雪組(東京宝塚劇場)「猛き黄金の国」「パッサージュ」
■2001/05/24 (木)
 よく宝塚は「少女漫画から抜け出したかのよう」と形容されますが、今回の轟さんは「少年漫画から抜け出したよう」でした。すごく男らしかったわ!しかもデカイ男だったよ!!世間的には評判が悪いという幕末物ですが、私は好きな世界なので非常に楽しめました。幕末から明治初期まで駆け足なので予備知識がないとツライかな。いや〜、もう轟さんが実にカッコよくって、私のつぼグリグリです。土佐弁も板についているしね。私もこんな男に落籍されたいわ。グンちゃんはこういう色気のない役が似合うね。女らしくない方が断然良いわ。ぶんちゃんの竜馬もカッコイイし、わたるくんのボケぶりはオイシイ。おっちょんも充実の舞台振りだね。コムは・・・私の好みでないのでノーコメント。まひるちゃんは芝居が良くなってきた。昔はセリフ棒読みだったのに。でも成熟度というか完成度が高すぎて、娘役トップになるには微妙かしら?とか思っちゃった。どちらかというと、さっちんに近い雰囲気になってきたよ。大丈夫か?
 芝居の第一の感想は「ああ、石田先生、ベタやなあ・・・」でした。幕末好きの情熱てんこ盛りにした芝居。なんちゅうか、同人誌のノリだよね。好きな幕末の人物全部出しましたってカンジ。竜馬と沖田総司がわかりあえていたらいいなあ、ってドリーミングが入っていたり。ギャグもね。少年漫画というか青年誌で「ガクッ」という擬音でアゴ開いて目がバッテンになる顔ってあるよね?あれをそのまま舞台で表現したというか。宝塚っぽくないが、男性にはウケる作品かも。ハリセンはなんの意味があったんだ?竜馬が脱藩前からブーツ履いていたり、土佐に戻った弥太郎が着物の下にシャツを着ていたり、なんかおかしいけど、それが俺のイメージなんだって言われたら反論できないんだよなあ。音楽や主題歌は悪くないね。骨太で。三菱ダンサーズがなくなっていて、ちょっとガックリ。普通のスーツより、その方が絶対良かったと思うな。関係ないがこのシーン、2階13列で見たのいたので、三菱の幕の上が切れて「二菱」になっていたよ。
 しかしぶんちゃん竜馬がレアちゃん総司に語りかけるシーンで「ああ、最近総司やってたぶんちゃんが総司に語りかけているよ」って、なんかツボ。通りすがりの川上音二郎もタモちゃん思いだしたしね。

 ショーについては次回詳しく。できがいいとはいえないけれど色彩がすごくイイ!オギー、好きじゃ!

■2001/06/14 (木)
 今回はショーの感想など。ショーの構成自体は、イマイチなとこともある。中詰め?になるのかな?女性はピンクの衣装の場面。あそこがちょいと唐突に明るくなってしまう気がする。夢の断片ということなのかな?場面ごとに繋がりがあるような、ないような、ハッキリしないので少々もどかしい。
 しかし!そんなことはどーでもいい!まず視覚的に良い。色合いがね、パステルというか、CGというか。一番イメージが近いのがFF7の世界の色。後半の海辺?月影さんが橙色の衣装を着ているところは「忘らるるの都」を思い出した。とても美しい場面だった。パリのカフェも好き。ここは7番街のイメージね。そしてサーカス?の場面。堕天使?轟さんの悪魔っぽいのもカッコイイし、まひるちゃんの黒い衣装の時の表情も素敵。その上!!場面のイメージがサントリーのランボーの詩を使ったあのCMのイメージ!!!あのCMはムチャクチャ好きだったの。耽美で退廃的な、あのCM!短剣操っている金髪のにーちゃんがメチャクチャ好みでしたアレ。あのイメージが舞台で再現されていてビックリし感動したわ。
 衣装も全体的に好き。オープニングの女性のドレス、キレイよね。海辺のシーンの茶系の衣装、シックで好き。パリのカフェでは螺旋のアデルの幻影の衣装。あんなに裾が開く衣装だったのか。ロケットの黒ダルマも妖しいわ。ワタル君が意外に腰が細くて女らしいラインだったわ。
 今回なによりも凄いと思ったこと。それは「雰囲気」とか「ムード」。今まで見た雪組のショーにはそんなものはなかった。歌の技術レベルは高いけど、脚本通りだったのでナマでもビデオでも同じということが多かった。しかし!今回は違うの。言葉はでは明確に表せない「何か」。それが漂っているの。これは目に見えないのよ。ナマを見て感じることしかできないものなの。しかも、今回は踊りまくっていた。雪組がこんなにシャープに踊れるなんて思わなかった。踊れないのではなく、踊らせなかったのね。作家の怠慢とさえ思ったわ。3拍子の主題歌も頭から離れない。「パッサージュ パッサージュ 硝子の夢よ」。本当にそうなの。色ガラスが散りばめられたような幻想的な夢のようなショーでしたわ。オギー、好きよ!
ただねえ、デュエット・ダンスの月影さんがねえ。相変わらずバサバサと固いドレス捌きでねえ。ちょっとブチ壊しでしたわ。変わらない人よねえ。