星組(東京宝塚劇場)「愛するには短すぎる」「ネオダンディズム」
■2006/10/07 (土)
 小林氏原案と聞いたときは、どうなるんかなーーーー、と思っていたけど、実際に見たら「プラクティカル・ジョーク」や「メランコリック・ジゴロ」を思い出させる、正塚さんの大劇場モノとしてはかなりかなり良いデキでした。「・・・」のような間合い、盆回りを多用するもシンプルな舞台セット、トップ・2番手の軽妙な掛け合い、そして、男と女は、出会って、別れる。その合間に、ちょっとした事件。ここしばらくのサヨナラ作品としては大当たりです。ありがとう、正塚さん。
 イギリスからNYへの船旅。わずか4日間のできごと。幼馴染みの男女が出会い、でも、結局はそれぞれの道を歩むために別れる。
 わたる君の台詞が、サヨナラと重なり、もう、泣ける泣ける。「今までは自由気ままに暮らしてきたけれど、これからはそうはいかない。でも、自分なりに進むだけ」みたいな台詞もあり。その前向きさに涙なのだ。とうこちゃんはお気楽極楽な友人役。恋人か敵かだったトップ・2番手コンビが、ようやく、気の置けない親友同士の役。この並びだけでも大感動なのです。加えてワタル君の背広姿もお久しぶりなのだーーーーー。ああ、素敵。素敵すぎる。
 となみも「ブレンダ」じゃなかった。低い声に艶がある。エリザが楽しみ。大柄のわたる君とはビジュアルが合うんだな。正塚芝居も合っていた。意外だったけど、嬉しかったな。
 とうこちゃんは、いいよ!わたる君もとなみも、2階席だと歌詞が聴き取りづらいんだけど(わたる君の方は、ハートで朧気にわかるんだけど)、とうこちゃんの歌詞はクリアだわ。ありがたや。とうこちゃんは、重い時代劇もいいけれど、こういう軽い役も合うよね〜〜。
 群像劇だけに、他の人は、それぞれに見せ場があるような。しいちゃん。制服だ!!!悩める船長。素敵なのだ。レオン君は、となみに言い寄るヤクザ系。ちょっと軽いかな。もうちょっと凄みが欲しいな。すずみんは女好きの興行師?女に振り回されて、いいね。すずみんをひっかけるスター志望はウメ。ピンクのワンピが似合っている。その恋人は、誰だかわからないんだけど(ごめん)、芝居がうまいわ。女の夢のために、女に他の男を引っかけさせる。苦渋の決断だけど、夢のために我慢する。小山さんの歌に出てくる男とは大違いだな!!幕が開いたところで、組長&副組長夫妻を発見。あそこに二人が居るということは、こっちの爺&婆は偽物か!と、早々にネタバレ。きんさんの結っていないサラサラな髪が印象的だった。偽爺は誰だ?正塚特有の「通りすがりの人」だと思ったら、そうじゃなくてビックリだったよ。正塚さんに、してやられたり。
 なんだかねーーー。3回しか取っていないけれど(中継を入れると4回)、もっと回数を増やしたくなったよ。ああ、わたる君、好き好き〜〜〜っっっ!

 ショーは、みきちゃんのお披露目「ダンディズム」のリメイク。現地に行ったわけではないけど、リカちゃん主演のベルリン公演も「ダンディズム」が下敷きだったので、なんか、3パターン制覇??わたる君のプレお披露目は「サザクロ」だったんだよな。みきちゃん作品に当たるのはナゼダ。
 主題歌は「ダンディズム」の歌詞を一部変え(クール&ジェントル → クール&エレガント)、メロディーはゆったりめに。OPは大階段をチャイナ服で降りてきながら「♪一瞬の〜 永遠〜〜」を歌いながら。組長と若手で「♪ダンディ〜それは〜」も歌詞が変わり。残っていたのはフランク・シナトラとフレッド・アスティアだったかな。「キャリオカ」は丸ごと残っていました。旧「ダンディズム」からは、そんなあたりかな。とうこちゃんが大階段で歌い始めたとき、柱の後ろにオカマのダルマが隠れていないかドキドキしちゃったよ。
 全体的に、男役と女役が別れた見せ場が多かったかな。わたる君が踊り、とうこちゃんが歌う。となみも艶やか。しいちゃんの黒タキが好き。着こなしがうまいよね〜。


■2006/10/31 (火)
 正塚芝居は、やっぱいい。ただし、ハズしていない場合のみだけど。今回は大丈夫。最初は、なんなんだろう、と思った避難訓練も、ちゃんと伏線になっている。うまいなあ。スターを使いつつ、若い人にも出番を与えつつ。すずみんとレオンくんが逆転したように思うのは、正塚芝居だからなのか、劇団の指示なのか。あっ!そうだ!!原案があるんだよねえ。どこまで芝居に影響しているのだろうか。
 とにかく、わたる君ととうこちゃんの芝居がいいんだよ。いいコンビだ。二人のかけあいは、笑いながらも、これが最後だと思うと泣けてくる。男役でがっつり組む芝居は初めてだもんなあ。最後にいいものを見せてくれてありがとう。
 そして、わた・となも、いいよ。二人であって、幼馴染みだとわかって、だんだん恋が燃え上がって。そうなんだな。愛じゃなくて、恋なんだな。だから後味がいいのか。写真が無くても、覚えておく。例えDVDなどを繰り返しみることになったとしても、この、ナマで見た感動は決して忘れないよ。
 未沙さんも、いいなあ。うまいなあ。古語になるところとか。面妖な、あそこだけ光が、とか、笑わせる場面で、ちゃんと笑わせている。ただ、息子の話は、真実なのか、坊ちゃんに救命道具を着せるためのネタなのか。よくわからん。
 とにかく、わたる君なのです。もう、それ以上、なんにも言えません。ありがとう、わたる君。

 ショーは、まあ、焼き直しではあるけれど、新場面が泣けるしさ。色合いも綺麗だしさ。好きな曲もあるしさ。
  俺が抱き お前が抱く 一瞬の永遠
とか
  仕草では帰れと言い 心では帰るな
こんな、気障っちい歌が似合うわたる君だった。そこへ、とうこちゃんの美声が被る。なんて贅沢なんだろうか。

もう、あと少ししか見られない。
その瞬間を大事にしよう。

【書き忘れ】
ウメちゃんが痩せすぎ。
ショーの水色のドレスで特に目立つ。
胸の部分がスカスカよ。
もうちょっとなにか詰めようよ。
しかし、娘役の「旬」って難しいなあ。

【書き忘れ追加】
群舞を見てると組長が目に入る。
肩から全身を入れるようなネチッこい踊りを見ると
「ああ、星組だなあ」と思う。
レオン君は踊りは上手いが、星1になるのなら
このネチッこさも、是非習得してほしい。
レオン君以下の若手も芽が出てきていて
歌も芝居もかなり良いと思うのだが
星組ッ子である以上、やっぱりコレを習得して欲しいと思うなり。
「ダンディ それは〜」の真ん中、
なんで未沙さんじゃないんだろう、あ、そうか
あれは未沙さんの役じゃなくて組長ポジション、
と、前回思ったことをまた思う。
この場面で「夕陽に・・・」が「祐飛?」と
一瞬聞き違えるのは私だけ?

最近、しぃちゃんに目が行きます。
黒タキ・黒燕尾・制服の着こなしが実にイイ。
笑顔も、強さを感じるんだよなあ。
いろいろ経験して、それでも笑顔でいられる強さを。


■2006/11/07 (火)
ナマで見るわたる君は今日が最後。
中継で最後の舞台を見ることはできるけれど
「男役トップ」として
舞台に立つわたる君を見るのはこれで最後。
涙ボロボロ。
いい話を書いて貰えたよね。
正反対のように見えるけど、
わかりあう親友。
この短い出会いを一生の宝とするも
別れてそれぞれの道を歩み出す男と女。
「あと1日しかない」
だんだんタイムリミットが迫ってくる。
限られた時間の中だからこそ
記憶に焼き付くんだよね。
バーバラ(クラウディア)も、観客も。
「愛するには短すぎるなんて言わない」
「さよなら」を言わないのは宙組トップコンビだったなあ。
いや、それは、ともかく、ね。
客に背を向け、歩み出すわたる君の背は凛々しい。カッコイイ。
滂沱。

不倫の三角関係も良かったなあ。
なぜか同じ服を・・とか、小ネタが良いのだ。
「057 オコナー!」と叫ぶ船員の間も良いし。

ショーは、「惜別」も泣けたけど
「ガウチョ」も来た。
これもある意味「ザ・タカラヅカ」だもんなあ。
こんな踊りは他では見られない。
これっきりなのだ。
オープニングも好きだし。
「ネオ」とつくけど
最近の手っ取り早い焼き直しではなかった。
「ダンディズムとはなんでしょう」は
「ル・ポワゾン」のOPの涼風さんを思い出す
「アチチ」の衣装で歌うとうこちゃんは
「ネオ・エゴイズト」のマリコさんの絶唱を思い出した。
けど、うま具合に取り込んでいるな、と。
そして、黒タキ、デュエットダンス。
お別れは辛いけれど、素敵な場面が続き幸せでもあった。
 
若手の歌い継ぎは、バッチリ歌詞が聞き取れた。
私の周波数に合うのかなあ。
歌のうまい子が多いよね。
 

など。
泣きつつ。
幕間にタニのトップ内定を喜び。
最終的に思ったのは
「金を積んでも本人に資質がなければ3番手止まりなんだなあ」ってことでした。
カネ・コネって限界があるのね。



■2006/11/12 (日)スペシャルライブ中継「湖月わたる ザ・ラストデイ」
わたる君のサヨナラ公演を日比谷公会堂の中継で見てきました。
この公演は、つねに2階席で観ていたので
中継のアップ多様の映像は、
いろいろな発見があって楽しかったです。
オープニングのセーラー服って、
ダンスチームの歓迎だったんだ!
真ん中はとなみとレオン君だったんだ。
だからフレッドに「乗船の時・・・」って台詞があったんだ!
とか。
なにをいまさらねえ。
しいちゃんの制服姿を見ていたからなのよね。
それ以外にも、いろんな人の細かい表情を見ることができました。

そうそう。中継なんですが。
最初の結婚式の場面。
花嫁入場の後、画面が真っ暗になって
会場は一瞬パニック。
ま、まさか、ここで映像が途切れたままに・・・・
と思ったところで、下手花道の両親の姿が・・・。
そちらのカメラに切り替えようとしたところで
ミスったようですね。
安心した会場は爆笑。
でも、それ以外にも、時々映像や音声が乱れましたね。
原因は中継側なのか、会場側なのか。
開演5分前から映像が入ったので
客席に誰か来て大拍手が起こっていたのも
見ることができました。
誰だろ〜〜、ケロなどのOGなら
騒ぎになっても拍手はないよなあ、と思い
帰宅後確認したら、小泉前総理だったそうです。
いろいろ政情の厳しい時期に韓国公演に行ったもんねえ。

芝居、ショーとも泣けるね。
わたる君ととうこちゃんの並びだけで泣ける。
親友同士の役なんてね。
ショーは「♪ダンディそれは〜」の最後
「湖月わたるもお忘れなく」に変わっていました。
「キャリオカ」の、一瞬無音になるところで
「わたるーーーっ!」の掛け声。
良い場面なのに。
わたる君も一瞬苦笑したように見えたぞ!

組長の、退団者の挨拶紹介は2回に分けて。
サヨナラ・ショーの前と、ショーの後の袴に着替える時間。
ひとりひとりのメッセージが泣けます。
「ずっと夢見ていた宝塚に・・・」
夢を持ち続け、叶え、そして巣立っていく。
みんな、素晴らしい。
組長は涙目。ついに、しのぶさん紹介の時に
ちょっと言葉に詰まってしまいました。
それを見たこちらも涙です。
しのぶさんは家族やファンや仲間などの「愛」以外に
「愛する人の・・・」って言ってたので
もしかしたら寿なのかもしれませんね。
エンディーは芸能活動をするみたいです。
エンディーといえば、挨拶中に、とうこちゃんの名を出していました。
「とうこが組替えして来て嬉しかった。6年間、楽しかった」
その時カメラは上手斜めから、徐々にアップに。
挨拶するエンディーの奥に、涙目のとうこちゃんの絵が入りました。
しのぶさんへの同期のお花は、あやかちゃんから。
エンディーにはとうこちゃんから。
わたる君には伊織さんから。
伊織さんってば、すっかり女らしくなっちゃって。
わたる君の挨拶は、堂々と。
特に、となみちゃんが雪組みへ行って大成すること信じているとか
後を継ぐとうこちゃんが星組を育ててくれるとか
そんなニュアンスのことを言っていました。
組内昇格って、これだからいいのよね。

サヨナラショーで。
「大漁ソーラン」のハッピを脱ぐと背中に「星」の文字が。
それをめくると、さらに「卒」の文字。
「王家」のところで、ちょっとわたる君が噛んじゃった。
「14番、、、14番目の月が・・」ってカンジなので
それほど深刻な噛み方ではなかったよ。
「絢爛」の客席降りでは小泉さんをいじっていた。
カーテンコールは6回ぐらい?
どこかで、「ありがとうございました!」と
わたる君が言ったら、客席から
「サンキュー・ベリーマッチ!」の男性の声で返答がありました。

終映後は劇場前へ。
近いから移動が楽。
三井プラザ前あたりで待つことに。
暑いかな、と思うくらい着込んで大正解。
ビル風が寒かったです。
コム&まーのお見送りにちょっと自信が無くなる。
エンディーが出てくるとき、
扉内部から「待って 待って 待ってぇ〜」という声が。
誰の声よ〜〜。
通常は楽屋口から帝国ホテルへ、の道のりですが
こっちにもわたる君の会の人がいるなあ、と思ったら
こっちにも来てくれましたよ。
男らしく、凛々しく、
それでも、普通の女性でした。
身近で見ると、本当に細いんだよね。
どこに力が潜んでいるのか。

楽屋口前のカメラさん。
CSあたりのTVカメラだと思うけど
わたる君のところの会服を着ていました。


わたる君を最初に認識したのはいつかなあ。
たぶん、「ドリアン・グレイ」あたり。
お耽美なリカちゃんじゃなく
もう一人の方がカッコイイな、と思ったのよ。
宙組の「エリザ」のルキーニは、あんまり好きじゃなかった。
それ以降も歌の面で、あんまり好きじゃなかった。
変わったのは「大海賊」の後半かな。
受信機ができたのかも。
だんだんカッコイイと思いはじめて
「長い春」のクロード先生で完落ち。
(日記を読み返すと2002年11月28日に
 「ワタル君のナマくるぶし萌え〜」って書いているわ)
それから、長いような、短いような。
ああいう「漢」系のトップはしばらく出そうにないので
ちょっと寂しいですね。


追記
私はわたる君が出た後に帰ってしまったのですが
ケロが20時半頃出てきたみたいです!
えーーーん、残っていればよかったよーーーー!!