「エリザベート(帝国劇場)」
■2000/06/11(日) トート:山口祐一郎
 当初ウィーン版に近いと聞いていましたが、いやいや充分宝塚版。ムラから東京へ来た時程度の改訂でした。
 山口さんの化粧は思ったほどインパクトのあるものではなく普通の舞台化粧のうちでした。宝塚で見慣れちゃったのかしら。多少のシーンの追加等がありますが、ライブです!エリザベート好きな人は是非行って下さい。好きな組ほどの感動はないかもしれませんが、楽しめます。その中で気になった点をいくつか。
 まずトート、エリザベート、ルキーニに狂気が感じられません。ルキーニはたんなる下品なにーちゃんです。なんでトートの手下なのかわかりません。トートは、まず死神ではありますが、黄泉の帝王閣下ではないです。そのため黒天使さん達の存在意義がわかりません。そしてエリザベート。精神病院が2幕の初めの方にきてしまったせいかもしれませんが、宮廷の束縛から逃げたいという切迫感がほとんど感じられないのに「あなたの方が自由」と言われても困っちゃいます。どこかでも言われてましたけど、ちょっとガマンすれば立派な皇后になれそうでした。そしてトートとエリザベートの関係も不明。惹かれあっているようには見えないの。原作のようにトートがエリザベートの分身・幻影なら「愛と死の輪舞曲」は必要ないと思う。宝塚版は狂おしいほどエリザベートを求めたトート、何度かトートの誘いに乗りそうになりながらも生を選んでいたエリザベート、そして求めていた自由と黄泉の彼方が同じだと気づきトートを選ぶ。その葛藤が見えない。星組での1幕、エリザベートの寝室にトートが来て誘うでしょ。その時のあやかは一瞬身を委ねようとするけど「2人で」て言われて拒絶し「あきらめない」と言う。愛の話にするのならこれが欲しい。その2人の物語がさっぱりした結果、本来持つ幻想的な雰囲気が薄れ、ただの歴史物になりそうなカンジもする。ま、開けたばっかりだし、今後を期待しよう。
 それと群舞はやはり宝塚だね。ハンガリーが寂しい。結婚式後の舞踏会とかも。やはり30人くらいは群舞が欲しいね。それと特に黒天使さんたちですが、技術が高いのはわかるが、逆に踊りすぎて鬱陶しい。宝塚の踊りは単調だと思ったが、そうではなかった。物語を伝えるための群舞は、踊りを見せてはいけないのね。それとルドルフの井上君。化粧が薄い!眉毛と目張りをもっと入れて!
 と、言いつつ内野トートの日も買っちゃったよ。


■2000/08/04 (金) トート:内野聖陽
 一路さんは前回見たよりずっと良かったわ。声の伸びが良くて演技も自然になってました。孤独感が良く出てたかな。それでね、トートがウッチー!さすがに歌が・・・・。声というか語尾が伸びないのよ。「エリザベート〜」の最後の「〜」が出ないのよ。まりこさんの偉大さがわかったね。でも妖しいのよ。雰囲気は絶対山口さんよりウッチーの方がイイね!エリザベートを誑かしているよ。山口さんだとエリザベートにどんな気持ちを持っているかわからないけど、内野さんはわかった。また、内野さんが歌ったため、高嶋兄の歌唱力が目立たなかったよ。あと鈴木さんね。旧名芥川さん。声がステキ〜!それでもってシシィを愛しているのがわかるの。でも声があまりに気持ちよすぎてちょっと寝ちゃったよ。ごめん。


■2000/08/17(木) トート:内野聖陽
 友人の都合が悪くなったので急遽代わりに行って来ました。大変良いお席でした。けんちゃん、ありがとう。
 もう1回見たいと思っていたウッチー。1幕目は声が出ずハラハラしましたが2幕目は気にならないですね。トート掴んでます。イヤラシイです、手つきが。一路さんも孤独感が出てましたね。そして鈴木さん。先日は寝たけど、今回はちゃんと聞いたぞ〜。声が好き好き!若かりし頃はちょいと無理があるんだけどね、ハンガリー戴冠のあたり好き。後頭部から出すような発声でも鈴木さんなら許す。それと井上くんね。はは。みんな彼が出るとオペラグラス上げるのよね。ウッチーとの生チューもしっかり見てきたよ。確かに遠目からだとたかこさんに似てるね。あとは勝太郎さん。かなりわかってきたぞ。結婚式、ウィーンのカフェのボーイ、ミルク、ハンガリー戴冠、精神病院、皇太子をそそのかし、の辺。昔の勝太郎さんって笑顔ばっかりだったので、険しい顔が新鮮ね。手の甲が直線なのは相変わらず。そして顎なしと呼ばれた口元は遠藤さんに似てるわ。うふ。哲ちゃんはわかんないわ。一瞬わかっても頭ふっちゃうからオペラグラスから目を離すとわからなくなるのよ。来年のキャストが出てたけど、今と変わらずで良かったわ。また勝太郎さんが見れるのよ!
 ただ、やっぱり私は宝塚版の方がいいなあ。東宝版だとエリザベートは狂ってしまいたいほど孤独なのよね。でも魂の放浪はそんな理詰めじゃない方がいいなあ。なんとなく、ここにはいられない、という方がいい。トートも不明。いつエリザベートを愛したのかい?なにをしたかったんだい?フランツも自分のいいようにしかエリザベートを見てないのがなあ・・・。史実では皇太子が死んだときも、皇后が死んだときも泣き叫んだりはしなかったんだけど、皇后が死んでから数日後側近に「私がどれだけ彼女を愛していたか誰もわからないだろう」って言ったのよ。多分皇帝は、自分を放って言ったとしても、自由に放浪する魂(規則づくめの自分にはできない)を愛していたのよ。東宝版はそれが出てないなあ。というか、エリザベート・トート・フランツの三角関係じゃないのよね。それぞれが互いに違うものだけ望んでいるというか。すれ違ってしまって向き合っていない。エリザベートが最後にトートの手を取るのもわからないわ。
 ま、私は星組版が一番好きだから、仕方ないんだよね。