白寿ホール「窯変 源氏物語 〜夕顔の巻〜(朗読会)」
■2006/05/13(土) 
 「源氏物語」の朗読会。チラシ写真は白塗りの狩衣。今回はこういうスタイルで朗読するのかな〜〜。いままでの朗読会、芝居の入った「赤と黒」も、椅子に座っただけの「ラヴ・レターズ」も、どちらのスタイルでも感動したので、白塗りで朗読でも泣いちゃうんだろうなあ、と思って会場に行きました。
 そしたら、そしたら、リカちゃんってば、
黒燕尾服!
これで、タンゴっぽい曲をBGMにして、しかも時々踊っちゃうんだから、
ハッキリ言って
大反則!!
うはーーーーーっ!
鼻血ブーーーー
でした。
あーーーー、本当に、予想外。
なんで、こんなに、楽しませてくれるのよーーー。

さて、「源氏」。
話としては好きだけど、
人物としては嫌い。
どうなることかと思いましたが。。。

第一部は、体調が悪いこともあって
ちょっと辛かった。
内緒だけど、ちょっと寝た
第二部は反省、心を入れ替え、気力をなんとかして、臨んだところ、
ものすごく良かった。
第一部は、あくまでも「源氏物語」。
でも、夕顔が死んでからの第二部は、
17歳の、ナイーブな男性の物語でした。
愛しい人を突然失う。
物の怪という、人ならざる者に命を絶たれる。
物の怪への恐れ、
愛しい人を失った悲しみ、
ここまでは、従来の(私の)源氏像。
それに加え、
「『光る君』と称えられながらも
 女性を贄として差し出し生き延びた男」と
蔑まされることに怯え、
突然のできごとにどうしていいかわからず
他人を頼ることしかできくて、
遊び仲間だと思っていた男が
自分の妻の兄だということに突然気づき、
事件のケリがついたら、夕顔の娘を捜すという
右近との約束を忘れる、
実に、実に、自分勝手な男を
ものすごく魅力的に見せてくれました。
一見似合わない衣装やセットも、
「源氏」という特定の、平安時代の貴族を表すのではなく、
世界の何処にでもある、普遍的な物語、として
見せるためだったんだなあ、と思ったり。

夕顔に見立てた赤と黒のクッション。
それをグワッと抱きしめるリカちゃんの表情は悩ましく・・・・
と、言いたいところだけど、
段差のない席だったので、リカちゃんが見えなかったのよ。
シクシク。
それなのに、エロい雰囲気は、ちゃんと伝わってくるんだよ〜〜。
あーーーーー、ドキドキ。
心臓バクバク。

朗読ってのは、台詞を覚えちゃいけないそうだ。
だから、読む。
字を追いかける。
追いかけながら、表現する。
「と、言いながら、惟光がこちらに来る」のような部分を省いて
いっそ一人芝居にしてくれんだろうか、と
チラっと思うけど、
そうすると、こんなにたくさんの人を演じ分けることは
できないんだよね、きっと。

惟光は、とってもとっても頼もしかった。
主の亡骸を前に、震え、源氏にしがみつくことしかできない右近。
私と変わってくれ!
六条御息所は、艶やかで怖くて、
夕顔は、可愛らしかった。
リカちゃん、どこから声を出しているのーーー、と
叫びたくなるぐらい、可憐な声の夕顔だった。
そうか、こういう女性だったのか、と
私の夕顔像まで変えるリカちゃんでした。

第一部ではどうしようかと思ったけど、
第二部は、登場人物の全てが生々しかった。
とっても良い会だった。