星組(日本青年館)「赤と黒」
■2008/04/05 (土)
なんだか思っていたほどじゃなかったなあ。
役者によるものなのか
演出面なのか。
なんとなく後者のような気がする。

柴田先生の脚本で、
一部は古式ゆかしいモノローグなどもあるんだけど
それがなぜだか笑われちゃうんだ。
なんでだ?
たとえばマチルドがジュリアンに剣を向けられ
陶酔するところ。
そこは笑いどころじゃないだろう。
そういう場面がいくつかあった。
役者の演じ方・言い回しのためかもしれないんだけど、
演出が脚本を生かし切れていない気がする。
「マノン」もそうだったけど、
たんなる時系列なんだよ。
どこで話を盛り上がらせるか、
どれくらいキャラクターを深く描くか。
あるいは、役者に役を深める余地をあたえるか。
それがAにはできないのかなあ。
せっかく、レナール夫人とマチルドという
二人の女を愛し愛される場面があるっちゅうに、
まったく
エロくないんだ

とうこちゃんなのにさ!
なんでだ。
Aだから、としかいいようがない。
ジュリアンも薄っぺらい。
レナール夫人とマチルド、
それぞれにどういう感情があるのか
あんまり伝わってこない。
野望のままに生きた、って気がしない。
少々行き当たりばったりだし、
野心も、口で言うほど大きくはない。
ま、、、そこがだね、、、、、
田舎の少年の薄っぺらいプライドってところがだね、
とうこちゃんに合っている気はするんだな。
(誉めているのよ!)
自分では大人物だと思っているくせに
実は田舎の小者ってギャップが
たまらなくイイ!
私は好きだ。
でも。
それは、本当は、「赤と黒」じゃないしさあ。

実のところ、(これを言うのは反則かもしれないけれど)
リカちゃんの朗読の方がゾクゾクした。
(その時の感想は→コレ
好きな役者だから、というだけではないと思う。
50分間という短さ、芝居ではなく朗読、
それでも、己の才覚と美貌でのしあがっていこうとする男の生涯を
私はその時、ハッキリ見た。
短いが、
悪くない生涯だった

自分が悪であることを認め、
野心のままに生きるために人を傷つけてきたことを認め、
それでも後悔することなく、
顔を上げて断頭台に向かうジュリアンに
私は泣き、幕間に翌日の券を買っちゃったわよん。
これをもっと長い時間で、芝居で、
しかもとうこちゃん主演となれば
どれだけドロドロになることやらと
かなり期待をしていました。
同時に、Aなだけに・・・・・・・・・・。
結局は、AはAだったと。
先日のショーが悪くなかっただけに
ちょっとは良くなってきたのかと思ったけど、
芝居においては、AはAだった。
「ドリアン・グレイ」「マノン」のガックリ感再び。
せっかくのとうこちゃんなのになー。
勿体ないなー。
せめて、レナール夫人が生きていたと知った場面は
もうちょっとねえ、
なんとかならなかったかねえ。

とうこちゃんは、ティリアンを見た後だと
濃さが足りない。物足りない。
あと、レオン君とあすかちゃんとねねちゃんと、と
周りに大きい人が多いから、
ちょいと背の低さが目立っちゃったかなあ。
「田舎の少年の薄っぺらいプライドが粉々に壊される姿」
ってのは個人的には萌えだけどね。
あすかちゃんはしっとりとした人妻。
でも、もうちょっと「よろめき」度をあげてくれる方が
私の好み。(Aには無理か)
「仮面のロマネスク」のトゥールベル夫人ぐらいのね。
それはAには無理か。
あすかちゃんがではなく。
ねねちゃんは、「ホフマン」では
びっくらこくぐらい演技が良かったけど、
とうあすに加わると、稚拙な面が出てきちゃう。
華はあるね。
レオン君は2役。
2幕のプレイボーイの方が似合っているかも。
しいちゃんのレナール氏が良かった。
笑顔を封印してもカッコイイ。
すずみんも良かった。
上から目線の貴族をイヤミなく演じていた。
クロワズノワのしみこちゃん、
ビジュアルはいいなー。
ビジュアルと芝居のギャップも楽しくなってきたぞ。
ことことは、、、どうでしょう。
学年的にはもうちょいとなんとかと思わなくもないけど
「業平」の斎宮に比べたら格段の進歩だしなあ。
キトリちゃんも、いい時と悪いときがあるなあ。難しいなあ。

舞台装置は良かったよ。