月組(日本青年館)「THE LAST PARTY」
■2006/03/21 (火)
タニ君版でも思ったけど、
観る側にフィッツジェラルドへの思い入れがないと
とってもツライ。
彼の作品と、彼の人生(実生活)がリンクしている、
それを舞台で表現しようと思ったのは、
理性ではわかる。
でも、作品を知らないからさあ。
台詞で説明されて終わりだからさあ。
心が動かされないのよ。
あの作品のバックボーンは、こういうカンジだったんだ!
という感動があるべきなんだろうけどさ。
知らないからさ。
実感できないんだよね。
だから、そういったキモの部分より、
クリエイターとしての「書きたいけれど書けない」悩みの部分の方が
ずっとずっと面白かった。
こういう方面を掘り下げてくれればなあ、と思った。
景子ちゃんの頭の中では完璧なんだろうけどね。
知らない人にもわからせる努力はして欲しいね。
ただの年代の羅列に過ぎないよ。
現在の秘書シーラは、仕事だけの付き合いじゃなさそうだけど、
舞台上では、「スコットが妻ゼルダ以外の女性を愛している」部分の説明は
一切無いんだよね。
史実的には当たり前なのかもしれないけれど、
浮気?と思われないためにも、もっと説明が欲しいよね。
簡素な舞台装置は、オシャレを目指して、滑り気味。
本当に、目指したいことは、わかるの。
でも、伝わってないよ、景子ちゃん。

ゆーひは、成長したなあ(涙)
劇場の音響がいいのか、歌も台詞も聞き取れる。
青年館の「血と砂」は半分ぐらいしかわからなかったよ。
私が慣れたのかしら?
主演、真ん中、という位置が、とっても自然。
白タキ他、すべての衣装が似合っている。
男らしいよ。
娘(ちわわちゃん)との身長差に
萌え〜〜〜
ゆーひをカッコイイと思う日が来るとはねえ。
娘1のかなみんと並んでも「格」的に釣り合いが取れている。
演技もイイと思うわ。
作家としてのプライドとか、
ごくごく自然に贅沢しちゃうとか(ホテルでクリスマス・パーティー!!)、
妻への思いとか、
娘への思いとか、
どれも良かった。
ゆーひがカッコイイと書いたけれど、
ちゃんと、舞台に、「スコット・フィッツジェラルド」が存在していたよ。

かなみんも良いわ。
前半の華やかさ、発病に至る不安定さ、入院後の静けさ、
うまく演じ分けていました。
グンちゃんの「ゼルダ」が観たかったな〜、と
ゼルダ本人に興味が湧いちゃった。

出番は少なめだけど、ヘミングウェインのほっくん。
目に力が出てきた。
ヘミングウェイの時は、実に男らしい。
顔、身体とも、シャープになってきた。
一皮むけたカンジ。
良くなったのに、組替えなのね。
寂しいわ。

シーラはタニ君版と同じくマユミ姐さん。
タニ君相手だと保護者の面が強かったけど、
ゆーひ相手だと、仕事の関係だけじゃないな、ってのが匂ってくる。
こっちの方が好き。
有能だけど、女としての魅力もバッチリなのさ。
最後に上着を脱ぐと、タイトなワンピになるのが色っぽいわ。

エリちゃんは、芝居面を、ビシッとシメてました。
自分が発掘した作家を売り出したい。
売れると思っている。
書いて欲しい。
でも、売れない。
それでも支援し続ける。
彼がいなければ、作家・フィッツジェラルドは存在しなかったんだろうなあ。
それがわかります。

その他、印象に残ったのは
・ちわわちゃん。
 可愛い。
 そして、父も母も愛しているのがわかる
・まことちゃん
 優しい看護婦さんだった
・みちるちゃん
 こういうファンが、読んでくれる人がいたから
 フィッツジェラルドは書き続けたんだろうなあ。

ルカちゃんとかめおちゃんとか
みんな、みんな、良かった。
役者の芝居はとっても良かった。
それだけに、作品的に、観客を限定しすぎるのが辛かった。