月組(日本青年館)「愛しき人よ」
■2004/05/02 (日)
 私は齋藤作品(芝居)は「花吹雪・恋吹雪」「血と砂」「ヴィンター・ガルデン」「巌流」を見ていますが、今回が一番まとまりがなかったと思います。破綻しまくりの「ヴィンター・ガルデン」よりダメダメ。話しのポイントが全然無いよ。「愛しき人」とか「運命の人」とか、言葉はたくさん出てるけど、いつ愛し合ったんだ?宝塚だから当然二人はくっつく、という前提によりかかりすぎ。るいるいの川島芳子も謎だ。ってか、彼女がブルーダイヤを欲しがるのって芝居上、必要?(どうでもいいけど、ブルーダイヤについての説明で「ルイ14世が所持・・・」ってのがあって笑った。キリヤンじゃん!)齋藤君特有の「執着」を持たせたかったんだろうけど、その割りには「ブルーダイヤが奇跡を起こすんじゃなくて、奇跡をおこした人の手にたまたまブルーダイヤがあった」ってオチにして、おいおいおいおい!ってカンジっす。「執着」といえば齋藤作品必須アイテム「主人公に執着する人」が、今回は組長さんでさ。振り袖に会場ビビリまくり。それなりにカワイイと思うんだけど、若手にこの役あげてくれよ、と思った。ゆらさんはキャバレーの女主人とかでテンション高い芝居をさせた方が似合うってさ。まあ、とにかく話しが飛び過ぎよ。話しを聞いてすぐ駆けつけた、ったカンジのところが2年ぐらいたっていたり。あ〜、あと人の名前も気になったわ。ナチス親衛隊でターニャ(ロシア系)とかケビン、オリバー(英米系)って、ヘンだよ。もうちょっとそれっぽくしてくれよ。
 と、齋藤君に言いたいことはたくさんある。でも、それよりも思うのはキリヤンだ。やっぱり、やっぱり、華がない。こういった、どーしよもない話を、華、ってか、個性で、無理矢理の力業でねじ伏せて、どうにか見られるレベルまで上げるのがトップないしトップ候補のすることなんじゃないかな?今回見ていてつまらなかったのは、キリヤン自身が、役に対してまだ迷いがあるってのかな、こんな一貫性のない役を、どうやって演じればいいのか吹っ切れていないようなところが見受けられたためもあると思う。単独バウ主演も2回目なんだから、もう少し、「真ん中に立つ」って姿を見せて欲しかった。話しの粗は自分の魅力で埋める、その気概こそがトップの必要条件だと思うの。技術があるだけじゃダメ、っていうのが彼女の欠点だと思うんだけど、今回はそれがモロに出ちゃったなあ。