博品館劇場「ミス再婚」
■2006/03/26 (日) 
 高嶺希美【たかね のぞみ】(香寿たつき)はバツイチの臨床心理士。勤務する病院から独立し、クリニックを開いたが、客は来ず閑古鳥が鳴いている。再婚し、仕事を辞めたいと思うが、「世間から『仕事を辞めるに値する男性と再婚した』」と思われたいため、なかなか良い相手と出会えない。妹の礼子(成瀬こうき)と、礼子が経営するレストランのスタッフ俊介(新納慎也)に見守られながら、みのりは3人の男性と出会う。韓国系企業の2代目社長キム・カンミン【=「金に強い民」と書く】(パク・トンハ)、M&Aで財をなす後藤慶太(平澤智)、ギャンブル依存症の君島彰(安崎求)。希美は誰を選ぶのか・・・。

 出演者はたったの6人ですが、自分の役以外でもアンサンブルで出まくりなので、舞台は寂しくありません。歌も踊りもたくさんあって、でも、詰め込みすぎということはなく、あっという間の2時間20分でした。明るくて、テンポの良い作品でした。


 結局、希美は誰を選ぶということはなく、連れ合いによって人生を変えるのではなく、自分の意志で自分の人生を歩もう、と決意する、ってオチでいいのかなあ。辛口、というほど辛口ではないかも。負け犬上等!で良いではないか。他人に寄りかかって人生を変えていくよりはイイのよ、ってコトですよね。ええ、そう思って私たちは一人で生きておりますよ。応援歌、ってほどではないし、自分を肯定してくれている、とは思わないけれど、人間(【女性】ではなく、ね)、頑張って自分の納得のいく人生を送ろうね、というメッセージが込められていたように思います。
 まあ、私などは、その辺にはずっと前から結論を出していたので、ほほぉ〜ぐらいの気分で見ていましたが、希美のような女性はたくさんいるんだろうなあ。「世間並み」の人生を送りたい、けれど、なぜだか(明確な理由はないんだけど)「世間並み」になれない、そういった苦しみを背負っている人は多いのかもね。そういう人が見たら、その重荷を降ろせて、身軽に人生を送れるかも。でも、でも、でも!さっさと降ろしちゃった者から、そういう人たちに言いたい。
諦めたら
そこで
終わりですよ

達観して、自分は「コレ(コレ自体はなんでも良い)」に集中して人生を送るので、後は斬り捨てても構わない、と思う物が有れば楽しい人生が待っていますが、なにも持っていないと寂しいだけだと思います。そういう人は、諦めずに「世間並み」を目指した方が良いですよ。「負け犬」からの忠告。

 印象に残った台詞。

結婚しないで一人でいると「独居老人、腐乱死体で発見される!」ってコトになる、って話から、え〜と、礼子さんの方だったと思うけど、自分は「誰にも看取られず一人で死んで腐乱した後、死体が発見される」人生でも構わない、と言い切ります。
心に染み入る
言葉です

まあ、結婚していても、連れ合いが先に死ねば腐乱死体コースになることも有ると思いますが。

 たーたんは、不器用に生きるバツイチ女性を好演。つい数年前は渚あきちゃんを床に押し倒していたのにねえ・・・。フェミニンな衣装、特に勝負服が似合わないのも、「本来の自分」と「世間に好ましく思われたい自分を装おう」のギャップだと思うんですが、その似合わなさが良いですわねえ。最後のパンツスーツはピシっと決まっていました。
 退団後初めて見るおっちょんは、マニッシュな女性、という設定なので、ミリタリールックに脚を広げて・・・、というスタイルが多く、とっても格好良かったです。脚が長いな〜、綺麗だな〜〜。ほんのりバニーガールテイストな衣装もあって眼福でした。もともと、歌も踊りも芝居もうまい人なので、そちら方面の不安は一切無かったのですが、改めて見ても、いろいろうまい人ですよねえ。今後の活躍に大期待。
 お目当ての一人のパクさんは、概ね灰色のスーツに黒縁眼鏡。世間慣れしていない堅物のサラリーマンって姿が
可愛いねえ
太った、と言う人もいたけれど、腰は細いんじゃない?顔が大きく見えるから相対的に?台詞のイントネーションは気になるところは無し。ギャグもちゃんと笑いが取れていましたよ。脚をわざとらしく組み替えるところとか。歌詞の中の「ガリガリ棒」は受けた。歌声がね〜〜、いいのよね〜〜〜。
 俊介役の新納さんは細い。ヒョロヒョロしていて背が高い。そしてピンクがよく似合う!平澤さんや安崎さんの胡散臭さも良かったです。みなさん、狭い舞台の上で動きまくりでしたよね〜。ご苦労様でした。。。