雪組(東京宝塚劇場)「堕天使の涙」「タランテラ!」
■2006/11/25 (土)
「堕天使の涙」
私は、やっぱり景子ちゃんの少女漫画はダメだなーーー。
だいたい「堕天使ルシファー」がツボじゃないんだな。
これがツボなら、だいぶ面白くなるんだろうなあ。
コムちゃんは踊っているし、ミズは色気を垂れ流しているし。
役者の魅力は良く出ている。
まーちゃんは出番が少ない上に、
ストーリー上もそれほどルシファーに絡まない。
その「薄幸」振りが似合うのがまーちゃんといえば
彼女の魅力も全開ということなんだろうか。

粗筋の紙を見てもさ。
肩書きが長すぎるんだよね。
もっとすっきり人物を作れないかなあ。
それを読まずに舞台を見ても、
舞台外の文字で表すんじゃなくて、
舞台でそれを表して!!

コムちゃんが堕天使で踊りまくる、
ってのが基本なのはわかるけど、
本筋が通りきらず、脇の話を展開させすぎる。
いっそ群像劇にしちゃえばいいのにね。
本筋は、結局なんだったんだ。
初見なのに寝ちゃってさ。
ジャン・ポールが立ち直ったのもわからないし
堕天使が盲目のバレリーナのどこに惹かれたのかもわからない。
盲目のバレリーナが、なぜ母を許そうと思ったのかもわからない。
なにが人間の真実だったのか。
起きてればわかったのだろうか。
わかったところで、感動はしないだろうなあ、と思う自分がいる。

舞台美術はいい。
舞台転換もいい。
「80人を動かす」は、大夫慣れてきたみたいだね。
相変わらず、「女の子達をミュージカル風に処理」は
勘違いなコメディになっているけど。

それにしてもバレエネタよ。
あんまり知らない人なら間違えても
「あははーー、違うよーーー」ですむんだけど
景子ちゃんは、バレエが好きだよねーーー。
(特に「ジゼル」がお好みなのかしら?)
それゆえに
「エトワールになることを約束されたバレリーナだった」
みたいな台詞がねえ。
ヲイヲイヲーーーーイ!に、なっちゃうんだよね。
「ダンサーとしての才能のすごさ」を表すには
ちょっと不適切じゃないかい。
「SWAN」の頃の少女漫画ならOKなんだけどさ。

だいたいさ。子供を身ごもったから
バレエのキャリアを捨てなきゃならなかったんで
産んだ子に八つ当たりをする母親ってさ。
こうのとりが赤ん坊を運んでくるわけじゃないんだからさ。
パトロンの言うことを断り切れなかったのか
数多かった恋の結果なのか、
どちらにしても、原因があるから結果があるんだろうさ。
そもそも、誰が父親なんだ?
なぜ、父親不明じゃなきゃダメなんだ?
で、娘の方には悪魔の子「リリス」で、
兄が「ジャン=ポール」って普通の名なのはなぜなんだ。

と、いろいろ不満が噴き出す。
「ルートヴィヒII世」が良かったのは
タモの基本が
少女漫画の枠には収まらないオッサンキャラだったからかなあ。

「ノリメタンゲレ」も
聖書じゃなく、道原かつみ、と、思う私は間違っている?
「愛と憎しみは表裏一体」で
卓治(「愛と憎しみはいつでも似たようなものよ」)を思い出す私たち。


「タランテラ!」
オギーだ。
流れるように、場面が切れないショーは確かにオギーだ。
しかし、どことなく、草野先生のサンバ・ショーが入っている。
衣装は一部齋藤君テイスト。
コムちゃんが踊る。
まーちゃんも、たくさん衣装を替えて踊る。
ハマコまで踊っているよ。
オギーは容赦がないなあ。
そこが好き。
シビさんがミューズって、渋い趣味よね。


壮くんが組替え決定のせいか
キムちゃんの3番手扱いがクッキリ。
華やかな子だよねえ。
次はルキーニ?


劇場限定販売「萩の月」



■2006/121/03 (日)
今日は芝居の後半をしっかり見たので
前回記憶があやふやだった部分もよくわかりました。
まず訂正。
リリスは「エトワールになることを約束されていた」ではなく
「内定していた」でした。
ま、これも、アレレだけどね。
あと、「ノリメタンゲレ」は無かった。
「エリ、エリ、、、」の方でした。
これは私の勘違い。
双子の父親は、貧乏ダンサーだったと。
この人は何処へ行ったの?
母親がバレリーナを止める前に、
どこかに行っちゃったの?

リリスが、ルシファーのいる教会の前で行き倒れ。
偶然ではなく
必然です

国分太一の声が響いてきました。

母は、双子の父親を愛していたので
子供は産みたかった。
でも、自分のキャリアを踏みにじった子供は憎んだ。
貧乏ダンサーと一緒になるのはダメだったのか?
パトロン関係とかで??
母が自暴自棄になったとき、
なぜ父親は支えなかったのか?
そんなことより、子供にバレエなぞ習わせなければいいのに。
自分の子供だから、才能がある可能性が有るじゃないか。
エトワールになる可能性が有るじゃないか。
ガニオさんちみたいに。
子供の才能を無視できなくて、って言うかもしれないけれど
生まれたときから憎んでいたんでしょ?
才能を見出すほど、子供を見ていたのか?

うんとね。
景子ちゃんの主題って、
「母親に愛して貰いたかったのに、愛されなかった男」
なのかな?
私を愛して!
あなたを愛している、私を愛して!
あなたを憎んでいるのは
あなたから愛を貰えなかったからなんだ!
って、ヤツね。
レオ様もそうだし、
ヴィットリオの母も、
息子より父を選んだんだよなあ。
「愛されたい」と思う女性が共感するのか。
「母を愛する」に対し、女性の中の「母」の部分は反応するのか。
(実際に子供がいる、いないではなく)
それは確かに、むかしの少女漫画の主題でもあるような。
この作品でのルシファーも
神に愛されたい、が、すべてみたいだし。

あと「贖罪」ね。
「罰を受ける代わりに救われる」とも言う。
主題、っていうより、
「憧れ」みたいなものを感じるんだなあ。

この2点が嫌いじゃなければ、
景子ちゃんの作品を受け入れられるんだろうなあ。
私はむしろ逆なんで。
拒否反応の方が強い。

コムちゃんのルシファーも、
愛を求めている。
私は、愛を奪い取るコムちゃんの方が好きなんだが。

まあ、そうだな。
そんなわけで、景子ちゃんが書きたい話は
ジャン・ポールじゃないかと思うんだわ。
だから余計に話がスッキリしないんだな。

リリスが母親を許そうと思ったのは
死にかけだからか、
別な理由があったのか。
よーわからん。

結局「地獄の舞踏会」で上演されたの??


と、とりとめもないけど。


ショーは、色合いがいいよね。

まゆみ姐さんは雪組だったんだよね。
久しぶりの古巣だね。

全然どうでもいいことなんだけど。
ショーの大階段ダンスで、
まーちゃんが男役を引き連れて踊っているじゃないですか。
まーちゃんも、周りのダンサーも
みんな女の子なんだよなあ、と思うと
とっても不思議でした。
まーちゃんしか女性に見えないよ!
(そのように錯覚させてこそ娘役なんだろうけど)