OG(新宿コマ劇場)「桜吹雪狸御殿」
■2003/04/05 (土)
 一昨年上演された宝塚OGによる「狸御殿シリーズ」第2弾。前回は、見合いの代役ありーの、悪代官が見つけてきた若殿そっくりのアホボンありーの、若様の兄に見立てた男が本物だったありーの、で時代劇ネタ満載でしたが、今回は正反対の性格の双子、悪人の兄を善人の弟がかばい、それを見た悪人兄が改心するネタぐらいでした。前回は戦前からある「狸御殿」そのまんま。今回は巨匠が描いたのではないだろうか。だからこんなに話がスカスカなのではないだろうか、などと思った。
 白塗りだから、名前を名乗ってくれるまで見分けがつきませ〜ん。それでもやっぱり、トップ経験者の方が声の通りとかいいなあ。存在感もあるしね。トップさんはそれぞれ衣装が違う。ルコさんとかみなこちゃんとかは群舞衣装に近いんだけど、襟の色が違う。しかもルコさんは金でみなこちゃんは銀。さりげなく差がついているのはさすが宝塚。で、鳳さんは瀬戸内・峰・麻路と星歴代トップを3人口に踊り、まさにトップオブトップ。定番ソングもこういうところで聞くとイイと思う。白塗りなのに頭に羽をつけて「♪私は夢を売るフェアリー 私は可愛いお洒落なフェアリー」と歌われると、却って納得しちゃう。
 でね〜、マリコさんがね、良かったのよ。芝居では諸国放浪の旅に出ている若殿と、婿さん募集のきぬた姫の2役。きぬた姫がさ、「××でちゅ〜」って言葉遣いで、超カワイイのなんの。天然にそんな言葉使いに思えるので、喋るだけでおかしいのよ。それなのにショーの部分になると、
トート様、復活!
衣装こそ着物だけれど、鬘は星トートの鬘です。それがせり上がってきて「愛と死の輪舞」フルコーラスと「最後のダンス」を一部、そして初風さんとともにエリザラストシーン。もっとパロディっぽい物になると思っていたので、トート様、そのまんま復活はありがたくて涙が出そうでした。これをもう1度ナマで見られるなんて!ボワボワッとハッキリしない滑舌、微妙な音程。それさえも愛しいまりこさんのトート様。初風さんと歌唱力が違いすぎるのも許しちゃう私。あとね、まりこさんって、男役のあとに女優にならなかったので、男役の型が崩れず残っている。他の人たちは「男役もできる舞台人」なんだけど、まりこさんだけ「男役」。それがステキ。もう1度見に言っちゃおうかなあ。