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10月26日の私
まず、告白しておこう。私は実は日本シリーズは、あまり見ていない。残業のせいではない。ただ単に見るのが怖かったのだ。なにしろ私が見る試合のほとんどは負け試合なのだ。考えてみれば勝率の悪いチームだから当たり前なのだが。勝率3割なら負け試合を見る確率は10試合中7回だよな、単純計算では。なので1戦目も勝ちが確定したあたり(7−0になった5回ぐらい)から見始めたし、その後の試合もそんな感じだった。
10月26日、月曜日。なんのかんの言いながら、7時頃には家にいた。でも、やはり、怖い。ま、この時点で負けても3勝3敗だから、いいんだけどね、と思いながらも、今日勝てなければ絶対優勝できんな、とも思っていた。他の番組を見つつ、たまにチャンネルを変える。まだ、同点、というより、0−0。いつ見ても0−0。やばい、とてもやばい。しかも先発は川村。いまひとつ信頼度が低い人。いつ点を取られてもおかしくはない。食事を終え、TVタックルの時間になってもその状態が続いていた。しかし、ある時、チャンネルを変えたら8回の裏だというのにリードしている(ゆえに波留の走塁は見ていない)。それも2点も。慌ててビデオテープを探すが、無い。仕方がないので近所のコンビニ(徒歩2分)へテープを買いに行く。運良く富士フィルムきれい録り120分があった。
9回の表に間に合った。標準でビデオを録り始める。いつの間にか兄はおろか、母まで真剣に見ている。佐々木が出てきたが緊張しているせいか、球が乱れている。2番目の大塚を打ち取ったと思ったら波留が後逸。実に大洋らしい展開か。そして中島に対しては進藤のフィルダースチョイスまで出た。2−1だ。母も兄も「うーっ」と唸る。
この瞬間、私は全てをあきらめた。だいたい自滅コースは大洋がよく通る道。このままなし崩しに今日は負けるだろう。しかし、はっきり言って、波に乗って勝ってきた日本シリーズだ。このまま波に乗り切れなければ失速は間違いない。しかもマジックを消す展開を思い出せば、ここ一番という波を引き戻すのは時間がかかる。多分あと2試合ではだめだろう。今日の試合は負ける。そしてこの日本シリーズも負ける。そうなれば来年は?これ以上良い状態が保てる訳がない。去年のAクラスだって奇跡のようなものなのだ。リーグ優勝しただけでも良しとしなければ。でも、ようやくここまで来たのに。もう私は一生大洋の優勝を見ることはできないのか?悔しい、とても悔しい。だが、どうしようもない。
そんな私を佐々木は、内野陣は裏切ってくれた。やはりベイスターズは大洋でなかったのだ。荒れ気味の珠ながら迫力あるストレートでなんとゲッツー。取られることは多くても、取ることは少ないゲッツーをこの場面できっちり決めてくれた。ゲームセット。優勝だ。選手がベンチから飛び出してくる。それよりも早く斉藤明夫が出てきた。素早いヤツだ。由一さんも出てくる。そして権藤さんの胴上げ。母が「やれやれ」と呟く。私もうれしいというよりは、そんな気持ちだ。狂喜乱舞からはほど遠い。とりあえず仏壇の父に報告をする。
その後ニュースステーションから始まり、プロ野球ニュースのビデオ録り。合間にアプロ氏と電話。初めてなので、お互いどう喜びを表現して良いかわからない。ぼーっとしている。その頭のまま夜は更けた。翌日からは宴会が待っている。
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