花組(日本青年館)「天の鼓」
■2005/01/10 (月)
 今年最初の宝塚歌劇は花組青年館です。どっかのサイトで定価でB席がかえたもんで。ウッカリね。噂の児玉ちゃんの作品も見ておかなきゃと思い行ってきました。昨年もオサで開幕だったんだよなあ。
 さて、心配、というより、むしろ興味深々だった初児玉作品。某所では「突っ込みどころ満載」とあったので、どれどれと思いましたが、意外とそれほど破綻はありませんでした。齋藤君よりはまとまっているかも。そりゃ、オイ!というところは、ある。帝の直々の取調べ中に、いきなりヒロイン(貴族だけど、たぶん殿上人ではない)が「お待ちください」と割り込んできたりさあ。まあ、芝居だから、目をつぶりましょう。エリザの謁見の場面がそのまんまだったのも目をつぶりましょう。鼓と一緒に捨てられていたから鼓の申し子ってのも、王冠とサルと流れてきたからにはプリンセスってネタがあるから、まあイイとして。オサが「刻の霊」なのも、サービスと思いましょう。問題は、話が平坦すぎて眠くなるってことなのよ。これは景子ちゃんにもあるんだけど、自分では完璧に話はまとまっているんだろうけど、客には見えないのよ。おそらく、こうだろうなあ、というのは見えるんだけど、初見の人に対してはあまりにも説明不足。なによりもねえ。「若手演出家」の割には、「こだわり」が見えないってか。ここがキモ!ってところが無いっていうか。同人誌みたい、って評はよくわかる。同人誌のパラレル・パロみたいなんだよね。初めにこういうキャラありき、そこに、適当な作品を割り振っていくみたいな。虹人(このネーミングもアレなんだけど)の苦悩を書きたい、より、苦悩している虹人を書きたい、っていうのかな。な、もんで、すごく話が浅いのよ。な〜んで、そうなる、それを悩む、ってのが、全然書き込まれていないちゅうか。ハッキリ言って、魅力の無い作品です。ただ舞台装置と音楽は良かった。プログラム買っていないんでわからないんだけど。また新宮さんかなあ。バックの天の河が美しかったです。
 オサは、よく頑張ったよ。この内容で。ふーちゃんはヒロインとはいうには軽い役で気の毒。彼女は和物が似合う。あすかちゃんも好演。ユミコの帝はなあ。まだ荷が重いよ。とうこちゃんかケロ(涙)ぐらいじゃないと。オサ-ユミは確かにまだキツイな。W2番手とでもいう主役の幼馴染兼ライバルのまっつは芝居がうまいのう。博雅のそのかちゃんは、もうちょっと声を作れれば。その他、花純さんの涼やかな声が印象に残りました。


【追記】
 同人誌的、について。なんかね。手持ちの「キャラの札」と「話の札」を組み合わせているカンジなの。で、「話の札」っていうのも、彼女のオリジナルではなく、「どこかで読んだような話」、「既存の話」っていうか。「このキャラで『ローマの休日』をやります!」っていうのと同じノリなんだよね。でも劇作家なら、まんま「ローマの休日」にするんじゃなくて、せめて「レディ・アンをさがして」ぐらいまで脚色・潤色して欲しいんだけど、そこまでできない。そこまでする力がない、ような気がする。また、そもそものキャラ自体も、表層でしか捉えていないから、そのイメージでないものからすると、違和感で、話に入りにくいのよ。基本的に、誰がどう見ても、この人はこういう性格で、と描かなければいけないはずのところを、すっとばしているんだよね。んでもって、「キャラ」と「話」の組み合わせも、ベテラン(捻り方を知っている)のルーティンならいいんだけど(本当はイカンよ)、児玉っちは、まだそれをしてはいけないと思う。せっかくのバウなんだから、自分の描きたいテーマを、もっと全面に打ち出すべき。自分の方向性も確立できない人が、ネタを組み合わせて誤魔化しちゃイケナイと思うわけです。ええとねえ、オリジナルONLYの即売会にアニパロ誌を出すような、そんなカンジがするんですわ。若手、いや最近はベテランの先生にも描き込み不足は多々ある。でも、児玉っちは、描き込んですらいない、そんなイメージを受けました。わかる人限定のネタで申し訳ないんですが。

 その関連で、(芝居の)演出家を漫画家等に例える、ってのを考えてみまして。あくまでも雰囲気ね。
 ・植田紳爾
   24年組以前の少女漫画
 ・柴田侑宏
   24年組
 ・小池修一郎
   35年組
 ・谷 正純
   70年代の少年漫画
 ・正塚晴彦
   シリアスの新谷かおる。あるいは昔の森川久美
 ・太田 哲則
   子供向け名作文学の漫画。(単行本のみで連載無し)
 ・荻田浩一
   山岸涼子がいた頃のLaLa   
 ・植田景子
   「ぼくたま」の頃の花ゆめ
 ・藤井大介
   週刊サンデーの新人
 ・齋藤吉正
   車田正美
 ・小柳奈穂子
   ちょっと昔の槙村さとる
などと考えてみても、やっぱり児玉っちは同人作家というか、最近の「Wings」っていうか、そんなところだな、と。