宙組(東京宝塚劇場)「黎明の風/Passion 愛の旅」
■2008/04/06 (日)
芝居は
男臭え
王子様とお姫様がキラキラ衣装を着て恋を語るのが「宝塚」だと思う人には
辛いことでしょう。
しかし、いろんなフィルターが掛かるからこそ
かえってなんでも作ることができるのが「宝塚」だと思う人には
楽しめるかもしれません。
過去の石田作品、
「維新回天」とか「猛き黄金の国」とか「誠の群像」が好きな人には
オススメの一品でございます。
とにかくもー、Aの芝居の後に観たからさ。
盛り上げポイントがわかりやすくていーなー。
平和への祈りがまぎれもなく隠されているけど押しつけがましくないし、
戦前から戦後の歴史の流れもわかりやすい。
誰かが悪いと責め立てるだけではなく、
厳然たる事実として語られるところがあるけれど、
それがエンターテイメントとして舞台に乗せる手腕は
さすがだなー、と唸るしかない。

轟さんの白州さんは、カッコイイとしか言いようがない。
姿形だけでなく、生き様も。
轟さんではなく、カッコイイ白州なんだなあ。
朗々とした歌声も聞き惚れる。

現・宙組トップのタニはマッカーサー。
アメリカさん、ごめんなさいよ、と。
この役を振るしかないんだろうなあ。
辰美さんを膨らませて、そっちをタニに振って、
マッカーサーを蘭とむにしても良かったかもしれないけれど
どうしようもないんだろうなあ。
若すぎるよね。
アゴが似ているかしら???

んで、汝鳥さんの吉田茂ですよ。
実質2番手ですよね。
講和会議のニュース映像と
同一人物としか思えません。

理事降臨に、トップと娘1との恋愛話があまり描かれない上に、
吉田茂の役が大きいから
番手振り分けが難しいですよね。
ライトな全組ファンなら、面白い作品にするためには
この配役がいい!と思うけど
組ファンは微妙かも。

蘭とむはそれほど暑苦しくない。
「冬薔薇」の銀ピカはタケノコ族みたいだけど似合っている。
ほっくんは3番手なのになあ・・・。
ともちんが暑苦しくていいよ。
いりす君がだいぶ男っぽくなってきた。

白州和子はたっちん。
ウメだともっと勢いがあったんだろうなあ、
と思う場面はあったけど
しっかりした芝居でした。
冒頭のネクタイの包み紙を破くところが勇ましい。
ただ、全体的には次郎の横にいるだけの存在。
ウメでもこれだったんですか、先生?
たっちんがウメの代役に入ったため、
たっちんの役は藤咲えりちゃん。
番手的にはアリスちゃんだよな、
ずいぶん声がしっかりしてきたな、と思って
よくよく観たら違っていたよ。
こちらの芝居も良かったです。
アリスちゃんは米国側。新聞記者。
もう少し台詞回しが「子役」から脱却できるといいのになあ。
東京ローズの美風さんが良かった。
ローズとして話しているときと、
そうでない時の表情の切り替えが素晴らしい。

日本が戦争に負けて、米国の占領下にあったなんて
もう知らない人も多いんだろうなあ。
そういう人にも、ぜひ見て欲しい作品です。
迷っている人は、とりあえず行ってみて。
汝鳥さんの吉田茂は押さえて!!


芝居がいろいろツボだったんで、
ショーの印象はあんまり無いです。
ロケットの衣装は可愛かった。
アラビアの場面の女性(ウメの代役?)の踊りがうまかった。
以上。
あ、スッシーは黒髪の方が好きだわ!



■2008/04/25 (金) 演劇フォーラム第6回 宝塚歌劇【宙組】
プログラムは

1.白州次郎の思い出 
 お話=牧山圭男氏(旧白洲邸武相荘館長)、聞き手=織田紘二氏
2.宝塚におけるダンディズム
 お話=轟悠さん/藤田洋氏
3.「黎明の風」作品意図について
 お話=石田昌也氏、聞き手=織田紘二氏
4.座談「黎明の風」作品について
 お話=石田昌也氏、轟悠さん/大和悠河さん/蘭寿とむさん/北翔海莉さん
 聞き手=藤田洋氏

いつもは、もう少し作品や作品世界に対し
深く考察するプログラムもあるのですが、
今回はトークショーに近かったですね。
以下、大変申し訳ありませんが、一部敬称略で、簡単に。

1.にご出演の牧山圭男氏は、白洲次郎の娘・桂子さんのご主人で
(白州次郎から見ると娘婿ですね)
・現在は白州次郎が住んでいた武相荘の館長さんです。
 芝居を見ての印象は・・・
 恥ずかしくて見ていられない
 自分の身内の話ですもんね。
 なるほどなるほど。
 しかし、宝塚歌劇というものは
 甘いメロドラマでヒュッと終わるもの、と思い込んでいたけれど
 政治的な話も織り込まれしっかりした芝居だった。
 ハードボイルだった。
 ともおしゃってくださいました。
・桂子さんとの馴れ初めは、牧山さんのお父さんが所属していた
 軽井沢のゴルフクラブに白州次郎も入会していた。
 (恐いけどカッコイイおじさん、だそうです)
 牧山さんが高校生の時、友人から紹介された。
 男友達と同じような感覚で付き合っていたけれど
 スキーで骨折したとき、誰よりも多く見舞いに来てくれたのが
 桂子さんだったそうで、そこから結婚を決意。
 白州次郎に結婚の許可をもらいにいったら
 「君にお願いされることはないよ。
  子供の結婚に反対する気はない」
 と言いながらも、暖炉に火をくべてて
 こちらを向いてくれなかったとか。
 結婚式の日に桂子さんに
 「お前、いやならすぐ帰ってこいよ」と言ったとか。
・白州次郎といえば・・・
 プリンシプル=筋を通す
 私(わたくし)しない
 自分のために動かない
 ユーモアがある
 弱者に優しい
 ただし、ポーズも忘れない
・武相荘には耕運機も。
 車好き、というより機会好き。
 合理主義者。
 あぜ道も早くコンクリートにすべきだと言っていた。
・カントリージェントルマン
 中央からすこし離れている。
 地理的にも政治的にも。
 ロマンティック、合理的、の二面性を持つ
・憲法作成について
 語りたがらなかった。
 資料らしきものは、亡くなる寸前に寂しそうに
 ポンポン燃やしていた。
 日本独自の憲法を作ろうとしていた。
 そのために、「殺されるかもしれない。殺されてもいい」
 しかし、押し切られた。(=負けた)
 正子さんが「あなたしか知らないことがあるんだから
 誰かに書かせた方がいいわよ」と進言。
 作家の選定もしていたが、結局止めた。
 次郎曰く
歴史は
残された者が
勝手に解釈するもの

・ジェンヌと付き合っていたという噂について
 桂子さんからは口止めされていたが
 舞台では大声で叫んでいた。
 誰だか聞こうとしたら「忘れた」と言われた。
 国家機密に近い
 →それだけ口が堅かったんですね。
・日本は武力を放棄させられた。
 それと一緒に武士の心も、日本人の心も放棄させられた。
 心のよりどころがなくなった。
・日本人は白州次郎からなにを学ぶべきか
 次郎はケンブリッジ留学中のテストに自信があったが
 教授からは評価されなかった。
 理由を聞くと、「これは自分の講義内容であって、君の意見がない」と言われた。
 それ以来、自分で考え、自分の意見を持つようになった。
 いまの日本には、信念を持って、志を持って言う人は少ない。
などなど。
白州次郎の近しい人の生の声を聞けて
とても勉強になりました。

2.は、まあ、わりとよくある話なので割愛。
バトラーを演じたときの相手役は
「一路さん、香寿たつき、朝海くん、瀬奈さん」
呼び方に差に、轟さんとの関係性が窺えますね。
ルキーニの役作りは、当時、資料は写真1枚しかなかった。
じーーーーと見つめて、
「これ」ではなく、「こんなかんじ」という
大まかなイメージからスタートした。
・歴代スターの写真が出たときに
 「オクラホマ」で歓声があがりました。
 客席に、リアルタイムでファンだった方がいらっしゃったかな。

3.で印象深い話は、
小林公平氏が白洲次郎の長男・白洲春正氏(元東宝東和社長)と
親交があったことから、
公平氏が白州次郎の物語を宝塚化することを思いついた。
それを石田先生に振った。
「You、描いちゃいなYO!」
親族の許可を求めたら、あっさりOKが出た。(ご自由に、と言われたらしい)
芝居にするにあたっては・・・
1時間半の芝居。音楽と歌を除くと1時間。
いろんなエピソードを削った。
 ・マッカーサーの息子の話とか
 ・吉田茂のクリスチャンの部分とか

4.は、ファンサイトに書いてあるでしょうから
その辺を参考にしてください。
微妙に噛み合っているんだか、噛み合っていないんだか
温いトークが面白かったですw
轟さんがまとめ役というか、頼られているというか。
印象深いのが私服ネタ。
ほっくんはピンクのスーツを着てたそうだ。
それが轟さんにインプットされているみたい。
あと、こっちサイドでの話だったと思うけど、
石田先生は第一稿には小林一三先生も登場させて
「うちの生徒に手を出すな!」と文句を言わせようと思っていたけれど
プロデューサーに止められた。
理由は、専科の轟を叱れる生徒はいない。
春日野先生を出すしかない、とのこと。

こんなところでした。
次回も楽しみにしています。


■2008/05/03 (土)
2回目です。
1回目を見た後に、トークショーと演劇フォーラムに行ったので
なんとなく話にも登場人物にも愛着が出てきました。
行き過ぎた愛国心と自尊心は違う。
高潔な自尊心を持った人々の話を見ると
自分自身も「高潔であれ!」と思っちゃう・・・
ことはないけれど、
そういう志(こころざし)というのは
人には必要はなんだろうな、とは思います。
白洲の轟さんも、マッカーサーのタニちゃんも
辰美さんの蘭とむも、その他の人々も
演技が深まっていたと思います。
私はこの芝居、好きですよ。
お姫様と王子様の話じゃないけれどね。
なんでも描けるのが「宝塚」だと思うし。
ショーも、寝なかったぞ!
穏やかだし、繋がりが少々悪い気がするので
あんまり盛り上がれないな。
嫌いとまでは言わないけれど。
タニちゃんのカツラが前と違ったかな?
タニちゃんに勢いが出てきたような。
ところどころの「轟さん−蘭とむ」の並びにウハウハ。


今回は阪急交通社の貸切公演。
司会はるんぱさん。
進行以外にも、ミニインタビューも行います。
まずは開演前。
組を代表して挨拶した組長のまりえったへ。
結婚相手募集中、どんな人がタイプ??
まりえったが必死に「私のことはいいですから」と言いつのるなか、
「では、私が代わりに。
 10人中7〜8人がハンサムと思う外見で
 年収が高めの人。」
さらに、
「(結婚相手に)立候補してくれる人ーーー!!!」と
会場中に大募集。
見事、手が上がりました。
オケボックスの中からw
まりえったって、結構年齢が上のイメージがあったんですけど
考えてみれば、たかこさんと同期なんですよね。
だからリカちゃんより学年は下なのね、と。
で、るんぱさんとリカちゃんの一期上が轟さんで。
轟さんは中卒なので、中卒ではないるんぱさんより年下。
中卒のリカちゃんのいっこ上か、と
ついつい計算しちゃいました。
休憩中の抽選会、お手伝いに星吹彩翔(ほしぶきあやと)くん。
2007年入団なんですね。研2?
抽選の半券を引くときに、るんぱさんからいろいろリクエスト。
まずは、「『星吹彩翔、引きます』と言って!」
(芸名をはっきりお客さんに伝えよう!の心遣いだと思います)
ということで、言わされて。
「アムロ、行きます!」みたいなカンジでした。
次は「大和悠河さんの物真似をしてから引いて」で、
さんざん迷いながらも、拒否ることはなく(さすがジェンヌ)、
「振り返りざまに爽やか笑顔」をしてくれました。
こういうイメージなんだw
続いては轟さんの物真似がリクエスト。
「吉田のじーさん」でした。
最後は男役っぽく。
これが結構凛々しい声でして。
臨機応変の舞台度胸に加え、
先々が楽しみな子だな、と印象づけてくれました。
愛称はモンチッチに似ているから「もんち」だそうですよ。
終演後のご挨拶には、轟さんとタニちゃんに
打ち合わせ通りのネタをやってもらってました。
轟さんは「ラーメンつけめんボクイケメン」
タニちゃんは織田裕二(の物真似の山本高広?)の「キター!!」。

その他に、ショーでアフロの人もいたみたいなんだけど
気が付きませんでした。
轟さんやタニちゃんからは「阪急!」は無しでした。

ウメちゃん休演で、いろいろ代役がありました。
たっちんの芝居はしっかりしていて
見てて安心でした。
たっちんの代役は藤咲えりちゃんも
安定した芝居でした。
そういうのを見ていると
アリスちゃんの舌っ足らずな子供っぽい発声が
ちょいと気になる。
プッシュされているから、今後も使われるんだろうけど。
さしあたってはキャシーだけど。
む〜ん。。。