「R-Hatter  アール・ハッター」(簡易保険ホール)
■2005/07/22 (金)
 ハンブルク・バレエ団で活躍中の服部有吉さん製作・主演の舞台。第一部はコンテポラリーで「藪の中」。音楽は従兄弟の服部隆之氏。第二部は祖父・服部良一氏の曲を使ったショー。宝塚歌劇団生徒出演。

「藪の中」
 コンテと聞いていたので、わからなかったらどうしよー、と思っていたけど、すごくわかりやすかったです。ストーリー重視の作品でした。3者はさらに3人ずつ。つまり合計9人で踊ります。最初は皆おなじような動きをしていたのに、段々違う動きになっていく。強盗・妻・夫、だけではなく、その中の3人(例えば強盗3人)の動きも違っていくところで「証言の食い違い」がさらに際だちました(三者(三パターン)の証言が出る前兆みたいな。徐々にユニゾンが乱れていくのがいいなあ、と)。夫が強盗に殺される場面は迫力があり、妻の混乱・絶望は切なかったな。最後、幕が締まりきらない状態で、夫の腹部に刺さった刃物を抜いていく者がいました。私は2階席だったので、それが誰かはわからず、最後まで真実は「藪の中」だと思ったのですが、もしかして1階席の人はわかったのかな?
 有吉さんは、ナマでは初めて見たのですが、本当は小柄なのに、踊り出すととても大きく見えます。「形」を踊るのではなく、内側から沸き上がる気持ちに押されて体が動いているような、そんな踊り方でした。


「R-Hatter」
 もっとキンキラキンの「昭和歌謡ショー」になると思ったら、全然違いました。「おしゃれ娘」や「買い物ブギ」など、すべてオリジナル音源(つまり歌声は淡谷のりこや笠置シズ子)で、踊るんですわ。パブのようなところでみんなで飲んでいて、代わる代わる真ん中に出て踊るようなイメージです。ハンブルクのメンバーは、基本的にはメロディ対応なのでジャズを踊っているように見えるのですが、蘭とむ以下宝塚メンバーが踊ると、とたんに「昭和歌謡」になるのが面白かったです。特に蘭とむ。
 蘭とむは思っていた以上に「踊り」を見せてくれました。決めどころとかウマイですなあ。それよりも、普通に「男性ダンサー」でした。概ね相手役はハンブルクの大石さんだったのですが、男役対応の娘役相手でなくても、ナチュラルに「男性」。それどころか、カーテンコールでハンブルクの男性ダンサーに混じっても違和感なし。う〜ん、濃い。濃いぞ。ああ、蘭とむ、いいなあ。。。。さお太くんの気障加減も良かったです。マギーもスーツが似合ってきてますね。娘役陣では一花ちゃんが目立っていたかな。「ジャズ・マニア」で檀ちゃんが来ていた赤いレースのワンピを手直しした衣装かな?
 ハンブルクのメンバーも楽しそうに踊っていました。ロシア民謡がベースのような「東京カチンコ娘」をウルバン&リアブコのロシア組に踊らせてみたり。「山寺の和尚さん」はアップテンポの曲調を生かしたコミカルな踊り。子供の頃聞いた曲をこんなに楽しく見せてくれるなんて!
 カーテンコールの後は有吉さんのソロで「蘇州夜曲」。演奏は隆之氏。水の流れが感じられる、ゆったりとした踊りでした。以前「誰ピカ」で熊川哲也氏が振付た作品を見ましたが、それは音符の数に動きを当て嵌めていったカンジで、「蘇州夜曲」のイメージでは全然無かったのですが、有吉さんの方は、美しいメロディーの中を漂っているようでした。お祖父さんの曲を愛しているんだなあ、と思いました。