昔の感想文を発見しましたので追加します。98年末頃に思い出しながら書いたものなので、記憶違いがあるかもしれません。リカちゃん出演作では、この他「哀しみのゴルドバ」と「エデンの東」を見ています。出演していないところでは「若き日の歌は忘れじ」「ミー&マイ・ガール(天海版)」とかとか。再録にあたり、一部修正しました。

心の旅路メランコリック・ジゴロブラック・ジャック二人だけが悪ドリアン・グレイの肖像エリザベート誠の群像エルドラードWEST SIDE STORY



「心の旅路」
 初めて見た宝塚でした。イメージと違って全然きらびやかでなく、お耽美な男装の麗人がいるわけでもなく、しょっぱなに見るとしては大当りだったと今だと思います。とにかく舞台に出ている人数がすごい。劇団四季とか他の舞台なんかだと、せいぜい20人ぐらいしか出ないじゃないですか?でも、ハリウッドのミュージカル映画を見慣れた私としては、何というか、こう、物量作戦的な舞台が見たいもんだなーと思っていたので、宝塚のように本当に通行人A役というのが存在してるなんて舞台というのは贅沢で楽しいものでした。音楽も結構ナマの音だし。だから全員女性だとか、化粧が厚いとかはそんなに気にならなくて、まったく普通のミュージカル作品を見てるようでした。
 さて、出演者の方の印象はと申しますと、最初にいいなぁと思ったのはみはるちゃんでした。見た目もかわいいし、やさしくてけなげなかんじがよくでてました。(こう書くと20年くらい前の女性への誉め言葉のようで情けない・・、でも言葉が見つからなくて、すいません。)特に昔自分と暮らしていて、今は記憶喪失のかつての夫の側で働く姿が、涙ものでした。次にトップのヤンさん。う〜んこれが宝塚のトップ?というくらい地味で暗くて色気のない人でしたが、そんなところは私の好みかもとか思っちゃたです。ま、お話がすごい駆け足で進んでいったので、役柄としてはあまり印象に残ってません。逆にみきちゃんがほとんどあらすじ説明係となっていたにも関わらず、絶対自分を振り返ってくれないのがわかっているヒロインをイヤミたらしいわけでもなく、ミジメたらしいわけでもなく支えている姿は涙ものでした。いい男だよなーとつい思っちゃう。お話の方も、戦争のシーンをダンスで表すなど、「なるほど、うまい処理だなぁ」と思った記憶があります。おそらくもっと長い話を簡略にかいつまんだろうなぁと初めて見た私にも感じられる話でしたが、結構書込まれていたと思います。

 ショーの方は記憶にないです。ごめんなさい。



「メランコリック・ジゴロ」
 正塚作品。やられちゃいました。これで宝塚にハマってしまったようなものだ。前回見た作品に輪をかけて地味な舞台でした。でもテンポがすごくよくてとっても楽しい舞台でした。酒場のシーンとかのヤンさんとみきちゃんの掛け合いが特に。歌と踊りがうまく噛み合っていたように思います。みはるちゃんがとにかくかわいいっ!!あとまみちゃんね。光ってたぜ!私が好きなのはラストシーンで美月さんのお金持ちのマダムがダニエルに花を渡すところ。おしゃれですよね。あとから読んだ本ではこの作品は必ずしも評価は高くないようだけれども、花組のパワー全開っ!!というカンジで私は良かったように思うけど。う〜ん困った。好きな作品なのに書くことがない。
 ショーもまだ記憶にないです。ごめんなさい。




「ブラックジャック」「火の鳥」
 また正塚。やっぱり暗い地味な舞台。でも好き。この作品は上演決定から話題になりましたよねー。あのブラックジャックがミュージカル化、しかも宝塚でっ!確か手塚治氏の何かの記念ということで、手塚作品を宝塚でミュージカル化するということだったらしいですが、周期的に花組での上演ということだったんですよね。宝塚ならリボンの騎士があるだろうとか言われたけどもさ、あまり宝塚見てない私にだってヤンさんのサファイアは無理があると思ったわ。聞いた話によるとヤンさんがブラックジャックを演りたいと言われたそうですが、ま、妥当なところですよね。ブラックジャックでなければ、どろろとか・・・無理ですね。話もブラックジャックがメスを持って「俺は天才〜っ」と歌うとか、ピノコとラブラブになるしかないかなぁ〜と覚悟はしてたんですよ。記憶にあまり残ってないけど、一応宍戸錠や加山雄三のブラックジャックを見たことがあったから少なくともそれよりはマシかなと。そしたらびっくりっ!!とっても良く仕上がっているじゃないですかっ!話も恋愛部分は2番手とヒロインが受け持って、ブラックジャックが狂言廻し。宝塚としては思い切った手段かもしれないけれども、なんかそれで原作っぽくなったような気がします。ありますよね、原作にこのパターン。あと如月恵さんの話はちょっと付け足しのような気がするけども、本間先生の話とか、ちょっとしたピノコのなぐさめで先生がヤル気を出すとか、ケインに対しても「命を粗末にする奴は見てると腹が立つ」とかのあたりが本当に原作読み込んでるよなぁ〜というのがわかります。舞台美術も極力セットをつくらないでモブがダンスしながら入れ替わると舞台も変わっているという正塚さんらしいつくりがイキてました。あとテーマ曲ね。これがいいのよ。命の貴さを浪々と、というよりシミジミ歌いあげるような、ブラックジャックってきっとこう思っているよな、という歌で、それがメロディとあいまって良い。この作品なら原作ファンにも納得していただけると思いました。あと私が見たのは東京公演でしたので、タイトルロールはみきちゃんでしたが、いやー感動しました。この人がトップといわれとも違和感なし。堂々としていました。ちゃんと自分に合った役作りしているし。
 さて、ショーの火の鳥。このあたりからやっとショーも意識して見だしました。構成もわかってきたし。いや〜私はここで初めて宝塚らしい衣裳を見ましたよ。火の鳥だから真っ赤っか。オープニングから金ラメぴかぴか。ゴージャスです。お茶の水博士とかトリトンなどが出てきたりしてこちらも手塚作品を取扱っています。内容的にはいまひとつピリッとしなかったような。火の鳥もなぁ、2025だっけ?塩沢兼人さん主演の。よりによってこれをもってこなくても…トホホです。でも群舞がよかったです。うまいし、複雑で難しい踊りをこなしてましたね。ダンスの花組の面目躍如。




「二人だけが悪」
 りかちゃんの移籍に伴って、初めて自分の意志で行った星組の舞台。ははは。これは正直言って感想はない。ヤンさん時代の花組ならすごく良かったと思うのだけど、星組向きじゃないですよね。ひたすら暗い舞台。場面転換のタンゴも今一つ揃わない。やはり失敗作だったんでしょうか。これ以降「ブエノスアイレスの風」まで正塚氏の登板は無し。チケットも外部へ(大量に)出した初めての作品だったせいか、発売日かなり過ぎて会社近くのセゾンに行ったら「土・日まだまだ余裕がありますよ」と言われて悲しかったのが唯一の思い出かも。あ、あと、あれだ。あやかがものすごく胸の空いた衣裳を着ていた。眼福。りかちゃんもねぇ、役自体がとってつけたようなものだったからなぁ、役作りがどうとかの問題ではないような。記憶によればソロの歌があったわけでもなく、ソロの踊りがあったわけではなく。りかちゃんだけではなく、まりこさんをはじめ、星組の誰一人も活かせなかった芝居でしたね。ついでにいえばショーも、なんか印象がない。りかちゃんも一人だけ踊りが浮いていて痛々しかったなぁ。エリザベートがあんなに良かった組なのにね。今思うと不思議なくらいつまんなかったですね。ごめんなさい。




「ドリアングレイの肖像」
 初めて行く青年館、初めて観るりかちゃんの主演作。5時30分定時の私が6時開演に間に合ったから奇跡だ。人はこれを愛と呼ぶのだろうか?
 お話しの方は、良心と引き換えに永遠の美貌を保ち悪徳の限りを尽くす男が、最後に愛に目覚めて、良心は取り戻したがシワだらけで死ぬというものだ。(ああ、身も蓋もない)難しいのよね、この手のお耽美小説をビジュアル化するのは。「金閣寺」も雷蔵がいくら良くても小説の迫力には及ばなかったしな。脚本の練りが足りないのは気のせい?とにかく説明臭いセリフで粗筋をなぞっていってるだけのような気が。相手役の月影さんがあまり好きではなせいか、ドリアンが愛するほど魅力的に感じられずそのため彼の愛も真実味に欠ける。それと「悪徳の限りを尽くす」というセリフも説得力がなくて、何をしてきたんだろう、悪徳って?会社のメトロカードを私用で使うとか、自動販売機に残っていた100円玉ガメちゃうとか、図書館から借りた本を催促きても返さないとか、そんなレベルの悪徳しか伝わってこないのよ。りかちゃんもいわゆる白い役の方で、私の求めるりかちゃんではないし、月影さんに惚れる役だし、劇中でバンバン踊る訳でもないし、主題歌が10年前の昼メロの主題歌みたいだしで、はっきりいって好きではないです。最後のショーのりかちゃんでない人の「やつが来る」が、一番盛り上がったような。(覚えてなくてすまん)

↑いま思うと、ワタル君か???(2004年8月追記)




「エリザベート」
 とにかく、まりこさんがすごかった。今更いうのはなんだけど。世の人の予想の9割9厘を裏切ってくれましたよね。私は生まれて初めて宝塚のビデオを買ってしまいした。
 この作品は再上演までの期間が短かったのでよく雪組と星組が比較して語られますよね。歌唱力なら一路、演技力なら麻路とか。特に雪組は原作に忠実であり、とにもかくにも歌劇を目指し、星組はそれを下敷に宝塚らしさを目指し、より芝居部分に重点を置いたということもあり、どちらが上かというのは好みでしか決められない部分ってところがありますね。その中で轟さんのルキーニと、りかちゃんのルキーニでは世間では轟さんの方に軍配があがっているようですね。それは良くわかります。第一に歌唱力は明らかに轟さんの方が上。また役の解釈も轟さんの方が原作、というか史実に近い。それに反論するつもりは毛頭もございません。

 しかし、りかちゃんファンの私としては、特にドリアングレイを観た後では、これぞ私の求めていた役っ!!でした。そうなのよ、こんなふうに濃くて、クドくて、眼がイっちゃた役をやってもらいたかったのよーっっ!!この前後を見渡してもこれほどりかちゃんに合った役はあったでしょうか?いやない。「WEST SIDE」を含めてもりかちゃんの役としてはBESTだと思う。それに出番が多い!というより話の中核に常にいる。セリフもすごく多い。踊りもそれなりにある。その上歌がね、個人的にはうまくなったと思うのだけど。エデンでは多少歌詞が聴き取りづらかったけど、今回はばっちり!とにかく聴ける。それと、演技面。先にやった轟さんとどういう風に差別化するか考えて、ああいった役作りをしたと思うんだけど大正解だと思う。轟さんと同じにやっても仕方ないもんね。狂気とか、やや斜に構えた態度とかがただの狂言廻しでは終わらなかったと思います。それによりこの作品の謎とも言えるルキーニの罪状についても、トート様に命じられてやったんだ、自分の意志ではないんだ、というあたりが実感できるのですが、いかがでしょうか?雪組の時にはルキーニが作品上は狂言廻しということはわかるのですが、トート様とエリザベートのお話のなかではどういった役割なのか、というあたりが今一つ割り切れなかったんですが、こちらだと、ま、つきつめていえば、トート様の我が侭の巻き添えだったのかな、と、とりあえずの答えは出たような気がします。私にとってそういった、彼女なりの役作りというのが表面に出たなと思えた初めての作品でもあります。

 この作品はどの場面も好きだけど、りかちゃんの場面として好きなのは2つの酒場のところですね。とくに2つめの「ミルク品切れ」の方は迫力があって大好きです。逆に、東京のフィナーレ部分、始めの方はあの浮浪者風のメイク(髭付き)で軍服だったのでちょっと違和感があったのですが、後半ではあのメイクで髭を取った代わりに赤い口紅を差していて余計変な人になってしまったのが心残りですね。

 あと、個人的な意見なんですけど、りかちゃんってルキーニやるために星組に来たような気がするんですけど。月組に行ったのはベルナルドをやるためのような気も。




「誠の群像」「魅惑II」
 芝居について。この作品は2回以上観る必要がある。何故なら宝塚ファンというものは結構時代物に詳しいからである。1回観ただけでは、「ミュージカルで新選組を」という違和感、土方さんを女性が演じる抵抗感、(おそらく故意の)時代考証の間違いなどどうしても心に引っ掛かるものがあり納得いかない。ラストシーンなど「土方さんがこんなセリフ言わないわーっ!」とか「黒田清隆は土方の死んだ場所には居なかったのでは?」などという突っ込みがいたるところで囁かれていた。
 けれども、観たあとに冷静になってみよう。それでは今まで観た新選組物がどれだけ自分のイメージにあっていたか。(草刈正夫の)「鞍馬天狗」の財津一郎の近藤勇が良かったか?「花神」の長塚京三の土方は?「壬生の恋歌」の夏八木勲の土方は?蒲田行進曲の銀ちゃんは?必殺仕事人映画版の新選組は?市川雷蔵の山崎蒸は?(←これは良いか)少年隊の東山の沖田総司は?どれもこれも今ひとつ、どころか全然違うーっ!!というものの方が多かったではないか。

 そのように思い直して、もう1回観てみよう。そうするとすべてがオッケー!!第一、話のベースが私達のイメージの根源、司馬遼太郎の「燃えよ剣」なのだ。(ところでコピーライトはクリアしているんでしょうか?この作品)まりこさんの土方さんは気障でシャイで鬼で近藤さんを尊敬していてかっこいいし、ノルさんの山南さんも暖かい人柄で、絵麻緒ゆうの沖田はかわいい上に、「猫を斬れない」のシーンはイメージどうり。あと井上源三郎の設定がね、「燃えよ剣」とか「あさぎ色の伝説」なんかではじーさんなんだが実は40歳ぐらいなんだよね確か。この辺がきっちりしていたな。とにかくまりこさんのかっこよさをもって土方を描くという意図は大当りであったように思います。幕が開いての階段は迫力で、テーマ曲もイカスぜ!鬼の踊りも土方さんの苦悩を良く描いていたと思います。またね、話の方も終始男の話で良いですな。女の出番が少なくて。新選組物って女が絡み出すとすぐにメロドラマになっちゃてつまんなくなるのに、これはそれがない。ま、かわりにあじさいの精のトホホな群舞があったけど。(娘役自体が悪いわけじゃないんだけど)難をいえば、蒲田行進曲を観たあとでは階段落ちを期待しちゃうということぐらいかな。

 と、結構お気に入りな作品となった「誠の群像」。だがしかし、りかちゃんがねー。勝海州なんだよーー。チャキチャキの江戸っ子の。どうしても違うのよ、柄じゃないのよ。これはねー、演技力とかの問題じゃなくて合わないんだよーー。仕方ないんだよーー。特にね柳家花緑の「大工調べ」なんか聴いたあとにはどうしても江戸っ子とは言い難いのだよ。でも、あの口調がりかちゃんの魅力なんだしね。狂言廻しならなにも勝海州にしなくてもなぁ、長生きした斎藤一でもいいのにね。新選組知らない人なら違和感ないかもしれないけど、私はちょっとご勘弁。りかちゃんに関しては見なかったことにしたい作品です。

 余談ですけどこの時のお芝居とショー、今からビデオを見返すと月影さんとりかちゃんが心なしかゲスト扱いな気がするよね。


 続いては、お芝居とは打って変わって、洋物のショー。いやーっ、私これ大好きですよ。CD買っちゃたくらいだし。良いショーというのは2通りあると思います。ひとつは構成が優れているもの。もうひとつは出演者の魅力を活かすもの。このショーはどちらかというと後者かな。とにかく男役4人の魅力全開。それぞれの持ち味が良く出ていると思います。なによりもりかちゃんが3番手としての出番が多くて嬉しい。踊りもたくさんあるし。衣裳や化粧もクドくて素敵ーーっ!これぞ私が求めていたりかちゃんよ。第一、幕開きしょっぱなのソロの歌がりかちゃんなのよ。スポットライトが真っ先に当たるのよ。かっこいー!銀橋も一人で渡っちゃうし、サングラスかけて気障に歌っちゃうし、とどめに「哀しみの詞」。もう涙が出るくらい美しい!!歌声も切なくてセクシーだし、もう言うことないです。私のこの作品のビデオはりかちゃんの場面だけ劣化し始めてます。TV放送の録画なんですけど市販ビデオだと違う角度から映ってるはずだから買っちゃおうかなーとまで思ってます。もう、勝海州の悲しみなんか宇宙の彼方よ。
 他の方々について言えば、ノルさんがね、歌がうまいけど地味な人だと思っていたんだけど、予想外に金髪ロン毛が似合っていてびっくり。1シーン持っても気負いがなく結構、硬軟どちらも自然に演じられるんだな、と思いました。絵麻緒さんも着実に発展中。湖月さんも踊りのシーンで見せてくれましたね。娘役の方々もそれなりに出番があって良かったです。特にドンファンのシーン。朋舞花さんの踊りが堪能できて嬉しい。彼女は踊れるんだからもっと踊らせて欲しいです。逆に出雲綾さんは、このシーンで踊り、歌もバンバン歌ってすごいご活躍。星組最後でしたからね。それと、なんといってもまりこさん。もうこのショーはまりこさんのかっこよさをアピールするショーといっても過言ではないのでは。最初の踊りは迫力あり、ドンファンのシーンでは女にモテモテで誠意がない男なのに「しかたないよ、かっこいいんだから」と変な納得があって、中詰めでは組を率いている貫禄を見せてくれ、そしてラストの歌のソロ。確かに決してうまい訳では無いんだけど堂々と歌い切ってすごい。歌詞もね「たとえ誰もが背を向けても、私は私を抱きしめてやろう」とか、まりこさん以外が歌ったら自分だけが可愛い奴になって腹が立つかもしれないんだけど、彼女が歌うと「自分に自信とプライドを持っている高潔な人」になるから不思議だ。さらに彼女が好きになってしまったぞい。




「エルドラード」
 寝耳に水のりかちゃんの組替え。でも星組にいたらトップになるのは厳しいとおもっていたので、すごくうれしい。まみちゃんとガイチがいるし、まるで花組のようだわ。それにこの年にもう一度りかちゃんが観れてラッキー!でも、またもや人の演った役でしたが。
 話としては、うーん、私はあまり好きではないかも。まみちゃんのお披露目ということで、まみちゃんは沢山衣裳着れてよかったね、とは思いましたが、ゆうこさんがね、踊らないんだもん。かわいい役柄でそれはそれで良いんだけど。やっぱ、彼女には踊り狂っていただかなくては。りかちゃんも芝居の中では踊らないしさ。
 あと、海賊の汝鳥さんとか、端々にいるおっさん達がいい味だしていましたが、いかんせん谷先生なので人が死ぬ。暗い。群舞が付け足しのようでしたし。

 でもね、りかちゃんの演技は予想以上に良かったです。まず衣裳。誰かが言っていたけど今までの地味な分を取り戻すかの様なド派手な衣裳は涙が出てきますね。ワルパもね、今までのクドイ役でもなく、なんか、のほほ〜んとした王様ぶりが結構いいかも。あれなら妻が何人いても納得しちゃうな。さっそくラウラにも手を出していたようだし。それでも法を変える時の苦悩、イグナシオへの友情、レーニャへの(巫女としての)愛情、国民に対する愛情、先祖への尊敬、信念を貫き通そうとする強さ、盾となる勇気、そんなあたりが、やはり生まれついての王様なんだな、と思いました。歌のソロも良かったし。まぁ相手役が千紘さんだったから演りやすかったのかな。最後にちょこっとついたショーが格好良いんだわ、これが。とくに黒い衣裳の方のスパニッシュ。でもゆうこさんと踊るとどっちを観ていいかわからない。贅沢な悩みだわ。

 この作品で、私は生まれて初めて自分の意志でボックス席を買っちゃいまいた(付き合いで買ったことはあったんですけど)。りかちゃんにはまっていく自分が怖くなった作品でしたね。




「WEST SIDE STORY」
  ムラでの開幕前にパンフを読んでびっくり。映画版でなく舞台版だとー!そう、チャキリスの見せ場だった「アメリカ」をリカちゃんは踊らなかったのです。(今更ですが)もちろん、それに伴い出番も少なめ、もちろん2幕はほとんど出番なし。ソロの歌もソロの踊りもなし。すごく、くやしい。しかし、そのためでもないだろうけどリカちゃんが熱演。ほんの少しの出番しかないのに妙に印象に残ります。指先まで神経が通っていそうなきれいで、しかも迫力のある踊り、体育館でのアニタにダンスを申し込むときのポーズ等々の仕草もさることながら、私がリカちゃんに感情移入してしまったためか、ベルナルドの気持ちがストレートに伝わってくるのです。妹や家族に対する愛情、恋人に対する愛情、仲間に対する友情、アメリカに対する憧れ、民族に対する誇り、白人に対する怒り、そして若さ。映画を見たときは高校生だったので登場人物みんなが大人に見えたけど、違うんですよね。定職に就くには前の年齢だからそれこそ16〜17歳といったところで(でもその割にはチャキリスは手の甲まで毛が生えていたが)。だから世の中のすべてに怒ってしまう(明智抄は「年を取るということは、臭いものにフタをするのがうまくなることだ」と言ってた。名言)、そんな年代の若さが感じられました。特に軍事会議の後のドアを蹴って出ていくシーン。出番は少ないけれど、彼女以外が演じたら腹立ったでしょうな。難を言えばリフを刺してしまったシーン。ここは、ついにやったぜーという喜びなのか、後悔なのか、ただ自分のやったことにびっくりなのかがはっきりしなかったかな。ま、仕方がないか。最後に芝居が終わった後のショーの部分で拍手が出て、2番手なんだなあという実感が沸き起こってちょっと幸せでした。
 さて、その他の人をざっとみてみると、まみちゃんが難しい歌を良く歌ったなあという印象が。それでもちょっとキツいけど。印象が薄いけど、トニーは逆に目立つようではいけないし。風花がね、ダンスはないし歌もきつそうだったけど、その代わり演技がすごく良かった。最後の「憎しみを覚えたから」のあたりから、二つのグループに手を差しのべるところ。なんでこんなおきまりのシーンで泣かなきゃならんのだ。あと東京公演のときの2幕の頭の「SOMEWHERE」。「きっとある・・・」のところはあまりに美しくて泣いてしまいました。退団なんて悲しいよー!!次に幕が開いて立っていた初風。前作では目立たなかったのに今回は準主役をよくこなしてました(映画のタイトルではチャキリスの前にリフ役が出ます)。「クール」なんて、歌って踊っての曲を息切れせずによくできたな。それと特筆すべきはアニタの樹里咲穂。最初ここは千紘かと思っていたけど樹里で大正解。やっぱあの迫力は現役男役でないと出ないですね。出だしで彼女があまりにも良かったせいかパンフをめくって確かめている人もいましたね。あと成瀬こうき。彼女もソロをもらって、あ、成長したなと実感。その他若手も粒揃い。組としても、まさに旬といったところでしょうか。これだけの大作を今やるとしたらやはり月組しかないでしょう。チケットもたくさん売れたみたいで良かった。
 次回はようやくリカちゃんが前任者のいない役になりますね。(勝海舟は論外です)。月組で初めてのショーもつくし。今から楽しみです。
 7/3、私はミハイル・バリシニコフを前から6列目で見ました。前回の来日公演では連れて帰っちゃおーかなーと思ったくらい好きなんです。でも。ミーシャの6列目よりも7/5の前から9列目で見たリカちゃんの方がトキめいてしまいました。ヤバイです私。ちなみにこの7/5はド真ん中。最後にみんなが銀橋に出た時に、私は目の前にまみちゃんがいるのに、まみちゃんと目が合うくらいなのに、体を曲げてリカちゃんを見てしまいました。ごめん、まみちゃん・・。