月組(東京宝塚劇場)「飛鳥夕映え」「宝塚絢爛II」
■2004/09/07
 芝居は、「3回も見るもんじゃねえな」ってのが正直な感想です。でも展開が早いから、意外と寝られない。ちょいと疲れた。役替わりは、鎌足:ゆうひ、軽皇子:あさこ、石川麻呂:かしげ、でした。ゆうひの鎌足は、表の顔と裏の顔を使い分ける、のではなく、成り上がり者が表面を取り繕っているような、そんなカンジ。鞍作がいないところでは野心バリバリです。ゆうひは、そういうのが似合っているなあ。リカちゃんの手下その1だったので、結構見慣れた姿で、意外性が無いといえば無い。芝居での2番手は初体験で、その辺りがどうかなあ、と思っていたけど、まあ、トップさんがトップさんなので、マミ・リカのリカちゃんのポジションでなくても、仕方がないかな、と思うワタクシ。かしげの石川麻呂は育ちの良さが出ていました。
 ショーではね。くらりんが白いドレスで「いざよいの〜」と歌うところで泣きそうになっちゃいました。せっかくここまで育ったのになあ。わかっちゃいるけど、惜しいよう。くらりんをもうちょっと見たかったなあ。かしげは、結構濃くなってきた。背広の踊りのあたりはネチッこさが出てきて非常に良いなあ。と、思いつつ、「白の貴公子」を余所からお預かりしている身としては、こんなクセをつけてしまって申し訳ないような気もします。ごめんなさ〜い。ゆうひはかなりしっかりしてきた。やはり同期との共演が良い経験になっているんだろうなあ。正直、彼女が路線かと言われるとかなり微妙なんだけど、組の中でかなり上級生になって、そして同期達が重いプレッシャーと責任を背負って頑張っている姿を見て、彼女なりに考えるところがあったんじゃないかなあ、と、そんな気がしました。
 んで、あさこ。こんなさ、
ラテン・キングの俺様
エリザベートなんてなあ。こちらは悔し涙が出そうだったよ。だいたい彼女は雰囲気・ハッタリが売りなんだからさ。その武器を封じられて、苦手な歌で娘役って、そりゃないだろう。私はラテンなあさこを見たいのに〜。まあ、エリザベートも「俺様」といえば「俺様」だけどさ。でもねえ。と無限ループ。
 みゆちゃんは、芝居ではピンクの服の女官。下手側中央多し。歌垣は紫の上着。ショーはかしげの縄跳びグループなど。下手多し。フィナーレは上手花道です。


■2004/09/20
 芝居は4回目。さすがに少し寝たわ。嫌いってほどでもないし、駄作というわけでもない。でも(よく世間で言われているように)鞍作がどうしても大物に見えないんだよねえ。しかも瑪瑙とラブラブかと思えば、誘われたらこばめない男でさ。だから話のクライマックスに向けての盛り上がりに欠けるんだよねえ。それなりに伏線はあるように思うんだけど。鎌足の瑪瑙への気持ちも謎。歌垣の場面は、鎌足が
 (1)この後、瑪瑙に横恋慕し続ける
 (2)目を付けた女を鞍作に持って行かれる → いつも、こう → 鞍作への劣等感
の、どちらを表したいのか。ストーリー的には(2)なので、後半の瑪瑙の台詞「歌垣の時から・・・」が唐突すぎて、えっ?と思っちゃうの。だって、それまで鎌足は瑪瑙になんの好意も持っていないようだしさ。鞍作の「なんでも手にしている」の象徴だとすれば、ずーーーーっと見ている、っていうのもヘンなカンジだし。繋がりが悪いなあ、と。
 さえちゃんは、相変わらず気持ちが籠もっていない野太い歌声で。3人の女性に対する気持ちの表現っていうか、切り替えが見えないよな〜、と思うけど、クライマックスの「だめだ!」は、結構イイカンジだと思う。「なぜだ」じゃないんだよね。「この国には自分が必要である」「その自分をここで失わせてはいけない」って気持ちが良く出ていると思うわ。傲慢じゃなくて、客観的に自分を評価でき、そして鎌足の考え(陰謀)を瞬時に理解する。聡い人だというのが、ここで(というか、ここでしか)わかります。さえちゃん、ポイントの芝居は悪くなんだよなあ。役替わりはムラで見たのと同じ。ゆうひ鎌足が「悪役」なら、かしげ鎌足は「冷静な策略家ってカンジ」。
 ショー。エリちゃんは冬ソナを見ていたみたい。アサコは「踊りに行きませんか、そこの女子高生」女子高生は立ち上がって握手していました。くらりんが楽しそうに生き生きとしていて、その姿に泣けてくる。1階席だったので、最後の客席降りで、ゆらさんとかさららんを間近で見られて大ラッキーでした。


■2004/10/09
 あさこ鎌足を観ました。これで鎌足3パターン制覇。比べてみると、ゆうひ鎌足は、卑しい身分=平民ってカンジだったな。成り上がるためには手段を選ばない系。かしげ鎌足は、「卑しい」というのは、国政を司る場の中心には行けないるような家系ではないけど、その末席には行けるような、一応貴族ではある。それが、中心に行きたいという野望を幼き頃から持ち、慎重にその場に進んでいったカンジ。そして、あさこは鎌足。なんか、学生時代は割と普通の明るい青年。それが、なにかのきっかけで、世界の全てを手に入れたいと思うようになった。そのきっかけとは何か?それだけで1本芝居ができてしまうような「何か」があったに違いない。そんなことを邪推させるような豹変振り。つまり
ダース・ベーダーです。
ほら、帝国のマーチが聞こえてくるでしょう。瑪瑙への目線もハッキリわかったのですが、それが色恋というより、「鞍作のモノを奪い取りたい」目線のように思いました。多分、役としては、かしげが一番脚本に沿っていると思う。逆にあさこは軽皇子の方が合うかなあ。「高貴ゆえ野望無し」っていうのが出ていた。かしげは「貴族」であるけど「皇子」には足りない気がしました。そんな3人の鎌足を、全然芝居を変えずに受け止めているさえちゃんは、ある意味スゴイよね。動じなさ振りが持ち味っていうか。
 ショーは、今回は初めてのS席だったので、とあるところで読んだ「のぞみちゃんのぱんつ」を要チェック。オープニングの水色のドレスのところでぱんつ見せまくりの豪快なスカート捌きは、なかなか楽しゅうございます。演技も好きだし、もうちょっとうまく使ってくれないかなあ。
 あさこはやっぱりラテンな男。フィナーレでかしげと同じ衣装なんだけど、胸元の開け方が違うよねえ。ああ、しばらく男役が観られないのが悲しいよ。でも、合わない役とかハズれの役が来ることもあるんだし、いつまでもラテンよりは、いっそエリザってのは勉強にもなるよな、なんて思うようになりました。
 
 そして、くらりん。悲しいよう。リカちゃんを支えてくれたんだもん。特に「大海賊」。声が出なくなったリカちゃんをカバーしてくれてありがとう。私は「一目惚れ・運命の恋・後にも先のもお前だけ」はあまり好きでないんで(マミちゃんは一目惚れ3連発で悲しかったわ)、リカちゃんが「サラン・愛」を除けいては全て「女を知っている男」だったのが嬉しかったです。それは、くらりんが相手役だったからこそ。そして、リカコモ好きな私は、正妻くらりん、愛人コモちゃん、的な配役はツボツボツボでした。リカくらも、二人が見つめ合って踊るデュエットダンスは大大好きでした。くらりんが相手役で良かったよ。リカちゃんの傍らにいた子が退団するのは寂しいと思いつつも、リカちゃんが育てた子が、こんなに成長してくれたのに、感謝感激。これからも頑張ってね。