
高木さんのシルフはとても美しかったです。
腕の動き、脚捌き、どれもが繊細で優美でした。
特に腕のライン!手首の使い方が良かった。
ラコット独特の動きもすごく自然でした。
コケティッシュとか、
ファムファタル的な要素は少ないけど
生来の生真面目さが、
人にはない妖精の純粋さに見えました。
善し悪し、は私は分からないけれど
好きか嫌いか、と問われたら
好き!と言えます。
ユカリューシャとは、またちがった雰囲気。
最後の、羽が取れたところも
妖精さんって、あっけなく命が消えるんだなあ、、、
って悲しくなりました。
それくらい、「人間とはちがう存在」でした。
スタミナ配分も良かったと思います。
普通に、本役でもいいんじゃないかなー。

逆に、弾くんは、終盤スタミナが切れてきたみたい。
あと、キメ、が決められない。
ピタッと決める、って、
すごく難しいんだなあ。
つくづく思った。
そこ以外は、なかなかいい。
踊りは手足が伸びて、見ていて気持ち良い。
芝居部分も、シルフィードの目をしっかり見てた。
ジェイムズという役をしっかり作っていた。
みんなには見えないシルフィードに
だんだん惹かれていく過程が見えました。
、、、
でも、なんだか、もう少し、なにかが足りない。
なんだろうなあ。
よくわからないんだけど、足りない。
う~ん、、、、ハッタリ?
それは必要ないか。
わからなくてもどかしい。
古典なのに、あまりにも「現代の若者」を感じてしまうあたり?
「ザ・カブキ」の由良之助は似合いそう。
ときどきたまに、ゆーひに似ている、と思うときがある。
高橋チーフも、なんとなく思い出すときがある。

田中さんも落ち着いた踊り。
可哀想だよ、
ジェイムズのバカーーー!!!!
(でも、もうちょっと待っててあげて)

1幕のトロワが切なくて泣けました。
それぞれの気持ちが伝わってくるんですわー。

後藤さんのエッジは、
まあ、それなりに。
もっと、ドッカーーーン!と来るかと思ってたけど
それほどでもなかった。
もっとなにかやってくれると思ってたんだけど。
そんな期待をしちゃイカンか。
マイムとかもしっかりしてたし。
恨むにしては、ちょっと冷静かな。

ガーンの松下くんは、脳天気系。
友人の婚約者と自分を占えって、アンタ!
しかも良い結果が出て喜んでいるし!
以前見た時の森田さんは、
舞台の端の方で自分の掌を見ながら、
「エフィーが好きだ」「でも友人の婚約者を奪うわけには・・・」
と、グルグルしていて、
たいへんツボだったのですが、
その点、松下くんは
「わーい!」ってカンジでした。
いろんなガーンがいるんだよね。

パ・ド・ドゥは岸本さんと宮本さん。
ここでも女性は落ち着いた踊りで
男性は、キメを決めづらそうだった。
難しいんだなあ。しみじみ。
でも、溌剌としていて良かったよ。
新公なんだから、どーんと行っちゃえ。

シルフ3人は、空気のようでした。

青スカート隊に
奈良さん、乾さん、西村さん?
赤スカート隊に、佐伯さん?
追い切れないです。

男性陣は課題が見えるものの
女性陣は全員本役でもいいくらい。
もうちょっと公演数があればなあ・・・。


【配役】
ラ・シルフィード:高木綾
ジェイムズ:柄本弾
エフィー(花嫁):田中結子
ガーン(ジェイムズの友人):松下裕次
マッジ(魔法使い):後藤晴雄
アンナ(ジェイムズの母):加茂律子

パ・ド・ドゥ:岸本夏未-宮本祐宜

シルフィード(ソリスト):西村真由美-吉川留衣-渡辺理恵

指揮:井田勝大
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

指揮の井田さんって、
青柳の勝ちゃんにちょっと似てるかも。

ブラボー隊が、ちょっとうるさかった。
盛り上げてくれるのは嬉しいけれど
身内じゃない客もいるんだからさ。


■2010/01/19(火)上野&サラファーノフ
水香ちゃんは存在が濃いかな~。
「あなたが好きなの~」を通り越して
「あなたは私を選ぶはず!」みたいな
かなり強い気持ちがありそうなシルフィード。
コケティッシュ、ってのは無意識の産物だけど
水香ちゃんは作為があるような。
オンブルも、ジェイムズとエフィーに割り込む
2:1の体制に見える。
2幕になってからは、エフィーがいなくなった
というか、
ジェイムズがシルフィードを選んだ後なので
それほど違和感はないけど・・・
女王様っぽいので、
なんだか、
「恋するミルタ」みたいだな~、と思いました。
テクニックはいいと思うけど、
私は高木さんの方が好み。

サラファーノフは、
シルフィードより浮遊感があった。
サラファーノフがシルフでも、、、
って、それじゃファニーガラだ。
同じような振付でも、柄本(弟)とは
まったく違うんだなあ。
(アロブラのジャックもこんな気持ちなのかなあ)
シャープだけど、柔らかいってのか。

エフィーは西村さん。
可愛い。
ジェイムズとはお似合いなのに
シルフの横恋慕で人生が狂う。
気の毒だわ。

松下さんに限らず、
ガーンってのが、よくわからん。
ガーンというより、
周りがどう思っているのか。
あれだけ露骨にエフィーが好き好き!
と言っているようなものなのに、
ジェイムズは家に招き入れるし
ジェイムズの母も親切だし。
普通あれくらい自分の息子の婚約者のアプローチされたら
遠ざけるよねえ。
松下さんは悩み苦しむ系ではなく
ひたすらエフィーを見る系。

パ・ド・ドゥは安定感がある。
主演経験が生きているみたい。

3人のシルフも、今日の方がいいかな。
乾さんの踊りが好き。
奈良さんの笑顔が印象的。

平野さんのマッジが良かった。
これくらいやってくれると楽しい。


【配役】
ラ・シルフィード:上野水香
ジェイムズ:レオニード・サラファーノフ
エフィー(花嫁):西村真由美
ガーン(ジェイムズの友人):松下裕次
マッジ(魔法使い):平野玲
アンナ(ジェイムズの母):加茂律子

パ・ド・ドゥ:佐伯知香-長瀬直義

シルフィード(ソリスト):乾友子-奈良春夏-田中結子

指揮: 井田勝大
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

ロビーには、来月上演の「ホワイト・シャドウ」の衣装が
展示されていました。





私は見に行かないけどね。

■2010/02/08(月)「ルグリと輝ける世界のスター達」(Bプロ)
奮発して1階前方席で見てきました。
オペラグラス無しでも表情が見えるって、いいねえ。


【第1部】
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
ヘザー・オグデン、ギヨーム・コテ

私が持つチャイ・パドのイメージは
音符が輝くようなキラキラ感。
この二人は、音楽的か、と問われると
それほどでも、と思うんだけど、
別種の「ワクワク感」がありました。
小さいミスがいくつかあったけど
それらをすべて流し去るパワーは
見ていてとても楽しかった。
二人別々に踊っている感はありましたが。


「モペイ」
フリーデマン・フォーゲル

フォーゲル君のソロ。
上半身裸、下は黒のパンツ。(ズボンの方ね)
小刻みにコミカルに動く。
音楽に良く合っていた。
背中を向けたときの、肩胛骨間の窪みが深くてビビッた。


「スリンガーランド」
アニエス・ルテステュ、パトリック・ド・バナ

昨夏のバレフェスで
アニエス&ジョゼで見た作品。
フォーサイスらしい動きと
肌色の、特に円盤のようなチュチュが印象的。
アニエスとバナの組み合わせは、いいかも。
バナの野性味が、アニエスのいかつさを消している。


「アザー・ダンス」
オレリー・デュポン、デヴィッド・ホールバーグ

いろんなものを削ぎ落とす振付だと思うんだけど
それなのにホールバーグからは
「俺様」気質が伝わってくる。
地なのか、素なのか、俺様が!
イカス!
なんだか、えりたん(ドS)を見ているときの
気持ちを思い出させる。
いいなあ、、、
彼の横に立つと、オレリーが可愛く見える。
もちろん、彼女の方がお姉様っぽいんだけど
それでも、いつものごつさが消える。
こちらもいい組み合わせでした。
わりと眠くなる作品なのに
大興奮だった。
面白い!
フォーゲル君だったら、
どうだったのかなあ。。。


「優しい嘘」
シルヴィ・ギエム、マニュエル・ルグリ

最初のうちは、二人とも、
横に立つ人が違うんじゃないかと思う。
特にギエムは、ニコラ君じゃないのが違和感。
それが段々、気にならなくなる。
二人の存在が融合していく。
再び一緒に、というのは、
芸術性なんかよりも、大人の事情なんだろうけど
(「円のように一周して戻ってきた」って
 ここでも「サークル・ゲーム」なんだな)
それでも、「いま」の「二人」が作り出す世界は
熟成していて、それなのに瑞々しい。
不思議な味わいだ。


【第2部】
「マリー・アントワネット」
アニエス・ルテステュ、パトリック・ド・バナ

バナの世界は、苦手だな。
アニエスが繊細な気持ちを表現できることが
ちょっと意外ではあったけど、
うーん、なんだ、、、
アニエスがアントワネットなのはわかるけど
バナの存在がいまいちわからん。
どっちかというと、トート的なものなのか?


「ハロ」
ヘレナ・マーティン

スパニッシュ。
フラメンコ、より、ダンスより。
ショール使いはすごいけど、
うーん、あまり、私には・・・


「ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」
上野水香、高岸直樹

フォーゲル君が降板のため高岸さんが登場。
日本人が着ると、あの衣装は
「ヘン」ではなく、「ダサい」になる。
高岸さんは、年齢を考えると
とても素晴らしい動き。
水香ちゃんはバタバタしている印象。
いろんなバーターがあるのはわかるけど
ここに押し込む必要はあるのか???
東バの枠の中なら「可愛い」でOKだけど
ここは違うだろう。


「失われた時を求めて」 "モレルとサン・ルー"
ギヨーム・コテ、デヴィッド・ホールバーグ

二人の対比が良かった。
コテはやっぱり、動きの小さいところが不安定なんだけど
それが(役の上での)未熟さ、不完全さ、アンバランスさに
うまく結びついている。
対して、ホールバーグは「完璧」な「貴公子」。
ノーブル、とはちょっと違うんだけど。
冷たい表情も、能面でも無表情ではなく
蠱惑的。
コテに比べると、なんだけど
踊りも安定している。
終わった後の笑顔は、今までの役とは違う雰囲気で、
面白い、って表現はヘンかもしれないけれど
実に興味深い人だ。


「三人姉妹」
シルヴィ・ギエム、マニュエル・ルグリ

愛しながらも別れる二人。
去っていったのはギエムの方とか
そんな邪念が少々は入りながらも
二人の情熱的で、それでいて絶望感も織り込まれた関係は
とてもドラマティックだった。
強く強く求め合いながらも
男は去って行く。
今いる場所から出て行けない女。
生木を裂かれるような辛さの中に
大人ゆえの、感情だけではどうにもならない部分が
痛切に感じられた。
これこそ、いまの年齢の二人だから
踊れる作品なのだな。
ギエムがこれほど「役」を演じるのは最近では珍しい。
とても貴重なものを見た。
そして、
そして、
ルグリの軍服姿に萌え
ああ、ありがたや。

 
■「シルヴィア」東京バレエ団
2010/02/26(金)セミオノワ&ゴメス
2008年の英国ロイヤルバレエ団来日公演で見たときは
まったく!期待していなかったので
なかなか面白く見ましたが、
今回は、話運びは知っているし、
ギリシャっぽい衣装は日本人には合わないんじゃないかなー、
と思っていたら、まさにその通りで。
ポリーナちゃんのコスプレ公演と思えば
これ以上ハマるのはないかもなー、と
そこは賛同できますが、
東バ公演としてはねー。
どうなんでしょーね。

ポリーナちゃんは、どの衣装も良く似合っていた。
1幕の弓矢を持ったところはカッコイイね。
それが、エロスの計略でアミンタと恋に落ちる。
少女のような表情も可愛い。
2幕でオリオンを誑かすところは妖艶。
では、あるけれど、、、
オリオンなんか
グーで殴れば勝てるよ
とも思った。
ギリギリ高岸さんのオリオンだから、
「グーで殴る」ね。
それ以外の人なら、一睨みで立ち去れそう。
そういった意味では、高岸さんのオリオンって
もりえちゃんの風吹みたいんなもんだよね。
体格とビジュアルで選ばれました、って。
3幕のポリーナちゃんは、それなりに。
ってか、飽きて来ちゃうんだよ、話に。

アミンタはゴメス。
以外と小柄だった。
東バの中に入っても違和感がない。
1幕ではほどよいヘタレ君で
高岸さんが勝てそうな雰囲気で、いいバランス。
2幕は殆ど出番無し。
3幕で、ようやく踊りらしい踊りが。
細かい動きがキビキビしていて気持ちよかった。
ジャンプの着地も音が無かった。
これだけなのが勿体ない。

高岸さんのオリオンは、本領発揮、ってカンジ。
すごく楽しい。
ぶんぶん回ってた。
シルヴィアは俺の嫁って思いこみが
鬱陶しいけど、愛情は本物じゃないかい。
エロスが矢を射なきゃ、どうなってたかわからんよねー。

で、エロス。
英国ロイヤルで見たときは
「なんの罰ゲーム?」でしたよね@1幕。
今回はベルリンから衣装等がレンタルなので
どうなることかと思ったけど、
なんだか、エロスは
存在自体が罰ゲームかも。
正直言って、ご贔屓さんに当たったら辛い役だ。
マイキャストで抜けられて良かったわ。
そんな役だけど、後藤君は、彼らしい怪演系で
見ていて楽しかったぞー。

あとは、なんとも。
長瀬くんの髪が赤かったかな。
奴隷の竜太くんが良かった。
松下くんは動物が似合う。
小出さんの復帰は嬉しい。
高木さんは恐かった。

初演の初日なので
全体的に、まだいろんな面で
揃い切れていないように思いました。
揃うほど上演を重ねなくてもいいと思うけど。


【配役】
シルヴィア(ディアナのニンフ):ポリーナ・セミオノワ
アミンタ(羊飼い):マルセロ・ゴメス
オリオン(邪悪な狩人):高岸直樹
エロス(愛の神): 後藤晴雄 
ディアナ(狩り、純潔の女神):高木綾

シルヴィアのお付き:
 乾友子、高木綾、奈良春夏、吉川留衣、
 矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、加茂雅子

オリオンの女官:吉川留衣、河谷まりあ
奴隷:高橋竜太、岡崎隼也

山羊:河合眞里-松下裕次
シルヴィアのお付き:
 乾友子、奈良春夏、矢島まい、渡辺理恵、
 川島麻実子、加茂雅子、小川ふみ、二階堂由依
ケレスとイアセイオン:吉川留衣-梅澤紘貴
ペルセフォネとプルート:佐伯知香-平野玲
テレプシコールとアポロ:小出領子-長瀬直義


指揮: ベンジャミン・ポープ
演奏: 東京ニューシティ管弦楽団


2010/02/27(土)田中&木村
昨日は3階、今日は1階前方席。
細かな衣装チェック以外は
オペラグラスは要りません。
(テレプシコーラのスカートの裾の模様が
 竪琴だった。そのセンスどうなの?とか)
そのせいか、昨日より楽しめました。
私の中で田中さんの評価が高いのは
田中さん出演回は前方席に座ることが多いからかも。

田中さんの演技はわかりやすかった。
ディアナのニンフらしいキリッとした姿、
恋なんかしないもーん、ずっと純潔だもーん!
とエロスに楯突くところ
(それは少女の潔癖さゆえなんだよなー)
エロスの矢に射られて恋に落ちちゃうところ
オリオンに捕らわれなすすべもないところ
オリオンに靡いた振りをするところは
小娘だからなんだよなー。(ニンフだけど)
だからオリオン達が意識を失っても
その場所から一人で出ることはできないんだよね。
で、最後はハッピーエンド、と。
田中さんは背が高いお姉さん、のイメージだったけど
今日はほどよく「小娘」。
これぐらいじゃないとなー。
基本、一人じゃなにもできない子だから。
ポリーナちゃんは、ニンフどころか
アテナそのものだったからなー。
手足が良く伸びていたし、
小刻みな動きも綺麗で軽やかだった。
いいんじゃないかなー。

木村さんのアミンタは・・・
あの衣装を日本人が、というのがすでに・・・だし、
昨日のゴメスは自前だったのか
今日のアミンタの衣装は地味めでした。
1幕は肌色だったし。。。
まあ、地味な羊飼いだから、いいのかな。
1幕でエロスに「行け!」と言われたけど
助けに行け!って意味じゃなくって
ディアナの館の前で待て!の意味なんだよね。
ほんとうに、待っているだけの2幕。
寂しすぎー。
3幕でようやく踊ってくれるけど、
一気に踊って終わりだしー。
アシュトン的には、、、
どうなんでしょう、、、、
よくわかりません、、、、、、、、。

オリオンの後藤くんは、
陽性の高岸さんとは違い、
ねちっこく、影から獲物を狙って手に入れる。
恐いよー。
そのわりには、奴隷には慕われていそう。

エロスは平野さん。
彫像の場面は、顔を上げ気味?
マントまとってヘンな踊りせずに
さっさとどうにかしろよ、と思うけど
シルヴィアを助けたり、
二人の中をディアナに認めさせようとしたり、
けっこう動いてはくれるんだよね。
ってか、自分の尻は自分で・・・か?

奈良さんのディアナは威厳があった。
ヤギさんたち、井上くんは途中で息が上がりかけたみたいだけど
持ち直して最後まで頑張った。
高村さんは息の乱れはなかったので
短いと思う時間だけど、
ペース配分って大事なんだなあ、と思った。


2幕がアクセントだけに
3幕が長く感じられるんだよねー。


東バのブログに出ていたぬいぐるみ(ヒツジ?)は
1幕の村娘が抱いていました。
抱かれたまま踊られると足がブラブラ。可愛い。
上手端に置かれてダラ~ンも可愛かった!
昨日まで衣装等のレンタル先はミラノ・スカラ座だと勘違いしていました。
さっきぬいぐるみ写真を見に東バのブログを読み返したら
ベルリンからのレンタルだって書いてありました。
納得です。色遣いとかが。
(昨日の記事はさっき訂正しました)
、、、ってことはー!
あのぬいぐるみ達もマラーホフに
モフモフされたのかなあ!


【配役】
シルヴィア(ディアナのニンフ):田中結子
アミンタ(羊飼い):木村和夫
オリオン(邪悪な狩人):後藤晴雄
エロス(愛の神):平野玲
ディアナ(狩り、純潔の女神):奈良春夏

シルヴィアのお付き:
 乾友子、高木綾、奈良春夏、吉川留衣、
 矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、加茂雅子

オリオンの女官:吉川留衣、河谷まりあ
奴隷:高橋竜太、岡崎隼也

山羊:高村順子-井上良太
シルヴィアのお付き:
 乾友子、高木綾、吉川留衣、矢島まい、 
 川島麻実子、加茂雅子、小川ふみ、二階堂由依
ケレスとイアセイオン:渡辺理恵-梅澤紘貴
ペルセフォネとプルート:阪井麻美-柄本弾
テレプシコールとアポロ:小出領子-長瀬直義


指揮: ベンジャミン・ポープ
演奏: 東京ニューシティ管弦楽団

■2010/03/02(火)「バレエダンサー・岩田守弘の世界」朝日カルチャーセンター公開講座
カルチャーセンター内での
トークショーみたいなものでした。
登壇者は岩田さんと、バレエ評論家の守山実花さん。
守山さんが進行役。

お二人が登場し、簡単な自己紹介の後
箱入りの勲章を見せてくださいました。
普段は引き出しの中にしまっている。
外国人が評価されるのはとても難しいことだけど
「ボリショイは見捨てず」申請してくれたそうです。
申請してから時間が掛かって、
5月28日に大統領がサインして、
実際の授与までさらに半年かかったとか。

そして、「せっかくだから・・・」と
回覧してくださることに!!
会場中、ビックリの大歓声。
私も手に取り、しっかり見てきました。
臙脂色っぽい箱に透明の蓋。
左半分に勲章。
右半分にパスポートサイズの臙脂の書類?冊子ぽかったです。

自分だけでもらったのではない。
友好条約がない日露で日本人を評価するのは
日本との友好の気持ちだと思うとのこと。

以下、思いつくまま。

公演の話。
ボリショイの中で一番背が低い自分が、
一番背が高いウヴァーロフと友人役。
並んで立つことがあるので
舞台上でバランス良く見せる工夫をしている。
(書くとそこだけ注目する人がいるかもしれないので
 いまは敢えて書きません。
 公演が終わったら書きたそうかな)
主役だと自分だけ美しく見せようと思う人もいるけど
ウヴァーロフは自分に気を使ってくれる。
グルジア人はそれほど大きくないので・・・
と思ったら、ティボルト役は大きかった。
「身長と友情は関係ない」
はじめにミハイル・ラブロフスキーに習って
(ロミジュリを振付したレオニード・ラブロフスキーの息子で
 今回の改訂振付を手がけている。
 岩田さんの先生でもあるみたい)
それからグルジアに行った。

グルジアの話
素晴らしい国。
人のことを大切にする。
お客さんが来ると暖かくもてなす。
暖かい民族。
外国に行くと寂しいと思うことが多いけど
グルジアはそうでもない。
(来日した)グルジア人は「日本はいいところ!
なんで出て行ったの?」と聞く。

ロミジュリの話。
素晴らしいバレエ。
ロシアバレエの代表。
芝居を大切にする。
バレエの形式を通して芝居をする。
クラシックバレエの名作中の名作。大作中の大作。
大作なので上演できるところが少ない。
(グルジアがレパートリーに入れてくれて嬉しい)

クッションダンスについて。
形式的なものが入っている。
キャピレット家は中世的で重々しい。
モンタギュー家はルネッサンスに向かっていて、明るい。
時代の変わりのところで、両家は対立している。
マキューシオは中間に入っている。
クッションダンスは、中世的な「重み」を表している。

キャラクターダンスについて。
幕開けはイタリアの踊りタランテラ。
・・・から少々脱線して・・・
ポーランドはマズルカ
ハンガリーはチャルダッシュ
似ているけれど微妙に違う。
「ライモンダ」で手を叩いてから腕を上げるとき
肩から上に上げてはダメ。

ニーナについて。
幕が開いて出てきたときに
すでに14歳になっている。
これが芸術。
尊敬するところは、自分流にやっていない。
ストルチコーワ先生に教わり、それを正しく守っている。
踊りが大きいのではなく、
踊りのスケールが大きい。

資料映像。
ボリショイのロミジュリ。
だけど、クッションダンスは無かった・・・
ジュリエットはベスメルトノワ。
クッションダンスがなかったので飛ばそう
となりかけたけど
先生(ミハイル・ラブロフスキー)が出てくるところまで
見ましょう、ということに。

ミハイル・ラブロフスキーについて。
素晴らしい先生。
バレエだけでなく人生の師匠。

ロミジュリは、振付と作曲の共同作業。
資料映像。バレエ映画のロミジュリ。
ジュリエットはウラノワ。
バレエ映画なので、顔のアップや演技も多く
そのぶん踊りが少ない。

演技の話。
芝居の先生と練習をした。
死に方の演技は大きな課題。
死ぬのをリアルに表現したいけれど
リアルすぎると舞台的ではない。
遠くの客席からでもわかるような芝居をしなければいけない。
踊ること自体は疲れないけれど
(1日身体を動かすことはできるけど)
「表現する」ことはとても疲れる。
演技の勉強をしたことは
振り付けするときに参考になる。
なにを見せられるのか、を考えて振り付けできる。

マキューシオ。
ファジェーチェフからは
「死ぬまでが長いから工夫しろ」と言われた。

ニーナとの出会い。
自分がボリショイに入ったとき、
すでに大スターだったけど。
いつも優しかった。
ニーナは必要なときにはちゃんと言う。
言わなきゃいけないときに、ちゃんと言える。
責任感がある。

グルジアバレエ団との仕事。
3年ぐらい前に、(グルジアバレエ団公演の)
「ラ・フィーユ・マルガルデ」の「バカ息子」役が
怪我で降板し代役を捜していたが
見つからなかったので、
ウヴァーロフが自分に電話してきた。
「明日(モスクワを)出て、2日後に踊れ!」
奥さんに相談したら「行け」と言われた。
そのとき、ニーナの旦那さんから
「マキューシオを(グルジアバレエ団公演で)踊ったらいいね」
と言われた。
そしたら今回、ジャパンアーツからオファーが来た。

資料映像。
ニーナのドン・キ@ペルミバレエ。
古典の動きは約束事が多く
踊るために身体の調子を整えるの難しい。
ニーナはよく踊っている。

ファジェーチェフ。
冗談がばかり言っている。
それはダンサーの緊張をほぐすための優しさ。
冗談例)
日本食レストランに入ったとき
「靴下に穴があいているやつはいないか?
 日本では穴があいた靴下は履けないね」

*それで思いだしたんですが・・・
 ペルミ来日公演の時、ファジェーチェフは
 ショールを巻いて品川駅山手線ホームで踊っていたとか。
 しかも入りの時。
 (終わってハイの時ではなく)
 もともとお茶目さんなんだよねー。

寒さについて。
日本は寒い。
ロシアの冬はマイナス10度~マイナス20度ぐらい。
マイナスの寒さは同じ。
0度を挟む気温差の方が辛い。


質疑応答から。
一番印象に残った舞台は?

たくさんあるけど・・・
コンクールに出たときの踊り。
クレムリン(広場?)での踊り。(6000人はいる会場)
いろんな特設会場。
海辺の舞台は湿度との戦い。舞台に水たまりができた。
メキシコでは洞窟内で。
高地で、洞窟なので、酸素ボンベが用意されていた。


もっともっとお話ししてくださいましたが
とりあえず。
(どこまで書いていいかわからないし)


終了後は物販&サイン会。
こういうシステムなんだな。
次回行かれる方は、多めにお金を持っていくといいかも。
私は札がない状態だったので・・・


岩田さんは、お話は苦手、と仰っていましたが
話し方が明瞭なので
すごくわかりやすいです。
また機会があれば行きたいですね。


岩田さんを初めて見たのは
93年の日本バレエ協会「白鳥の湖」の道化でした。
ワシリエワ&マラーホフが主演。
えーと、えーと、、、、17年前?
ひゃーっっ!
NHKで放映されたので、録画された方も多いのでは。。。

■2010/03/10(水)「ジゼル」アナニアシヴィリ&ウヴァーロフ/グルジア・バレエ団
幕開けのニーナは、
それはそれは可憐な少女でした。
ウヴァとの身長差も良く、
彼の腕の中にすっぽり入ると
ほんとに「少女」にしか見えない。
ウヴァに向かって手を振る動作などは
むしろ、子供。
そんな少女が恋をして幸せ一杯になって、
でも、男の本当の姿を知って、命を落とす。
精霊になったのは、
彼女の心が清らかだからだったんだろうなあ。
でも、男が後悔し、自分に「会い」に来たので
気が済んで、成仏した、ように思いました。
精霊ではあるけれど、人間とは違う存在だけど
暖かい愛は死んでも心の中にある。
というよりも。
少女が死んだことで
男は「真実の愛」を知ったけれど、
少女の方も、死んだことで
与えられる恋だけでなく
与える愛を知ったのかなあ、
とか、そんなことを思いました。

踊りの方は、ジャンプが殆ど無し。
年齢的な面から仕方がないかなあ、と思ったけど
それ以外は素晴らしいし、
ポーズのフォルムは美しいし、
さすがだなあ、と思っていたのですが、
某所によると、びわ湖公演で怪我をしたため、
それゆえ振付を変えたらしい、とのこと。
大事ないことを祈るばかりです。
そんなこと、まったく気が付かなかったよー!

ウヴァのアルブレヒトをを見て思いだしたのは
「ローマの休日」のラスト。
あそこで、王女が恋を選んでローマに残るって、
ありえないでしょ?
それと同じ。
アルブレヒトにはアルブレヒトの「世界」があり
そちらに戻るのは、むしろ「自然」なこと。
だから、ウヴァのアルブレヒトは
なんでしょ、ごくごく「真面目な人」な印象。
 遊びや気まぐれだったはずが本気の愛になったのではなく、
 自責の念を感じながらジゼルから離れられない男でもなく、
 今が良ければそれでいい享楽的な男でもなく、
 自分の地位を自覚していない子供でもなく、
真面目な人だから、真摯にジゼルを愛し、
そして、バチルドの手を取る。
彼の中で両立しちゃうのが
なんとなく「正解」のような気がしちゃう、
そんなアルブレヒトでした。
(ジゼルからしたら、ひどい男だけどさ!)
ラストも、ジゼルの「思い」や「許し」を
正しく受け取る。
そういう男だからジゼルも・・・、と
きちんと話が完結したように思いました。
(人によっては、ジゼルの「許し」が
 都合の良い幻想に見えることもあるけど
 ウヴァは違いました)
踊りは素晴らしく綺麗。美しい。
パ・ド・ドゥで倒れ込んだ後も
拍手に応えていました。
1幕の衣装は基本は白。
ベストは皮っぽい茶色。
2幕は上下とも黒。

ハンスのアナネリは
スラリとした美しい脚。
ヒゲがムサいけど、優男風な外見。
もうちょい芝居に神経を使ってくれればなあ。。。

ミルタのカンデラキは
いま3つぐらい。
井脇さんとかテレホワとかステパノワとかが基準なので
幽玄さとか、女王のしての凄みとか
そんなものが必須だと思うけど
カンデラキは皆無だった。
ミルタって難しいんだな。

アルブレヒトの友人の演技が良かった。
ひとめで「貴族」だとわかった。
ジゼル(達)との身分差が良く見えた。

1幕は、人がたくさん。
ペザントなんか「パ・ド・シス」って書いてあるのに
7人出てくるし。
芸監が、ダンサーのために
役を多く作ったとしか思えないな。
実戦経験は、若いバレエ団の団員には必要だから
まあ、いいけど。

コールドがもうちょっと揃えば・・・
これからの課題だね。

ジゼルの友人達(村人達)の衣装が
ちょいダサめ。
葡萄娘の衣装が悪くなかっただけに
よけいダサさが目立った。
バチルドの衣装が豪華で良かった。
マールイにザハロワが客演したときは
絶対ジゼルの服の方が高価だって
一目でわかったもんなー。
生地からして違ったもんなー。

出だしの、アルブレヒトの隠れ家の値段交渉って
必要なのかな?


ニーナの「ジゼル」全幕を見るのは
きっと今日が最後なんだろうなあ。
どんどん「最後」が多くなる。
寂しいな。
でも、彼女の最盛期を見られたことは
私の宝だ。


【配役】
ジゼル:ニーナ・アナニアシヴィリ
アルブレヒト:アンドレイ・ウヴァーロフ
ベルタ(ジゼルの母):ニーノ・オチアウーリ
アルブレヒトの友人:ユーリー・ソローキン
公爵(バチルドの父):パータ・チヒクヴィシヴィリ
バチルド(アルブレヒトの婚約者) :マイア・アルパイーゼ
ハンス(森番):ダヴィド・アナネリ
ジゼルの友人:
 アンナ・ムラデーリ、ニーノ・ゴグア、ナティア・ブントゥーリ、
 テア・コパレイシヴィリ、ニーノ・アルブタシヴィリ、
 エカテリーナ・シャヴリアシヴィリ
パ・ド・シス:
 テオーナ・アホバーゼ、ニーノ・マハシヴィリ、
 ラーナ・ムゲブリシヴィリ、ニーノ・マティアシヴィリ
 ワシル・アフメテリ、オタール・ヘラシヴィリ、
パ・ド・シス:ヤサウイ・メルガリーエフ
ミルタ(ウィリの女王):ラリ・カンデラキ
ウィリたち:ニーノ・ゴグア、アンナ・ムラデーリ

音楽:アドルフ・アダン
台本:テオフィル・ゴーチエ,
     ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ
振付:ジャン・コラーリ,ジュール・ペロー,
  マリウス・プティパ
振付改訂:アレクセイ・ファジェーチェフ
改訂振付補佐:タチヤーナ・ラストルグーエワ
装置・衣裳:ヴャチェスラフ・オークネフ
照明:パウル・ヴィダル・サーヴァラング
指揮:ダヴィド・ムケリア
管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団

■「シンデレラ」パリ・オペラ座バレエ団
■2010/03/13(土)ジロ&パケット
ジローは昔、光藍社さんのガラにわりと出ていて
「アクを抜いたピエトラガラ」という印象だった。
ピエトラガラほどスパイシーじゃないけど
大きい体を大きく使う踊りで、
でも、エスプリと言われるような気取りは無くて
わりと好きでした。
でも、体格的に彼女の相手役となるダンサーがいないから
エトワールになれない、という
まあ、冗談半分の噂話も、そうだよねー、
って納得してました。
そういったガラでは、コンテを踊ることが多いので
古典全幕でも見たいなー、と常々思っていました。
前回の来日公演はコゼットになってしまったので
本日、ようやく願いが叶ったわけです。

以前、「眠り」のビデオを見たときも
他の妖精より二回りぐらい大きかったジロー。
今回も、パケット君より頭一つ大きいんだろうなあ、
と予想していたんですが。

実際に見てみたら
可愛かった
予想が悪かったのかもしれないし
B席だったからかもしれないけれど、
けっこう可愛かった。フェミニンだった。
ニーナとは違うタイプだけど
「女の子」だった。
ちょっと感動した。
最後は「幸せ一杯」な雰囲気が出ていた。
なんだか、嬉しいわー。
踊りももちろん良かったよ。
腕の動きが綺麗だった。
豪華な衣装も似合っていたけど
掃除をしているときも可愛かった。
3幕で義姉達が持っていたオレンジがオケボックスに落ちたら
ボックスの中の人に、拾って・返してー、って
身振りで頼んでいた。
それも可愛かった。

見窄らしい少女から豪華な美女にだいへんしーん!
でも、同じ人だ、ってわかる、
そんな役作りでした。
綺麗なドレスの時、頭飾りが羽じゃないのは
縦の大きさに気を使って???

パケット君は・・・
ちょっと、まだ、地味かも。
コールド達に埋もれ気味。
でも、ハンサムだ。
ジローと並んでも、小さいとは思わない。
(出待ちで見たら、けっこう背が高かった)
もうちょっと華やかさが出るといいね。
ええと。
スタートいえども「浮ついた」人じゃないから
シンデレラを探しに行くんだよねー、
って思えば、これもあり?
ヌレエフの振付は、まだちょっと、大変そう。
でも、ハンサムだ。
きれいな金髪だった。

継母のジョゼは、
もうこれが本業としか
王子(ここではスター)も踊っているなんて
すごいとしか言いようがないよね。
すごくイキイキと踊っていました。
義姉はユレルとロンベール。
たぶんピンクがユレルで緑がロンベールかと。
以前「ルビー」を見たとき、
「ジローより大きい人がいる」と思ったのが
ロンベールだったので。
二人ともコミカルに踊っていました。

プロデューサーのシャイエは、
役に対して、ちょっと若すぎるかも。
ハンサムだけど。
ダンス教師はペッシュからエイマンへ。
・・・この踊り、雰囲気、ペッシュでも見たかったなあ・・・。

2幕は「雨に唄えば」のスタジオ風景を思い出した。
キングコングの撤収方法を注視。
衣装は、ステキだな、と思うものと、
なんじゃこれ!が混在。
春夏秋冬の男性陣とか。
ヌレエフの感性ってわからんわー。

オケはグルジアより断然いい。
同じ団体なんだけどなー。

んでさー。
ヌレエフに対してアレだとは思うけどさー。
最後はスモーク焚こうよ!


【配役】
シンデレラ:マリ=アニエス・ジロー
映画スター:カール・パケット
二人の義姉:メラニー・ユレル、ステファニー・ロンベール
継母:ジョゼ・マルティネス
ダンス教師:マチアス・エイマン
プロデューサー:ヴァンサン・シャイエ
父:エリック・モナン


第1幕
第1場:映画の断片
メイド:モー・リヴィエール、シルヴィア=クリステル・サン=マルタン、
ジェニファー・ヴィソッキ
ヴァイオリニスト:河合晃太、吉岡篤志
第2場:ファッション・ショー
春:マチルド・フルステー
エロイーズ・ブルドン、フロリモン・ロリウー、
オバーヌ・フィルベール、フロリアン・マニュネ
夏:エヴ・グリンツテイン
サブリナ・マレム、ジョシュア・オファルト
ヴァネッサ・レガシー、ヤン・サイズ
秋:シャリーヌ・ジザンダネ
ヴァランティヌ・コラサント、ニコラ・ポール
カロリン・ロベール、ファビアン・レヴィヨン
冬:サラ・コーラ・ダヤノヴァ
エレオノール・ゲリノー、アクセル・イボ
ルシー・クレマン、シモン・ヴァラストロ
第3場:ハリウッド・スタジオ
時計:ジャン=バティスト・シャヴィニ、レミ・カタラン、
ピエール・レティフ、ユーゴ・ヴィリオッティ、エリオ・クラベル、
マイク・デルア、エティエンヌ・フェレール、
アレクサンドル・ゴンチャルフ、バンジャマン・ユッソン、
パスクアーレ=アレッシオ・レッツァ、ナンス・ピアソン
ネーヴェン・リトマニク
ワルツ:ロール=アデライド・ブコー、ロレーヌ・レヴィ、
セリーヌ・パラシオ、ポリーヌ・ヴェルデュザン、カリーヌ・ヴィラグラッサ、
クララ・デルフィノ、レイラ・ディラク、ペギー・デュルソー、
マリーヌ・ガニオ、エミリー・アスブン、ソフィア・パルサン、ニノン・ロー
ヤニック・ビタンクール、アドリアン・ボデ、マチュー・ボト、
ヤン・シャイユー、イヴォン・ドュモル、ミカエル・ラフォン、
ピエール=アルテュール・ラヴォー、ダニエル・ストック、
シリル・ショクルン、ジュリン・コゼット、アレクサンドル・ガス、
アレクサンドル・ラブロ
第2幕
第1場:撮影現場
映画監督:アレクシス・ルノー
アシスタント:シモン・ヴァラストロ
オーディション:レオノール・ボラック、クララ・デルフィノ、
レイラ・ディラク、ノエミ・ジニアディス、ペギー・デュルソー、
マリーヌ・ガニオ、エミリー・アスブン、リュシー・マテシ、
ソフィア・パルサン、ニノン・ロー、モー・リヴィエール、
ジェニファー・ヴィソッキ
映画1:無益な追跡
囚人:アレクサンドル・ガス
看守:ジュリアン・コゼット、ユーゴ・ヴィリオッティ、
エリオ・クラベル、マイク・デルア
映画2:パロディ・パレード
侯爵:ピエール=アルテュール・ラヴォー、アレクサンドル・ラブロ
倒錯者たち:ジャン=バティスト・シャヴィニ、ピエール・レティフ、
バンジャマン・ユッソン、ナンス・ピアソン
映画3:キングコング‐リメイク
タヒチアン・ガール:クララ・デルフィノ、レイラ・ディラク、
ノエミ・ジニアディス、ペギー・デュルソー、エミリー・アスブン、
ソフィア・パルサン
インディアン:アレクサンドル・ガス、ユーゴ・ヴィリオッティ、
パスクアーレ=アレッシオ・レッツァ
第2場:シンデレラの撮影
映画スターの友人:ベルトラン・ベレム、フロリアン・マニュネ、
ニコラ・ポール、ヤン・サイズ、マチュー・ボト、ヤン・シャイユー、
イヴォン・ドゥモル、ジュリアン・コゼット
ダンサー:アマンディヌ・アルビソン、エロイーズ・ブルドン、
シャリーヌ・ジザンダネ、サブリナ・マレム、ロレーヌ・レヴィ、
セリーヌ・パラシオ、カロリン・ロベール、ポリーヌ・ヴェルデュザン
フロリモン・ロリウー、ファヴィアン・レヴィヨン、
ヤニック・ビタンクール、アドリアン・ボデ、アクセル・イボ、
ミカエル・ラフォン、シリル・ショクルン、ダニエル・ストック
カメラマン:
ジャン=バティスト・シャヴィニ、パスクアーレ=アレッシオ・レッツァ、
アレクサンドル・ガス、アレクサンドル・ラブロ、
エリック・モナン、ピエール=アルテュール・ラヴォー、
ピエール・レティフ、ユーゴ・ヴィリオッティ、エリオ・クラベル、
マイク・デルア、アレクサンドル・ゴンチャルク、
エティエンヌ・フェレール、バンジャマン・ユッサン
メイド:
ルシー・クレマン、エレオノール・ゲリノー、クララ・デルフィノ、
レイラ・デュラク、ペギー・デュルソー、マリーヌ・ガニオ
第3幕
第1場:シンデレラを探して
スペインの居酒屋:
ステファニー・ロンベール
アマンディヌ・アルビソン、ヴァネッサ・レガシー、
カリーヌ・ヴィラグラッサ
中国の酒場:
メラニー・ユレル
ミリアム・カミオンカ、ルシー・クレマン、エレオノール・ゲリノー
ロシアのキャバレー:
ジョゼ・マルティネス
ペギー・デュルソー、エミリー・アスブン、ニノン・ロー
第2場:シンデレラの家
第3場:シンデレラ、映画女優になる


音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
装置:ペトリカ・イオネスコ
衣裳:森英恵
照明:グイード・レヴィ

演奏:東京ニューシティ管弦楽団
指揮:コーエン・ケッセル


■2010/03/15(月)ムッサン&ガニオ
ムッサンのシンデレラが見たくてエコノミー券を取りました。
5階Rの、かなり舞台よりの2列目。
1列目の人があまりに前のめりにならなかったので
舞台がよく見えました。
時計は殆ど見えないし、
暖炉はまったく見えなかったけど。
次回買うことがあったらLがいいね。

ムッサンのシンデレラは何段階か。
最初は、幸薄い現実を受け止めている。
(ドロテとコゼットは義姉・・・ではなく義妹に見える
 ムッサンは、母亡き後、父の面倒を見ていたため嫁き遅れ気味の長女、みたいな)
それがプロデューサーに見出され、夢の世界へ。
しかし、そこがまだ自分の居場所だとは思っていない。
不安がまだある。
スターと踊っているときも、まだ確信できない。
家に帰ったあとは、夢見心地。幸せ一杯。有頂天。
実際、夢のようなときってのは、頭が真っ白になって
その時は浮かれる、ってことはできないんだよね。
後でしみじみ噛みしめるもんで。
そして、スター達がやってきて
「確かな現実の幸せ」を手に入れる。
一段一段、幸せに向かって歩むシンデレラでした。
イメージカラーを言うならば
ジローはピンク。桃色。
美貌も体格wもすべてもっているんだけど
自分でそれに気がついていない。
気がついて、勇気をもって一歩踏み出すと
世界が一変するような。
ムッサンは、白地にほんのりピンクが混じるような。
薄幸な女性が、やっと幸せを掴む。
そんなかんじでした。
ムッサンは、踊り慣れている。
細かい動きが、台詞を表していました。
へんしーん!の後の頭は、被り物。
ギエムやアニエスは羽だよね。
何パターンかあるのかな。

マチュー君は、5階から見ると、
存在感がちょっと薄め。
もうちょっと、ガツン!と来るかと思っていたけど。
ヌレエフ振付の踊りは、う~んと、ほどほどかな。
パケット君に比べれば、スタイルはいいけど、それだけ。
髭は似合わないと思う。
タニちゃんのネイサン・デトロイトみたいなもん。
若いんだから、白い歯キラリ~ン!のアイドル系でいいじゃん。
クラーク・ゲーブルは目指しちゃいけないよ。
アイドル系だと、ムッサンとのビジュアルのバランスが悪い?
でも、髭付けて大人っぽくなったわけじゃないしなあ。

ドロテのヘン顔はヘレナ・ボナム=カーター(の赤の女王)に似ているかも。
コゼットのイジワル顔は小柳ルミ子に似ているかも。
二人とも、さすがにエトワール!
ものすごく技術が必要な踊りも、自然な動きになっている。
コミカルで、でも憎めない、愛すべき姉妹。
すごすぎる。
3幕のスペイン、中国のソロでは
艶やかに、あるいは、しっとりと、女性らしく。

ファヴォランの継母は「男性」の部分がしっかり残っている。
これが本来の「継母」なんだなあ。
ジョゼは見慣れているせいか、自然すぎるんだよね。
ファヴォランは「男性が踊るからこそ」の
滑稽な部分がよく出ていた。

プロデューサーはカルボネ。
細かい演技が良かった。
ビジュアルは若いんだけど、
「今までに何本か当てた」風格が出ている。
だから現場で偉そうにしていても自然。
3幕の終わりで、監督に葉巻を渡す仕草が、
いい味だった。

ダンス教師は今日もエイマン。
マチュー君より、ヌレエフの踊りが身体に入っているかも。

5階端だったので、舞台の後ろの方もよく見えた。
キングコングは、後ろ半分が無かった。
前後に薄い身体だったのね。

最後はやっぱり、スモークが欲しいなあ。。。


【配役】
シンデレラ:デルフィーヌ・ムッサン
映画スター:マチュー・ガニオ
二人の義姉:エミリー・コゼット、ドロテ・ジルベール
継母:ステファン・ファヴォラン
ダンス教師:マチアス・エイマン
プロデューサー:アレッシオ・カルボネ
父:ジャン=クリストフ・ゲリ

第1幕
第1場:映画の断片
メイド:レイラ・ディラク、マリーヌ・ガニオ、ニノン・ロー
ヴァイオリニスト:河合晃太、吉岡篤志
第2場:ファッション・ショー
春:リュドミラ・パリエロ
アマンディヌ・アルビソン、フロリモン・ロリウー
サブリナ・マレム、フロリアン・マニュネ
夏:エヴ・グリンツテイン
マリ=ソレーヌ・ブレ、ジョシュア・オファルト
ヴァネッサ・レガシー、ヴァンサン・シャイエ
秋:メラニー・ユレル
シャリーヌ・ジザンダネ、ニコラ・ポール
ロレーヌ・レヴィ、ファビアン・レヴィヨン
冬:サラ・コーラ・ダヤノヴァ
マチルド・フルステー、アドリアン・ボデ
ミリアム・カミオンカ、シモン・ヴァラストロ
第3場:ハリウッド・スタジオ
時計:ジャン=バティスト・シャヴィニ、エリック・モナン、
ピエール=アルテュール・ラヴォー、ピエール・レティフ、
ユーゴ・ヴィリオッティ、エリオ・クラベル、
エティエンヌ・フェレール、アレクサンドル・ゴンチャルフ、
バンジャマン・ユッソン、パスクアーレ=アレッシオ・レッツァ、
ナンス・ピアソン、ネーヴェン・リトマニク
ワルツ:ロール=アデライド・ブコー、ヴァランティヌ・コラサント、
ルシー・クレマン、エレオノール・ゲリノー、セリーヌ・パラシオ、
カロリン・ロベール、オバーヌ・フィルベール、
ポリーヌ・ヴェルデュザン、カリーヌ・ヴィラグラッサ、
ノエミ・ジニアディス、ペギー・デュルソー、エミリー・アスブン
ヤニック・ビタンクール、マチュー・ボト、ヤン・シャイユー、
イヴォン・ドュモル、アクセル・イボ、ミカエル・ラフォン、
シリル・ミティリアン、ダニエル・ストック、シリル・ショクルン、
ジュリン・コゼット、アレクサンドル・ガス、アレクサンドル・ラブロ

第2幕
第1場:撮影現場
映画監督:アレクシス・ルノー
アシスタント:アドリアン・ボデ
オーディション:レオノール・ボラック、クララ・デルフィノ、
レイラ・ディラク、ノエミ・ジニアディス、ペギー・デュルソー、
マリーヌ・ガニオ、エミリー・アスブン、リュシー・マテシ、
ソフィア・パルサン、ニノン・ロー、モー・リヴィエール、
ジェニファー・ヴィソッキ
映画1:無益な追跡
囚人:アレクサンドル・ガス
看守:ジュリアン・コゼット、ユーゴ・ヴィリオッティ、
エリオ・クラベル、エティエンヌ・フェレール
映画2:パロディ・パレード
侯爵:ピエール=アルテュール・ラヴォー、
アレクサンドル・ゴンチャルク
倒錯者たち:ジャン=バティスト・シャヴィニ、シリル・ショクルン
エリック・モナン、ピエール・レティフ
映画3:キングコング‐リメイク
タヒチアン・ガール:クララ・デルフィノ、レイラ・ディラク、
ノエミ・ジニアディス、ペギー・デュルソー、エミリー・アスブン、
ソフィア・パルサン
インディアン:アレクサンドル・ガス、ユーゴ・ヴィリオッティ、
パスクアーレ=アレッシオ・レッツァ
第2場:シンデレラの撮影
映画スターの友人:ベルトラン・ベレム、フロリアン・マニュネ、
ニコラ・ポール、ヤン・サイズ、マチュー・ボト、ヤン・シャイユー、
イヴォン・ドゥモル、ジュリアン・コゼット
ダンサー:アマンディヌ・アルビソン、エロイーズ・ブルドン、
マリ=ソレーヌ・ブレ、サラ・コーラ・ダヤノヴァ、
マチルド・フルステー、シャリーヌ・ジザンダネ、
ミリアム・カミオンカ、サブリナ・マレム
フロリモン・ロリウー、ファヴィアン・レヴィヨン、
ヤニック・ビタンクール、アクセル・イボ、ミカエル・ラフォン、
シリル・ミティリアン、ダニエル・ストック、アレクサンドル・ラブロ
カメラマン:
ジャン=バティスト・シャヴィニ、シリル・ショクルン、
アレクサンドル・ガス、アレクサンドル・ラブロ、
ピエール=アルテュール・ラヴォー、ピエール・レティフ、
ユーゴ・ヴィリオッティ、エリオ・クラベル、
アレクサンドル・ゴンチャルク、エティエンヌ・フェレール、
バンジャマン・ユッサン、ナンス・ピアソン、
パスクアーレ=アレッシオ・レッツァ
メイド:
ルシー・クレマン、エレオノール・ゲリノー、ロレーヌ・レヴィ、
セリーヌ・パラシオ、カロリン・ロベール、ポリーヌ・ヴェルデュザン

第3幕
第1場:シンデレラを探して
スペインの居酒屋:
エミリー・コゼット
マリ=ソレーヌ・ブレ、サラ・コーラ・ダヤノヴァ、サブリナ・マレム
フロリアン・マニュネ、ニコラ・ポール、ヤン・サイズ
中国の酒場:
ドロテ・ジルベール
マチルド・フルステー、シャリーヌ・ジザンダネ、
ミリアム・カミオンカ
ロシアのキャバレー:
ステファン・ファヴォラン
ペギー・デュルソー、エミリー・アスブン、ニノン・ロー
第2場:シンデレラの家
第3場:シンデレラ、映画女優になる
 
■2010/03/14(日)「ロミオとジュリエット」アナニアシヴィリ&ウヴァーロフ/グルジア・バレエ団
ロレンス神父がアホなんだよなー、
と思うことは、しばしばあった。
でも、今日は、その先を思った。
ロレンス神父が間違っている。
結婚式をあげたのも間違い。
そのあとジュリエットが来たときには、
まず彼女に、ロミオのことはあきらめろ、
というべきじゃなかったのかな。
せめて、あやしげな薬を渡すなら
(というか、こんな薬を持っていること自体・・・)
墓地の前でロミオを張るぐらいのことはすべきだろう。
ロレンス神父の策略がなければ
二人は死ぬことは無かったんじゃないのか。

と、思うくらい。
こんなに生命力に溢れた少女が
死ぬなんて間違っている!!と感じた舞台でした。
もっとなにか、方法はなかったのか。
そんなことを考えてしまうくらい、
ニーナのジュリエットは、
舞台の上で「生きて」いました。
まさに青春の盛り。
命がもっとも燃え上がるとき。
そんな「瞬間」を見事に表現していました。
こんな魅力的な「少女」が死んでしまうなんて
もったいない!
悲恋を見た感動より、
なんだか悔しい思いが先立つぐらいです。
ニーナは、熱い血が通った人間の役の方が
似合っているなあ。
踊りも素晴らしかったです。
身体全てを使っていました。
無理なく身体が伸びていました。
「ジゼル」の時は正直、まあ、年齢が年齢だし・・・
と思ったときがありましたが
今日はそんなこと、無し!
感情豊かな「少女」でした。
まだ、踊れるよ!

ウヴァは、アルブレヒトでさえ
「生真面目」な部分が出ていたので
ロミオはどうなるか、と思ったけど
恋に一直線な男でした。
一直線だけど、間抜けさはない、っていうか。
こういう方向の「熱さ」も持っていたんだなあ。
ニーナへのサポートは抜群。
ニーナがのびのびと踊れるのも
彼のサポートがあってのことでしょう。

マキューシュオの岩田さん。
ウヴァやティボルト達との身長差はあるけれど
細かい踊りにキレがありました。
なにより、高いプロ意識が、
舞台を引き締めていたと思います。
死ぬ場面は、こちらも痛くて息苦しかった。

群舞は小芝居多し。
にぎやかな街に合っている。
キッチリ揃えて踊る場面が
「ジゼル」より少なくていいかもね。
2幕冒頭、紺チョッキの人が一人
チョッキを着忘れていたみたい。
後半再登場の時は着ていた。


世界でも上演しているところが少ないラブロフスキー版。
これを見ると、原点、って気もしますし、
クランコ、マクミラン、ついでにロビンスは
うまいこと作ったなあ、とも思いました。
ドラマティックな盛り上がりは
後の版ほど無いかもしれないけれど
それだけに、美しい音楽が雄弁でした。
パリオペの舞台と比較されて奮起したのか
「ジゼル」の時より、オケの演奏は良かったです。

マキューシオを刺すティボルト。
他の版や、映画、ミュージカルでは
うっかり刺してしまって
内心あせりつつちょびっと後悔しつつも
表面では笑っている、
って演技をよく見てきたのですが
(ああ、ビクター・バービーが
 片頬だけあげて笑っている顔がよみがえるわ
 チャキリスの困ったような笑顔がよみがえるわ)
今回のティボルトは、意識してマキューシオを刺し
彼が死んであざ笑っていました。
こういうパターンもあるんだなあ。
そして、パリスは、
本当にジュリエットが好きだったみたい。
ウヴァじゃなけれな
「パリス」にしておけよ!と思っただろうなあ。

美しい舞台でした。


と、同時に。
ニーナのジュリエットも好きだけど。
ロシア版のロミジュリも好きだけど。
私の中で「ロミジュリ」といえば
マクミラン版のフェリ&ボッカが不動なんだなあ、
と、改めて思いました。
ニーナを見てそう思うなら
一生そうなんだろうなあ。


カーテンコールは何回も。
エレーナちゃんも花束渡しに参加。
紙吹雪バーン!もあり。
最後はグルジア国旗を方に羽織って
ニーナが出てきました。
赤十字たくさんなのね。


【配役】
ジュリエット:ニーナ・アナニアシヴィリ
ロミオ:アンドレイ・ウヴァーロフ
ティボルト(キャピュレット卿夫人の甥):ワシル・アフメテリ
マキューシオ(ロミオの友人) :岩田守弘
ヴェローナの太守:パータ・チヒクヴィシヴィリ
キャピュレット卿(ジュリエットの父):ユーリー・ソローキン
キャピュレット卿夫人:ニーノ・オチアウーリ
ジュリエットの乳母:タチヤーナ・バフターゼ
パリス(ジュリエットの婚約者) :ダヴィド・アナネッリ
パリスの小姓:テオーナ・ベドシヴィリ
ローレンス神父:パータ・チヒクヴィシヴィリ
ジュリエットの友人:ラリ・カンデラキ
吟遊詩人/道化:ヤサウイ・メルガリーエフ
モンタギュー卿(ロミオの父):マヌシャール・シハルリーゼ
ベンヴォーリオ(ロミオの友人) :ゲオルギー・ムシヴェニエラーゼ
居酒屋の主人:ニカ・ジャイアニ


振付:レオニード・ラヴロフスキー
振付改訂:ミハイル・ラヴロフスキー
振付改訂補佐:
 ドミートリー・コルネーエフ、イリーナ・イワノワ、アレクセイ・ファジェーチェフ
装置:ダヴィッド・モナヴァルディサシヴィリ
衣裳:ヴャチェスラフ・オークネフ
衣裳デザイン補佐:ナティヤ・シルビラーゼ
照明 ジョン・B・リード
照明デザイン補佐:アミラン・アナネッリ
舞台監督:ニアラ・ゴジアシヴィリ

指揮:ダヴィド・ムケリア
管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団

■2010/03/20(土)「ジゼル」ムッサン&ペッシュ/パリ・オペラ座バレエ団
素晴らしい舞台でした。

ムッサンのジゼル。
1幕は、か弱い女性。
神経は細く繊細。
身体も繊細。
恋の喜びはあるのに、
どこか不安げな表情が不吉。
時々、心が、「ここじゃないところ」へ行っている。
すでに、ウィリ達に誘われていたのか。
アルブレヒトの裏切りは、
徐々に彼女の心を蝕み、
そして、壊れる。
繊細なガラス細工が砕け散ったようでした。

2幕はまさに「幽玄」。
オペラグラスで顔を見ると無表情に近いのに
オペラグラス無しで見ると
(*今日も3階B席だよーん)
身体は実に雄弁。
アルブレヒトへの愛が伝わってきました。

踊りは、全般的に、美しいフォルム。
ベテランの「円熟味」というより
「底力」って思いました。


まあ、でも、ムッサンはもともとが
「ジゼル」のイメージだから。
「期待以上に」とは思っても
イメージ通りではあったんだけど。

ペッシュのアルブレヒトが想像できなかったんで
どうなるもんかドキドキでしたよ!

アルブレヒトは、出だしは尊大。
上から目線。
貴族というより、支配階級だね。
気付よ、村人達。
なんだかねー、女関係については
前科10犯ぐらいありそう。
絶対、お屋敷の小間使いに手を出していたって!!
最初は、それと同じだと思ったんだろうなあ。
そんな彼が、ときどきマジ顔になるのが
かえって切ない、っていうか。
根っからの遊び人にも
真心があったんだねえ。
だから、ベルタがウィリの説明をしているときあたりから
徐々に自分が間違ったことをしていると
感じだしているようだった。
たぶん、そんな罪悪感は初めてだったんだろうなあ、って。
よく「ジゼルによって真実の愛を云々」
って言われるけれど
こういう流れで到達することもあるんだなあ。
新鮮。
2幕は後悔から始まり・・・で、
演技としては王道。
でも、ペッシュはある意味「生臭い」人なので
ムッサンの「ジゼル」とは
二人並ぶだけで、お互い相容れない別世界の人、
って雰囲気になる。

なんだかね。
ムッサンは浄化されつつあるのに
すでに8割ぐらいは天国に行きかけているのに
「アルブレヒトへの愛」のためだけに
アルブレヒトを守るだけに、
一部、現世に留まっているみたい。
ふらふらとジゼルの墓に来なければ
ジセルはさっさと成仏できたのでは、
と、チラッと思った。
まあ、それはともかく。
この人のジークフリートも見てみたいと思った。
アルブレヒトより、もっと濃厚に役を作り込めるからさ。
案外、古典の主役が似合うんだなあ、
ってのが最終結論。
踊りは・・・あれが彼の基本なのか、
膝を痛めているかなのかは、よくわからんです。


いつも以上に支離滅裂だけど
雰囲気を汲み取っていただければ・・・


ニコラ・ポールのヒラリオンは、
特に印象に残らず。
典型的な役作り。

コゼットのミルタは、
それなりに迫力はあるんだけど
ジローを見ちゃうと物足りないかも。

ペザントは、パリエロとカルボネ。
パリエロの踊りが柔らかい、と思うのはユレル比だからか。
カルボネの顔が小さいと思うのはペッシュ比だからか。
カルボネは「シンデレラ」のプロデューサーとは
うってかわって爽やかな笑顔だった。

ヤン・サイズの公爵様は髭無し。
バチルドのパパには見えないなあ。
公爵(当主)だけど、バチルドの弟、
アルブレヒトとも友人、でもいいか、このさい。
 ・姉ちゃんを頼むよ ← アルブレヒトに
 ・あいつは女好きだけど根はいいヤツなんだ ← バチルドに
と、橋渡しする弟。
ジゼルとの身分差があればOKだよね。
この版では、ジゼルは公爵の落とし胤って裏設定があるようだけど
ヤン・サイズだと年齢差がないから
先代の・・・ってカンジになるね。


今回の来日公演は、両演目とも充実していたわー。
前回は、コゼットとベランガールだったし・・・


2幕の冒頭、ゲネプロで墓堀人夫と思った人達は
配役表によると「さいころ遊びをする人たち」。
なに?クラップ?
ジョーイに千ドルを払えなくてガレージを借りられなかった?
ネイサンはゲーブル風マチューだね。


【配役】
ジゼル:デルフィーヌ・ムッサン
アルブレヒト:バンジャマン・ペッシュ
ヒラリオン:ニコラ・ポール

ウィルフリード:ジャン=クリストフ・ゲリ
ベルタ、ジゼルの母:ヴィヴィアン・デクチュール
クールランド大公:ヤン・サイズ
バチルド姫:ベアトリス・マルテル

ペザント・パ・ド・ドゥ:リュドミラ・パリエロ、アレッシオ・カルボネ
ミルタ:エミリー・コゼット
ドゥ・ウィリ:マチルド・フルステー、シャリーヌ・ジザンダネ


演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:コーエン・ケッセル


■2010/03/17 ゲネプロ
バレエの祭典会員特典の
ゲネプロ見学に行ってきました。

1階席は関係者用。
2階~4階(たぶん)までが見学者用。
祭典会員以外に、東京文化会館関連イベントによる
ゲネプロ見学者もいたようです。
指揮者&オケは私服。
ダンサーは舞台衣装を来ていました。
装飾品もかなり装着。
舞台用の化粧はしたりしなかったり。
ジローはボディー用のファンデーションも塗ってたかも。

衣装、舞台装置、ダンサー達すべてが
グルジア・バレエ団を見た後だと
とてもゴージャスで洗練されているように感じます。

東京文化会館の舞台をフルに使っています。
横幅がある!
奥行きが深い!
1幕のセット。
ベルタの家がデカイ。
ベルタの家と、アルブレヒトの隠れ家は
客席に向かって「へ」の字に配置。
舞台奥に坂道。
幕開けは舞台上の空きスペースが広く感じられる。
最初にコールドが踊って、
ヒラリオンが出てきて、
アルブレヒトが出てきて、
ウィルフリードが出てきて。
普段なら「数歩あるく」が
軽い小走りになる。
なんで?
と思ったら、その後、人がたくさん出てきた。
葡萄娘も多めで、同じ数だけ男性ダンサーがいる。
ジゼルとアルブレヒトが混じったとき、
一直線じゃなくて十字。
この人数を板に乗せるために必要な空間だったんだ。

公爵様ご一行到着を村人が歓待。
ジゼルの家の前でくつろぐご一行に見せるように
ペザントの踊りが8人のコールド付きで始まる。
*たぶん、他の版の「ジゼルの友人」にあたる人だと思う。
それからジゼルが、ご一行様に
「家にお入りください」と促す。
それから村人の踊り。
ジゼルのソロ。
そして狂乱の場面。
狂乱の途中で、貴族様達、坂を登って撤収。
ジゼルから剣を取り上げるのは
ヒラリオンじゃなくて、アルブレヒト。

とにかく一幕は「人 大杉」って思った。
セットは少ないけど、人海戦術。
松山か!と言いたくなるぐらい。
とっても贅沢だ!

二幕の出だし、上手に墓堀人夫達がワサワサ。
そこに通りかかるのがマントを羽織ったヒラリオン。
手には、小花の花束。
(後から出てくるアルブレヒトはでっかい百合の花束なので
 この辺にも身分差が出てるのかなあ、と)
墓堀人夫達に「なにしに来たん?」って聞かれたので
「愛する美しい人が死んだんだよー」と説明していると
ピカピゴローーーン!
人魂登場か!!!
と思ったら・・・
お化け登場!
ベールを被ったウィリ達がワラワラと出てきました。
恐いよ!!

見慣れた版と違うのは上記ぐらいかな。

ゲネプロなので、
ダンサー達は全力投球じゃありません。
場当たり終わらせることもありました。
なので、本番だと違うイメージになるかもしれませんが・・・

一幕のアニエスは可憐。
か弱い女性でした。
農家の・・・、というには品があるかもしれないけれど
ショックで心臓が止まるのはわかるような
神経が細そうな女の子でした。
細いと繊細は違いまして。
狂気に結びつくような神経質さはあまり感じられず
もっと、純粋に、ショックで生きる気力がプッツリ・・・
ってカンジでした。
二幕は、逆に、威厳があって、
さすがエトワールとは思うけど、
私が思うウィリとは違うな。
一幕のソロ後半とか、踊り終わった後
もう一回踊ったところあり。

ジョゼは、プレイボーイ系の貴公子。
バチルドに「シーッ!」ってする仕草があった。
ルグリもこうだったよね。
パリオペの王道なのかな。
恋に浮かれる、とも違うし
ジゼルに嘘をついていることを悩むでもなし。
目の前の欲望に忠実、っていうのか。
フランスのバレエ団だから(自身は違うにしても)
「恋に忠実」「好きなもんは仕方ない」ってのが
自然ではありますなあ。
長い脚が美しい。
ジャンプも綺麗に決まっていました。
二幕のソロの後、膝をついて仰け反って終了、
かと思ったら、
地面に倒れ込むポーズに変わった。
いろんなパターンを試しているのか
拍手が来ることを想定してなのか。
最後の全力ジャンプは無し。
左右に(徒歩で)動いて位置確認のみ。

ヒラリオンはオファルト。
演技が小さい。
あんまり印象に残らないけど
たぶん、本番では爆発すると思います。
カーテンコールの練習の時は
すでに練習着?になっていました。
髭は付け髭かな?

ペザントはユレルとティボー。
終わった後、ユレルはいろいろ指導を受けてた。
仏語なので内容はわかりません。

公爵様は、キャスト表によると、ヤン・サイズ。
髭がないので、とても若い。
バチルドと並ぶとお似合いのカップルにしか見えない。
ペザントのソロが終わったティボーが
なんか話しかけていた。

ジローのミルタは恐くて凄みがあった。
こういうミルタが見たかったのよ!
横移動も縦移動も上体がぶれないので
自動移動しているようだった。

舞台進行が止まったのは
ペザントの後と一幕ジゼルのソロの後だけ。
あとは、マイクを通じた仏語が響くことがあったけど
止まらずそのまま続けられました。

見た目は本番と同じだけど
どことなく緊張感・緊迫感がない舞台でした。
逆に言うと、本番って、
すごくエネルギーを消費しているんだなあ。
ダンサーも客も。
ダンサーが良い踊りしても拍手がしにくい。
私たちは本当はいない人間だし。
拍手で、ダンサーへの諸注意が
聞き取れなくなったら申し訳ないし。
早く本番が見たい!

今日のキャストはレベルが高くて安定していると思います。
アタリ、だと思いますよ。
私の回はどうかな~~


【配役】
ジゼル:アニエス・ルテステュ
アルブレヒト:ジョゼ・マルティネス
ミルタ:マリ=アニエス・ジロー
ヒラリオン:ジョシュア・オファルト

ウィルフリード:ジャン=クリストフ・ゲリ
ベルタ、ジゼルの母:ヴィヴィアン・デクチュール
クールランド大公:ヤン・サイズ
バチルド姫:ベアトリス・マルテル
ペザント・パ・ド・ドゥ:メラニー・ユレル、エマニュエル・ティボー
ミルタ:マリ=アニエス・ジロー

指揮:コーエン・ケッセル
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

■2010/03/27(土)「エイフマンのアンナ・カレーニナ」厚木&貝川&山本/新国立劇場バレエ
根性で早起きしてZ席GETです。
中劇場はここで充分。
夜に「ジゼル」を取っていたのでキャストはBです。
エイフマンのカンパニーのダンサーの方が
踊り慣れていているんだろうけど
とりあえず作品を見たかったし。
エイフマンの全幕を見るのは始めて。

25分の休憩込みで2時間弱の上演時間。
いろいろな部分を切り捨てて、
すごくシャープにスピーディーに話は進みます。
駅での出会いはなく、
舞踏会に出かけるカレーニン夫妻から話は始まる、みたいな。
<追記>
出だしは「鉄道模型で遊ぶアンナの息子」でした。
ちゃんと「駅」はあったのね。
一晩たってわかりました。(遅)



彼らは恋に落ちました。
とか
ベネチアに行きました。
とか、
1~2行ぐらいの粗筋を連ねているような構成なんだけど
これが意外とわかりやすい。


話を進めるのは主に3人だけど、
群舞の使い方がうまい。
群舞でほぼ状況説明ができている。
その踊り自体もシャープでクセがなく
とても見やすいので、
話も頭にすんなり入る。
アンナがロシアに戻ってきた後、
十字のフォーメーションの群舞の
縦軸は右へ、横軸は手前へ段々動く。
(上から見ると)十字の右下にいるアンナは
人の壁に段々追いつめられていく、とか
シンプルだけど、ものすごくわかりやすい。
こちらまで息が詰まった。


厚木さんは、化粧のせいもあって
気が強うそうな女性だった。
だから行動しちゃうんだろうけど。
不倫が不幸を招いたのではなく、
行動できる強さが不幸を招いたのではないか。
流されるのではなく、流れを作る。
だからこそ、当時の社会には
受け入れられなかったんだろうな。

貝川さんは、ちょっと弱いかなあ。
群舞に比べると、ソリストはちょっとクセのある動きがあって
貝川さんはまだ消化中。
脚は長いし、飲んだくれているところはいいんだけど
もうちょっと、アンナが惚れる要素を
見せて欲しかったかも。

逆に山本さんは、動きは台詞になっていた。
動きで表すのではなく
動きそのものが台詞。
そんなふうに思うような踊りだった。
私が見たカレーニンの中では一番悪人ぽかった。
こっちの方が正解なんだろうなあ。

群舞は場面を表す。
(社交界、軍隊、ベネチア、など)
出てきた瞬間に分からせなければいけない構成だったけど
ちゃんと伝わっていた。


長くドロドロではなく
短くポイントだけ、ってのが良かったな。



【配役】
アンナ:厚木三杏
カレーニン:山本隆之
ヴロンスキー:貝川鐡夫
キティ:本島美和

■2010/03/27(土)「ジゼル」酒井&ライマー/日本バレエ協会
流れとしては、先日のパリオペに似ているかも。
ペザントは公爵ご一行も見る。
2幕のサイコロ遊びもある。
この遊びに興じている人達は
パリオペだと、どういう人達かはわからなかったけど
こちらだと、ヒラリオンのお仲間に見える。
仕事を終え、夜になるまでの遊び。
夜になったら、ウィリが出る前に解散。
の予定だったんだけど・・・

チョコチョコと手を加えられていた。
1幕の葡萄娘たちのところ、
ジゼルとアルブレヒトの踊りが半分無くなっていた?
なに?なぜ?
と思ったら、ペザントが終わって、
公爵様達が家に入った後に使われた。
なんでしょ。
見せ場を平均化している?
2幕も、ウィリ達の踊りが加えられていた。
しかもワルツ調。
あと、サイコロ遊びの人達が
ウィリに捕まっていた。

ところどころ、リフトが省略・簡略化されていた。
ダンサーの体調なのか、演出なのか。

ちょっとイライラする改訂だったけど
見終わったら、けっこう良かった。

ウィリ達がリアルだった。
演出によっては、ウィリ自体が
アルブレヒトの幻想になることがあるけど
この版だと、実在している。
昨日も男を殺し、今日も殺し、明日も殺す。
精霊というより、亡霊に近いのかも。
だから、アルブレヒトも、9割方死ぬところだった。
それを救った=ジゼルの愛の力が強い
そして、ジゼルは彼女たちの仲間になりきる前に
アルブレヒトへの、また、アルブレヒトからの
愛の力によって天国に行く。
そういう流れが見えた。
こういうの、好きだな。

バレエ協会の公演って、寄せ集めだから
自分の出番が終われば終了!
って発表会のノリの時もあったけど
今日の、特にウィリ達の一体感は凄みがあった。
ほんと、恐かった!


東バの公演でも、アルブレヒトのみ客演ってことがあるに
それでも思わなかったんだけど、
今日はなんだか、
日本の田舎の村に来た「金髪のアメリカン」と
その村の娘との恋に見えた。
むかしは、英語を喋る金髪の外人って
みんなえらく見えたでしょ。そんなカンジ。
「Oh!アナタは、とても、beautifulデース!」
「おめぇ、あのげーじん(外人)が好きだっぺ?
 やめとけ、やめとけ。
 あいつはいずれ国にけーる(帰る)んだぞ」
みたいな。
ギャグではなくて、
貴族と村人の異質感が、すごく納得できた。
金髪のハンサムに愛を囁かれれば有頂天になるよね。
でも、自分と彼とは違う、ってのもわかるんだよね。

はなちゃんは、1幕は本当に純朴そうだった。
純粋じゃなくて、純朴ね。
ほんとうに、か弱い田舎娘だった。
恋の幸せを噛みしめつつも
どこかで、暗い結末を予感しているような。
狂乱の場面は、静かだけど、激しい。
大きい感情の変化に身体がついていかなかったんだろうなあ。
ウィリへの近づき方も明確だった。
2幕の足音の無さは半端ない!
浮遊、とも違う。
霊だな。精霊ではなく、幽霊系。
「人間じゃない」感がとても出ていた。

ライマーは、根はいい、金持ちの坊ちゃん系。
先のような印象があるので
「(赴任先の)現地での恋」みたい。
一種の気安さと、一抹の本気。
でもだんだん、逃れられなくなる。
卑怯ではあるけれど
なんだか、非難はできない。
踊りは・・・・・・
う~ん、、、なんとも。
ウヴァとかパリオペを見たばかりだし。

ヒラリオンの沖潮さんは良かった!
ニコラ・ポールが無味無臭だっただけに、
沖潮さんの明確な演技が嬉しかった。
ジゼルとは「同じ側」なんだよね。
彼の言っていることが正しい。
情熱的ではあるけれど、
粗野でもストーカーでもなく
いいバランスでした。

ミルタのテーラーさんは恐かったなあ。
ウィリたちの「殺意」の頂点にいるかんじ。
男達に対する復讐心を強い感じた。

バチルドの竹内さんは、優しいお姫様。
狂乱の前半まで現場にいたけど
ジゼルのことを気にかけているようだった。
こんないい人、泣かせるなよぅ!

ペザント。下島さんは良かった。
キミホさんは、純クラシックはあまり合わないのかな?


とにかく、踊りがチョコチョコ改訂されているので
ダンサーの個性(レベル)なのか
振付のせいなのか、わかりづらいところがあって
ちょっとイライラしたところがありました。
けど、終わってみると、納得、な版でした。
追記
改訂、ではなく、初演復刻版らしいです。


【配役】
ジゼル:酒井はな
アルブレヒト:ファビアン・ライマー
ヒラリオン:沖潮隆之
ミルタ:テーラー麻衣

ベルタ:今間千佳子
バチルド:竹内祥世
クーランド公爵:エリック・クロフォード
ウィルフリード:柴田英悟
ペザント:キミホ・ハルバート、下島功佐
ドゥ・ウィリ:石橋美々、佐藤友香
パ・ド・シス:綾野友美、大矢野柚子、川口尚実、児玉アリス、鈴木久美、松村敬子
(日本バレエ協会のHPより転載)

■2010/04/13(火)「オープニング・ガラ」国立モスクワ音楽劇場バレエ
モスクワ・クラシックと合同ですることが多いけど、
今回はダンチェンコ単独でガラです。ゲスト無し。

「ロシア文化フェスティバル2010」のオープニングイベントなので
冒頭に日露のお偉いさんのご挨拶有り。
日本側は駐露大使が登場。
最近モスクワでここの「白鳥」を見たら
舞台装置がすでに日本に送られていたため
現地では50年前の舞台装置を使っていたというお話が印象的。
来日公演がかなり前から決まっていたのに
ローテーションが上手く組めなかったのか
使えるから両地でやっちゃえと思ったのか。
人気演目だろうしね。

ガラは、舞台に置くセットは無し。
演目によってはスクリーンに背景を投射。

(たぶん)劇場のオケ付き。
指揮者は二人。
正直、音は「?」と思うときがあったけど
両者とも、ダンサーとの息は合っていた。
ダンサーへの愛情も感じられ、
この音込みで、ひとつの団体なんだな、と思った。


1部
「パキータ」音楽=ミンクス 振付=プティパ 改訂=Mラブロフスキー
マリーヤ・セメニャチェンコ
セミョーン・チュージン、ドミトリー・ハムジン、セルゲイ・クジミン
マリヤ・クラマレンコ、アンナ・ヴォロンコーワ、
アンナ・ハムジナ、エリカ・ミキルチチェワ
国立モスクワ音楽劇場バレエ団コールド・バレエ
指揮:アントン・グリニシャン

マールイを見慣れていると、ちょっと地味に感じる。
群舞、女性ソリストとも。
ステパノワ、コシェレワ、エフセーエワ、ミリツェワのラインが
鉄壁過ぎなんだよね。
男性陣は良い。
チュージンの背中に「期待の若手」と書かれた
デカイ看板が見える。
まだ粗い部分はあるけれど
細かい技も軽々と決め、
ポジティブで若々しくて、いいじゃないか、と思う。
お付きの男性の背の高い方(ハムジン)が
好みのど真ん中。
今日しか見られないのが哀しい。

約30分の上演の後、休憩。
時間配分的には悪いんだけど、
演目的にはここで切るしかないんだろうなあ。


2部
「石の花」より 音楽=プロコフィエフ 振付=グリゴローヴィチ
国立モスクワ音楽劇場バレエ団コールド・バレエ
指揮:フェリックス・コロボフ

群舞のみなんだけど、大迫力!
「ペトルーシュカ」のロシアの街の皆さんが
「バヤデルカ」の「太鼓の踊り」のテンションで踊っている、
と言えばいいのでしょうか。
これぞ、ロシア!
素晴らしい!!


「グラン・パ・クラシック」音楽=オペール 振付=グゾフスキー
金子扶生、ゲオルギー・スミレフスキ
指揮:アントン・グリニシャン

金子さんは、音楽にふわっと乗った踊り。
それでいて、決めるところは、力み無くぴしっと決める。
可愛い中に力強さがあって、見ていて気持ちいい。
スミレフスキは、さすがの存在感。
この作品を踊るのにふさわしい。
長い手足が綺麗なライン。


「ジゼル」音楽=アダン 振付改訂=レガート 1990:改訂上演
ナターリヤ・レドフスカヤ、セミョーン・チュージン
指揮:アントン・グリニシャン

レドフスカヤは、身体が良く動くなあ。
すでにベテランの域のハズなのに
(マラーホフやラトマンスキーと同じ年齢だと思う)
普通の若手並みに、軽やかな動き。
ジャンプも高く音が無く、まさに精霊。
チュージンは王子系も合う。
ジークフリートが見たかったなあ。


「ロマンス」音楽=スヴィリドフ 振付=ブリャンツェフ
イリーナ・ベラヴィナ、ロマン・マレンコ
指揮:フェリックス・コロボフ

プログラムを読んでないので、勝手に話を作るけど。
恋人を失った女が、在りし日を思い出しているのかな。
恋人が消えていくときの、女の悲痛な気持ちが伝わってきた。


「ゼンツァーノの花祭り」音楽=E・ヘルステッド 振付=ブルノンヴィル
カリーナ・イスマカーエワ、奥村康祐
指揮:アントン・グリニシャン

可愛いカップルだった。
二人とも、特に奥村さんの足捌きが良かった。
ブルノンヴィルは、これぐらいやってくれなきゃね。
と、昨夏を思い出し・・・。
奥村さんは、もうちょっと育ったら(体格が変わったら)
ここまで軽く踊れるのかなあ。。。


「悲しみの鳥」音楽=ラベル 振付=ゴレイゾフスキー
マリーヤ・セメニャチェンコ
ピアノ:アンナ・マリシェワ

うーん。
「瀕死の白鳥」を踊ってくれる方が嬉しいなあ。。。


オペラ「ファウスト」より「ワルプルギスの夜」抜粋 音楽=グノー 振付演出=Mラブロフスキー
ナターリヤ・レドフスカヤ、ミハイル・プーホフ、ドミトリー・ハムジン
指揮:フェリックス・コロボフ

群舞付き。
こういう群舞が付くんだ!
こちらも大迫力!
レドフスカヤが、コケティッシュに、アクロバティックに踊ります。
男性陣もはじけてました。
楽しかった。

むかし、チェルノ、ザバブーリン、ガリムーリンで
踊っていたような、、、、、、
と思って自分の記録を見たら、どうも2001年のことらしい。
もうそんなにたつんだなあ。


「ドン・キホーテ」音楽=ミンクス 振付演出=ゴールスキー
ナターリヤ・ソーモワ、ゲオルギー・スミレフスキ、
セミョーン・チュージン、セルゲイ・クジミン

ガラ用で。
キトリは1人だけど、バジルは3人。
(フィーリンはどこに出るつもりだったんだろう)
ソーモワは、うーん、それなりにー。
もうちょい華やかさが欲しいかなあ。
男性陣はどれも良い。
ヴァリエーションも二人付き。
最初の子が途中ですべったけど、
うまく持ち直していた。


カーテンコールにはフィーリンも登場。
ちょっと、ぽっちゃりしたかな。
無理して踊らなくてもいいよ、と思いました。


楽しい公演でした。
全幕もどれか見たかったけど
スケジュールが合わず。残念。

■「ザ・カブキ」東京バレエ団
■2010/04/24(土)柄本弾、二階堂、他
主演コンビをはじめ若手・初役が多かったけど
みなさんとても素晴らしかったです。

弾くんは、余裕がある。
晴雄くんなんか一杯一杯の時があるのに
弾くんは、120%の力は出していると思うけど
なんちゅーか、切羽詰った感はない。
舞台度胸がいいというのか。
舞台が怖くなることは無いのだろうか。
演技も踊りも落ち着いていて、
なおかつパワフルだった。
難点を言うのなら、
最初からリーダーに見えていることかな。
巻き込まれ感は薄い。
それでも、迷いながらも突き進み
統率者として討ち入りする。
一貫した演技が見事でした。

二階堂さんは、若手ながらも
こちらもリキみはなく
美しい顔世御前でした。
ユカリューシャ系かな。
ちょっと幽玄。
由良之介に、「敵討ちはどうした!」と迫るところは
激しい感情が窺えました。
すり足もうまく、肩や上半身を動かすことなく
重心低く、スススーーーッと移動していました。
長い手足もきれいに伸びていました。

師直の松下くんは、悪役オーラがたっぷり。
メイクのせいだけではなく、
とにかく目を引きます。

誰かの重心が高すぎたなー。
誰だっけかなー。

勘平の宮本くん、定九郎の小笠原くんも良かったよ。
お才はの井脇さんはさすがの存在感。
おかやは田中さん。老け演技が自然でビックリだった。

冒頭のTV、虎さんやハネケンも映っていた。
故人が多くなったなあ・・・。涙。

カーテンコールの時、高岸副芸監が弾君に
赤い薔薇の花束を渡していました。

とりあえずー。


配役
大星由良之介:柄本弾
直義:森川茉央
塩冶判官:長瀬直義
顔世御前:二階堂由依
力弥:青木淳一
高師直:松下裕次
判内:氷室友
勘平:宮本祐宜
おかる:佐伯知香
現代の勘平:井上良太
現代のおかる:河合眞里
石堂:谷口真幸
薬師寺:梅澤紘貴
定九郎:小笠原亮
遊女:吉川留衣
与市兵衛:永田雄大
おかや:田中結子
お才:井脇幸江
ヴァリエーション1:小笠原亮
ヴァリエーション2:宮本祐宜


■2010/04/25(日)後藤、上野、他
昨日に比べると、
全般的に踊り慣れている人が多く
演技も深い。
晴雄くんも、高岸さんを見た後は
「若いなー」って印象だったけど
弾くんのあとだと、動きすべてが雄弁で
なおかつ、決めるところはピシっと決め
さすがなだー、と思いました。
最近の彼は安定しているね。
手足もキレイに伸びていました。

水香ちゃんは、白塗りはちょっと微妙かもしれないけれど
人間っぽい、女性らしい顔世御前でした。
二階堂さんに比べると、
もっと強い自分の意思があるような。
これはこれでアリの解釈だと思います。

チラシなどでは、この二人が「主演コンビ」に見えるけど
カーテンコールの挨拶は
顔世御前→伴内→由良之助でした。
そういう位置づけなんだ。
竜太くんの伴内は3階4列目でも
台詞が聞こえてきそうなほど
熱い演技でした。

小出さんは、完全復帰かな。

木村さんは、私にとっては
やっぱり別格な存在なんだなあ、としみじみ。

前の列に外人さんが座っていた。
(休憩中に英文解説を読んでいた)
四十七士切腹のところで、
ビクッとしてた。
やっぱ、ショックなのかなあ。
その辺を含め、ベジャールがピックアップした場面を見て
外国人のツボはこの辺かー、と思うのも楽しい。

お隣の方々は、47人いるか数えていた。


配役
大星由良之助:後藤晴雄
直義:柄本武尊
塩冶判官:平野玲
顔世御前:上野水香
力弥:井上良太
高師直:木村和夫
判内:高橋竜太
勘平:長瀬直義
おかる:小出領子
現代の勘平:梅澤紘貴
現代のおかる:高村順子
石堂:宮本祐宜
薬師寺:安田峻介
定九郎:松下裕次
遊女:西村真由美
与市兵衛:永田雄大
おかや:田中結子
お才:井脇幸江
ヴァリエーション1:松下裕次
ヴァリエーション2:長瀬直義

■「オネーギン」東京バレエ団
■2010/05/14(金)吉岡&高岸
あんな鬱陶しい男は
振って大正解

ってのを、まず書いておいて。

不思議と、初演・初日の高揚感はありませんでした。
なんでしょう。
既視感、とでも言うのでしょうか。
なんだか見たことのあるような舞台、
まるで、練り込まれた再演を見ているよう気持ちでした。

それだけ、東バと、この作品は「しっくり」していました。
借り物の衣装・装置も、とても東バメンバーに合っていました。
最近の初演の舞台美術を観たときはー。
「ドナウ」では、無駄に豪華(白鳥をどうにかしろよ!)と思い
「真夏の夜の夢」や「シルヴィア」は
やっぱ日本人のセンスとは違うよなー、と思い
「バヤ」は豪華さに唸り、
マラーホフ版「眠り」は半分苦笑。
しかし、今回は、そんな気持ちは一切おこらず
とても自然なビジュアルでした。

かといって、地味とかではなく!
とてもドラマティックでした!!
いろんな感情の波がドドド~ンと打ち寄せてきて
圧倒されっぱなしでした。


ダンサーそれぞれも練り込まれた、
落ち着いた演技でした。
みな、演技がクリアでした。

高岸さんのオネーギンは、
まあ、イヤな男で。
尊大で、その自信はどこから来ているのか。
でもねー。
手紙を破くくだりはね。
あれくらいハッキリ振る方が
かえって親切だと思うんだよねー。

吉岡さんのタチヤーナは
田舎の、地味で控えめな女の子。
(ただし妄想癖有り)
1、2幕は、オネーギンに振られても仕方がないかなあ。
でも、自分の立ち位置を見出し、成長する。
彼女の成長する速度(とピーク)と
オネーギンの成長する速度(とピーク)が
噛み合わなかったんだよね。
噛み合っても、うまくいくもんでもないけどね。

小出さんのオリガは可愛かったー!
吉岡さんは地味だけどしっかりした姉、
小出さんは活発で陽気な妹、と
とてもバランスが良かったです。
踊りも軽やかで、完全復帰ですね。
姉のことを気遣い、恋人にも愛され、
なのに、なぜだか悲しい運命に。
彼女にも責任の一端はあるかもしれないけれど
それでもやりきれないよね。

長瀬さんのレンスキーは
ちょっと存在感が弱いかな。
一人で場面を保たせるには、もうちょっと。
でも、それがレンスキーの弱さに繋がっているかなあ。
くるりんと巻いた髪とメイクは
いまいち合っていないように思いました。

柄本(兄)は軍服が似合っていました。

いい作品だけど、役が少ないかなあ。


【配役等】
ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:リード・アンダーソン、ジェーン・ボーン
コピーライト:ディータ・グラーフェ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト

◆主な配役◆
オネーギン:高岸直樹
レンスキー:長瀬直義
ラーリナ夫人:矢島まい
タチヤーナ:吉岡美佳
オリガ:小出領子
乳母:坂井直子
グレーミン公爵:柄本武尊

親類、田舎の人々、サンクトペテルブルクの貴族たち:
チャイコフスキー記念東京バレエ団

指揮: ジェームズ・タグル
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


■2010/05/15(土)斎藤&木村
ユカリューシャは渾身の踊り。
昨日の吉岡さんも素晴らしかったのですが
かつて踊ろうとしても踊れなかったユカリューシャの役への入り込みは
とても気迫がありました。

一幕では地味な女の子。
子、というほどは若くないかな。
内気過ぎなため婚期を逃しかけているようにも見える。
それが、「都会」から来た男に
恐れつつも惹かれていって・・・

すべての場面において演技がクリアでしたが
やはり3幕がいちばん良かった。
かつての愛(というよりも恋だよね)を思いだし
気持ちが傾きかけるが
決然と別れを告げる。
でも、、、という余韻も残る。
私はもともと彼女の「嘆き」(の表現)が好きなのですが
その「嘆き」ぶりが遺憾なく発揮されていました。
堪能しました。

それゆえに、1・2幕の素朴な、
多少妄想癖はあっても、狂気に繋がるほどではない
「普通の少女」と、3幕の「嘆き」のバランスが
ちょっと心配だったのですが、
もうーーー!そんなことを考えた私がバカだったよ!
と思うくらい、気持ちの流れ、時間の流れが自然でした。
公爵夫人となった彼女は
控えめな部分を残しつつも、
しっとりとした情緒があり、
公爵の丹精もあったかもしれないけれど
素地はたぶんもともとあって
賢明な公爵はそれを見抜いていたんだろうなあ、と。

でー。
見抜けなかったオネーギン。
木村さんは1幕と、2幕の途中までは
彼の魅力の一つでもある「人の良さ」が
やっぱり残っていて、
非情でもなんでもない、ただの大人でした。
まあ、なんといいますか、
髭のビジュアルは維新の元勲みたいと前に書きましたが
キャラとしては吉田松陰ですよねー、と。
もっともっとエグさが欲しい。
(ちょっと物足りないかなー)
と思っていたら、
タチヤーナを拒絶して、
意識的にオリガにちょっかいをかけだしてからは
なんだかパワーアップしてきて、
3幕では、ものすごい粘着力!
タチヤーナの首に顔を埋めるときは
とても情熱的でした。
ここまでしてくれるとは思わなかったわー。
ありがとう、ご馳走様。
髭もお似合いでした。
踊りはやっぱり綺麗。
特に脚のラインが美しいです。
脚を伸ばす振りが多いので
そのへんも充分堪能しました。

アクロバティックなリフトが多い作品ですが
特に3幕の二人は、
踊りを踊る、のではなく、
気持ちをぶつけあっていたので
「難しいことしているなー」と思う暇もありませんでした。


高村さんのオリガは可愛い。
オネーギンにちょっかい出されて
嬉しく思っちゃうのは子供だからなのかも。
レンスキーへの愛はゆるぎないのにね。

井上くんのレンスキーはとっても良かった。
なによりも髪の毛が普通で良かった。
彼のプライドはものすごく高いわけはないのに、
それでも決闘を申し込むほど傷つけられたんだよね。
「これくらい」って、傷つける方はそう思っても
傷つけられる方は、そうは思わないことがある。
踊りも良かったよ。

平野さんの公爵は、暖かい愛情に満ちていました。

3幕冒頭、柄本兄弟が並んでいました。
身長があるっていいね。
今回の群舞は、ある程度、体格を揃えたのかなあ。
見栄えはいい。


カーテンコールはスタオベ。
いい舞台でした。



【配役等】
ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:リード・アンダーソン、ジェーン・ボーン
コピーライト:ディータ・グラーフェ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト

◆主な配役◆
オネーギン:木村和夫
レンスキー:井上良太
ラーリナ夫人:矢島まい
タチヤーナ:斎藤友佳理
オリガ:高村順子
乳母:坂井直子
グレーミン公爵:平野玲

親類、田舎の人々、サンクトペテルブルクの貴族たち:
チャイコフスキー記念東京バレエ団

指揮: ジェームズ・タグル
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


■2010/05/16(日)田中&後藤
リフトは、小さい失敗、危なっかしいところはあったし、
鏡の方ではヒヤッとしたところもあったけど
大失敗とか落っことすとかは無かったよ。
と、まずは友人への業務連絡。

後藤さんは、黒いね~。
高岸さんほどのエグ味はないけど、尊大。
でも、グレーミン公爵よりは小者。
いいバランスかも。
都会の坊ちゃんが田舎をバカにしている雰囲気が良く出ていました。
踊りは、ヒヤッとするところもあったけど
 
 ・鏡のリフト、木村さんは、斎藤さんのお尻を持ち上げるようにしていたと思うけど
  後藤さんは、田中さんの太股と背中を支えるような持ち方で
  昨日の木村さんはやりすぎたったのかなあ、と思ってたら
  田中さんを持ち上げきる前に、田中さんがしたにずり落ちたので
  ちょっとドキっとしました。
  二人とも動じず続けていたのがすごかったです。

まあ、おおむね良かったかな。
3幕は、髭はあるけど、白髪は無かった?

田中さんのタチヤーナが
とても良かったです!
今日は5階席だったけど、
彼女の踊り、演技は充分伝わってきました。
1、2幕の少女時代もいいんだけど
3幕の赤いドレスの方は、
ほんわかとした幸福感がありました。
内気ゆえに、人を寄せ付けなかったタチヤーナが
他人と「寄り添うこと」の幸福を知り
夫の愛に包まれている。
だから、次の場面の辛さが際立ちます。
拒絶し、でも流されかけて、
最後にきっぱり訣別する。
辛さを噛みしめていますが、
それに耐えられる「大人」になったんだよね。

田中さんは、正直なところ、
地味かもしれない。
彼女で客を呼ぶのは難しいかもしれないけれど
見た人は満足できると思うよ。

佐伯さんのオリガはとっても可愛い。
3キャストのうち、
今日が一番ラブラブなカップルでした。
「嫉妬される」快感、みたいなものを
知っちゃったんだろうなあ。
そうやって男を試すから、こんな結末に。
長瀬くんは、初日より身体が伸びていたように思います。
髪型も、ちょっと自然になったかも。

グレーミン公爵の森川くんは
包容力があって良かったです。

鏡の中のタチアーナ。
初日は田中さん。
2日目は、私は正面過ぎて見えなかったんだけど
友人によると小出さんらしい。
今日は吉岡さんだったと思います。

3キャスト見たけど、どれも良かった。
再演があるといいなあ。
(来週のカナケンは行けないのよ)
終演後、アンケートを書いている人が
たくさんいた。
みんなも再演希望って書いてるんだろうなあ。

ダンサーもお疲れだと思うけど
オケの金管系もお疲れかも。


悲劇ではないけれど、
アンハッピーエンドの話なのに
見終わった後の、このウハウハ感は
なんなんでしょーね。
こういう話、大好きよ。
バカな妄想で申し訳ないんだけど、
いま書いてもどうしようもないんだけど、
このオネーギンという役、リカちゃんがやったら絶対似合う。
タチヤーナはコモちゃん、
レンスキーはタニちゃん、
オリガは・・・・・くらりんかなあ。。。


【配役等】
ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:リード・アンダーソン、ジェーン・ボーン
コピーライト:ディータ・グラーフェ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト

◆主な配役◆
オネーギン:後藤晴雄
レンスキー:長瀬直義
ラーリナ夫人:矢島まい
タチヤーナ:田中結子
オリガ:佐伯知香
乳母:坂井直子
グレーミン公爵:森川茉央

親類、田舎の人々、サンクトペテルブルクの貴族たち:
チャイコフスキー記念東京バレエ団

指揮: ジェームズ・タグル
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

■「マラーホフの贈り物」
■2010/05/18(火)Aプロ ‐第1部‐
「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」
振付:クリスティアン・シュプック、音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ
エリサ・カリッロ・カブレラ、ミハイル・カニスキン

この作品は好きだけど、
ガラのAプロのトップに持ってくるべきなのか?
真面目に踊っているとこをちゃんと見てないと
ギャップに面白味が出ないと思うんだなー。
まあ、あとの作品を見るとここにいれるしかなかったんだろうけど。

二人ともいいんだけど、
ロパートキナ&コルプで見た後だとなあ・・・

振り回されるカブレラは
声も出していた。(悲鳴みたいなかんじで)
潔い。
最後は紙吹雪じゃなくて、紙笛ピーヒョロロ。
カニスキンは端正な踊り。


「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ

白い白い世界。
美しかった。
ポリーナの衣装はゴテゴテしすぎじゃないかな。
もっとすっきりさせてもいい気がする。
マラーホフは持ち味発揮。


「ボリショイに捧ぐ」
振付:ジョン・クランコ、音楽:アレクサンドル・グラズノフ
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー

「ボリショイのアクロバット的なリフト」がメインらしい。
この場合のボリショイはグリゴロってことだね。
二人とも、難しい技を見事に決めていました。
アイシュヴァルトはこういう技術系のイメージはあまり無いんだけど
無理なく美しく決めていました。
ラドメイカーは、だいぶごつくなった。
前はさらさらの美少年風味が残っていたのになあ・・・
でも、できあがった身体の線は適度に強く、
なおかつ綺麗なラインだった。
いい育ち方だ。


「アレクサンダー大王」
振付:ロナルド・ザコヴィッチ、音楽:ハンス・ジマー
エリサ・カリッロ・カブレラ、レオナルド・ヤコヴィーナ

バレフェスでポリーナ&フォーゲルで見たときは
女将軍と小姓のようでもあり
(健康的すぎて)カルバン・クラインあたりの下着の広告のようでもあった。
今回の二人は、覇王とその恋人にちゃんと見えた。
濃厚で官能的だった。


「コッペリア」よりパ・ド・ドゥ
振付:アルチュール・サン=レオン、音楽:レオ・ドリーブ
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

サレンコは地味だなあ・・・
タマズラカルは、ジャンプしても足音が殆ど無いけど
キレがものすごくあって良い。



‐第2部‐
「仮面舞踏会」より"四季"
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
冬:上野水香
  長瀬直義、宮本祐宜、梅澤紘貴、柄本弾
春:吉岡美佳、柄本武尊
夏:ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ
秋:田中結子、松下裕次
ほか東京バレエ団

(マラーホフへ)、君は踊るだけでいいんだ。
と、心の中で語りかける。
もしかして、全幕で見れば、面白いのかなあ。

水香ちゃんは、サバサバしているところが魅力だと思うのに
なんで「可愛い」とか「コケティッシュ」とか
そっち系を踊らせるのかなあ。

男4人の踊り(の振付)は、
さすが見せ方が上手いと思ったけど
あとは、あんまり・・・

田中さんの踊りは好きだな。
松下くんは、すごくいい。
彼独特の「間」とか「タメ」が出てきたと思う。

しかし、衣装が東バに似合わなすぎ・・・。



‐第3部‐
「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第2幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ、音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
ウラジーミル・マラーホフ、レオナルド・ヤコヴィーナ

「カラヴァッジオ」の絵のどれかをモチーフにしているらしいけど
よくわからない。
見たかんじは、
 
 欠けている魂を補い合おうとする二人

かな。
埋め合おうとするけれど、
それは融合ではなく、
同一にはなれない二人、かな。

マラーホフが、こういう男二人の踊りってのは
ありそうで無かったな。
チュチュを着た女性と踊るより合っているかも。
プルーストとか踊ったら面白そうだな。


「ゼンツァーノの花祭り」
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル、音楽:エドヴァルド・ヘルステッド
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

サレンコはやっぱり地味。
でもタマズラカルが素晴らしかった。
これぞブルノンヴィル!って動きだった。
堪能した。


「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー

さすがシュツットガルト・バレエ団。
とてもドラマティックだった。
なにがいいって、
アルマンが若造なところだ。
ノイマイヤー版にしろアシュトン版にしろ
リアルでこんなに若いアルマンを見たのは初めてかも。
若い男の真っ直ぐな情熱(と、若さ故の冷酷さとか潔癖さとか)って
こんなかんじなのかー、と思いながら見てました。
アイシュヴァルトって、パッと見は地味なのに
踊り出すと艶やかなんだよねえ。


「トランスパレンテ」
振付:ロナルド・ザコヴィッチ、音楽:アルシャク・ガルミヤン、マリーザ
ベアトリス・クノップ、ミハイル・カニスキン

ポルトガルの音楽らしい。
俗っぽい言い方をすると、
スパニッシュなメロドラマ風味。
でも、それゆえ、わかりやすく、面白い。


「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア、音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ

手首をキュッと曲げて、など、
本人が白鳥になるのではなく
身体や動きで白鳥を表現していた。
これはこれでいいけれど。
フォーキンって天才なんだなあ、としみじみ。


カーテンコールは、バヤ幻影の場の最後の方の音楽で。
マラーホフの連続ジュテが素晴らしかった。


■2010/05/22(土)Bプロ
似たような踊りが多かったAプロから間もないこともあって、
飽きたなー、と、ちょっぴり思いました。
ボリショイ組が抜けたので、
跳んで回って拍手喝采を担う人がいなかったので
プログラムが平坦だったように思います。
ベルリン・バレエ団のガラ公演にゲスト有り、の状態だよね。
来年全幕持ってくるから、
メンバーの顔を覚えておいてね、って興業だけど
売れたのは、よそんちの子(ラドメイカー)だった、と。


‐第1部‐
「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第1幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ、音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ

またこれかー、と正直思う。
どの絵をモチーフにしたかはわからないけれど
彼の絵の陰影は感じる。
にしても、肌色の衣装でウネウネ動くのは見飽きてきた。
前方に出した腕をぐるりんと手先から腰に戻すのは
もう止めてー。


「ディアナとアクティオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ、音楽:チェーザレ・プーニ
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

ああ、色がある。ありがたい。
タマズラカルは生命力のあるイキイキした踊り。
サレンコも可愛く、回転も凄かった。
彼女がなんで技術枠?と思ったけど
ボリショイ組が抜けたからなんだね。
そもそもは、若手枠なんだろうなあ。


「カジミールの色」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ、音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
エリサ・カリッロ・カブレラ、ミハイル・カニスキン

もうこの手の動きは・・・(以下略)


「モノ・リサ」
振付:イツィク・ガリリ、音楽:トーマス・へフス
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー

「イン・ザ・ミドル・・・」系。
二人とも動きはいいんだけど、
そもそもの振付&ステージングに
二番煎じ感がある。


「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン、音楽:カミーユ・サン=サーンス
ベアトリス・クノップ

思っていたよりはいいけど・・・
ちょっと大味かなあ・・・


「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア、音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ

クノップに続いて、Aプロで披露されたマラーホフの瀕死。
古典との比較、ってことなんだろうけど。
白いチュチュ着て
ポアント履いて
フォーキン版を踊っちゃえよ

って思った。
絶対その方が似合うよ。
胸から赤い布は出さなくていいから。


‐第2部‐
「ラ・バヤデール」より"影の王国"
振付:マリウス・プティパ、音楽:レオン・ミンクス
ポリーナ・セミオノワ ウラジーミル・マラーホフ
第1ヴァリエーション:ヤーナ・サレンコ
第2ヴァリエーション:乾友子
第3ヴァリエーション:エリサ・カリッロ・カブレラ 
ほか東京バレエ団

マラーホフの踊りが固かった。
体調のせいもあるかもしれないけれど、
もうクラシックの動きは厳しいのかなあ。
ちょっと寂しい。
全幕ではカットされがちだけど
ガラには通常入っているソロルのバリエーションも無く
(ルジと同じ構成)
必要な演目だったか、疑問。
ポリーナちゃんデカいなあ。


‐第3部‐
「ロミオとジュリエット」より第1幕"バルコニーのパ・ド・ドゥ"
振付:ジョン・クランコ、音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー

ドラマチックだなあ。
ラドメイカーももちろんいいんだけど
アイシュヴァルトは、椿姫も少女も似合う。
いろんな踊りができる人なんだなあ。


「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第2幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ、音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
ベアトリス・クノップ、レオナルド・ヤコヴィーナ

他の2作より明るい音楽だったけど
やっぱり肌色ウネウネ。


「レ・ブルジョワ」
振付:ベン・ファン・コーウェンベルグ、音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル

まったく「エスプリ」ってものがないのが
逆に清々しくていい。
こういうふうに、若さ弾ける系でもいいんだな。


「ファンファーレLX」
振付:ダグラス・リー、音楽:マイケル・ナイマン
エリサ・カリッロ・カブレラ、ミハイル・カニスキン

アマレスのような衣装で音は派手だけど
踊りはウネウネ系。


「ラクリモーサ」
振付:エドワード・スターリー、音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ウラジーミル・マラーホフ

肌色ウネウネ。


アンコールは、電飾で「SAYONARA」。
使い回せそうだなあ・・・。
紙テープ&紙吹雪が出るタイミングが最悪だった。


私には、似たような踊りばかりに見えて
ちょっと辛かった。

会場内がメチャクチャ寒かった。

■2010/06/24(木)ワトソン、ガレアッツィ、ラム「うたかたの恋」英国ロイヤルバレエ団
マクミランらしい、アクロバティックな振付と
台詞が聞こえてきそうな演劇的な芝居は
とてもドラマティックだった。

ただ、同ネタについては
今までに2パターン見ています。
ひとつは、クロード・アネ原作の作品。(宝塚版もこちら)
日本で一般的に「うたかたの恋」と言われて思い出すのは
こちらでしょう。
1935年版の映画の
ダニエル・ダリューは美しさすぎます。
こちらはフランス人が書いたメロドラマ。
もひとつは、「ルドルフ ~ザ・ラスト・キス~」。
アメリカ人が作ったミュージカルで初演は2006年。
さっさと王制を廃止して民主主義にしよーぜ!
と、
愛の前には身分は無関係、人は真に愛する人と結ばれるべき、
といった、
いかにも現代のアメリカの価値観が散りばめられていて
ちょっと苦笑しちゃいましたなー。

これらが念頭にあるので、
英国人がドラマ化するとこうなるのかー、
って思う部分が強かった。
まっさらな状態で見たら、また違ったのかなあ。

エリザベートが、宮廷に居場所を見つけていて
えらく違和感があった。
けど、ルドルフの孤独感を浮き彫りにするには
こういうエピソードの方が
英国人にはわかりやすいんだろうなあ、とかとか。


ワトソンのルドルフは、
絶望することにも疲れ果てていた。
死が、近くまですでに来ていたんだな。
出だしの踊りはちょっと不安定だった気がするけれど
それがルドルフの心の不安定さには合っていたかな。
ガレアッツィのマリーは、
初登場の時は、どう見ても少女。
ナイトローブだけの時は官能的で、
しかし、3幕では清冽だった。
ルドルフの魂にひとときの安らぎをもたらした天使のようだ。

ラリッシュ伯爵夫人のラムは、
友人、愛人、姉、母の、
いろんな側面を持つ女性を上手く演じていた。
ステファニーのルーツは、小さかった!
彼女の歩幅と、ルドルフ役のワトソンの歩幅が違うのが
彼が妻に無関心なところを表していた。

エリザベートのバフナニは
ちょっと存在感が薄いかなあ。
宮廷にいる普通の美人、ぐらいな感じだった。
ヨーゼフは、、、他の役者さんの印象が強いので、、、モニョモニョ。

ハンガリー高官達は
政治的なことを皇太子に焚き付けているというよりは
遊び仲間に見えるような。
蔵さんのヒゲ姿が良かったな~、
逆に平野さんの大佐は、露骨に日本人、ってカンジだった。


すごく期待してたけど、
バレエの部分より、
「英国人が思うマイヤーリングとは?」の部分に
気持ちが行っちゃって、
いまいち堪能できなかったです。



配役
ルドルフ:エドワード・ワトソン
(オーストリア=ハンガリー帝国皇太子)

男爵令嬢マリー・ヴェッツェラ:マーラ・ガレアッツィ
(ルドルフの愛人)

ステファニー王女:イオーナ・ルーツ
(ルドルフの妻)

オーストリア=ハンガリー帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ:ギャリー・エイヴィス
(ルドルフの父)

エリザベート皇后:タラ=ブリギット・バフナニ
(ルドルフの母)

伯爵夫人マリー・ラリッシュ:サラ・ラム
(皇后付きの女官、ルドルフの元愛人)

男爵夫人ヘレナ・ヴェッツェラ:エリザベス・マクゴリアン
(マリー・ヴェッツェラの母)

ブラットフィッシュ:ブライアン・マロニー
(ルドルフの個人付き御者、人気者の芸人)

ゾフィー大公妃:ウルスラ・ハジェリ
(フランツ・ヨーゼフの母)

ミッツィ・カスパー:ラウラ・モレーラ
(ルドルフの馴染みの高級娼婦)

ベイミードルトン大佐:平野亮一
(エリザベートの愛人)

四人のハンガリー高官:セルゲイ・ポルーニン、ヴァレリー・ヒリストフ、蔵健太、トーマス・ホワイトヘッド
(ルドルフの友人)

カタリーナ・シュラット:フィオナ・キム
(独唱)

アルフレート・グリュンフェルト:ポール・ストバート
(ピアノ独奏)

エドゥアルド・ターフェ伯爵:アラステア・マリオット
(オーストリア=ハンガリー帝国の首相)

ホイオス伯爵:ヨハネス・ステパネク
(ルドルフの友人)

ルイーズ公女:ロマニー・パジャク
(ステファニーの妹)

コーブルグ公フィリップ:デヴィッド・ピカリング
(ルイーズの夫、ルドルフの友人)

ギーゼラ公女:サイアン・マーフィー
(ルドルフの姉)

ヴァレリー公女:フランチェスカ・フィルピ
(ルドルフの妹)

ヴァレリー公女の子供時代:リャーン・コープ

マリー・ヴェッツェラの子供時代:マーラ・ガレアッツィ

ロシュック:ミハイル・ストイコ
(ルドルフの従者)

ラリッシュ伯爵:ベネット・ガートサイド

その他、来客、メイド、娼婦、紳士、使用人、侍女など:英国ロイヤル・バレエ団



指揮:バリー・ワーズワース

演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

◆上演時間◆

【第1幕】 18:30-19:15
休憩 20分
【第2幕】 19:35-20:30
休憩 20分
【第3幕】 20:50-21:30

■2010/06/29(火)「ロミオとジュリエット」吉田都&マックレー/英国ロイヤルバレエ団
都ちゃんのジュリエットは可愛かった。
愛を知る前も、知った後も子供だった。
寝室のパ・ド・ドゥ、
ベッドでは寄り添って眠っていただけだろう、
と思うくらい「官能」の要素は皆無だったけど
これはこれでありじゃないかなー。
以前なにかのガラでバルコニーのパ・ド・ドゥを見たとき
あまりにも私が思う「マクミラン」からは遠くて
ちょっとがっかりした記憶があったけど、
今日は、「マクミラン」であるかはどうかは全く関係なく、
一人の「女の子」が舞台の上で息づいていた。
こういう作り方もあるんだなあ。

マックレーは、英国人らしい生真面目で端正な踊り。
と見せかけて、突然猛スピードで回ったりする。
けれど、それはちゃんと芝居の中に収まっている。
若い分、(ロミオとしての)間抜けさが、より浮き彫りになるけど
冷静なロミオなんてありえないもんね。
突っ走るロミオ、いいじゃないか。

リアルでは年齢差がけっこうあるカップルですが
踊りの方向も、身長差も良いカンジでした。
アクロバティックなリフトも
すごく綺麗で、自然な流れでした。


どの版にしろ、気になるのがティボルトなんですが。
ティボルトはキャピュレット公の甥で。
どこぞの裏設定ではキャピレット夫人とは愛人関係なので、
キャピュレット公の兄弟・姉妹の息子で
キャピレット夫人とは血縁関係では無いはず。
ジュリエットにとっては兄のような存在。
だと、思っていたけど。
エイヴィスのキャピュレット公が若いので
(当時なら、14歳の娘の父なら40歳前でもおかしくないから
 彼がキャピュレット公ってのはありだとは思う)
ホワイトヘッドのティボルトが、キャピュレット公と同年代に見える。
そして、なんだか飲んだくれのイメージが強いんで、
うーんとね、なんだかね、
キャピュレット夫人の、ろくでなしの兄、のように見えた。
役立たずの妻の身内を養えるぐらい
エイヴィスのキャピュレット公の度量が大きそうに見えたので
よけいにそう思えた。
ってか、エイヴィスのティボルトが見たかったなあ。
絶対エイヴィスの方がティボルトに向いてるよね。
ジュリエットが薬を飲んだ翌朝、
上着を着ながら登場し、袖口を直している姿を見て
「さすらいの天才ギャンブラー スカイ・マスターソンが似合いそうだ!」
と激しく思った。
そういう作品じゃないんだけどね。
わたしのティボルトのイメージ(←ヴィクター・バービー)に
ホワイトヘッドよりエイヴィスが近いので
そんな妄想が沸き起こるんだろうなあ。


セットが変わった?
もとから階段は真ん中だっけ?
あとでフェリのDVDを見よう。

うん。そうなんだ。
やっぱり、フェリ&ボッカ(&バービー)が
一番いいな、と思ったんだ。
私は死ぬまでに、
たぶん20回はバレエのロミジュリを見ると思うけど
そのたびに、そう思うんだろうなあ。
今日は今日で良い舞台だったんだけど。


カーテンコールは長かった。
1~2幕のみの出演だと思われるダンサーが
私服でカーテンコールに登場。
コープもいた。
紙吹雪も紙テープも振った。
「成功おめでとう」の看板も降りてきた。
マラーホフ・ガラで見た「SAYONARA」の電飾が
さっそく使い回されていた。


【配役等】
ジュリエット:吉田都
ロミオ:スティーヴン・マックレー
マキューシオ:ブライアン・マロニー
ティボルト:トーマス・ホワイトヘッド
ベンヴォーリオ:セルゲイ・ポルーニン
パリス:ヨハネス・ステパネク
キャピュレット公:ギャリー・エイヴィス
キャピュレット夫人:ジェネシア・ロサート
エスカラス(ヴェローナ大公):ベネット・ガートサイド
ロザライン:タラ=ブリギット・バフナニ
乳母:クリステン・マクナリー
僧ロレンス:アラステア・マリオット
モンタギュー公:アラステア・マリオット
モンタギュー夫人:ローラ・マッカロク
ジュリエットの友人:
  リャーン・コープ、べサニー・キーティング、イオーナ・ルーツ、
  エマ=ジェーン・マグワイア、ロマニー・パジャク、サビーナ・ウエストコム
3人の娼婦:ラウラ・モレーラ、ヘレン・クロウフォード、フランチェスカ・フィルピ
マンドリン・ダンス:
  ホセ・マルティン、
  ポール・ケイ、蔵健太、ミハイル・ストイコ、
  アンドレイ・ウスペンスキー、ジェームズ・ウィルキー

舞踏会の客、街人たち:英国ロイヤル・バレエ団


指揮:ボリス・グルージン
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

◆上演時間◆

【第1幕】 18:30-19:35
休憩 20分
【第2幕】 19:55-20:30
休憩 20分
【第3幕】 20:50-21:30

■2010/07/15(木)「バレエの神髄」
今年も夏にルジを見るのだ!
最近まではwithマールイでしたが
今年はwithキエフです。
ちょっと寂しいのだ。


第1部
「眠りの森の美女」よりローズ・アダージョ
 ナタリヤ・ドムラチョワ
 セルギイ・シドルスキー、イーゴリ・プリチョフ、
 オレクシイ・コワレンコ、チムール・アスケーロフ

4人の王子は、中央に上手袖から中央前方に歩み出て
王&王妃にするような挨拶。
それぞれ個性が出ていて面白い。
ドムラチョワは、ピンクが似合って、技もあるのに
オーロラ姫は似合わない。
手足が元気すぎるのかな。
難しいもんだね。


「侍」
 岩田守弘

扇子の使い方が面白かった。
あるときは剣になる。
「剣に生き、剣に斃れ・・・」ってカンジかな。
和テイストだけど、振付はラブロフスキー(息子)。
「邦画に見る武士道」みたいなイメージ。
直線的なジャンプが、
侍の高潔さに繋がるようだった。


「海賊」よりパ・ド・トロワ
 エレーナ・フィリピエワ、セルギイ・シドルスキー、ヴィクトル・イシュク

フィリピエワは、さすがにもう若くないなー、と思ったけど
逆に、いい具合に熟成しているようだった。
軸がぶれない動きは気持ちいい。
32回転も、スピード&バランスが絶妙だった。
シドルスキーの動きが実に流麗だった。
手足のラインもとても綺麗。
長身にあった大きい踊りだけど
ジャンプの着地はまったく音がしない。
いいねー。
イシュクは、動きがとぎれることがある。
顔とスタイルがいいだけに勿体ない。


「阿修羅」
 ファルフ・ルジマトフ

最初見たときは苦手な作品だなー、と思った。
前回見たときは、動く彫像だと思った。
とても神々しかった。
今回は、インドの神様だった。
熱い血が通った生ける武神。
ルジ仕様のカスタマイズ完了、ってとこなのかな。
それぞれちがった表現なのは面白かったけど
今日のような人外さと生々しさが混じり合った踊りは好きだな。
スターオーラが、やっぱり凄い。
筋肉も落ちてないと思う


「ディアナとアクティオン」
 ナタリヤ・ドムラチョワ、岩田守弘

ドムラチョワは、こういう踊りの方が生き生きしている。
手足が長くはないので(短くもないけど)
長いバランスよりきびきび動く方が合っているよね。
岩田さんのジャンプ。
ふわっ、と空中に浮く瞬間がある。好き。


「ライモンダ」
 吉田都、セルギイ・シドルスキー、キエフ・バレエ

都ちゃんのライモンダは初めてかな。
手足が綺麗に動く。
ビジュアルも可愛い。
シドルスキーの動きは、やっぱり綺麗。
マントが有ればいいのになあ。
キエフの群舞は、、、いまいち、、、。
4人の女性ダンサー、
コシェレワ、ステパノワ、エフセーエワ、ミリツェワだったらなあ。
それは言わないお約束か。


第2部
「シェヘラザード」
 エレーナ・フィリピエワ、ファルフ・ルジマトフ
 オレグ・トカリ、ルスラン・ベンツィアノフ、ヴォロディミール・チュプリン、
 キエフ・バレエ

フィリピエワが、予想以上に色気があった。
気怠げな雰囲気が婀娜っぽい。
いい意味での低俗さがある。
奴隷乱入の時、お目当ての人がいないので
自分で鍵を開けちゃうところが、
すごく良かった。
ルジの奴隷様は、純愛要素は皆無で
獣のようだった。
こういうのもいいじゃあないか!
踊っているうちに、
だんだんボディ用のファンデーションが汗で流れ
腕などの刺青が目立つようになる。
なんだか白粉彫りみたいねー、と
ちょっぴりウハウハ。

他の男性陣の演技も良かったです。


うーん、でも、やっぱり
マールイが良いなあ・・・。

 
■2010/07/17(土)「コッペリア」宮嵜万央里&ティボー/井上バレエ団
某所からお誘いがあったので行ってきました。

「濃い」のが好みな私からすると
全体的に薄味だったなあ、という印象。
ダンサーの身長や技術レベルは揃っているけど
もうちょっと、なにか、インパクトが欲しかったなあ。
2幕はもっとドタバタしてもいいような。
3幕、「鐘の儀式」が、暗転してから始まった。
話とは別に、ダンサーの見せ場(役振り)作りに見えて、
発表会っぽくなって、ちょっとテンションが下がった。
逆に、上手・下手の花道まで使った群舞は
華やかで楽しかった。


宮嵜さんは、脚が綺麗。
ラインも、踊ったときの動きも。
でも、もう一押し、なにか個性が欲しいような。
濃すぎない、というのが
彼女やカンパニーの芸風なら仕方がないんだけど。
勝ち気な女の子の造形はとても良かった。
可愛かった。

ティボーは、諸先輩を思えば
まだ粗いところがある気がする。
それでも、「周りとは違うなー」ってところが
明らかにあった。
コミカルな演技も合っていたし、
見せ場はきちんと決まっていた。
スワニルダヘの愛情がもっと感じられれば
さらに良かったなー。
パリ・オペのダンサーのコッペリア全幕は
こういう機会でもなければ見られないので
とても貴重だね。

アタナソフは演じ慣れている。
なんとなく、老けた高見沢さん。
お金をもらって終わりかー。
コッペリアは人間にはならないんだー。


【主な配役】
スワニルダ:宮嵜万央里
フランツ:エマニュエル・ティボー
コッペリウス:シリル・アタナソフ

■2010/08/15(日)「ベジャール・ガラ」東京バレエ団
「ギリシャの踊り」 音楽:ミキス・テオドラキス
I.イントロダクション 
II.パ・ド・ドゥ(二人の若者):長瀬直義-宮本祐宜
III.娘たちの踊り 
IV.若者の踊り 
V.パ・ド・ドゥ:高村順子-平野玲
VI.ハサピコ:吉岡美佳-木村和夫
VII.テーマとヴァリエーション 
ソロ:後藤晴雄
パ・ド・セット: 西村真由美、乾友子、佐伯知香、奈良春夏、森志織、吉川留衣、河合眞里
VIII.フィナーレ: 全員

若手メインのせいか、全体的に「可愛い」印象。
ギリシャ、というより、江ノ島。
湘南ではなく、江ノ島。

上手側だったので、ソロ前の木村さんがよく見えた。
ラッキー。

後藤くんの踊りは、最近安定している?
ベジャール作品だから?
迫力のある踊りでした。


「ドン・ジョヴァンニ」 音楽:フレデリック・ショパン (モーツァルトの主題による)
ヴァリエーション 1:森志織、村上美香、岸本夏未
ヴァリエーション 2:佐伯知香
ヴァリエーション 3:井脇幸江、高村順子
ヴァリエーション 4:西村真由美
ヴァリエーション 5:奈良春夏
ヴァリエーション 6:小出領子
シルフィード:吉川留衣

これも可愛らしい作品。
けっこう好き。
小出さんの踊りが、
音への乗り方が変わらず軽やかなんだけど、
そこに、しっとりとした女性らしさが加わったように思う。
奈良さんの踊りにキレがあった。
女性陣の層も厚くなったなー。


「ボレロ」 音楽:モーリス・ラヴェル
ニコラ・ル・リッシュ
平野玲、松下裕次、長瀬直義、宮本祐宜

ニコラ君のメロディは、ものすごく雄々しかった。
前半は、軍神マルスが降臨したかと思ったけど、
終わった最後の印象は「征服民族は違うなー」。
男性のメロディで観たことあるのは
高岸、首藤、後藤。
高岸さんは後半は巫女のようで、
あとふたりは生け贄として屠られる。
そんな印象がある。
ニコラ君は、最後まで変わらず
「力強い」「男」だった。
ニコラ君は将軍で、
まわりのリズムは弾よけの兵卒、みたいな。
カーテンコールは体育会系男子の集団で、
なかなか面白かった。

 
■2010/08/22(日)「ドン・キホーテ」小出領子&ダニール・シムキン東京バレエ団
小山さんの紋別も、とっても魅力だったんだけど
こっちの方が先にチケットを取っていたし、
小出さんのキトリも見たかったしで、
五反田ゆうぽうと15時開演に合わせて
釧路から戻ってきました。
東京は暑い!会場の中も熱かった!

小出さんのキトリはとっても可愛かった。
頬をふくらませたり、
眉間にしわを寄せて睨んだりが、
すっごく可愛かった!
シムキン君との年齢差から親子っぽくなっちゃうかなあ、と
ちょっぴり心配でしたが、
「姐さん女房」の範疇でした。
音の乗り方も爽快だし、
決めポーズもピシッと決まるし、
見ていて気持ちよかったです。
32回転はシングルだけど、
軸はぶれず、スピードは落ちず、
なかなか迫力がありました。
ドゥルネシア姫として登場したときは
白いチュチュがよく似合う気高さがあり
けっこう「姫役者」でもあるんだなあ、としみじみ。
以前の、後藤さんと組んだときに比べると余裕があるようで
終始、役としてのキトリが崩れませんでした。

シムキン君は素晴らしい。
回転がピタっと決まるところは
バリシニコフの再来かと思う。
ただ、パートナーへの気の使い方はいいんだけど
小出さんや、まわりの東バメンバーと比べると
実戦(舞台の場数)が、まだ少ないのかなあ、と思ったり。
若さは勢いに繋がるけど、
なんとなく、なにかが、まだもうちょっと、と
思うときがあった。
バレフェスから1年だけど、
役へのアプローチに進歩が見られないというか。
まだそういう年齢ではないかもしれないし、
彼の少年らしさとリンクしている役だから
それでいいのかもしれないけれど、
曲芸を見せるだけで終わらせるにはもったいないダンサーだから
もうちょっとなにかあればいいなあ、と思うんだけど。
ミーシャ基準で考えるのがダメなのかな。
コチェトコワと踊ったときには、それほど感じなかったのは
彼女も若かったからだろうなあ。
小出さん相手だと、経験値が足りないというか、
パフォーマーとしての密度が低いというか。
うーん、、、
なんだかもどかしい気持ち。

後藤さんは迫力のある踊り。
最近は良い悪いの波があまりなく、安定しているので
見ていて楽しい。
マント捌きがもうちょっと、かなあ。

シムキン君が若いせいなのか、
いつもは大人しめで不満が残りがちな闘牛士達が
今日はとても男臭かった。
いつもこれぐらいだといいのになあ。
身長面において、柄本兄弟の加入はありがたいなあ。

メルセデスは井脇さん。
正直、ドン・ジョで見たときは
「もう若くないんだなあ・・・」と思っちゃったんだけど
今日はとても艶やかで美しかった~
なんだか、嬉しい。
攻撃的な部分は薄くなったけど
頼りになる部分は強くなったかな。

キホーテは森川くん。
若いけど、違和感なくじじい。
竜太くんのサンチョはいつ見ても楽しい。

平野さんのガマーシュは・・・
どうなの?これでいいの?
2日目でこれだから芸監のOKが出てるんだよね?
私はOKだし、細かい動きも、
本番中は主演を喰うほどでもないので
(カーテンコールでは喰ってた!)
私は楽しく見ているけど
やり過ぎと思う人もいるかな?

キトリの友人は佐伯さんと西村さん。
佐伯さんはチャーミング。
彼女の主演をもっと見たいなあ。
西村さんは1幕では普通の動きだったけど
ヴァリエーション2は乾さんに変更になっていた。
ファンダンゴには入っていたから
ヴァリ2のどこかの部分がダメだったのかな???
乾さんのヴァリ2は爽快!の一言。
ジプシーの娘は高木さん。
「怒り」が強いタイプかな。

ドリアードの女王は奈良さん。
柔らかい雰囲気が増してきた。
キューピッドの河合さんは
可愛い系というよりは、
子キューピッドの統括者、ってカンジ。
ドリアードの7人も頼もしい戦力になったなあ。


ドン・キは何回見ても楽しい。
また見たいなー。


配役
キトリ/ドゥルシネア姫:小出領子
バジル:ダニール・シムキン
ドン・キホーテ:森川茉央
サンチョ・パンサ:高橋竜太
ガマーシュ:平野玲
メルセデス:井脇幸江
エスパーダ:後藤晴雄
ロレンツォ:永田雄大

2人のキトリの友人:西村真由美‐佐伯知香
闘牛士:
 松下裕次、長瀬直義、宮本祐宜、梅澤紘貴、
 柄本弾、安田峻介、柄本武尊、岡崎隼也
若いジプシーの娘:高木綾
ドリアードの女王:奈良春夏
3人のドリアード:吉川留衣、渡辺理恵、川島麻実子
4人のドリアード:森志織、村上美香、岸本夏未、阪井麻美
キューピッド:河合眞里

ヴァリエーション1:佐伯知香
ヴァリエーション2:乾友子

協力:東京バレエ学校
指揮:ヴァレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

■「ジゼル」東京バレエ団
■2010/09/08(水)コジョカル&コボー(1回目)
マクミランの「ロミジュリ」は
フェリとボッカが断トツ!と思う私ですが
「ジゼル」に対しては間口は広いです。
いろんなジゼルがいて、
いろんなアルブレヒトがいて、
いろんなヒラリオンがいて、
いろんなミルタがいて、、、、、
それぞれ、いいな、と思います。

けど。
コジョカルのジゼルは
あんまり好みじゃないかも。
見るからに、儚げで、可愛いんだけど
唐突に身体能力の高さが誇示される気がする。
そこまでやらなくていいのにー
(そこまで踊らなくていいのに、足を上げなくていいのに)
って、思っちゃうんです。
1幕なら、ぎりぎりOKなんだけど、
2幕の精霊になった後、
思いっきり足をピーンと伸ばされると、
「(芝居の上での)ジゼル」と
「(本人の)コジョカル」という
全然別な人格が切り替わっちゃうように思えちゃって。
ヴィシニョーワとか、強い体の人でも
役と融合していれば、「別々」には見えないんだけど。
コジョカルは、なまじ外見が可愛いから
外見から求めるジゼルと
実際に踊られる役に、ギャップがあるのかなあ。
精霊らしい浮游感はとてもいいのに。
1幕と2幕では、体重の感じ方が全然違うのに。
なんだか、モヤモヤ。
明日もういっかい見るので
そのあたりを踏まえて見ようと思います。
ルグリと踊った時はどうだったのかなあ、、、
ルグリばっかり見ていたから、
あんまり記憶が・・・

コボーは、写真や、以前見た踊りから
彼のアルブレヒトは、なんとなく、
知的な貴族、ってイメージがあった。
実際は、なにも考えていない男だった。
目の前に可愛い子がいる、わーいわーい。
それぐらい、考え無しの恋。
罪だとも思わない。
いつか露見するとも思わない。
単純ゆえに、純粋とも言えるのかな。
公爵が出てきたとき、
やべぇって声が聞こえた気がする。
慌てて言い訳を考える。
バチルドが出てきたときは、さらに、超やべぇ
言い訳を重ねようとしても、うまく言葉が出てこない。
(たとえが悪いけど、ベッドに浮気相手を連れ込んでいるところを見つかって
 「具合が悪いっていうから介抱していただけ」ぐらいの
 おめえ、そりゃ、ねーだろー、的な言い訳しかできそうにないというか)
ほんとに考え無しなんだなー。
ウィルフリードが柄本弾くんで、
彼も現代的な雰囲気を持っているので
 弾くん→紙兎ロペ
 コボー→アキラ先輩
と、ちょっと思った。
狂乱の場面で、ジゼルに駆け寄って、
それを公爵さまが止めようとしたんだけど、
真っ正面から公爵さまを睨んで?見据えて?
拒否したところは、すごく決然としていた。
このへんで、ジゼルへの愛が確実になったのかも。
2幕の方が気品があった。
「踊らされる」場面は怒濤のアントルシャ。
9/10追記ブリゼって書いていましたが、
 アントルシャみたいです。縦飛びの方です。ごめんなさい)
ヴァリエーションの足捌きは、
さすがブルノンヴィルの人。驚嘆。

晴雄くんのヒラリオンは、
いい意味で空回りしている。
彼女は俺のことを好きなはずー、
って、彼以外は、そうは思っていなさそう。
版によっては彼こそベルタ公認だったりするけど
晴雄くんだと、完全に一人芝居。
そのウザさが、なかなか良いと思うなー。
さわやか笑顔なのに、さわやかじゃないのだー。

田中さんのミルタは恐い系。
朝が来て退場、が
なんともいえない「人外」の雰囲気だった。

ペザントは、ややばらつき気味かな。
佐伯さんと長瀬君が安定している。

弾くんのウィルフリード。
ご主人には逆らえないのに、
狩りに来た公爵さまの手下には偉そうだ。
それがいいのだ。
なんだか、入団時より背が高くなったのかなー。
コボーより大きかった。

群舞も綺麗だったよ。


配役
ジゼル:アリーナ・コジョカル
アルブレヒト:ヨハン・コボー
ヒラリオン:後藤晴雄
バチルド姫:吉岡美佳
公爵:木村和夫
ウィルフリード:柄本弾
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 高村順子(緑)-宮本祐宜(橙)、乾友子(黄)-長瀬直義(緑)
 佐伯知香(桃)-松下裕次(緑)、吉川留衣(橙)-平野玲(橙)
ジゼルの友人(パ・ド・シス):
 西村真由美、高木綾、奈良春夏、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子

ミルタ:田中結子
ドゥ・ウィリ:西村真由美、吉川留衣

指揮:井田勝大
演奏:東京ニューシティ管弦楽団


■2010/09/09(木)コジョカル&コボー(2回目)
2日目です。
こちらが見慣れたせいなのかもしれないけれど
今日の方が、全体的に芝居が噛み合っていました。

コジョカルのジゼルは、やっぱり昨日と似た印象。
たぶん私が彼女の外見からイメージするジゼルと
実際の彼女が違うのかも。
勝手な見方で申し訳ない。
2幕でバランスのキープとか、
いきなり技を見せるのは、
あんまり似合わないと思うけど、
それがいい人もいるだろうし。
2幕での浮遊感は素晴らしいんだけどね。

コボーも、昨日より落ち着いたアルブレヒト。
公爵が出て、さらにバチルド出現でも
間抜けな言い訳を重ねようとするのではない。
慌ててはいるけど、軽率さはない、かな。
狂乱の場面では、自分がしでかしたことの重さを
十分に理解する。
そして、公爵とバチルド(の介入)を、
ハッキリ拒否する。
バチルドに対しては2回拒絶したと思う。
浮気より、
拒絶に傷つくバチルド。
気の毒だ。
従来の井脇さんは、
そういうバチルドでは無かったけど
今回の演技も似合っている。

コボーのアルブレヒトは、
最後は幸福そうな笑顔。
ジゼルが去った後は、いまのは夢だったのか?と思う。
それが小さな白い花を見つけ、
夢ではないのがわかる。
ジゼルは確かにいた。
彼女との愛は存在した。
それがわかった幸福感。
彼が引き起こした悲劇でも
そういう笑顔で終わって良かった、と思う。
その幸福感は、
ジゼルが彼に与えたものだから。

木村さんのヒラリオンは、
さすがに芝居が深い。
ひとつひとつの動きに
ちゃんと感情が乗っている。
後藤さん「空回り」感もいいけど、
木村さんの方が、よりジゼルへの愛が感じられる。
あそこで真実を告げる方がジゼルのためである。
それは正しい、と思わせる。
(日曜日は貴族に見えるのか。ちょびっと心配)

アルブレヒトの剣、発見!は
昨日は窓を開けたのに、
今日は扉を開けて侵入だった。
これ以外にも、細かいところが違っていたような。
思い出せないなー。

ウィルフリードは、兄の方が、より従者らしい。
主人への気遣いがよく伝わってくる。
公爵ご一行がジゼル宅へ、では、
「あー、かち合っちゃったー」の戸惑いなど演技がはっきりしている。
兄が従者で弟は貴族、というビジュアルに
ドラマが一本できそうだ、などと考える。
昨日の逆の配役では思わなかったんだけどねー。

ペザントの男性陣は、
すっきりとした踊りで、いいかんじ。
昨日は、ちょいと張り切りすぎな人もいたけど
今日は、そういった意味ではテンションが同じで、踊りも揃っている。
爽やかだ。
女性陣は、もうちょっとかな。
やや、もっさりした印象。

高木さんのミルタは、幽玄。
そう思うと、田中さんは幽鬼、かも。
退場が猛スピードでビビった。
ドゥ・ウィリは足音がしない。素晴らしい。

2幕のコジョカル登場時のスモーク。
昨日より早くて良かった。
でも、やっぱり、もう少し早くてもいいような。
スモークの中からジゼル登場が良いな。
ジゼル登場でスモーク、じゃなく。
スモークのタイミングが合わないと、
袖でドライアイスが生成されている?と思うのは
「428」のトラウマ。

東バの「ジゼル」は
20回以上は見ている気がするけれど
今日が一番、全体が見えた。
ぶどう娘でも佐伯さんは可愛い。
槍部隊の宮本さんは、髪を殆ど全部帽子に入れていた。
そんなことだけではなく、
村人とジゼル&アルブレヒトの会話が
聞こえてくるようだった。
とてもまとまりのある舞台だった。


配役
ジゼル:アリーナ・コジョカル
アルブレヒト:ヨハン・コボー
ヒラリオン:木村和夫

バチルド姫:井脇幸江
公爵:後藤晴雄
ウィルフリード:柄本武尊
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 村上美香-小笠原亮、岸本夏未-井上良太、
 阪井麻美-梅澤紘貴、河合眞里-岡崎隼也
ジゼルの友人(パ・ド・シス):
 乾友子、奈良春夏、田中結子、吉川留衣、矢島まい、渡辺理恵

ミルタ:高木綾
ドゥ・ウィリ:乾友子、奈良春夏

指揮:井田勝大
演奏:東京ニューシティ管弦楽団


■2010/09/10(金)吉岡&後藤
吉岡さんのジゼルは可憐で可愛くて儚げで、
「やっぱり、これが『ジゼル』だよなー」と思う。
1幕では、純朴で繊細で、
2幕では、精霊でありながら母性のような暖かみもある。
踊りも好調なんじゃないかな。
踊りのラインがクッキリしている。


晴雄くんは、初役と思えないほど
できあがっていました。
予想通り、基本的には「あほぼん」なんですが。
1幕全般は、ジゼルとの関係は
基本的には「恋未満」ぐらいかも。
可愛い子とお茶してお喋りする。
「お付き合い」とか「デート」とか
そこまで意識していないレベル。
でも。
時々、本気になる。
ふとしたとき、笑顔が消え
真剣な顔になる。恐いくらい。
でも、自分的には、
すごく本気で愛しているとか
婚約者がいるのにとか、
そんな葛藤までいかないぐらいの
軽い気持ちだった。
だからジゼルにすべてがバレても
「申し訳ない」「傷つけてゴメン」ぐらいの気持ちだったけど
彼女が死んで、そこで初めて、
自分の気持ちが、本気だったことに気が付く。
そんなアルブレヒトだった。
狂乱の場面で、ヒラリオンやベルタに伴われ
家に入りかけるジゼル。
それを追おうとするアルブレヒト。
家に入る方が、彼女にとって幸福なのだ。
それは理性ではわかっている。
でも、少しでいいから、一回でいいから
振り向いて自分を見て欲しい。
狂おしいほど強い気持ち。
そしてジゼルが振り返り、自分の方に来る。
それを満面の笑顔で迎えようと思ったのに
ジゼルは、自分以外の何かに引きつけられ
自分の腕の中には来ない。
なぜだ、そんな声が聞こえてきそうでした。

2幕では、真摯な気持ちで墓に来る。
愛ゆえに。
でー、まー、なんやかんやでー、と。
最後は、上手に歩いていく。
ジゼルによって助けられた命なら
生きなければならない。
生き続けること、それが自分に与えられた罰でもあり、
(言い方が見つからないんだけど)ジゼルへの供養でもある。
それが、ジゼルが存在したこと、
彼女を愛したことの証にもなる。
ジゼルへの愛を、まぼろし、で終わらせない。
そんな決意が見えたようにも思いました。

晴雄くんらしいアルブレヒトでした。
素晴らしい。
ヒラリオンより合っている。と思う。
踊りの技術面は、、、
まあ、コボーとは比べないで、ね。

なんやかんやで長く見ているせいか
感情移入がしやすいんだなー。
書いてて気が付いたよ。


平野さんのヒラリオン。
どう来るかと思ったら、
明るい農村・青年部みたいな。
無駄に正義感がある学級委員長みたいなかんじだった。
アルブレヒトの正体をバラすのも
恋から、というより、正義感からの方が強そう。
でもー、実はー、誰にも言えなかったけどー、
ジゼルのことが好きだったんだよー、と。
2幕ではそんな気持ちが出ているんだけどね。
1幕からもっと恋心が出ても良いかも。
意外と難しいんだねえ。
剣を盗み出すのは窓から。

井脇さんのミルタは2008年以来。
威圧感がスゴイです。
客席に軽い緊張感を与えます。
さすが女王。
こういう「凄み」を出すのは、
後輩陣はもうちょいかな。

川島さんのバチルドは、
プライドを傷つけられて怒る系。

ペザント男性陣は
昨日より、ばらつき気味かな?
会場が変わったせいかも。
でも、みんな、すっきり脚が伸びている。
見ていて気持ちいい。
女性陣は慣れてきたかな。
どんどん個性が出てくると良いね。


配役
ジゼル:吉岡美佳
アルブレヒト:後藤晴雄
ヒラリオン:平野玲

バチルド姫:川島麻美子
公爵:木村和夫
ウィルフリード:柄本弾
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 村上美香-小笠原亮、岸本夏未-井上良太、
 阪井麻美-梅澤紘貴、河合眞里-岡崎隼也
ジゼルの友人(パ・ド・シス):
 乾友子、高木綾、奈良春夏、吉川留衣、矢島まい、渡辺理恵

ミルタ:井脇幸江
ドゥ・ウィリ:西村真由美、吉川留衣

指揮:井田勝大
演奏:東京ニューシティ管弦楽団


■2010/09/12(日)齊籐&木村
木村さんのアルブレヒトは、
こう来たか、というか、なるほどなー、というか。
イメージで近いのはルグリかな。
階級が高い人の、上から目線が基本。
でも、ジゼル過ごすときは笑顔になる。
ジゼルとの恋は、身分違いとわかりつつ、離れられない。
悩むのは誠実だからか。
でも明らかに、ジゼルより上の「階級」。
違う世界の人。

バチルドの手を取ったときも、
「自分の場所」に戻ろうと、
割り切って、思い切っている。
でも、ジゼルの命が目の前で消えると
そんなことは、どうでも良くなる。

最後は、小さな白い花を胸に抱きしめる。
幸福の後は、辛い現実。

ナルシスト系じゃなくて良かったわー。
木村さんらしい、アルブレヒトでした。
オネーギンをちょっと引きずっているかな。
でも、そういうタイプが似合う。

踊りは、もう素晴らしい。
手足が綺麗に伸びている。
額に手をあてるときの、指先までが綺麗なこと。
「踊らされる」場面はアントルシャなんだけど、
だんだん脚を打ち付ける速度が速くなり、激しくなる。
ウィリーの魔力を表しているようでもある。

演技も細かかったなあ。
ウィルフリードとは、
会話が聞こえてきそうだった。
1幕途中、母に促されてジゼルが家に入った後、
公爵一行の笛の音が聞こえたきたとき。
ウィルフリードを捜していたかな。
いざとなると、人に頼る。
「お世話されて当然」な高貴な人でした。

ヒラリオンに剣を向けられ、抜こうとするも
なかなか抜けなくて、ちょっとドキドキ。
小道具の扱いは難しいよね。
後藤さんも、初めての公爵の時、
角笛がなかなかベルトから外れなくて
ヒヤヒヤしたなー。

友佳理さんは、とても素晴らしい。
1幕の、幼さを感じさせる女性が
愛を知り、大人になって、この世を去る。
そんなストーリーが見えた。

後藤さんのヒラリオンは、
今日が一番しっくり来た。
空回りじゃなく(←それも好きだったんだけど)
ジゼルとアルブレヒトに濃厚に絡んでいる。
アルブレヒトに拮抗する存在。
爽やかな笑顔がウザい、ではなく、
真に、ジゼルを愛する男性でした。

井脇さんのバチルドは、いつもの方。
ジゼルに近寄ろうとするアルブレヒトを遮る。
「ここまでになさい。
 これ以上は許しませんよ」
毅然とした姫でした。

この東バ版において、公爵はアルブレヒトの父らしい。
(公爵の角笛の紋章とアルブレヒトの剣の紋章が同じなので
 ヒラリオンがアルブレヒトの正体に思い当たる)
ただ、いつもは公爵とバチルドの仲が良すぎて
「公爵はバチルド父」説の方で見てしまうことが多い。
二人が、アルブレヒトが本来所属する世界の人であることがわかれば
どっちでも大丈夫、と思って
その辺はいままでスルーしてきたけど
今日は違った。
高岸公爵からは、
この、バカ息子が!
ってお叱りの気持ちが伝わってきた。
こんな息子ですまんな、とバチルドに対する気持ちも伝わってきた。
こういう話だったんだなー。

今まで観た中で、今日が一番、
東バ本来の「ジゼル」だったのかもー。

田中さんのミルタは、恐いながらも神々しかった。

ペザント、男性陣はいまいち揃わず。
宮本さんも手をついちゃったし。
女性陣は手堅く華やか。



配役
ジゼル:斎籐友佳理
アルブレヒト:木村和夫
ヒラリオン:後藤晴雄
バチルド姫:井脇幸江
公爵:高岸直樹
ウィルフリード:柄本武尊
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 高村順子(緑)-宮本祐宜(橙)、乾友子(黄)-長瀬直義(緑)
 佐伯知香(桃)-松下裕次(緑)、吉川留衣(橙)-平野玲(橙)
ジゼルの友人(パ・ド・シス):
 西村真由美、高木綾、奈良春夏、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子

ミルタ:田中結子
ドゥ・ウィリ:乾友子、奈良春夏

指揮:井田勝大
演奏:東京ニューシティ管弦楽団


クラスレッスン見学会も行きました。
同じ動きをすると、いろんな個性が見えるなあ。
高岸さんが断トツに華やかだった。
飯田芸監のクラシックな動きも見られてお徳だった。


■2010/10/03(日)上野&高岸
本日のお席は1階中ほど。
オペラグラスを使うほどでもない距離。
その位置からだと、
「儚げ」とか「そこはかとない不安」などの表情は
ほとんど「不機嫌」に見える水香ちゃん。
しかし、だからこそ笑うと可愛くて、
ツンデレに見えて
なんだか萌え
自分の感情を上手く、素直に出せないような子供に見える。
2幕では、自分の気持ちと行動が一体となっていた。
それがアルブレヒトからの、
そしてアルブレヒトへの愛情による成長だと捉えれば、
こういうジゼルもありかなー、とも思った。
私がイメージするジゼルとはだいぶ違うけど、
いろんなジゼルがいて良いと思うし。
さすがにスタイルはいい。
登場したときの身体のラインの美しさに感嘆。
どちらかというと、2幕の方が好きかも。
浮游感が良い。

高岸さんのアルブレヒトは、
なんちゅーか。
偉いゆえの鷹揚さがあって。
「こまけぇこたぁいいんだよ!!」 のAAが頭にちらつく。
好きなように生きる姿は、すでに色恋を越えているような・・・。
ウィルフリードへは、かなり無茶振り。
「どうしたらいいと思う?」
「存じません」
弾くんのウィルフリードが、
どんどん不遜になっている気が・・・
ウィルフリードが酔っぱらって主人の愚痴を言うならば。
弾くんは「馬鹿馬鹿しくってやってられないなー」って怒る。
武尊くんは「ああ見えてもいいところはあるんですよー」って泣く。
そんなイメージがある。
弾くん、高岸さんと同じぐらいの背丈だった。
話を戻し。
高岸さんは、もう、物語を超越しているかも。
アルブレヒトではなく、高岸さんにしか見えない。
2幕の衣装は、黒っぽい紫の地に黒の飾りの上着に黒タイツ。
セットに溶け込みそうだ。
もうちょっと目に優しい色遣いにしてくれないかなあ。
踊りに、ちょっと年齢を感じた。

木村さんは絶好調。
熱く暑くジゼルに迫る。
純愛をちょいと飛び越えた。
楽しい。
登場で拍手が出てびっくり。

今日は拍手厨がいたのか、
いろんなところで拍手が入って
(まだ終わってないのにー)
ちょいとウザかったけど、
ペザントの男性バリで拍手が出て
みんな嬉しそうだったのが印象的。
女性陣も良かったよ。

高木さんは、幽玄で、
母性のような柔らかさがある。
ドゥ・ウィリの吉川さん、
一皮むけた感じ。押し出しが強くなってきた。
西村さんは美しい。

群舞も揃っていました。


プレトークの時に、
オケ付きは今日が最後だから
みんな気合いが入っています、とのことでしたが
一部のパートは、すでに気合い切れのところがあった。


配役
ジゼル:上野水香
アルブレヒト:高岸直樹
ヒラリオン:木村和夫
バチルド姫:井脇幸江
公爵:後藤晴雄
ウィルフリード:柄本弾
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 高村順子(緑)-宮本祐宜(橙)、乾友子(黄)-長瀬直義(緑)
 佐伯知香(桃)-松下裕次(緑)、吉川留衣(橙)-平野玲(橙)
ジゼルの友人(パ・ド・シス):
 西村真由美、奈良春夏、田中結子、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子

ミルタ:高木綾
ドゥ・ウィリ:西村真由美、吉川留衣

指揮:井田勝大
演奏:東京ニューシティ管弦楽団

2010/10/08(金)「COLD SLEEP」川井郁子&ファルフ・ルジマトフ 1st collaboration


バイオリニストの川井さんと
ダンサーのルジとのコラボで、
どのカテゴリーに入れようかと思ったけど
私はルジ目当てなので、ダンスのカテゴリーに。

いちおう、ストーリーらしきものがあって。
1幕は、何度転生しても結ばれる男女。
2幕は、地上の支配者となった男と、それと対決する女。
スズカツ臭はいたるところに漂うけれど、
真の芸術家の才能は、
そんなものを軽々と上回る。
川井さんのバイオリンの音色、
ルジの肉体、
岩田さんの振付、
打楽器の音。
どれもが素晴らしい。

ルジの身体は良く動いていた。
1幕より、2幕の方が面白かった。
大魔神のようなルジ。
「バクティ」から色気を抜いた
羅刹のような存在。

対決し、敗れ、
物語は終わる。

その後の、「シャコンヌ」は
男女が共存する世界を描くエピローグなのか。
音楽家とダンサーの融合なのか。
どちらにせよ、美しかった。
ただ、ひたすら、美しかった。
ルジの肉体は、奇跡だ。
彼の踊りを見られる時代に生まれて良かった。

川井さんは美人だった。
姿勢も良く、とても舞台映えがする。
天は二物を与えるもんなんだな。
 
2010/10/10(日)「白鳥の湖(マーフィー版)」オーストラリア・バレエ団
前回見たときは、ダイアナ妃と重ねてみてしまったけど

 その時の感想は → ここ

今回は、女二人と男一人の
どの時代、どの国にもある、
「普遍的な話」に見えました。
スキャンダラスには感じなかった。
イロモノ的に「1回見たから充分なんだけど、会員券があるし」
と思って行ってきたけど、
すごく楽しめました。

今回の配役の方が、好みかも。
スコット(の演技・踊り)は繊細で神経質な脆さを感じる。
ロウは、前回のダンほど押し出しがないぶん、
スコットと対になってバランスが良かった。
ブルは、ある意味、真摯だった。
恋人とも切れないし、新妻に立場を教えられない。
結婚相手に夢を持たせないで、
「(あなたとは)義務で結婚する」と言うのもありなんじゃ?
(愛情が皆無ではなかったと思うけど)
それができないのは優しさなのかも。
どっちつかずの男ではなく、
両方の女性に対して真剣に対峙しているようにも見えた。

オデットは、ジゼルのような脆さを持ち、
でも立場はバチルドなのか。な。

オチを思い出せなかったので、
このまま王子とオデットが真実の愛で結ばれる
そんなハッピーエンドもいいけど、
こういう男は今後も絶対浮気するよなー、
捨てるなら今だよなー、と思ったら
なんだか、そんな感じだった。
やっぱ、このオチしかないよなあ。

衣装が、ステキだよね。
特に1幕はウットリ。


前々回の来日公演(マッカリスターが現役だった)の時から
オーストラリア・バレエ団って、
もんのすごいスターはいなくて、
誰かの熱狂的なファンになることはないけど、
誰が踊っても満足できるイメージ。
英国ロイヤルの気品と、
新興国の若さと勢いを併せ持つイメージもある。
今回も、イメージ通りだったな。



配役
オデット:アンバー・スコット
ジークフリート王子:アダム・ブル
ロットバルト男爵夫人:ダニエル・ロウ

女王:シェーン・キャロル
女王の夫:ロバート・オルプ
第一王女:久保田美和子
第一王女の夫:マシュー・ドネリー
公爵:アンドリュー・キリアン
公爵の若い婚約者:本坊怜子
伯爵:ダニエル・ゴーディエロ
伯爵の侍従:ツ・チャオ・チョウ
提督:コリン・ピーズリー
侯爵:マーク・ケイ
男爵夫人の夫:フランク・レオ
ハンガリー人の踊り:ローラ・トン、ジェイコブ・ソーファー
宮廷医:ルーク・インガム

大きい白鳥:ラナ・ジョーンズ、ダナ・スティーヴンソン
小さい白鳥:リアーン・ストイメノフ、ハイディ・マーティン、
エロイーズ・フライヤー、ジーナ・ブレッシャニーニ

招待客、ハンガリー人、召使い、尼僧、従者、白鳥たち:オーストラリア・バレエ団


指揮:ニコレット・フレイヨン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ学校

◆上演時間◆
【第1幕】 15:00-15:55
休憩 20分
【第2幕】 16:15-16:50
休憩 20分
【第3幕、第4幕】 17:10-18:05

振付:グレアム・マーフィー
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
台本:グレアム・マーフィー、ジャネット・ヴァーノン、クリスティアン・フレドリクソン
装置・衣裳:クリスティアン・フレドリクソン
照明:ダミアン・クーパー
 
■2010/10/15(金)「くるみ割り人形(マーフィー版)」オーストラリア・バレエ団
なんだか、映画を見ているようだった。
おとぎ話とリアルな女性の一生が交わっていた。

嵐が来て恋人達は去る。
バレフェスでその部分だけ観たときは
夕立が来た、ぐらいだと思っていた。
ただの天気のことだと思っていた。
でも、あれは、「革命」という嵐の前兆だったんだな。

私が、いま、こんなにバレエを観られるのは
パヴロワ達が世界を巡って踊ったから。
その種は各地に根付き、芽を出し、花を咲かせている。
彼女が現役の時代、
ロシア・バレエ隆盛の時代に
ロシア革命が起きなかったら、
どうなっていたのだろうか。
「ロシア・スタイルのバレエの流出」はあったのだろうか。
帝政ロシアが続く方が、
彼女たちには幸せだったのだろうか。

そんな気持ちも込み上げる。

話はわかりやすい。
古典の改編はあんまり好きじゃないんだけど
マーフィー版はどれも素直に観られる。
たぶん、振付が好みなんだろうなあ。
息継ぎするタイミングが同じみたいな。

カーテンコールの時に出てきたのがマーフィーなのかな。
マイヨーをさらに女性的にした雰囲気だった。

激動の時代と重なる女性の一生。
よくこんな物語を構築できたなあ。

そして、やっぱり衣装がいいんだ。
制服マニア、軍服マニア必見。

年老いたクララの友人達は
リアルにご年配の方々なのかな。
子供もたくさん出てくるし、
老若男女取り混ぜて出演はバレエには珍しいよね。
バレエの枠を越え演劇寄りになっているのは
そのあたりもあるのかな。

前回の「白鳥」の時に
オーストラリア・バレエ団のダンサーは横並び、的なことを書いたけど
こうして観ると、ダンは華やかだ。
年老いたクララのジョーンズも素晴らしかった。
彼女の演技には随所で泣かされた。
カランは、軍服が似合うのはわかっていたけど
眼鏡の医者も似合っていた。
オーストラリア、隠し球多すぎ。

群舞も楽しかったなあ。
揃わなくてもいいのだ!


【配役】
年老いたクララ:マリリン・ジョーンズ
クララ、バレリーナ:ルシンダ・ダン
子ども時代のクララ:柴平くるみ

ロシア人たち:
 オードリー・ニコルズ、キャスリーン・ゲルダード、シェーン・キャロル、
 コリン・ピーズリー、ロバート・オルプ、フランク・レオ、アンドリス・トッペ
医師/恋人の将校: ロバート・カラン

バレエ教師:コリン・ピーズリー
バレエ学校校長:アンドリス・トッペ
将校:アンドリュー・キリアン、ティ・キング=ウォール
クララの友人:アンバー・スコット、ラナ・ジョーンズ
ニコライ皇帝、アレクサンドラ皇后:ベン・デイヴィス、ローラ・トン
大公妃たち:
  ジュリエット・バーネット、エイミー・ハリス、
  キスメット・ボーン、ジーナ・ブレッシャニーニ
皇帝の護衛隊:
 ブレット・サイモン、アンドリュー・ライト、ジャリド・マッデン、ギャリー・ストックス

"くるみ割り人形"-王子、クララ:ルディ・ホークス、ルシンダ・ダン
スペイン:ジーナ・ブレッシャニーニ、ジュリエット・バーネット、久保田美和子、
マシュー・ドネリー、ダニエル・ゴーディエロ
エジプト:
 ジャリド・マッデン、ジョン=ポール・イダジャク、ミッチェル・レイナー、
 ジェイコブ・ソーファー、アンドリュー・ライト、ノア・ガンバート、ジャ・イン・ドゥ
オーストラリアの水兵たち:
 ツ・チャオ・チョウ、ケヴィン・ジャクソン、チェンウ・グオ、
 ジャ・イン・ドゥ、ジェイコブ・ソーファー、マシュー・ドネリー


指揮:ニコレット・フレイヨン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:江東少年少女合唱団

協力:東京バレエ学校

振付:グレアム・マーフィー
共同製作:ジャネット・ヴァーノン
構成:グレアム・マーフィー、クリスティアン・フレドリクソン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
装置・衣裳:クリスティアン・フレドリクソン
照明:ジョン・ドゥルモンド・モンゴメリー
映像コラージュ:フィリップ・シャールエット


◆上演時間◆
【第1幕】 18:30-19:25
休憩 25分
【第2幕】 19:50-20:50

 
■「ボリショイ&マリインスキー・バレエ合同ガラ
■2010/10/24(日)Bプロ
友人の連れの都合が悪くなったので
ピンチヒッターで行ってきました。
これより先に入っていた予定に合わせ、
最後の演目は見ずに退席。
予定通りのタイムスケジュールなら間に合ったんだけどね。

5階R席。
皆デカイから、オペラグラス無しでも充分楽しめる。
ビバ!ボリショイ&マリインスキー!


≪第1部≫
《フローラの目覚め》よりパ・ド・カトル
(振付:プティパ / レガート / ブルラーカ、音楽:ドリゴ)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ(ディアナ) /
アリーナ・ソーモワ(オーロラ) /
ナターリヤ・オーシポワ(ヘーベ) /
スヴェトラーナ・ルンキナ(フローラ)

合同ガラだから実現した面子。
プログラムを買ってないからよくわからないけど
フローラを祝福する神々、なのかな?
地味めな衣装だったけど、皆さん光り輝いていました。


《ライモンダ》よりパ・ド・ドゥ 
(振付:プティパ / グリゴローヴィチ、音楽:グラズノーフ)
アンナ・ニクーリナ / ミハイル・ロブーヒン

ニクーリナは可憐で可愛い!!


《タンゴ》 (振付:ミロシニチェンコ、音楽:ピアソラ)
ヴィクトリア・テリョーシキナ / アレクサンドル・セルゲーエフ

振付そのものは、「バレエで表すタンゴ」から想像する通りの動きなんだけど
スピード感があって、シャープで、迫力があった。
若い二人が踊るのに適している。
見応えがある。


《Fragments of a Biography》より
(振付:V・ワシーリエフ、音楽:アルゼンチンの作曲家による)
ガリーナ・ステパネンコ / アンドレイ・メルクーリエフ

ロシアが味付けしたフラメンコ。
こちらはちょっと古臭いというか、
かったるいというか。
あんまり好きじゃないかも。


《ロミオとジュリエット》よりパ・ド・ドゥ
(振付:ラヴロフスキー、音楽:プロコフィエフ)
アリーナ・ソーモワ / ウラジーミル・シクリャローフ

若いカップルだ!
瑞々しい。
マクミラン版の方が好きなんだけど、
ロシア人ダンサーにはこちらの方が合っていると思う。
シクリャローフの若々しさがうまく作品に合っていた。


≪第2部≫
《ゼンツァーノの花祭り》よりパ・ド・ドゥ 
(振付:ブルノンヴィル、音楽:ヘルステッド)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / レオニード・サラファーノフ

二人とも軽やかな足捌き。
特にサラファーノフが鮮やか。
上体がブレないよねー。


《パ・ド・ドゥ》( 振付:ヤコブソン、音楽:ロッシーニ)
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

盛り上げ隊登場。
正確さにはちょいと欠けるかもしれないけれど
バレエに必要な品格は欠けていない。
跳んで回っても、スポーツじゃなく
ちゃんと芸術の範疇に入っている。
そこがすごいよねー。


《パピヨン》よりパ・ド・ドゥ
(振付:M・タリオーニ / ラコット、音楽:オッフェンバック)
アリーナ・ソーモワ / ウラジーミル・シクリャローフ

前の組が盛り上がったので、
静かな作品だと、ちょっと気の毒。
古式ゆかしい作品。(ラコットの手が入っているけど)
やっぱ、ガラにはこういう作品も欲しいよね。


《グラン・パ・クラシック》(振付:グゾフスキー、音楽:オーベール)
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ

見せてくれるねー。
ルンキナが、こういう技術系もOKだとは思わなかったよ。
バランスが正確で、見ていて気持ちが良い。


《ロシアの踊り》
(振付:ゴールスキー / ゴレイゾフスキー、音楽:チャイコフスキー)
ウリヤーナ・ロパートキナ

スターはやっぱり存在感が違うわー。
短い踊りだけど、大満足。素晴らしい!


《海賊》よりパ・ド・ドゥ 
(振付:チェクルィギン / チャブキアーニ、音楽:ドリゴ)
アンナ・ニクーリナ / ミハイル・ロブーヒン

それなりに良かったんだけど・・・
ロパートキナの後って、ちょっと不利。


≪第3部≫
《パリの炎》よりパ・ド・ドゥ
(振付:ワイノーネン / ラトマンスキー、音楽:アサーフィエフ)
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

跳ぶ!
回る!
拍手喝采!


《ジゼル》よりパ・ド・ドゥ (振付:プティパ、音楽:アダン)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / アレクサンドル・セルゲーエフ

ガラッと雰囲気が変わった。
静謐な世界。


《プルースト~失われた時を求めて》より 囚われの女
(振付:プティ、音楽:サン=サーンス)
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ

モニクやラカッラ見てると
ルンキナは、まだまだだなー。
振付が、たんなる動きの順番で
台詞にはなっていない。


《ファニー・パ・ド・ドゥ(ザ・グラン・パ・ド・ドゥ)》
(振付:シュプック、音楽:ロッシーニ)
ウリヤーナ・ロパートキナ / イーゴリ・コールプ

昨年のマリインスキー・ガラでも見たけど
パワーアップしていた。
ちょっとした動きが可笑しい。
可笑しくも、それが高度な技術に裏打ちされているのが
ちゃんとわかる。
ブラボー!
最後に紙吹雪がなかったのは
舞台転換の都合なのかな。


《ドン・キホーテ》よりパ・ド・ドゥ
(振付:プティパ / ゴールスキー、音楽:ミンクス)
ガリーナ・ステパネンコ / アンドレイ・メルクーリエフ

今日の目玉、ステパネンコの「ドン・キ」。
正直なところ、ニーナの「ドン・キ」と似たようなことを思った。
初めて見る人なら迫力があるんだろうけど
往年を知っていると、ああ、やっぱり・・・、みたいな。
32回転も、以前ほどではない。
けど、そこらの若手よりはずっと回れる。んだけど・・・
でも、これが、彼女の「ドン・キ」を見る最後のチャンスかも、と思い、
しっかり目に焼き付けましたよ。
クッキリとした鮮やかなラインの踊りはとても好き。
リボンのトウ・シューズじゃなかった?
ゴムばっちん系のシューズ?

メルクーリエフは、ステパネンコのスピード&迫力に
ついていけてない印象。
ああ、ウヴァーロフだったらなあ・・・



セットは殆ど無く、
スクリーンに映される画像主体。
カーテンコールの時に
「ボリショイ」or「マリンスキー」と出るのはとても親切。
これが消えると転換だよ、と知らせるのも親切だね。
客もカーテンコールを諦められる。
長い公演だから巻いて行こーーーっ!と
運営側も客席側も心がひとつになる瞬間でした。


■2010/10/26(火)Aプロ 
今日は4階L1列。
前回より1階下がって1列前に出たら
チケット代は倍。
やっぱりそれだけの値打ちはあったけどね。


≪第1部≫
《パ・ド・カトル》( 振付:ドーリン、音楽:プーニ)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ(ルシール・グラーン) /
アンナ・ニクーリナ(カルロッタ・グリジ) /
ガリーナ・ステパネンコ(ファニー・チェリート) /
ウリヤーナ・ロパートキナ(マリー・タリオーニ)

今回もっとも見たかった演目。
ザハロワ降板により、ステパネンコがここに入り
まさに女王競演で楽しゅうございました。
東京ならではの実現だね。
「フローラ」より対決風味があって面白かった。
ありがとう、ジャパン・アーツ!


《眠れる森の美女》 第3幕のパ・ド・ドゥ 
(振付:プティパ、音楽:チャイコフスキー)
アリーナ・ソーモワ / レオニード・サラファーノフ

これも、「ザ・王道」って感じで
とても素晴らしかった。
ソーモワもサラファーノフも、実に端正。
白く光り輝いていた。
残念なのはオケ。
オケは全般的に悪かったんだけど
ここが最高に悪かった。
チャイコフスキーだよ!
コンテの現代作曲家の音楽じゃないんだ!
なのになんでこんなにヒドいんだ!


《海賊》よりパ・ド・ドゥ 
(振付:チェクルィギン / チャブキアーニ、音楽:ドリゴ)
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

ふたりとも、スパスパ技が決まって気持ちいい。
それでいて、やり過ぎ感はなく、
土曜日のBプロほど崩れてはいなかった。
ボリショイはスポーツになっちゃイカンからね。
ワシーリエフくんは、出始めた頃に見た写真は
まだまだ子供だったけど、
今回しっかり見たら、ちゃんと大人だった。
若いけど、中身はちゃんと詰まっている。


《愛の伝説》よりモノローグとアダージョ 
(振付:グリゴローヴィチ、音楽:メーリコフ)
ヴィクトリア・テリョーシキナ / イーゴリ・コールプ

技で沸かせた前の組と、うって変わった情念の世界。
テリョーシキナは、身体がとてもシャープに動くけど
その動きの中に濃厚な感情があった。
短い時間だったけど、ちゃんとドラマを感じられた。
彼女の踊りは好きだな~。
ワガノワの系譜が感じられる。
コルプは、ほんのちょろっとした出番だし、
トルコブルーの衣装も衝撃的だったけど、
ひとつひとつのポーズが実に美しく、
テリョーシキナが作る物語をさらに深くしていた。
存在感がすごすぎる。
跳んだり回ったりも見たいけれど、
これだけの芸術性を見せつけられると、
もう、なにも言えない。平伏するだけ。


《ジゼル》よりパ・ド・ドゥ
(振付:ペロー / プティパ、音楽:アダン)
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ

う~ん・・・
地味だ・・・


≪第2部≫
《ナルシスへのレクイエム》 
(振付:スメカーロフ、音楽:マンセル)
ウラジーミル・シクリャローフ

伸びる金属素材が主役のような作品。
ナルシスっていうより厨二病だな。


《ライモンダ》よりパ・ド・ドゥ
(振付:プティパ / グリゴローヴィチ、音楽:グラズノーフ)
ガリーナ・ステパネンコ / アレクサンドル・ヴォルチコフ

姐さんのライモンダ!
ありがたい!
拝む。
「ドン・キ」の時に感じた「年齢」はあまりなかった。
ほんとに、美しいんだ。
動きの全ては。
でもなんで、ライトが暗いんだ。
もっとはっきり見せてくれよー!
ヴォルチコフは、Bプロのロブーヒンよりずっと洗練されていて
マント捌きも良かった。
ステパネンコの強さにも良く対応していた。


《別れ》( 振付:スメカーロフ、音楽:パウエル)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / アレクサンドル・セルゲーエフ

背中合わせに座っていた男女が動き出し・・・
「ナルシス」より、ずっと面白かった。
二人の踊りは実に雄弁だった。
オブラスツォーワは赤いドレスが似合っていた。


《タリスマン》よりパ・ド・ドゥ
(振付:プティパ / グーセフ、音楽:ドリゴ)
アンナ・ニクーリナ / ミハイル・ロブーヒン

そこそこいいんだけど、
「風」はあんまり感じなかったなあ・・・


《タランテラ》 (振付:バランシン、音楽:ガチョーク / ケイ)
ヴィクトリア・テリョーシキナ / レオニード・サラファーノフ

細かい動きを精密に正確に。
感嘆。その一言。


≪第3部≫
《黄昏のヴェニス》
(振付:ヴィスクベンコ、音楽:ニンファ、フレーム、ヘーフェルフィンガー)
スヴェトラーナ・ルンキナ / アンドレイ・メルクーリエフ

男は切ない表情をし
女が無表情なのは、
振付なのか、ダンサーの個性なのか。
ドラマが薄いなあ。


《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》 
(振付:バランシン、音楽:チャイコフスキー)
アリーナ・ソーモワ / ウラジーミル・シクリャローフ

ソーモワは、「眠り」は抑制のきいた動きで
とても良かったのに、
こちらは、ものすごく「やりすぎ」。
ガラだから、いいんだろうけどさ。
やりすぎると、彼女の場合、品が損なわれるので
もうちょっとキチッとした踊りの方が良いと思うんだけどなあ。
バランシンじゃまったくないんだけど、
でも、なんだか、引きつけられる要素はある。
シクリャローフは、最初はソーモワの陰になって
ぜんぜん目に入らないよ、と思っていたのに
ヴァリエーションの最初の横飛びが
笑っちゃうくらい爽やかだった。
いい個性だ。
なんちゅーか。
バランシンにならないなら、
これだけ噛み合わない方が、かえって面白いかもね。


《スパルタクス》よりデュエット 
(振付:グリゴローヴィチ、音楽:ハチャトゥリャン)
アンナ・ニクーリナ / ミハイル・ロブーヒン

ニクーリナは可愛いんだけど、
スパルタクスの「物語」は全くない。皆無。
ロブーヒンも同じ。
リフトだけしか見所がなかった。


《シンデレラ》よりデュエット 
(振付:ラトマンスキー、音楽:プロコフィエフ)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / アレクサンドル・セルゲーエフ

清々しい世界だった。


《カルメン組曲》より
(振付:アロンソ、音楽:ビゼー / シチェドリン)
ガリーナ・ステパネンコ / アンドレイ・メルクーリエフ

ステパネンコは、本人比では妖艶だけど
ファ・ムファタルかと問われると、難しいなあ。
メルクーリエフも弱いかなあ。
役柄上ではなく、存在感が。
ステパネンコの隣って、
ウヴァーロフが基準なもんでねえ。


《ジュエルズ》より〈ダイヤモンド〉のパ・ド・ドゥ
(振付:バランシン、音楽:チャイコフスキー)
ウリヤーナ・ロパートキナ / イーゴリ・コールプ

芸術の極みだね。
息を飲む、というより、息をするのを忘れるくらい。
この世とは別世界。
ロパートキナがこういう世界の人なのはわかってたけど
コルプも、ここ所属だったんだなあ。
あらためて思った。


《ドン・キホーテ》よりパ・ド・ドゥ 
(振付:プティパ / ゴールスキー、音楽:ミンクス)
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

ガラのトリのドン・キにふさわしい盛り上がりでした。
ここでの二人も崩れすぎることが無く
ほどよく自制が利いた素晴らしい舞台でした。

 
■2010/11/03(水)「ペンギン・カフェ」他/新国立劇場バレエ団



「火の鳥」
火の鳥:小野絢子
イワン王子:山本隆之
王女ツァレヴナ:寺田亜沙子
魔王カスチェイ:マイレン・トレウバエフ

短い一幕物。
火の鳥と王子のパ・ド・ドゥは
どこかで見たことがあったけど
全幕では初めて。
いかにも昔のロシアらしい作品。
ストラヴィンスキーの音楽は重厚で
オケも美しい音を出している。
登場人物がたくさん出てきたときの美術は圧巻。

今日は4階席。
4階だと小野さんのインパクトが弱い。
オペラグラスで見ると、良い表情をしているんだけど。

逆に寺田さんは、オペラグラス無しでも
出たときから、王女の気品とか純白な雰囲気とかが
とても良く伝わってきた。

全幕上演に意義があるし、
見ることができたのも良かったけど、
むかしの作品だけあって、
前半の話運びのテンポが緩やかで、
ちょっとウトウトしちゃった。
ごめん。


「シンフォニー・イン・C」
第1楽章 米沢唯、菅野英男
       西山裕子、大和雅美、福田圭吾、小柴富修
第2楽章 川村真樹、貝川鐵夫
       細田千晶、川口藍、澤田展生、田中俊太朗
第3楽章 厚木三杏、輪島拓也
       寺島まゆみ、寺田亜沙子、グリゴリー・バリノフ、野崎哲也
第4楽章 丸尾孝子、古川和則
       さいとう美帆、高橋有里、アンダーシュ・ハンマル、原健太

「火の鳥」に比べると、実にシャキシャキしている!
とてもエキサイティングでワクワク。
「音」が見事に視覚化されている。
素晴らしい!
第2楽章の男性陣、
特に貝川さんの足のラインが美しかった。
第4楽章に古川さん。
かつてルグリ・ガラ&コールド・東バの「水晶宮」で、
ルグリが踊ったパートを古川さんが踊っている。
なんだか、感動。


「ペンギン・カフェ」
ペンギン:井倉 真未
ユタのオオツノヒツジ:遠藤 睦子、江本 拓
テキサスのカンガルーネズミ:福田圭吾
豚鼻スカンクにつくノミ:西山裕子
ケープヤマシマウマ:古川和則
ブラジルのウーリーモンキー:グリゴリー・バリノフ
熱帯雨林の家族:小野絢子、山本隆之

ペンギンの被り物のチラシを見て、
今日の公演に行きたくなったのだ。
絶滅種の動物のどうのこうの、という話だけど
決して説教臭いわけではなく、
楽しく、ちょっとオシャレで、
それでいて切なく、
最後にはいろいろ考える、
あるいは考えさせられる作品でした。
バレエというのは
いろんなことが表現できるんだな。

ちょっとショーダンスっぽいところもあり、
それぞれのパートが、
メイン+コールド、って構成なので
時々「踊る男S」に見えた。
ビントレーさん、宝塚にも
一場面で良いから振り付けてくれないかなあ。

ノミのビジュアルは、某ホッパーに
ちょっと似ていた。


劇場内。
ペンギンがちらほら。


■2010/11/10(水)「80分間世界一周」モーリス・ベジャール・バレエ団
う~ん、、、
あんまり面白みが感じられなかったな。

「春の祭典」とか「ギリシャ」とか
本来はこの体格なのかー、と
そこは興味深かったけど。

「ヴェネツィア」は美しかったし、
それぞれ場面ごとも良かったし、
悪い、ってワケじゃないんだけどね。


ベジャールの昔の作品は、
なんとういうか、土着的とか、根源的とか
私なんかでも、同じ、と思う部分があるんだけど
晩年はヨーロッパ的で、私とは違う世界に感じた。
今回は、もっとヨーロッパ的に洗練されたイメージ。
ジルの世界が反映されているのかな。
間違いではないけど、私の趣味とはちょっと違う。

それにしても、ジルは年齢不詳だな。
いろんなことを超越している。



========================================================


モーリス・ベジャール振付
「80分間世界一周」

I. イントロダクション :男性全員
旅人 :マルコ・メレンダ

II. セネガル
ソロ :リズ・ロペス
パ・ド・ドゥ :ダリア・イワノワ、ダヴィッド・クピンスキー

III. サハラ
パ・ド・シス :ジュアン・プリド、ヴァランタン・ルヴラン、ホアン・サンチェス、
        ダニエル・サラビア・オケンド、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、エクトール・ナヴァロ

IV. エジプト :ジュリアン・ファヴロー

V. ギリシャ :女性全員
マヌーラ・ムウ :リザ・カノ

VI. ヴェネツィア
七つの色 :大貫真幹、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、エクトール・ナヴァロ、ウィンテン・ギリアムス、
      ローレンス・ダグラス・リグ、ダニエル・サラビア・オケンド、ヴァランタン・ルヴラン
ライト :エリザベット・ロス
恋する兵士 :那須野圭右

VII. ウィーン
美しく青きドナウ :フロランス・ルルー=コルノ、ポール・クノブロック、カンパニー全員
エジプト王タモス :ジル・ロマン

VIII. パルジファル :カテリーナ・シャルキナ、オスカー・シャコン

IX. インド :那須野圭右、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、ヴァランタン・ルヴラン
       男性全員

X. アレポ :ルイザ・ディアス=ゴンザレス、ポール・クノブロック、
       マーシャ・アントワネット・ロドリゲス、フェリペ・ロシャ

XI. 中国 
ソロ :オアナ・コジョカル
パ・ド・ドゥ :エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー

XII. 北極 :男性全員

XIII. サンフランシスコ
タップ・ダンス :ダリア・イワノワ、カテリーナ・シャルキナ、リザ・カノ、女性全員
ハムレット(デューク・エリントン) :ジュリオ・アロザレーナ

XIV. パ・ド・シス :エリザベット・ロス、カテリーナ・シャルキナ、ダリア・イワノワ
          ジュリアン・ファヴロー、ドメニコ・ルヴレ、ポール・クノブロック

XV. アンデス
ソロ :ダヴィッド・クピンスキー

XVI. ブラジル
バトゥカーダ :那須野圭右、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、ダヴィッド・クピンスキー、
         ポール・クノブロック、オスカー・シャコン、カテリーナ・シャルキナ、ダリア・イワノワ、
         エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー、カンパニー全員



【演奏】
パーカッション:チェリ・オシュタテール&ジャン=ブリュノ・メイエ(シティ・パーカッション)
キーボード&トランペット:イリア・シュコルニク



◆上演時間:95分(途中休憩はありません)

■2010/11/14(日)「アリア」「火の鳥」「3人のソナタ」モーリス・ベジャール・バレエ団
「3人のソナタ」
ジャン=ポール・サルトル「出口なし」に基づく
振付:モーリス・ベジャール 
音楽:ベラ・バルトーク (2台のピアノとパーカッションのためのソナタ第1楽章、第2楽章)
ジュリアン・ファヴロー
ルイザ・ディアス=ゴンザレス
ダリア・イワノワ

一人の男と二人の女。
閉鎖された出口のない空間で
それぞれ独立していたが
2:1の関係をいくつか・何回か作り
最後には元の一人ずつの存在に戻る。

なんか、フランス映画みたいだったなー。
難解、ってほどじゃないけど、複雑。


「火の鳥」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
火の鳥:ダヴィッド・クピンスキー
フェニックス:オスカー・シャコン
パルチザン:
 シモナ・タルタグリョーネ、フロランス・ルルー=コルノ、リザ・カノ、ホアン・サンチェス、
 マルコ・メレンダ、アンジェロ・ムルドッコ、ホアン・プリド、エクトール・ナヴァロ
小さな鳥たち:
 アドリアン・シセロン、ローレンス・ダグラス・リグ、ヘベルス・リアスコス、
 ファブリス・ガララーギュ、サンドリン・モニク・カッシーニ、オアナ・コジョカル、
 キアラ・パペリーニ、コジマ・ムノス


東バでは何回も見ているけど、
本場のは初めて。
あの衣装を西洋人が着るとこうなるのかー、とか
やっぱパルチザンってこういう雰囲気だよねー、とか
そのあたりを面白く見てました。
先日見た新国の「火の鳥」がもともとあったんだよね。
それを、こういうふうに作り替えたのは
やっぱ、すごい。(こういう言い方しか私にはできない。申し訳ないっす)

ただ、クピンスキーは、火の鳥にしては美しすぎる。
クラシックの王子様の容貌過ぎて
イメージが違って話に入りきれなかった。
。。。のは、木村さんが基準になっているからか?
パルチザンの中を美しく舞う姿は、
どちらかというと手塚治虫の「火の鳥」のイメージかも。


「メフィスト・ワルツ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:フランツ・リスト
ダヴィッド・クピンスキー、キャサリーン・ティエルヘルム

「日本のファンのために」、ジル・ロマンからのプレゼント。

男女二人の踊りは
いまこの瞬間もたくさん作られているだろうけど、
これを見ると、ベジャールの非凡さがあらためて感じられる。

動きのひとつひとつはクラシックの動きが殆どなのに
なぜこんな素晴らしい作品になるのだろうか。

内容は、ええと、美しい女の身体に魂を入れる魔法使い?
生者と死者が官能的に交わり合う。
素晴らしい作品だった。
クピンスキーの美しさは、こちらにはとても合っていた。


「アリア」
振付、演出:ジル・ロマン
音楽:J.S.バッハ、ナイン・インチ・ネイルズ、メルポネム、イヌイットの歌から抜粋
オリジナル音楽:チェリ・オシュタテール&ジャン=ブリュノ・メイエ(シティ・パーカッション)
彼:フリオ・アロザレーナ
他者:ジュリアン・ファヴロー
アリアドネたち: エリザベット・ロス、ダリア・イワノワ、カテリーナ・シャルキナ
若い娘:シモナ・タルタグリョーネ
闘牛士:ヴァランタン・ルヴラン
若者たち:
 マルコ・メレンダ、ホアン・サンチェス、ヴァランタン・ルヴラン、ホアン・プリド、
 ガブリエル・アレナス・ルイーズ、アドリアン・シセロン、大貫真幹、
 ファブリス・ガララーギュ、ヘベルス・リアスコス、シモナ・タルタグリョーネ、リザ・カノ、
 オアナ・コジョカル、サンドリン・モニク・カッシーニ、ポリーヌ・ヴォワザール、
 フロランス・ルルー=コルノ、コジマ・ムノス、キアラ・パペリーニ

自分の内なる魔物との戦い、、、
らしいけど、
私にはよくわかりませんでした。


◆上演時間◆
「3人のソナタ」15:00-15:30 「火の鳥」15 :30-15 :55
休憩 20分
「メフィスト・ワルツ」16:15-16:35 「アリア」16:35-17:20

■2010/12/09(木)「ロミオとジュリエット」ヤパーロワ&モロゾフ/レニングラード国立バレエ
ヴィノグラードフ版です。
曲はプロコフィエフ。
かなり端折った感じはしますが、
スピーディーとも言えます。
ボヤルチコフ版がつまらなかっただけに
こちらはなかなか楽しく見ました。

なんとなく、イケコの演出を思い出した。
物語に沿って役を創り出すのではなく、
使わなきゃいけない役者の数が先にあって、
元の話に、役者の格に合わせて出番を割り振るような、
そんなイメージ。
ジュリエットの友人って、
たまこ・ふじこ・みっぽー・ちわわ、だよなー。
とかとか。

オケが相変わらずフォルテとフォルティッシモしか無いような
良く言えば力強く勢いのある音で、
それに乗って物語りもガンガン進みます。
息継ぎする間もなく一直線に駆け抜けます。
繊細さはひとかけらも無いけど、
これはこれで面白い。
バレエ団自体が繊細な表現ではなく力押しのタイプだから
案外合っているんじゃあないか。

幕開けは絵画のよう。
床は四角が並んでいる。
その上に、黒い服のキャピュレット側、
白い服のモンタギュー側が並んで戦うと
まるでチェス盤のようだ。

ヤパーロワのジュリエットは元気いっぱいで可愛くて。
幼い子供が激しい愛を知り、
一直線に突き進む。
強い生は強い死と隣り合わせなんだな。
刹那、という言葉が思い浮かぶ。
かなり踊りっぱなしだけど
最後までテンションは落ちなかった。

モロゾフのロミオって、
チケットを買ったときは想像つかなかったんだけど
実際に見ると似合っていた。
ヤパーロワと共に、話を引っ張っていった。
王子系は似合わないかもしれないけれど、
主役は合うな。
二人のバランス、踊りのテンションとかパワーとかも
拮抗していて、良く合っていた。

でー。
でーー。
ティボルトはオマールですよ。
もうねー。
全開でー。
スターブーツだよー。
ウハウハ。
役柄自体が濃くてしつこくて、
振付もそんなカンジなのでー、
もう、ピッタリ、というしか。
ああ、楽しい。
よく来てくれた、よく踊ってくれた、ありがとう!

ジュリエット父はツァル。
娘が言うこときかないと蹴る殴る。
実に横暴な父でした。
ジュリエットが追いつめられるのもわかるなー。

パリスはシェミウノフ。
金髪のヅラ(だよね)が
似合うんだか、なんだか。
悩める王子系。
きっと、女の子達の憧れの的なんだろうねえ。
ジュリエットに恋い焦がれているように見える。
舞踏会の段階で、すでに寝取られ風味。
まー、相変わらず背筋が美しくなく
足捌きも粗いけれど、
芝居の深みはある。
って、誉めているんだよー。

ジュリエット母はノヴォショーロワ。
なんか、格好良かった。

マキューシオはアルジャエフ。
死ぬ場面のソロを半分ティボルトに持って行かれたかんじだけど
お調子者な感じが良く出ていた。

ロミジュリって、
家vs家の話なのに、
ロミオ友人達と
ジュリエット友人達は
ちゃっかり仲良くなっている。謎。

ロレンス神父はミャスニコフ。
ダンサーによっては、お前が一番悪い!
そもそもなんでそんな薬を持っている!!
と怒る対象になっちゃうけど
ミャスニコフだと、二人を思ってー、とか
誠実な部分が良く出ているので
話運びに疑問が出ない。
薬を渡した後の悩む姿が辛かった。

群舞は総踊り的。
迫力はある。
衣装の色合いも華やか。

ヴィノグラードフ版って
まるっきり初めて見ると思ってたけど、
バルコニーの場面の
足を真横に上げる振りが
あまりにも単調に繰り返されて
「その動きはもう止めろー」
と思ったところで、
以前にもそう思った記憶が甦った。
どこかのガラで見たのかなー。
振付自体は面白味はなく、
話運びも上っ面をなぞるだけだから
キーロフのスタンダードにならなかったのも
よくわかるなー。

毎回は辛いけど、
たまに見るなら面白い版かも。


今日は「ロシア文化フェスティバル」の
クロージングの演目になるとか。
そーいえば、オープニングはダンチェンコのガラだったな。
今日の挨拶に上がった人の方が偉いのかな。
ダンチェンコの時よりロシア側の警備の人の数が多かった。
挨拶は開演前の方が良かったなあ。
休憩の合間だと話が分断されるよ。
登壇の人の都合もあるんだろうけどさ。

今回の公演は物販もあるみたい。
Tシャツとエコバックがあったかな。
銀行に行くのを忘れて現金がちょびっとしかなかったので
しみじみ見てないので詳細は不明。
今度はお金を多めに持って行こう。
パンフも立ち読み。
ハンスは、ペトホゥフ、オマールに加えツァルの名前も。
うわあああ!みんな見たいよ!


【配役】
ジュリエット:サビーナ・ヤパーロワ
ロミオ:デニス・モロゾフ

パリス:マラト・シェミウノフ
ティボルト:アレクサンドル・オマール
マキューシオ:ニコライ・アルジャエフ
生:クセーニャ・ルシーナ
死:アーラ・マトヴェーエワ
キャピュレット:ウラジミール・ツァル
キャピュレット夫人:アンナ・ノヴォショーロワ
モンタギュー:イリヤ・アルヒプツォフ
ヴェローナの領主:パーヴェル・マスレンニコフ
ロレンス神父:キリル・ミャスニコフ

ジュリエットの友人:
 ユリア・チーカ、ヤナ・アルフィモワ、
 オリガ・アストレイコ、マリア・ドミトリエンコ
ロミオの友人:
 アンドレイ・マスロボエフ、マクシム・ポドショーノフ、
 ニキータ・クリギン、パーヴェル・ヴィノグラードフ
隊長:アレクセイ・クズネツォフ、デニス・トルマチョフ
タランテラ:ニーナ・オスマノワ


指揮:パーヴェル・ブベルニコフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団
タイム・スケジュール
第1幕40分 休憩20分 第2幕25分 - 第3幕40分 (2 幕と3 幕の間は休憩無し)

■2010/12/12(日)「くるみ割り人形」ミリツェワ&シヴァコフ/レニングラード国立バレエ
会場が近いけど舞台からは遠い、
より、
会場は遠いけど舞台からは近い、
を選びました。
家から2時間弱だけど、1階16列でした。
体内レーダーは東京文化会館3階が基準なので
これだけ近いとどこをどう見ていいのやら。

会場に貼ってあったチラシは
ヤパーロワ&ヤフニュークでしたが
実際に踊ったのはミリツェワ&シヴァコフ。

私は、マールイ来日公演は
ここ数年、なにかしらは見に行きますが
全演目制覇はお財布的にはムリ。
好きな演目を選ぶと、どーしても「くるみ」はパスしがち。
会場も国際フォーラムが多いし。
年末なので予定が合わないことが多いし。

そんなわけでマールイの「くるみ」は久々。
なんか、もしかすると、キルサノワ主演以来かも。
演出、衣装、振付が、記憶とはちょっと違う。
ネズミって、灰色で被り物じゃなかったっけ?
ロシアのトロイカは、かなり昔の版だというのはわかっているけど。

んでー。
クララはミリツェワでっす。
主演で見るのは初めてだと思うんだけど、
予想以上に華やかでした。
可愛いのはわかっているんだけど、
舞台の真ん中で、光り輝いていました。
パ・ド・ドゥの最後がちょっと急ぎ足で荒くなったけど
概ね落ち着いた踊りでした。
クララの優しさや勇気も良く出ていました。
衣装は1幕も2幕も白。

シヴァコフはどうなんでしょ。
まだウォーミング・アップ中?
白いヅラは彼の魅力を3割は減らすので
良いのかどうだかが、いまいちわからんです。
特にミスはないけど、
もっと「できる子」って印象があるので。

ドロッセルマイヤーは、踊りまくりですね。
マラーホフの長い手足がとても綺麗に動いていて
見惚れちゃいました。
妖しいと怪しいとアヤシイが、絶妙なブレンド。

くるみ割り人形はクズネツォフ。
シヴァコフに比べると、調整完了絶好調。
メイクがあるから仕方がないけど
彼が通しでもいいんじゃないかなー、と思うくらい。
王子が美味しいところを持っていくって
どうなんかー、と演出に疑問。

1幕のパーティー。
大人組は背の高い人を揃えているので
(たぶんツァルとかオマールもいると思うけど、、、
 白ヅラは見分けるのが難しいです)
シェミウノフ君の背が飛び抜けていないのがイイかも。
いいお父さんです。
フリッツはトルマチョフ。
あー、いるよ、こういうクソガキ!
ってカンジでした。
子供達は、男の子側で子供に見えない人がいるのが
ちょい残念。
身長で振り分けているんだろうけど・・・
女の子達はみな可愛い

コロンビーナのドミトリエンコ、
ピエロのヴィノグラードフは
人形らしい動きだった。

ネズミの王様はヴェンシコフ。
いいねえ。
ノリノリだよ。
脚のラインが綺麗。

雪の群舞は、まあまあ、かな。
もうちょっと揃って欲しいけど、
雪の結晶がチラチラ光る雰囲気は出ていた。

2幕のお人形達もみんな良かった。
ユルバリソフの体格の良さが特に目立った。
3年後ぐらいにボリショイに引き抜かれそう・・・。

ワルツのソリストは超豪華。


そうそう!
久しぶりにプログラムを買いました!
ロットバルトは誰が入っているかなー、
とチェックしに行って
(先日はハンスだけチェックしに行ったのです)
そしたら、クリギン(父)のインタビューが載っているじゃないでスかー!
音響スタッフのヴァレリー・フィリポフさんのインタビューも載っています。
それと、来日30周年のためか、
いままでの(来日公演)ゲスト一覧も載っています。
うーんと、、、
私がマールイを初めて見たの
93年の1月公演かも。
エコバックは500円、
Tシャツは3000円だと思います。


とりあえずー。


配役
クララ:タチアナ・ミリツェワ
王子:ミハイル・シヴァコフ
ドロッセルマイヤー:アレクセイ・マラーホフ
くるみ割り人形:アレクセイ・クズネツォフ

フリッツ:デニス・トルマチョフ
父:マラト・シェミウノフ
母:オリガ・セミョーノワ
ネズミの王子:ミハイル・ヴェンシコフ
コロンビーナ:マリア・ドミトリエンコ
ピエロ:パーヴェル・ヴィノグラードフ
スペイン人形:ワーレリア・ザパスニコワ、リシャート・ユルバリソフ
中国の人形:ユリア・チーカ、アレクサンドル・ガヴリシ
アラビアの人形:
 オリガ・セミョーノワ、オリガ・ラヴリネンコ、スヴェズタナ・マルチナ、
 クセーニャ・ルシーナ、エレーナ・スヒーフ
パストラル:ナタリア・クズメンコ、エレーナ・シリャコフ、アンドレイ・ラプシャーノフ
トレパック(ロシアの人形):
 ナタリア・パルフョーノワ、アンナ・スーホワ
 ニコライ・アルジャエフ、ドミトリー・クドリャーフツェフ
ワルツ:
 オリガ・ステパノワ、ダリア・エリマコワ、
 マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ、
 アルチョム・プハチョフ、ニコライ・コリパエフ、
 デニス・モロゾフ、アンドレイ・マスロボエフ

指揮:ヴァレンティン・ボグダーノフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団

■2010/12/19(日)「M」東京バレエ団
健康的すぎて、三島らしさは感じられなかった。
5年前に見たときは面白かったのになー。
小林君は、さすがに存在感がある。
芝居をやっているときより、ずっと。

水香ちゃんの無機的なところは良かったし、
渡辺さんの脚のラインは美しかった。

そんだけ。


【配役】
少年:肥田宏哉
I-イチ:高岸直樹
II-ニ:後藤晴雄
III-サン:木村和夫
IV-シ(死):小林十市
聖セバスチャン:長瀬直義
射手:永田雄大
船乗り:平野玲
女:上野水香
海上の月:渡辺理恵


【禁色】
オレンジ:吉川留衣
ローズ:奈良春夏
ヴァイオレット:田中結子


【鹿鳴館】           
円舞曲: 高村順子、乾友子、佐伯知香
松下裕次、氷室友、小笠原亮、梅澤紘貴
貴顕淑女:西村真由美、高木綾、松浦真理絵、浦川里紗


ソファのカップル: 川島麻実子、柄本武尊

海:
森志織、村上美香、岸本夏未、阪井麻美、矢島まい、川島麻実子、
寺嶋麻衣、河合眞里、許山麻有、加茂雅子、森彩子、小川ふみ、
ニ階堂由依、大塚怜衣、田島由佳、三浦菜々美、宮下加瑞、
中居歩美、縫谷美沙、波江野彩、石井初美、河谷まりあ、伝田陽美、
二瓶加奈子、飯田鈴実、政本絵美

男:
高橋竜太、松下裕次、氷室友、小笠原亮、宮本祐宜、梅澤紘貴、
柄本弾、谷口真幸、安田峻介、井上良太、柄本武尊、岡崎隼也、
杉山優一、永田雄大、中村祐司、野尻龍平、森川茉央、佐藤瑶、
竹下虎志、宮崎大樹

ピアニスト:三原淳子

振付/美術・衣裳コンセプト:モーリス・ベジャール
音楽:黛敏郎、クロード・ドビュッシー、ヨハン・シュトラウスII世、
エリック・サティ、リヒャルト・ワーグナー、L.ポトラ/D.オリヴィエリ

■「ジゼル」レニングラード・国立バレエ
■2010/12/27(月)ペレン&ルジマトフ
ルジのアルベルトは07年1月末以来。
そのころから既に、踊りは昔ほどじゃなく
顔の口元あたりに年齢を感じた。
ただ、躍り以外の、存在感とか、身体のラインの美しさとか、
一言で言うなら「オーラ」が半端なく凄くて
それにクラクラしてた。

今回もそんなカンジ。
顔全体に年齢を感じる。
昔ほど飛ばないし動かないけど
それでも、ひとつひとつの動き、仕草が美しい。
ウットリする。
アルベルトの演技としては、まあ、普通というか。
往年ほど「彼岸」とか「霊感」を感じないし、
かといって、上から目線のプレイボーイでもない。
ただ、存在感がひときわあるので
農村の人とは明らかに違う、のがまるわかり。
違う世界の人、それがわかるので
悲劇に繋がるのに説得力がある。
ジゼルとの関係は・・・
遊びではないけれど、命を賭すほどではない、
ラブラブでなにも見えなくなるほどではない、
でも、大切。
ひたすら愛おしい。
そんなかんじかな。
2幕は「あっち側」に行きかけていたけど
ジゼルの「人間的な愛」で押し戻された、
そんなふうに見えた。
1幕の衣装に合わせたのか、髪がちょっと茶色。

ペレンは、田舎で伸び伸び育ったお嬢さん。
いい意味で「姫」らしさが無かった。
以前は、身分は高いけど冷たくて、って
そんなかんじだったけど、
今日は暖かみがあった。
心臓に持病はあるけれど、
精一杯生きて、精一杯愛して、
最後は愛する人を救えた。
この一生に悔い無し、みたい、
って、言い過ぎかなー。
私のイメージする可憐さ儚さはあんまり感じられなかったけど
これはこれで良し。
あ、でも、狂乱の場面は、とても繊細でした。
徐々に心が虚ろになっていくのがわかりました。
2幕で、アルベルトが倒れ込んだとき
顔を両手で覆っていた。
見てられない、見るのが辛い。
だから、アルベルトが生きていることを
とても嬉しく思う。
その気持ちの流れは人間的で、とても自然。
アルベルトもジゼルに救われたけれど
ジゼルもまた、魔物になる前にアルベルトに救われたんだろうなあ。
1幕の衣装は色が濃く、短めのスカート、
2幕の衣装は純白で長いスカート。
その対比も役に合っていた。
足音もあまりしなかった。
踊りにキレがあり、
まさに大輪の花が咲くような、華やかさがとてもあった。
いい具合に育っているなあ。

明日はシェスタコワ&ルジ。
また違った関係になるのかな。

ハンスはオマール。
前回(09年1月)は、一人で舞台にいるときは
大きい空間を持て余しているようなところがあったけど
今回はバッチリ。
むしろ舞台が狭く感じられるくらい
大きめで濃い演技。
成長したなー。
ただ、キャラ設定は前と同じかな。
見かけはむさいんだけど、中身は若い。
若い男の子が精一杯背伸びしているように見える。
ジゼルに対する気持ちは、
前回は「憧れのお姉さん」だったけど
今回はちゃんと、女性として愛している。
でも、ジゼルは眼中に無し、だね。
気の毒に。
2幕も良く飛んでたよ。
胸元は開けすぎじゃ・・・
惜しむらくは舞台から退場するとき。
素に戻るのが早すぎ。
もうちょっと引っ込んでから素に戻ろう。
客席から、まだ見えるんだよ。

従者はペトゥホフ。
慇懃無礼で、本当にご主人様を大切に思っていたけど
最後の最後は自分大事で逃げだしちゃった。
それだけウィリーは恐いんだろうなあ。

公爵はマラーホフさん。
カッコイイです。ステキです。

ペザントはミリツェワ&プローム。
プローム君は、すごく脚のラインが綺麗になった。
ジャンプの着地も音がしない。素晴らしい。
ミリツェワちゃんは、踊りの最後のキメ、が決められないこと多し。
ちょっと荒いかな。
可愛いからいいんだけど。

ミルタはクテポワさん。
美人だし、腕は長い。
後半の演技は良かった・・・かな・・・・・・。
もっと凄みが欲しいけどね。
グルホワ、カミロワも綺麗だった。
2幕の群舞は迫力があった。

思う存分好きなように演技をしていた
お貴族様<緑>はヴェンシコフかなあ。
槍持ちにツァルがいたのはわかった。
3階5列からでも、村人最前列の金髪男子は眩しかった。

明日も楽しみ~。


【配役】
ジゼル:イリーナ・ペレン
アルベルト:ファルフ・ルジマトフ

ミルタ:ヴィクトリア・クテポワ
森番ハンス:アレクサンドル・オマール
ぺザント・パ・ド・ドゥ:タチアナ・ミリツェワ、アントン・プローム
ベルタ(ジゼルの母):アンナ・ノヴォショーロワ
バチルド(アルベルトの婚約者):オリガ・セミョーノワ
公爵:アレクセイ・マラーホフ
アルベルトの従者 ロマン・ペトゥホフ
ドゥ・ウィリ:マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ


指揮:パーヴェル・ブベルニコフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽


■2010/12/28(火)シェスタコワ&ルジマトフ
やはり、と言うべきなのでしょうか。
今日の方が「深い」舞台でした。
踊りでやや息の合わない部分があったとはいえ
(2幕のパ・ド・ドゥのリフトでバランスを崩しかけたときは
 ものすごくビビった!)
「ジゼル」という演目においては
シェスタコワとルジは、独特の空間を作り上げます。
演技が噛み合い、気持ちが重なり合い、
彼岸が垣間見えるような、そんな世界です。
むかしほどじゃないけど、二人が合わさった事による
化学変化は確かにありました。

シェスタコワは、技術面はスペシャル!ってほどじゃないけど
演技を、役の感情を踊りで表すのがとても上手い。
儚げで、霊的で、献身的で。
ジゼルという役でイメージする部分を
とても具体的に表現します。
ビジュアルも合うよねー。
顔が小さいし。
前回は不調気味だったけど、今回はバッチリ。かな。

ルジの、尻上がりに調子が良くなるのも相変わらずで。
昨日よりも格段に良い。
たぶん、踊る上ではペレンとの方が楽なんだろうなあ。
ペレンの方が自分で踊ってくれるから
ルジの負担が少なそう。
でも、演技はシェスタコワとの方が合う。
ちょっとした目線が合う、とか
すべての動きが自然。
昨日より、はっきり、「愛」が見える。
1幕の終わりで「愛」を失った絶望、
2幕での後悔、
ジゼルのために、「死」の世界に行くのも厭わない。
ルジらしいアルベルトでした。
最後は、ジゼルを真に失ってしまった哀しみでしょうか。
慟哭、でした。
その激しさは
墓に絡まった草を
ぶっち切った
あたりにも
良く出てますよねー。
(これにはびっくりしたよー)
身体自体は昨日の方が動いていたかも。
2日連続のバジルって大丈夫なのかな。

ハンスはツァル。
初めて見ました。
オマールより演技が的確で自然。
熱く濃くクドいハンス。
でも、中身は乙女。
クリギン(父)でもオマールでもチェスノコフでもそう思うんだから、
マールイはこれが基本形なんだろうなあ。
ハンスのあご髭は形が決まっているのだろうか、
昨日のオマールと同じ形。
それでも、いつもより若く見えるのは、なぜ???
髪型???

ペザントはヤパーロワとヤフニューク。
ヤパーロワは安定した踊り。
むかしはシェスタコワもここに入っていたよなー、
と思い出す。
彼女にはいろんな役を踊って欲しいなあ。
ヤフニュークは、あんなにビジュアルが恵まれているのに
なんで魅力的じゃないんだろう。
なにが足りないんだろうか。
押し出し、みたいな部分?

ミルタはステパノワ。
出産してから、エレガンスな部分が増したかも。
恐くも美しい。
明らかに他のウィリーとは違う存在。
「女王」らしい威厳と凄み、支配力が感じられます。
こういうミルタが見たかったんだよ!

マラーホフの公爵様、
アルベルトがすがろうと(謝ろうと?)したら
拒絶して、去った。
落とし前は自分でつけろってことだな。

お貴族様。
「紫」が娘っ子にちょっかいをかける役かと思っていたけど、
違った。
何色の衣装を着ようとヴェンシコフがその役なんだな。

ペトゥホフの従者はルジと息が合っている。
台詞が聞こえてきそう。
でも、最後は「ちぇっ!」って仕草で
主人を捨てて逃げだすんだ。
今までの忠誠心は見せかけだったのか?
(なんちゃってねー)

今日は2階席で見ました。
昨日より舞台が近いので、
群舞が思っていたほど揃っていないのを発見。
それでも、ウィリーらしい「幽玄」の世界を作っていた。



【配役】
ジゼル:オクサーナ・シェスタコワ
アルベルト:ファルフ・ルジマトフ

ミルタ:オリガ・ステパノワ
森番ハンス:ウラジーミル・ツァル
ぺザント:サビーナ・ヤパーロワ、アンドレイ・ヤフニューク
ベルタ(ジゼルの母):アンナ・ノヴォショーロワ
バチルド(アルベルトの婚約者):オリガ・セミョーノワ
公爵:アレクセイ・マラーホフ
アルベルトの従者:ロマン・ペトゥホフ
ドゥ・ウィリ:マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ


指揮:パーヴェル・ブベルニコフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団

■2010年総括
単純に見に行った公演を抽出。
メインキャストが同じでも1公演でカウント。

「白鳥の湖」シェスタコワ&プハチョフ/レニングラード国立バレエ@国際フォーラム
「バヤデルカ」ペレン&ルジマトフ&シェスタコワ/レニングラード国立バレエ(1回目)
「バヤデルカ」ペレン&ルジマトフ&シェスタコワ/レニングラード国立バレエ(2回目)
「来日20回記念 レニングラード国立バレエ スペシャル・ガラ」
「白鳥の湖」ペレン&コリパエフ/レニングラード国立バレエ@新宿厚生年金会館
「白鳥の湖」コシェレワ&ザカン/レニングラード国立バレエ
「眠りの森の美女」シェスタコワ&ヤフニューク/レニングラード国立バレエ
「ラ・シルフィード」高木&柄本弾&田中/東京バレエ団(マイ・キャスト シリーズ)
「ラ・シルフィード」上野&サラファーノフ&西村/東京バレエ団
「マニュエル・ルグリの新しき世界 Bプロ ルグリと輝ける世界のスターたち」
「シルヴィア」セミオノワ&ゴメス/東京バレエ団
「シルヴィア」田中&木村/東京バレエ団(マイ・キャスト シリーズ)
「ジゼル」アナニアシヴィリ&ウヴァーロフ/グルジア・バレエ団
「シンデレラ」ジロー&パケット/パリ・オペラ座バレエ団
「ロミオとジュリエット」アナニアシヴィリ&ウヴァーロフ/グルジア国立バレエ団
「シンデレラ」ムッサン&ガニオ/パリ・オペラ座バレエ団
「ジゼル」ルテステュ&マルティネス/パリ・オペラ座バレエ団(ゲネプロ)
「ジゼル」ムッサン&ペッシュ/パリ・オペラ座バレエ団
「エイフマンのアンナ・カレーニナ」厚木&貝川&山本/新国立劇場バレエ
「ジゼル」酒井&ライマー/日本バレエ協会
「オープニング・ガラ」国立モスクワ音楽劇場バレエ
「ザ・カブキ」柄本弾、二階堂由依、他/東京バレエ団
「ザ・カブキ」後藤晴雄、上野水香、他/東京バレエ団
「オネーギン」吉岡&高岸/東京バレエ団
「オネーギン」斎藤&木村/東京バレエ団
「オネーギン」田中&後藤/東京バレエ団
「マラーホフの贈り物」Aプロ
「マラーホフの贈り物」Bプロ
「うたかたの恋」ワトソン、ガレアッツィ、ラム/英国ロイヤル・バレエ団
「ロミオとジュリエット」吉田都&マックレー/英国ロイヤルバレエ団
「バレエの神髄」
「コッペリア」宮嵜万央里&ティボー/井上バレエ団
「ベジャール・ガラ」東京バレエ団
「ドン・キホーテ」 小出領子&ダニール・シムキン/東京バレエ団
「ジゼル」コジョカル&ティボー/東京バレエ団(初日)
「ジゼル」コジョカル&ティボー/東京バレエ団(2日目)
「ジゼル」吉岡美佳&後藤晴雄/東京バレエ団@川口
「ジゼル」斎籐友佳理&木村和夫/東京バレエ団@横須賀
「ジゼル」上野水香&高岸直樹/東京バレエ団@越谷
「COLD SLEEP」川井郁子&ファルフ・ルジマトフ 1st collaboration
「白鳥の湖(マーフィー版)」スコット&ブル&ロウ/オーストラリア・バレエ団
「くるみ割り人形」ダン&カラン/オーストラリア・バレエ団
「ロシア・バレエのスター達 ボリショイ・バレエ×マリインスキー・バレエ 合同ガラ公演 2010」Bプロ
「ロシア・バレエのスター達 ボリショイ・バレエ×マリインスキー・バレエ 合同ガラ公演 2010」Aプロ
「ペンギン・カフェ」他/新国立劇場バレエ団
「80分間世界一周」モーリス・ベジャール・バレエ団
「3人のソナタ」「火の鳥」「アリア」/モーリス・ベジャール・バレエ団
「ロミオとジュリエット」ヤパーロワ&モロゾフ/レニングラード国立バレエ
「くるみ割り人形」ミリツェワ&シヴァコフ/レニングラード国立バレエ@多摩
「M」東京バレエ団
「ジゼル」ペレン&ルジマトフ/レニングラード国立バレエ
「ジゼル」シェスタコワ&ルジマトフ/レニングラード国立バレエ

52本。
マールイで始まりマールイで締めました。
オマールが成長したなあ。
東バもたくさん見た。
木村さんの主演が多くて嬉しかった。
「オネーギン」は、もっともっと見たいなあ。
柄本兄弟の活躍も目立ったね。
それ以外では、ニコラ君の「ボレロ」が圧巻だった。