「タイタニック ザ ミュージカル」(国際フォーラム)
■2007/01/24(火) 
映画などでも有名なタイタニック沈没話。
1幕は乗船から氷山にぶつかるまで。
2幕は沈没。
1幕は、
 ・船会社の社長の野心
 ・船員達のプロ魂
 ・一等船客の優雅さ
 ・二等船客の野心
 ・三等船客の希望
などの日常が綴れらるのですが、
正直なところ平坦です。
会場が、基本は講堂の国際フォーラムCなので
セリなどがないため、舞台装置が備え付け。
そこへ入れ替わり、立ち替わり
小グループで短い芝居を繋げていくので
ものすごく間延びしています。
セリなどがあれば、もっと工夫ができたんだろうなあ。
二等船客のアリスが、上流の人々と同じ船に乗って
彼らのフロアに入り込もうとする、の場面も
絵面は同じなので、彼女と、一等の人って
何処が違うの?と思ったり。
階級の差=船室の差=船層の差、というのを
もっとビジュアル化できると良いのになあ。
その差こそが、生き延びる差でもあるので。
1幕の幕切れは、もっと派手な音でもいいんじゃないのかな。
氷山にぶつかったんだか、ぶつかる直前なんだかわからないわ。
ぶつかったときはそれほど衝撃が無かった、ってのを
表している??

それで二幕はといえば、
救命ボートに乗るあたりはドラマがあったし、
老夫婦と客室係の芝居はとってもいいんだけど、
やっぱりショート・ストーリーというのか
ぶつ切りの挿話を単純に時系列に繋げているだけなので
これまた、なんとも、、、
救命ボートが離れた時点で号泣なので
その後が無駄に長いなーーー、と。
助かった人々も、なんで布を巻いているのか
よくわからなかったです。3階からだと。
船が沈むときの賛美歌も、
もっと大きい音でいいんじゃないかなあ。

私はタイタニック沈没というと
ディカプリオの映画は観ていないので
アニメ映画の「銀河鉄道の夜」になります。
「船が沈みましてね・・・」から始まる話は
録画したビデオで何回見ても号泣でした。
これがあったから、今回の舞台でも泣けるのかなあ。
舞台そのもので泣けたのか、自分でもよくわかりません。

なんとなーく、なんですが。
大量に人が死ぬってあたりで、
谷先生が演出した方が
もっと面白くなったかも、と
ウッカリ思いました。
それぐらい、山場が無い。
ユダヤ人の「ワイングラスを割る儀式」も
もうちょっと説明が欲しい。

曲は良いと思う。
1幕終わりの、だんだん不安が募っていくようなメロディとか
メイン・テーマとか。
歌詞が聴き取りづらいけど。
さっぱり意味が・・・と思ったら英語だったり。
訳詞がイマイチ?

出演者。
船長の宝田さんは貫禄の海の男。
「坂の上の雲」で東郷元帥を演じて欲しいくらい。
一等船客の夫婦の光枝さんと諏訪さんは
ブラボーーー!
歌が素晴らしい。
大澄さんの社長もイヤミ具合が丁度いい。

松岡くんは、思ったよりミュージカル歌唱だった。
良いのではないでしょうか。
猿丸さんには甘い私なのよ。
設計士が、自分のミスが元で狂気にいたるってのは
全然表現しきれていないけど
それは脚本・演出の無計算のためで
役者には責任はないと思うわ。

森口さんは、芝居は若くないのに
歌になるとアイドル歌手になる。
芝居自体は悪くないと思うので
(もともとがイラつく女性だし)
もうちょっと、役の感情を歌に乗せるとか
喉で歌うのではなく、会場に響かせるようにとか
その辺を訓練できたら
もっと良くなりそう。

と、いろいろダメ出しをしながら見ていた私ですが
リカちゃんの歌を聞いて愕然・・・・・・。
全然、声が出ていない。
森口さんの半分も出ていない。
宝塚トップの看板を背負って、
これはないだろーーー、ってなデキ。
調子が悪い、のとは違うと思う。
2幕の大声の台詞は出ていたから。
もともと可愛い声を出すと
一気に声量が落ちるんだよね。
例)ボレ・ルー
それがわかるのはファンであって
ファンでない人にはわからないんだから
もっと違う発声とか、トレーニングとか
なんとかできなかったかな。
正直なところ、出演者へも、ファン以外のお客さんへも
申し訳ありません、と謝りたい気分。
この歌で、「モダン・ミリー」のチケットを売るのは無理でしょう。
オスカーさんも、音響さんにマイクの音量を上げて貰うとか
裏工作してもらうわけにはいかないでしょうか。
よろしくお願いしたいです。

アフター・トークショーは
リカちゃんと浦井くんでした。
ここでは普通に声が出てるので
やっぱ、あの歌は・・・と、ちょっとウツ。
トークショー自体は和気藹々。
会場からの質問。
・浦井くんへ。今回衣装は破りましたか?
  もともと膝は破れているが
  自分で破ったところはない。
  ちなみにエリザのオープニングで尻を破ったので
  横移動で捌けた。
・リカちゃんへは。。。なんだっけかな。
それからお互いの第一印象。
・リカちゃん→浦井くん
  「若っ!」
  制作発表の時浦井くんはリカちゃんに
  「年上の女性が好きなんですよ」と言ったらしい。
・浦井くん→リカちゃん
  「目が大きい。
   目だけでなく、背丈とか、存在感とかも大きい」
お互いのグレン・ネタ。
・浦井くん。
  グレン服の袖口にティッシュを入れている。
  使ったらまた袖口に戻す。
  初めて見たときは目が点。
・リカちゃん。
 「グランド・ホテル」の時は
 (GHを一昨年と言ったら会場から訂正の声が・・・)
 「No!Takarazuka!!」と
 繰り返し言ったのに、
 今回ジムに迫る場面は、宝塚っぽくやって、
 と言われたので、
 初日はその通りにしたら
 会場から笑い声が起きた。
それからケイトについて。
リカちゃんは、自分とはまったく接点がない。
希望(野心)を言葉に出して
それを実行していくポジティブ・アクティブさはすごい。
・リカちゃん→浦井くんへ。
 他の男の子供を妊娠している女と結婚できますか?
 答えは
 本当に女性が好きなら結婚できる。
 子供には罪はないし、子供自体尊い存在だから。
ってな内容を、打ち合わせ無しに振られたこともあり
しどろもどろで答えていました。
リカちゃんのナーガがグロンギみたい、と
騒いでいた私にとって、
ダグバ様とリカちゃん、って組み合わせは
うほほほほ!というより、
ただただビックリです。


【配役】
トーマス・アンドリュース(設計士)松岡充

J・ブルース・イズメイ(ホライト・スター・ライン社社長)
キャプテン・E・J・スミス(船長)宝田明
ウィリアム・マードック(一等航海士)岡田浩暉
ハロルド・ブライド(二等通信士) 鈴木綜馬
フレデリック・バレット(ボイラー係) 岡幸二郎
ヘンリー・エッチズ(一等船客客室係)藤木孝
ウォーレス・ハートリー(バンドマスター)浜畑賢吉

イジドー・ストラウス(一等船客)光枝明彦
イーダ・ストラウス(一等船客)諏訪マリー
アリス・ビーン(二等船客)森口博子
ジム・ファレル(アイルランド移民・三等船客)浦井健治
ケイト・マクガワン(アイルランド移民・三等船客)紫吹淳

*香盤が不明なので、
 グループごとの順番で


■2007/01/25(水) 
昨日は3階席後方、本日は1階席前方。
台詞や歌詞の聴き取りやすさが全然違う。
昨日は「濃霧?と、なに??」と思っていたところが
「no moon no wind」だとわかったなどなど。
安い席を買うのが悪いとは思うけど、
7000円なんだから、
もうちょっと音響に気を使ってくれると嬉しいなあ。
宝塚大劇場のB席も音響が悪いけど
3500円だから可。

リカちゃんの歌は、昨日よりはずっと声が出ていた。
のか、
音響さんの努力なのかは不明。
ジムへのプロポーズのあたりの歌は
やっぱり声量がない。
フレムシェンは「美脚」というキャラが合っていたから良かったけど
あとの2人のケイトより、全然声が出ていなくて
それでもあちらはアンサンブルで
リカちゃんはプリンシパル扱いってのは
なんだかなーー、と思う。
せっかく女性週刊誌の記事で
「天海さんと張り合えるほどのスター」
「下級生の頃から、・芝居・踊り、
 三拍子揃った実力派」
って誤解されたんだから、
ここでもう一押し欲しかったなあ。
まあ、この歌で、記事がガセだったと
ファンでなくてもわかって良かったというべきなのか。
それにしても、OZや社交ダンスで
せっかく非ヅカファンが取り込めそうだったのにねえ。
ここが一つの踏ん張りどころだと思うんだけど、
本人的には、現在の状況をどう考えているんだろうか。
妖精さんは考えないのかなあ。
こっちゃ、「大海賊」のハラハラ再びなんだけど。
スポットライトが当たっていないときの芝居は良いと思うんだけど、
それだって、注視してなきゃわかんないだし。
私は大嫌いな発声法だけど、
光枝さんなどに開口法を習ってくれないかな。
台詞の声の通りがあまりにも悪い。
ファンのみ対象に生きていく決意があれば
このままでもいいけどね。
(ファンなので、どっちにしろ行くけどさ)

昨日の書き忘れ。
岡さんは可愛い。
とっても若く見える。
綜馬さんの朴訥な通信士も良いです。
モールスは適当に打っているんだろうな。
正確に打ってとは言わないけれど、
主要単語(良く出てくる言葉)に対しては
決まった打ち方をしてくれないかなあ。
細かいことだけど。演出家の判断だけどさ。

船長は今日も素敵。
2幕でネクタイを締めながら出てくる姿に萌え。
と某掲示板に書かれていたけれど同意だわ。
リアル沖田十三だよね。
それなら古代君は誰か?と友人に聞かれたので
古代君:岡さん、島さん:綜馬さん
と、答えてみたけどいかがかね。

社長も、近くで見ると
なおさらチャーミングだ。
悪人ではなく、野心家。
というよりも、
愛社精神に近いのかもね。

誰の判断が正しくて、
誰の判断が間違っていたのか。
いろんな条件が積み重なって起こった事故で
責任の特定はできない。
誰か一人が悪かったわけではない。
その、せめぎあい、というのかな。
芸達者な人が多いので
その辺が見応えがある。

設計士は、役者さんの演技以前に、
もうちょっと、筋道が通ればなあ。
自分の設計した船が
大勢の人を死なせることになったから狂気に至るのか
完璧だと思っていた自分の船が
そうでは無かったことがショックだったのか
どちらかがわかりづらい。
最初の歌からすると、
後者もかなり入ってもいい気がするんだけど。
(「私は神のごときミケランジェロ!」
  と叫ぶタモを思い出す歌だった)
この設計士を主役、というのは
ちょっと違うよね。
ケロかエリちゃんの役どころだよね。
興行的には仕方がないとは思うけど。

森口さんは、演技はアレでいいと思う。
笑い顔なので、救命ボートの中でも
笑っているように見えちゃうので
そこをどうにかしてくれればなあ。
救命ボートに乗り込むときにさえ
上流の人と一緒のボートに乗れるとウキウキ。
それが一変して、夫に感謝するあたりは
もうちょっと書き込んで欲しいなあ。
演出か、脚本の段階で。
なんで豹変したのかわからない。

近くで見るとアンサンブルの人たち演技が良く見える。
救命ボートの漕ぎ手募集の時、
手を上げているご婦人方の表情に泣ける。
台詞も歌詞も、クリアに聞こえる人ばかりなので
よけいリカちゃんが・・・(以下略)

あと、ワンコか。
本物の犬。
可愛い。
カーテンコールであくびしていた。

そうそう。
間近で見ると、セットが少々ショボい。
ビーン夫妻が「2段ベッドの冗談を使わなくても・・・」
のところで
見張り台が揺れているYO!!
なんてヤワい作りの船なんだ!
最後の傾きも、セリがあればねえ。
ボコボコと人が落ちていったんだろうにねえ。。。

なんだか、う〜ん、と思う部分が、
リカちゃんを除き、
演出のあたりの問題だよな、というのが
割り切れないね。
この中途半端感に、イライラ。


本日のトークショーは
松岡くんと大澄さん。
和気藹々。仲が良さそう。
お二人とも、ゴルフが好きなんだそうで。
(メモは取っていないので、以下は私の記憶によるものです。
 間違っていたらごめんなさい)
・お互いの初印象。
  大澄さん→松岡くん。
   ロックシンガーなので、
   エキセントリックな人だと思っていたら
   全然違って好青年だった。
  松岡さん→大澄さん。
   全身革の服で決めているようなイメージだったけど
   話してみたら優しい人だった。
  二人とも同じようなパターンだったみたいね。
・会場→松岡くん 「初ミュージカルですが?」
  ライブだと20曲以上歌うので
  ソロが2曲と聞いたときは楽勝だと思ったけど
  そんなことは無かった。
  歌い方、響かせ方が全然違う。
  ライブと同じぐらい体力を使う。
・会場→大澄さん 「公演中のリフレッシュ方法は?」
  リフレッシュしない。
  役に入り込んだまま過ごす。
松岡くんは、グレンにダメ出しされて泣きそうになったとか。
そんなとき大澄さんが「気にしないで!頑張ろう!」と
メールをくれて感激したとか。
(感動の話なのに「泣く松岡くんを見たかったね」と話す鬼畜な私たち)
また、公演中の舞台袖・舞台裏でも、
みんな役に集中していて、
発声練習などもしてる。
いままさに公演中であっても、向上しようとしている姿に
松岡くんは感動しているそうな。
そういう松岡くんも
「舞台袖でもすっかりアンドリュースに入り込んでいる」(大澄さん談)
そんな流れから「岡さんなんて、幕が上がってから声量も増えて」と
松岡くんが言ったら、大澄さんが岡さんの真似を始めたり。
また松岡くんは、出演者全員に湯飲みをプレゼントしたそうで、
それも、寿司屋の湯飲みの「魚偏大集合」のように、
舟偏に、出演者の名前を
 宝田さんなら、舟偏に宝
入れたそうで、大澄さんは大感激だったみたい。
(たぶん他の出演者も)
終始楽しそうなお二人で、
カンパニーの雰囲気の良さが伺えました。


■2007/02/02(金) 
リカちゃんは、だいぶ声が出るようになっていた。
歌も低い声になってきた。
可愛い声を無理して出しちゃイカンのね。

キャストのチームワークが良くなってきたなあ。
演出の穴をキャストの努力で埋めるのは
宝塚だけだと思っていたのだけれど。。。

乗船時の、希望に溢れた歌は
その後を知っていると泣けるなあ。

設計士さんの心の流れもクリアになってきたぞ。
完璧だと思った自分の設計により、
多くの人が亡くなる。
どれだけ衝撃だったかが
わかりやすくなっていた。

社長の、ボートに乗っちゃった・・・の表情も
なんでだか、泣けてきた。
「俺は社長だから乗って当然」なんて顔じゃない。
いろんな感情が交じり合っていたわ。