雪組(宝塚大劇場)「追憶のバルセロナ」「ON THE 5TH」
■2002/06/01 (土)
 お披露目なんで、ぶんちゃんの事を真っ先に書くべきなんでしょうが・・・。芝居&ショーについてから先に書きます。
 まず芝居。正塚さん、どうしちゃったの?なにかあったの?というより、もう才能は枯れてしまったのだろうか?オープニングは結構カッコ良かったんだけど、その後の話がな〜い!大海賊以下よ!!緻密な書き込みが売りな正塚さんなのに。それ以前に話が中途半端。前編のみってカンジです。フランシスコ(絵麻緒)とアントニオ(成瀬)は親友でフランシスコにはセシリア(白羽)というフィアンセがいたが、フランスがスペインに攻めてきたため二人は戦場へ赴く。スペインは負けアントニオは捕虜となる。彼は「生きていれば再蜂起の可能性もある」を信念とし、スペイン・カルターニャ貴族のフランスへの恭順を説得する。一方フランシスコは戦場で傷ついたところをイサベル(紺野)らジプシーに助けられる。ジプシーのリーダー・ロベルト(朝海)は恋人をフランス兵に殺された恨みがあり、フランシスコのフランスへの反抗を手助けしようとする。ってのがすっごくおおまかな粗筋なんですが。フランシスコは結局はフランスに逆らって捉えられたアントニオを救い出し、これからフランスに対抗するぞ〜!と決意を見せるだけで終わるのよ。その2点以外殆どなにもやっていないのよ。はっきり言って山場がない!!!フランシスコはなにもやっていないに等しいのよ!!!なんだかね〜、谷先生をさんざんに言ってきたが、この話に限っては一人ぐらい殺した方が良かったよ。う〜ん、月並みだけど、アントニオがフランシスコの腕の中で死んでくれたらなあ。本当に、本当に、殆どの人が見せ場がないのよ。無駄なお笑いシーンは山ほどあるのに!そもそも、どこが「追憶」なんだ?と疑問なりよ。
 しかもね。酒場での騒ぎ方とか「ややこしいことするな」とか「自分と同じようにあなたを・・・」だったかな。とにかく台詞が「ブエノスアイレスの風」とダブるところがあるの。うう〜ん、ネタが同じなのは許せても台詞が一緒というのはねえ。その上、ジプシーの皆さんの衣装が「大海賊」の海賊さんの衣装でさ。正塚さん、ぶんちゃんのお披露目をリカファンが見ることは想定しなかったの?ただでさえ「?」が点滅する芝居内容なのに。
 というわけで、芝居はややハズレ気味。「ブエノスアイレスの風」も「大海賊」も見てなければ別な感想があるのかもしれないけれど。でもでも、話が途中でプッツリってのは誰もが感じると思うんだけどね。
 で、ショーで気を取り直そうかと。NYから振付家を呼んで、従来のショーとは違ったカンジに仕上がっているというし。90周年のNY公演に持っていくらしいし。すっごい期待していたの。それが・・・・。え〜、一般的にはハズレではないかもしれない。しかし、中途半端に外部でもやりそうなショーにするのなら、前回の原色バリバリの「ローズ・ガーデン」の方がまだいい。これをNYに持っていくのは止めた方がいいんじゃないかな。あまりにもNY(というかBW)すぎる。こんなの持っていったら実力的に本場と差をつけて下さい、って言うようなものだし、向こう様もわざわざ見に来てくれるようなものじゃないと思うよ。それよりも岡田先生のような「イマドキどこの国でもお目にかかれないようなファンタスティックなショー」こそ海外に持って行くべきじゃないのかな。なんちゅうかね。TDLのショーが一番イメージが近いかな。お馴染みのジャズのアレンジも「ジャズ・マニア」の方がいい。「雨に唄えば」など私の好きな映画の音楽がたくさん使われているんだけど、「そうアレンジするか〜」ってカンジで、イマイチ私のツボからずれているのよね。NYテロの部分は、なんと言ってよいやら。テロはいけないことだけど、だからと言って日本人が「ゴッド・ブレス・アメリカ」って歌う必要があるのかね?それを含めて処理の仕方が、なんと言えばいいのだ。ダサい、って言えばいいのか。まだ「スナイパー」のアウシュヴィッツの方が場面処理としてはいいと思っちゃうよ。
 これも、あくまでも私の主観。駄作、ではないけど、私のツボを全然刺激しないって言えばいいのかなあ。こういうのを見に宝塚を見に行くワケじゃない、と思うのさ。しかも雪組だもんなあ。似合ってないのよ。

 さて、それでは役者の方を。ぶんちゃんは、とにかく芝居もショーもとらえどころがなくて、なんと言ってよいのやら。真ん中にいるのは似合っているけど、それ以上誉めるには演目が悪すぎる。特に当たり役の「殉情」を観たあとなんで。今後3年6作トップをやる人の、取りあえず顔見せ興行のようなカンジだった。もうちょっとサヨナラ仕様だとよかったなあ。芝居にサラリとそれっぽいシーンがあるくらいよね。まひるちゃん、芝居の演技は「ブエノス」の千佳ちゃんと同じだった。彼女の引き出しの問題ではなく正塚さん側の問題だけどね。ぶんちゃんと並んだ姿は華やかで似合っていて、もうちょっとこの二人のコンビを観たかったなあ。リフトがキレイだった。
 今回で辞めちゃうなるちゃんは、とにかく足が長い!今回「カッコイイ!」と思える場面がたくさんあっただけに、惜しいわ。黒タキは誰よりも似合っていた。コムちゃんは男らしさがアップ。黒タキはまだまだだけど。でも、次期トップ、いいんじゃないですか?ずんこさん路線なら。一番びっくりはかしげちゃんだ。今までどんなポジションだったか少々不明な人だったけど、今回は明らかにコムの下。4番手確立。そして次期組内2番手確定でトップ候補と思えるようになったよ。彼女はよくなった。敵役だったけどカッコイイ!長髪だけど軍服という、宝塚らしい姿がよく似合う。台詞まわしもしっかりしてきたし、この先楽しみ。そして、となみちゃん!娘役2番手という位置が違和感ナシ!月にいたときは芝居しているところを観てなかったので、ここまでできるとは思わなかった。そりゃ技術的にはまだ難ありだけど、他の月うさぎと比べると明らかにヒロイン系の姫役者だった。薔薇というより牡丹というイメージではあるが、それでも最近いないタイプだよね。妃里さん以来の、白いドレスが似合う系だ。「大きいからワタル嫁」と言われていたけど、ぶんちゃんと並んでもそんな違和感ないよ。案外かしげ嫁なのでは。
 その他、未沙さんが笑いは取るものの久しぶりの悪役でちょっと嬉しい。ハマコ、相変わらず歌がうまい。好きだ。まゆみ姐さんもガシガシ踊ってくれて嬉しいぞ。キムは演技後退か?ちょっと間が悪いぞ。

とりあえず、こんなところ。
15時の回はノルさんが来た。ちょっとだけど見れてラッキー!

■2002/06/22 (土)
 芝居。まひるちゃんが出るまではテンションが高いんだけどな〜。その後はやっぱ失墜ってカンジ。話が繋がっているんだかなんだかだけど、いま、目の前の場面を楽しめばそれでいいのかいな、と割り切ればいいのかな。ラストの曲も、今までの話とどう関係あるんだか、ってくらい牧歌的だしね。ショーの芝居色が濃くなったと思えばいいのかなあ。ショー。本当にアメリカン。でも、これも私の好きなワンマンズ・ドリームを初めとするTDLのショーを、宝塚で、宝塚バージョンで見れるのね、なんてお得!!とさっさと割り切れば、まあ、おもしろいかな。最後のタップは圧巻だし。ぶんちゃんとまひるちゃんのデュエットダンスも2回あるしね。
 ぶんちゃんについて。チャーリーほど残念に思わなかった。なぜかな?と思って考えてみるとね。ぶんちゃんって2番手以降の作品ってすべて当たりなんだよね。リフ、チャムガ、ピーター、セイタハト、竜馬、ハンレイ、佐助。今回のフランシスコもハズレって程ではない。当たり、っていうのは違うか。私を充分に満足させてくれた、って言えばいいのか。チャーリーは2番手から今まで、芝居の中で、私が思うようなものは見せてくれなかった。こういう解釈もあるのね、ってんでなくて、明らかに(私にとって)役のレベルに達していないように思われるっていうの?リカちゃんなんかもさ、オックスとかエミリオとかさ、どうしようもない役が来て、アドリブとか衣装の胸の開きに楽しみを見い出すしかなかったでしょ。それに比べればぶんちゃんはこの3〜4年、非常に充実した舞台を見せてくれた。ピーターのようにどうしようもない役でも、役として、役者として楽しませてくれた。そう思うと、トップで真ん中に立つ作品が1作きりであったけど、ぶんちゃんの男役は十二分に堪能させて貰った。なので以外と物足りなさは残っていない。まひるちゃんは惜しいと思うけど。
 あとコムちゃんがさ〜、男臭くなってきたよ。客席降りの時近くを通ったんだけど、ちょっとドキッとしちゃった。なんか、ヤル気も感じられるような気がするよん。芝居での、ぶんちゃんからコムちゃんへの引継っぽいシーン、結構気持ちが入っているように見えたわ。