星組(東京宝塚劇場)「ベルサイユのばら/フェルゼンとマリー・アントワネット」
■2006/03/07(火)
昨年の全ツで観たときは、辛い!の一言で、
もう一回本公演で観なきゃ行けないかと思うと
気が滅入るばかりでしたが
(って、強制じゃないんだけどね)
最近、狙いはわかるけど、狙い通りになっていないよ!
という舞台や映画を観てきたので、
今回のベルばらは、とってもとっても楽しめました。
少女漫画の世界を、ひたすら豪華に見せる!
たったそれだけのことだけど、
とっても的確に表現されていました。
宝塚だから、コレでイイ。
いや、違う。
宝塚は、これだから、イイ。だな。
輪っかのドレスがひたすらひたすら華やかで。
こんな豪華な舞台は、そうそうお目にかかれないよね。

全ツは、長い原作をひたすら縮めて1時間40分。
しかも植田的説教が続いたので、
話が通っていない上に、つまらない場面てんこ盛りでしたが、
今回は、無駄な話は斬り捨てて、
単純明快にラストまで行きました。
だから、とっても見やすかったです。
説教は殆ど無いし。
格言も殆ど無いし。
「少しも早く」は2回ぐらいだったし。
私は2幕の「スウェーデン宮廷」の場面が
すごくすごく嫌いでした。
フェルゼン役&男役群舞の見せ場として
作られているのはよくわかる。
けど、
ストーリー的にはいらないじゃん。
オリジナルの場面だし。
今回はそこをバッサリ削除したので嬉しかったわ。
 
さらに今回は、芸達者が場を引き締めていた。
メルシー伯の未沙さん、最後の別れの場面が・・・
泣けたわ・・・・・・。
英真組長の国王は、弱々しく女々しかったけど
王妃に対し深い愛情を持っていたし、
寝取られ男と蔑まされても、
王妃を真実愛してくれるフェルゼンを
友人として尊敬していたし、
最後の裁判に向かう姿は威厳があった。
「登場人物の一人」になりがちな国王の内面を
掘り下げて表現していた。
お帰りなさいのタキちゃんも、歌だけではなく
コメディを滑ることなく思い切って演じていた。
モンゼットの奥様が、ちょっとだけ好きになった。
タキちゃん→オスカルに
「あなたは男なの、女なの、おおお、とうこ〜」って言ってたけど
脚本にあるギャグ?アドリブ?

エンディーの芸達者振りは専科かと思ったわ。
タキちゃんによく対抗できたわ!
男役声で歌うメリハリも良かった。

きんさんはなにを着ても似合うなあ。
好きだわ・・・。
 

ワタル君のフェルゼン。
一応貴族の坊ちゃんに見えるぞ。
私には。
王妃への熱い思い。
愛しているが故に去る。
熱血振りがいいぞ。
「ゆけゆけフェルゼン」は
カッコイイけど、ちょっと笑える。
ショーは男臭かった。
やっぱ、こっちの方が好きだわ。

となみのアントワネット。
全ツ市川は公開稽古だったのか?
それくらい、今回はデキが良い。
台詞の語尾がちょっと溶け気味だけど、
王妃としての気品が出てきた。
わかっていても、断頭台を登る王妃は泣ける。
ドレスも鬘もよく似合っている。
アントワネット向き、ってのはわかるなあ。
デュエットダンスの赤いドレスも似合っていたよ。
ああ、数年前はうさぎちゃんだったのに。。。
わたとなの見た目のバランスはよろしいですなあ。

とうこちゃんのオスカルは、意外にも、
ごくごく普通の女の子だった。
内股気味だし。
細くて小柄な女の子が、家のために、
頑張って男と同じ職に就いている。
ちょっと痛々しいぐらいだった。
さえちゃんのオスカルなどは、
どこから見ても女の子だったけど、
体格故に肉体労働を選んだってカンジで
悲壮感はなかったからなあ。
まあ、ワタル君の横に立てば、
誰でも「女の子」になっちゃうよな。
「薔薇タン」は、腕と膝下にビラビラ多し。
プードルみたい。
芝居で発揮できなかった野郎オーラを
ここで大放出。
やっぱ、女役より、こういうのを見たいよね。
ここだけ「ベルばら」じゃなかったじょ。
ただねえ、
「フランス万歳」の中途半端な万歳は、どうかと思う。
お笑い?と一瞬思ったわ。
投げ捨てた勲章が、床から勢いをつけて跳ね返っていました。

レオン君。成長したよ。
台詞の声がちょっと不安定だけど、
オスカルに対する包容力が出ていた。
黒タキは、男臭くなった。
女っぽいところが少なくなった。
で、やっぱり、華やかだ。

しいちゃんのベルナール。
・・・もっと使ってくれ、としか・・・。

すずみんのジェローデルは・・・。
まだ、「彼女が作った人」ってのが見えてこない。
もうすこし、個性を出せないものかな。
ご家族のバックアップに胡座をかくことなく
真面目に芝居に取り組んでいるのはよくわかるんだけど、
もうちょっと、
自分の「売り(カラー)」を明確にして、
それを役に反映させられるようになるといいね。
「イイ人」「説明役」の域を出ていない。
「ジェローデル」を、もっと作り込んで欲しいな。

ウメちゃんのロザリーは・・・・・・・・。
悪魔だよな。
本人の希望通りに死なせてやれ=見殺しにしろ
と、亭主になんども進言する悪魔。
役者ではなく、役がね。
なんでこんなロザリーなんだろうねえ。
いつもにもまして、パサパサしている。

少女時代のアントワネットの成花まりんちゃんは
89期か!
「ドン・ファン」が初舞台か!!
かはーーーー。
若いし、台詞回しがちょっと子供っぽいけど(役の面ではなく)
華やかな子だった。
ピンクのドレスが似合っていた。

2階A席だったので、バスティーユの白旗は見られませんでしたが
それでも大満足の3時間でした。
何回も見るもんじゃないけど、
たまにはいいな。


最初の「愛の巡礼」と「薔薇タン」の金管は
2イブキでした。

一幕が短かったような気がする。
思っていたより早く「高砂熱学工業」の幕が降りてきたよ。



■2006/03/12(日)
 華々しいドレスが乱舞する1幕は諸都合に付き欠席。
2幕から見ました。
1時間20分×2で休憩25分だから、
12時半過ぎに着けば楽勝!と思っていたら
昼の部2幕開演は12時40分でした。
ギリギリだったわ。

昨年までは大嫌いだったけど、
今年のバージョンはわりと好きだし、
なにより華やかでいいなあ。
「宝塚の魅力」を、私は誤解していたのかなあ。
宝塚=ベルばら、ってのも、
まあ、いいかなあ、と、
そこまで思えるようになってしまった。
華やかなら、話が無くてもいいじゃない。
極論だけど。

「ゆけゆけフェルゼン」は笑えるけど、
迫力があるなあ。ワタル君だから?

  遥かな外つ国へ〜〜

って、あの時はすでにフランス国境近くなんだよね。
遥か、じゃないよ。

私が「スウェーデン宮廷」の嫌いなのは、
せっかくスウェーデン国王が、
フェルゼンの熱い熱い熱い熱い思いを聞いてフランス行きを許可したのに
当のアントワネットは国王と子供達に囲まれて、
それなりに幸せであるというのが、
なんだかなーーーー、と思うのよ。
こんな状態で不倫相手が出てきてもねえ、と。
フェルゼンは最後には拒絶されちゃうし。
なんのために命をかけて来たんだよ〜、状態。
でも今回の版では、そこがカットになって、
ヴェルサイユからチュイルリーへの幽閉も、
ささやかな家族団欒というだけではなく、
その時はじめてフランス王妃としての誇りを自覚するって作りになっている。
だから、フェルゼンが牢獄に現れたときも、
アントワネットは逃げなかったし、
フェルゼンも、
 ・ロザリーを蹴飛ばしたり
 ・牢をぶっ壊したり
せずに(ワタル君のフェルゼンならできそうなんだけどさ)、
断腸の思いで王妃を見送る。
相手の意志を思いやる、それこそが
なんだな。
ってな解釈ができた。

ワタル君の包容力と、となみの毅然とした気品だからこそ
うまくいったんだろうなあ。

というか、、、、、
駄作でも好きな生徒さんが出ていれば良く見えちゃうって
アレかもしれないけれどさ。

「さようなら、フランス」の場面のとなみは良い。
すごく好き。
正直なところ、ハナちゃんより好き。

幕前芝居で舞台転換も、わりと好きよ。
たまに見るのなら。
新橋演舞場とか明治座なんかだと、
舞台転換中は暗闇の中、音楽が流れるだけだったりするからね。
サクサクと話を進めてくれるのはありがたい。
2分ぐらいでセットが全部変わっちゃうのって
とっても感動だわよ。

しいちゃんのアンドレも、見たかったな。
全ツで見たけど。
きっと男らしかっただろうなあ。
レオン君は、ますます男っぽくなった。
楽しみだ。
すずみんがビミョ〜〜〜だなあ。


ボレロは4イブキ。