星組(日生劇場)「雨に唄えば」
■2003/05/07 (水)
 楽日近くに2公演取っていたのですが、我慢できなくて初日開けて2日目の本日行ってしまいました。だって原作映画が大大大好きなんだもん!
 あの映画がどうなるか、とても心配でしたが、そうですね、宝塚作品としてはなかなかイイと思います。とにかく踊りまくり。ショーのタンゴっぽい踊りがダサダサな以外はみんないい振り付けだと思います。特に映画からの踊り、冒頭のボードビルの踊りはビックリ!あの踊りを宝塚で、もっと言うなら、とうこ&タニでやるとは思わなかった!もっともっと簡単な振りになると思ったのに!いやいや、すごいっす。千秋楽まで、みなさん体力持つのかしら。
 とは、言うものの。やっぱ原作映画ファンとしては、比べちゃいますよね。ゴメンね。仕方がないことなんだけど、タニは「ドンの友人コズモ・ブラウン」を演じることができても、ドナルド・オコナー並みに踊るっていうのは無理な話で。壁登りを期待しちゃイカンですよね。で、MGMが総力を挙げて作ったダンスシーンが、宝塚で完璧に再現できるわけではなく。「ビューティフル・ガール」も「ブロードウェイ・メロディ」も、あっという間に終わって、正直、「たったこれだけ?」って思っちゃいました。もっともっと踊りが続くと思ったんだけどな。
 あと、初日開けたばかりだからだと思いますが、まだまだ皆さん演技が堅いです。芝居と踊りがまだ一体化していない。芝居が、名場面に繋げる段取りに思える時がある。特に発声練習の場面。韻を踏んだ言葉が歌になり踊ってしまう、と見せるにはまだまだです。役者側の問題なのか、演出家の問題なのか。どちらにせよ、慣れていくしかないかな。
 その他気になったのは音響。オケの音が大きすぎて、台詞や歌を消してしまうときがある。もう少し調節できないかな。

 とうこちゃんはうまいけど、もう少し捨て身にバカをやった方がいいと思う。もっともっと弾けなきゃ。雨の中で踊る場面、「頑張っているな」とは思うけど、「土砂降りでもつい踊っちゃう!」って雰囲気は伝わってこないなあ。ここで一皮むけるかが今後の彼女の地位を決めるのかな。
 タニ君は芝居はいいよ。さすが、というか。次の場面につなげる小芝居が実にうまい。場数を踏んでいるだけある。本編ではそれほど歌は気にならない。どのみちオコナーには敵わないんだし。ショーになって、娘役侍らせて踊る場面はウットリ。大人っぽくなって貫禄があって、いつの間にこんな成長したんだろうと思います。某紙に「準トップ」と書かれたようだけど、わかる気がする。と感動したところに歌が入り、「ああ、やっぱタニだわ(涙)」となります。歌わなきゃイイ線行ってると思うんだけど。
 ウメちゃんは、踊りはいいけど芝居はあと1歩。もう少しドンとくっつくあたりを表現してほしい。あと歌ね。宝塚的には標準だけど、吹き替えで使うほど抜群にうまい、と思わせるには少々物足りないかな。ヒロイン系ではあると思う。まとぶんはスゴイわ!ここまでリナになるとは思わなかった。脱帽。しかもカワイイし。その他、専科の方々がヒットです。星原さんと萬さんの掛け合いがウマイ。とうこ&タニにも、このノリが欲しい。ラジオ実況の藤さん、まさに映画通り。ここは半端な若手じゃダメよね。大満足。そしてまゆみ姐さん!ステキ〜〜っ!グリーンドレスの女がメチャクチャかっこいい!!さすがダンス専科!リカちゃんとも踊って〜〜。「ビューティフル・ガール」でも「ジャンクション24」の衣装を着て、真ん中で踊っていました。ああ、ありがたや。下級生は、決まった役を持っている人は少ないけれど、いろんなところで踊っているし、チームワークもいいので見応えがあります。
 総合的には、宝塚としては、特に全ツ裏としては、よくやっていると思う。あとは見る側に、ジーン・ケリーとドナルド・オコナーの幻影をどこまで捨てられるかでしょう。次は22日なので、それまでにノリが良くなっていることに期待大です。


■2003/05/22 (木)
 全体的に7日に見たときより、グッと良くなっていました。特にとうこちゃん。楽しそうに演じています。前回はドンのスター性を「ハリウッドスター」として表そうとしていたけれど、今回は「宝塚男役スター」の魅力で表そうとしている、そんなカンジ。実に格好良くって、自信たっぷりなところが、かえってドンらしくなっていたと思います。う〜〜ん、ステキすぎ。歌もうまいしなあ。喉の心配皆無だし、音程外すかもって心配もないし、安心して聞けるわ。本当はそれが基本か。雨のシーンも、いま思えば前回見たときはまだまだ試行錯誤だったのかな。「雨の場面」で「歌い踊ります」って段取りをこなしているだけに見えたけど、今日はウキウキ気分が伝わってきた。外に出たとき雨が降っていたら絶対私も真似しちゃうよ!って思ったもん。あと、アレね。どこかにも書いてあったけど、とうこちゃんには、まんま「踊る騎士」をやって欲しいなあ。ブロードウェイ・メロディ付きでね。
 タニ君はやっぱコメディ似合うね。ものすごくブリスと被るけど、そういった役が似合うからよし、ということで。「笑え!」の場面、壁登りを始め、いろいろ簡略化されているので少々物足りない。最後に金盥を落としてくれないかなあ。オチをつけて欲しいよ。宝塚じゃ無理だけど。でもタップとかうまくなったしなあ。ショーで歌がアレだけど、友人が言うように、ここでうまい歌を聴かされたらタニじゃない気がする。確かに。
 うめちゃんは踊っているときの脚がキレイだけど、色気はないね。その辺が課題かな。歌はだいぶ良くなった。まとぶんは相変わらず怪演。喉がもつかと心配だったけど、大丈夫そうね。イヤな人だけどカワイイ。宝塚的にそのバランスが難しいと思うけど、うまかったな。ショーでは男らしいし、いい経験になったよね。外部の王子もガンバレ!
 もとの映画がとても好きなので、どうなることかと思いましたが、良いデキだと思います。わかりきっている場面も、なんでこんなに笑えるのか、というくらい。ただ「ビューティフル・ガール」などのオリジナルの場面がイマイチつまらない。中村Bって、華やかな道具を使っている割には、それが生きないんだよね。「ショー」の捉え方も間違っている気がする。役者の熱演で演出の足りなさをカバーさせないで欲しいなあ。


■2003/05/26 (月)
 実に楽しい舞台でした。映画は映画館でもビデオでもくり返し見ているのに、舞台を見てこんなに新鮮に笑えるなんて!!やはりナマの舞台は面白い。明日で千秋楽なのが惜しい。もっといろんな人にも見て欲しいなあ。星組+専科+宙組の皆様お疲れさまでした。
 とうこちゃんが素敵だよね。ショー部分から逆算すると、本当はドン向きの役者じゃないんだよね。なのに芝居ではそれを感じさせない。前にも書いたけど、「ハリウッド・スター」とは、もしかしたら違うかもしれないけれど、見ただけで失神しそうになっちゃう大スターには、ちゃんとなっている。キャシーと出会う場面当たりで、私も「ド〜ン〜〜ッッッ!」って叫びたかったなあ。いや、本当はオープニングの客席登場からヒューヒュー言いたかったわ。適度に遊びを入れ、真面目に演じるところは演じ、歌い、踊り、座長として充分に働いていました。今後出演作に「雨に唄えば 主演」と書かれるかと思うと嬉しい。
 でもでも。ショーを見て思った。とうこちゃんには、もっともっとコテコテの宝塚作品をやってほしい。それこそ半回転する岩の上で作品名を叫んじゃうような、アレ系ね。赤いスパンの服の時、ナイアガラ羽と大階段が見えたような気がしたよ。幻影でなく、いつか本当にそれを見られる日が来るといいなあ。ここはあまりにもカッコよくて泣いてしまった。彼女はオーソドックスな宝塚男役の雰囲気を持っている人だと思うので、どこでもいいし、例え1作でもいいので、トップにして欲しい。(でも、わたる短期だけは不可)
 タニ君は、ショーの歌も良くなってきていると思う。欲目?それにしても、タニがゆず長さんと踊るとはな!なんて恐れ多い!!今後は明るい以外の役柄をどう作るか、あるいは強引に今の雰囲気ですべてを乗り切るのか、それをそろそろ決断しなければね。ショー部分でさ、まとぶんと並ぶと、そりゃタニの方が手足が長くて背が高くて顔が小さくてスタイルはいんだけどさ、タキシードの着こなしが全然違うよ。この辺のまとぶんのカッコよさは、さすがに星組!って思うわ。ウメちゃんは芝居が良くなった。ドンへの思いとか、うまく表せるようになったと思う。池田銀行もついていることだし、将来のヒロインなんでしょうか?全ツも華やかだったし、日生も高水準の舞台だった。合流したらどうなるんでしょうね。今から楽しみです。