花組(宝塚大劇場)「ファントム」
■2006/07/09(日)
 再演なので、どうしても宙組と比べてしまう。エリザなどは演出家の力で「××組版」がそれぞれできたけど、中村B先生にも、それを求めるのは酷なのでしょうか。花組で見ると、前回の宙組版は、演出力が弱い部分を主演コンビの個性と樹里ちゃんの演技でカバーしたんだなあ、って思っちゃう。ただでさえ夢々しく、話の辻褄がイマイチあわないのに、演出の粗さをカバーできないと、ちょっと物足りなく思っちゃうなーーー。宙組を見ず、花組から見ればそうは思わないのかな?

 オサは、歌は良いよね。エリックの純真さを若さで表そうとしている。それは、まあ、いい。けど、なんかねーー、たかこさんより、ナルシストではあっても現実家っぽいところがあるから、「僕は外には出られないんだ」って台詞を聞くと、「外に出て働けーーーーーーっっっ!!!」と思っちゃう。たかこさんの数十倍。そういった意味では、オサに「浮き世離れ感」が足りないのかな。気に入らないから殺す、が、無邪気さとはかけ離れているんだよなあ。私の思う怪人とは、ちょっと違う。
 なによりも、アレだな。相手役要らずのナルシスト振りに拍車がかかり、クリスティーヌに対しての気持ちが、あんまり伝わってこないんだな〜〜。ふーちゃんなら勝手に芝居をしてくれたけれど、若い相手じゃそれもできないので、話が見えにくいんだな。オサちゃんが「ファントム」の歌を歌うためにある作品に見えちゃう時があった。
 彩音ちゃんは、歌がちょっと・・・。雰囲気はあるんだけどね。オペラ座で主役を張る、ってのは無理じゃないかと思わせる。ウメちゃんのキャシーぐらいの無理感。カノチカほどじゃ全然無いし、普通にショーでソロなら許容範囲なんだけどね。ビストロで歌うところも、ファントムに励まされて大きな歌声が出るようになったというよりは、マイクの音量を上げたな〜ってカンジだわよ。だからファントムが、彼女の何処に惹かれたのかが説得力がないんで、そういう面でも話的にちょっと・・・と思うところがありました。
 ただ、ただ、
可愛い 
音域によってはオサの歌声と綺麗にハモる時があるので、今後は楽しみですわ。歌が主体の役じゃなければなあ。普通に「ミュージカルの歌」なら大丈夫だと思うのよ。「オペラ座のプリマドンナ」じゃなければさ。彩音ちゃんだって、娘役トップを10年も続ければ歌えるようになると思うし。台詞はやや不明瞭。宮崎アニメのヒロインみたい。
 
 キャリエールのユミコは若い。おっさん好きの私からすると若すぎる。オサの父親役ってのは相当無理があるなあ。まとぶんは、若くてハンサムな役。それ以上の印象はあまりない。としこさんがダンス教師なのは、やっぱりな、だわ。みわっちとかまっつとか王子とか、使い方が勿体ないな〜〜。宙組ではそんなことあんまり感じなかったんだけど(笑)

 タキさんの歌がダメで、彩音ちゃんの歌がいいってのは、ファントムの耳はおかしい。って、それは映画でも思ったなあ。彩音ちゃんのクリスティーヌなら、タキさんを使わない方が良かったかもね。どう聴いたって、プリマドンナはタキさんの方だわよ。エトワールは季帆ちゃん?美声。

 エリックの従者をはじめ、ダンス部分は「さすが花組」と思うところがしばしば。それがかえって、「従者」って何者よーーの疑問が沸いてくる。宙組の時は、言葉では「浮浪児たちを拾って」とは言っていたものの、実のところは黒天使のような、エリックの心象風景を兼ねていたけど、花組では「人間大道具」に収まりきっていないので、なんでエリックの言うことを、そこまで聞くんだい、みたいな疑問が沸々と。

 モロモロ、東京公演までに改善されるといいなあ。でもBだからなあ。。。。。。。。。