「エリザベート(帝国劇場)」
■2004/03/30 (火) (山口祐一郎、鈴木綜馬、浦井健治、今拓哉)
 まず良いところを。島崎さんの振り付けを見慣れたせいかトート・ダンサーズは思ったほど違和感がなかった。それどころか、ちゃんと芝居の中で意味をなしているので(トート様の意志であったり、人の間に漂う「悪意」であったり)、前の「踊るだけ」のダンサーよりずっと良い。ダグバ様のルドルフ。姿勢はやや悪いが、歌も芝居も踊りも身のこなしも良かった。さすが井上君より年季が入っている。もひとつフランツのプロポーズ。「馬には乗れるかい?」なんて、できないことは言わなくなった。フランツ登場のセリ上がりも好きかも。
 さて。反対にイマイチな部分を。固定装置(舞台美術)は使ってみたいんだろうけど、帝劇でやることはないだろう。それとこれらとセットの電光掲示板は・・・。絵が荒いよ。シシイが落ちるところとか鹿さんとか、なんとかならんかねえ。んでんで、なによりエリザベートがどんどん意味不明になっていくよ。1幕は、それでもまだ納得できたけど、2幕以降が・・・。「私が踊るとき」は完勝の勝ち鬨だよ。あんなに自信を持った人が、なんで次の場面で「あなたの方が自由」なんて言うんだろう。どちらかを削らないと、あまりにも一貫性がない。で、シシイが強くなったあまり、トート様とフランツの力関係もアンバランスに。トート様はまったく相手にされていない。フランツもたんなる振られ男のストーカーのようだ。シシイに対して、愛と現世の栄光を与えるのがフランツであり、「死」という自由をあたえるのがトート様のはずなんだけど、結局シシイはどちらも望んじゃいないように思える。たんにその瞬間思ったように行動したいだけの思慮の浅い女に思えて、それじゃただの我が儘じゃん!って思っちゃうのだよん。ルドルフへの拒絶のしかたもねえ。あんまりきっぱりしすぎていてさ。その後の葬式につながらないじゃん。一番はラストだよね。シシイはトート様なんて見てないよねえ。う〜ん、終わった気がしないのよ。
オチの作り方を忘れたのか?小池先生。
祐ちゃんトートは「人間を愛したオレ」に陶酔しすぎて、「イブの息子たち」のニジンスキーみたいでした。そんちゃんはソロがあって嬉しかった。化粧もキレイよ。勝ちゃんもだいたい把握できた。
 ま、そんなわけで消化不良なので、これから星組のビデオを見ます。


■2004/04/18(日) (内野聖陽、鈴木綜馬、浦井健治、藤本隆宏)
 先日浦井くんの立ち姿にいろいろ言っていたくせに、もう一度歌声が聴きたくなって、オクでチケットを買ってしまいました。B席です。今回はS席×2回なので、2階から見てみたい、という気持ちもあったし。どうせなら今回の予定にない内野−浦井です。
 ウッチーはびっくりするほど歌が良くなった。いや、うまいとは言わないけどさ、タニより、いや、マリコさんより音程はOKじゃないですか!すごいです。声が時々裏返るのはご愛敬、ってことで。私は山口さんよりウッチーのトート様の方が好みかも。私の思うトート様に、それはマリコさんのトート様が基本なんだけど、ウッチーは割と近いです。山口さんより、エリザベートに関わっていますよね。あと体型も・・・。山口さんがちょっとふっくらして見えたのは衣装のせいだと思っていたんですが、ウッチーを見たらそれは違うような気がしました。う〜ん、山口さんも好き好き好きなんだけどさ。「黄泉の帝王、またの名を『死』」は、ウッチーの方がそれっぽい。
 浦井くんは、いいねえ。私の周りでもオペラグラスがガンガン上がっていたよ。眉毛をもう少し太く描いてもイイかなあ。目張りももっと入れてもいいかもよ。でも、声がいいよね。「闇が広がる」とか、その後の「ハプスブルクの崩壊防ぐため〜」とか迫力あるよね。うむうむ。お金は厳しいけど見ておいて良かった。浦井君の声は、ウッチーとの方が合うね。
 一路さんについては、まあ、変わらず。声は出ています。そこはエライと思います。まあ、今回に限っては、不満は、一路さんというよりも、小池先生の演出面だからね。「私が踊るとき」→「精神病院」の流れは納得できないわ!
 トートダンサーズは2階から見る方が迫力があります。む、それは違うか。話に溶け込んでいると言うべきかな。島崎さんの振り付けは2階から見る方がわかりやすいかも。 そんちゃんは2階からでもバッチリわかりました。さすがにドレスの着こなしがイイ。
 ああ、やっぱり「エリザベート」は楽曲がいいよね。もっとたくさんナマで聴きたい。お金があれば遠征したいくらいだわ。でも、やっちゃダメだよね。来年また上演するって噂もあるし。ここは我慢なのだ。まだ来週に1回見るしね。


■2004/04/22(木) (内野聖陽、石川禅、パク・トンハ、今拓哉)
 今回はトート:内野、フランツ:石川、ルドルフ:パク、エルマー:今、でした。これでWキャストは網羅できました。誰に誰が合うか、を考えると山口−石川−パク、内野−鈴木−浦井かなあ。それも声質・演技というより体格で、など思ってしまいました。パク・ルドの鏡は母じゃなくて父の方だよねえ。二人とも歌はいいと思う。でも。石川さんは体型はともかく、軍服の着こなしがちょっと・・・。それよりも「熱い」のが私の好みじゃないかも。こんだけ熱ければシシィを追いかけて行きそう。その点鈴木さんは、「シシィへの愛」が「皇帝の義務」と同じぐらいなのがよろしいかと。不幸テイストバッチリだし、後半はちゃんとジジイだし。パク君は歌も演技もいいと思うけど、私の好みとしてはもうちょっと繊細さが欲しいかも。パク・ルドは、敢えて分類するならター・ルドかな?浦井・ルドはユミコ。そして私の好みはぶん・ルドなのであった。パク君を見るとスターブーツを履きこなすのも芸の一つだというのがわかりますね。とにかくお二人ともウッチーの耽美路線とは、それよりもウッチーの細さにはあまり合わないように思います。祐ちゃんトートならビジュアルも熱さもバッチリかなあ、なんて思ったりして。この並びで見たいかも・・・。お金無いけど。
 やっぱり、何度も繰り返すけど、「私が踊るとき」→「精神病院」は納得できません。ってか、今回(に限らず東宝版は、かもしれないけど)はシシィの繊細さ、危うさが殆ど無いように思う。だから「死の誘惑と戦い続ける」部分がまるっきり無いように思えちゃうの。皇后の義務に束縛されて「♪束縛されるのは身体だけ」ってさ、我が儘言っていないで、ちゃんと仕事しろよ!など思っちゃう。もう少しシシィに切迫感とか圧迫感がないとねえ。なんでこうなっちゃったんだろう。もしウィーン版がこういった「力強いエリザベート」を描いているんであれば、それに合わせて「愛と死の輪舞」は削った方がいいかもな。
 でも楽曲は好きなんだよな。本日は「闇が広がる」が一番拍手が多かったです。またカラオケ行って歌いたいわ。振り付きでね。