プロヴァンスの碧い空 byきんちゃん  

今日見てきた「プロヴァンスの碧い空」忘れないうちに書くべし。

と言ってもどこから書くか。とりあえずあらすじ。
 アンドレ(リカちゃん)とフィリップ(ガイチ)は永遠の友情を誓い合った同郷プロヴァンスの親友同士。ある夏、アンドレは父の友人の妻であるジュルメール(コモちゃん)と出会う。お互いに一目見たときから恋に落ちた二人は逢瀬を重ねる。だがジュルメールの夫に現場を見られ、決闘を申し込まれる。決闘の結果アンドレは夫を撃ち殺し3年の禁固刑となる(正式の決闘なので殺人ではない)。刑期を終えたアンドレは誰に会わずに旅立つ。自分に罪を科すために堕ちるところまで堕ちようと外人部隊に入隊する。数年後フィリップがジュルメールと結婚したことを聞き故郷に戻る。
 アンドレは故郷に戻り表面的には3人仲良くやっていたが、その偽りの虚しさに耐えられず再びジュルメールと二人きりで会うようになる。それを発見した、かつてフィリップを愛し、今はアンドレを愛しているフィリップの従姉妹エディットにジュルメールは撃ち殺される。その後アンドレは戻ってくることをフィリップに約束しつつ、ブラジルに旅立つ。
 こう書くとミもフタもないな。この話はジュルメールから見るとわかりやすい。ジュルメールは娘時代に、兵役で自分の家の近くに赴任してきた芸術家志望の男と恋仲になり結婚を待つばかりになったが、兵役が終わった男は画家を目指すために故郷に帰ってしまい、捨てられた過去を持つ(こいつがまたアンドレの友人だったりするんだ)。それ以来取り残される恐怖を常に抱えるようになったんじゃないかな。父親ほどの男と結婚したのもそうだろう。まず安定したい、と。アンドレだけはそういう思いとは別に愛したのかな。でもアンドレは監獄に入り面会を拒否。そこでいつも一緒に面会を申し込んでいたフィリップに寄りかかってしまう。彼女が撃ち殺された時の「良かった、(死ぬときは)一人ではないのね」という言葉には泣けました。で、アンドレとフィリップはこの女に振り回されているわけですが、ま、この言葉で私は許せたな。
 ストーリー的には、ポスターやチラシのあらすじのイメージよりはヨロメキ物ではなかったので一安心でした。しかし、長い。1幕は特に長い。書きたいことがなかなか見えてこないので「コスプレ物って心理的な書き込みが少ないのね。例:仮面のロマネスク」とか思っちゃいました。2幕になって持ち直し。でも、りかちゃんとガイチだったからであって、他の人がやったらどうだったかな。「ブエノス〜」や「螺旋〜」のようにストーリーが練ってあるわけでなく、はたまた「夏の夜の夢」ほどノリの良い話ではない。とにかくなんというか、「ブエノス〜」のように「もう!絶対!!みんな見て!見て!!」というのではなく1回見てほんのり泣こうかな、という話です。多分東上しないだろうな。決してできの良い話ではないです。場面転換が不自然だし、いらない役も多すぎる。エディットの気持ちの流れも不自然。
 しかし!りかちゃんは素敵でした。ポスターの明るいブルーの軍服はなく、黒とか茶とか暗めの紫とかの衣装ばかりでカッコよかったよ。でね、芝居はブラジルへ旅立つ前(アンドレは外交官志望だったの。それを聞いたジュルメールの言葉「知らない土地に行けるなんていいわね。明るい太陽、褐色の肌の人々・・・」を受けてのブラジル行きだと思う)のリカちゃんの回想から入るんだけど、そこで現在の年齢の35〜40歳くらいの大人の男から遡って、学生時代、その後の20代、といろいろな顔を見せてくれます。衣装もたくさんあるし。しかし!なんといっても良かったのはジュルメールとのラブシーン!もうラブラブ〜ッ!!ってカンジでもうイヤラシイのなんの(笑)。ああ、コモちゃん、私と変わってぇ〜!となんども心の中で叫んじゃいましたよ。考えてみれば最近リカちゃんって芝居の上でラブシーンって少なかったからなあ。もうグイッと、こう、強引に腰を引き寄せてKISS、KISS、KISS!対するコモちゃんはりかちゃんにしがみつき、抱きつき、抱き返す! いやいや、これを見ただけでも大阪に行ったかいはありました。えへへ。主題歌はちょっとメロドラマ風。まだ声が出きってないみたいで歌詞は良く聞き取れませんでした。踊りはちょこちょこと。あ、でも出だしの回想シーンに入って行くところは良かったです。りかちゃんがゆるやかに踊る後ろでいろんな人が一言づつ(過去に言った)言葉を言っていくの。うまいな、と思いました。あとは特に・・・。その分主役3人の演技力が必要だったわけですが、3人とも良くやっていたと思います。得意な踊りがあまりなかったのに。(その踊りの振りもイマひとつだったのに)
 リカちゃんは思いのまま生きつつ、時々それを反省し悩むという男。不倫して、決闘して、外人部隊入隊して、実家帰って農園の主人になって、また不倫して、帰ってくることを約束して旅立つ。悩むが行動力はバッチリね。
 ガイチのフィリップは育ちのいい坊ちゃん。仕事とかは地道にやっているんだが、人には夢を持っちゃうタイプ。普通さあ、自分の妻が昔関係してた男と、「仲良く3人で」なんて思わないよね。いくら親友だからって。でも思っちゃうのよ。妻がその男と逢い引きしていても、どちらも責めない。夢を持っていた自分が悪いと気付くのよ。いろいろな思いを見つめ直すために旅立つ友人に「でも、いつかは帰ってこい。あの碧いプロヴァンスの空の下に」って言っちゃうのよ。もしかしてフィリップ、 アンドレのこと愛してる?ちょっとヨコシマな私でした。 でもなにかにつけ「俺とお前は永遠の友情を誓った仲」って繰り返すのよ。どうみても妻より友人の方が大事に見えたわ。ううむ、イカンな。
 フィナーレは無く、リカちゃんの「年末の忙しい中、わざわざのお運びありがとうございました」というご挨拶だけで、ちょっと寂しかったかな。あの衣装でダンスするわけにはいかないのだろうけど。
 う〜ん、個人的には、話は好きではないけれど、今年見た顔以外のリカちゃんが見れて良かったかな。踊りがあまりなくても、現実の問題に悩める男でも、ここまで表現できるようになったのが嬉しかったですね。って私の頭が腐って来ただけか。(爆)
 
 わかるのは私だけだろうけど、小山卓治の「紫の夜明け」の音楽の部分が女になったヴァージョンかなとも思いました。わからない例えでごめんね。

 それにしても、リカちゃんとガイチのコンビっていいなあ。続けてくれないかなあ・・・。