感想文・2013年

■子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」東京バレエ団
■2013/01/05(土)沖&松野(1回目)
再演ということで
皆さんの役作りもばっちり。

沖さんは、前回感じた「回転系の弱さ」は
今回は見えませんでした。
ローズ・アダージオやグラン・パ・ド・ドゥも
安定していたと思います。
登場時はキラキラしていて目を惹きます。
ピンクの衣装がとても似合う。
砂糖菓子のように可愛らしく初々しく
でも踊りは落ち着いていて
しっとりと綺麗に音楽に乗っていました。
時々役が抜けて「学生さんの踊り」というのか
生真面目に教本通り、みたいな時があったかな。
自分を出しつつ役を演じるのは難しいよね。
そのあたりは今後に期待。
顔のパーツが大きいから
ヅカメイクをしたら似合いそう・・・

松野くんは、踊りの技術も
物語への溶け込み方も完成度が高い。
サポートも上手くて、
時々軸がブレる沖さんを、
ささっと真っ直ぐに直すなど
さげない力業がとても良いです。
リフトも安定感があります。
踊りは実に伸びやかで
長い手足がとても綺麗に伸びて爽快です。
王子のキラキラ感もたっぷり。
もうちょい真ん中オーラが来れば完璧だな。
弾くん松野くんのラインは、
さながら紅・真風。
そりゃ中堅は辞めるわなあ。

リラの精は渡辺さん。
1場のソロは若干音楽に合わず
ラストのキメも崩れたけど
温かい雰囲気は母性を感じさせ
オーロラの成長を見守るその視線がとても優しい。
キャリア的にも他の妖精より「お姉さん」なので
無理なく妖精の真ん中で踊るのが似合っていました。

カラボスは矢島さん。
美しくて怖い系。
ドレス捌きも綺麗に決まっていました。

カタラビュットは氷室くん。
台詞は聞き取りやすく滑らかで、
説明もわかりやすかった。
どこかで戦場カメラマン風の喋りがあった???

妖精さん達は
登場から下手に行くとき
(贈り物のボールを渡した後)
それぞれのソロの踊りが入っていたんだね。
今日初めて気がついた。

4人の王子はおそろい衣装ではなく
アラブ、ヨーロッパ、、、あとはどこだろう、
とにかく「それぞれ違う国ですよー」と
わかりやすくなってました。

結婚式出席者では
フロリナの三雲さんの踊りがとても美しかった。
着地音がしない梅澤さんのジャンプも綺麗だった。
森川くんの狼は、踊りも良いけど
踊り以外での小芝居も可愛く楽しかった。


幕が下りた後はミラーボールが突如回り出す。
(つい癖で下手を見たりして)
メインキャストが前方左右の扉から登場し
1階客席を練り歩きました。
テンション上がったわー!

短縮版は気軽で安くていいね。

側転したカラボス手下のヅラが外れたり
2場の下手側のカーテンがなかなか開かなかったり
パノラマの布の移動が微妙だったり
ちょっとしたアクシデントもありましたが
上手く乗り切っていました。


◆主な配役◆

オーロラ姫:沖香菜子
デジレ王子:松野乃知
リラの精:渡辺理恵
カラボス:矢島まい
カタラビュット(式典長):氷室友
王さま:永田雄大
王妃さま:小川ふみ

<プロローグ・第1幕>

乳母:河合眞里
優しさの精:村上美香
やんちゃの精:岸本夏未
気前よさの精:大塚怜衣
のんきの精:古閑彩都貴
度胸の精:阪井麻美
4人の王子:梅澤紘貴、森川茉央、安田峻介、杉山優一
オーロラの友人:河谷まりあ、二瓶加奈子、政本絵美、三雲友里加

<第2幕>

フロリナ王女と青い鳥:三雲友里加、梅澤紘貴
白い猫と長靴をはいた猫:岸本夏未、吉田蓮
赤ずきんとおおかみ:古閑彩都貴、森川茉央
シンデレラとフォーチュン王子:村上美香、杉山優一
白雪姫:政本絵美



◆上演時間◆

<プロローグ・第1幕> 12:30 - 13:15

休 憩 15分

<第2幕> 13:30 - 14:10


■2013/01/05(土)吉川&宮本
中堅の二人が初役・主演に挑戦です。

吉川さんは、正直なところ、
予想の範囲内というか。
美人だけど、いまいち華が無く
目を惹かない。
踊り自体はソツがなく、
ローズ・アダージオも安定してると思うけど
盛り上がりに欠けるのがとても残念。
中堅でももっと年齢が上だと
こういう公演で主演することもできないんだから、
せっかくのチャンスを、もっとガツガツと
攻めて欲しかった。
そういうキャラじゃ無いとしても、
じゃ、今日のオーロラと
いつもの(青い鳥の)フロリナと
どこが違うかと言えば、衣装だけの状態で。
もうちょい役作りを見せて欲しかったなあ。

逆に宮本さんは意外と王子が合っていた。
松野くんに比べるとキラキラ感は足りないけど
熱血さでカバー。
マイム、演技がわかりやすい。
動きもかなり「古典のノーブル」。
なによりも、「人に見せる踊り」のキャリアがいい具合にあり、
客に訴えるなにかがある。
出だしは灰色タイツだったせいか、
王子衣装がそんなに違和感が無かった。

カタラビュットは岡崎くんで
氷室くんより冒頭の説明は短め。
喋りに硬さは残るけど
聞きやすい声だった。

リラの精は二瓶さん。
渡辺さんが母性なら
二瓶さんは、なんちゅーか、
オカンテイストというか。
ちょいと押し出しが強く
それが妖精のリーダーぽくて
私は好きかも。
カラボスは伝田さんで
矢島さんよりキャラクター色が強いかな。
リラの対決は火花バチバチで面白い。

本日2回目だけど
やっぱり青い鳥コンビはいいな。
問題は、この上、なんだよね。
ソリストとプリンシパルの壁をどう越えるか。
楽しみにしてるよー!


◆主な配役◆

オーロラ姫:吉川留衣
デジレ王子:宮本祐宜
リラの精:二瓶加奈子
カラボス:伝田陽美
カタラビュット(式典長):岡崎隼也
王さま:永田雄大
王妃さま:小川ふみ

<プロローグ・第1幕>

乳母:河合眞里
優しさの精:村上美香
やんちゃの精:岸本夏未
気前よさの精:大塚怜衣
のんきの精:古閑彩都貴
度胸の精:阪井麻美
4人の王子:梅澤紘貴、森川茉央、安田峻介、杉山優一
オーロラの友人:河谷まりあ、政本絵美、加藤くるみ、三雲友里加

<第2幕>

フロリナ王女と青い鳥:三雲友里加、梅澤紘貴
白い猫と長靴をはいた猫:岸本夏未、吉田蓮
赤ずきんとおおかみ:古閑彩都貴、森川茉央
シンデレラとフォーチュン王子:村上美香、杉山優一
白雪姫:政本絵美



◆上演時間◆

<プロローグ・第1幕> 16:00 - 16:45

休 憩 15分

<第2幕> 17:00 - 17:40
 

■2013/01/06(日)沖&松野(2回目)
ほんとは3キャストを見る予定だったんだけどね。
配役変更のため今日は沖&松野組2回目。

本番はパフォーマーを鍛えるのか
2人とも昨日よりさらに良かったです。

沖さんは登場した瞬間の溌剌さが
なんとも言えず、素晴らしい。
実に生き生きしている。
踊っているときは大きく見えるけど、
踊り終わって王子達と並ぶと小柄なのに気が付く。
こういうマジックが発動できるのがすごいわ。

松野くんも背筋も手足もすっきり伸びている。

カラボスは川島さん。
渡辺さんのリラとのソリスト対決は大迫力。
本公演でも見たいなあ。

氷室くんの喋りも、
さらに滑らかになっています。

しかし・・・。
「贈り物は取り消せない」から、
「100年後に目覚める」に変えるのは仕方がないけど、
「ハンサムな王子様のキスで目覚めます」
のオプションって必要?
たんにリラの趣味じゃあ・・・。

そうそう。
妖精ちゃんの衣装の飾りはみな同じなんだね。
濃い色(青、水色、緑、紫)は
上半身部分の地模様が強く出ちゃうので、
ちょい遠目だと後付けの飾りと混じって
違う衣装に見えちゃうんだよね。
配役表に妖精の衣装の色も書いてくれると
わかりやすいんだけどなあ。

最後の挨拶、
2階には式典長と小姓さん達が来たみたいだね。
式典長さんの台詞でわかった。
2階が置いてきぼりじゃなくて良かったわ。

チケットを買ったときは3キャストだったけど、
沖&松野が2回なら、
1回は2階席から見たかったな。
どうしようもないけどさ。
今日は若手キャストが多かったけど、
とても充実してました。

子どものため、と銘打っているんだから、
リラが差し出す剣はライトセーバーでも
良いんじゃないかあ。
その方が遠目からでもわかりやすいし。
私の趣味で言ってるんじゃないよ!(嘘)

昨日は気が付かなかったけど
前回版にはいた宝石ちゃん達がいなくなったんだね。
ちょい寂しい気もするけど
今回の式典長の踊り&小姓の踊りの方が
流れとしてはすっきりしてるかも。


◆主な配役◆

オーロラ姫:沖香菜子
デジレ王子:松野乃知
リラの精:渡辺理恵
カラボス:川島麻実子
カタラビュット(式典長):氷室友
王さま:佐藤瑶
王妃さま:稲葉菜々

<プロローグ・第1幕>

乳母:大塚怜衣
優しさの精:高浦由美子
やんちゃの精:河合眞里
気前よさの精:加藤くるみ
のんきの精:宮下加瑞
度胸の精:金子仁美
4人の王子:梅澤紘貴、森川茉央、杉山優一、永田雄大
オーロラの友人:小川ふみ、河谷まりあ、二瓶加奈子、三雲友里加

<第2幕>

フロリナ王女と青い鳥:河谷まりあ、杉山優一
白い猫と長靴をはいた猫:金子仁美、岡崎隼也
赤ずきんとおおかみ:宮下加瑞、安田峻介
シンデレラとフォーチュン王子:高浦由美子、梅澤紘貴
白雪姫:小川ふみ



◆上演時間◆

<プロローグ・第1幕> 12:30 - 13:15

休 憩 15分

<第2幕> 13:30 - 14:10

■「ベジャール・ガラ」東京バレエ団
2013/01/19(土)(中国の役人:小林十市)
「ドン・ジョヴァンニ」 音楽:フレデリック・ショパン (モーツァルトの主題による)
 ヴァリエーション 1:川島麻実子、河谷まりあ、沖香菜子
 ヴァリエーション 2:阪井麻美
 ヴァリエーション 3:高木綾、岸本夏未
 ヴァリエーション 4:西村真由美
 ヴァリエーション 5:奈良春夏
 ヴァリエーション 6:上野水香
 シルフィード:吉川留衣


悲しいまでにキラキラ感が皆無。
佐野さんや荒井さんがいた頃に比べると
魅力がものすごーーく薄い。
女子の妄想力も感じられないので、
ストーリーも見えてこない。
ダンサーは愛着がある子達ばかりなのに。
振付家本人がいないとここまで伝播力が低下するのか。
ベジャールの言語って
「時代と国を超えて普遍的」だと思っていたけど
今日この時はそれを感じなかった。
踊りの技術レベルは低くはないと思うんだけど、
時間がたって言語が陳腐化したのか
若い人にはこの言語の本質を表現することが難しいのか。
(JCSの曲が、キヨミチやスンラさんが歌うと
 アンチテーゼのロックになるのに
 若いあっきーが歌うと
 たんなるポップスになっちゃうような
 それと似たようなかんじ???)
わからないわー。


「中国の不思議な役人」 音楽:ベラ・バルトーク
 無頼漢の首領:後藤晴雄
 第二の無頼漢―娘:小笠原亮
 ジークフリート:柄本弾
 若い男:西村真由美
 中国の役人:小林十市


それなりに面白いけど。
後藤くんも小笠原くんも、
もっと振り切ったのを見てるからなあ。
小林くんは「なにを考えているかわからない」系?
西洋人の中の東洋人的な。
異種だけど人間、みたいな。
死んだと思っても
「前と同じように」立ち上がってくる。
そこが不気味。
踊りのキレはとても良く
現役でまだまだいけるんじゃないかと思うくらい。
ダンサー引退は惜しい。


「火の鳥」 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
 火の鳥: 木村和夫
 フェニックス:柄本弾
 パルチザン:
  乾友子、奈良春夏、川島麻実子
  氷室友、宮本祐宜、梅澤紘貴、岡崎隼也、吉田蓮


若い弾くんがしなやかに踊っている。
火の鳥が木村さんで、フェニックスが弾くんって、
肩ポンの引継ダンスのようだ。
この踊りのように上手く世代交代ができるといいなあ。

木村さんは気合いが入りすぎたのか、ちょい不安定?
でも、それも木村さんらしいか。
最後は清々しい笑顔だった。



◆上演時間◆
「ドン・ジョヴァンニ」15:00 - 15:25
【休憩】15分
「中国の不思議な役人」15:40 - 16:15
【休憩】20分
「火の鳥」16:35 - 17:00


■2013/01/20(日)(中国の役人:木村和夫)
「ドン・ジョヴァンニ」 音楽:フレデリック・ショパン (モーツァルトの主題による)
 ヴァリエーション 1:加藤くるみ、三雲友里加、高浦由美子
 ヴァリエーション 2:矢島まい
 ヴァリエーション 3:河合眞里、伝田陽美
 ヴァリエーション 4:乾友子
 ヴァリエーション 5:奈良春夏
 ヴァリエーション 6:渡辺理恵
 シルフィード:吉川留衣


席のせいかもだけど、
今日の方がウキウキ感があった。
伝田さんはもっと笑顔を!
(終始恐い顔だった)
でもやっぱり妄想力が薄いかなあ。
だからオチも生きない。

渡辺さんが優美で暖かい踊りだった。
とても美しかった。

ドンファンは十市くんだったんだってね。
確かに、昨日て違ってバリバリ演技してるなー、
と思ってたけど。
でも、無造作に通り過ぎる方が
演出的には合っているんじゃ・・・?


「中国の不思議な役人」 音楽:ベラ・バルトーク
 無頼漢の首領:森川茉央
 第二の無頼漢―娘:小笠原亮
 ジークフリート:柄本弾
 若い男:田中結子
 中国の役人:木村和夫


すごく良かった!
森川くんと小笠原くんの力関係も良かった。
小笠原くんに、「男性が女性役」が、
さらに倒錯して「男性に支配され女になっている男性」、
のようなニュアンスがある。
より複雑な関係っぽくてイイわ~。

木村さんも不気味。
起き上がるごとに人間離れして、
さらにパワーアップしている。
怖いけど楽しい!

カーテンコールで飯田芸監が花束を差し出したとき、
「自分に?」と、戸惑っていた木村さんが可愛かったわ~。
その後は客席に投げキッス。
嬉しいけど、
もうこの役が最後なのが感じられて寂しい。


「ギリシャの踊り」 音楽:ミテキ・テオドラキス
 I.イントロダクション 
 II.パ・ド・ドゥ(二人の若者):宮本祐宜-岡崎隼也
 III.娘たちの踊り 
 IV.若者の踊り 
 V.パ・ド・ドゥ:小出領子-梅澤紘貴
 VI.ハサピコ:上野水香-高岸直樹
 VII.テーマとヴァリエーション 
 ソロ:後藤晴雄
 パ・ド・セット:
  西村真由美、乾友子、高木綾、
  渡辺理恵、村上美香、吉川留衣、矢島まい
 フィナーレ:全員


結局、高岸さんの存在感が圧倒的すぎて。
他もいいんだけど、世代交代は難しいね。
たくさんのダンサーが出てカーテンコール、
は、それはそれでいいんだけど、
「役人」のあとに、
ほんわかなプログラムが来ると
気が抜けて仕方がない。
最後は盛り上がって帰りたいわ。

宮本くんと岡崎くんが
かなりしっかりしてきたなー。


アッサンブレ会員特典の写真は、
小林くん、木村さんとも「役人」でした。
「写真付き」と言われると
「動員をかけられた」と自動変換するヅカ脳なので
頑張って友人を誘いましたよ。
感想を聞いたら「男性陣は背が低い人が多い?」でした。
痛いところを・・・


◆上演時間◆
「ドン・ジョヴァンニ」 15:00 ~ 15:25
 休憩 15分
「中国の不思議な役人」 15:40 ~ 16:15
 休憩 20分
「ギリシャの踊り」 16:35 ~ 17:10

■2013/02/03(日)「バレエ・ガラ」東京バレエ団
「テーマとヴァリエーション」
渡辺理恵、木村和夫
西村真由美、奈良春夏、吉川留衣、川島麻実子
宮本祐宜、梅澤紘貴、森川茉央、松野乃知


吉岡さんは怪我で降板で、代役は渡辺さん。
ちゃんとものにしていて、
順調に着実にステップアップ。
掴んだチャンスを生かせるのは素晴らしいなあ。
背丈、顔の大きさ、腕の長さのバランスがとても良くて
1階最後列からみても、見栄えがする。
踊りの雰囲気が柔らかいのが良いね。
もうちょい「私が真ん中で踊りますが、なにか?」的なオーラがあるといいけど、
さすがにまだ無理か。

木村さんはとても端正でした。
美しい脚のラインを堪能。
後半の動きがほんの少しブレたかな?
渡辺さんも良いんだけど、
やっぱりプリンシパルは舞台真ん中に進むとき
来た来たーー!っていうワクワク感があるよね。
こういう踊りはあと何回見られるんだろう。

久々に見た東バ@バランシンだけど、
(この演目を見るのは
 もしかして2005年以来?)
みんなキラキラしていたよ!


「スプリング・アンド・フォール」
第一楽章 モデラート
後藤晴雄
宮本祐宜、梅澤紘貴

第二楽章 テンポ・ディ・ヴァルズ
小出領子
西村真由美-森川茉央、吉川留衣-梅澤紘貴、
川島麻実子-宮本祐宜、河合眞理-原田祥博
村上美香、河合まりあ、氷室友

第三楽章 スケルツォ、ヴィヴァーチェ
後藤晴雄
宮本祐宜、梅澤紘貴
氷室友、小笠原亮、岡崎隼也、森川茉央、
安田峻介、永田雄大、原田祥博
小出領子

第四楽章 ラルゲット
小出領子-後藤晴雄

第五楽章 フィナーレ、アレグロ・ヴィヴァーチェ
全員


コンテのような
物語のような
その中間のような
両方でもあるような、
なんとも不思議な世界。

後藤くんは気力みなぎる、
でも力が入りすぎない、
むしろ美しい踊り。
素晴らしい!

小出さんの一つ一つが的確なおかつ音楽的な踊りは
やっぱり好きだなあ。

清冽な世界だったな。
若手が多かったけど
それゆえの透明感のようなものが
すごくピッタリだった。
綺麗な作品だよね。


「ボレロ」
上野水香
宮本祐宜、柄本弾、梅澤紘貴、森川茉央


水香ちゃんがすごく良かった!
女王様と下僕ではなく、
最前線で兵士達を鼓舞する女将軍のようだった。
兵士達の上に存在するけど、
同時に、
共に傷つき血を流す同士でもあった。
腹の底から情熱を叩きつける。
でも女性ゆえの魅惑的な部分も
男性がついていく理由の一つでもあって、
みたいな部分もちゃんと出ていた。
リズムとの一体感といい、
余裕綽々のギエム姐さんのメロディーより、
私は好きだな。

リズムのメンバーがずいぶん変わっちゃったんだなあ・・・。


休憩込みで2時間のプログラムに
片道2時間半をかけていったけど
とっても満足しました!
行って良かった!!

■2013/02/20(水)「ジゼル」クリメントヴァ&ムンタギロフ/新国立劇場バレエ団
今日の主演はゲスト組。
古川くん目当てだから選びようがなかったんですが
すごく当たり!でした。

クリメントヴァもムンタギロフも
型芝居がキチッと決まっている。
古典はこうでなければ。
だからといって踊りが固いというわけではなく、
むしろ柔らかくてしなやかで軽やか。

1幕の2人はラブラブで、
でもバカップルではない
瑞々しくて初々しい。
2人とも初恋なのかもなあ。
アルベルトは恋に夢中すぎて
自分の立場がわかっていないけど
ムンタギロフにノーブルな雰囲気があるせいか
あほボンには見えない。

クリメントヴァのジゼルは
遠目(4階から)だと
アルテナイの踊りを思い出す。
可憐でひたむき。
年齢的なものなのか、
最後の動きを省略しているかな?
と思うときが何回かあったけど、
ジゼルという役を表現するのに不足では無かった。
狂乱の場面は明らかに「狂気」。
最近は内側に向かってホロホロ溶けていくような、
自己崩壊系が多いので、
ちょっと新鮮だった。
すごく痛々しかった。辛かった。

2幕のクリメントヴァの浮遊感が
とても素晴らしかった。
アルベルト会うまでは無表情で、
彼と触れあい、愛を確かめるところは人間で、
別れるときまた無表情なのは
人間ではない精霊、ということなのかなあ。

2人とも演技を踊りに乗せるのがとても上手く
細かい気持ちが良く伝わってきた。

ムンタギロフはとてもキラキラしていて、
そりゃ、村娘はイチコロだよね。
長身で手足も長いけど、
上手くコントロールできていて
すっきり伸びつつとても優雅。
これから旬を迎えるんだろうな、
という期待を持たせる。
回転もジャンプも軸が全くブレない。
いちいち綺麗に正確にピタッと止まる。
でも動き自体は止まらずちゃんと流れている。
こういう細かいところがしっかりできるのは
とても好ましいなあ。
パ・ド・ドゥの後のジャンプも
ドン・キかと思うようなダイナミックな技だったんだけど、
やり過ぎ感は皆無で、
むしろ一人だけ「熱い赤い血が流れている人間」のように感じられた。

この主演ペアを見ることをできたのは
とてもラッキーだった!
ムンタギロフ、これから来るよ!

お目当ての古川君は、
髭がむさいビジュアルだけど
雰囲気としては、爽やかなぐらい。
ちょいと植草かっちゃんに似てるかなあ。
ジゼルを純粋に愛している青年。
2人の間に割り込むことは絶対できないけど
でも、横恋慕感薄いかな。
木村さんや後藤さんが基準だと
ウザさ鬱陶しさが足りないかも。
あれだけジゼルを愛しているのに
報われない上、ウィリに殺されて気の毒だわ。

ミルタの堀口さんはあんまり好みじゃないな。
キビキビ動きすぎて、忙しない。
常に次の動きを考えているようで、
動きの「トメ」止めがなく、メリハリに欠ける。
決めの前に「ハッ!」と気合いを入れるような動きが多く
精霊らしい情緒がない。
もうちょい、しっとり感が欲しいなあ。
ドゥ・ウィリはフワッとした踊りで良かったよ!
特に厚木さんは人間じゃない雰囲気がだった。

ペザントは、若いダンサーが頑張っているなあ、と。

トレウバエフの公爵は、ちょっと若い。
楠元さんのバチルドは、良い意味で上から目線。
驕慢ではないけど、明らかに身分が高い人。
ジゼルとは「違う世界の人」というのがよくわかった。

公爵達に対して、ベルタやジゼルが
いちいちお辞儀するので
身分差を明確になっている。
冒頭、ハンスは小さい花束を持って登場、
それをジゼル宅に飾るけど、
1幕途中のところで、
(アルベルト宅捜索のあたり)
その花束を取り出し、頭を振り、地面に投げ、
思いが届かないと自覚する。
などなど、理論的とも、説明臭いとも思う演出は
英国風味なのかなあ。
チラシ等にはビントレー演出とは書いてないけど、
ピーター・ライトや熊川くんの作品に感じるものを
こちらでも感じた。
セルゲーエフ版は元々こうなのかな。

群舞は、1幕はソツなく。
2幕は美しかった。

オケもすごく良かった!
澄んだ音で、かます楽器が無かった!
井田さんの指揮もイイんだわ。
豊かな音で、
物語を熟知した上でダンサーの個性を尊重し
呼吸まで合わせてくれる。
ありがたや。


【配役等】
ジゼル:ダリア・クリメントヴァ
アルベルト:ワディム・ムンタギロフ
ミルタ:堀口 純
ハンス:古川和則
クールランド公爵:マイレン・トレウバエフ
バチルド:楠元郁子
村人のパ・ド・ドゥ:米沢 唯 福田圭吾
ドゥ・ウィリ:丸尾孝子、厚木三杏


指揮:井田勝大
管弦楽:東京交響楽団

■2013/03/04(月)「ディオニソス組曲」「シンコペ」「ボレロ」/モーリス・ベジャール・バレエ団
「ディオニソス組曲」
振付:モーリス・ベジャール  音楽:マノス・ハジダキス

ディオニソス:オスカー・シャコン
ギリシャ人:マルコ・メレンダ
ゼウス:ハリソン・ウィン
セメレー:ポリーヌ・ヴォアザール
マヌーラ・ムウ*:リザ・カノ(*ギリシャ語で"私のお母さん"の意)

タベルナ(居酒屋)の人々
ギリシャの女:リザ・カノ
上流社会の婦人:マーシャ・ロドリゲス
アナーキスト:フロレンス・ルルー=コルノ
娘:キアラ・パペリーニ
二人の水夫:那須野圭右、ヴィタリ・サフロンキーネ
労働者:フェリペ・ロシャ
ジゴロ:ローレンス・リグ
学生:ウィンテン・ギリアムス、エクトール・ナヴァロ
船長:アンジェロ・ムルドッコ
ならず者:ファブリス・ガララーギュ
ギリシャの農民:ホアン・ヒメネス
若者:大貫真幹
他、モーリス・ベジャール・バレエ団


予備知識無しで見たけど面白かった。
「西洋文明発祥の地ギリシャ」と「西洋人」は
こんなに自然にリンクするんだな。
東バで感じる違和感は皆無だった。

ギリシャの酒場と、神話の世界と、
エネルギーの塊をあらわすような、
単純にダンサーの踊りと、
それぞれに存在し、
それぞれが影響し合うような。
具体的な話を見つけなくても充分楽しめる。

1月に東バの「ドン・ジョバンニ」を見たとき
あまりにもベジャールらしさが希薄で
こうして忘れられていっちゃうのかなあ、
本人がいないと伝わらないのかなあ、
と、少し寂しく思ったけど
こちらは、当たり前なのかもしれないけれど、
ベジャールらしさも濃厚に詰まっていた。
上手く受け継がれて行くと良いなあ。


「シンコペ」
振付:ジル・ロマン  音楽:シティ・パーカッション

序曲:ガブリエル・アレナス・ルイーズ-エリザベット・ロス
水滴の踊り:
カテリーナ・シャルキナ-オスカー・シャコン
キャサリーン・ティエルヘルム-ホアン・ヒメネス
シモナ・タルタグリョーネ -マルコ・メレンダ
リザ・カノ-イケル・ムリーリョ・バディオラ
フロレンス・ルルー=コルノ-ウィンテン・ギリアムス
ソロ:ガブリエル・アレナス・ルイーズ
トリオ:カテリーナ・シャルキナ-オスカー・シャコン-ホアン・ヒメネス
パ・ド・ドゥ:アランナ・アーキバルド-ガブリエル・アレナス・ルイーズ
パ・ド・ドゥ:カテリーナ・シャルキナ-オスカー・シャコン
白衣の踊り:
キャサリーン・ティエルヘルム、シモナ・タルタグリョーネ、フロレンス・ルルー=コルノ、
キアラ・パペリーニ、リザ・カノ、イケル・ムリーリョ・バディオラ、マルコ・メレンダ、
ウィンテン・ギリアムス、ホアン・ヒメネス
パ・ド・ドゥ:コジマ・ムノス-アンジェロ・ムルドッコ
若者の踊り:
ガブリエル・アレナス・ルイーズ、オスカー・シャコン、イケル・ムリーリョ・バディオラ、
マルコ・メレンダ、ウィンテン・ギリアムス
ソロ:エリザベット・ロス
フィナーレ:全員


ジルの新作ってどんなものか想像がつかなかったけど、
適切な表現ではないかもしれないけど、
ストーリーの進行・展開がショーダンスのようで
私には見やすかった。

ただ動き(ステップ)自体は平凡だし、
布の隙間から手がニョロニョロは
あまりにも昭和な表現だ。
衣装やライトや、人の動かし方は良いと思うので、
ジルのセンスを生かせる振付家が見つかればなあ。

哲学より、視覚的な部分が前面に出る作品を
作る人なんだなあ。
そのぶん、こんじまり、まとまりすぎちゃうのかな。


「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール  音楽:モーリス・ラヴェル

メロディ:ジュリアン・ファブロー
リズム:那須野圭右、マルコ・メレンダ、アンジェロ・ムルドッコ、イェー・ルッセル
他、モーリス・ベジャール・バレエ団

協力:東京バレエ団、東京バレエ学校


ジュリアンのメロディーは
狂信者で、教祖で、煽動者で、とても戦闘的。
若者達に命を投げ出せ!と、けしかける。
若者達の祈りが結集し、
うねるひとつのエネルギーとなり、
集約された彼等の命はメロディに捧げられ、
その中でメロディは息絶える。

5階からだとエネルギーの流れが良く見えた。
素晴らしかった!
人間の肉体というより
エネルギーそのものだった。

白人男性のメロディを見るのは初めて。
リズムの腰振りは、
女性のメロディに対しては卑猥な部分も滲み出るけど、
男性だけだと、皆の呼吸がひとつになったと実感させる動きだった。
こうも変わるんだなあ。

ジュリアンはとてもしなやかなで、
なおかつ、ダイナミックな踊り。
赤の円卓が小さく見えるくらい
激しく大きい踊りだった。

スタミナが尽きかけたのを奮い立たせるように
最後に向けて盛り上がっていった。
途中の何度か雄叫び発声。
断末魔の叫びのように。

東バからのリズムには、小笠原くんや宮本くんも。
小笠原くんの頭髪がとてもボリューミーだった。

終演後のトークは通訳さんのマイクの音響が悪く
5階席では話の内容は半分以上わからなかった。
踊らないジルは年相応のビジュアルなんだな。


◆上演時間
「ディオニソス組曲」 19:00 - 19:55
「シンコペ」 20:15 - 20:55
「ボレロ」 21:05 - 21:25

■2013/03/09(土)「眠れる森の美女」コレゴワ&コルプ/牧阿佐美バレヱ団
コルプの眠り全幕が今回で最後だと聞き、
行ってきました!


コルプの王子は、
ナルシストでもなく、自分に酔いしれるのでもなく、
騎士道精神のような高潔な気持ちから姫を救い出すように思える。
イケイケになりすぎない、
ほどよく抑制がきいた踊りは品がある。
プロフィール写真とかソロ作品ではアヤシイ系なんだけど
古典全幕だと端正な王子まさになるんだよね。
さすがだわー。

長身をきれいにコントロールして
手足もすっきり動いていました。

ただこの版は、幻影、目覚め、グラン・パ・ド・ドゥの
3つの踊りが休憩無しの1時間に詰まっているので、
後半はちょっとお疲れ気味だったかも。
舞台が狭めのせいか、ジャンプのキメが
幕ギリギリになって
このまま袖に入っちゃうんじゃないかと思ったよ!

グラン・パ・ド・ドゥの衣装は
紫のベスト、紫のタイツ?でも生地はベルベットっぽい?に
青紫?のベルトなような布に、
腹まわりはゆったりとしたブラウスと、
なんともいえない衣装だった。
牧バの?
それともコルプの?
どちらにせよ、彼らしい。
白い衣装が見たかったけどなー!

コレゴワはマールイの「ドン・キ」のゲストで見たことがある。
前半はそのときのとおり、威勢は良いが情緒のかけらもなかった。
顔は可愛いのに全体的に美しく見えないんだよなあ。
脚のラインもイマイチだし。
目覚めの踊り後半からは
綺麗に音楽に乗れるようになった。

ここの版は、王子のキスで姫が目覚めた後に踊り有り。
音楽はマールイの「パノラマ」のところ。
指揮がアニハーノフさんで。
前半はやっぱり打楽器爆裂系で。
でもこの「パノラマ」は、
実に、優雅で雄弁で美しかった!
この音色が聞けて涙が出て来たよ。
バーミンガム・ロイヤルも同じ踊り・曲があったけど
情感が足りなかったんだよね。
今回はマールイのオケではないけど
アニハーノフさんらしい豊かな音が聞けて良かった!!


牧バはかなり久しぶり。
衣装が豪華でイイねえ。
群舞は揃っているけど、小さくまとまり過ぎかなあ。
妖精ちゃん達は個性があまり見えず、インパクトが薄い。

その中で、ブルーバードの清瀧さんが素晴らしく良かった!
軽々と、重力を感じさせないジャンプ。

リラの精の吉岡さんは妖精をまとめる役職のような求心力があった。
オーロラをはじめ、人間達に対する暖かい愛情も感じられました。
カラボス役はドレスを着た男性で
今回の保坂さんは1幕の登場等は迫力があるのに
最後はどうしてあんなにあっさり退場するんだ?
(眠り全般にいつも思う疑問)


それにしても。
時間配分が悪い気がする。
休憩を増やせないのなら、2幕は目覚めまでにするとか。
主演ダンサーはキツいんじゃないかなあ。
私が他の版に慣れすぎているだけかもだけど。


【主な配役】
オーロラ姫:アナスタシア・コレゴワ
フロリモンド王子:イーゴリ・コルプ

リラの精:吉岡まな美
カラボス:保坂アントン慶
フロレスタン王:森田健太郎
王妃:坂西麻美

水晶の泉の精(美):茂田絵美子
魅惑の庭の精(強さ):佐藤かんな
森の聖地の精(優雅):三宅理奈
歌い鳥の精(雄弁):中川 郁
黄金のぶどうの木の精(活気):久保茉莉恵

フランスの王子:逸見智彦 
スペインの王子:菊地 研
インドの王子:中家正博
ロシアの王子:ラグワスレン・オトゴンニャム

宝 石:中川 郁
宝 石:坂本春香
宝 石:今 勇也
宝 石:坂爪智来
白 猫:日髙有梨
長靴をはいた猫:ラグワスレン・オトゴンニャム
フロリン王女:青山季可
ブルーバード:清瀧千晴
赤ずきん:安部里奈
狼:塚田 渉


指 揮:アンドレイ・アニハーノフ
管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団

■2013/03/10(日)「ライト」/モーリス・ベジャール・バレエ団
森下さんのエッセイを読んでから
すごく見たかった作品です。

ストーリーとか予備知識無しで見たけど
なんとなくわかったかな。

妊娠した女が(もしかしたら望んでいなかった?)
迷い、とまどいながらも、出産する。

生まれた女の子は世界を旅し、
様々な人と出会う。


とても美しくて、面白かった。
一人の少女の物語のようでもあるし、
「母」と「卵」から、キリストと思えるところもある。

世界のいろんな人から祝福をうけ幸福になり、
伴侶となる人と巡り会い、
それを自分の子供に伝える。

休憩無しの90分にぎゅっと詰まってた。


【主な配役】
ライト:カテリーナ・シャルキナ
女:エリザベット・ロス
ヴェネツィア:リザ・カノ
貧しき者(聖フランチェスコ):ジュリアン・ファヴロー
富める者(侯爵): ガブリエル・アレナス・ルイーズ
赤毛の司祭※:オスカー・シャコン(※ヴィヴァルディのあだ名)
ジラルーチェ: マルコ・メレンダ

7つの色:
 那須野圭右、大貫真幹、ヴィタリ・サフロンキーネ、
 エクトール・ナヴァロ、ハリソン・ウィン、
 ウィンテン・ギリアムス、ドノヴァン・ヴィクトワール

プルチネッラ:
 アンジェロ・ムルドッコ、ジャスミン・カマロタ、
 コジマ・ムノス

デュエット:大貫真幹、ローレンス・リグ

他、ベジャール・バレエ団

■2013/03/15(金)「白鳥の湖」エフセーエワ&シヴァコフ/日本バレエ協会
元マールイのエフセーエワが白鳥を踊るんですよ!
しかも相手役はシヴァコフですよ!
これは行かなくては!!!


エフセーエワのオデットは、
うーんと、スポーティ?というのかな。
身体能力の高さはわかるし
脚は高く綺麗に上がるけど、
キメ(溜め)が短いので
動きがキビキビしているように見えて
いまいち情緒に欠ける。
腕は長い方じゃないけど、
動きは鳥っぽくて良かった。

2幕は半人半妖だったけど、
4幕は人間だった。
愛を失った嘆きが、人間らしい感情を甦らせたよう。
王子が偽りの誓いをすることも、
彼女が人間に戻るためにも必要だったんだな。
「白鳥の湖」はたくさん見て来たけど、
そんなふうに思ったのは初めてだわー。

人間らしい感情がある役の方が似合うのね。

オディールは、うーん、こんなもん?
登場時と、グラン・パ・ド・ドゥ出だしの迫力がすごく良かったんだけど、
32回転はそれほどスピード感はなかった。
演技はいいんだけどね。

それにしても!
ゲストやシェスタコワやペレンの後ろで踊っていた子の
白鳥&黒鳥が見られるなんて!
それだけで感無量!!

マリインスキーのラ・バヤで
周囲とは違うスタイルに違和感を感じたけど
(踊りじゃなくて身体のバランス)
今回は特に感じなかった。
マリインスキーの皆さんのスタイルが驚異的過ぎなんだよね。

シヴァコフの髪は、
それほどクリクリしてなかった。←まず、そこをチェック
かるーーーいウェーブぐらいな。
彼を見るのは11年1月以来だけど、
私が見ていないだけで
着実に成長していました!
腕から手の甲にかけてがとても美しい。
歩く、ただそれだけの動きなのに、
主役オーラを放ちながら優雅に美しく端正に気品高い。
こんなにできるようになったんだなあ。
ジャンプはちょっと重たかったけどね。
演技を含め、とても王子らしかったよ!
それでいて、わんこ属性に変化は無し!!
可愛いです。
悪魔に騙されたのがわかってショックを受けて
お母様に抱きつく姿があんなに合うダンサーは
そうそういないぞ!
しかもそれがマザコンには見えない。
純粋すぎる子犬ちゃんなだけ!
ブラボー!

エフセーエワとシヴァコフは
演技がとても噛み合っていた。
腕の角度などの細かい動きや、
音の取り方・乗り方もユニゾンで、
2人揃ってマールイからのゲストのよう。
ただ、2人並んでみると、
エフセーエワはやや粗く、シヴァコフは緻密な感じ。
現在所属のカンパニーの違いというより、
その中での待遇の差なのかなあ。


ロットバルトは藤野さん。
ダイナミックなジャンプのラインは美しく
それでいて禍々しさたっぷり。
道化の染谷さんはとても溌剌とした踊りで好印象。


白鳥の群舞はとてもまとまっていた。
踊りが揃うとか、そういうことだけではなく
物語を充分に紡いでいた。
「自分のパートを踊るだけ」の発表会になる年もあるけど
今回は迫力があった。


逆に各国の踊りはバラついた印象。
統一感をもたせつつ個性を出す、というのは
案外難しいものなんだね。


衣装、舞台美術は華やかで良かったわ~。
ただ、群舞のマイナーチェンジが、
そんなに小手先だけ変えても、と思いました。
堂々と王道でいいんじゃないかなー。


指揮は福田先生。
物語を把握してダンサーの個性を尊重して
なおかつ音楽の完成度が高いのは、さすがです!大好きです!
金管が一部やばかったけど
概ね素晴らしい演奏でした。


【主な配役】
オデット/オディール:エレーナ・エフシェーワ
ジークフリード:ミハイル・シヴァコフ

ロットバルト:藤野 暢央
道化:染谷 野委
王妃:宮本東代子
メンター:桝竹 眞也
パ・ド・トロワ:瀧 愛美、平尾 麻実、酒井 大

第一幕ソリスト:
 岡本小夜子、川口 尚実、鈴木久美子、山口 千尋
 五十嵐耕司、田中 英幸、中島 駿野、吉田 邑那

小さな白鳥:榎本 祥子、菊池いつか、土屋絵里子、渡辺 幸
大きな白鳥:佐藤 彩、丹藤 水貴、テーラー麻衣

スペイン:小川 友梨、粕谷 麻美、五十嵐耕司、中島 駿野
チャルダッシュ:福沢真璃江、田中 英幸
ナポリ:南部 美和
マズルカ:寺田 恵、永井 絵麻、池田 武志、鈴木 裕


指揮:福田一雄  
演奏:東京ニューフィルハーモニック管弦楽団
監修:ワレンチン・エリザリエフ(元ミンクス・ボリショイ劇場芸術監督) 
芸術監督:薄井 憲二

■「マニュエル・ルグリの新しき世界III」
■2013/04/17(水) Aプロ
「カルメン」 より
振付:ダヴィデ・ボンバナ 音楽:ジョルジュ・ビゼーほか
ニーナ・ポラコワ、キリル・クルラーエフ

強気の男とすがりつく女の痴話喧嘩で
私が思うカルメンではない。
ファムファタルってなに?状態。
ドロドロな情炎も無いし。
振付も、とりたてて面白いとは思わない。


「ウィンド・アンド・クラウド」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:カイハン・カルホール、アリ・バーラミ・ファード
パトリック・ド・バナ

いつものアレ的な。
風と雲だったのか。
水や海のイメージだったけど。


「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マリア・ヤコヴレワ、デニス・チェリェヴィチコ

ヤコヴレワは野性的で、
チェリェヴィチコは室内的で
2人の並びはあんまり合っていない気がする。
チェリェヴィチコのサポートがちょい不安定。
最後の退場のリフトも早々に降ろして(落ちて)しまった。
ヤコヴレワはバランシンでは無いけど
手足がすっきり伸びて気持ちよい踊りだった。


「スプリング・アンド・フォール」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アントニン・ドヴォルザーク
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ
小出領子、後藤晴雄、東京バレエ団

フルバージョンにちょい欠けぐらい?
フルバージョン?
よくわからないけど、けっこう長かった。
アッツォーニとリアブコは
体格的には東バに溶け込んでいるんだけど
踊りの美しさが飛び抜けて違う。
なんでもないような、
みんなと同じ動きなのに
美しすぎる。
ラインが美しいだけでなく
空気が動くように、
スーーーッとリキみなく動く。
なぜこうも東バと違うのか。
やはりハンブルクのダンサーは違う。

東バの男性のメイン(リアブコの次いで登場が多いパート)は梅澤くんと宮本くん。
松下くんや小笠原くんがいないのが寂しいなあ。
氷室くん森川くんなどの中に後藤くんが混じる。
メインじゃないのに活き活きと踊っている。
こういう時の踊りの方が良かったりする人なんだよねー。
小出さんも綺麗に音楽に乗って可愛かった。


「こうもり」 より
振付:ローラン・プティ 音楽:ヨハン・シュトラウス2世
マリア・ヤコヴレワ、マニュエル・ルグリ
矢島まい

ああ、やっぱりルグリは格が違う。
どんな踊りでもキレがあって美しくて正確で緻密で。
その上にプティのエスプリが効いていて洒脱で。
なんとも言えないわー。
さりげない上品さでエロにならないのもいいのよね。
素晴らしすぎですわー!!
ヤコヴレコは演技は良いんだけどなあ。
脚が無表情過ぎ。
タミーよりプティじゃない。
長いのに。
矢島さんはウメちゃんを思い出すな。


「トリアーナ」
振付:ヘレナ・マーティン 音楽:イサーク・アルベニス
ヘレナ・マーティン

スパニッシュのソロ。
フラメンコではなく「白鳥」の「スペインの踊り」的。
長くないし、いいんじゃない?


「バッハ組曲第3番」 より
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
マリア・ヤコヴレワ、キリル・クルラーエフ
ピアノ:高橋 望 (「ノクターン」)

2人とも第一部よりずっと良い。
動きが美しい。
というか、たんにノイマイヤー作品の完成度が高いだけなのか?


「赤い涙」
振付:パトリック・ド・バナ 
音楽:カイハン・カルホール、アリ・バーラミ・ファード
秋山珠子、ディモ・キリーロフ・ミレフ、パトリック・ド・バナ

バナの振付だしねー。
バナより秋山さんとミレフの踊りの方が好きだな。
メリハリがある。


「ハムレット」 より
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:マイケル・ティペット
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

旅立つ男と見送る女?
不器用そうな男が微笑ましい。
(追記:と思ったけど、不安定な女を結果的には見捨てて
 自分の目的のためにあっけらかんと旅立つ男なのか?)

「ルートヴィヒ2世‐白鳥の王」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:リヒャルト・ワーグナー
マリア・ヤコヴレワ、ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ

私にはノイマイヤー作品の焼き直しの劣化版にしか見えない。
素直にノイマイヤー作品を踊ればいいのに。
王の苦悩は前回より感じられるけど、
でもやっぱり作品としては弱い。


今回はルグリ、アッツォーニ、リアブコ、と、
ノイマイヤーの作品力のレベルの高さが際立った。
だけだった。

ルグリ先生、世界を新しくしないでいいよ。
ああ、「水晶宮」で〆た頃が懐かしい。


■2013/04/21(日)  Bプロ
「クリアチュア」 より
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ
秋山珠子、ディモ・キリーロフ・ミレフ

バナ作品だけど面白かった。
秋山さんのキリっとした体は
クラシックの揺るぎない基礎があって
女性らしい柔らかい雰囲気もありつつ
毅然とした踊りはとても雄弁だった。
ミレフの踊りもとても流麗だった。
バナの振り付けを二人で再構築したかんじなのかな。
二人の世界になっていた。


「ノクターン」 ("Songs of the Night"より)
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ
ピアノ:高橋 望 (「ノクターン」)

いかにもノイマイヤーな作品を
ハンブルクのダンサーが踊る。
美しい以外のなにものでもない!


「アルルの女」 より
振付:ローラン・プティ 音楽:ジョルジュ・ビゼー
マリア・ヤコヴレワ、キリル・クルラーエフ

二人ともプティ好みの体つきだと思うんだけど
なんでだかプティの香気が感じられない。
草刈さんの方がまだ感じられるのは
プティ本人に近くて香りが移ったのかしら。
とても好きな作品なのに、楽しめなかったなー。
なぜなのかなー。
振付家がいなくなるってこういうことなのかなー。
カルフーニ&ルグリで見ちゃってるからなのかなー。


「ファクタム」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:フェルナンダ・アンド・ベルナルダ・デ・ウトレーラ/ルイス・ミゲル・コボ
ヘレナ・マーティン、パトリック・ド・バナ

マーティンはいいんだけどね。
バナは自身の振付を表現できるほどの技術が
もしかして無いのかなあ。


「ル・パルク」 より
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ 音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
オレリー・デュポン、マニュエル・ルグリ

やっぱり、ルグリの相手役には
オレリーぐらいの格が無いとね-。
最近よく見るヴィシ&マラーホフのような生臭さはなく
虚飾をそぎ落として、本心から触れ合う男女の世界で
エロティックなんだけど
ピュアでもあるんだよね。
いいわ~。


「エイムレス」
振付:ディモ・キリーロフ・ミレフ 音楽:マーク・リボー
秋山珠子、ディモ・キリーロフ・ミレフ

内容的には一部と似ているような気もするけど
(そもそも論として、コンテの男女の踊りは9割痴話喧嘩なんだけど)
それでもやっぱり、バナ作品より二人に合っている。
あんまりクネクネしない方が合うよね。


「テーマとヴァリエーション」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ
東京バレエ団

ガラに入れ込むのは難しい作品だね。
コノヴァロワの「ザ・ロシア」な踊りは
今回初めてのチュチュ物ということもあり
とても安心感がある。
踊りは」ちょっと不安定なところもあったけどね。
キラキラ感があったわ。
ゴージャスにまでいかないのが残念。
チェリェヴィチコは悪いわけじゃないんだけど
スケールの小さい踊り。
後ろの松野くんの方が華やかだわ。
まあ、ホールバーグの予定だったからねえ。
仕方が無いんだよねえ。


「ノット・ウィズアウト・マイ・ヘッド」
振付:ナタリヤ・ホレツナ 音楽:テリー・ライリー
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

二人の生声は聞こえるけど、
うーん、、、
ノイマイヤー作品以外を踊るのは珍しくていいけど
あんまり目新しさはない作品だよねえ。


「モシュコフスキー・ワルツ」
振付:ワシリー・ワイノーネン 音楽:モーリツ・モシュコフスキー
マリア・ヤコヴレワ、キリル・クルラーエフ

プログラムを読んでなかったので
どういう作品か見るまでわからなかったけど
純古典だった。
このペア、こういう方が似合う。
綺麗だったわ-。
ヤコヴレワの衣装ってAプロのチャイパドと同じ?


「シルヴィア」 より
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:レオ・ドリーブ
オレリー・デュポン、マニュエル・ルグリ

もうこのペアで、この作品を見ることはないんだろうなあ。
感無量。


Bプロの方が好みだったな。
出演ダンサーの違いもあるんだろうけど。

■「マラーホフの贈り物 ファイナル!」
■2013/05/21(火)  Aプロ
サイダコワの降板、ジゼル無し、シュツットガルト組の演目変更、
マラーホフ演目の変更、などなど
変更の嵐でしたが、幕は無事に上がりました。


第一部
「白鳥の湖」第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・マラーホフ
東京バレエ団


マラーホフが出てきた瞬間、
会場中のオペラグラスが上がるのがわかった。
残念なことに、バレフェスと同じぐらいの体型。
腕も胸も腹も尻も腿も、
柔らかそうなお肉がついている。
心なしか頬にも肉がついたような。
それとも法令線がくっきりしてきたの?

ただ、佇まいやマイムはやっぱり
当代随一の王子様だ。
これが見たかったから私は大満足。
どんな体型でも、年を取っても
ピュアな王子様だ。

リフトやサポートが危ういときがあるのは
怪我のせいなのかな。

スミルノワはワガノワスキーにはたまらん体型。
ほっそりとした優美な上体に
美しい腕の動き。
メゼンツェワやクナコワを思い出させる。
鳥っぽい動きは素晴らしいけど
感情を乗せて演じるのはまだまだかな。
時々音楽と踊りがずれるのが気になった。
でも、この白鳥向きの身体は見ているだけで溜息。

東バの群舞は静かな迫力があり
情景をとても良く表していました。
三羽の白鳥に矢島さんかな?
あとは4階席からだとよくわかりません。


「トゥー・タイムス・トゥー」
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ


いかにもマリファント振付。
狭い四角の中で個別に踊る男女2人。
私は好きな系統じゃないんだけど、
この2人、特にラカッラが美しかった。
ギエムが踊ると「筋肉のうねり」がみどころになっちゃうので
大きい劇場の舞台から遠い席だと
なにがなんだかわからないんだけど
この作品はラカッラの美しい身体全てがみどころだったので
遠目からでもしっかり堪能できた。


「ギルティー」
振付:エドワード・クルグ 音楽:フレデリック・ショパン
ピアノ:菊池洋子
マライン・ラドメーカー


いつもの忙しなくブルブル動く系だった。
音楽が生ピアノのショパンなだけで。
ドイツではコレ系が流行っているのかなあ。
一本見れば充分なんだけど。


「ラ・ペリ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ヨハン・ブルグミュラー
吉岡美佳、ウラジーミル・マラーホフ


ストーリーとかはよくわからないんだけど
「古き良き時代のロシア・バレエ」テイストだったな。
プリーツスカート的な衣装着用で
腹・腰・尻をカバーしたかに見えたマラーホフだけど
生腕が見えちゃってるし、
結果的に腹回りにボリュームがあるし
この衣装、間違いなんじゃ?
と思っているうちに終わっちゃった。
吉岡さんが細いだけに、
よけいにマラーホフの体型が際だった。
吉岡さんは、もうちょい華やかだといいんだけどなあ・・・。


「海賊」より奴隷のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:コンスタンティン・フリードリヒ・ペーター
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル


一幕最後は技術系若手。
なんだか楽器編成が変わっている音楽だったけど
きっちり盛り上がりました。
サレンコは美人で上手いけど、地味だな。
タマズラカルの踊りは見ているだけで爽快。
顔はヤスケンなんだけど。


第二部
「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ


衣装でやや体型をカバー、、、できて、、、いる・・・かな?
でも王子様だ。
サレンコは可愛い。

マラーホフにはサレンコぐらいの体型の子が合うのになあ。
なんでポリーナちゃんを連れてきたんだろう。
ポリーナちゃんもボリショイでギシギシ鍛えられた方が
彼女のキャリアには良かったかもなあ。
なんてことを考えながら見てました。
なにが正しいかは、端からではわからないけどさ。


「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:ベンジャミン・ブリテン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー


音楽がシンセサイザーだったらフォーサイスだよなあ。
2人ともユニタードで、
なんでしょ、典型的なコンテ、と言いましょうか。
でも、アイシュヴァルトのコレ系はレアだから
楽しく見ました。


「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル


作品的にも、ダンサー的にも
今まで見た「レ・ブルジョワ」の中で
いちばん良かった!
技術先行でなく主題先行だった。
ウダウダ動く、だらしなさっぷりがいいね!


「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ピアノ:菊池洋子
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

とてもドラマティックだった。
少々メロドラマ系になっちゃっているけど
それはそれで良かった。
ラカッラは細く、結核なのも納得だし
ディノとの年齢差も上手く作用していた。
フェリのような女優ダンサーだな。
ハンサムで若いディノの熱さもアルマンにぴったりだった。


「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン


スミルノワは、音の取り方がずれている時もあるし
32回転は一度止まるしだったけど、
それでも今後を期待させるダンサーだな。
チュージンは古典王子の王道。
もうちょい煌びやかさがあればなあ。


「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア 音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ


白い短パン一枚で踊るマラーホフ。
皆の視線が生の腹に集中するのがわかっていも
踊りきるチャレンジャー精神は素晴らしい。
たとえ、体調面からの消去法で決めた上演だとしても。
2010年に見たときよりも面白かった。
「瀕死」の部分がより強くなった気がする。
「ラ・カージュ・オ・フォール」のザザの
「I am what I am」をなぜだか思い出した。
ダンサーとしての年月を重ねて
こういう体型になって、
それでも人前で踊る彼の覚悟みたいのが出てたのかも。


私はバレフェスを見てるし
マラーホフの王子芸が見たかったし
エコノミー券だったから
今日の公演は満足だったけど、
チラシと違いすぎる体型にガッカリした人もいたのでは?
企画自体はかなり前からあっただろうから
中止にすることは難しいんだろうけど
開演までに体型を戻せなかったマラーホフと
それをOKしたNBSに苦情を言いたい人がいても、
それは仕方がないよなあ。
ルグリやゼレンスキーやルジマトフの維持力はすごいよなあ。


■2013/05/26(日) Bプロ
第一部
「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ


夢見心地、甘々な雰囲気で素敵。
なんか、マラーホフの体型が
初日よりすっきりしたような・・・。
見慣れたから?


「椿姫」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー


この二人はやっぱりコンテより芝居ものだよねー!
演技と芸術性!素敵!
華やかな高級娼婦、でも自身の年齢と病気の蔭にかすかに脅え
若い恋人に対し最初は余裕で相手をしていたのに
いつしか情熱的な愛に引きずり込まれる。
アイシュヴァルトの演技は明確でわかりやすいな。


「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン


スミルノワは演技が入るより
こういう無機的な踊りの方がいいかも、
と思ったのもほんの最初だけ。
この二人がこれを踊るのには
格が全然足りない。
ただただ長いだけで眠くなった。


「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル


今日も良かった、楽しかった。
台詞が聞こえてきそうだった。


「ライト・レイン」
振付:ジェラルド・アルピノ 音楽:ダグ・アダムズ
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ


以前(02年とか08年とか)はシリル・ピエールだったんだな。
その時も思ったけど、ラカッラの長い手足には合う。
光と雨、じゃなくて、光の雨、に見えた。


第2部
「バレエ・インペリアル」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ
東京バレエ団


何回か見ているけど面白味がイマイチわからないんだよなー。
でも、マラーホフの格調高い気品を堪能するには適している。
でも、眠いわー。
東バソリストは、奈良さん高木さん乾さん宮本くん梅澤くんかな?


第三部
「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー


ドラマティックで初恋のドキドキ感満載。
ただバレフェス等でも見てるから、
この辺で二人のチュチュ物が見たかった。
キャンセルになった白鳥でも、
二人の持ち役でもある眠りとかさ。
他の出演者との兼ね合いや
アイシュヴァルトの体調もあるんだろうけど。
ラドメイカーはハンサムで芝居も上手いけど
もうちょっと芸術面をきっちり詰めてたところを
見せてくれないかなあ、と思うときがあるんだな。
情熱を表すだけでなくね。


「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

若手技術枠。
爽快だった。


「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ピアノ:青柳 晋
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ


Aプロほどのドラマはないかな。
ディノの若さが悪い方に出ちゃった?
ただのラブラブカップルがまったり過ごしているだけ。
*ディノが若いと思うのは舞台を見ての判断です。
 実年齢がそれほど若くなかったらごめんなさい。
 でもピエールよりは若いよね。たぶん。


「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン


スミルノワはAプロより艶やかで、
そこは良かったんだけど
音に追われて腕の動きが雑になってしまったように見えた。
課題は山積みだな。
今後に期待。
チュージンは変わらず端正


「ヴォヤージュ」
振付::レナート・ツァネラ 音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ウラジーミル・マラーホフ

旅の終着点になるかと思ったけど
「まだ旅は続く」だった。
まだ先に進むんだな。
ラストを感じて泣くかと思ったけど
逆に、なんだか、未来に進む希望を見て
勇気をもらった感じだ。
彼もファンも年齢を重ねてきたけど
無駄な過去はないんだ。


カーテンコールの吊り物には
「またお会いしましょう」って書いてあった。
まだNBS主催公演に出演するのかな。
別会社に移るとか無いかなあ。


ルグリガラもだったけど、
今回もプログラムのバランスが悪かったなあ。
誰が組むんだろう。
ボリショイ組のダイヤは誰が許可したんだろう。
それぞれのレパートリーは不明だけど、
ボリショイ組がロミジュリで、
シュトッツガルト組がダイヤの方が合いそう。
なんで椿姫があんなにあるんだとかとか。
いっそ椿姫全幕を幕ごとの役替わりで上演しちゃえばいいのに。

■ 「ラ・シルフィード」東京バレエ団
■2013/06/15(土)渡辺&柄本
若手シリーズ開幕です。

主役、タイトルロールは初となる渡辺さんは
とても落ち着いた踊りでした。
幕開きは絵画のようでとても美しかったです。
踊りも彼女の良い部分全開でした。
腕の柔らかい動き、品の良さ、
暖かい雰囲気を生かしつつも妖精倫理。
横恋慕まっしぐらが嫌味にならない。
ジェームズへの恋も純粋な気持ちだけなので
シルフィードが彼への気持ちを募らせるほど
ピュアな世界がより純度を増していくようでした。
妖精というと月の光が構成要素のように思いますが
渡辺さんは陽の光を含んだ空気のようで
キラキラ輝いていました。
真っ白ではなく、ごく薄いピンク色のイメージ。
シルフィードのイメージからすると
控えめで生真面目な部分が強く
コケティッシュな部分はあまり無かったのですが
彼女の個性にはその方が合っているし、
むしろ打算皆無に見えて
こういうシルフィードもありなんじゃないかと。
足音もあまり無く浮遊感もありました。
最後、羽が取れて、ガックリ崩れ落ちるところは
あまりにも儚くて涙。

弾くんはダイナミックでありつつも
サポートもとても丁寧でした。
エフィーという愛する女性がいながらも
まぼろしのようなシルフィードにだんだん心を奪われていく
惑う心がとても良くわかりました。

びっくりしたのはエフィー役の吉川さん。
とても活き活きと踊り、積極的に役を演じていました。
可愛くて快活でジェイムズが大好きで幸せの真ん中にいる、
それがとても強く感じられました。
エフィーとして舞台に存在していました。

3人の個性がくっきりしてたので
1幕後半の3人の踊りも
とても美しくドラマティックでした。

ガーンの永田くんも、ジェイムズとは気の良い友人でありながら
エフィーひとすじ!の真っ直ぐな心が微笑ましい。
エフィーは好きだけど、
彼女がジェイムズを愛しているのを知っているから
ジェイムズから奪おうとは思わないけど
でも気持ちは止められないんだなあ。
どうして冒頭ではあんなところで寝てるんだろうね。

1幕ソリストは高木さんと梅澤くん。
梅澤くんはこのまま順調に上がって欲しいなあ。

マッジは木村さん。
すごく楽しんで踊っているんだろうなあ。

2幕の群舞はとても美しかった!


カーテンコールでは斎藤さんが登場。
主演2人より感極まっているみたいだった。
斎藤さんの指導第一弾だけど
すごく良い舞台に仕上がっていたと思います。


◆主な配役◆
ラ・シルフィード:渡辺理恵
ジェイムズ:柄本弾
エフィー(花嫁):吉川留衣
ガーン(ジェイムズの友人):永田雄大
マッジ(魔法使い):木村和夫
アンナ(ジェイムズの母):坂井直子

【第1幕】
パ・ド・ドゥ:高木綾-梅澤紘貴

【第2幕】
シルフィード(ソリスト):乾友子-矢島まい-川島麻実子

指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック交響楽団
協力: 東京バレエ学校


■2013/06/16(日)沖&松野
ラ・シルは初役同士ですが
「眠り」ではすでに主演経験があるコンビです。
今回は4階席で鑑賞。
大きい劇場の遠い席まで踊りが届くか。
結果的にはバッチリOKでした。
2人ともリアルな身長面だけでなく
踊りのスケールが大きいので
4階席でもオペラグラスの必要をあまり感じませんでした。
いやはや、すごい若手だわ!

香菜子ちゃんのシルフィードはコケティッシュ系。
昨日の渡辺さんは明子姉さんのように
ひっそりジェイムズを見ているうちに
ついうっかり彼の前に出てしまった、
みたいな雰囲気がありましたが
香菜子ちゃんはもっと積極的で
「私を見て!私を好きになって!!」のオーラ満載。
でもそこはやっぱり妖精さんなので
人間の女性だったら鬱陶しくなってしまうところが
このシルフィードだと、頑張れーー!
となぜか応援したくなってしまいます。
好きだから、仕方がないよね、みたいな。
とても強い生命力を感じられるだけに
羽が取れた時の弱り方が急で、
それだけにあの羽が命を左右することにとても納得。
渡辺さんにくらべるとたおやかさや柔らかさに欠けるけど
これも個性でいいじゃないか、と。
真ん中で踊る強さもあって、すごく頼もしい。

松野くんのジェイムズは、
夢見がちな青年かなあ。
目の前の強い現象に引き摺られちゃうので
シルフィードにも持って行かれちゃったんだな。
それは今の彼にはとても合っている。
今後はもっと意識して役作りができるといいね。
6月頭のトークショーではベールの扱いが難しいと言っていたけど
8割ぐらいは上手く捌けてたかな。
クシャっとなったあと「真っ直ぐにしなきゃ」という気持ちが
強く出ちゃったところもあったけど
それはまあ今後の課題で。
頭身のバランスが似ている(と思う)せいか
時々マチューを思い出した。

河合さんのエフィーも
いじらしくて可愛かったです。

和田くんのガーンは永田くんより積極的だったかな。
けしかける友人も友人だよね。

後藤君もマッジを活き活きと踊っていました。

昨日も美しく感じたけど
4階から見る群舞、特に2幕の群舞は
とても美しく、統一感のある動きで
実に迫力がありました。

カーテンコールでは、
「悪の魔女」化粧の後藤君と斎藤さんが
寄り添ってお話ししている姿が
とても微笑ましかったです。

それにしても。
名ダンサーが指導に回ると、
自分のコピーを求めたり
(自分が踊らなかった)群舞は適当だったりしがちですが、
今回はそれらは感じませんでした。
斎藤さんが自分の役だけ愛しているのではなく
作品の全ての部分を愛しているからこそ
今回の仕上がりになったのでしょうね。
昨日と今日と全く個性が違うダンサーの特質を活かしたり
斎藤さんの指導はとても的確なんだろうなあ、と
素人ながらに思いました。
これからも後進をビシビシ厳しく指導して
質の高い作品を作っていただきたいです。
でも、、、、、、、
もう1回、斎藤さんのシルフィードを見たいなあ。
ジェイムズは木村さんで。



◆主な配役◆
ラ・シルフィード:沖香菜子
ジェイムズ:松野乃知
エフィー(花嫁):河谷まりあ
ガーン(ジェイムズの友人):和田康佑
マッジ(魔法使い):後藤晴雄
アンナ(ジェイムズの母):坂井直子

【第1幕】
パ・ド・ドゥ:奈良春夏-原田祥博

【第2幕】
シルフィード(ソリスト):乾友子-矢島まい-川島麻実子

指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力: 東京バレエ学校

■2013/06/22「ジゼル」上野&高岸/東京バレエ団


水香ちゃんのジゼルは前に見たときより、
さらに良かったです。
前に見たのは10年3月だと思うんだけど
その時はまだ「姫」が抜けきってなかったけど
今日の一幕は意外にもひっそりとした美女。
先週の渡辺さんや沖さんにはまだ無かった
プリマの風格と真ん中オーラを自然に備えつつも
高木さんがお姫様に見えるぐらい素朴でした。
農民ではないけれど、姫では確実に無い。
身体が弱くて農作業をさせられないとか
そんな設定が似合いそう。
踊りは一部変更もあったように思うけど
クセがなくてとても見やすかった。

ただ一幕ラストは狂気ではなく怒り。
初めて生まれたどす黒い自身の感情に殺されたのかと思うほど。
ジゼルではなく、ミルタ誕生物語かと思った。

二幕は精霊ではなく、人間の感情が強く残っている、
幽霊と言う方が合うのかな。
それゆえにアルブレヒトへの強い愛情が感じられるので
好き好きはあるかもしれないけれど
演技には一貫性はあると思うし、
水香ちゃんには合っていると思います。
最後はアルブレヒトを守り抜けた安心感で
成仏できたのかな、というイメージでした。

高岸さんとの息がピッタリなので
リフトされると浮遊感がとてもありました。

高岸さんの古典はかなり久しぶりのような気がします。
存在感、華やかさは団内若手男子とは段違い。
出てきたときから貴族らしい風格と威圧感があり
弾くんのウィルフリードなんか簡単に目で御せる。
さすがに前ほどは飛べないけど
ひとつひとつの動きがとても丁寧でした。
とても美しいラインの踊り。
演技もいちいち細かい。
どこにいてもアルブレヒトの気持ちが手に取るようにわかる。
いけない恋だとわかりつつも
本気になってしまった大人の男性でした。
ジゼルが(バチルドからもらった)首飾りを見せたとき
なんか思い当たる節がある、けど、深く考えない、とか
その辺の詰めの甘さはお貴族ゆえなんだろうなあ。
二幕のパ・ド・ドゥのジゼルのソロのところで
(避難場所である)十字架にすがりつつも
ジゼルを見ずに、惹かれずにはいられない姿がなんとも言えない。
二幕の衣装の上着は深い紫なのかな。
タイツも黒いので背景に溶け込みがちで
細かい踊りを追いかけるのがちょっと辛かった。

木村さんのヒラリオンは最近比では
鬱陶しさは薄くて空回り感も無くて
無骨で純粋で真面目。
熱血高岸アルブレヒトには
この方が良い対比。
この対決も今日が最後かも、と思って
じっくり見てきました。
一幕冒頭の花占いの後のバトル、
一幕最後のバトルはとても熱くて大迫力。
この絵が見納めかと思うとそれだけで涙。
(そうと決まったわけじゃないけどね)
踊りはやっぱり綺麗で、手足もすっきり伸びていました。

弾くんウィルフリードは
高岸さんの前だから地味に見えるのかな?
以前と違ってイケイケ感が薄れたので
従者の演技が深まったのかもしれないね。
アルブレヒトの隠れ家のドアが
この二人が入るには小さすぎ-!

田中さんのミルタは怖い系。
だけど、超自然的な存在な感じが増した。
井脇さんに近くなったかなあ。

高木バチルドは赤い衣装が似合うけど
彼女らしい味付けは足りなめ。

ペザントは梅澤くんがダントツに良い!
今が伸び盛りなんだろうなあ、今後に期待!!
と、この枠のダンサーに何回思ったことか。
でも退団しちゃうんだよなあ。
梅澤くんは上に行けますように!
他の男子3人はやや崩れめ。
女子4人も個性が薄いかな。悪くは無いけど。

二幕の群舞はとても揃っていました。
凄みがありました。


主な配役
ジゼル:上野水香
アルブレヒト:高岸直樹
ヒラリオン:木村和夫
ミルタ:田中結子
バチルド姫:高木綾
公爵:後藤晴雄
ウィルフリード:柄本弾
ジゼルの母:橘静子
ドゥ・ウィリ:乾智子、吉川留衣
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 梅澤紘貴、岡崎隼也、杉山優一、原田祥博
 村上美香、岸本夏未、河合眞里、古関彩都貴

会場配布プログラムより。
(いつもと掲載順が違うかな?)
パ・ド・シスは載っていませんでした。
二階堂さんと矢島さんがいたかな?どうかな?
芸術スタッフとして斎藤さん、吉岡さん、木村さんの名前がありました。
音楽は特別編集のテープ。

■2013/07/14(日)「白鳥の湖」ヌニェス&ソアレス/英国ロイヤル・バレエ団
お財布事情と他の予定との都合で
英国ロイヤルの来日公演を見るのは今回だけでしたが
キャスト的には私の好みで当たりでした。

ヌニェスはスラッとした体型で手足も長めで
実に舞台映えする白鳥。
動きもとても美しい。
手の動きがもう少し繊細だったらもっと好みだけど
そこまで望むのは贅沢か。
基本は白鳥ではなく人間で、
たおやかではあるけれど
意志の強さも感じた。
だからラストも、状況に流されてではなく
自分の意思で道を選んだからこそ
魂の救いがあったんだな、と思いました。
消えるだけの存在ではない、と。

黒鳥は圧巻でした。
勝ち誇った艶やかなオディールは実に魅力的。
魔に惹かれてしまう王子の気持ちも良くわかる。

ソアレスは、以前見たときは粗さを感じるときがあったけど
今日は踊りもマイムもとても丁寧でした。
悩める若き王子、というよりは
「国王陛下、万歳!」と言いたくなる威厳があるけど
そこは脳内補完でカバー。

2人とも踊りすぎることはなく、
適度に抑制が利いているので
実に気品が溢れていて、
さすが英国ロイヤル、と思っていましたが
3幕のパ・ド・ドゥ後半から徐々に熱を帯び
最後は大爆発!なかんじでした。
ストーリーの盛り上がりに沿っているので
やりすぎ感はなく、それでいて高揚感バリバリ。
会場の温度が2度ぐらい上がった気がしました。

ラストは悲劇版でした。

この版ではロットバルトは踊らないのですが
エイヴィスの存在感と芝居が素晴らしいので
そんなことは気になりません。
禍々しさたっぷりで、とてもドラマティックでした!

この版を見るのはギエム&コープ以来なので(たぶん)
細かいところは忘れていました。
ナポリはこんなに細かいステップだったんだ。
2人とも綺麗に足を捌いていました。
ユフィさんが可愛いわ~。

舞台美術はとても好み。
ダウエルのセンス、いいわあ。
軍服祭りもありがとう。
ただ、4幕の白鳥の群舞のフォーメーションが
ちょっと変わっているかなあ。

それにしても、六人の姫君たちが
ガツガツしすぎ。
あれじゃ王子も逃げ出したくなるよ。
このへんは明らかに王妃の戦略ミスだと思うわ!


【主な配役等】
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、
フレデリック・アシュトン(第三幕ナポリの踊り)、デヴィッド・ビントレー(第一幕ワルツ)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 
演出:アンソニー・ダウエル

-------------------------

オデット/オディール:マリアネラ・ヌニェス
ジークフリート王子:ティアゴ・ソアレス
ジークフリートの母:エリザベス・マクゴリアン
悪魔、ロットバルト:ギャリー・エイヴィス
家庭教師:アラステア・マリオット
ベンノ:ベネット・ガートサイド

第一幕
パ・ド・トロワ:
エリザベス・ハロッド、エマ・マグワイア、ヴァレンティノ・ズケッティ
侍女:ベアトリス・スティックス=ブルネル、デメルザ・パリッシュ
将軍:デヴィッド・ピカリング
ワルツ:
クリスティーナ・アレスティス、ナタリー・ハリソン、ローラ・マカロック、
クリステン・マクナリー、平野亮一、ベネット・ガートサイド、蔵 健太、
ダヴィッド・チェンツェミエック、ロマニー・パイダック、ポール・ケイ

第二幕
白鳥のひなたち:
エリザベス・ハロッド、エマ・マグワイア、
ロマニー・パイダック、サビーナ・ウェストコーム
二羽の白鳥:小林ひかる、イツァール・メンディザバル

第三幕
式典長:デヴィッド・ピカリング
六人の姫君たち:
オリヴィア・カウリー、ヤスミン・ナガディ、エマ・マグワイア、
マヤラ・マグリ、ローラ・マカロック、デメルザ・パリッシュ
スペインの踊り:
クリステン・マクナリー、イツァール・メンディザバル
ヨハネス・ステパネク、平野亮一
チャルダッシュ:
ヘレン・クロウフォード、ジョナサン・ハウエルズ
ナポリの踊り:崔 由姫、ポール・ケイ
マズルカ:
クリスティーナ・アレスティス、ヘイリー・フォースキット、メリッサ・ハミルトン、
ベアトリス・スティックス=ブルネル、蔵 健太、エリコ・モンテス、
ドナルド・トム、ダヴィッド・チェンツェミエック

第四幕
二羽の白鳥:小林ひかる、イツァール・メンディザバル
白鳥、白鳥のひな、農民、侍女、
士官候補生、使用人、小姓、こびと:英国ロイヤル・バレエ団、英国ロイヤル・バレエ学校


指揮者:ボリス・グルージン
オーケストラ:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ団、東京バレエ学校

◆上演時間
第一幕、第二幕 13:00 - 14:15
休憩 25分
第三幕 14:40 - 15:15
休憩 20分
第四幕 15:35 - 15:55

■2013/07/15(月・祝)「バレエの神髄 2013」
第1部 ガラ・コンサート
「パキータ」より
カテリーナ・クーハリ、アレクサンドル・ストヤノフ、キエフ・バレエ
音楽:L.ミンクス 振付:M.プティパ

クーハリ&ストヤノフには、
他のカンパニーのこの作品で見るような大物感は皆無だけど
2人とも身体のキレが良く、見ていて気持ちが良い。
2人もコールドも、体型がいかにも「ロシア!」なかんじ。
いいわ~。
ただ、マールイを見慣れているからなあ。
コールドの揃い方もソリストのレベルもゴージャス感も
物足りなく思ってしまう。
マールイの質の高さを改めて認識した。
4人のソリストがエフセーエワとかコシェレワだったんだよなー。
なんて贅沢だったんだろう。


「帰還」
ファルフ・ルジマトフ
音楽:民族音楽 振付:V.ロマノフスキー

プログラムを買ってないので詳細はわからないのですが、
野心半ばで野垂れ死にする男のイメージ。
「帰還」とあるけど、故郷にたどり着けなかったように感じました。
枯れた仙人とギラギラ野心家を行ったり来たりするルジですが、
今回は後者みたい。
この年齢でこのギラギラ感と体型は素晴らしいと思います。
ま、ファンですから。


「海賊」よりパ・ド・ドゥ
エリザヴェータ・チェプラソワ、岩田守弘
音楽:R.ドリゴ 振付:M.プティパ

岩田さんは昨日怪我で一作降板だったとか。
リフトが上手くいかなかったり、
ジャンプの着地点をコントロールできなかったりで
岩田さんの苦労が忍ばれるけど、
さすがに誤魔化しも自然で上手い。
プロだわ~。
身体も綺麗に動いている。
技術的には最初のペアの方が
今となっては高いのかもしれないけれど
ダンサーとしての格の高さって
それとは別なんだなあ。
やっぱり(元)ボリショイって別格だわ。
存在感も含め、なにもかもが。
チェプラソワは印象薄し。


「瀕死の白鳥」
エレーナ・フィリピエワ
音楽:C.サン=サーンス 振付:M.フォーキン

まさに小さくてか弱い白鳥が死んでいく姿だった。
小さい生き物が儚い命を終えていく。
人生を背負わない「瀕死の白鳥」もいいね。


「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ
エレーナ・エフセーエワ、セルゲイ・シドルスキー
音楽:L.ミンクス 振付:M.プティパ

inキーロフでは見劣りした体型は今日は気にならないエフセーエワ。
キーロフの体型どんだけレベルが高いのか。
気合いを入れる表情とかキメの溜めとか
ほんと旧ソな芸風だけど、今日は浮いてない。
ピンで拍手を貰う姿はそれだけで感動だ。

シドルスキーは盤石で安定しているプロフェッショナル。
こういう人がいるとガラ公演も安心。


第2部 ガラ・コンサート
「ロミオとジュリエット」よりバルコニーの場面
カテリーナ・クーハリ、アレクサンドル・ストヤノフ
音楽:S.プロコフィエフ 振付:A.シェケロ

「音に対しできるだけ多く踊りをいれましょう」的な作品。
情緒は無いけど、ガラにはいいかも。
アクロバティックな振付でしたが
2人とも自然な体の動きでした。


「ナヤン・ナヴァー」
岩田守弘
音楽:V.ジャルサーノフ 振付:P.バザロン

雨乞い?なのかな。
神と対話し、
神からのメッセージと
自然の恵みを受け取る、
そんなイメージ。


「ルースカヤ」
エフセーエワ
音楽:P.チャイコフスキー 振付:M.プティパ、L.イワノフ 改訂演出:V.ワシリエフ

エフセーエワの得意技てんこ盛り。
いろいろ忙しなく技を入れてくる。
これはこれでありなんだろうけど、
トラディショナルな方が見たかったなあ。
「改訂演出:V.ワシリエフ」って、
オディールが出ないやつ?
いや、あのときはオデットが「ルースカヤ」だったよな。


「ラ・シルフィード」よりパ・ド・ドゥ
吉田都、シドルスキー
音楽:H.レーヴェンショルド 振付:A.ブルノンヴィル

都ちゃんがとても可愛くて、ふんわり飛んでいる。
シドルスキーも音のしない柔らかい高い緻密なジャンプ続出で
彼も妖精さんだった。
妖精2人の戯れみたい。


「ボレロ」
ルジマトフ
音楽:M.ラヴェル 振付:N.アンドロソフ

前に見たのと同じかな?
ベジャール版を崩しただけのようなかんじなので
作品としては面白味を感じないんだけど、
ルジが神官で、祈りを捧げているうちに
人間を通り越して神になっていくようだった。
ルジの肉体美を堪能した。
なんか、顔の張りも戻った?


第3部 「シェヘラザード」(全1幕)
ルジマトフ、フィリピエワ、キエフ・バレエ
音楽:N.リムスキー=コルサコフ 振付:M.フォーキン

エロ魔神な奴隷様を堪能しました。
今回はゾベイダが場の主導権を握っていて
ルジは奴隷の域だった。
純愛系より、こういう展開の方が好きだわ。
ルジは、いわゆる古典技は披露してない気がするけど
ニジンスキーが踊っているんだから古典だよね。
よく身体が動くなあ。
国王様もイケメンでした。

■子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」東京バレエ団
■2013/08/09(金)上野&柄本
子供向けに、というか、
若手ダンサー向けにアレンジされた版を
本公演主役が踊るとどうなるのかが見たくて
行ってきました。

本日はオーロラ姫だけでなく
他の役も本公演キャストでした。
せっかくなんだから若手にチャンスを!
とも思うけど、
やっぱり本公演キャストは違うなあ、
と思ったのも事実。
格が違いますね。
プロフェッショナルの踊りです。
舞台がすごく小さく感じました。

水香ちゃんは、背中の肉もすっきりして、
安定した踊りでした。
華やかで真ん中オーラがあります。
1幕は縦ロール付きだったような。
バレフェスで「日本代表です!」
ってポジションだと違和感だけど、
今日はちょうど良いかんじ。

高木さんは慈愛に溢れた優しいリラでした。
奈良さんはノリノリで悪役演技。
カラボスの化粧だと、
なぜかゆーひに似ている気がする。

弾くんは以前よりノーブル。
戦いの場面でも気品が崩れない。
もう少し小顔だとなあ・・・。

氷室くんの喋りは滑らかでわかりやすかった。

舞台進行は慣れてきたようで
ハラハラするところは無かったです。


これはこれで楽しいんだけど、
幻影の場面無しでも
東バオリジナル版を今日のキャストで見たいな。


配役等
オーロラ姫:上野水香
デジレ王子:柄本弾

リラの精:高木綾
カラボス:奈良春夏
カタラビュット(式典長):氷室友
王さま:佐藤瑶
王妃さま:政本絵美

乳母:河合眞里
優しさの精:村上美香
やんちゃの精:岸本夏未
気前よさの精:三雲友里加
のんきの精:古閑彩都貴
度胸の精:中川美雪
4人の王子:森川茉央、杉山優一、永田雄大、和田康佑
オーロラの友人:乾友子、渡辺理恵、矢島まい、川島麻実子

フロリナ王女と青い鳥:乾友子、岸本秀雄
白い猫と長靴をはいた猫:岸本夏未、岡崎隼也
赤ずきんとおおかみ:河合眞里、永田雄大
シンデレラとフォーチュン王子:村上美香、杉山優一
白雪姫:渡辺理恵

協力: 東京バレエ学校

◆上演時間◆
プロローグ・第1幕 15:00~15:45
休憩 15分
第2幕 16:00~16:40


■2013/08/25(日)吉川&梅澤
吉川さんはまだまだ押し出しが弱く、
ローズアダージオも、綺麗に踊っているけど
大技を踊りきった達成感は無い。
しかし、以前に比べると
(タニちゃんのお歌の当人比みたいなもんだけど)、
とても可愛らしい、ピンクの小花のようなお姫様を
ちゃんと作って表現していた。
前回は生真面目に頑張って踊っている本人しか見えなかったので
それに比べると、かなり良くなった。
パ・ド・ドゥの白い衣装はキラキラ感があり
とても似合っていた。
進歩はしてるので今後に期待。
主役オーラが出るといいね。

お目当ての梅澤くんは、
とても王子らしかった。
(癖のないミッチーみたい、と思いました)
たぶん古典は初主演だと思うんだけど
凛々しい王子様で
何気なく立っているときも
演技が途切れることが無く
気品もあった。
とても落ち着いた踊りだった。
パ・ド・ドゥ前半が、
やや吉川さんとの呼吸が合わなかったかな。
双方の責任だとしても
そこは男性がリードしカバーしないとね。
着地後とか決めポーズは、
もっとあざとくアクセントを付けてもいいと思う。
パ・ド・ドゥのコーダで、
ジャンプが上手くいく手応えがあったのか、
途中から超笑顔になったのが可愛かった。
身長も低い方ではないし、
頭身のバランスも良いので
本公演でも起用して欲しいなあ。

渡辺さんのリラは優しく、
なおかつ他の妖精より偉い感がある。
矢島さんのカラボスは悪意より怖い系。
二人の対決は見応え充分。
本公演でも見たいなあ。

氷室くんの喋りはとても滑らかで
喋りの本職のよう。

妖精さんの最初の人が膝をついて
ちょっとドキドキした。

森川狼安定。
原田さんの鳥は着地音ほとんど無し。
安田さんは王子が似合う。

大満足でした!


配役等
オーロラ姫:吉川留衣
デジレ王子:梅澤紘貴

リラの精:渡辺理恵
カラボス:矢島まい
カタラビュット(式典長):氷室友
王さま:佐藤瑶
王妃さま:政本絵美

乳母:岸本夏未
優しさの精:高浦由美子
やんちゃの精:河合眞里
気前よさの精:加藤くるみ
のんきの精:宮下和瑞
度胸の精:金子仁美
4人の王子:森川茉央、安田峻介、原田祥博、宮崎樹
オーロラの友人:加茂雅子、小川ふみ、二瓶加奈子、三雲友里加

フロリナ王女と青い鳥:三雲友里加、原田祥博
白い猫と長靴をはいた猫:金子仁美、吉田蓮
赤ずきんとおおかみ:古賀彩都貴、森川茉央
シンデレラとフォーチュン王子:高浦由美子、安田峻介
白雪姫:小川ふみ

協力: 東京バレエ学校

◆上演時間◆
プロローグ・第1幕 15:00~15:45
休憩 15分
第2幕 16:00~16:40

■「ディアナ・ヴィシニョーワ -華麗なる世界-」
■2013/08/17(土) Aプロ
オープニングは全員集合。
バランシンっぽく、ゴメスはこういう繊細な作品を作るのかと
意外に思った。
(なんとなくパワフル系かと予想していた)

第一部
「オテロ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アルヴォ・ペルト
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン


ノイマイヤーらしい純白な世界。
ゆったりとした動きだけど、
オセロとデズデモーナの関係が徐々に変わっていく。
ドラマチックだった。


「コッペリア」
振付:ミハイル・バリシニコフ 音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン


地味すぎて辛い。
せめてもっとほのぼのカップル的な雰囲気があれば。
それなりに高い技術を見せているんだけど
全く魅力的に見えない。


「失われた時を求めて」より "モレルとサン・ルー"
振付:ローラン・プティ 音楽:ガブリエル・フォーレ
マルセロ・ゴメス、デヴィッド・ホールバーグ


素晴らしい!の一言。
惹かれ合い、同調し、反発し、でも引き合う。
物語としての「モレルとサン・ルー」としてもいいし、
(といっても私は粗筋しか知りませんが)
単純に旬のダンサー二人の並びも良い。
蠱惑的で肉感的なのに、ピュアでもある。
不思議な熱量の世界だった。
モレルがゴメスで
ホールバーグがサン・ルーなんだっけ?
逆の方がしっくりするよなー、
と思ったけど
このパターンだと・・・、と、
自分の中で膨らませていくのも面白いな。


「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース


力任せ過ぎなのがいっそ清々しい。
技を見せることに終始し、バランシン要素皆無だけど、もうOK!
2人ともNYCB本場のダンサーだけど
今はこの芸風でバランシン作品はOKなんだね。
私が思うバランシンって、映像ではスザンナ・ファレル、
ナマで見たのはダーシー・キスラーで
音楽がキラキラ輝いて身体から零れてくるイメージなんだけど
そういうタイプはもういないのか、
私のイメージがそもそも間違っているのか。

ボーダーに比べてデ・ルースが小さくて、
見てて痛々しかった。
彼より小柄な人はそんなにいないだろうけど。


第2部
「ダイアローグ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フェデリコ・モンポウ(「ショパンの主題による変奏曲」)
ディアナ・ヴィシニョーワ、ティアゴ・ボァディン
ピアノ演奏:アレクセイ・ゴリボル


恋人同士の日常の風景なんだろうけど、
私の頭の中には入って来なかった。
ヴィシとボァディンの並びは存外に良く、
ヴィシはルジとも合ってたし、
意外と誰とでも合うのかな、
マラーホフは結局ワシリエワが一番合ってたな、
と思いながら寝た。
ごめん。


第3部
「フーケアーズ」
振付:ジョージ・バランシーン 音楽:ジョージ・ガーシュイン
アシュレイ・ボーダー


開演前に
「ホアキン・デ・ルースが、かねてより痛めておりました
 膝の状態が悪化したために、アシュレイ・ボーダーによる、
 バランシン振付の「フーケアーズ」に変更させていただきます。」
とのアナウンスが入り、演目変更。

ボーダーは歯切れの良い踊りだった。
音楽性も高く、見ていて気持ちが良い。
衣装も音楽も用意済みだったのは
演目変更は想定内だったのかな。


「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン


内容はわからないけど、いかにもヌレエフっぽい、
香気漂う作品で、エイマンは美しく踊っていた。
ソロの方が断然輝いている。


「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
エレーヌ・ブシェ、デヴィッド・ホールバーグ


実に素晴らしかった!!
ABT出身で、ボリショイのプリンシパルというホールバーグは、
バランシン振付のロシア・バレエへのオマージュというこの作品の
まさに具現化だ。
作品に相応しい気品や品格はあるけど、
「眠り」のような、どこか甘やかなパ・ド・ドゥだった。
硬い鉱石の威厳や圧倒的な威圧感は無いけど、
こういう雰囲気でもいいんじゃないかな。
そして、ブシェのチュチュはレア!
ありがたい!!


「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス


ゴメスに髭がない。大減点。
二人とも失ってしまった青春の苦さは皆無で、
現役感漂う、情熱的かつ官能的な踊りだった。
長年に渡る不倫の清算にしか見えない。
それはそれで美味しいけど。

フィナーレもゴメス振付で、タンゴチック。
悪くないけど、衣装チェンジを待つ時間が
ちょいイライラした。


◆上演時間◆
第1部 15:00 - 15:50
休憩 15分
第2部 16:05 - 16:35
休憩 15分
第3部 16:50 - 17:40


■2013/08/22(木) Bプロ
―― Prologue ――
Bプロ仕様で水香ちゃんIN。
ダンサーの美しい肢体を堪能。
ボーダーの音の捉え方が気持ち良い。


第一部
「ドリーブ組曲」
振付:ジョゼ・マルティネス 音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン


ユレルはこういうパキパキした踊りは良く似合う。
エイマンは変則ジャンプをはじめ、
難しい技を綺麗に決めてるけど
ジョゼの残像があるので手足の長さが物足りないように思う。


「レダと白鳥」
振付:ローラン・プティ 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
上野水香、イーゴリ・コルプ


コルプは白鳥の、そして神の化身。
神々しく、美しい。
水香ちゃんも人間の女性の役なので似合っている。

コルプも水香ちゃんも(この作品ではないけど)
プティに直接指導を受けたことがあるんだよね。
プティの香気を感じた。


「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース


超技巧なのに超バランシン。
2人の音の捉え方の的確すぎて
全てが決まっている。
音がキラキラ舞っていた。
素晴らしい!
さすが本拠地!!


「精霊の踊り」
振付:フレデリック・アシュトン 音楽:クリストフ・ヴィリバルト・グルック
デヴィッド・ホールバーグ


男性版シルフ?
なんとなくアイルランドとかそんなかんじ。
アシュトンだけど細かい脚捌きはなく
すごくロシアンな踊りだった。


「真夏の夜の夢」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン


はどのカップルの結婚式なんだろう。
二人とも純白の衣装で輝いていた。

ノイマイヤーがダンサーに求める身体能力って高いよな。


第二部
「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ 音楽:ジョルジュ・ビゼー/ロディオン・シチェドリン
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス、イーゴリ・コルプ
後藤晴雄、奈良春夏、東京バレエ団


どんなに生臭く官能的になるかと思ったヴィシは、
誰のものにもならない、
男に踏みにじられることのない強い女だった。
自分の人生は自分で決める、そんなかんじ。
もっとエロくてもいいけど、
私はこういうカルメンも好きだな。

短縮版なのでホセの出番が減った?
そのためか、ゴメスはかなり王子キャラだった。
そりゃ強すぎてもいかんのだろうけど、
もうちょい熱血系かと思っていたんだけどな。

ホセよりエスカミリオの方が見せ場ある気がする。
コルプ先生キターッ!っなかんじの気障りがたまらなくウハウハ。
やってくれるわー。
そりゃ、カルメンもこっちがイイよねえ。

こういう時は調子が良い後藤くんが、
ピシッとキメキメなのが楽しかった。


第三部
「眠れる森の美女」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ/マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン


衣装は素敵だけど、2人ともソロになるとイキイキする。
もうちょい2人で組んでいる時に幸福感が出ないもんかな。


「チーク・トゥ・チーク」
振付:ローラン・プティ 音楽:アーヴィング・バーリン
上野水香、ルイジ・ボニーノ


前に見たのが草刈りさんのせいか、
水香ちゃんの脚は充分プティ。
コケティッシュさが足りないけど、まあいいか。
ボニーのは名人芸。

この作品自体は好きなんだけど、
このペアでこの演目が、なぜヴィシガラ?の違和感はある。


「ナウ・アンド・ゼン」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:モーリス・ラヴェル
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン


恋人同士の睦みと別れか?
去って行く男を、そっと振り返って見る女、
というラストは好きだけど
第三部のこの位置で見るには辛かった。

ノイマイヤーが旬な振付家なのはわかるけど
こんなにてんこ盛りにされると
ロミジュリ上演のバーターなのかなあ、
と思うけど、
ラコットのバーターよりはいいわな。


「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン 音楽:ボリス・アサフィエフ
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース


もっとやらかしてくれると思ってたけど、
それほどでもなかった。
「タランテラ」の方が勢いがあったし、
こちらの作品はいろんな技巧派ペアが踊っているので
いまいち彼等ならでは、の部分の印象が薄い。

「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス
ピアノ演奏:菊池洋子


とても情熱的だった。
こういう2人が見たかった。
大満足。

ヴィシ、セメニャカに似てる?


―― Finale ――

フィナーレは最後の瞬間にボニーノもIN。
上手く作っているな。


◆上演時間◆
第1部 19:00 - 19:55
休憩 15分
第2部 20:10 - 20:50
休憩 15分
第3部 21:05 - 22:00

予定は上記だけど
実際の終演は22時半でした。
疲れたわ。

同じ値段ならだんぜんBプロの方がお徳だけれど
Aプロのプルーストは、それだけでもモトが取れたわ!

■2013/09/21(土)「ロミオとジュリエット」オシポワ&コヴィエッロ/ミラノ・スカラ座バレエ団
当初ジュリエットに予定されていたペトラ・コンティが降板し
オシポワの登板となりました。
スカラ座キャストで見たかったけど
降板は仕方が無いし、
代役を引き受けてくれたオシポワには感謝です。

スカラ座は、ぶっちゃけ、踊りのレベルはそんなに期待していません。
「眠り」を見たとき、カルラ・フラッチは特別なんだな、と思いました。
前回の「ドン・キ」も、ヌレエフの振付が入っているとはいえないのに
(明らかに3つぐらい飛ばしているのに)
自分たちは完璧です!って、さわやかな顔だったのがとても印象的でした。
今回はそれらを思うと、総じて全体的なレベルが上がったように思います。
あくまでも過去公演比ですが。
マクミランにしては繊細さに欠けるのは
カンパニーのカラーじゃないから仕方がですかね。

お目当ては舞台美術と衣装。
やっぱりとっても素敵でした!
セットは、石造りの建物の雰囲気が重厚で、とても良いです。
ライティングなどですごく立体的です。
ただ、階段が野外劇場のような半円形の備え付けなので、
ロミオがロザラインからジュリエットに乗り換えた瞬間がわかりづらいのが
ちょい寂しいなあ。
衣装も綺麗な色分け。
ちょっとレザーっぽい生地があったり
細かい部分がとってもお洒落。


ダンサーについては、とにかくオシポワが可愛い。
5階サイド席からでも表情がよく伝わってきます。
強い意思、決意が特に感じられました。
ジュリエットが終始ストーリーを引っ張っていた印象です。
実に細かい部分まで神経が行き届いた踊りで
やっぱり世界最高レベルのダンサーなんだなあ、と改めて思いました。

ロミオのコヴィエッロは、スター性や華はやや欠けるけど
音楽に綺麗に乗った踊りで、若くして抜擢も頷ける。
脚の伸びが良かったです。

ティボルトのゼーニは前回はバジルでした。
今回は髭のイケメン。
マーキューシオについては、
うっかり、その気もなく、殺してしまった系。
「違うんだ、これは」という台詞が聞こえてきたような気がした。

マキューシオのステラも髭だった。
2幕は踊る場面が続くけど
スタミナ切れは無く、勢いよく踊り通していました。
死ぬ場面は意外とあっさり。
マクミラン版ってこんなに短かったっけ???


濃いイタリア系の顔立ちのダンサーたくさんの舞台は
それだけで見ていて楽しいですね。


【配役】
ロミオ:クラウディオ・コヴィエッロ
Romeo:Claudio Coviello
ジュリエット:ナターリヤ・オシポワ
Giulietta:Natalia Osipova

マキューシオ:アントニーノ・ステラ
Mercuzio:Antonino Sutera
ティボルト:ミック・ゼーニ
Tebaldo:Mick Zeni
ベンヴォーリオ:マルコ・アゴスティーノ
Benvolio:Marco Agostino
パリス:リッカルド・マッシミ
Paride:Riccardo Massimi
キャピュレット公:アレッサンドロ・グリッロ
Lord Capuleti:Alessandro Grillo
キャピュレット夫人:サブリナ・ブラッツォ
Lady Capuleti:Sabrina Brazzo
大公:マシュー・エンディコット
Il Duca:Matthew Endicott
ロザリンデ:ルアナ・サウッロ
Rosalinda:Luana Saullo
乳母:モニカ・ヴァリエッティ
La Nutrice:Monica Vaglietti
ロレンス修道僧:マシュー・エンディコット
Frate Lorenzo:Matthew Endicott
マンドリン・ダンス(ソロ):ヴァレリオ・ルナデイ
Solista Mandolino:Valerio Lunadei
3人の娼婦:アントネッラ・アルバーノ、デボラ・ジズモンディ、ステファニア・バロッネ
Tre Zingare:Antonella Albano、Deborah Gismondi、Stefania Ballone
モンタギュー公:ジュゼッペ・コンテ
Lord Montecchi:Giuseppe Conte
モンタギュー夫人:セレーナ・コロンビ
Lady Montecchi:Serena Colombi
ジュリエットの友人:
マルタ・ジェラーニ、クリステッレ・チェッネレッリ、ヴィットリア・ヴァレリオ、
ルーシーメイ・ディ・ステファノ、アントニーナ・チャプキーナ、ジュリア・スケンブリ
Sei Amiche di Giulietta:
Marta Gerani、Christelle Cennerelli、Vittoria Valerio、
Lusymay Di Stefano、Antonina Chapkina、Giulia Schembri

ミラノ・スカラ座バレエ団
e il CORPO DI BALLO DEL TEATROALLA SCALA
芸術監督:マハール・ワジーエフ
Direttore: Makhar Vaziev

演奏:東京シティ・フィルハーモニック・オーケストラ 
Orchestra: Tokyo City Philharmonic Orchestra
指揮:デヴィッド・ガーフォース  
Direttore: David Garforth

■2013/10/13(日)「ドン・キホーテ」井脇幸江&菅野英男/Iwaki Ballet Company
井脇さんのキトリが見たくて行って来ました!

2幕構成で、
街の騒動とジプシーと夢の場面が第一幕、
狂言自殺と結婚式が第二幕。
幕内は幕を閉じることなく続けて場面転換。
狂言自殺の後のみんなの踊りは終幕の締めに。

バジルとジプシー達は最初喧嘩、
槍を持って突撃してくるキホーテから逃げなかったため
ジプシー達にバジルは認められ、
キホーテを含めて酒瓶がみんなに配られ乾杯。
キホーテが風車を龍と見誤ったのは見たのは酔ってたから。

サンチョはバジルの狂言を目撃するが、味方する。
ガマーシュとサンチョで掛け合いのようなお祝いの踊りあり。

井脇さんはキトリはとても似合っていた。
赤い衣装がしっくりくる。
強気なところが可愛くて
恋人を振り回しているように見えてもベタ惚れで。
もうちょっと若いときに見たかったなあ。
爆発する技術はないけど丁寧な踊り。
32回転はシングルだけど確実。

バジルの菅野さんは、
スピード感がありつつ、
止めの切れが実によく決まる小気味良い踊り。
井脇さんとの芝居、パートナーシップも良く、
真ん中で踊り慣れている経験が舞台を締めていた。

芝岡くん、吉田くん、小笠原くんは
息の合った芝居だった。
宮本くんも目を惹く踊り。

エスパーダの田中さんは背も足も長かった。
見た目は線が細いけど
踊り始めたら適度にイケイケだった。
街の踊りの男性三人のスタイルが良かった。

出演者全員が同じカンパニーではないだっけ?
ややばらついていた場面はあるけど、
ソリストは概ね大きい舞台で踊り慣れているようで、
発表会テイストはあまり感じられなかった。
衣装、セットも良かった。

言っても仕方がないけど、
録音の音楽は迫力不足。
夢の場面の人数が少なく、スカスカ感が悲しかった。
この辺は埋めようがないのはわかるんだけどね。

オープニングアニメは竜太くんだっけ?
サンチョが馬から落ちる度にドキドキしちゃったよ。

出演者に元東バが多いためか
もしかしてブラボー隊が東バから来てた?

皆さんの今後に活躍に期待!です。


【主な配役】
キトリ・・・・・井脇 幸江
バジル・・・・・菅野 英男

ドン・キホーテ・・・・・芝岡 紀斗
サンチョ・パンサ・・・・・小笠原 亮
ガマーシュ・・・・・吉田 和人
ロレンツォ(キトリの父)・・・・・淡田 和仁
ロレンツォの妻(キトリの母)・・・・・宮下 今日子
キトリの友人
ピッキリア・・・・・高橋 奈津子
ファニータ・・・・・南 亜紗子

【バルセロナの街】第1場
街の踊り子・・・・・佐伯 由加
エスパーダ・・・・・田中 俊太朗

【野営地】第2場
ジプシーの総領・・・・・宮本 祐宜

【夢の場】第3場
ドルシネア姫・・・・・井脇 幸江
森の女王・・・・・工藤 加奈子
キューピット・・・・・桜庭 絵利子、中野裟弓

【酒場】第4場
メルセデス・・・・・阿部 美絵

【結婚式】第5場
ボレロ・・・・・柴田有紀・正木亮
バリエーション1・・・・・高橋 奈津子
バリエーション2・・・・・南 亜紗子

■「ジゼル」東京バレエ団
■2013/10/14(月・祝)吉岡美佳&ホールバーグ
美佳さんは白鳥よりオーロラより、ジゼルが似合う。
とりたてて大発見とか新鮮味はないけど、
「ジゼルといえば」の定番イメージそのままで安心感がある。
ひっそり儚く、心臓がちょっとしたショックにも耐えられないのが納得。
ウィリーになってしまうほどアルブレヒトを愛しているけれど
決して押しつけがましくはなく
最後まで愛し抜き、最後は彼を許し、彼が生きることを願い消えていく。
とても明確な演技だった。

ホールバーグのアルブレヒトは熱血の恋に浮かれ系。
この恋の行く末など考えずひたすら突き進む。
しかし知的な顔なのでアホボンには見えない。
わかりやすいアメリカンな芝居を混ぜつつも
剣を放り投げるなどのちょっとした仕草が
不遜で気品があり、間違いなくお貴族様。
ひざまづいた時の気品が完璧すぎる!
アメリカのダンサーによくある「詰めの荒さ粗さ」が皆無だ。
情熱的ではあるんだけど、
周囲を焼き尽くす熱さとも違い、
なんとも言えない、独特の温度のアルブレヒトだった。
最後はジゼルから貰った花をひっそりと抱きしめる。
彼がジゼルを忘れずに生きていくことこそ
ジゼルが生きていた証になるんだな。

美佳さんとホールバーグは
演技も踊りもとても噛み合っていて
常にお互いを見ていて、
その視線が優しく愛に溢れていた。
身長差もとても萌え萌え!
いいコンビだった。

弾くんは髭が似合わないなあ。
「憧れのお姉さんが騙されるのを見ていられない」
若者らしい正義感の子、でもいいんじゃないか。
東バのヒラリオンは粗野系が基本だから仕方がないんだろうけど。

狂乱の場でジゼルを見ることしかできないアルブレヒトと
目を背けてしまうヒラリオンの対比が良かった。

高木さんバチルドは、「なんてひどいことを」をという、
女の嫉妬でも、傷ついた貴族のプライドでもなく、
ひとりの「人」としてアルブレヒトを責めていたように思いました。
そういう高潔で公正な人が怒るからこそ
悲劇感がいっそう増すかんじ。
高岸公爵は馬鹿息子に怒り。
森川ウィルフリードは忠実な心配性。
去れ、と言われても、何度も何度も振り返っていた。

奈良さんのミルタは女の恨みがちょっと生々しいかなあ。
人間らしい存在感と生命力を感じ、
あまり精霊らしさは感じられなかった。
比較対象が井脇さんだから、特に。
矢島さん川島さんは精霊感、浮遊感がばっちり。
コールドも実に幽玄だった。


【主な配役】
ジゼル:吉岡美佳
アルブレヒト:デヴィッド・ホールバーグ
ヒラリオン:柄本弾

バチルド姫:高木綾
公爵:高岸直樹
ウィルフリード:森川茉央
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 乾友子(黄)-岸本秀雄(緑)、吉川留衣(橙)-杉山優一(橙)、
 川島麻実子(緑)-梅澤紘貴(橙)、河谷まりあ(桃)-入戸野伊織(緑)

ジゼルの友人(パ・ド・シス):
 渡辺理恵、矢島まい、小川ふみ、伝田陽美、二瓶加奈子、政本絵美

ミルタ:奈良春夏
ドゥ・ウィリ:矢島まい、川島麻実子

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


■2013-10-19(土)上野水香&木村和夫
木村さんのアルブレヒトは、
前回はルグリを思わせる高貴さが冷たくさえ感じたけど
今日は通常運転で暑苦しい愛だった。
義務いっぱいの人生で初めて知った恋に夢中なお武家様っぽい。
一途ではあるけど、恋いに浮かれて過ぎてはいない、
なんというか分別のある大人だけど、
それでも溢れる気持ちは止められない、
そこに悲劇があるというかんじかな。
ヒラリオンが吹く笛の音に、全てが終わったことを知る。
その時の表情が切なくて涙。
バチルドへのキスの前にジゼルを見るのがもう辛くて!
ジゼルに申し訳なく思いつつも、
振り切って自分の世界に帰ろうとしたんだな。
狂乱の場面ではウィルフリードに頼りまくりだけど、
無茶振りされても困るよねえ。
(どうしたらいい?知らないっす、無理っす、みたいな雰囲気)
木村さんらしいアルブレヒトだけど、
水香ちゃんの方が高貴に見えるのが惜しい。
木村さんは辺境貴族の分家で、
水香ちゃんは中央の王家の御落胤みたいな雰囲気なんだな。
それはそれで悲劇だけど。

ちょい前に上野&高岸で見たこともあり、
水香ちゃんも木村さんもそれぞれ自分の芝居をしているんだけど
いまいち役としては噛み合っていないように見えました。
古典の芝居をする木村さんと
現代女性の水香ちゃん、みたいなかんじ。
ただ、踊りは2人とも素晴らしかった。
水香ちゃんの踊りは脂がのっていて、今まさに盛りだね。
木村さんの踊りは細かいところまで正確で美しかった。
パ・ド・ドゥ後はアントルシャ。
渾身の踊りでした。

初役の森川くんのヒラリオンが、とても良かった。
ビジュアルはムサいんだけど
粗野と言うほどでもなく、ストーカーでもなく
一途で純愛系だけど、可憐な乙女系でもない。
心底ジゼルを愛し、ジゼルのためを思って行動しているのが分かるけど
「ジゼル、こっちにしとけよ!」と思わせることも
さっさと諦めろよ、と思わせることもない。
いろんな要素のバランスが良かった。
芝居心のある人だな。
とにかく、横恋慕感がいいんだわ!
弾くんは生真面目な面が出過ぎてて
無理矢理割り込むところにキャラ違いの違和感があったから。

弾くんは忠実ではあるけれど
一歩引いて見ている感じもするかなあ。
アルブレヒトの愚かさを認識しているかんじがする。

奈良さんのバチルドは美しく、
身分の高さを自覚している貴族のお姫様らしかった。
以前は香椎由宇に似てると思ったけど
最近はすーちゃん(憧花ゆりの)に似てると思う。

高木さんは精霊というより幽霊だけど
人間ではない怖さがあった。
統率感もよく出ていた。

乾さんはだいぶ学年が上がっちゃったな。
もうちょい、チャンスが欲しいなあ。


木村さんとユカリューシャの「ジゼル」がもう一度見たいな。
いや、むしろ、斎藤ジゼル、高岸アルブレヒト、木村ヒラリオンをもう一度見たい。


【主な配役】
ジゼル:上野水香
アルブレヒト:木村和夫
ヒラリオン:森川茉央

バチルド姫:奈良春夏
公爵:高岸直樹
ウィルフリード:柄本弾
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 乾友子(黄)-岸本秀雄(緑)、吉川留衣(橙)-杉山優一(橙)、
 川島麻実子(緑)-梅澤紘貴(橙)、河谷まりあ(桃)-入戸野伊織(緑)

ジゼルの友人(パ・ド・シス):
 渡辺理恵、矢島まい、小川ふみ、伝田陽美、二瓶加奈子、政本絵美

ミルタ:高木綾
ドゥ・ウィリ:矢島まい、川島麻実子

■2013/11/04(月・祝)「白鳥の湖」アナニアシヴィリ&宮尾俊太郎/K-バレエ・カンパニー
ニーナはさすがに往年のキレは無いけど、
それでも一人だけ纏っている空気が全然違う。
Kのダンサーも良いんだけど、
それでも「プリマ」は別次元なんだなあ。
とにかく、圧巻!
特に黒鳥!
32回転はシングルだけど、
腕の動きをちょっと変えつつ、
スピード感のある回転でした。

その後も幕間休憩無しで衣装変えして白鳥で。
いやもう凄すぎる!
素晴らしすぎて溜め息しか出ない。

技術と体型だけで言えば前回の方が良いけど、
グルジア版は全幕とは言い切れないので、
物語を紡ぐ力や舞台への求心力、
役を生きる力なども堪能できた今回の方が
総合的にはずっと良かった。
ニーナの白鳥全幕を見られるのは世界でも日本だけでは?
熊川団長、呼んでくれて本当にありがとう!そして、ありがとう\[宣]/

ニーナは、白鳥全幕はかなりギリギリっぽかったけど、
古典用の筋肉はまだ維持できているので、
短いジゼルとか、白鳥2幕抜粋なら
まだいけるんじゃないかな。
06年バレフェス・ガラのギエムの筋肉の衰え方に愕然としたのを思い出すと、
ニーナは凄いなあ、と。

カーテンコールもたくさんでした。
同世代が古典から降りているけど、
ニーナはまだ踊って欲しいな。

宮尾くんは高みにいる大先輩に必死で食らいついてるかんじ。
長身を上手く使いこなしている。
好青年が活き活きと踊っている部分が前面に出過ぎているので、
もうちょいノーブルさが欲しいな。
(ニーナの相手ということで比較対象がウヴァーロフなもんで)

遅沢さんのロットバルトは3幕が良かった。
場を支配し、ニーナとの芝居も合っていた。
2幕4幕のロットバルトの衣装が前に見た時と違う?
キャシディはもっと真っ黒だったような。
ヒラヒラのマントは捌き切れていない印象。

柄本姉(89期)は、言われて見ると、男役化粧かも。
以前はこたつも王妃だったし
元ヅカ枠があるのかな?

ベンノは衣装変えがあった。
以前は緑一着だったような。
やっぱ礼服は要るよね。

Kバレエの白鳥について以前の自分の記録を見たら、
「3幕のベンノにも礼服を作ってあげて下さい。1幕と同じじゃ可哀想です。」(03年6月)
「団員が増えると、ハンガリーとかが入るようになるのだろうか?」(05年5月)
と書いている。
いろいろマイナーチェンジがあって今日の版なのね。
今回でKの白鳥は4回めだと思うけど、
オデットとオディールが同じダンサーなのは初めてでした。


【配役】
オデット/オディール:ニーナ・アナニアシヴィリ
ジークフリード:宮尾俊太郎
ロットバルト:遅沢佑介
王妃:柄本まりな
家庭教師:ガイ・ニブレット
ベンノ(王子の友人):池本祥真

パ・ド・トロワ
 第1ヴァリエーション:湊まり恵
 第2ヴァリエーション:井澤諒
 第3ヴァリエーション:神戸里奈

4羽の白鳥:佐々部佳代、湊まり恵、荒蒔礼子、梶川莉絵
2羽の白鳥:辻久美子、新居田ゆかり

6人の姫:佐々部佳代、日向智子、井上とも美、中村春奈、浅野、真由香、辻久美子
ナポリ:飯田朝世、河合有里子、酒匂麗、兼城将軍
チャルダッシュ:
 吉田恵、ニコライ・ヴィユウジャーニン
 荒蒔礼子、池田理彩子、前田望友紀、菅原亜美
 長島裕輔、愛沢佑樹、益子倭、三浦響基
マズルカ:
 岩淵もも、松岡恵美、香西由美子、栗村萌絵
 伊坂文月、井澤諒、坂本駿、杉野慧
スペイン:
 山田蘭、金雪華、國友千永、酒井麻子
 福田昴平、浜崎恵二朗、石橋奨也、川村海生命

指揮:井田勝大
演奏:シアターオーケストラトーキョー

■「シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013」
■2013/11/14
「エチュード」
高岸さんが脚を痛め、後半は梅澤くんが担当。
ソリスト達がキラキラしてて以前より作品としてのレベルは上がった。
と思ったけど、そうではない意見の方が多いみたいね。

細かいミスはけっこうあったけど
水香ちゃんの押し出しの強さは貴重。

高岸・松野の並びは味わい深いな。
新旧のトップの並びになるのだろうか。
高岸さんの存在感と華やかさはやっぱりすごい。
松野くんがはノーブルでいいんだけど
体つきがまだ子供っぽいな。

梅澤くんは後半からの登場なので
テンションが上がりきっていなかったかな。
ジャンプの数が少ない?これで正解?
サラファーノフは「まだ飛ぶのか!」ってぐらい跳んでたけど、
梅澤くんは怒涛というほどではなかったな。

踊る方も疲れるけど
見る方も疲れる演目だよね。


「カルメン」
すごく良かった!
久しぶりに大劇場を意識したパフォーマンスで
4階端にもガッツンと届く踊りだった。

エックの振付は古典ではないけど、
古典の素養を必要とする「ダンス」だった。
最近のギエムは「ダンス」を超越した作品が多かったので、
今日はとても嬉しかった!

プリセツカヤ版もプティ版も、
古い時代の道徳の枠内で展開する話なんだと思った。
それは原作通りだけど。
エック版のカルメンは現代の肉食系女子。
自由に自分の思い通りに動くカルメンは、
「道徳という鎧を脱ぎ捨てて」なんてキャプションは必要ない。
まさに「私の人生は私のもの」。
痛快だ。

ただ「ファム・ファタル」というのは
古い道徳のアンチテーゼのようなものらしく
今回はカルメンにその要素は感じなかった。
カルメンによって堕落させられた男達、
という図式は無く、
男はカルメンの女性の部分に堕ちていったではなく
ただたんに、彼女に押し切られ振り回されているかんじだった。

ただ、それこそギエムだと思う。
ギエムにドロドロの愛憎劇は似合わないよね。
「はい、次の男ーっ!」の方が似合うわ。
久しぶりに「姐さん、カッコイイ!」と思ったよ。

木村さんのビジュアルは「スペインの不思議な役人」。
無機的な部分が良かった。
こちらまで熱血じゃバランスが悪いしね。

弾くんは新境地。
後ろに撫でつけた髪型はとても大人で
なんか、セクスィだったよ。
カルメンが乗り換えるのも納得。

高木さんの「M」とはミカエラだったよ。
ホセに未練がましくつきまとう、
地に足がついた逞しい女性。
(力仕事担当の部分もあったし)
すごく高木さんに合っていた。
エックのクネクネした独特の振りが
身体に入りきっていて自然な動きだった。
素晴らしかった。

女性陣のドレスは呼吸チョコの包み紙だな。

男女ともエックの振付を踊りこなしていた。
ただスペイン語?の台詞が不自然過ぎるのが辛い。
頑張れ!

んで、なんでだかホセがいまいち描き込まれていない気がする。
いつカルメンに惚れたのか、どれくらい好きなのか、が見えにくい。
せっかくのムッルが無駄遣い。勿体無い。

カーテンコールにはエックも登場。
花束渡しのタイミングが悪過ぎてグダグダ。
ギエムの裾捌きはナイアガラ羽バサーッ!に通じるな。

とにかく楽しかった!



◆主な配役◆
「エチュード」
エトワール:上野水香、高岸直樹、梅澤紘貴、松野乃知
白の舞踊手(ソリスト):吉川留衣、岸本夏未
ほか、東京バレエ団

「カルメン」
カルメン:シルヴィ・ギエム
ホセ:マッシモ・ムッル
エスカミリオ:柄本弾
M:高木綾
オフィサー:木村和夫
ジプシー:岡崎隼也
女性たち:奈良春夏、
矢島まい、川島麻実子、河谷まりあ、伝田陽美、三雲友里加
兵士たち:氷室友、松野乃知、岸本秀雄、入戸野伊織、岩村暁斗

◆上演時間◆
第1幕 19:00 - 19:50
休憩  20分
第2幕 20:10 - 21:00


■2013/11/17
「エチュード」
川島さんは水香ちゃんより体型も踊りもスッキリで軽い。
くっきりした踊りのラインが美しい。
特に腕のライン。
バランス等も安定している。
そうか、こういう踊り(振付)だったか、と
初日で到達していなかった部分も堪能しました。
最初は、やっぱり華が・・・と思ったけど
後半に進むにつれキラキラ度が増してきた。

梅澤くんは通しの方がやっぱりいいね。
後半のテンションも自然で良かった。

入戸野くんは、部分的な踊りは綺麗なんだけど、
通しで踊るテンションと緊張感の持続に欠けるかな。
膝をついて止まるところで数回ミス。
アレって難しいんだね。

全体的に踊りは初日の方が揃っていて、
一体感は今日の方があるかな。

ラストのジャンプ、
サラファーノフぐらいの勢いがつく日が
来るといいね。

しかし改めて見ても、
体力勝負な作品だな~。

断片だけなら
「愛と喝采の日々」にも収録されています。


「カルメン」
最初の場面がラストの銃殺の場面に繋がっているのを確認。

意識して見ると、ホセはそれなりに踊っているけど、
主演としてはやっぱり場面が少ない気がする。

ギエムは赤い衣装が似合うな。
華やかで艶やかで、でも色気が無い。
それが姐さんだ。
身体能力が高すぎる動きが
あまりにも自然すぎて驚嘆にすらならない。
まだまだ身体が動くな。

今日も高木さん、木村さんが良かった。

カルメンの旦那、
(配役表ではジプシーだけど
 そういう役回りかなあ、と)
初日の岡崎さんは狂暴な雰囲気。
氷室くんは体格差もありネチネチ嫉妬系かな。
それも合う。

セリフ部分はだいぶこなれてきた。

また東バで再演してほしいけど、
この版のカルメンダンサーがいないかなあ。


【主な配役】
「エチュード」
エトワール:川島麻実子、梅澤紘貴、入戸野伊織
白の舞踊手(ソリスト):沖香菜子、河合眞里
ほか、東京バレエ団

「カルメン」
カルメン:シルヴィ・ギエム
ホセ:マッシモ・ムッル
エスカミリオ:柄本弾
M:高木綾
オフィサー:木村和夫
ジプシー:氷室友
女性たち:奈良春夏、
矢島まい、川島麻実子、河谷まりあ、伝田陽美、三雲友里加
兵士たち:岡崎隼也、松野乃知、岸本秀雄、入戸野伊織、岩村暁斗

◆上演時間◆
第1幕 15:00 - 15:50
休憩  20分
第2幕 16:10 - 17:00

 
■2013/11/30(土)「白鳥の湖」ロシア国立モスクワ・クラシック・バレエ
前に見たのが20年前なので細かいところは忘れていた。
バレエを見始めた頃だったので記録は取っていないけど
美術の美しさは記憶通りだった。

オデット/オディールのペレジナ。
オデットは薄幸を通り過ぎて、たんに地味な印象。
特に悪いわけじゃないけど
客席に訴えるなにかはあんまり感じなかった。
オディールは、悪くはないけど・・・、ぐらいかなあ。
最近見たのがニーナだからかもしれないけど。

ホロシロフの王子も、可も不可もなく。
悪いわけじゃないけど
特に印象に残るものはない。
王子の衣装は、なんか見覚えがある。
生地は違うしあんなに光ってなかったけど
むかしマラーホフが着ていた衣装と
デザインは同じな気がする。

ベンノが白い衣装だし金髪だし
王子より先に華麗なジャンプで登場するので
会場は王子と間違え拍手してしまう不親切設計。
ベンノはトロワも踊る。
トロワの女性は花嫁候補でもあるのかな?
トロワの女性は2人とも長身でスタイルが良く踊りも綺麗。

道化は踊りは良いけど、若手技術枠なだけ。
役作りがあんまり感じられない。
ガリムーリンのほんのたまに見せるシニカルな笑顔が
未だに記憶にあるので、もっと作りこんで欲しいなあ。

ワルツのソロは、家庭教師と踊るなど。
家庭教師の衣装はタイツ。

1幕は、お外の設定なのかな?


2幕の白鳥群舞が東バで見るフォーメーションの短縮版だった。
あれは足音を立てなくてもいいんじゃん。

ロットバルトは、ジュディ・オングのような仕掛けの羽。
迫力はあったけど、ちょっと動かしにくそうだった。

3幕の冒頭は道化と仮面の女性4人。
とにかく美術が素敵。
金色の使い方が渋くて派手。
もっと大きくて、ライトが多い舞台で見たいなあ。
たくさんの「白鳥」を見てきたけど
ここの美術は大好きだ!

各国の踊りはヴェニス、ハンガリー、ポーランド。
ここまでは団体戦。
ヴェニスの衣装がロシアみたい、という
そこはかとない記憶の通りで驚いた。
それからロシアの姫君のソロへ。
花嫁候補は各国代表のチュチュの4人。
王子と踊った後、ロットバルト、オディール、スペイン隊登場。
ペレジナの32回転は確実なシングル。
ここは盛り上がった。

4幕は基本はブルメイステル版。
悪魔との戦いで王子死亡。
深手を負った悪魔はオデットの愛の力で死亡。
オデットは最後の力を振り絞り白鳥たちを解放。
白鳥たちは頭飾りを外し髪を解き人間に戻れたことを表す。
オデットは王子に折り重なって死亡。という流れでした。

白眼を剥いて死亡のワシリエワの残像は記憶違いではなかったんだな。
でもあの時は舞台に3人の死体で幕だったと思う。
今回は乙女たちが人間に戻れたことはわかりやすかったけど、
誰もオデットの死を悼んでいないのが悲しい。
死体に見向きもせず ワーイ! \(^o^)/ で幕が降りるってどうなんか。

配役表を見ると、かつてのマールイ並みに
ダンサーがフル回転で登場だった。
お疲れさまでした!!

マイカちゃんはお母さん似だね。


【主な配役】
オデット/オディール:エカテリーナ・ペレジナ
ジークフリート王子:アルチョム・ホロシロフ
ロットバルト:アンドレイ・ボルボット
道化師:ウラジーミル・ヤコヴレフ
王妃:マリア・グヴォズデワ
家庭教師:セルゲイ・ペロリブキン
ベンノ(王子の友人):ヤロスラフ・コルシュノフ
ワルツのソロ:マイカ・成澤・ガリムーリン
パ・ド・トロワ:
 ヤロスラフ・コルシュノフ、エカテリーナ・ストゥーロワ、カテリーナ・ハーポワ

3羽の白鳥
 エカテリーナ・ストゥーロワ、アンナ・ラヴレノワ、カテリーナ・ハーポワ
4羽の白鳥
 マイカ・成澤・ガリムーリン、、マリア・アフィノゲノワ、オレーシャ・カマロワ、吉田むつき

ポーランドの花嫁:エカテリーナ・ストゥーロワ
ヴェニスの花嫁:カテリーナ・ハーポワ
ハンガリーの花嫁:オリガ・スタリコワ
ロシアの花嫁:ポリーナ・キーロワ

作曲:P.チャイコフスキー
振付:M.プティパ、L.イワノフ、A.ゴルスキー、A.メッセレル、N.カサートキナ、V.ワシリョーフ
改訂演出:N.カサートキナ、V.ワシリョーフ
美術:T.グッドチャイルド
衣装:K.ベイカー

■「ザ・カブキ」東京バレエ団

カブキ

12月14日(土)(由良之助:柄本弾)
ハリウッド版忠臣蔵に続いて
バレエ版忠臣蔵。
12月14日ですから。

ハリウッド映画版を見た後だと、
やっぱりベジャールの方がツボを押さえているのが
よくわかります。
という私も歌舞伎は見たことないんですが。

2011年に見たときから
キャストもだいぶ変わったけど、みんな合っていた。

弾くんは真ん中オーラがあり、
一幕ラストのソロも納得。
ラストの討ち入りも盛り上がった求心力がある。
カリスマ性もあるよね。
高岸さんにあって木村さんになかったものを持っている。
現代の若者らしさもあり、
それがだんだん大石になっていくのが良い。

奈良さんの顔世が、ちょっと勝ち気かな。
最初から怒りモードが入っているかんじ。
木村さんは人妻に言い寄るところが
ねちっこくてエロいのに、踊りのラインがとても美しい。

梅澤くんの塩冶判官はとてもピュアなかんじ。
切腹場面も清冽。
2幕のバリーションはキレキレ。
すごく充実した踊り。

おかるは両方とも良かった!
現代の三雲さんの踊りはとても軽やかで良かった。
沖さんはすごく存在感があり、Wヒロイン格だった。
表現している役自体は「時代劇の(中の)女性」だけど
自然と目が吸い寄せられる、強いインパクトがあった。

1幕より2幕は短いけど、好き好き~。
昼行灯のエロい由良之助もイイワとニマニマし、
赤フン隊に目が飛び出て、
顔世の「はよ、やらんかーい!」の迫力にビビり、
怒涛の討ち入り。
師直はアルバイトしてなかったっけ?と悩むうちに切腹。
実にスピーディー。

三角形のフォーメーションになってからは燃えるよね!


冒頭の画像が一部変わっていた?
スマホだかの画面を指で流す画像があった。
小さん師匠はいなくなったかな?



【主な配役】

由良之助:柄本弾
直義:森川茉央
塩冶判官:梅澤紘貴
顔世御前:奈良春夏
力弥:吉田蓮
高師直:木村和夫
伴内:氷室友
勘平:入戸野伊織
おかる:沖香菜子
現代の勘平:松野乃知
現代のおかる:三雲友里加
石堂:杉山優一
薬師寺:永田雄大
定九郎:岡崎隼也
遊女:吉川留衣
与市兵衛:山田眞央
おかや:伝田陽美
お才:高木綾
ヴァリエーション1:岡崎隼也
ヴァリエーション2:梅澤紘貴

◆上演時間◆
第1幕 15:00 - 16:15
休憩  20分
第2幕 16:35 - 17:20


12月15日(日)(由良之助:柄本弾)
やっぱり新公主演数回にバウ主演済みぐらいの弾くんと、
新公初主演の森川くんとはだいぶ違う。
5階席で見ると1幕ラストも由良之助ではなく、
森川が必死で踊っているようにしか見えない。
物語を作るのは難しいね。
2幕に入ってからも、役と素が混在していたけど
ラストはすごく迫力があり、役に入り込んでいた。
芝居部分よりも、回転の終わりとかが決めきれない
踊りの部分の詰めの甘さが気になったかな。
その辺も含め次回に期待。
とにかく新由良之助デビューはめでたい!!!

渡辺さんの顔世は控えめでたおやかで気品がある。
1幕で静かだから2幕の激しさが生きるんだよね。

吉川さんのおかるは存在感が薄いな。
塩治判官の松野くんは若いからこその激高ってかんじ。
そういうのもいいよね。

岡崎くんの伴内はシャープ過ぎて邪さが無く、
ちょっと忍者みたいだった。

原田くんの師直は木村さんが焼き付いているから・・・。
ごめん・・・。
それなり悪役ぽくはあったよ。


森川くんは由良之助より、案外王子の方が合いそうな気がする。
でもとりあえずロットバルトからだね。


2日続けて見ると、ベジャールの振付も素晴らしいんだけど、
黛さんの音楽の構成力に感服した。
忠臣蔵であり、音楽の中に物語があり、バレエ音楽でもある。
メロディーを作れる人はたくさんいるけど、
ここまでの楽曲を作れる人はもういないだろうなあ。

【主な配役】
由良之助:森川茉央
直義:永田雄大
塩冶判官:松野乃知
顔世御前:渡辺理恵
力弥:竹下虎志
高師直:原田祥博
伴内:岡崎隼也
勘平:梅澤紘貴
おかる:吉川留衣
現代の勘平:和田康佑
現代のおかる:河合眞里
堂:岸本秀雄
薬師寺:安田峻介
定九郎:野尻龍平
遊女:川島麻実子
与市兵衛:山田眞央
おかや:伝田陽美
お才:高木綾
ヴァリエーション1:野尻龍平
ヴァリエーション2:入戸野伊織

◆上演時間◆
第1幕 15:00 - 16:15
休憩  20分
第2幕 16:35 - 17:20

■2013/12/26(木)「バヤデルカ」マツァーク&ニェダク/キエフ・バレエ
「バヤデルカ」はネタも好きだし(二大プリマ対決!)
群舞などの見所も多いので、
思いついて当日券で行って来ました。
太鼓の踊りがあって、
寺院崩壊無しの、幻影の場面で終わる版です。
流れ的にはヌレエフ版に近いのかな。

ニキヤのマツァークは出だしが高貴な姫キャラっぽくて、
どこぞの烙印設定かな?と思っていましたが
ガムザのフィリピエワは、さらなる高貴なキャラで華やかで迫力満点で。
明らかにガムザの方が格上で、
ニキヤが持っているのが「ソロルの愛」だけなのがすごく納得。
マツァークは美人で踊りも上手いけど、全幕の物語を引っ張る力が弱いな。
1階席なら細かい表情が見えてドラマティックなのかもしれないけれど
5階席だとちょっと存在感が薄い。
美人なのは伝わってくるんだけどね。
ガラほどは魅力的ではなかった。

ソロルのニェダクは長身で手足のバランスも良く、
身体のコントロールやサポートも上手く、
実にすっきりとした綺麗な踊りが印象的でした。
5階席からだとルジマトフを思い出しました。
華とかカリスマ性が増せばスターになれるんかも?
でも、そしたらまたマリインスキーかボリショイに引き抜かれるのかな。
遠い席からでも細かい演技もわかりやすかったです。
ソロルはニキヤの愛を貫こうと努力はする。
  「君と結婚させたい女性がいるんだ」
  「無理です」
  「彼女だよ(ニヤニヤ)」
  「!(姫君じゃん!)」
みたいな流れで、
藩主に忠誠を誓う武人は断りようがないよな。
ニキヤよりガムザの方が魅力的だけど、
その部分でよろめいているわけじゃないのがわかりました。

フィピエワのガムザは存在感たっぷりでした。
ニキヤへの上から目線にぞくぞくするね。
婚約式(ここは結婚式設定なのかな???)では
ニキヤを殺す隠謀に積極的に荷担していたっぽい。
そういう人なだけに、
1幕のニキヤとの対決で一瞬だけ気弱になるのが、
ソロルへの気持ちの本気度を感じさせます。

顔を描きすぎの大僧正様や藩主の演技も的確でした。

太鼓隊はやっぱり盛り上がりますね。
仏像は全身塗ってました。
綺麗な踊りだけど、線の細いダンサーで
神々しさは足りなかった。

幻影群舞は下手から登場。
超短くて緩やかなスロープが一段のみで、
ツアーだからってこれはないんじゃ?と思っていたけど、
ところどころ、パ・ド・ドゥの途中でさえ、適宜群舞が追加され、
最終的にはソリスト3人を除いた上で32人の群舞になっていました。
びっくり!
スロープを設置する場所が無かったのか?
ソリストとゴールドは技術もスタイルも違いました。
幻影の群舞は揃ってはいて、チームワークの良さは感じるけど
足を上げるときが元気いっぱい!ってかんじで情緒不足。

全体的に装置が少ないのは元からなのかツアー簡略版なのか。
でも象が出たからOKよ!
婚約式の引き出物は豹でした。
スネークカモンの蛇は殆ど動かず。
それでも寝るソロル。

衣装はイマイチだったなあ。
女性はセパレーツの衣装が多いんだけど、
チュチュ以外は釣り鐘型のスカートで、もっさり見える。
色もなんだかダサダサで、
ショールを巻いたり変形三つ編みだったりで頭部もすっきりしない。
ああ、マールイが懐かしいよう!

それにしても、ニキヤより格上のダンサーがガムザを踊るのは目から鱗。
東バだと、渡辺ニキヤに上野ガムザ。
考えただけでワクワクだわ!

オケは1幕はバラけた音だったけど段々揃って迫力が出てきました。
太鼓は圧巻でした。


【配役等】
ニキヤ(バヤデルカ):ナタリア・マツァーク
ソロル(戦士):デニス・ニェダク
ガムザッティ(藩主の娘):エレーナ・フィリピエワ

大僧正:セルギイ・リトヴィネンコ
トロラグヴァ(戦士):セルギイ・クリヴォコン
ドゥグマンタ(ラジャ=インドの藩主)ヴラディスラ・イワシチェンコ
マグダウィア(苦行僧):ヴィタリー・ネトルネンコ
アイヤ(ガムザッティの召使):ナタリア・エフレモワ
奴隷:デニス・オディンツォフ
シャンペー:アンナ・ムロムツェワ、ヴァルヴァラ・ミルケヴィチ

黄金の偶像:マクシム・コフトゥン
マヌー(壺の踊り):マリヤ・トカレンコ
太鼓の踊り:
 オクサーナ・グリャーエワ、コスチャンチン・ポジャルニツキー、ワシリー・ボグダン
グラン・パ:
 カテリーナ・カザチェンコ、アンナ・ムロムツェワ、
 アナスタシア・シェフチェンコ、ユリヤ・モスカレンコ、
 セルギイ・クリャーチン、セルギイ・クリヴォンコ

幻影の場のヴァリエーション
 カテリーナ・カザチェンコ、アナスタシア・シェフチェンコ、ユリヤ・モスカレンコ 


指揮:ミコラ:ジャジューラ
管弦楽:ウクライナ国立歌劇場管弦楽団


■2013年を振り返って
今年見たのは下記35本。
同じ演目・キャストでも日時が違えば
1本とカウントしています。
東バは15本でした。


子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」沖&松野(1回目)/東京バレエ団
子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」吉川&宮本/東京バレエ団
子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」沖&松野(2回目)/東京バレエ団
「ベジャール・ガラ(中国の役人:小林十市)」東京バレエ団
「ベジャール・ガラ(中国の役人:木村和夫)」東京バレエ団
「バレエ・ガラ」東京バレエ団
「ジゼル」クリメントヴァ&ムンタギロフ/新国立劇場バレエ団
「ディオニソス組曲」「シンコペ」「ボレロ」(モーリス・ベジャール・バレエ団 2013年日本公演 Aプロ)
「眠れる森の美女」コレゴワ&コルプ/牧阿佐美バレヱ団
「ライト」(モーリス・ベジャール・バレエ団 2013年日本公演 Bプロ)
「白鳥の湖」エフセーエワ&シヴァコフ/日本バレエ協会
「マニュエル・ルグリの新しき世界III Aプロ」
「マニュエル・ルグリの新しき世界III Bプロ」
「マラーホフの贈り物 ファイナル!」Aプロ
「マラーホフの贈り物 ファイナル!」Bプロ
「ラ・シルフィード」渡辺&柄本/東京バレエ団
「ラ・シルフィード」沖&松野/東京バレエ団
「ジゼル」上野&高岸/東京バレエ団
「白鳥の湖」ヌニェス&ソアレス/英国ロイヤル・バレエ団
「バレエの神髄 2013」
子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」上野&柄本/東京バレエ団
「ディアナ・ヴィシニョーワ -華麗なる世界-」Aプロ
「ディアナ・ヴィシニョーワ -華麗なる世界-」Bプロ
子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」吉川&梅澤/東京バレエ団
「ロミオとジュリエット」オシポワ&コヴィエッロ/ミラノ・スカラ座バレエ団
「ドン・キホーテ」井脇幸江&菅野英男/Iwaki Ballet Company
「ジゼル」吉岡美佳&ホールバーグ/東京バレエ団
「ジゼル」上野水香&木村和夫/東京バレエ団
「白鳥の湖」アナニアシヴィリ&宮尾俊太郎/K-バレエ・カンパニー
「シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013」(1回目)
「シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013」(2回目)
「白鳥の湖」ペレジナ&ホロシロフ/モスクワ・クラシック・バレエ@調布
「ザ・カブキ(由良之助:柄本弾」/東京バレエ団
「ザ・カブキ(由良之助:森川茉央)」/東京バレエ団
「バヤデルカ」マツァーク&ニェダク/キエフ・バレエ


東バは中堅男性ダンサーの退団ラッシュでしたが
若手主演デビューの年でもありました。
ねむりの吉川さん、梅澤くん、ラ・シルの渡辺さん、カブキの森川くんなどなど。
これからもベテランを使いつつ、若手にも場数を踏ませて欲しいです。
木村さんのアルブレヒトは今年で最後かなあ。
オネーギンとソロルをもう1回は見たいな。

渡辺さん、沖さんのシルフィードは
それぞれの個性にあった役作りで
とても素晴らしかった。
弾くん、松野くんのジェームスに比べると
渡辺さん、沖さんの役作りはとても深い。
大学で指導方法を習ったユカリューシャの教えの賜物だとしたら
男性陣にも経験則以上の教えが必要なんじゃないかなあ。

今年は各自のガラとはいえ
ルグリ、マラーホフ、ヴィシニョーワ、ルジマトフ、ギエムが来て
さらにはK-バレエにニーナがゲスト出演と
バレフェスや大手バレエ団引っ越し公演が少ない割には
当たり年だったのかな。
印象深いのは、やっぱり
マラーホフの腹だなあ。
ルグリの年齢的な部分を受け入れるのはOKなんだけど
バナを選ぶのは止めて欲しいな、と思うのが正直なところ。
その中でルジマトフが変わらぬ立ち位置なのがすごいね。
まだまだエロ魔神。

嬉しかったのはエフセーエワの白鳥全幕と井脇さんのキトリ。
もう見られないかと思っていたので
聞いたとき、実際に見たときは幸せいっぱいでした。
ニーナのゲスト出演も嬉しかったな。
大プリマのオーラと、
同世代が古典から降りているのに(敢えてこう言います)
彼女はまだ古典を踊っている、そのことにも感動。

古川くんのヒラリオン目当てで行った「ジゼル」の
ゲストカップルも良かったし、
コルプの王子全幕ラストも良かった。


来年は大手バレエ団の引っ越し公演がたくさんあるんだよねえ。
お財布がキツイです。