花組(東京宝塚劇場)「ルートヴィヒII世」「Asian Sunrise」
■2001/03/03 (土)
景子ちゃん、エライッ!
宝塚史上初の女性演出家、植田景子さんの大劇場デビュー作品。いや〜、よかったよ。オギーもそうだったけど、耽美で、歌や踊りの挿入が自然で、舞台装置も大きい劇場にあっていて、主要の組子に割といい具合で役を振っている。これは宝塚でなければできない作品。そういう作品を産んだ景子ちゃんはエライッ!
 この作品がすごく良かったのは主演がタモちゃんだったためもある。ああ、タモの芝居で泣く日が来るなんて・・・。多分ね、タモちゃん以外の人がルードヴィッヒを演じたら、正気と狂気の間でドロドロに悩むと思うの。それがタモちゃんだからさ。もう、きれいさっぱり、幻想の美しい世界に、ピュッ!って行っちゃうの。迷いなんかないのよ。そちらこそが真実の世界なんだから。逃げるというのとも違うのよ。それ故に彼のピュアで高潔な精神世界が強く感じられ、すごくリアリティがある。こちらが現実の世界とも思えてきちゃう。その幻想のシーンがすごく美しい!!
 幻想の世界の象徴がみどりちゃん。うん。これもうまいテだったわ。みどりちゃんに存在感はあるけど、でも現実の世界の人ではない。そんなのがよく現れていました。そんでもってチャーリー!彼女も存在感がグ〜〜ンッ!と増してました。端っこに立っていてもわかるのよ。歌はまだちょっとアレだけど、それでもトップと堂々と対抗していました。寿美礼ちゃんのホルニヒもなかなか。ルーとのラブシーンはおいしかったね。伊織さんは押さえた演技、でもあまり目立たず。旧3番手の役か?というより専科ゲストとしてやる役か?夏美組長は相変わらずカッコイイ。そして月から移動しちゃった(涙)梨花さんは芝居の最初と最後をすごく締めた。帰ってきて欲しいわ。かなみちゃんは歌がうまいわ。あきちゃんエリザベートは地味めね。
 ストーリーはすごくテンポよく進むので予習をしていない人はわからなくて退屈なだけかも。でも「世界不思議発見」とか「神々の黄昏」とか見てればOK。本当は「ニーベルンゲンの指輪」を見とけばなお可かも(私は見てないけど)。ワーグナーに心酔、白鳥城を建てた、狂気の血筋、エリザベート(シシィ)の従姉妹、程度は最低限押さえておく必要あり。あとバレエ「白鳥の湖」を見てるとわかりやすいかもね。

■2001/03/06 (火)
 前回は5列目超下手よりで見たため、全体とか、センター奥が見えなかったけど、今回は2階15列目。後ろは当日券用2500円の席。良く見えました。狭いと言う人もいるけども、前の席の背が膝についた旧東宝劇場の1100円席よりは広いし、銀橋も9割見える。舞台との距離も近い。ご贔屓の組でなければ、ここを狙いたいわ。
 芝居はやっぱりイイ。景子ちゃんは劇場の空間をうまくつかっている。セットの使い方とか群舞とか。絵面的にも綺麗です。そしてたもちゃんがやっぱイイわ!フラフラ〜ッと幻想の世界に行っちゃうのがイイのよ。これがマミちゃんなら正気と狂気の間でドロドロに悩むだろうし、ノルさんなら王とは・王座とは、とか悩みそうだし、トドさんは幻など見ないだろう。タモだから自然なのよ。音楽も結構好き。タモ独唱の「我人であるゆえ〜」もいいけど、みどりちゃんと歌う「これこそ真実 これこそ愛」がとっても好き。
 確かに「裏エリザベート」( ← ウィーン版のね)かもしれない。自分のつくりだしたまぼろしと現実の間で揺れ動き、最後はまぼろしの方を選ぶ。まぼろしの手を取ってね。でもこっちの方がファンタジック。宝塚的。好きだわ。できればもう一度ナマで見たい。
 ショーの方は、東南アジア旅行の団体ツアーの夕食についてくる民族舞踏ショーのようだったな。2回目にしみじみ見ると結構難しい踊りが入っているんだけど、のどか〜な曲に合わせて踊るのが何パターンか続いていく。踊りと歌がもう少しバランス良く入らないとメリハリがないような。出だしの沖縄の曲のアレンジはイイと思うんだけど。その後テンションが下がりっぱなし。でも「夜来香」をロケットに使うアイディアは良かった。その後の「蘇州夜曲」。階段で佇むタモちゃんがカッコイイ。ああ、タモちゃんをカッコイイと思う日が来るなんてなあ・・・。歌い始めたらいつものタモちゃんだったけど。それにしてもみどりちゃんって出番が多いなあ。「ジャズマニア」の檀ちゃんと比べるのがイカンのか。チャーリーがいないためか、伊織さんが出番もらっていたね。彼女は主席卒業と聞いたけど、歌を聴くとそうとも思えないなあ。歌声がサエコちゃんに似てる。サエコちゃんよりはうまいが、サエコちゃんの方が破壊力(爆)があるぶん印象に残る。オサはトップ候補ってカンジだな。チャーリーはどうなるのだろう。

■2001/03/08 (木) 「ルートヴィヒU世」宝塚花組
 もう一回観たいと思ってオークションに入札していたら、6日の観劇中に他の人に取られちゃったの。なんとなく諦めきれないし上司もいなかったから、ついフラフラと劇場に行っちゃいました。さばき待ちは20〜30人はいたかな。でもこだわりの席希望!なのか、チケットが出て、近寄っても買わない人が多かった。私は観れればどこでもよかったので近場でチケットが出た瞬間買いました。2階5列目でSS席のちょいと後ろ。とても見やすかったです。
 舞台はやっぱり耽美で美しい。ノイマイヤーの白鳥やら、神々の黄昏やらのパクリと言う人もいるけれど、いやいや、充分宝塚の味付けがされているよ。いいのよ、これで。私は、この舞台にこそ、金を払う。なんといってもたものルーの幻想の世界がね。美しいのよ。これは宝塚だから・たもだからできたこと。だってさ、一歩間違えると(いや、間違えなくても)ただのオタクの世界よ。「現実にありえない、ふれることのできない世界を真実だと思いこむ」って、子供向け番組を見て
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とか言うのと同じなのよね、本質的には。んで、その結果部屋が汚くなったり。全然考えている内容も、現状も美しくないじゃん!煩悩の突進!!ってだけで。でも、おなじ方向性のパワーでも高潔な世界ができあがる時もある、それがこの作品の見所。ワタクシ的には。
 たもは意外と狂気に対する恐れ、王としての責任への葛藤とか表してるよね。みどりちゃんの踊り部分はゆりちゃんで見てみたい気もする。チャーのグッデンはチャーにしてはよくやってる。でも、りかちゃん・ぶんちゃん・タータンがやったら、もっとルーに対する現実世界の人、ってカンジになったと思うな。チャー・グッデンはただルーを邪魔するだけの存在よね。空想世界に浸っている私に「ちょっとは部屋をかたづけなさい」と怒る母って位置。もうちょっと作っても良いかもな。かなみちゃんはもっと見てみたい。他は・・・、こんなものかってあたりね。ルーとのバランスもあるし。
 ショーは3回目ともなると、悪くはないんだが、やっぱ好みではない。NHKの番組みたいなのよ。「アジアの若者達」みたいな雰囲気で。私はもっとイッちゃっている方が好きよ。ロケットのフォーメーション好きだけど。
 できればあと1回見たいです。どこかで早起きして当日券買おうかな・・・。

■2001/03/17 (土)
 18日に長野の友人がC.シティに来るってんで、当初は18日にプロヴァンスを見せようと思ってたんだけど、時間的な都合と内容を鑑み、この日の午後のルーを見せることにしました。んで、急だったし、第一VISAの貸切だったしでチケット入手方法が限られていたんですが、運良くヤフオク(定価以下)とお庭の「譲」(定価)で入手することができました。別々の日・別々の方法・別々の人から譲っていただいたのに、なんと席が通路を隔てた隣合わせでした。神様、ありがとう。
 花組って、やっぱり団体戦かも。星組はピラミッド型のスター制で、月組は(良く言えば)個人単位の個性派揃い、宙組は若さが売り。花組はとにかく物量(と言っても、ある程度のレベルは揃えてある)でガ〜ンッと強く押し出すカンジ?久しぶりにそういう魅力を感じました。でもって、やっぱ尻上がりに調子の良くなる組ね。3月3日より、ずっと舞台が熱かったわ。たも・ルーがやっぱ、イイ。今まで私は宝塚をあくまでも芝居・ミュージカルとして冷静に見てた部分があったんだけど、今回のルーで目からウロコ。よく「宝塚は現実を忘れさせてくれる夢の世界」という言葉を聞くし、聞くたびに「そうか〜?普通の芝居だよ」とか思ってきたけど、開眼したよ。本当に夢の世界だ。こんなにキラキラしい、夢の世界を見れるとは思わなかったよ。ありがとう、たも。たもにこんな世界を見せてもらえるなんて思ってもみなかった。技術はともかくとして。そうそう、あと、伊織さん。静かで物足りないと思っていたけど、王が狂人かどうかの尋問シーンで取り押さえられていたときフガフガしてて、「これよっ!」って思ったわ。ふふ。
 ショーは慣れてきたし、テンション上がってるしで、最初よりは好きになってきてる。「エイサ〜ヤエイサ」とか「伝統と長い歴史がアジアの若さと出会い」が頭に残って離れないわ。

■2001/03/24 (土)
 My楽日。これで最後です。ビデオを買ったとしても、東京版じゃないしね。やはり美しいわ。最初の出のところから好き。それとやはりたも。ワーグナーの噂について「醜い・・・」っていうところとか、とにかく純粋なカンジがするのが良いわ。男性がやったらドロドロするか、弱い人間が幻想の世界に逃げ込むかのどっちかになるだろうな。女性の男役だから、こんなに納得できるんだと思う。「現実にないものを真実だと思って自分自身で作り上げる。」だっけ?この辺のセリフがグッとくるわ。音取ろうと思っていたけど忘れたのよ。バカ。主題歌も好きよ。今年は主題歌集が出るまで待とう。でも歌詞を知りたくて千円もするプログラム買っちゃったよ。
  夢の果てに 我が心  誠求めん
  夢の果てに 我が想い 命求めん
  夢の果てに 我が祈り 生きよ永遠に
 でもみどりちゃんと歌う方の歌詞は載ってなかった(涙)。ルーって全体的に突っ込みポイントってないんだけど、あえてひとつ。小姓(?)のマイル&ブライ(で、いいのか)。逮捕の時、お礼を渡すのは片方だけ。見計らったように裏切った方になにもあげないのね〜、とか思っちゃった。ま、あとグッテンが・・・。ま、それ以上言うまい。今回は1階後方席だったので、白鳥の群舞がとても綺麗に見えました。
 ショー。だんだん気に入ってきたかな。華やかだし。でも、1個だけ。チュラロンコンのシーン。歌とか、男役群舞は好きなの。とても宝塚らしいし。でもね。みどりちゃんの水色のドレスは違う〜!たもちゃん、金色なんだし。なんか色が合わないと思うの。同じ水色でも、もう少し薄い色にするとか。5回見たけど、見る度に「ちゃうちゃう!」と思っちゃうのよ〜。
 今回のヒットは直ちゃんかな。見るたびに良くなっていく。「地位が人を作る」という言葉通り、だんだんセンターが似合っていくのを見るのはおもしろかった。今まで旧3番手の中では一番興味関心がなかったけど、これからは心に留めよう。リカちゃんお披露目に来ることだし。
 たもちゃんもあと1作なのね。正塚さんのDCはチャーリー主演だし。ミケが良い作品だといいね。ホントに「エデンの東」で2番手になったときは・・・だったし、「夜明けの序曲」はさらに・・・だったしで、どうなることかと思ったけど、その後順調だったね。終わり良ければすべて良し、ってコトで。