月組(日本青年館)「血と砂」
■2001/11/03 (土) 「血と砂」宝塚月組
 あうあう。ものすごく正直に言いましょう。うぐぐぐ。ごめんね。言っちゃうね。
主役3人力量不足
言っちゃった。まず、オープニング、ケロ・ユウヒとも何を歌っているか歌詞が全然聞き取れない。2階の端だったせいかもしれないんだけどさ。オープニングだけじゃなくて聞き取れないところが随所。で、ケロは声量不足。そしてユウヒは声が割れている。ワタル君系。また、主役3人に、やはり華がないよ。この前見た「マノン」の出演者の方が華があった。番手的には同じぐらいだよね。アサコちゃんの方が主役オーラがあるよ。
 話的には思ったほど(言われてたほど)破綻はない。スピーディーに流れていくし。スピーディーすぎて書き込みが足りない。でも闘牛士モノなんだからある程度ステロタイプのキャラを見せてくれればそれなりに納得するのだが、各個その土台がないまま人物を作り上げているので魅力的な話になっていないというか。
 やっぱりケロにスペイン一のマタドールっていう華やかさがない。若い頃も頂点にいてブイブイ言っているときも落ちぶれたときも、みんな同じ地味でオヤジ臭い。もう少しメリハリがないとドラマにならない。ユウヒは、いかんせん話を担う力量がない。幼なじみの死、恋人の死、投獄などドラマはあるのに怒りが一緒というのかな。でも2幕の出だしのスパンのマタドール姿は華やかだった。もしかして、二人逆の方が良かったのでは?ケロは色つきであるより黒一色の方が似合うし、ユウヒなら若さ故の傲慢も出たと思うのだが。一番辛いのはミエちゃんかな。ワタシ的に。彼女はファムファタルで、性的魅力に溢れている貴族階級の未亡人。その美貌で気に入った男と自堕落に関係を結ぶが悪びれない、というのがドンニャだと思うんだが・・・。ミエちゃんにしてはよくやっているが、いかんせん色気がないんだよな。男がウッカリ手を出しちゃうのがわからない。また男に何を求めているかも見えない。性的な快楽か、自分を守ってくれる力強い手か。たまこちゃんのヨロメキ方もよくわからん。夫が不倫していれば自分も義弟と不倫していいのか?そんな単純なモノか?
 すごくハッキリ言うと、マミ・リカ・檀で見たかったな。ネタ的にも大劇場に掛けてもいいと思うんだけど。

■2001/11/04
 2回目です。昨日とそんなかわらないかな。あ、でも、昨日ウッカリ寝たシーンが兄弟和解のシーンだと判明しました。重要な場面を見逃していたのね。ははは。
 やはり歌が厳しい。あと、意外と「濃さ」が足りない。スペインの話なのに、メイン3人を含めてもうちょっと濃さが出るといいんだけど。例えていうなら「哀しみのゴルドバ」のみきちゃんとか、「マノン」のハッチさん・ちはるさんとか。やっぱ、侯爵はでっかい金のカマボコ指輪をしているような、そんなイメージが欲しいよね。その辺がなんちゅうか・・・。るいるいも今までになく男らしい役で、顔つきとかラブシーンとかそこそこいいんだが、それでも声を出すと若造だし。エリちゃん一人ではどうにもならんかなあ。磯野さんも地味めだし。
 ま、それでもビジュアルはいいよ。ユウヒが黒い衣装似合うしさ。ユウヒねえ。この前、青年館で見た時は(多分)ブエノスアイレスの武器商人でさ、殆どセリフはなかったんだよね。それがW主演の片割れか、って思うわさ。エラクなったもんだ。うんうん。ケロも真ん中に立つとわなあ。そんな気持ちで見ればいいかな、と思う。で、二人に関してはもういいと思う。でも、やっぱりドンニャは檀ちゃんみたいな肉感的な人にやってほしかったな。そんなこと考えても仕方がないけど。
 しかし、この話って救いようがないよね。結局負けて死ぬんかい。二人とも。

■2001/11/07 (水)
 3回目ともなるとポイントがわかってきた。なにしろドンニャは私の好きなタイプの女性。これを演じるのが三恵ちゃんなので、どうにも違和感があった。また、ケロがスペイン一のマタドールってのもなんだかなあ、と思っていたけど、つまりは2幕の落ちぶれたケロを堪能すれば良いのだな、と割り切ったら結構おもしろかったよ。ケロはやはり情けなく泣くのが合う!うん、持ち味出ているよ。今日は前楽なので見応えあった。ううむ、しかし繰り返すが、三恵ちゃんにそれに対応できる(女としての)魅力が足りないんだよなあ。終演後に友人と言っていたのは、侯爵をタータンあたりにして、侯爵にファンが食われるってどうよ、ってネタなんですが、どうでしょう(笑)プルミタスの怒り爆発は間違いナシよ!あとさ、恵華ちゃんがやっていた「ガ」の付く人(名前が覚えられん!)もファンを愛していたわよね〜、とか。「俺は、お前を守ってやれなかった」だっけ、けんちゃん?絶対ファンの遺体を掻き抱いているよな〜、とかさ。
 初回はわかりやすい話と思ったが、今回一番引っかかったのがプルミタスの怒り。ビルバオ?に行くときチリーパはファンに知らせてプルミタスに知らせてないでしょ?そうしたらプルミタスにとってチリーパは兄の親友になるんじゃないかな。それにチリーパの死は、
チリーパ自身の責任だよ!
「俺がやる!」とかチリーパが勝手に出ていったのに。それを侯爵や兄に恨みを向けるのは間違っている。それとも若者が勘違いな恨みを抱いて死に至るのが主題なのか。中島みゆきの「南三条」のようなものなのか?ファンの死は、ま、いいよな。マタドールなら闘牛場で死ぬこともあるんだしね。

 関係ないかもしれないが、最後に闘牛士が死ぬ、と言えば「哀しみのコルドバ」。いい話だったのだが、未だに思い出すのは、ラストのみはるちゃんの「エリオ〜ッ!」の絶叫をかき消すような盆の回る「ガガガガガ〜ッ」って音。音楽がないところだったから、すんごく印象に残っているわ。